(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド及び荷重検出器の実施形態について、図面を用いてその構成を説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
〔ベッドの全体構成〕
図1は、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1の一例を示す側面図、すなわちベッド用荷重検出器50を組み込んだベッド1の一例の側面図である。
この荷重検出機能付きベッド1は、例えば床面などの設置面B上に設置されたベッド本体1Aを備え、このベッド本体1Aに取り付けられた荷重検出器50によって、ベッド本体1Aに加わる荷重の変化を検出し、このベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出する機能を備えている。
【0044】
なお、以下の説明において、
図1に示すベッド本体1Aの設置面B及び寝床面Tは、水平面(重力方向に対して直交する面)とし、このベッド本体1Aの寝床面T上に利用者Hが仰臥姿勢で就寝している状態において、利用者Hの頭側を「ベッド本体1Aの前側」、利用者Hの足側を「ベッド本体1Aの後側」、利用者Hの右側を「ベッド本体1Aの右側」、利用者Hの左側を「ベッド本体1Aの左側」とする。そして本明細書では、ベッド本体1Aの前後方向(
図1における左右方向)、すなわち利用者Hの頭側と足側を結ぶ方向を、ベッド本体の長さ方向(長手方向)と称することとしている。
【0045】
ベッド本体1Aは、寝床面Tを形成する寝床面形成部100と、ベッド本体1Aを設置すべき設置面B上に位置する下側フレーム5と、寝床面形成部100が下側フレーム5の上方に位置するように、寝床面形成部100と下側フレーム5との間に介在して、寝床面形成部100を支持するとともに、寝床面形成部100を下側フレーム5に対して昇降させる昇降支持機構6とを備えている。
【0046】
ここで、
図1に示す例では、寝床面形成部100は、寝板2と、寝板2を支持する上側フレーム3とによって構成されている。また下側フレーム5には、設置面Bに接する脚部4が設けられている。
【0047】
寝板2は、利用者Hが就寝するのに十分な長さ及び幅を有する矩形状の平板からなる。
【0048】
ベッド本体1Aは、この寝板2の上に例えばマットや敷き布団等を敷設した状態で、その上に利用者Hが在床することが可能となっている。なお、
図1においては、寝板2の上面(寝床面T)に利用者Hが直接仰臥した状態を示している。
【0049】
上側フレーム3は、寝板2の長さ方向(ベッド本体1Aの長さ方向)に延びる左右一対の例えば角パイプ状の互いに平行な枠辺3aと、寝板2の幅方向(ベッド本体1Aの短手方向)に延びる前後一対の例えば角パイプ状の互いに平行な枠辺3bとが全体として矩形枠状に連結されるとともに、寝板2の幅方向(ベッド本体1Aの短手方向)に延びる例えば角パイプ状の枠辺3cが、寝板2の長さ方向(ベッド本体1Aの長手方向)に複数並んだ状態で、それら枠辺3cの両端部がそれぞれ左右一対の枠辺3aとに連結された構造(フレーム構造)を有している。
【0050】
そして、寝板2は、複数の枠辺3cの上に固定した状態で取り付けられている。また、上側フレーム3を構成する前後一対の枠辺3bには、それぞれ鉛直上向きに立設した状態で、頭板7a及び足板7bが取り付けられている。
【0051】
脚部4は、互いに対称な位置関係にあるベッド本体1Aの4隅(前左側、前右側、後左側、後右側)に、それぞれ配置されている。また、これらの脚部4には、それぞれ重量物であるベッド本体1Aの移動を容易にするためのキャスター機構8が設けられている。なお、このキャスター機構8の構成については特に限定されるものではなく、従来公知のものを使用することが可能である。また場合によっては、脚部4がキャスター機構を持たないことも許容される。
【0052】
下側フレーム5は、ベッド本体1Aの長さ方向に延びる左右一対の例えば角パイプ状の枠辺5aと、ベッド本体1Aの短手方向に延びる前後一対の例えば角パイプ状の枠辺5bとが全体として矩形枠状に連結された構造(フレーム構造)を有している。そして、脚部4(キャスター機構8)は、下側フレーム5を構成する左右一対の枠辺5aの両端部にそれぞれ設けられている。
【0053】
前記昇降支持機構6は、前述のように上側フレーム3を含む寝床面形成部100を支持するとともに、下側フレーム5に対して寝床面形成部100を昇降させるためのものであり、る。本実施形態では、昇降支持機構6は、下側フレーム5と上側フレーム3との間に位置して、下側フレーム5に対し上側フレーム3を昇降させ得るように、かつベッド本体1Aの前後方向における水平面に対して上側フレーム3を傾斜させ得るように(すなわち上側フレーム3を含む寝床面形成部100の前側又は後側を上方に起し得るように)構成されている。
【0054】
〔昇降支持機構6の主要部分の具体的構成〕
本実施形態における昇降支持機構6の具体的構成を、
図2〜
図4を参照して詳細に説明する。なお
図2は、上側フレーム3と下側フレーム5、およびその間の昇降支持機構6を、上方から平面的に見た状況を示しており、図の煩雑さを避けるため、上側フレーム3の枠辺3c(
図1参照)は省略している。また
図3は
図2のIII−III線における縦断面図、
図4は、
図2のIV−IV線における縦断面図であって、上側フレーム3を下側フレーム5に対して上昇させた状態で示すものである。
【0055】
昇降支持機構6は、基本的には、下側フレーム5における長さ方向に沿う枠辺5aと平行な垂直面内で、下側フレーム5を含む水平面の位置もしくはその近傍の位置(図示の例では下側フレーム5よりもわずかに下方の水平面位置)から上方に傾斜して延びる二対(合計4本)の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbと、下側フレーム5の左右の枠辺5aの間において枠辺5aに直交する水平面内に沿って配置された、前記傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの下端部を支持するための2本の水平な支持軸62A、62Bと、傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの傾斜角度を変えるための第1および第2の駆動機構63A、63Bとを有している。
【0056】
この昇降支持機構6は、駆動機構63A、63Bによって、支持軸62A、62Bの軸線を中心として傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの傾斜角度を変化させることによって、上側フレーム3を昇降させ、かつそれに伴って、前記二対の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbのうち、一対の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端を支持する支持軸62Bの位置を、枠辺5aの長さ方向に移動させるように構成されている。
【0057】
ここで、左右一対の傾斜可動アーム61Aa、61Abは、それらの下端部同士が支持軸62Aによって連結されているばかりでなく、長さ方向の中間部分同士が第1の中間連結軸65Aによって連結され、さらに上端近くの部分が第1の上部連結軸66Aによって連結されている。このような連結構造によって、傾斜可動アーム61Aa、61Ab、支持軸62A、中間連結軸65A、および上部連結軸66Aは、ベッド本体1Aの前方もしくは後方から見て全体として矩形状をなす枠体を構成している。
【0058】
また左右一対の傾斜可動アーム61Ba、61Bbは、それらの下端部同士が支持軸62Bによって連結されているばかりでなく、長さ方向の中間部分同士が第2の中間連結軸65Bによって連結され、さらに上端近くの部分が第2の上部連結軸66Bによって連結されている。このような連結構造によって、傾斜可動アーム61Ba、61Bb、支持軸62B、中間連結軸65B、および上部連結軸66Bも、ベッド本体1Aの前方もしくは後方から見て全体として矩形状をなす枠体を構成している。
【0059】
これらの支持軸62A、62B、第1、第2の中間連結軸65A、65B、および第1、第2の上部連結軸66A、66Bに関連する詳細な構成については、後に改めて説明する。
【0060】
2本の水平な支持軸62A、62Bのうち、一方の支持軸62Aは、枠辺5aにおける長さ方向(ベッド本体1Aの前後方向)の中央よりも、ベッド本体1Aの前側(利用者Hの頭側)に近い側の位置に、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に沿いかつ水平となるように左右の枠辺5aの間に配置されて、その支持軸62Aの両端部分62Aa、62Abの間における当該両端部分62Aa、62Abの近くの位置において、一対の傾斜可動アーム61Aa、61Abの下端部が固定されている。したがって一対の傾斜可動アーム61Aa、61Abは、それぞれ枠辺5aにおける長さ方向(ベッド本体1Aの前後方向)の中央よりも、ベッド本体1Aの前側(利用者Hの頭側)に近い側の位置に、左右対称に配置されていることになる。そしてこれらの傾斜可動アーム61Aa、61Abは、垂直面内において下部よりも上部が後方(ベッド本体1Aの後側)に位置するように傾斜している。その傾斜可動アーム61Aa、61Abにおける、水平面(下側フレーム5と平行な面)からの立ち上がり傾斜角度をθAとする。
【0061】
また支持軸62Bは、枠辺5aにおける長さ方向(ベッド本体1Aの前後方向)の中央よりも、ベッド本体1Aの後側(利用者Hの足側)に近い側の位置に、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に沿いかつ水平となるように、左右の枠辺5aの間に配設されて、その支持軸62Bの両端部分62Ba、62Bbの間における当該両端部分62Ba、62Bbの近くの位置において、一対の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端部が固定されている。したがって一対の傾斜可動アーム61Ba、61Bbは、それぞれ枠辺5aにおける長さ方向(ベッド本体1Aの前後方向)の中央よりも、ベッド本体1Aの後側(利用者Hの足側)に近い側の位置に、左右対称に設けられていて、これらの傾斜可動アーム61Ba、61Bbは、垂直面内において下部よりも上部が前方(ベッド本体1Aの前側)に位置するように傾斜している。その傾斜可動アーム61Ba、61Bbにおける、水平面(下側フレーム5と平行な面)からの立ち上がり傾斜角度をθBとする。
【0062】
なお以下の説明において、二対の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbのうち、ベッド本体1Aの前側寄りに位置する一対の傾斜可動アーム61Aa、61Abと、ベッド本体1Aの後側寄りに位置する一対の傾斜可動アーム61Ba、61Bbとを区別して説明する場合には、前側寄りの傾斜可動アーム61Aa、61Abを第1の傾斜可動アームと称し、後側寄りの傾斜可動アーム61Ba、61Bbを第1の傾斜可動アームと称することとする。また同様に2本の支持軸62A、62Bを区別する必要がある場合は、これらの支持軸のうち、前側寄りの支持軸62Aを第1の支持軸、後側寄りの支持軸62Bを第2の支持軸と称することとする。
【0063】
また支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbは。各支持軸62A、62Bの中心軸線(回転軸線)を中心として、各支持軸62A、62Bに対して相対的に自由に回転可能な転動体41を設けた構成とすることが望ましい。この場合、各転動体41は、その外周面を、各支持軸62A、62Bの中心軸線を基準とする円筒面としたものとすることが望ましい。
【0064】
上述のような昇降支持機構6における各支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41)と各枠辺5aとの間には、後に改めて詳細に説明するように、それぞれ荷重検出器50のロードセル51A、51Bが介在している。
【0065】
ここで、第1および第2の支持軸62A、62Bのうち、ベッド本体1Aの前側寄りに位置する一対の第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abを支持する第1の支持軸62Aは、後述する阻止部材54(
図13〜
図15参照)によって、その位置(枠辺5aにおける長さ方向の位置)が実質的に移動しないように規制されており、かつ枠辺5aに対して軸中心に回転可能とされている。すなわち、ベッド本体1Aの前側寄りに位置する第1の支持軸62Aは、その両端部分62Aa、62Ab(転動体41)と枠辺5aとの間に介在するロードセル51Aによって軸中心に回転可能に支持されるとともに、阻止部材54によって枠辺5aにおける長さ方向の位置の変動が阻止されている。
【0066】
一方、ベッド本体1Aの後側寄りに位置する一対の第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端を支持する第2の支持軸62Bは、その位置(枠辺5aにおける長さ方向の位置)が枠辺5aの長さ方向に直線移動可能で、かつ枠辺5aに対して軸中心に回転可能とされている。すなわちベッド本体1Aの後側寄りに位置する第2の支持軸62Bは、その両端部分62Ba、62Bb(転動体41)と枠辺5aとの間に介在するロードセル51Bによって、枠辺5aにおける長さ方向に移動可能な状態で、軸中心に回転可能に支持されている。
【0067】
〔昇降支持機構のその他の部分の具体的構成〕
さらに本実施形態の昇降支持機構6におけるその他の構成部材について説明する。
【0068】
ベッド本体1Aの前方寄りに位置する左右一対の第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abの長さ方向(傾斜方向)の中間部分同士は、前述のように第1の中間連結軸65Aによって連結されている。そしてその第1の中間連結軸65Aに、左右一対の上部傾動アーム64Aa、64Abの一端(下端)が回動可能に連結されている。したがって上部傾動アーム64Aa、64Abは、第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abに対して傾動可能とされている。
【0069】
また左右一対の上部傾動アーム64Aa、64Abの他端(上端)部分同士は、第1の上側フレーム中間バー67Aを介して、上側フレーム3の枠辺3aに回動可能に連結されている。すなわち、上側フレーム3の左右の枠辺3aにおける前側の位置に、第1の上側フレーム中間バー67Aが、左右の枠辺3aの間を結ぶように(したがってベッド本体1Aの前後方向に直交するように)固定して設けられ、この第1の上側フレーム中間バー67Aに上部傾動アーム64Aa、64Abの上端が第1の上側フレーム中間バー67Aの軸線を中心として回動可能に取り付けられている。
ここで、ベッド本体1Aの前側の上部傾動アーム64Aは、その下端よりも上端が前側に向くように傾斜している。
【0070】
ベッド本体1Aの後方寄りに位置する左右一対の第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの長さ方向(傾斜方向)の中間部分同士は、前述のように第2の中間連結軸65Bによって連結されている。そしてその第2の中間連結軸65Bに、左右一対の上部傾動アーム64Ba、64Bbの一端(下端)が回動可能に連結されている。したがって上部傾動アーム64Ba、64Bbは、第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbに対して傾動可能とされている。
【0071】
また左右一対の上部傾動アーム64Ba、64Bbの他端(上端)部分同士は、第2の上側フレーム中間バー67Bを介して、上側フレーム3の枠辺3aに回動可能に連結されている。すなわち、上側フレーム3の左右の枠辺3aにおける後方寄りの位置に、第2の上側フレーム中間バー67Bが、左右の枠辺3aの間を結ぶように(したがってベッド本体1Aの前後方向に直交するように)固定して設けられ、この第2の上側フレーム中間バー67Bに上部傾動アーム64Ba、64Bbの上端が第2の上側フレーム中間バー67Bの軸線を中心として回動可能に取り付けられている。
ここで、ベッド本体1Aの後方寄りの上部傾動アーム64Bは、その下端よりも上端が後側に向くように傾斜している。
【0072】
さらに上側フレーム3の左右の枠辺3aにおける前方寄りおよび後方寄りの位置(但し、前述の第1の上側フレーム中間バー67Aと第2の上側フレーム中間バー67Bとの間の位置)には、第3の上側フレーム中間バー68Aおよび第4の上側フレーム中間バー68Bが、左右の枠辺3aの間を結ぶように(したがってベッド本体1Aの前後方向に直交するように)固定して設けられている。そしてこれらの第3の上側フレーム中間バー68Aおよび第4の上側フレーム中間バー68Bの間には、スライドガイド軸69が、固定して掛け渡されている。このスライドガイド軸69は、その軸線方向(長さ方向)がベッド本体1Aの前後方向に沿っている。そしてこのスライドガイド軸69には、第1および第2のスライド部材70A、70Bが、互いに独立に軸線方向に沿って(すなわちベッド本体1Aの前後方向に沿って)摺動可能に取り付けられている。
【0073】
