特許第6078631号(P6078631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6078631セルフコンディショニング研磨パッドおよびその作製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078631
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】セルフコンディショニング研磨パッドおよびその作製方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20170130BHJP
   B24B 37/26 20120101ALI20170130BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   B24B37/24 Z
   B24B37/26
   H01L21/304 622F
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-501730(P2015-501730)
(86)(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公表番号】特表2015-510847(P2015-510847A)
(43)【公表日】2015年4月13日
(86)【国際出願番号】US2013030353
(87)【国際公開番号】WO2013142134
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/613,398
(32)【優先日】2012年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514233336
【氏名又は名称】ジェイエイチ ローデス カンパニー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダスキーウィック, スコット ビー.
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/138724(WO,A1)
【文献】 特開2007−049197(JP,A)
【文献】 特開2004−140264(JP,A)
【文献】 特表2009−502533(JP,A)
【文献】 特開2004−158581(JP,A)
【文献】 特表2012−514857(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0137121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B37/24
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不溶性ポリマーフォーム母材と、
複数のコーティングされた粒子とを含み、前記複数のコーティングされた粒子がそれぞれ、水溶性成分でコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を含む、研磨パッド。
【請求項2】
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、5から1000ミクロンの間の直径を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、前記不溶性ポリマーフォーム母材と前記不溶性ポリマーフォーム粒子との間に有効な結合を提供するために、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の表面積の5%から90%を覆うようにコーティングされる、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記コーティングされた粒子が、前記研磨パッドの10体積%から90体積%を構成する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、界面活性剤、エッチング剤、pH緩衝剤、酸、および塩基の少なくとも1種を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨パッドが、開放セルを含み、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の開放セル含量が、5%から75%である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記粒子のコーティングの水溶性成分が、50%から100%の間で可溶であってもよい、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する、請求項7に記載の研磨パッド。
【請求項9】
前記不溶性ポリマーフォーム母材が、0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項10】
複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を形成するステップと、
プレポリマー溶液を調製するステップと、
前記プレポリマー溶液をオープンエアーミックスに混合するステップであって、気泡および発泡剤の少なくとも1種が前記オープンエアーミックスに添加されるステップと、
前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を前記オープンエアーミックスに添加するステップであって、前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が、水溶性成分でコーティングされた複数の不溶性ポリマーフォーム粒子を含むステップと、
重合剤を前記オープンエアーミックスに添加するステップと、
この混合物をフォーム形成させるステップと、
前記混合物を開放金型に注ぐステップと、
前記混合物を硬化してフォームバンを形成するステップであって、前記フォームバンが、0.2から0.85g/cmの凝集かさ密度を有するステップと、
前記フォームバンから個々のパッドをスライスすることによって、前記フォームバンから、フォーム形成された研磨パッドを形成するステップと
を含む、セルフコンディショニング研磨パッドを生成する方法。
【請求項11】
