(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078600
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】脈診システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
A61B5/02 310J
A61B5/02ZIT
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-172185(P2015-172185)
(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-221223(P2016-221223A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】104117895
(32)【優先日】2015年6月3日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515240441
【氏名又は名称】何建興
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】何建興
【審査官】
佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−028057(JP,A)
【文献】
特開2013−043084(JP,A)
【文献】
特開2010−136941(JP,A)
【文献】
特開平06−197871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の脈診位置に圧力を加える加圧部材と前記加圧部材が圧力を与えた人体の脈診位置に発生する脈情報を検知する検知部材とを有する加圧検知装置と前記加圧検知装置に信号的に連接する脈診端末通信機構とを含む脈診装置と、
ネット接続制御機構とネット接続制御端末通信機構とを含み、かつ携帯電話であるネット接続制御装置とを備え、
前記検知部材によって脈診位置で発生する脈情報が検知され、前記ネット接続制御機構が圧力制御データを生成し、前記ネット接続制御端末通信機構が前記脈診装置と前記ネット接続制御装置の間にネット接続されて前記脈情報を受信し、かつ前記加圧部材の与える圧力は前記圧力制御データを介して前記ネット接続制御機構を押圧操作した圧力に対応することを特徴とする脈診システム。
【請求項2】
前記加圧検知装置を三つ有し、それぞれ人体の寸部、関部及び尺部という前記脈診位置に対応することを特徴とする請求項1に記載の脈診システム。
【請求項3】
前記加圧部材が前記人体の寸部、関部及び尺部という前記脈診位置に接触する前記検知部材と接触する膨張体を備えることを特徴とする請求項2に記載の脈診システム。
【請求項4】
前記加圧検知装置を複数有し、かつ前記脈診装置が前記複数の加圧検知装置と前記脈診端末通信機構の間で電気的に連接される切替機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の脈診システム。
【請求項5】
前記脈診装置が前記加圧検知装置と前記脈診端末通信機構との間で連接される信号変換器を有することを特徴とする請求項1に記載の脈診システム。
【請求項6】
前記ネット接続制御機構が押圧操作に基いて前記圧力制御データを生成するタップ検知部材を有することを特徴とする請求項1に記載の脈診システム。
【請求項7】
前記ネット接続制御端末通信機構及び前記脈診端末通信機構が無線信号で通信することを特徴とする請求項1に記載の脈診システム。
【請求項8】
前記ネット接続制御装置が前記脈情報に基いて分析結果を生成する分析機構を有することを特徴とする請求項1に記載する脈診システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠隔脈診及び近接脈診に使う脈診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
東洋医学における脈診とは医療者が患者と対面して直接患者の脈を取り、そして脈の早さ、強さなどの情報を基にして、患者が罹った疾病や、その原因や変化を判別するものである。しかし、高齢者または肢体不自由な患者には距離によっては自力で病院にたどり着くことが困難な場合もある。故に、医療者に患者の脈が判別できるように、遠隔脈診機能を含む脈診システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
故に、本発明の目的として、一般使用者が自分で脈診を行い、或いは医療者が遠隔脈診ができるように、近接脈診及び遠隔脈診に使う脈診システムを提供する。
【0004】
本発明が従来の技術問題を解決する技術手段として、
人体の脈診位置に圧力を加える加圧部材と前記加圧部材が圧力を与えた人体の脈診位置に発生する脈情報を検知する検知部材とを有する加圧検知装置と前記加圧検知
装置に信号的に連接する脈診端末通信機構
とを含む脈診装置と、ネット接続制御機構とネット接続制御端末通信機構
とを含
み、かつ携帯デバイスであるネット接続制御装置とを備え、前記検知部材によって
脈診位置で発生する脈情報が検知され、前記ネット接続制御機構が圧力制御データを生成し、前記ネット接続制御端末通信機構が前記脈診装置と前記ネット接続制御装置の