そしてベッド本体1Aにおける前方寄りの左右一対の第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abの上端近くの部分同士を連結する第1の上部連結軸66Aが、第1のスライド部材70Aに、第1の揺動連結バー71Aを介して連結されている。具体的には、第1の揺動連結バー71Aの一端(下端)が第1の上部連結軸66Aに回動可能に取り付けられ、他端(上端)が第1のスライド部材70Aに回動可能に連結されている。したがって第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abは、第1のスライド部材70Aに対して揺動可能となっている。
【0074】
また一方、ベッド本体1Aにおける後方寄りの左右一対の第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの上端近くの部分同士を連結する第2の上部連結軸66Bが、第2のスライド部材70Bに、第2の揺動連結バー71Bを介して連結されている。具体的には、第2の揺動連結バー71Bの一端(下端)が第2の上部連結軸66Bに回動可能に取り付けられ、他端(上端)が第2のスライド部材70Bに回動可能に連結されている。したがって第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbは、第2のスライド部材70Bに対して揺動可能となっている。
【0075】
さらにベッド本体1Aの後方寄りに位置する第4の上側フレーム中間バー68Bには、ベッド本体1Aの前方寄りの第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abを傾動させるための第1の駆動機構63Aとして、第1の進退駆動軸63Aaを直線的に進退させるための第1の進退アクチュエータ63Abが、第1のアクチュエータ揺動支持部材72Aを介して傾動可能に取り付けられている。すなわち第4の上側フレーム中間バー68Bからその下方に第1のアクチュエータ揺動支持部材72Aが垂下され、その第1のアクチュエータ揺動支持部材72Aの下端部に第1の進退アクチュエータ63Abが回動可能に取り付けられている。
【0076】
そして第1の進退アクチュエータ63Abの第1の進退駆動軸63Aaが、ベッド本体1Aの前方に延出されて、その第1の進退駆動軸63Aaの先端部が、第1の駆動連結バー73Aを介して第1のスライド部材70Aに連結されている。すなわち第1のスライド部材70Aからその下方に第1の駆動連結バー73Aが傾動可能に垂下され、その第1の駆動連結バー73Aの下端が、第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abの上端近くの部分同士を連結する第1の上部連結軸66Aに回動可能に連結されている。
【0077】
また一方、ベッド本体1Aの前方寄りに位置する第3の上側フレーム中間バー68Aには、ベッド本体1Aの後方寄りの第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbを傾動させるための第2の駆動機構63Bとして、第2の進退駆動軸63Baを直線的に進退させるための第2の進退アクチュエータ63Bbが、第2のアクチュエータ揺動支持部材72Bを介して傾動可能に取り付けられている。すなわち第3の上側フレーム中間バー68Aからその下方に第2のアクチュエータ揺動支持部材72Bが垂下され、その第2のアクチュエータ揺動支持部材72Bの下端部に第2の進退アクチュエータ63Bbが回動可能に取り付けられている。
【0078】
そして第2の進退アクチュエータ63Bbの第2の進退駆動軸63Baが、ベッド本体1Aの後方に延出されて、その第2の進退駆動軸63Baの先端部が、第2の駆動連結バー73Bを介して第2のスライド部材70Bに連結されている。すなわち第2のスライド部材70Bからその下方に第2の駆動連結バー73Bが傾動可能に垂下され、その第2の駆動連結バー73Bの下端が、第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの上端近くの部分同士を連結する第2の上部連結軸66Bに回動可能に連結されている。
【0079】
なおここで、第1の進退アクチュエータ63Abおよび第2の進退アクチュエータ63Bbの具体的構成は特に限定されるものではなく、直接的に直線運動を生起する油圧シリンダや直動モータ、あるいは通常の回転電動モータに回転/直線変換機構を組合わせたものなど、任意のものを使用することができる。
【0080】
〔昇降支持機構による昇降動作〕
以上のような本実施形態における昇降支持機構6の動作について、主に
図5、
図6を参照しながら、次に説明する。なお
図5は、
図4と実質的に同じ位置の縦断面について、上側フレーム3を昇降させる際の模式図である。また
図6は、同様な縦断面について、上側フレーム3を傾斜させる際の模式図である。
【0081】
先ず
図5を参照して、寝床面形成部100の上側フレーム3を水平に維持したまま、上側フレーム3を昇降させる場合について説明する。
図5の実線で示しているように上側フレーム3が下降位置にある状態から、上側フレーム3を上昇させるにあたっては、第1の駆動機構63Aの第1の進退アクチュエータ63Abを作動させて第1の進退駆動軸63Aaを進出させると同時に、第2の駆動機構63Bの第2の進退アクチュエータ63Bbを作動させて第2の進退駆動軸63Baを進出させる。このとき、第1の進退駆動軸63Aaと第2の進退駆動軸63Baの進出速度、進出距離は、等速、等距離とすることが望ましい。
【0082】
上記の第1の進退駆動軸63Aaの進出によって、第1の駆動連結バー73Aおよび第1の上部連結軸66Aを介し、ベッド本体1Aの前方寄りの第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の上端側がベッド本体1Aの前方に向かって押されて、下側フレーム5に対する第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の傾斜角度(開き角度)θAが大きくなる方向に、第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)が傾動する。
【0083】
ここで、第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の中間部分は、第1の中間連結軸65A、上部傾動アーム64Aa(64Ab)、および第1の上側フレーム中間バー67Aを介して上側フレーム3の枠辺3aに連結されており、しかも上側フレーム中間バー67Aは枠辺3aに固定されているため、上述のような開き角度θAが大きくなる方向への第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の傾動によって上部傾動アーム64Aa(64Ab)が上側フレーム3を押し上げることになる。
【0084】
また同時に、第2の進退駆動軸63Baの進出によって、第2の駆動連結バー73Bおよび第2の上部連結軸66Bを介し、ベッド本体1Aの後方寄りの第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の上端側がベッド本体1Aの後方に向かって押されて、下側フレーム5に対する第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の傾斜角度(開き角度)θBが大きくなる方向に、第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)が傾動する。
【0085】
ここで、第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の中間部分は、第2の中間連結軸65B、上部傾動アーム64Ba(64Bb)、および第2の上側フレーム中間バー67Bを介して上側フレーム3の枠辺3aに連結されており、しかも上側フレーム中間バー67Bは枠辺3aに固定されているため、上述のような開き角度θBが大きくなる方向への第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の傾動によって上部傾動アーム64Ba(64Bb)が上側フレーム3を押し上げることになる。
【0086】
ここで、傾斜可動アーム61Aa(61Ab);61Ba(61Bb)の上端近くの部分は、第1、第2の上部連結軸66A、66Bおよび第1、第2の揺動連結バー71A、71Bを介して、それぞれ第1、第2のスライド部材70A、70Bに連結されているため、第1、第2のスライド部材70A、70Bが、スライドガイド軸69にガイドされながら相互に離隔する方向に直線移動する。スライドガイド軸69の両端は、上側フレーム3の枠辺3aと平行となるように、第3、第4の上側フレーム中間バー68A、68Bを介して上側フレーム3に固定されているから、第1、第2のスライド部材70A、70Bは、上側フレーム3の枠辺3aと平行な方向に案内されながら移動することになる。そして各スライド部材70A、70Bは、第1、第2の駆動連結バー73A、73Bおよび第1、第2の上部連結軸66A、66Bを介して各傾斜可動アーム61Aa(61Ab);61Ba(61Bb)の上端近くの部分に連結されているため、各傾斜可動アーム61Aa(61Ab);61Ba(61Bb)の傾動時における、傾斜可動アーム61Aa(61Ab);61Ba(61Bb)の上端近くの部分(上部連結軸66A、66Bの部分)の移動軌跡が、スライドガイド軸69の長さ方向、すなわち上側フレーム3の枠辺3aの長さ方向に沿うことになる。その結果、上側フレーム3は、水平な姿勢を保ちながら、上昇することになる。
【0087】
ここで、ベッド本体1Aの前方拠りの第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の下端部を支持する第1の支持軸62Aは、ロードセル51Aを介して下側フレーム5の枠辺5aに対して回動可能とはされているが、その位置(枠辺5aの長さ方向の位置)は固定されている。一方、ベッド本体1Aの後方拠りの第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の下端部を支持する第2の支持軸62Bは、ロードセル51Bを介して下側フレーム5の枠辺5aに対して回動可能であって、しかも枠辺5aの長さ方向に移動可能とされている。そのため、たとえば前後の進退駆動軸63Aa、63Baの進出速度が完全に一致していなかったり、その進出開始のタイミングが若干ずれていたり、さらには昇降支持機構6内における各可動部材の寸法などに加工上の若干の誤差があったりした場合であっても、ベッド本体1Aの後方拠りの第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端部を支持する第2の支持軸62Bが前後方向に若干動くことによって、それらの動作上のずれや誤差を吸収して、上側フレーム3を、水平状態を保ったまま円滑に上昇させることができる。
【0088】
〔昇降支持機構による傾斜動作〕
次に寝床面形成部100を、水平状態から傾斜させる場合、すなわち上側フレーム3の後側(足側)を、前側(頭側)に対して相対的に下方に傾けるか、または逆にすなわち上側フレーム3の前側(頭側)を、後側(足側)に対して相対的に下方に傾ける場合の、昇降支持機構6の動作について、
図6を参照して説明する。
【0089】
図6は、
図5の実線で示した状態(寝床面形成部100の上側フレーム3が上昇位置において水平となっている状態)から、上側フレーム3の後側(足側)を下げて、後側(足側)が前側(頭側)より低くなるように傾斜させた状態を示す。
【0090】
ここで、上述のように上側フレーム3後側(足側)を下げるためには、第2の駆動機構63Bの第2の進退アクチュエータ63Bbを上昇時とは逆方向に作動させて、第2の進退駆動軸63Baを後退させる。また、第1の駆動機構63Aの第1の進退アクチュエータ63Abは非作動状態を維持させる。
【0091】
このように第2の進退駆動軸63Baを後退させることによって、第2の駆動連結バー73Bおよび第2の上部連結軸66Bを介し、ベッド本体1Aの後方寄りの第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の上端側がベッド本体1Aの前方に向かって引かれて、下側フレーム5に対する第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の傾斜角度(開き角度)θBが小さくなる方向に第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)が傾動する。そして第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の中間部分は、第2の中間連結軸65B、上部傾動アーム64Ba(64Bb)、および第2の上側フレーム中間バー67Bを介して上側フレーム3の枠辺3aに連結されており、しかも上側フレーム中間バー67Bは枠辺3aの後方に固定されているため、上述のような開き角度θBが小さくなる方向の第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の傾動によって上部傾動アーム64Ba(64Bb)が上側フレーム3の後方側を引き下げることになる。
【0092】
なお、第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)の上端近くの部分は、第2の上部連結軸66Bおよび第2の揺動連結バー71Bを介して第2のスライド部材70Bに連結されているため、第2のスライド部材70Bはスライドガイド軸69にガイドされながら、上側フレーム3の枠辺3aと平行にベッド本体の前方に直線移動する。また、ベッド本体の後方寄りの第1の進退アクチュエータ63Abは非作動状態を保つため、前方寄りの第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)に対しては、第1の進退アクチュエータ63Abから傾動方向への力は与えられないが、前述のように第2の進退アクチュエータ63Bbによって上側フレーム3の後方側が引き下げられて傾斜するに伴い、前方寄りの第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)も、傾斜角度θAが小さくなる方向に傾動する。
【0093】
上述のようにして、第2の駆動機構63Bの第2の進退アクチュエータ63Bbを、上昇時とは逆方向に作動させて、第2の進退駆動軸63Baを後退させることによって、上側フレーム3の後側(足側)を引き下げて、足側が下方に傾斜した状態とすることができる。
【0094】
なお初期状態によっては、第2の進退アクチュエータ63Bbは非作動状態を維持したまま、第1の進退アクチュエータ63Abを上昇時と同方向に作動させ、第1の進退駆動軸63Aaを前進させることによって、上側フレーム3の前側(頭側)を持ち上げることによっても、足側が頭側に対し相対的に下方に傾斜した状態とすることができる。
【0095】
また上述とは逆に、上側フレーム3の前側(頭側)を下げるためには、第2の駆動機構63Bの第2の進退アクチュエータ63Bbは非作動状態を維持したまま、第1の駆動機構63Aの第1の進退アクチュエータ63Abを上昇時とは逆方向に作動させて、第1の進退駆動軸63Aaを後退させればよい。その場合については特に図示しないが、ベッド本体1Aの前方寄りの第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の上端側がベッド本体1Aの後方に向かって引かれて、下側フレーム5に対する第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の傾斜角度(開き角度)θAが小さくなる方向に第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)が傾動する。このような開き角度θAが小さくなる方向の第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の傾動によって、上部傾動アーム64Aa(64Ab)が上側フレーム3の前方側を引き下げ、上側フレーム3をその前側が後側より下方に傾斜した状態とすることができる。
【0096】
なお初期状態によっては、第1の進退アクチュエータ63Abは非作動状態を維持したまま、第2の進退アクチュエータ63Bbを上昇時と同方向に作動させて、第2の進退駆動軸63Baを前進させることによって、上側フレーム3の後側(頭側)を持ち上げることによっても、頭側が足側に対し相対的に下方に傾斜した状態とすることができる。
【0097】
ここで、上述のように前側の第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)を駆動するための第1の進退アクチュエータ63Abと、後側の第2の傾斜可動アーム61Ba(61Bb)を駆動するための第2の進退アクチュエータ63Bbとのうち、いずれか一方を非作動としたまま、他方を作動させることによって、上側フレーム3を傾斜させる際には、前側の第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)の下端部を支持する第1の支持軸62Aと、後側の第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端部を支持する第2の支持軸62Bと間の距離が変動する。ここで、本実施形態では、前側の第1の支持軸62Aは下側フレーム5の枠辺5aに対して前後方向に移動しないように支持している一方、後側の第2の支持軸62Bは下側フレーム5の枠辺5aに対して前後方向に移動可能に支持しているため、傾斜動作時には後側の第2の支持軸62Bが前後方向に移動して、円滑に傾斜動作を行うことができる。