前記フォームバンが、プレポリマーと、硬化剤と、界面活性剤と、フォーム形成剤または研削充填材の少なくとも1種とを混合した生成物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子が、その表面積の5%から90%を覆うようにコーティングされている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子の直径が5から1000ミクロンの間である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子が、粒子が形成されるようにより大きい不溶性ポリマーフォーム物体を低温粉砕することによって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が、スプレーコーティングによってコーティングされる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が乾燥され浄化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
機械的デバイスで前記研磨パッドに溝を生成するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
複数の小さい細孔を前記フォーム内に形成させる化学フォーム形成剤と、複数の小さいセルを前記フォーム内に形成させるセル開放剤との少なくとも1種を、前記プレポリマー溶液に添加するステップと、
少なくとも1種の研削粒子を前記プレポリマー溶液に添加するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、プレポリマーと、硬化剤と、界面活性剤と、フォーム形成剤または研削充填材の少なくとも1種とを混合した生成物である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、水溶性成分でコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を含有する不溶性ポリマーフォーム母材を含む、セルフコンディショニング研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ポリウレタン研磨パッドの一般的使用において、研磨される部分に接触するパッド表面は、典型的には研磨の前および最中にコンディショニングされる。ポリウレタンフォーム研磨パッドの使用中に遭遇する1つの問題は、パッドをコンディショニングし直すことが常に求められることである。ほとんどの研磨用途におけるコンディショニングでは、コンディショニングツールをパッド接触表面の端から端まで移動させ、それによって、剪断ポリウレタンのナップを生成し、パッドの組織形態を平らにし、細孔から蓄積されたスラリーおよび削りくずを清浄化する。コンディショニングツールは、片面にダイヤモンド粉末または別の類似の硬質研削材料を含ませた、金属パックを含むことができる。通常の研磨過程において、研磨パッドは、ポリウレタンのナップの平坦化、パッドの組織形態の変化、および細孔へのスラリーおよび削りくずの詰まりに関係した性能の低下(即ち、ストックの除去、部品の平坦度、部品の欠陥、および/または表面粗さ)を経験することになる。
【0003】
研磨パッドは、多くの用途で有用である。そのような2つの用途は、研磨ガラスおよび研磨ウエハーである。用途とは無関係に、研磨パッドは、研磨される対象(例えば、ガラス、Siウエハー、サファイヤウエハーなど)に対して動かされる。この相対運動は、研磨パッドを回転させることによって、研磨される対象を回転させることによって、またはそのような運動の組合せによって、生成することができる。他の線形または任意の有用な相対運動を、研磨パッドと研磨される対象との間で使用することができる。いくつかの実施形態では、研磨パッドをウエハーに押圧して接触させるように、力を加えてもよい。
【0004】
研磨は、鏡面仕上げおよび/または最終的な平坦度などを実現するために、より大きな不完全さを除去するなど、様々な程度まで行ってもよい。
【0005】
従来、平坦度を改善するためにシリコン半導体基板ウエハーを研磨するプロセスは、典型的にはウレタン製である1つまたは複数の研磨パッドを、一般にシリカやセリウムなどの微細な研削粒子を含むアルカリ性研磨溶液(スラリー)と共に使用する、機械化学的プロセスによって実現される。シリコンウエハーは、研磨パッドで覆われたプラテンと、ウエハーが取着されるキャリアとの間に支持されるか、または両面研磨の場合には、ウエハーは、それぞれが研磨パッドで覆われている2つのプラテンの間に保持される。パッドは、典型的には約1mmの厚さであり、圧力はウエハー表面に加えられる。ウエハーは、プラテンとウエハーとの間の相対運動によって機械化学的に研磨される。
【0006】
研磨中、圧力は、研磨ツールでパッドおよびウエハーを一緒に押圧することによってウエハー表面に加えられ、パッドの圧縮変形によって、均一な圧力が表面全体に発生する。研磨ツールは、異なる速度および様々な回転軸で回転することができる動的ヘッドをしばしば有する。これは材料を除去し、不規則な組織形態を全て均し、ウエハーを平らにしまたは平面状にする。
【0007】
残念ながら、典型的な従来技術の研磨パッドはコンディショニングが必要になり、したがって、コンディショニングによってパッドの厚みの一部が除去されるために頻繁に交換することが必要になる傾向がある。例えば、そのような研磨パッドは、5〜10日ごとに交換することが必要になる可能性がある。コンディショニングが必要になる前に、より長くその最適な研磨性能を維持することができ、それによって研磨パッドにはより長い研磨寿命が与えられるような、研磨パッドを有することが望ましい。このようにすることで、より長く研磨を行うことができ、したがって、ある設定された期間でより多くの製品を作製することができる。これに関しては、セルフコンディショニングする研磨パッドを有することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、セルフコンディショニング研磨パッドを対象とする。セルフコンディショニング研磨パッドは、不溶性ポリマーフォーム母材と、このフォーム母材中に不溶性ポリマーフォーム粒子を含む。粒子は、この粒子の表面積の一部を覆うように水溶性成分でコーティングされる。粒子は、直径が5から1000ミクロンの範囲の直径を有していてもよい。
【0009】