間にネット接続
されて前記脈情報を受信
し、かつ前記加圧部材の与える圧力は前記圧力制御データを介して前記ネット接続制御機構を押圧操作した圧力に対応することを特徴とする脈診システムを提供する。
【0005】
本発明の一つの実施形態では前記加圧検知
装置を三つ有し、それぞれ人体の寸部、関部及び尺部という
前記脈
診位置に対応することを特徴とする脈診システムである。
【0006】
本発明の一つの実施形態では前記加圧部材が前記人体の寸部、関部及び尺部という
前記脈
診位置に接触する前記検知部材と接触する膨張体を備えることを特徴とする脈診システムである。
【0007】
本発明の一つの実施形態では前記加圧検知
装置を複数有し、かつ前記脈診装置が前記複数の加圧検知
装置と前記脈診端末通信機構の間で電気的に連接される切替機構を備えることを特徴とする脈診システムである。
【0008】
本発明の一つの実施形態では前記脈診装置が前記加圧検知
装置と前記脈診端末通信機構との間で連接される信号変換器を有することを特徴とする脈診システムである。
【0009】
本発明の一つの実施形態では前記ネット接続制御機構が押圧操作に基いて前記圧力制御データを生成するタップ検知部材を有することを特徴とする脈診システムである。
【0010】
本発明の一つの実施形態では前記ネット接続制御端末通信機構及び前記脈診端末通信機構が無線信号で通信することを特徴とする脈診システムである。
【0011】
本発明の一つの実施形態では前記ネット接続制御装置が前記脈情報に基いて分析結果を生成する分析機構を有することを特徴とする脈診システムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の技術手段により、本発明が提供した脈診システムはネットを通じて加圧制御情報及び脈情報を伝送して、距離を制限せずに脈診を行うことができる。これにより、医療者はネット接続制御装置で遠隔加圧検知を行い、そして被験者の脈情報が得られる。一部の実施形態において、加圧検知機構が医療者の加圧操作の力をシミュレートでき、被験者の脈情報をより正確に測ることができる。
【0013】
なお、分析機構は脈情報を分析して、医療者が参考にできるような分析結果を生成する。被験者も自分で行った脈診によって生成された分析結果によって、自分の健康状況を知る。
【0014】
以下の実施形態及び添付した図面により、本発明で採用された具体実施形態をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は本発明の第一実施形態の脈診システムを示す図である。
【
図2】
図2は本発明の第二実施形態の脈診システムを示す図である。
【
図3】
図3は本発明の第一実施形態の脈診システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下は
図1〜
図3に基いて、本発明の実施形態について説明する。当該説明は本発明の実施形態の一つの例示にすぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。
【0017】
図1および
図3が示すように、本発明の脈診システム100は加圧検知
装置11及び加圧部材111と検知部材112を有し、前記加圧検知
装置と信号的に連接する脈診端末通信機構12を含む脈診装置1と、ネット接続制御機構21とネット接続制御端末通信機構22を含むネット接続制御装置2と、を備え、前記加圧部材111で人体の
脈診位置に圧力を与えて、前記検知部材112により
脈診位置で発生する脈情報Pを検知し、前記ネット接続制御機構21が圧力制御データCを生成し、前記ネット接続制御端末通信機構22が前記脈診装置1と前記ネット接続制御装置2とのネット接続を通じて前記圧力制御データCを前記脈診端末通信機構12に送信し、かつネット接続で前記検知部材112からの前記脈情報Pを受信する。
【0018】
図1および
図3が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、加圧検知
装置11の数が複数である。本実施形態において、加圧検知
装置11の数は三つであり、それぞれ人体の寸部、関部及び尺部という脈
診位置に対応する。そして、加圧検知
装置11はマイクロポンプであり、前記検知部材112は圧電検知器であり、プリアンプを含む。
【0019】
図1が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、加圧部材111が検知部材112を寸部、関部及び尺部という脈
診位置に貼付けることができるように前記検知部材112に接合する膨張体113を含む。膨張体113は大きさが指先に近く、圧力制御データCに基いて体積を変える。膨張体113の体積の変化によって検知部材112が脈
診位置に貼付ける力を変化させ、医療者が脈取りに使う力を模倣する。より好ましくは、加圧部材111が検知部材112とネット接続制御端末通信機構22と連接する移動体(図示しない)をさらに含むことである。前記移動体は検知部材112を移動させて検知部材112の位置を調整することにより正確な脈
診位置に到達するように、医療者によってネット接続制御装置で操作される。
【0020】