【0098】
〔昇降支持機構による動作のまとめ〕
以上のように本実施形態の昇降支持機構6を用いることによって、寝床面形成部100の寝板2を上側フレーム3とともに昇降動作させて、寝板2の高さを調整することが可能であり、また寝床面形成部100の寝板2を上側フレーム3とともに傾斜させることが可能となっている。
【0099】
〔荷重検出器・ロードセル〕
上述のような昇降支持機構6における傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbおよびそれらの下端部の支持軸62A、62Bには、寝板2からの荷重が加わっていることになる。そこで本実施形態では、
図7にも示しているように、前方寄りの第1の支持軸62Aの両端部分62Aa、62Ab(転動体41)と下側フレーム5の枠辺5aとの間に、荷重検出器50のロードセル51Aをそれぞれ介在させ、また後方寄りの第2の支持軸62Bの両端部分62Ba、62Bb(転動体41)と下側フレーム5の枠辺5aとの間に、同じく荷重検出器50のロードセル51Bを介在させて、これらのロードセル51A、51Bによって、寝板2からの荷重をベッド本体1Aの4隅近くの箇所(合計4箇所)で検出するように構成している。なお、前方寄りのロードセル51Aおよび後方寄りのロードセル51Bは、本実施形態では、後に改めて説明するように、ロードセル自体の構成としては同じ構成としているが、説明の便宜上、別の符号(51A、51B)を付している。
【0100】
前記荷重検出器50は、荷重が加わったときに発生する歪みを検出するロードセル51A、51Bのほか、本実施形態においては、
図1に示しているように、各ロードセル51A、51Bから出力された歪み信号に基づいて荷重を計測し、さらにその荷重信号から、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算する演算部59Aと、演算部59Aで演算した結果を遠隔に送信する送信部59Bと、送信部59Bから送信された信号を受信する受信部59Cとを備えている。
【0101】
なお、ロードセル51A、51Bと演算部59Aとの間、及び、演算部59Aと送信部59Bとの間は、それぞれ配線59a、59bによって電気的に接続されている。一方、送信部59Bと受信部59Cとの間は、電波や光信号によって送受信が可能となっている。
【0102】
〔ロードセルの取り付け及び支持軸支持状態〕
以下に荷重検出器50のロードセル51A、51Bの取り付け状態、及びそのロードセルが各支持軸を支持する状態の各例について、
図8〜
図55を参照して説明する。
【0103】
本実施形態における二対のロードセル51A、51Bのうち、ベッド本体1Aの前方寄りの一対のロードセル51Aは、それぞれベッド本体1Aの前方寄りの一対の第1の傾斜可動アーム61Aa、61Abの下端部が取り付けられた第1の支持軸62Aの両端部分62Aa、62Abと下側フレーム5の一対の枠辺5aとの間に介在して、その両端部分62Aa、62Ab(転動体41)を受け、第1の支持軸62Aを軸中心に回転可能に支持するものである。但し、枠辺5aの長さ方向(ベッド本体の前後方向)への第1の支持軸62Aの移動は、枠辺5aに取り付けた阻止部材54(例えば
図13〜
図15参照)によって阻止されるようにしている。
【0104】
このようにベッド本体1Aの前方寄りの一対のロードセル51Aにおいては、枠辺5aの長さ方向(ベッド本体の前後方向)への支持軸62Aの移動は阻止されながら、支持軸62Aが回転可能に支持される。そしてこれらの一対のロードセル51Aは、支持軸62Aの端部(一端部分62Aaもしくは他端部分62Abの転動体41)からの荷重を枠辺5aに伝達しながら、その端部から加えられる荷重による歪みを検出する。
【0105】
一方、ベッド本体1Aの後方寄りの一対のロードセル51Bは、それぞれベッド本体1Aの後方寄りの一対の第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbの下端部が取り付けられた第2の支持軸62Bの両端部分62Ba、62Bb(転動体41)と下側フレーム5の一対の枠辺5aとの間に介在するものである。これらの後方寄りの一対のロードセル51Bは、それぞれ支持軸62Bの両端部分62Ba、62Bb(転動体41)を受けて、その支持軸62Bを、軸中心に回転可能に支持し、しかもその支持軸62Bを、枠辺5aの長さ方向(ベッド本体の前後方向)に支持軸62Bの位置が移動することを許容するものである。すなわち、後方寄りの一対のロードセル51Bの付近には、前方寄りの一対のロードセル51Aとは異なり、前述のような阻止部材は設けられていない。
【0106】
したがってこれらの後方寄りの一対のロードセル51Bにおいては、枠辺5aの長さ方向(ベッド本体の前後方向)に支持軸62Bの位置が移動することを許容しながら、支持軸62Bが軸中心に回転可能に支持されることになる。そして第2の支持軸62Bの端部(一端部分62Baもしくは他端部分62Bbの転動体41)からの荷重を枠辺5aに伝達しながら、その端部から加えられる荷重による歪みを検出する。
【0107】
このように、ベッド本体1Aの前方寄りの一対のロードセル51Aと、後方寄りの一対のロードセル51Bとでは、枠辺5aの長さ方向(ベッド本体の前後方向)への支持軸(62Aもしくは62B)の移動を阻止するかまたは許容するかの点で相違がある。しかしながら、ロードセルとしてそれ自体の構造は同じものを用いても、枠辺および各支持軸との係り合い状態もしくは取り付け状態を変えるだけで、支持軸の移動を阻止するかまたは許容するかを変えることが可能である。
【0108】
そこで本実施形態においては、支持軸の移動を阻止する側(ベッド本体の前側)の一対のロードセル51Aと、支持軸の移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bとして、それ自体の構造は同じものを用いることとしている。このように各ロードセルとして同じ構造のものを用いることによって、異なる構造のロードセルを用意する必要がなくなり、異なる構造のロードセルを用いる場合よりも低コスト化を図ることが可能となる。但し、場合によっては異なる構造のロードセルを用いることも許容される。
【0109】
〔ロードセルの第1の例〕
先ずは、支持軸の移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bの第1の例およびその取り付け状態について、
図8〜
図11を参照して説明する。
なお、左右一対のロードセル51Bおよびその取り付け、支持状況は、ベッド本体の左右で対称であり、そこで
図8〜
図11には、左右一対のロードセル51Bのうちの一方の側(例えば左側)のロードセル51Bについてのみ示している。
【0110】
ここで、
図8〜
図10には、第1の例のロードセル51Bを示し、
図11には、そのロードセル51Bをベッド本体に組み込んだ状態、すなわちロードセル51Bを下側フレーム5の枠辺5aに取り付け、かつそのロードセル51Bが支持軸62Bの一端部分62Baを受けている(支持している)状態を示す。なおここで、下側フレーム5の枠辺5aは、その長さ方向(ベッド本体の前後方向)に対して直交する方向の断面が矩形状をなす角パイプ状に作られており、その側面5aa、5abが、設置面B(
図1参照)に対して垂直であるものとする。
【0111】
ロードセル51Bは、寝床面形成部100の側からの荷重が、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を介して加えられて、その荷重によって歪み変形する基体52と、その基体52の歪を検出する歪みセンサ57(
図8、
図12B参照)とからなる構成とされている。
【0112】
基体52は、基本的には、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。そして上記の作動部52Bに、歪みセンサ57が取り付けられている。
【0113】
ここで基体52は、いわゆる起歪体に相当するものであって、本例の場合は、ロバーバル機構を備えたカンチレバー型(片持ち梁型)の構成が適用されている。
【0114】
具体的には、基体52の受け部52Aは、枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板状をなし、かつその板面が、ベッド本体へ組み込んだ状態で水平となる部分である。この長板状の受け部52Aは、その上面に支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の外周面の一部(転動体41の外周面下部)が接する部分であって、その長板状受け部52Aの長さ方向(枠辺5aの長さ方向;ベッド本体の前後方向)に支持軸62Bの転動体41が転動し得るようになっている。すなわち受け部52は、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を、枠辺5aの長さ方向への移動を許容しつつ、回転可能に支持する部分である。
【0115】
上記の長板状の受け部52Aの幅方向の一方の縁部からは、長板状受け部52Aと一体に連続する垂直な壁部52Dが立ち上がっており、この壁部52Dにおける上部からは、長板状受け部52Aに対して反対の側に、壁部52Dと一体に連続する比較的厚肉の長板状の作動部52Bが水平に延出されている。この厚肉の長板状の作動部52Bは、いわゆるカンチレバー部に相当する部分であって、この作動部52Bには、ロバーバル機構を構成するための孔部58が、長さ方向に沿って(したがって水平方向に沿って)貫通するように形成されている。さらに長板状作動部52Bにおける、例えば上面には、前述の歪みセンサ57として、例えば4つの歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R1、R2、R3、R4が貼着されている。
【0116】
さらにその長板状作動部52Bにおける、前記壁部52Dと反対側の幅方向縁部からは、垂直な壁状をなす取り付け部52Cが、一体に連続して形成されている。この垂直壁状の取り付け部52Cには、水平方向に貫通する複数(図示の例では3個)の取り付け孔52Caが形成されている。これらの取り付け孔52Caは、後述するように例えばボルト53によってロードセル51Bの基体52を下側フレーム5の枠辺5aに取り付けるためのものである。
【0117】
ここで、作動部(カンチレバー部)52Bに形成されている孔部58は、前述のようにロバーバル機構を構成するための部分であり、作動部52Bの変形を局所的に集中させて、その変形歪みを検出しやすくするために形成している。ロバーバル機構としての孔部58の形状は限定されるものではないが、本実施形態においては、
図10に示しているように、長板状の作動部52Bをその長さ方向に貫通した状態で、この作動部52Bの幅方向(水平に延びる方向)に沿って水平に並ぶ一対の丸孔58a、58bと、これら一対の丸孔58a、58bの中心間を結ぶ連結孔58cとを有して構成されている。
【0118】
そして歪みセンサ57としての例えば4つの歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R1、R2、R3、R4は、長板状の作動部52Bの例えば上面の長さ方向の中央位置における、一対の丸孔58a、58bが形成された位置の直上に、それぞれ長板状作動部52Bの幅方向に一対並んで配置されている。
【0119】
これら4つの歪みゲージR1、R2、R3、R4は、4つの抵抗体として、
図12Bに示すようなホイートストンブリッジ回路を構成しており、これらの歪みゲージのうち、R1、R3は圧縮側の歪みゲージ、R2、R4は引張側の歪みゲージに相当する。そしてこのホイートストンブリッジ回路においては、入力電圧V
IN(一定)対して、作動部52Bに生じる歪みの大きさに応じた出力電圧V
OUT(荷重信号)を出力することが可能となっている。
【0120】
なお、本実施形態では、歪みセンサ57のホイートストンブリッジ回路を構成する4つの抵抗体のすべてを歪みゲージ(歪み感受抵抗体)としているが、歪みセンサ57は、少なくとも1個以上の歪みゲージ(歪み感受抵抗体)からなる構成であればよい。その場合、
図12Bに示すホイートストンブリッジ回路を構成する歪みゲージR1、R2、R3、R4のうち、いずれか1〜3個の歪みゲージを、歪み感受性ではない抵抗体のダミー抵抗に置き換えることができる。
【0121】
なお、ロードセル51Bの基体52の材料は特に限定されるものではなく、金属やエンジニアリングプラスチックなどの樹脂を使用することができるが、強度および剛性、耐疲労特性、そのほか軽量性、経済性などの観点からは、アルミ合金や、チタン合金、マグネシウム合金などの軽合金、あるいは鉄や炭素鋼、ステンレス鋼などの金属を用いることが望ましく、また場合によってはABS樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂を使用することができる。
【0122】
以上のようなロードセル51Bは、下側フレーム5の枠辺5aにおけるベッド本体の後方寄りの箇所に取り付けられる。ロードセル51Bを枠辺5aに取り付けた状態を、
図11に示している。そこで、主に
図11を参照しながら、ロードセル51Bの組み込み状況を説明する。
【0123】
ロードセル51Bの基体52は、その取り付け部52Cの内側面52Cbが、下側フレーム5の枠辺5aにおける外側の面(矩形状の下側フレーム5の外側に相当する側面、以下外側面と記す)5aaに面接触し、作動部52Bが枠辺5aの下面よりも下方に位置するように(すなわち枠辺5aの下面と作動部52Bの上面との間に隙間S1が存在するように)配置されている。そして、複数のボルト53によって取り付け部52Cが枠辺5aに固定されている。そして基体52の長板状の受け部52Aが、枠辺5aの下方において矩形状の下側フレーム5の内側に水平に延出している。
【0124】
したがって本例のロードセル51Bにおいては、基体52は、その作動部52の一端側(受け部52Aに連続する側)から他端側(取付け部52Cに連続する側)に向かう方向が、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に沿っている。換言すれば、基体52は、ロバーバル機構を構成するための孔部58が、枠辺5aの長さ方向と平行な方向に貫通するような方向性で配設されていることになる。
【0125】
そして上記の受け部52Aの水平な上面に、傾斜可動アーム61Ba(61Bb)を連結する支持軸62Bの一端部分62Ba(転動体41)が載置されている。
【0126】
一方、支持軸の移動を阻止する側(ベッド本体の前方寄り)の一対のロードセル51Aの一例およびその取り付け状況を
図13〜
図15に示す。このロードセル51Aも、基本的には、第2の支持軸62Bの移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bと同様に、受け部52A、作動部52Bおよび取り付け部52Cを有する基体52と、その作動部52Bに貼着された歪みセンサ57とからなる構成とされている。ロードセル51Aにおけるこれらの基体52および歪みセンサ57の具体的構成は、前述のロードセル51Bと同様であれば良いから、ここではその詳細は省略する。
【0127】
上記のロードセル51Aは、下側フレーム5の枠辺5aにおけるベッド本体の前方寄りの箇所に組み込まれる。すなわちロードセル51Aの基体52は、その取り付け部52Cの内側面52Cbが、下側フレーム5の枠辺5aにおける外側の面(矩形状の下側フレーム5の外側に相当する側面、以下外側面と記す)5aaに面接触し、作動部52Bが枠辺5aの下面よりも下方に位置するように(すなわち枠辺5aの下面と作動部52Bの上面との間に隙間S1が存在するように)配置されている。そして、複数のボルトによって取り付け部52Cが枠辺5aに固定されている。さらに基体52の長板状の受け部52Aが、枠辺5aの下方において矩形状の下側フレーム5の内側に水平に延出している。
【0128】
したがって本例のロードセル51Aにおいては、基体52は、その作動部52の一端側(受け部52Aに連続する側)から他端側(取付け部52Cに連続する側)に向かう方向が、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に沿っている。換言すれば、基体52は、ロバーバル機構を構成するための孔部58が、枠辺5aの長さ方向と平行な方向に貫通するような方向性で配設されていることになる。
【0129】
ここで、枠辺5aにおけるベッド本体の前方寄りの一対のロードセル51Aの上面側には、枠辺5aの長さ方向への第1の支持軸62Aの移動を阻止するための阻止部材54が取り付けられている。この阻止部材54は、例えば、ロードセル51Aの基体52の受け部52Aの上方において、枠辺5aの長さ方向支持軸62Aの一端部分62Aa(転動体41)の外径と同等の(もしくはそれよりわずかに大きい)間隔を置いて位置する板状もしくは棒状の一対の阻止部54A、54Bを有している。これら阻止部54A、54Bは、相互に対向する側の面が、枠辺5aの長さ方向に対して直交する鉛直面に沿った平面とされている。その一対の阻止片54A、54Bの間(相互に対向する鉛直面の間)に、支持軸62Aの一端部分62Aaが挿入される挿入空間54Fが形成されている。