本発明の主題は、本明細書の結論部分において特に指摘されかつ明確に主張される。しかし本発明のより完全な理解は、同様の符号が同様の要素を示している描画図と併せて考慮したときに詳細な説明および特許請求の範囲を参照することによって得ることができる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
不溶性ポリマーフォーム母材と、
複数のコーティングされた粒子とを含み、前記複数のコーティングされた粒子がそれぞれ、水溶性成分でコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を含む、研磨パッド。
(項目2)
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、約5から1000ミクロンの間の直径を有する、項目1に記載の研磨パッド。
(項目3)
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、前記研磨パッド母材と前記不溶性フォーム粒子との間に有効な結合を提供するために、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の表面積の約5%から90%を覆うようにコーティングされる、項目1に記載の研磨パッド。
(項目4)
前記コーティングされた粒子が、前記研磨パッドの約10体積%から90体積%を構成する、項目1に記載の研磨パッド。
(項目5)
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、界面活性剤、エッチング剤、pH緩衝剤、酸、および塩基の少なくとも1種を含む、項目1に記載の研磨パッド。
(項目6)
前記パッドが、開放セルを含み、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の開放セル含量が、約5%から約75%である、項目1に記載の研磨パッド。
(項目7)
前記粒子のコーティングの前記可溶性成分が、50%から100%の間で可溶であってもよい、項目1に記載の研磨パッド。
(項目8)
前記不溶性ポリマーフォーム粒子が、約0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する、項目7に記載の研磨パッド。
(項目9)
前記不溶性ポリマーフォーム母材が、0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する、項目1に記載の研磨パッド。
(項目10)
複数の、コーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子を形成するステップと、
プレポリマー溶液を調製するステップと、
前記プレポリマー溶液をオープンエアーミックスに混合するステップであって、気泡および発泡剤の少なくとも1種が前記オープンエアーミックスに添加されるステップと、
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子を前記ミックスに添加するステップであって、前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が、水溶性成分でコーティングされた複数の不溶性ポリマーフォーム粒子を含むステップと、
重合剤を前記ミックスに添加するステップと、
この混合物をフォーム形成させるステップと、
前記混合物を開放金型に注ぐステップと、
前記混合物を硬化してフォームバンを形成するステップであって、前記フォームバンが、0.2から0.85g/cmの凝集かさ密度を有するステップと、
前記フォームバンから個々のパッドをスライスすることによって、前記フォームバンから、フォーム形成された研磨パッドを形成するステップと
を含む、セルフコンディショニング研磨パッドを生成する方法。
(項目11)
前記不溶性フォーム母材が、プレポリマーと、硬化剤と、界面活性剤と、フォーム形成剤または研削充填材の少なくとも1種とを混合した生成物である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子が、その表面積の5%から90%を覆うようにコーティングされている、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子の直径が5から1000ミクロンの間である、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記複数の不溶性ポリマーフォーム粒子が、粒子が形成されるようにより大きい不溶性ポリマーフォーム物体を低温粉砕することによって形成される、項目10に記載の方法。
(項目15)
前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が、スプレーコーティングによってコーティングされる、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記複数のコーティングされた不溶性ポリマーフォーム粒子が乾燥され浄化される、項目15に記載の方法。
(項目17)
機械的デバイスで前記パッドに溝を生成するステップを含む、項目10に記載の方法。
(項目18)
複数の小さい細孔を前記フォーム内に形成させる化学フォーム形成剤と、複数の小さいセルを前記フォーム内に形成させるセル開放剤との少なくとも1種を、前記プレポリマー溶液に添加するステップと、
少なくとも1種の研削粒子を前記プレポリマー溶液に添加するステップと
を含む、項目10に記載の方法。
(項目19)
前記不溶性フォーム粒子が、プレポリマーと、硬化剤と、界面活性剤と、フォーム形成剤または研削充填材の少なくとも1種とを混合した生成物である、項目10に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の1つの例示的な実施形態による、セルフコンディショニング研磨パッドの断面を示す。
図2図2は、全てが本発明の1つの例示的な実施形態による、セルフコンディショニング研磨パッド、研磨される部品、および研磨ツールを示す。