図3が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、脈診装置1が複数の加圧検知
装置11と脈診端末通信機構12の間で電気的に連接される切替機構13を備える。切替機構13は検知部材切替ユニット131及び加圧部材切替ユニット132を含む。前記検知部材切替ユニット131はマルチプレクサーであり、複数の検知部材112の脈情報Pを受信して、そのうちから一つを選んで出力する。また、加圧部材切替ユニット132はデマルチプレクサであり、複数の出力端末の加圧部材111から一つを選んで圧力制御データCを発送する。
【0021】
図3が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、脈診装置1が前記加圧検知
装置11と前記脈診端末通信機構12との間で連接される信号変換器14を含む。本実施形態において、複数の加圧検知
装置11は切替機構13により単独の信号変換器14に信号的に連接される。他の実施形態において、複数の加圧検知
装置11は対応する複数の信号変換器14と信号的に連接してもよく、切替機構13を通じて脈診端末通信機構12と信号的に連接する。
【0022】
信号変換器14はアナログ−デジタル変換器141(AD変換器)及びデジタル−アナログ変換器142(DA変換器)を含む。AD変換器141はプログラマブルゲインアンプ(PGA)を含む。AD変換器141は検知部材112と脈診端末通信機構12との間で連接されて、アナログ信号である脈情報Pをデジタル信号に転換して脈診端末通信機構12を通じて伝送する。DA変換器142は脈診端末通信機構12と加圧部材111との間で電気的に連接されて、加圧部材111の圧力を制御するためにデジタル信号である圧力制御データCをアナログ信号に転換する。
【0023】
図1および
図3が示すように、本発明の一つの実施形態の脈診システム100は、ネット接続制御装置2が携帯電話であり、前記携帯電話のネット接続制御端末通信機構22がインターネットNによる無線通信で近接、遠隔の脈診端末通信機構12と接続する。もちろん、本発明はそれに限らず、
図2が示した第二実施形態の脈診システム100aにおいて、ネット接続制御装置2がコンピュータで、コンピュータにおけるネット接続制御端末通信機構22がインターネットNによる有線通信で近接、遠隔の脈診端末通信機構12と接続する。前記コンピュータにおけるネット接続制御装置2が他のスマートデバイスでも良い。そしてインターネットNによる有線通信または無線通信を通じて脈診装置1と信号を伝送する。その中では、ネット接続制御装置2のアプリケーションを医療者が操作に使うユーザーインタフェースにする。医療者はアプリケーションを通じて脈診装置1を操作して被験者に対する脈診を行う。
【0024】
図1及び
図3が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、ネット接続制御機構21がタップ検知部材211を含み、タップ検知部材211が押される操作に基いて、圧力制御データCを生成させる。詳しく言うと、医療者が携帯電話の寸部、関部、尺部の操作位置でタップ検知部材211を押して、タップ検知部材211を押しながら上にスライドして圧力制御データCを生成すると、加圧部材111が圧力制御データCに基いて沈(強く押す)の圧力を与える。また、タップ検知部材211をタップして圧力制御データCを生成すると、加圧部材111が圧力制御データCに基いて中(軽く押す)の圧力を与える。さらに、タップ検知部材211を押しながら下にスライドして圧力制御データCを生成すると、加圧部材111が圧力制御データCに基いて浮(触れる)の圧力を与える。これによって、加圧部材111が脈
診位置に東洋医学における脈診の押す力の多様さを模倣することにより、被験者の脈情報Pを正確に測ることができる。もちろん、本発明はそれに限らず、圧力制御データCは医療者がタップ検知部材211を押す力の強さによって生成し、加圧部材111はタップ検知部材211が受けた押す力を模倣して、被験者の脈情報を正確に検知する。
【0025】
図3が示すように、本発明の第一実施形態の脈診システム100は、ネット接続制御装置2が分析機構23を含み、脈情報P(脈の速さ、脈の強さなど)がネット接続制御装置2を通じて記録保存された後、分析機構23により東洋医学の脈診判断方法に基いて脈情報Pを分析して分析結果を生成する。分析結果は医療者が参考にできるように被験者の脈の種類、五臓六腑の生理的な状況、被験者に対するアドバイス…などの情報を含む。なお、被験者も自分で行った脈診によって生成された分析結果により、自分の健康状況を知ることができる。
【0026】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0027】
100,100a 脈診システム
1 脈診装置
11 加圧検知機構
111 加圧部材
112 検知部材
113 膨張体
12 脈診端末通信機構
13 切替機構
131 検知部材切替ユニット
132 加圧部材切替ユニット
14 信号変換器
141 アナログ−デジタル変換器
142 デジタル−アナログ変換器
2 ネット接続制御装置
21 ネット接続制御機構
211 タップ検知部材
22 ネット接続制御端末通信機構
23 分析機構
C 圧力制御データ
N インターネット
P 脈情報