【0130】
これらの点以外の阻止部材54の具体的構成は特に限定されないが、本実施形態の場合、垂直方向に沿う板状の一対の阻止部54A、54Bの上端同士を連結部54Cによって一体に連結して、その連結部54Cを下側フレーム5の枠辺5aに向けて延長し、その延長部54Dの先端部分に、枠辺5aの内側の側面(矩形状の下側フレーム5の内側に相当する側面、以下内側面と記す)5abに接する取り付け部54Eを形成し、取り付け部54Eを図示しないボルトなどによって枠辺5aの内側の側面5abに固定する構成とされている。
【0131】
なお阻止部材54は、基体52の受け部52Aに接しないように(すなわち阻止部材54における阻止部54A、54Bの下端面と受け部52Aの上面との間にスペースS2が存在するように)枠辺5aに取り付けられる。したがって阻止部材54は、ロードセル51Aの基体52(特にその受け部52A、さらには作動部52B)からは離れていて、後述するように阻止部材54に支持軸62Aから力が加わっても、その力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。
【0132】
また阻止部材54の上部の連結部54Cと支持軸62Aの一端部分62Aaの外周面の上部との間にはスペースS3が保持されるように、連結部54Cと基体52の受け部52Aとの間の距離が定められている。
【0133】
このような受け部52Aの上面における阻止部材54の一対の阻止部54A、54B間の挿入空間54Fに、第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)を連結する第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)、例えば転動体41の部分が挿入される。そして第1の支持軸62Aは、阻止部54A、54Bにより下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向への移動が阻止された状態で、基体52の受け部52Aの水平な上面に軸中心に回転可能に載置されている。
【0134】
〔荷重検出動作〕
以上のように二対のロードセル51A、51Bを組み込んだベッド本体1Aにおいて、寝板2などの寝床面形成部100からの荷重は、昇降支持機構6の上側フレーム3から、昇降支持機構6内の各部材(主として、第1および第2の上側フレーム中間バー67A、67B、上部傾動アーム64Aa、64Ab;64Ba、64Bb、第1の中間連結軸65Aおよび第2の中間連結軸65B)を経て、4本の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに加わり、さらに支持軸62A、支持軸62Bの各両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41)から、各ロードセル51A、51Bの受け部52Aに加わる。
【0135】
このようにして、支持軸62A、62Bの端部から各ロードセル51A、51Bの受け部52Aに荷重が加わったときの状況を、
図12Aに模式的に示す。なおこの
図12Aは、合計4箇所のロードセル51A、51Bのうち、ベッド本体の後方寄りの傾斜可動アーム61Ba、61Bbを連結支持している支持軸62Bの一端部分(傾斜可動アーム61Ba側の端部)62Baから、ロードセル51Bの受け部52Aに荷重Gが加わった状況を示している。なお
図12Aにおいて、実線は荷重Gが加えられる前の状況を示し、鎖線は荷重Gが加えられた際の状況を示す。
【0136】
図12Aに示しているように、主として傾斜可動アーム61Baを経て支持軸62Bの一端部分62Baからロードセル51Bの受け部52Aに加わった荷重によって、ロードセル51Bの受け部52Aが下方に押し下げられ、それに伴って、壁部52Dを介し受け部52Aに連続している作動部52Bの先端側(受け部52Aに近い側)が下方に押し下げられる。作動部52Bは、その後端側(受け部52Aから離れた側)が、取り付け部52Cを介して下側フレーム5の枠辺5aに固定されているため、先端側が後端側より下がる方向に撓み変形し、歪みが生じることになる。ここで、作動部52Bには、孔部58によってロバーバル機構が形成されているため、その変形が局所的に集中、拡大されて、歪みセンサ57の歪みゲージR1、R2、R3、R4の抵抗が変化し、前述のホイートストンブリッジ回路によって、歪みの大きさに応じた電圧信号(歪み信号)を発生する。
【0137】
具体的には、
図12Aに示すように作動部52Bの上面側に歪みセンサ57の歪みゲージR1、R2、R3、R4(
図12Aでは歪みゲージR1、R2のみが現われている)が貼着されている場合、作動部52Bにおける孔部58の一端側(受け部52Aから離れた側)の丸孔58aに対応する歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R2、R4に引張歪が作用し、孔部58の他端側(受け部52Aに近い側)の丸孔58bに対応する歪みゲージ(歪み感受抵抗体)R1、R3に圧縮歪が作用して、それぞれの抵抗値が変化し、
図12Bに示すホイートストンブリッジ回路から歪みの大きさに応じた電圧信号(歪み信号)が発生される。したがって、支持軸62Bの一端部分62Baからロードセル51Aに加わる荷重の変化に対応する信号が出力される。
【0138】
また、図には示していないが、その他の3箇所のロードセル51A、51Bも、それぞれ支持軸62A、62Bの端部から加わる荷重の変化に対応する信号を出力する。
【0139】
このようにして、そして合計4箇所のロードセル51A、51Bを含む荷重検出器50によって、寝板2などの寝床面形成部100に加わる荷重の変化を検出することができる。
【0140】
ここで、ベッド本体1Aの寝床面T上のベッドの利用者などの位置や、その動きによっては、ベッド本体1Aの寝床面形成部100に偏った荷重が加わることがある。具体的には、ベッド利用者、見舞い客、医療関係者などが寝床面Tの端部に座ったり、寝床面T上に寝ている利用者が寝床面Tの端部側に大きく寝返りを打ったり、立ち上がったりして、寝床面形成部100に加わる荷重が大きく偏ってしまうことがある(このような状態を偏荷重状態と称する)。
【0141】
このような偏荷重状態では、4本の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに加わる荷重も均等ではなくなるが、各傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに対応してベッド本体1Aの4隅付近の合計4箇所にロードセル51A、51Bを配設しておくことにより、それぞれの傾斜可動アームに加わる荷重、すなわちベッド本体の4隅付近の各位置に加わる荷重を個別に検出して、どのように荷重が偏った状態であるか、さらにはベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を知ることができる。このような荷重検出信号の具体的な使用法は、後に改めて詳細に説明する。
【0142】
ここで、本実施形態の場合、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbは、各ロードセル51A、51Bの基体52における受け部52Aに対しては、構造的に分離されており、受け部52Aに固定もしくは連続一体化されていない。すなわち、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41)は、各ロードセル51A、51Bの基体52における受け部52Aの上面に回転可能に載置されており、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41)が受け部52Aの上面から離れて上方に移動することは許容される構造となっている。
【0143】
なお、ベッド本体1Aの前方寄りの第1の支持軸62Aの両端部分62Aa、62Abの転動体41は、阻止部材54の一対の阻止部54A、54Bによって挟まれているが、その上方にはスペースS3が存在するため、第1の支持軸62Aの両端部分62Aa、62Abの転動体41が受け部52Aの上面から離れて上方に移動することは許容される。
【0144】
ところで前述のようにベッド本体1Aの寝床面形成部100に偏荷重が加わった時には、ベッド本体1Aにおける荷重が加わっていない側(もしくは荷重が小さい側)が浮き上がってしまうこともある。その場合に、ロードセル51A、51Bの基体52が支持軸62A、62Bから分離されていない(固定もしくは連続一体化している)と仮定すれば、支持軸62A、62Bからロードセル51A、51Bに上向きの力が加わってしまうおそれがある。その場合、上向きの力をロードセル51A、51Bが鉛直方向上向きの荷重(すなわち本来検出するべき鉛直方向下方への荷重に対してマイナスの荷重)として検出してしまって、本来の荷重検出に対する誤差が大きくなってしまうことが懸念される。
【0145】
しかしながら本実施形態の場合、支持軸62A、62Bの両端部分62Ba、62Bb(転動体41の部分)とロードセル51A、51Bの基体52とが上下方向に分離されているため、支持軸62A、62Bに上述のような鉛直方向上向きの荷重(マイナスの荷重)が加わっても、その力は基体52に伝達されず、したがって基体52の作動部(カンチレバー部)52Bが撓むこともないから、鉛直方向下向きの荷重のみを高精度で検出することができる。
【0146】
なおベッド本体1Aの前方寄りの第1の支持軸62Aの移動を阻止するための阻止部材54は、ロードセル51Aの基体52から離れている(特に基体52の受け部52Aに接しない)ため、偏荷重や衝撃などによって第1の支持軸62Aから阻止部材54に鉛直方向下方以外の方向の荷重成分が阻止部材54に加わっても、その荷重成分は基体52の受け部52Aに加えられず、したがってベッド本体1Aの前方寄りの側においても、鉛直方向下向きの荷重のみを高精度で検出することができる。
【0147】
なお、ロードセル51A、51Bにおける基体52の受け部52Aは、支持軸62A、62Bの両端部分62Ba、62Bb、例えば転動体41を回転可能に支持する部分であるから、前述のような上側フレーム3の昇降動作や傾斜動作を円滑に行わせるためには、支持軸62A、62Bが円滑に回動(したがって傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに設けられた転動体41が円滑に回転)し得るように構成しておくことが望ましい。
【0148】
またここで、支持軸62A、62Bの回動に対する受け部52Aの抵抗が大きければ、支持軸62A、62Bから鉛直方向下方から外れた方向の力が、支持軸62A、62Bから受け部52Aに加わるおそれもあり、その場合には、本来の荷重検出の精度が低下してしまうおそれがある。したがって支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbの回動に対する受け部52Aの抵抗はできるだけ小さくすることが望ましい。
【0149】
そのような観点から、前述のように支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbに転動体41を設けることが望ましい。またその場合でも、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbの転動体41と受け部52Aとの間の抵抗はできるだけ小さくすることが望ましい。そのためには、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbの外周面(転動体41の外周面)と受け部52Aの上面とのうちの少なくとも一方を、平滑な面(例えば鏡面)に仕上げておくことが望ましい。また、場合によっては、これらの面の少なくとも一方に、摩擦抵抗を少なくするための表面処理を施したり、低摩擦(固体潤滑性)の膜、例えばフッ素系樹脂コーティングを施しておいても良い。
【0150】
いずれにしても、昇降支持機構6の下端部分(支持軸62A、62B)と、ロードセル51A、51Bにおける基体52の受け部52Aとが分離・独立しており、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41の部分)と基体52の受け部52Aとが上下方向に接触して、鉛直方向下方への荷重成分のみが基体52に加えられるようにしている。そして、ロードセル51A、51Bは、昇降支持機構6の下端部分(支持軸62A、62B)と下側フレーム5(枠辺5a)との間に介在しているが、昇降支持機構6自体の構成および下側フレーム5の構成は、ロードセル51A、51Bを介在させない場合と実質的に同様であれば良い。このことは、荷重検出機能を持たない市販のベッド(ロードセル51A、51Bを設けていないベッド)に対しても、特に設計変更せずに、ロードセル51A、51Bを容易に組み込み、荷重検出機能を容易に付加することができることを意味する。
【0151】
前述のように本実施形態の荷重検出機能付きベッドにおいては、ベッド本体1Aの四隅(前左側、前右側、後左側、後右側)付近に相当する箇所に、それぞれロードセル51A、51Bを組み込み、これらの合計4つのロードセル51A、51Bによって、それぞれベッド本体1Aの四隅付近に加わる荷重の変化を検出することとしている。そして、これら4つのロードセル51A、51Bが検出した荷重信号を演算部59A(
図1参照)へと出力することとしている。そこで次に実際のベッドにおける荷重信号の使用の態様について、再び
図1を参照して以下に説明する。
【0152】
演算部59Aは、ROMやRAM、その他のメモリ、CPU等を有するコンピュータからなり、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算するのに必要なプログラム、数値等が予め格納されている。
【0153】
そして、この演算部59Aでは、上記4つのロードセル51A、51Bから出力された荷重信号に基づいて、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を演算し、その演算結果を送信部59Bに出力する。
【0154】
例えば、この演算部59Aでは、上記4つのロードセル51A、51Bから出力された荷重信号から、これら4つのロードセル51A、51Bに加わる荷重の合計値が予め記憶された閾値よりも大きい場合には、利用者Hがベッド本体1Aの寝床面T上に在床している判断して、その演算結果を送信部59Bに出力する。
【0155】
なお、演算部59Aでは、このような利用者Hの入床(就寝)・離床(起床)以外にも、例えば、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの重心位置の移動距離および/または移動速度から、利用者Hの離床を予知する演算等を行うことも可能である。さらに、利用者Hの体動(例:寝返り等)や姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)などを演算により検出することが可能であり、さらに後述するように、床ずれの発生を予測することも可能である。
【0156】
送信部59Bは、ベッド本体1Aに取り付けられた送信機であり、演算部59Aで演算した結果を遠隔にある受信部59Cへと送信する。一方、受信部59Cでは、送信部59Bから送信された信号を受信する受信機であり、送信部59Bからの信号を受信することによって、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。
【0157】
また、受信部59C側では、ロードセル51A、51Bが検出した検出結果や、演算部59Aによる演算結果を、例えば、図示を省略するモニタに表示したり、プリンタに出力したりすることも可能である。
【0158】
また、演算部59Aによる演算結果から、例えば利用者Hの状態を、必要に応じてその旨を監視者に告知するようにしてもよい。告知方法については、特に限定されるものではなく、例えば、図示を省略するスピーカから警報を発したり、モニタに表示を行ったりすることが可能である。
【0159】
〔荷重検出の応用例〕
以上のような構造を有する荷重検出機能付きベッド1は、例えば、医療施設(例:病院、診療所等)や介護施設、養護施設などにおいて好適に用いられる。
【0160】
本発明では、このような荷重検出機能付きベッド1を使用することによって、例えば、入床(就寝)や、離床(起床)、在床位置、体動(例:寝返り等)、姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)など、利用者Hの状態(在床状況)を遠隔から監視することが可能となる。
【0161】
また、このような荷重検出機能付きベッド1を使用することによって、第3者に監視されているという利用者Hの精神的な負担や、深夜・早朝に限らず利用者Hを常時監視しなければならないという監視者の肉体的・精神的負担を軽減することが可能となる。
【0162】
なお、このような荷重検出機能付きベッド1は、上述した施設に限定して使用されるものではなく、例えば、宿泊施設(例:ホテル、旅館等)、一般家庭(例:自宅介護等)などにおいても利用可能である。すなわち、この荷重検出機能付きベッド1の利用形態については、特に限定されるものではない。
【0163】