図3図3は、本発明の1つの例示的な実施形態による、例示的なセルフコンディショニングパッドを製造するための例示的な方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本発明の例示的な実施形態によれば、研磨パッドは、研磨ガラス、シリコン半導体基板ウエハー、およびサファイヤウエハー(とりわけ)での使用に関して開示される。この例示的な実施形態において、研磨パッドは、このパッドがセルフコンディショニングパッドになるように、パッド内に形成された粒子を含むように化学的および/または物理的に構成される。別の言い方をすれば、パッドは、そのように構成されていないパッドのようにコンディショニングのために操作を中断することなく、長い期間にわたって効果的に機能するように、セルフコンディショニングがなされるよう構成することができる。
【0012】
研磨パッド
例示的な実施形態によれば、研磨パッドは、フォーム母材とこのフォーム母材中のフォーム粒子とを含む。例示的な実施形態では、研磨パッドは、不溶性ポリマーフォーム母材と、この不溶性ポリマーフォーム母材中の不溶性ポリマーフォーム粒子とを含む。不溶性ポリマーフォーム粒子は、この粒子の表面積の一部を覆うように、水溶性成分でコーティングされていてもよい。
【0013】
次に図1を参照すると、例示的な実施形態によれば、研磨パッド100は、不溶性ポリマーフォーム母材110と、不溶性ポリマーフォーム母材110内の不溶性ポリマーフォーム粒子120とを含む。不溶性ポリマーフォーム粒子120は、この粒子の表面積の一部を覆うように、水溶性コーティング125でコーティングされていてもよい。例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子120は、この粒子の表面積の約5から90%を構成する部分を覆うように、水溶性成分125でコーティングされる。不溶性ポリマーフォーム粒子120および水溶性コーティング125は一緒に、コーティング粒子130を形成する。1つの例示実施形態では、不溶性フォーム母材110はさらに、細孔170を含む。1つの例示実施形態では、細孔170は、セル開口140を含む。1つの例示実施形態では、コーティング粒子130が細孔180をさらに含んでいてもよい。
【0014】
粒子
例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子120は、より大きい不溶性ポリマーフォーム物体を最初に作製し、次いでこのより大きいフォーム物体から、より小さい粒子を生成することによって形成される。より小さい粒子は、より大きいフォーム物体から、任意の適切な方法を通して形成することができる。1つの例示的な実施形態では、より大きいフォーム物体は、より小さい粒子に粉砕される。例えば、不溶性フォーム粒子は、より大きいフォーム物体を低温粉砕することによって形成されてもよい。他の例示的な実施形態では、粒子は、ハンマーミルで形成されてもよい。さらに、粒子を形成するための任意の他の適切な方法を使用してもよい。
【0015】
1つの例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子は、約5から500ミクロンの間の直径を有する。別の例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子は:界面活性剤、エッチング剤、pH緩衝剤、酸、および塩基の少なくとも1種を含む。さらに、別の例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子は約0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する。
【0016】
コーティング
例示的な実施形態によれば、粒子120は可溶性コーティングでコーティングされる。1つの例示的な実施形態では、粒子120は、スプレーコーティング、またはサイクロン粉末塗布機などの他の適切な技術の使用を通してコーティングされる。別の例示的な実施形態では、粒子120は、可溶性液相中に含有される不溶性粒子のスラリーを作製し、次いで乾燥し、最終的には凝固した不溶性粒子/可溶性複合体を粒子に低温粉砕しまたはハンマーミリングすることによって形成される。例示的な実施形態では、粒子120を乾燥し、スプレーコーティング後に浄化する。このように、コーティング粒子130は、可溶性コーティング125でコーティングされた粒子120を含む。別の例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子は、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の表面積の約5%から90%を覆うようにコーティングされる。不溶性フォーム粒子の5%から90%のコーティングは、例えば、粒子の表面積を計算し、次いで水溶性ポリマーの適切な量を比例的にブレンドすることによって実現することができる。例示的な実施形態では、コーティング粒子は、研磨パッドの約10体積%から90体積%を構成する。例示的な実施形態では、可溶性コーティングは、有機または無機水溶性粒子から構成される。有機水溶性粒子の特定の例には、糖(多糖、例えば、α、β、またはγ−シクロデキストリン、デキストリンおよびデンブン、ラクトース、およびマンニットなど)、セルロース(ヒドロキシプロピルセルロースおよびメチルセルロースなど)、タンパク質、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、ポリエチレンオキシド、水溶性感光性樹脂、スルホン化ポリイソプレン、およびスルホン化ポリイソプレンコポリマーの粒子が含まれる。
【0017】
例示的な実施形態では、コーティング粒子130は、研磨パット100の母材110を形成するプロセス中に、ミックスに添加される。したがって例示的な実施形態では、コーティング粒子130は母材110内に置かれることになる。
【0018】
1つの例示的な実施形態では、コーティング粒子130は、高剪断ブレンドを使用して母材中に混合される。他の混合方法は、二重遊星、混練スイングアーム、およびインライン混合であって直接充填供給材との混合を含む。さらに、母材110内にコーティング粒子130がランダムに間隔を空けて配されるように構成された、任意の混合方法を使用してもよい。さらに混合プロセスは、気泡をフォーム内に混入させてもよい(それがそれらを形成するときにフォーム粒子内にあっても、母材110内にあっても)。さらに、細孔140を母材110内に導入するためのまたは細孔180を粒子120内に導入するための、任意の適切な方法を使用してもよい。これらの方法は、周囲空気の起泡、水発泡性COの発生、HFCなどの物理的発泡剤、アゾニトリルなどの分解発泡剤、微小球、および注入不活性ガスを含んでいてもよい。
【0019】
パッドの作製方法
例示的な実施形態では、不溶性フォーム物体(不溶性フォーム粒子になるための)は、ポリウレタンプレポリマー、硬化剤、界面活性剤、およびフォーム形成剤を混合することによって形成される。いくつかの実施形態では、研削充填材を他の構成成分と混合してもよい。いくつかの他の実施形態では、不溶性フォーム物体は、ポリウレタンフォーム、エポキシフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリブタジエンフォーム、イオノマーフォーム、または任意の他の不溶性ポリマーフォームとすることができる。上述のように、不溶性フォーム物体は、次いで、より小さい不溶性フォーム粒子120にまで粉砕されてもよい。次いでこれらの粒子120をコーティングして、不溶性コーティングフォーム粒子130を形成してもよい。次いでコーティング粒子130を、パッド100全体の形成に含めてもよい。
【0020】
例示的な実施形態では、次いで、研磨パッド100は、プレポリマー、硬化剤、界面活性剤、フォーム形成剤、およびコーティング粒子130を混合することによって形成される。いくつかの実施形態では、研削充填材を他の構成成分と混合してもよい。不溶性フォーム母材は、ポリウレタンフォーム、エポキシフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリブタジエンフォーム、イオノマーフォーム、または任意の他の不溶性ポリマーフォームとすることができる。成分は、コーティング粒子が母材に組み込まれるように、高剪断ブレンドを使用して一緒に混合してもよい。フォームバン(foam bun)を開放金型で形成してもよい。フォームバンを硬化し、次いでシート状にスライスしてもよい。各シートは1つの研磨パッド100を含む。例示的な実施形態では、パッドは開放セル140を含む。不溶性ポリマーフォーム粒子の開放セル含量は、約5%から約75%であってもよい。別の例示的な実施形態では、不溶性フォーム粒子をコーティングする可溶性成分は、50%から100%の間で可溶であってもよい。さらに、別の例示的な実施形態では、不溶性ポリマーフォーム母材は、0.2から0.85g/cmのかさ密度を有する。さらに1つの例示的な実施形態では、フォームバンは、0.2から0.85g/cmの凝集かさ密度を有していてもよい。
【0021】
母材110および粒子120は、例示的な実施形態において、共に不溶性フォーム材料で作製される。一実施形態では、母材110および粒子120の材料は、互いに同一である。この点に関し、生成プロセスの副生成物であるスクラップ材料を、追加の粒子を生成するのに使用することができる。別の例示的な実施形態では、材料は互いに異なる。母材および粒子材料は、いくつかの可能性ある材料のいずれかから選択されてもよい。
【0022】
例えば、例示的な実施形態では、母材110および/または粒子120用の不溶性フォーム材料は、ポリマーフォームから作製されてもよい。例えば、例示的な実施形態では、ポリマーフォームはポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリルフォーム、またはこれらの混合物であってもよい。これらのポリマーフォームは、重合剤、例えばイソシアネート末端モノマーと、プレポリマー、例えばイソシアネート官能性ポリオールまたはポリオール−ジオール混合物とを混合することによって生成されてもよい。
【0023】
例示的な実施形態では、粒状架橋ポリウレタンの調製に使用され得る重合剤またはイソシアネート末端モノマーのクラスには、脂肪族ポリイソシアネート;エチレン系不飽和ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;イソシアネート基が芳香環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネート、例えばキシレンジイソシアネート;イソシアネート基が芳香環に直接結合している芳香族ポリイソシアネート、例えばベンゼンジイソシアネート;これらのクラスに属するポリイソシアネートのハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ナイトレート化、カルボジイミド変性、尿素変性、およびビウレット変性誘導体;およびこれらのクラスに属するポリイソシアネートのダイマーまたはトリマー生成物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0024】
イソシアネート官能性反応物を選択し得る、脂肪族ポリイソシアネートの例には、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、ジメチルペンタンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、ジイソシアナト−(イソシアナトメチル)オクタン、トリメチル−ジイソシアナト(イソシアナトメチル)オクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、イソシアナトプロピル−ジイソシアナトヘキサノエート、リジンジイソシアネートメチルエステル、およびリジントリイソシアネートメチルエステルが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0025】
イソシアネート官能性反応物を選択し得る、エチレン系不飽和ポリイソシアネートの例には、ブテンジイソシアネートおよびブタジエンジイソシアネートが含まれるが、これらに限定するものではない。イソシアネート官能性反応物を選択し得る脂環式ポリイソシアネートには、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)エタン、およびイソシアナトメチル−(イソシアナトプロピル)−イソシアナトメチルビシクロヘプタンが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0026】