また、本発明を適用した荷重検出機能付きベッド1の荷重検出機能を利用した応用例としては、例えば、「床ずれ防止機能」を挙げることができる。具体的には、一定時間(例えば2時間)以上、重心位置がある一定の円より外に移動していない場合、又は、各ロードセル51A、51Bの荷重変化が一定(例えば1kg)以上変化していない場合に、利用者Hに床ずれが生じる可能性があると判断して、監視者に通知するといった機能を付加することが可能である。
【0164】
また、別の応用例として「照明制御機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの重量の有無、重心位置や、重心の移動量、重心の移動速度等を計測することによって、入床又は離床したときに、照明を点灯又は消灯させるといった機能を付加することが可能である。
【0165】
また、別の応用例として「体重管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体重を定期的に(例えば毎日定刻時に)計測することによって、利用者Hの体重管理を行うといった機能を付加することが可能である。
【0166】
また、別の応用例として「空調管理機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体動(寝返り等)を検出することによって、利用者Hの睡眠深度を計測し、利用者の状態に応じて空調を管理するといった機能を付加することが可能である。
【0167】
また、別の応用例として「透析時の体重モニタ機能」を挙げることができる。具体的には、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの体重を計測することによって、透析の開始と終了とを検出するといった機能を付加することが可能である。
【0168】
このように、本発明では、上述した機能に限らず、上記荷重検出機能付きベッド1の荷重検出機能を利用することで、様々な機能を付加することが可能である。
【0169】
また、本発明は、本発明を適用した荷重検出器50がベッド本体1Aに予め組み込まれた荷重検出機能付きベッドであっても、本発明を適用した荷重検出器50をベッド本体1Aに別途組み込むことによって、既存のベッドに荷重検出機能を付加したものであってもよい。
【0170】
すなわち、本発明を適用した荷重検出機能付きベッドは、ベッド本体1Aに予め取り付けられた又は別途取り付けた荷重検出器50によりベッド本体1Aに加わる荷重の変化を測定することで、ベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を検出することが可能となっている。
【0171】
また、本実施形態では、荷重検出器50のロードセル51A、51Bをベッド本体1Aに取り付けることによって、部品点数の増加を抑制しつつ、簡便な構造によって荷重検出機能をベッドに付加することが可能となっている。すなわち、既に述べたように、本実施形態においては、ロードセル51A、51Bの基体52を、昇降支持機構6の下端部分(支持軸62A、62B)と下側フレーム5(枠辺5a)との間に介在させるだけで荷重検出機能を付与することができる。したがって、既存のベッドに安価に荷重検出機能を付加することが可能である。また、ロードセル51A、51Bに故障等が生じた場合でも容易に交換が可能である。さらに、既存のベッドとの違いが少ないため、利用者Hに違和感なくベッドを利用してもらうことが可能である。
【0172】
〔ロードセルの基体の別の例〕
なお、ロードセル51A、51Bは、上記の例のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。そこで以下に、ロードセル51A、51Bについての別の例を説明する。
【0173】
〔ロードセルの第2の例〕
ベッド本体1Aの後方寄り(すなわち支持軸の枠辺長さ方向への移動を許容する側)のロードセル51Bの第2の例の基体52について
図16〜
図18に示し、その第2の例の基体52を、下側フレーム5の枠辺5bに取り付けた状況を、
図19に示す。
【0174】
図16〜
図19に示される第2の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52と同様に、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。但し、第2の例の基体52における作動部52Bは、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52の場合とは異なり、下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向に2分割されて、二つの分割作動部52Ba、52Bbとからなる構成とされている。
【0175】
すなわち作動部52Bは、枠辺5aの長さ方向(したがってベッド本体の前後方向)に間隔を置いて形成された二つの分割作動部52Ba、52Bbからなる構成とされて、両分割作動部52Ba、52Bbの間に空間部52cが形成されており、前記各分割作動部52Ba、52Bbのそれぞれに、歪みセンサ57が取り付けられている。なおこの場合、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の少なくとも先端部分(転動体41の少なくとも一部分)が、分割作動部52Ba、52Bbの空間部52cに挿入されるように構成しておくことが望ましい。
【0176】
なお本例のロードセル51Bの基体52における分割作動部52Ba、52Bbも、それらの一端側(受け部52Aに連続する側)から他端側(取付け部52Cに連続する側)に向かう方向が、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に沿っている。換言すれば、基体52は、ロバーバル機構を構成するための各孔部58が、枠辺5aの長さ方向と平行な方向に貫通するような方向性で配設されている。
【0177】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第2の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第2の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(
図13〜
図15参照)と同様な阻止部材を取り付けたり、あるいは前述の分割作動部52Ba、52Bbの間の空間部52cの幅を狭くして、支持軸62Aの移動を阻止するように構成したりすれば良い。
【0178】
このような第2の例の基体52を用いたロードセル51A、51Bにおいては、枠辺5aの長さ方向における基体52の両端側の部分に、それぞれ歪みセンサ57が取り付けられていることになる。そのため、ベッド本体1Aの寝床面Tに偏った荷重が加わった場合、すなわち偏荷重状態となった場合でも、鉛直方向下向きの荷重の検出精度を向上させることができる。
【0179】
すなわち、既に述べたように、べッド利用者、見舞い客、医療関係者などが寝床面Tの端部に座ったり、寝床面T上に寝ている利用者が寝床面Tの端部側に大きく寝返りを打ったり、立ち上がったりして、寝床面Tに加わる荷重が大きく偏ってしまった場合(偏荷重状態)には、ベッド本体1Aは、わずかながらも全体的にゆがむことがある。その場合、そのゆがみに伴って、支持軸62A、62Bに捩れ(ここで捩れとは、本来の支持軸の中心軸線方向に対して、中心軸線が傾斜してしまうことを意味する)が生じてしまうことがある。このような場合、支持軸62A、62Bの捩れによって、ロードセル51A、51Bにおける基体52の受け部52Aに、傾斜方向の力が加わることになる。これは、本来ロードセル51A、51Bによって検出しようとしている鉛直方向の荷重(力)に対して、異なる方向の力の成分がロードセル51A、51Bの基体52の受け部52Aに加わることを意味する。その結果、正確に鉛直方向への荷重を検出できなくなって、荷重検出精度が低下してしまうおそれがある。
【0180】
しかるに枠辺5aの長さ方向における基体52の両端側の部分に、それぞれ歪みセンサ57を取り付けておけば、それらの二つの歪みセンサ57からの荷重信号を合計もしくは平均することによって、支持軸62A、62Bの捩れなどに起因する余計な方向への力の成分の影響をキャンセルして、より正確に鉛直下向きの荷重を検出することが可能となる。
【0181】
さらに、本例の場合、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の少なくとも先端が、分割作動部52Ba、52Bbの間の空間部52cに挿入されるように構成しておくことによって、枠辺5aの長さ方向への支持軸の移動が許容される側のロードセル51Bについては、分割作動部52Ba、52Bbの互いに対向する側の端面が、支持軸62Bの許容可動範囲を超える過剰な移動に対するストッパ(脱落防止部)として機能し、支持軸62Bが受け部52Aから外れて落下してしまうような事故が生じることを有効に防止することができる。すなわち、分割作動部52Ba、52Bbの互いに対向する側の端面が、例えば後述する
図48に示される脱落防止部31Cと同様な機能を果たすことができる。
【0182】
〔ロードセルの第3の例〕
ベッド本体1Aの後方寄り(すなわち支持軸の枠辺長さ方向への移動を許容する側)のロードセル51Bの第3の例の基体52について
図20〜
図22に示し、その第3の例の基体52を、下側フレーム5の枠辺5aに取り付けた状況を、
図23に示す。
【0183】
図20〜
図23に示される第3の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52と同様に、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。但し、第3の例の基体52における取り付け部52Cは、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52の場合とは異なり、取り付け部52Cが、下側フレーム5の枠辺5aの下面5acに取り付けられる構成としている。すなわち取り付け部52Cの上面が枠辺5aの下面5acに下側から接し、その取り付け部52Cに垂直に取り付け孔52Ccが貫通形成されて、その取り付け孔52Ccに例えばボルト53を挿通させることによって枠辺5aに基体52が固定される。
【0184】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第3の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第3の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(
図13〜
図15参照)と同様な阻止部材を取り付けたりして、支持軸62Aの移動を阻止するように構成したりすれば良い。
【0185】
上述のような第3の例の基体構成では、基体52の小型化、ひいては軽量化、低コスト化を図ることができる。また下側フレーム5の枠辺5aの外側に基体52の一部が突出している場合は、ベッド利用者や医療関係者などが足をその突出部分に引っ掛けたりする事故が発生することが懸念されるが、本例では、枠辺5aの外側に基体52が突出しないため、そのような懸念を解消することができる。
【0186】
〔ロードセルの第4の例〕
ベッド本体1Aの後方寄り(すなわち支持軸の枠辺長さ方向への移動を許容する側)のロードセル51Bの第4の例についての基体52を
図24〜
図26に示し、その第4の例の基体52を、下側フレーム5の枠辺5aに取り付けた状況を、
図27に示す。
【0187】
図24〜
図27に示される第4の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52と同様に、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。但し、第4の例の基体52における取り付け部52Cは、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52の場合とは異なり、取り付け部52Cが、下側フレーム5の枠辺5aの上面5adに取り付けられる構成としている。すなわち取り付け部52Cの下面面が枠辺5aの上面5adに上側から接し、その取り付け部52Cに垂直に取り付け孔52Ccが貫通形成されて、その取り付け部52Cに例えばボルト53を挿通させることによって枠辺5aに基体52が固定される。
【0188】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第4の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第4の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(
図13〜
図15参照)と同様な阻止部材を取り付けたりして、支持軸62Aの移動を阻止するように構成したりすれば良い。
【0189】
上述のような第4の例の構成でも、基体52の小型化、ひいては軽量化、低コスト化を図ることができる。また下側フレーム5の枠辺5aの外側に基体52の一部が突出している場合は、ベッド利用者や医療関係者などが足をその突出部分に引っ掛けたりする事故が発生することが懸念されるが、本例では、枠辺5aの外側に基体52が突出しないため、そのような懸念を解消することができる。
【0190】
〔ロードセルの第5の例〕
ベッド本体1Aの後方寄り(すなわち支持軸の枠辺長さ方向への移動を許容する側)のロードセル51Bの第5の例の基体52について
図28〜
図30に示す。
【0191】
図28〜
図30に示される第5の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52と同様に、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。但し、第5の例の基体52における作動部52Bは、その下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向における長さが受け部52Aの同方向への長さよりも短く、しかも受け部52Aの同方向への中央に対応する位置に形成されている。
【0192】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第5の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第5の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(
図13〜
図15参照)と同様な阻止部材を取り付けたりして、支持軸62Aの移動を阻止するように構成したりすれば良い。
【0193】
上述のような第4の例の構成では、既に述べたような偏荷重状態が生じて、受け部52Aを水平面から傾斜させるような力が受け部52Aに作用した場合、言い換えれば受け部52Aに捩れ方向の力が加わった場合であっても、その捩れは作動部52Bには実質的に伝達されないため、鉛直方向下向きの荷重を、より高精度で検出することができる。また、基体52の小型化、ひいては軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0194】
〔ロードセルの第6の例〕
ベッド本体1Aの後方寄り(すなわち支持軸の枠辺長さ方向への移動を許容する側)のロードセル51Bの第6の例の基体52について
図31〜
図33に示し、その第6の例の基体52を、下側フレーム5の枠辺5bに取り付けた状況を、
図34に示す。
【0195】
図31〜
図34に示される第6の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52と同様に、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとからなる構成とされている。但し、第5の例の基体52は、
図8〜
図11に示した第1の例の基体52とは異なり、全体として板状の部材を略L字状に屈曲させた形状とされている。
【0196】
すなわち下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向に延びる長板状の水平な受け部52Aの幅方向の一方の縁部から、同じく板状の作動部52Bが垂直に立上がり、その板状の作動部52Bの上部の延長上に、長板状の垂直な取り付け部52Cが一体に連続している。さらに作動部52Bは、その中央部に、枠辺5aの長さ方向に沿って長穴状に空間部52Bcが形成されるとともに、両側から中央に向って対称に切り込み部52Bd、52Beが形成されて、幅が狭い二つの区分作動部52Bf、52Bgからなる構成とされている。そして、各区分作動部52Bf、52Bgにおけるいずれかの板面に、それぞれ既に述べたような歪みゲージからなる歪みセンサ57が取り付けられている。
【0197】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第6の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第6の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(
図13〜
図15参照)と同様な阻止部材を取り付けたりして、支持軸62Aの移動を阻止するように構成したりすれば良い。
【0198】
上述のような第6の例の基体52においても、受け部52Aに加わる荷重により、区分作動部52Bf、52Bgが歪み変形して、その歪を二つの歪みセンサ57が検出し、荷重信号として出力することができる。