イソシアネート官能性反応物を選択し得る、イソシアネート基が芳香環に直接結合していない芳香族ポリイソシアネートの例には、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナト−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、およびジ(イソシアナトメチル)フランが含まれるが、これらに限定するものではない。そこからイソシアネート官能性反応物を選択し得る、芳香環に直接結合されたイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートには、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、オルト−トリジンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチル−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、ジメトキシ−ビフェニル(bipheny)−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタンペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、およびジクロロカルバゾールジイソシアネートが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0027】
2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートモノマーの例には、キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、およびこれらの混合物が含まれる。
【0028】
例示的な実施形態では、一般に使用されるプレポリマー、イソシアネート官能性ポリオールには、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、およびポリカプロラクトンポリオールが含まれるが、これらに限定するものではない。さらに、市販のプレポリマー、例えばAdiprene(登録商標)L213、TDI末端ポリエーテルベース(PTMEG)を使用してもよい。
【0029】
例示的な実施形態の中で、プレポリマーの分子量は広く変えることができ、例えば、ポリスチレン標準を使用したゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定されるように、500から15,000または500から5000の数平均分子(Mn)を有することができる。
【0030】
例示的な粒状架橋ポリウレタンを調製するのに使用される例示的な2成分組成物の、第1の成分のイソシアネート官能性プレポリマーを調製するのに使用されてもよいポリオールのクラスには:直鎖または分枝鎖アルカンポリオール、例えば、エタンジオール、プロパンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ブタンジオール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、およびジ−ペンタエリスリトール;ポリアルキレングリコール、例えば、ジ−、トリ−、およびテトラエチレングリコール、およびジ−、トリ−、およびテトラプロピレングリコール;環状アルカンポリオール、例えば、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサントリオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、およびシクロヘキサンジエタノール;芳香族ポリオール、例えば、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ヒドロキシベンジルアルコール、およびジヒドロキシトルエン;ビスフェノール、例えば、イソプロピリデンジフェノール;オキシビスフェノール、ジヒドロキシベンゾフェノン、チオビスフェノール、フェノールフタレイン、ビス(ヒドロキシフェニル)メタン、(エテンジイル)ビスフェノール、およびスルホニルビスフェノール;ハロゲン化ビスフェノール、例えば、イソプロピリデンビス(ジブロモフェノール)、イソプロピリデンビス(ジクロロフェノール)、およびイソプロピリデンビス(テトラクロロフェノール);アルコキシル化ビスフェノール、例えば、1から70個のアルコキシ基、例えば、エトキシ、プロポキシ、およびブトキシ基を有するアルコキシル化イソプロピリデンジフェノールと;対応するビスフェノールを水素化することによって調製することができるビスシクロヘキサノール、例えば、イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、オキシビスシクロヘキサノール、チオビスシクロヘキサノール、およびビス(ヒドロキシシクロヘキサノール)メタンが含まれるが、これらに限定するものではない。例示的なイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを調製するのに使用されてもよいポリオールの追加のクラスには、例えば、200から2000などの数平均分子量(Mn)を有するポリエチレングリコールなどの高級ポリアルキレングリコールと;ブタンジオールなどのジオールと二酸またはジエステル、例えばアジピン酸とアジピン酸ジエチルとの反応から形成されたような、例えば200から2000のMnを有するヒドロキシ官能性ポリエステルが含まれる。本発明の実施形態において、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーは、ジイソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート、およびポリアルキレングリコール、例えばMnが1000であるポリ(テトラヒドロフラン)から調製される。
【0031】
さらに、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーは、任意選択で触媒の存在下で調製されてもよい。適切な触媒のクラスには、トリエチルアミンなどの第3級アミンと、ジラウリン酸ジブチルスズなどの有機金属化合物が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0032】
いくつかの例示的な実施形態では、研削充填材は、不溶性フォーム粒子120および/または不溶性フォーム母材110の部分を形成してもよい。この研削充填材は、例えば酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ジルコニア、酸化鉄、二酸化マンガン、カオリンクレー、モンモリロナイトクレー、および酸化チタンの粒子を含むがこれらに限定されない例示的な研削粒子を含んでいてもよい。さらに、例示的な研削粒子には、炭化ケイ素およびダイヤモンドが含まれてもよいがこれらに限定するものではない。