【0199】
そしてこの第6の例の基体52を用いたロードセル51Bにおいては、
図16〜
図19に示した第2の例の基体52と同様に、枠辺5aの長さ方向における基体52の両端側の部分に、それぞれ歪みセンサ57が取り付けられていることになる。そのため、ベッド本体1Aの寝床面Tに偏った荷重が加わった場合、すなわち偏荷重状態となった場合でも、鉛直方向下向きの荷重の検出精度を向上させることができる。
また基体52の全体が板状に作られているため、基体材料が少なくてすみ、そのため基体のコスト低減、軽量化を図ることができる。
さらに、下側フレーム5の内側への突出長さも少ないため、ベッド本体について大きな設計変更を行うことなく、既存のベッドに基体を容易に組み込むことができる。
【0200】
〔ロードセルの第7の例〕
次に、支持軸の移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bの第7の例およびその取り付け状態について、
図35〜
図38を参照して説明する。
なお、左右一対のロードセル51Bおよびその取り付け、支持状況は、ベッド本体の左右で対称であり、そこで
図35〜
図38には、左右一対のロードセル51Bのうちの一方の側(例えば左側)のロードセル51Bについてのみ示している。
【0201】
図36に示すロードセル51Bは、受け板10と基体52と歪みセンサ57とを有している。
図35には、第7の例のロードセル51Bにおける基体52と、当該基体52に取り付けられた一対の歪みセンサ57、57を示し、
図36〜
図38には、ロードセル51Bをベッド本体に組み込んだ状態、即ちロードセル51Bを下側フレーム5の枠辺5aに取り付け、かつそのロードセル51Bが支持軸62Bの一端部分62Ba(転動体41)を受けている(支持している)状態を示す。
なおここで、下側フレーム5の枠辺5aは、角筒状のパイプによって作られており、その断面は略矩形状をなす。また、枠辺5aは、設置面B(
図1参照)に対して平行に設けられている。
【0202】
図35に示すように、基体52は、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続し、ベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部52Cとから構成されている。また、作動部52Bには、歪みセンサ57、57が取り付けられている。
【0203】
図36〜
図38に示すように、基体52の受け部52Aは、枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板状をなし、当該受け部52A上には、同様に枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板状をなす受け板10が載置されている。さらにこの受け板10上には、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が搭載されている。即ち、受け板10は、基体52の受け部52Aと支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の間、例えば受け部52Aと転動体41との間に介装されている。
【0204】
この受け板10の上方には、保持部材11が取り付けられている。保持部材11は、枠辺5aに固定される鉛直方向に延びる取り付け部11Aと、当該取り付け部11Aの下端から屈曲され水平方向に延びる延出部11Bからなる。この延出部11Bからは、2本の吊下軸12、12が吊り下げられている。吊下軸12は、受け板10の長手方向両端部近傍に設けられた挿通孔10aを遊びを持って挿通し、挿通したその先端に抜け止め13が取り付けられている。
【0205】
ここで基体52は、いわゆる起歪体に相当するものであって、本例の場合も、既に述べた各例と同様に、ロバーバル機構を備えたカンチレバー型(片持ち梁型)の構成が適用されている。
【0206】
基体52の受け部52Aは、枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板状をなし、かつその板面が、ベッド本体へ組み込んだ状態で水平となる。この長板状の受け部52Aは、その上面に、受け板10を介し支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の外周面の一部((転動体41の外周面の下部)が搭載される部分である。
【0207】
受け板10は、基体52の受け部52Aの上面に面接触した状態で載置され、その長板形状の長さ方向(枠辺5aの長さ方向;ベッド本体の前後方向)の上面において支持軸62Bが転動し得るようになっている。即ち支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を、枠辺5aの長さ方向への移動を許容しつつ、回転可能に支持する。
【0208】
上記の長板状の受け部52Aの幅方向の一方の縁部からは、長板状の受け部52Aと一体に連続する垂直な壁部52Dが立ち上がっている。この壁部52Dにおける上部からは、長板状の受け部52Aに対して反対の側に、壁部52Dと一体に連続する比較的厚肉の長板状の作動部52Bが水平に延出されている。この厚肉の長板状の作動部52Bは、いわゆるカンチレバー部に相当する部分であって、この作動部52Bには、ロバーバル機構を構成するための孔部58が、作動部52Bの長さ方向に沿って(したがって枠辺5aの長さ方向と平行な水平方向に沿って)貫通するように形成されている。
この長板状の作動部52Bの上面において、長手方向両端部近傍には、一対の歪みセンサ57、57が貼付されている。それぞれの歪みセンサ57は、4つの歪みゲージR1、R2、R3、R4(歪み感受抵抗体)から構成されている。
【0209】
さらにその長板状の作動部52Bにおける、前記壁部52Dと反対側の幅方向縁部からは、垂直な壁状をなす取り付け部52Cが、一体に連続して形成されている。この垂直壁状の取り付け部52Cには、水平方向に貫通する複数(図示の例では4個)の取り付け孔52Caが形成されている。これらの取り付け孔52Caは、後述するように例えばボルト53によってロードセル51Bの基体52を下側フレーム5の枠辺5aに取り付けるためのものである。
【0210】
第7の例のロードセル51Bは、複数の歪みセンサ57、57を有していて、長板状の作動部52Bの上面両端部近傍にそれぞれ歪みセンサ57、57が取り付けられているが、場合によっては作動部52Bの上面中央に1つの歪みセンサ57を取り付けても良い。
しかしながら、第7の例に示すように、複数の歪みセンサを作動部52Bに取り付ける場合においては、それぞれの歪みセンサ57の出力を合計又は平均化して、全体の出力とすることができる。これにより、ノイズや歪みゲージの個体差による誤差を除去してより正確な計測が可能となる。
【0211】
ロードセル51Bにおいて、基体52の受け部52Aの上面には、受け板10が載置されている。さらにこの受け板10の上面には、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41が、受け板10の長手方向に転動可能に載置されており、一端部分62Ba(62Bb)を介し支持軸62Bからの荷重を、受け部52Aに伝えている。
【0212】
一端部分62Ba(62Bb)の転動体41は、受け板10上を転動可能とするために、その外周が円形状となっているため、受け板10と一端部分62Ba(62Bb)との接触状態は、線接触となっている。これに対して、受け部52Aの上面と受け板10の下面とは、面接触している。したがって、一端部分62Ba(62Bb)から受け板10に対して印加される線状分布の局所的な荷重は、受け板10から受け部52Aに伝わる際には、面状に平均化される。したがって受け部52Aには、その上面上に実質的に均一な荷重が加わることとなり、基体52は、その長手方向において、不均一な変形が生じるおそれが少ない。
【0213】
受け板10が介装されていない場合においては、一端部分62Ba(62Bb)の転動体41から、基体52の受け部52Aに直接線荷重が伝わることとなる。ここで、仮に一端部分62Ba(62Bb)が受け部52Aの長手方向に対して、端部近傍に位置するとすれば、その場合においては、基体52は、当該端部付近が大きく変形し、反対側の端部付近は比較的変形量が小さくなる。この場合、基体52自体が、捻れを生じることになるため、歪みセンサ57、57が、この捻れ成分の歪みを検知して、正確な測定ができなくなるおそれがある。
これに対し、受け板10が、基体52の受け部52Aと支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41との間に介装されることによって、基体52が不均一に変形して捻れることを抑制することができる。
【0214】
図38に示すようにロードセル51Bの基体52は、その取り付け部52Cの側面52Cbを、下側フレーム5の枠辺5aの内側面5ab(矩形状の下側フレーム5の内側に相当する側面)に面接触させ、作動部52B及び受け部52Aが、下側フレーム5の内側に延出するように配置し取り付けられている。
【0215】
同様に、保持部材11は、その取り付け部11Aの側面11Abを、基体52の取り付け部52Cに面接触させ、延出部11Bが下側フレーム5の内側に延出するように配置し取り付けられている。
基体52と保持部材11との連結固定は、基体52の取り付け部52Cに設けられた取り付け孔52Caと、保持部材11の取り付け部11Aに設けられた孔(図示略)とに、ボルト53を挿通し、当該ボルト53を枠辺5aに螺着することによりなされる。
【0216】
保持部材11の延出部11Bは、枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板形状を有する。延出部11Bの長手方向両端部近傍からは、それぞれ吊下軸12が吊り下げられている。これら吊下軸12、12は、延出部11Bの下方において、受け板10の挿通孔10a、10aを挿通する。受け板10は、上述したように、枠辺5aの長さ方向に沿って延びる長板状をなし、当該長手方向両端部に挿通孔10aが形成されている。この挿通孔10aは、前記吊下軸12の軸部12bよりも大径に形成されており、前記吊下軸12を挿通するとその径方向にわずかな遊び14が形成される(
図38参照)。即ち、受け板10は、基体52の受け部52Aに載置され、挿通孔10aと吊下軸12の軸部12bとの間に形成される遊び14の範囲内においてその動きを許容しつつその位置がほぼ一定に保持されている。
【0217】
吊下軸12の先端には、抜け止め13が取り付けられている。この抜け止め13は、受け板10の下面との間に隙間dを形成して配置されている。
ところで、基体52の受け部52Aは、作動部52Bにおける歪み変形によって沈み込む。この沈み込みが基体52の形状及び材質に依存する所定の値(以下、限界沈み込み量とする)を超えると基体52が損傷を受けるおそれがある。より具体的には、基体52が降伏する、又は破損するおそれがある。
【0218】
隙間dは、この限界沈み込み量より狭く形成されている。これによって、基体52に損傷が発生する荷重(以下過荷重とする)が、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)から、受け板10を介し、基体52の受け部52Aに加わった場合に、抜け止め13が受け板10の下面に干渉し、過荷重の一部を吊下軸12によって受けることができる。即ち、基体52の受け部52Aに過荷重が加わることを抑制し、基体52の損傷を回避できる。
【0219】
吊下軸12は、受け板10の長手方向両端部近傍に挿通している。これにより、受け板10上を、一端部分62Ba(62Bb)の転動体41を介して傾動する支持軸62Bの動作範囲を制限することができる。即ち、支持軸62Bが、枠辺5aの長さ方向に沿って転動(移動)し、受け板10の長手方向端部を超えようとしても、前記吊下軸が支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41と干渉し、受け板10から支持軸62Bが滑落することを防ぐことができる。したがって吊下軸12は、第2の支持軸62Bの枠辺長さ方向への許容可動範囲両側に位置して、第2の支持軸62Bが枠辺長さ方向への許容可動範囲を超えて脱落することを防止するための脱落防止機能を兼ねていることになる。言い換えれば、2本の吊下軸12が全体として脱落防止部材を兼ねていることになる。
【0220】
なお、本実施形態において、吊下軸12は頭部12aと軸部12bからなるボルトであり、抜け止め13はこのボルト(吊下軸12)に螺合されたナットである。このように構成することで、基体52の材質及び形状に合わせて、抜け止め13と受け板10の間に形成される隙間dの大きさを適宜調整することができる。また、抜け止め13として、2つのナットを用いてダブルナット機構を形成することによって、振動によって緩みを抑制した構成としても良い。
さらに、吊下軸12として、下方から上方に向けて挿通するボルトを配置し、保持部材11の延出部11Bに当該吊下軸12を螺着しても良い。この場合は、吊下軸12の下端に位置するボルト頭部が抜け止め13として機能する。
【0221】
一方、支持軸の移動を阻止する側(ベッド本体の前方寄り)の一対のロードセル51Aの一例およびその取り付け状況を
図39〜
図41に示す。このロードセル51Aも、基本的には、支持軸62Bの移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bと同様に、受け部52A、作動部52Bおよび取り付け部52Cを有する基体52と、その作動部52Bに貼着された歪みセンサ57とからなる構成とされている。ロードセル51Aにおけるこれらの基体52および歪みセンサ57の具体的構成は、前述のロードセル51Bと同様であれば良いから、ここではその詳細は省略する。
【0222】
支持軸62Aの移動を阻止する側(ベッド本体の前方寄り)の一対のロードセル51Aに対しては、既に説明した、支持軸62Bの移動を許容する側(ベッド本体の後側)の一対のロードセル51Bとは異なり、阻止部材54が対設されている。
【0223】
この阻止部材54は、保持部材11の延出部11Bから下方に延びる一対の阻止部54A、54Bからなる。阻止部54A、54Bは、受け板10の上方において、枠辺5aの長さ方向に支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41の外径と同等(もしくはそれよりわずかに大きい)間隔をおいて配設されており、これら一対の阻止部54A、54Bの間に支持軸62Aの一端部分62Aa(転動体41の部分)が挿入される挿入空間54Fが形成されている。
阻止部材54は、支持軸62Aの移動を阻止することができれば、その構成は具体的には限定されない。本実施形態においては、阻止部材54が、保持部材11の延出部11Bと一体に形成されている。しかしながら、阻止部材54を前記延出部11Bと別体として形成し、ボルト等を介して直接、枠辺5aに固定しても良い。
【0224】
この阻止部材54は、受け板10に接しないように(即ち阻止部材54における阻止部片54A、54Bの下端面と受け板10の上面との間に間隙が存在するように)形成されている。また、阻止部材54は、ロードセル51Aの基体52(特にその受け部52A、さらには作動部52B)に接しないように構成されている。したがって、阻止部材54に支持軸62Aから力が加わっても、その力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。
【0225】
このような受け部52Aの上面における阻止部材54の一対の阻止部54A、54B間の挿入空間54Fに、第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)を連結する第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の転動体41が挿入される。そして第1の支持軸62Aは、阻止部54A、54Bにより下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向への移動が阻止された状態で、基体52の受け部52Aの水平な上面に、転動体41を介して軸中心に回転可能に載置されている。
【0226】
以上のように二対のロードセル51A、51Bを組み込んだベッド本体1Aにおいて、寝板2などの寝床面形成部100からの荷重は、昇降支持機構6の上側フレーム3から、昇降支持機構6内の各部材(主として、第1および第2の上側フレーム中間バー67A、67B、上部傾動アーム64Aa、64Ab;64Ba、64Bb、第1の中間連結軸65Aおよび第2の中間連結軸65B)を経て、4本の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに加わり、さらに支持軸62A、支持軸62Bの各両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbから、各ロードセル51A、51Bの受け部52Aに加わる。
【0227】
このようにして、支持軸62A、62Bの端部から各ロードセル51A、51Bに荷重が加わったときの状況を、
図41に模式的に示す。なおこの
図41は、合計4箇所のロードセル51A、51Bのうち、ベッド本体の後方寄りの傾斜可動アーム61Ba、61Bbを連結支持している支持軸62Bの一端部分(傾斜可動アーム61Ba側の端部)62Baから、受け板10を介しロードセル51Bの受け部52Aに荷重Gが加わった状況を示している。