【0033】
いくつかの例示実施形態では、イソシアネート末端モノマーの使用を回避した単一の混合ステップで、研磨パッド用のウレタンポリマーを製造することが可能である。次に図3を参照すると、上記にて論じたように、本発明の例示的な実施形態によれば、プレポリマーが例えば、高剪断インペラーを使用してオープンエアー容器内で混合される。例示実施形態では、混合プロセス中、インペラーの動作によって大気がミックス中に取り込まれ、回転によって生成された渦に空気を引き入れる。取り込まれた気泡は、フォーミングプロセスのための核生成部位として作用する。水などの発泡剤は、セル成長に関与するCOガスを生成する反応が容易になるように、ミックスに添加されてもよい。このオープンエアーミックス中および液相内にある間、界面活性剤や追加の発泡剤などの他の任意選択の添加剤を、ミックスに添加してもよい。コーティング粒子は、この液相中に添加され混合されてもよい。さらに、プレポリマーを、4,4’−メチレン−ビス−o−クロロアニリン[MBCAまたはMOCA]などのフォーム形成剤と反応させてもよい。MOCAは、重合および鎖延長を開始して、ミックスの粘度を素早く増大させてもよい。いくつかの例示実施形態では、MOCAの添加後に約1〜2分の短時間ウィンドウがあり、その間はミックスの粘度が低いままであり、これを「低粘度ウィンドウ」と呼ぶ。ミックスは、このウィンドウ中に金型に注いでもよい。1つの例示実施形態では、注いだ直後にウィンドウが通過し、既存の細孔が所定位置で効果的に凍結するようになる。細孔の動きは本質的に終了しているが、細孔の成長は続いており、例えばCOは重合反応から生成され続ける。1つの例示実施形態では、次いで、例えば115℃で6から12時間、金型を炉内硬化して、重合反応を実質的に終了させる。
【0034】
炉内硬化後、1つの例示実施形態では、金型を炉から取り出し、冷ます。この時点で、硬化した金型(粒子なしで形成されたもの)を粒子に破壊し、後続のパッド形成プロセスで使用してもよい。硬化した金型がコーティング粒子を含有する場合は、スカイバーを使用してスライスしてもよい。1つの例示実施形態では、スライスを円形パッドもしくは長方形のパッドまたは任意の他の所望の形状のパッドに作製してもよい。例えばスライスは、パンチもしくは切断ツールまたは任意の他の適切な器具を用いることにより、成形されるよう切断することによって作製されてもよい。いくつかの例示実施形態では、接着剤を、パッドの片面に付着させてもよい。いくつかの例示実施形態では、パッド表面に、例えば望む場合には、クロスハッチが付けられたパターン(または、任意の他の適切なパターン)などのパターンとして研磨表面に溝を付けてもよい。いくつかの例示実施形態では、その時点で、パッドはほぼ使用できる状態になる。
【0035】
また、本発明の例示的な実施形態では、溝の幾何形状または形状は、四角形のトラフ、丸みの付いたトラフ、および三角形のトラフの少なくとも1つを含んでいてもよい。開示された特定の実施形態に加え、研磨パッド表面に対する様々な幾何形状の数多くの物理的構成が、この開示では企図される。
【0036】
開示される特定の実施形態に加え、単一パッドに適用可能な不溶性フォーム母材中の、可溶性コーティング付き不溶性フォーム粒子の任意の配置構成、組合せ、および/または適用が、互いに積層された複数のパッドに役立てることが可能である。例えば積層されたパッドは、本明細書に開示されるような1つのパッド100、ならびに典型的なパッドを含んでいてもよい。
【0037】
例示的なパッド表面構成に加え、これらのパッドを形成するための方法が本明細書に開示される。本発明の例示的な実施形態では、溝は、ポリマーフォーム研磨パッドに溝を生成することが可能な任意の機械的方法を介して生成することができる。本発明の例示的な実施形態では、溝は、円形ののこ歯、パンチ、針、ドリル、レーザー、エアージェット、ウォータージェット、またはパッドに溝を付けることが可能な任意の他の器具で生成することができる。さらに溝は、多重おさのこ盤ジグ、多重ドリルビットジグ、多重パンチジグ、または多重針ジグによって同時に作製することができる。
【0038】
化学フォーム形成剤
本発明の例示的な実施形態では、研磨パッドは、液相にある間にオープンエアーミックスに適用される化学フォーム形成剤を含むように、化学的に構成されてもよい。本発明の例示的な実施形態では、化学フォーム形成剤は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)または2種以上の炭化水素(HFC)の共沸混合物、例えば1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365);1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、メトキシ−ノナフルオロブタン(HFE−7100)、および2,4−ジメチル,2,2’−アゾビスペンタンニトリルなどのアゾニトリルを含むフリーラジカル開始剤の、少なくとも1種を含む。例示的なフォーム形成剤には、HFC Solkane(登録商標)365mfcおよび134a(Solvay、Hannover、ドイツ)、およびフリーラジカル開始剤Vazo 52(Dupont、Wilmington、DE)が含まれる。当業者なら、開示される特定の実施形態に加え、数多くの化学フォーム形成剤が研磨パッドに組み込まれ得、かつ本開示で企図されることが理解されよう。
【0039】
セル開放剤
本発明の例示的な実施形態では、化学的構成は、液相内での2つのセルの相互作用中にセルの開放を促進させる、セル開放剤を含む。例示的なセル開放剤には、非加水分解性ポリジメチルシロキサン、ポリアルキルエポキシド(polyalkyleoxides)、ジメチルシロキシ、メチルポリエーテルシロキシ、シリコーンコポリマーであって、いくつかの例示的な実施形態ではDabco DC−3043またはDabco DC−3042(Air Products、Allentown、PA)とすることができるシリコーンコポリマーが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0040】
泡の直接導入
いくつかの例示的な実施形態では、化学フォーム形成剤およびセル開放剤に加え、ミックスプロセス中に気泡をミックスに直接導入することが可能であってもよい。例えば、MOCAの添加前またはMOCAの添加後であるが低粘度ウィンドウ内にありまたは任意の他の適切な時点にあるように、ミックスが依然として液体状態にある間、気体インジェクターのアウトプットをオープンエアーミックス内に直接挿入して、通常通りインペラーのみの動作を通して導入される場合よりも多くの泡を注入させることができる。任意選択で、精密濾過を気体インジェクターポンプなどのポンプの出力端に適用して、1〜10ミクロンの直径範囲にあるような非常に小さい泡の形成を促進させてもよい。本発明の別の例示的な実施形態によれば、パッドを形成する方法は、気泡を液相内の空気ミックスに直接導入するステップを含む。気泡を直接導入するこのステップでは、泡のサイズおよび量の選択が行われてもよい。
【0041】
図2を参照すると、1つの例示的な実施形態では、研磨パッド100は、研磨テーブル220、スラリー230、および研磨される物体210を保持するためのプラテン240に接続して使用されてもよい。パッド100は、研磨される物体210に対して移動させてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、下向き圧力をプラテン240に加えてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、プラテン240は、捻っても並進させてもよく、または他の手法で移動させることによって、研磨を容易にしてもよい。いくつかの例示実施形態では、研磨テーブル220を捻っても並進させてもよく、または他の手法で移動させることによって研磨を容易にしてもよい。研磨プロセス中、パッド100をセルフコンディショニングし、その結果、そのように構成されていない伝統的な研磨パッドの場合よりも長い期間にわたって研磨を行うことができるようにしてもよい。1つの例示的な実施形態では、研磨パッドは決して再度コンディショニングされない。
【0042】
図1を参照すると、例示的な実施形態では、これらのコーティング粒子120の埋込みによってコンディショニングの低減を容易に減少させ、またはパッド100のコンディショニングをなくすことができ、その理由は、粒子120が研磨中に露出するにつれ、水溶性コーティング125がそれらの粒子を徐々にパッド表面から剥奪させるようになるからである。別の言い方をすれば、露出した粒子150を取り囲む水溶性コーティング125は溶解し、露出した粒子150をパッドから放出させることができる。この動作は、新しい穴を表面に生成し、最終的にはまだコーティングされている粒子を露出させる。そのようなセルフコンディショニングは、パッドを「レーキ」する必要性を低減させ、パッドがより長く持ち応えるようにすることができる。
【0043】
1つの例示実施形態では、不溶性ポリマーフォーム粒子は、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の表面積の約5%から90%を覆うようにコーティングされる。不溶性ポリマーフォーム粒子のその表面積上の水溶性コーティングの部分的な性質によって、不溶性フォーム母材は、フォーム粒子の不溶性部分との間でインターフェースをとり、例示的な実施形態においてパッド母材とのポリウレタンーポリウレタン結合を得ることによってフォーム粒子を保持し、露出した粒子を取り囲む水溶性コーティングが溶解するときにパッドからのフォーム粒子の放出を遅らせる。
【0044】
1つの例示実施形態において、水溶性コーティングの漸進的な溶解は、粒子と母材との間の結合の強度を徐々に低減させる。したがって、不溶性ポリマーフォーム粒子は、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の不十分なパーセンテージの表面積がコーティングされる場合、粒子と母材との間の結合は、時間と共に十分には低減させられないと考えられ、パッドからの粒子の放出が妨げられる可能性がある。これは、表面での新しい穴の発生を遅らせる可能性がある。一方、不溶性ポリマーフォーム粒子は、前記不溶性ポリマーフォーム粒子の過剰なパーセンテージの表面積がコーティングされる場合、粒子と母材との間の結合は、水溶性コーティングが溶解するにつれて早期にまたは過剰に低減させられ、粒子が早期に放出されると考えられる。これは、パッドの寿命を減らす可能性があり、またはパッドの研磨特性を潜在的に変化させる可能性がある。
【0045】
本明細書における本発明の例示的な実施形態の詳細な記述は、この時点で本発明者らに公知である本発明の様々な例示的な実施形態および最良の態様が開示されることを示す。これらの例示的な実施形態および態様は、当業者が本発明を実施することができるよう十分詳細に記述され、本発明の範囲、適用可能性、または構成をいかなる方法によっても限定するものではない。むしろ以下の開示は、例示的な実施形態および態様と、当業者に公知のまたは明らかな任意の均等な態様または実施形態の、両方の実施を教示するものである。さらに、図に含まれる全ては、例示的な実施形態および態様の非限定的な例示であり、当業者に公知のまたは明らかな任意の均等な態様または実施形態を同様に利用することが可能である。
【0046】
本発明の実施に使用される構造、配置構成、適用例、割合、要素、材料、または成分の他の組合せおよび/または修正は、特に列挙されていないものに加え、本発明の範囲から逸脱することなく変えることができまたは他の方法で特定の環境、製造仕様、設計パラメーター、または他の操作要件に特に適応させることができ、本開示に含まれるものとする。
【0047】
特に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲における単語および文言には、一般に受け入れられる包括的な意味または当業者により使用される通常のかつ慣習的な意味が与えられることは、出願人の意図するところである。これらの意味が異なる場合、本明細書および特許請求の範囲における単語および文言には、最も広範な可能性ある包括的な意味が与えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲における単語および文言には、最も広範な可能性ある意味が与えられるべきである。任意の他の特殊な意味が、任意の単語または文言に関して意図される場合、本明細書は、特殊な意味を明らかに示しかつ定義することになる。
図1
図2
図3