図41において、実線は荷重Gが加えられる前の状況を示し、二点鎖線は荷重Gが加えられた際の状況を示す。
【0228】
図41に示しているように、主として傾斜可動アーム61Ba、61Bb、支持軸62B、当該支持軸62Bの一端部分62Ba(転動体41)、受け板10を経て、ロードセル51Bの受け部52Aに加わった荷重によって、ロードセル51Bの受け部52Aは下方に押し下げられる。それに伴って、壁部52Dを介し受け部52Aに連続している作動部52Bの先端側(受け部52Aに近い側)が下方に押し下げられる。作動部52Bは、その後端側(受け部52Aから離れた側)が、取り付け部52Cを介して下側フレーム5の枠辺5aに固定されているため、先端側が後端側より下がる方向に撓み変形し、歪みが生じることになる。ここで、作動部52Bには、孔部58によってロバーバル機構が形成されているため、その変形が局所的に集中、拡大されて、歪みセンサ57の歪みゲージR1、R2、R3、R4の抵抗が変化し、前述のホイートストンブリッジ回路によって、歪みの大きさに応じた電圧信号(歪み信号)を発生する。
【0229】
具体的には、
図41に示すように作動部52Bの上面側に歪みセンサ57の歪みゲージR1、R2、R3、R4(
図41では歪みゲージR3、R4のみが現われている)が貼着されている場合、作動部52Bにおける孔部58の一端側(受け部52Aから離れた側)の丸孔58aに対応する歪みゲージR2、R4に引張歪が作用し、孔部58の一端側(受け部52Aに近い側)の丸孔58bに対応する歪みゲージ)R1、R3に圧縮歪が作用して、それぞれの抵抗値が変化し、
図12Bに示すホイートストンブリッジ回路から歪みの大きさに応じた電圧信号(歪み信号)が発生される。したがって、支持軸62Bの一端部分62Baからロードセル51Aに加わる荷重の変化に対応する信号が出力される。
また、図には示していないが、その他の3箇所のロードセル51A、51Bも、それぞれ支持軸62A、62Bの端部から加わる荷重の変化に対応する信号を出力する。
【0230】
このようにして、そして合計4箇所のロードセル51A、51Bを含む荷重検出器50によって、寝板2などの寝床面形成部100に加わる荷重の変化を検出することができる。
【0231】
ここで、ベッド本体1Aの寝床面T上のベッドの利用者などの位置や、その動きによっては、ベッド本体1Aの寝床面形成部100に偏った荷重が加わることがある。具体的には、ベッド利用者、見舞い客、医療関係者などが寝床面Tの端部に座ったり、寝床面T上に寝ている利用者が寝床面Tの端部側に大きく寝返りを打ったり、立ち上がったりして、寝床面形成部100に加わる荷重が大きく偏ってしまうことがある(すなわち偏荷重状態となることがある)。このような偏荷重状態では、4本の傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに加わる荷重も均等ではなくなるが、各傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbに対応してベッド本体1Aの4隅付近の合計4箇所にロードセル51A、51Bを配設しておくことにより、それぞれの傾斜可動アームに加わる荷重、即ちベッド本体の4隅付近の各位置に加わる荷重を個別に検出して、どのように荷重が偏った状態であるか、さらにはベッド本体1Aの寝床面T上における利用者Hの状態を知ることができる。このような荷重検出信号の具体的な使用法は、後に改めて詳細に説明する。
【0232】
ここで、本実施形態の場合、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb、すなわち転動体41の部分は、各ロードセル51A、51Bの基体52における受け部52Aに対しては、構造的に分離されており、受け部52Aに固定もしくは連続一体化されていない。即ち、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbの転動体41は、各ロードセル51A、51Bの基体52における受け部52Aの上面に、受け板10を介して、回転可能に載置されており、したがって支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbは基体52に固定されていない。
【0233】
前述のようにベッド本体1Aの寝床面形成部100に偏荷重が加わった場合において、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbが基体52に固定されていると、支持軸62A、62Bからロードセル51A、51Bに上向きの力が加わってしまうおそれがある。その場合、上向きの力をロードセル51A、51Bが鉛直方向上向きの荷重(即ち本来検出するべき鉛直方向下方への荷重に対してマイナスの荷重)として検出してしまい、本来の荷重検出に対する誤差が大きくなってしまうことが懸念される。
【0234】
しかしながら本実施形態においては、支持軸62A、62Bの両端部分62Ba、62Bb(転動体41の部分)とロードセル51A、51Bの基体52とが上下方向に分離されているため、支持軸62A、62Bに上述のような鉛直方向上向きの荷重(マイナスの荷重)が加わっても、その力は基体52に伝達されず、したがって基体52の作動部(カンチレバー部)52Bが撓むこともないから、鉛直方向下向きの荷重のみを高精度で検出することができる。
【0235】
なおベッド本体1Aの前方寄りの第1の支持軸62Aの移動を阻止するための阻止部材54は、ロードセル51Aの基体52から離れている(特に基体52の受け部52Aに接しない)ため、偏荷重や衝撃などによって第1の支持軸62Aから阻止部材54に鉛直方向下方以外の方向の荷重成分が阻止部材54に加わっても、その荷重成分は基体52の受け部52Aに加えられず、したがってベッド本体1Aの前方寄りの側においても、鉛直方向下向きの荷重のみを高精度で検出することができる。
【0236】
ロードセル51A、51Bにおける受け板10は、支持軸62A、62Bの両端部分62Ba、62Bbを回転可能に支持する部分、すなわち転動体41を受ける部分であるから、前述のような上側フレーム3の昇降動作や傾斜動作を円滑に行わせるためには、支持軸62A、62Bの転動体41が円滑に回転(したがって傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbが円滑に傾動)し得るように構成しておくことが望ましい。
【0237】
またここで、支持軸62A、62Bに対する受け板10の抵抗が大きければ、鉛直方向下方から外れた方向の力が、支持軸62A、62Bから受け板10を介し受け部52Aに加わる懸念があり、その場合には、本来の荷重検出の精度が低下するおそれがある。これらの観点から、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbと受け板10との間の摩擦抵抗はできるだけ小さくすることが望ましい。
【0238】
そのため本実施形態でも、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbは。各支持軸62A、62Bの中心軸線(回転軸線)を中心として、各支持軸62A、62Bに対して相対的に回転可能な転動体41を設けた構成としている。さらにその場合、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbの転動体41の外周面と受け板10の上面とのうちの少なくとも一方を、平滑な面(例えば鏡面)に仕上げておくことが望ましい。また、場合によっては、これらの面の少なくとも一方に、摩擦抵抗を少なくするための表面処理を施したり、低摩擦(固体潤滑性)の膜、例えばフッ素系樹脂コーティングを施しておいても良い。
【0239】
いずれにしても、昇降支持機構6の下端部分(支持軸62A、62B)と、ロードセル51A、51Bにおける基体52の受け部52Aと固定されておらず(即ち、分離・独立しており)、支持軸62A、62Bの両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bbと基体52の受け部52Aとが上下方向に接触して、鉛直方向下方への荷重成分のみが基体52に加えられるようにしている。そして、ロードセル51A、51Bは、昇降支持機構6の下端部分(支持軸62A、62B)と下側フレーム5(枠辺5a)との間に介在しているが、昇降支持機構6自体の構成および下側フレーム5の構成は、ロードセル51A、51Bを介在させない場合と実質的に同様であれば良い。このことは、荷重検出機能を持たない市販のベッド(ロードセル51A、51Bを設けていないベッド)に対しても、特に設計変更せずに、ロードセル51A、51Bを容易に組み込み、荷重検出機能を容易に付加することができることを意味する。
【0240】
〔ロードセルの第8の例〕
次に、ロードセルの第8の例について
図42〜
図46を基に説明する。
図42〜
図46に示すように、第8の例において、ロードセル51A、51Bは、それぞれ2つの基体(第1基体22L、第2基体22R)からなる基体群22を構成する。また、第8の例の基体(第1基体22L、第2基体22R)は、第7の例の基体52と比較して、その受け部22Aの構成が異なる。
なお、第1基体22L及び第2基体22R上述した各例においける基体52と同様の材料を使用することができる。
【0241】
図42には、第8の例のロードセル51Bにおける基体群22と、当該基体群22に取り付けられた一対の歪みセンサ57、57を示し、
図43〜
図45には、ロードセル51Bをベッド本体に組み込んだ状態、即ちロードセル51Bを下側フレーム5の枠辺5aに取り付け、かつそのロードセル51Bが支持軸62Bの一端部分62Baを受けている(支持している)状態を示す。
なお、既に説明した各例と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0242】
図42に示すように、第1基体22Lと第2基体22Rは、前記枠辺5aの長さ方向に沿って所定の間隔で配置されている。第1基体22Lと第2基体22Rは、それぞれ、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を受けて、支持軸62Bからの荷重が作用する受け部22Aと、受け部22Aに一体に連続して受け部22Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部22Bと、その作動部22Bに一体に連続してベッド本体1Aにおける下側フレーム5の枠辺5aに固定される取り付け部22Cとを有する構成とされている。
【0243】
前記受け部22Aは、作動部22Bにおける上面22Baから上方に突出する部分である。すなわち受け部22Aは、前記上面22Baにおける、取り付け部22Cと反対側の端部付近中央から上方に突出して形成されている。この受け部22Aの上面に受け板10が載置され、さらにこの受け板10に支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が搭載され、支持軸62Bからの荷重を、作動部22Bに伝える。
【0244】
このように、受け部22Aを作動部22Bの上面22Baから上方に突出させるように形成することによって、基体(第1基体22L、第2基体22R)を下側フレーム5の内側方向に大きく突出させる必要がなくなる。これにより、よりコンパクトなロードセル51Bを構成することができる。したがって、荷重検出機能を持たない市販のベッド(ロードセル51A、51Bを設けていないベッド)に対して、より容易にロードセル51A、51Bを組み込み、荷重検出機能を付加することができる。
なお、本例においては、
図42に示すように受け部22Aが矩形状に突出している。しかしながらこのような形状に限定されるものではなく、例えば作動部22Bの上面22Baから半球状に突出して形成されていても良い。
【0245】
また、作動部22Bの上面22Baには、歪みセンサ57が取り付けられている。
なお、本例においては、第1基体22Lと第2基体22Rの取り付け部22Cの形状が左右反転して形成されているが、これに限るものではなく、第1基体22Lと第2基体22Rは同形状のものを用いる事ができる。
【0246】
図43〜
図45に示すように、第1基体22L及び第2基体22Rのそれぞれの受け部22A、22Aには、これらを橋渡しするように第7の例と同態様の受け板10が載置されている。さらにこの受け板10上には、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が搭載され、支持軸62Bからの荷重を、受け部22Aに伝える。
【0247】
また、第7の例と同様に、この受け板10の上方には、保持部材11が取り付けられ、当該保持部材11の延出部11Bからは、2本の吊下軸12、12が吊り下げられている。吊下軸12は、受け板10の長手方向両端部近傍に設けられた挿通孔10aを遊びを持って挿通し、挿通したその先端に抜け止め13が取り付けられている。
【0248】
本例に示すロードセル51Bにおいて、基体群22は、それぞれ別体に形成された第1基体22Lと第2基体22Rとからなり、これらの受け部22A、22Aを跨ってブリッジングするように受け板10が載置されている。また、第1基体22L及び第2基体22Rには、それぞれ歪みセンサ57が取り付けられている。
このように構成することにより、一方の基体(例えば第1基体22L)の変形が、他方の基体(例えば第2基体22R)の歪みセンサ57に影響を及ぼすことを完全に抑止できる。
【0249】
基体が別体となっていない場合(例えば上述の第8の例の基体52)においては、たとえ受け板10を介装したとしても、支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の位置に応じて、基体自体の変形(即ち作動部の枠辺5aに対する長さ方向の変形)が不均一となって基体に捻れが発生することを完全に排除することができないおそれがある。そしてこの場合、歪みセンサ57がこの捻れに起因する歪みを検知して、荷重検知精度が低下するおそれがある。
【0250】
しかしながら、本例に示したように、基体群22をそれぞれ別体の第1基体22Lと第2基体22Rとによって構成し、これらにそれぞれ歪みセンサ57、57を取り付けることで、それぞれの歪みセンサ57が取り付けられた基体(第1基体22L、第2基体22R)が独立して変形するため、上述した捻れの影響を完全に排除することができる。
【0251】
第1基体22L及び第2基体22Rの作動部22B、22Bにそれぞれ取り付けられた各歪みセンサ57、57は、その出力を合計又は平均化して、全体の出力とすることができる。これにより、ノイズや歪みゲージの個体差による誤差を除去してより正確な計測が可能となる。
加えて、それぞれの歪みセンサ57の出力を別々に計測しこれらを比較することで、第1基体22Lと第2基体22Rに加わる荷重のバランスを知ることができる。即ち、支持軸62Bの一端部分62Baが受け板10の長手方向に沿ってどの位置に配置されているかを知ることができる。さらに、それぞれの歪みセンサ57の絶対値と、前記荷重バランスとを利用して、寝床面Tの利用者H(
図1参照)の重心の位置を計算することができる。
【0252】
なお、上記のようなベッド本体後方寄り(支持軸直線移動許容側)の第8の例のロードセル51Bと組み合わせて用いる、ベッド本体前方寄り(支持軸直線移動阻止側)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第8の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。さらに、既に述べた阻止部材54(
図39、
図40参照)と同様な阻止部材を取り付けるなどの方法で、支持軸62Aの移動を阻止することができる。
また、
図46に示すように、支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の先端を、第1基体22Lと第2基体22Rの間の空間部22Mに挿入し、支持軸62Aの移動を阻止するように構成しても良い。
【0253】
〔ロードセルの第9の例〕
次に、第2の支持軸62B(移動を許容する側(ベッド本体の後側)の支持軸)の一対のロードセル51Bの第9の例およびその取り付け状態について、
図47〜
図50を参照して説明する。
なお、左右一対のロードセル51Bおよびその取り付け、支持状況は、ベッド本体の左右で対称であり、そこで
図47〜
図50には、左右一対のロードセル51Bのうちの一方の側(例えば左側)のロードセル51Bについてのみ示している。
【0254】
図47には、第9の例のロードセル51Bにおける基体52と、当該基体52に取り付けられた一対の歪みセンサ57を主に示し、
図48〜
図50には、ロードセル51Bをベッド本体に組み込んだ状態、即ちロードセル51Bを下側フレーム5の枠辺5aに取り付け、かつそのロードセル51Bが第2の支持軸62Bの一端部分62Baの転動体41を受けている(支持している)状態を示す。
図48〜
図50に示すロードセル51Bは、台座部材32と基体52と歪みセンサ57と受け部材30とを有する構成とされている。さらに、そのロードセル51Bにおける枠辺5aに対する取り付け位置には、上板部材31が配設されている。
なおここで、下側フレーム5の枠辺5aは、角筒状のパイプによって作られており、その断面は略矩形状をなす。また、枠辺5aは、設置面B(
図1参照)に対して平行に設けられている。
【0255】
図47に示すように、基体52は、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41を受けて、第2の支持軸62Bからの荷重が作用する受け部52Aと、その受け部52Aに一体に連続して、受け部52Aに加わる荷重によって歪み変形する作動部52Bと、その作動部52Bに一体に連続して台座部材32に取り付けられる取り付け部52Cとを有する構成とされている。
【0256】
本例において、基体52の作動部52Bは、その長手方向(受け部52Aに連続する側の端部と取付け部52Cに連続する側の端部とを結ぶ方向)が枠辺5aの長さ方向と一致するよう(
図47中X方向に延びるように)に配置されている。また、基体52は、作動部52Bにロバーバル機構を構成する孔部58が設けられている。作動部52Bの孔部58は、枠辺5aの長さ方向に対し直交する方向(Y方向)に貫通している。
基体52の作動部52B上面には、歪みセンサ57が貼付されている。歪みセンサ57は、4つの歪みゲージR1、R2、R3、R4(歪み感受抵抗体)から構成されており、作動部52Bの歪み変形を検出することができる。
【0257】
受け部材30は、基体52の受け部52Aに取り付けられている。受け部材30は、枠辺5aの長さ方向(
図47中のX方向)に沿って延びる例えば角棒状の剛体からなるブロック材である。また、受け部材30には、鉛直方向に貫通しかつ座グリ部分を有する貫通孔30b形成されている。受け部材30は、この貫通孔30bを通るボルト33により、受け部52Aの取り付け孔52Aaに固定されている。受け部材30の上面には、第2の支持軸62Bの一端部分62Baの転動体41が載置されて転動するための水平(X−Y平面に平行)な載置面30aが形成されている。
【0258】
受け部材30の載置面30aには、第2の支持軸62Bの一端部分62Baの転動体41が載置され、第2の支持軸62Bが、受け部材30の長手方向(X方向)に転動し得るようになっている。即ち、受け部材30は、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)を、枠辺5aの長さ方向への移動を許容しつつ、回転可能に支持することができる。
【0259】
受け部材30の載置面30aに第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(転動体41)が搭載された状態で荷重が加われば、第2の支持軸62Bからの荷重に従って基体52が変形する。基体52は、ロバーバル機構を備えているため、作動部52Bが変形する。この変形量を歪みセンサ57によって検出することで、第2の支持軸62Bからの荷重を測定できる。
受け部材30としては、変形が起こらないように剛性の高い材料を適用することが望ましい。また受け部材30は、載置面30aの長手方向末端付近に第2の支持軸62Bが移動した場合であっても、たわみ変形が起こりにくい横断面形状を有することが望ましい。
なお、受け部材30は、基体52と一体に構成されていていても良い。この場合は受け部材30と基体52の受け部52Aとの境界付近の剛性が高まり、より好ましい。
【0260】
図48〜50に示すように、基体52は、台座部材32に取り付けられている。
台座部材32は、枠辺5aに固定され鉛直方向(
図48〜
図50中のZ方向)に延びる取り付け部32Aと、当該取り付け部32Aの下端から屈曲され水平方向に延びる台座部32B(台座)からなる。台座部32B(台座)の上面32Baには、基体52が固定されている。基体52の取り付け部52Cには、座グリ部分を有しかつ鉛直方向(Z方向)に貫通する取り付け孔52Caが設けられており、基体52は、取り付け孔52Caを介してボルト34により、台座部材32の台座部32Bに固定されている。
【0261】
受け部材30の上方には、上板部材31が取り付けられている。上板部材31は、鉛直方向に延び枠辺5aに固定される取り付け部31Aと、取り付け部31Aの下端から屈曲され水平方向に延びる上板部31B(上板)と、上板部31Bの両側から屈曲されて鉛直下方に延びる一対の脱落防止部31C(脱落防止部材)からなる。
【0262】
上板部31Bは、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41の上方に隙間を介し配置され、枠辺5aの長さ方向(X方向)に延在している。第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41は、受け部材30と上板部31Bの間に介在し、枠辺5aの長さ方向(X方向)に移動できる。
また、
図50に示すように、本例の第2の支持軸62Bは、一端部分62Ba(62Bb)の転動体41の外径よりも径が大きく形成された大径部62Bcを有している。大径部62Bcは、第2の支持軸62Bの両端部62Ba、62Bbの間(二つの転動体41の間)に形成されている。上板部31Bの縁部と、大径部62BcはY方向(支持軸62Bの延在方向)の隙間35を介し隣接している。
【0263】
第2の支持軸62Bが大径部62Bcを有し、大径部62Bcと上板部31Bが隙間35を介し隣接して配置されていることによって、第2の支持軸62Bの一端部分62Baが受け部材30に対して蛇行して移動しようとした場合に、大径部が上板部31Bに干渉する。これにより、一端部分62Ba(62Bb)が蛇行移動することを抑制できる。したがって、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が受け部材30から脱輪することを防ぐことができる。
大径部62Bと上板部31Bの間のY方向の隙間35は、0.5mm以上5mm以下とされることが好ましい。このように構成することで、第2の支持軸62Bをスムーズに動作させつつ蛇行移動を効果的に抑制できる。
【0264】
また、上板部31Bは、第2の支持軸62Bの一端部分62Baが、その移動領域の上方から飛び出し脱輪することを防ぐ役割も果たす。例えば、
図1に示す利用者Hがベッド1の寝床面Tの隅に座している場合、寝床面Tに局所的な応力が加わる。このとき、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(又は一端部分62Bb)が浮き上がる虞がある。上板部31Bが設けられていることによって、一端部分62Ba(62Bb)が浮き上がったとしても、上板部31Bに干渉するため、一端部分62Ba(62Bb)が脱輪することがない。
【0265】
上板部材31には、上板部31Bの長手方向(X方向)両端が鉛直下方に折曲され形成された脱落防止部31Cが設けられている。脱落防止部31Cは、受け部材30の載置面30a上を転動する第2の支持軸62Bの動作範囲を制限し、載置面30a上から脱落することを防止する。即ち、第2の支持軸62Bが、枠辺5aの長さ方向に沿って転動(移動)し、受け部材30の長手方向端部を超えようとしても、脱落防止部31Cが第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41と干渉し脱落を防ぐ。
【0266】
脱落防止部31Cは、受け部材30及び基体52に接しないように枠辺5aに取り付けられる。したがって、脱落防止部31Cに第2の支持軸62Bから力が加わってもその力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。これにより脱落防止部31Cに第2の支持軸62Bから力が加わっても基体52の作動部52Bにこの力が伝わることが無く作動部52Bに貼付された歪みセンサ57は、正確な荷重を計測できる。
なお、脱落防止部31Cの構成は、本例に限らない。脱落防止部31Cは、前記第2の支持軸62Bから前記基体52への荷重の伝達経路を構成する部材、並びに前記基体52の受け部52A及び作動部52Bと接触しなければよい。
【0267】
図50に示すように、台座部材32は、その取り付け部32Aを、枠辺5aの内側面5ab(矩形状の下側フレーム5の内側に相当する側面)に面接触させ、台座部32Bが、下側フレーム5の内側に延出するように配置されている。また、上板部材31は、その取り付け部31Aを、台座部材32の取り付け部32Aに面接触させ、上板部31Bが下側フレーム5の内側に延出するように配置されている。
台座部材32及び上板部材31の固定は、台座部材32の取り付け部32Aに設けられた取り付け孔32Aaと、上板部材31の取り付け部31Aに設けられた取り付け孔31Aaと、枠辺5aに設けられた孔(符号省略)に、ボルト53を挿通し、当該ボルト53を枠辺5aの内部に設けられた当て板53Aに螺着することによりなされる。当て板53Aに螺着することで、より強固な固定が可能となる。
なお、台座部材32の取り付け部32Aに設けられた取り付け孔32Aaは、鉛直方向(Z方向)を長手方向とする長孔となっている。したがって、取り付け孔32Aa(長孔)においてボルト53を固定する位置を変えることで、台座部材32の取り付け高さを容易に調整できる。
【0268】
図49に示すように、受け部材30と基体52の取り付け部52Cの間には鉛直方向(Z方向)に隙間eが形成されている。また、同様に、基体52の受け部52Aと台座部材32の台座部32Bの間に隙間eが形成されている。
このような隙間e、eを形成することで、作動部52Bが変形し受け部52A及び受け部材30が沈み込むためのストロークを確保できる。
【0269】
基体52の受け部52Aは、作動部52Bにおける歪み変形によって沈み込む。この沈み込みが基体52の形状及び材質に依存する所定の値(以下、限界沈み込み量とする)を超えると基体52が損傷を受ける。より具体的には、基体52が降伏する。
隙間e、eは、この限界沈み込み量より狭く形成されている。したがって、基体52に損傷が発生する荷重(以下過荷重とする)が、受け部材30を介し基体52の受け部52Aに加わった場合に、受け部材30と基体52、又は基体52と台座部材32の台座部32Bが干渉する。これにより、基体52の受け部52Aに過荷重が加わることを抑制し、基体52の損傷を抑制できる。
【0270】
次に、第1の支持軸62A(移動を抑制する側(ベッド本体の前側)の支持軸)の一対のロードセル51Aの第9の例およびその取り付け状態について、
図51を参照して説明する。このロードセル51A(第1の支持軸62A側)は、上述したロードセル51B(第2の支持軸62B側)と同様に、受け部52A、作動部52Bおよび取り付け部52Cを有する基体52と、その作動部52Bに貼着された歪みセンサ57とからなる構成とされている。ロードセル51Aにおけるこれらの基体52および歪みセンサ57の具体的構成は、前述のロードセル51Bと同様であれば良いから、ここではその詳細は省略する。
ロードセル51A(第1の支持軸62A側)は、ロードセル51B(第2の支持軸62B側)とは異なり、上板部材31に代えて阻止部材54が設けられている。また、ロードセル51A(第1の支持軸62A側)の受け部材30は、ロードセル51B(第2の支持軸62B側)の受け部材30と比較して短尺に形成されている。
【0271】
阻止部材54は、台座部材32と共にボルト53によって枠辺5aに取り付けられている。阻止部材54は受け部材30の上方において、第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41の外径と同等(もしくはそれよりわずかに大きい)間隔をおいて配設された一対の阻止部54A、54Bを有していて、その一対の阻止部54A、54Bの間に第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41が挿入される挿入空間54Fが形成されていればよい。
これらの点以外の阻止部材54の具体的構成は特に限定されないが、本実施形態の場合、垂直方向に沿う角棒状の一対の阻止部54A、54Bの上端同士を連結片54Cによって一体に連結して、その連結片54Cを下側フレーム5の枠辺5aに向けて延長し、その延長部54Dの先端部分に、枠辺5aの内側の側面(矩形状の下側フレーム5の内側に相当する側面、以下内側面と記す)5abに接する取り付け部54Eを形成し、取り付け部54Eをボルト53によって枠辺5aの内側の側面5abに固定する構成とされている。
連結片54Cは、第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の転動体41の上方に位置して、第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)が、その移動領域の上方から飛び出し脱輪することを防ぐ役割も果たす。
【0272】
阻止部材54は、受け部材30及び基体52に接しないように枠辺5aに取り付けられる。したがって、阻止部材54に第1の支持軸62Aから力が加わってもその力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。これにより、阻止部材54に第1の支持軸62Aから力が加わっても基体52の作動部52Bにこの力が伝わることが無く、作動部52Bに貼付された歪みセンサ57は、正確な荷重を計測できる。
【0273】
なお、阻止部材54の構成は、本例に限らない。阻止部材54は、前記第1の支持軸62Aから前記基体52への荷重の伝達経路を構成する部材、並びに前記基体52の受け部52A及び作動部52Bと接触しなければよい。
また、阻止部材54の上部の連結片54Cと第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの外周面の上部との間には間隙が保持されるように、連結片54Cと受け部材30との間の距離が定められている。
【0274】
阻止部材54の一対の阻止部54A、54B間の挿入空間54Fに、第1の傾斜可動アーム61Aa(61Ab)を連結する第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の転動体41が挿入される。そして第1の支持軸62Aの転動体41は、阻止部54A、54Bにより下側フレーム5の枠辺5aの長さ方向への移動が阻止された状態で、基体52の受け部52Aの水平な上面に軸中心に回転可能に載置されている。
【0275】
以上のように二対のロードセル51A、51Bを組み込んだベッド本体1Aにおいて、寝板2などの寝床面形成部100からの荷重は、昇降支持機構6の上側フレーム3から、昇降支持機構6内の各部材を経て、4本の傾斜可動アーム(第1の傾斜可動アーム61Aa、61Ab、第2の傾斜可動アーム61Ba、61Bbに加わり、さらに第1の支持軸62A、第2の支持軸62Bの各両端部分62Aa、62Ab;62Ba、62Bb(転動体41)から、ロードセル51A、51Bの各基体52に伝わる。この荷重により基体52の作動部52Bが変形し、この変形量が歪みセンサ57により検知され各ロードセル51A、51Bに加わった荷重をそれぞれ算出することができる。
【0276】
本例のロードセル51A、51Bの基体52は、作動部52Bにロバーバル機構を構成する孔部58が設けられている。本例において孔部58は、枠辺5aの長さ方向に対し直交する方向(Y方向)に貫通している。また、基体52の受け部52Aには、枠辺5aの長さ方向に延びる受け部材30が取り付けられている。
このように構成することで、基体52の作動部52Bの延在方向に対して、作動部52Bに捩じれを加えるような荷重が加わることが無い。したがって、歪みセンサ57が正確な歪みを検出することができる。また、上述のような捩じれが無い為に、歪みセンサ57を複数取り付ける必要がない。したがって、歪みセンサ57からの出力を処理する回路を単純化することが可能となり、基板を安価に製造できる。
【0277】
ところで、ロードセル51A、51Bの作動部52Bの延在方向が枠辺5Aの長さ方向と直交している場合(上述の第1〜第8の例)、言い換えれば、作動部52Bにおけるロバーバル機構を構成するための孔部58が、枠辺5aの長さ方向に対して直交する方向に貫通するような方向性で形成されている場合においては、作動部52Bを長くしようとすると、これに伴い支持軸62A、62Bを短くする必要がある。したがって、支持軸62A、62Bの長さが予め決められた市販のベッド(ロードセル51A、51Bを設けていないベッド)に、ロードセル51A、51Bを取り付け場合は、作動部52Bの長さに制約があった。また、ここで、作動部52Bの長さが短ければ、荷重検出精度が低下することが知られている。
【0278】
これに対し、本例の作動部52Bは、その延在方向が枠辺5aの長さ方向と一致している(いずれもX方向)。言い換えれば、作動部52Bにおけるロバーバル機構を構成するための孔部58が、枠辺5aの長さ方向と平行な方向に貫通するような方向性で形成されている。したがって、作動部52Bを長手方向に十分な長さをとったとしても、第1及び第2の支持軸62A、62Bの長さを変更する必要がなく、荷重検出機能を持たない市販のベッド(ロードセル51A、51Bを設けていないベッド)に対しても、ロードセル51A、51Bを容易に組み込むことができる。また、作動部52Bの長さに制約が無く、十分な測定精度を得るために作動部52Bを長くすることができる。
【0279】
〔ロードセルの第10の例〕
次に、第2の支持軸62B(移動を許容する側(ベッド本体の後側)の支持軸)の一対のロードセル51Bの第10の例およびその取り付け状態について、
図52を参照して説明する。このロードセル51Bは、上記第9の例と比較して、脱落防止部材(第9の例の脱落防止部31Cに相当)の構成が異なる。
【0280】
図52に示す本例のロードセル51Bは、台座部材32の台座部32Bに、一対の脱落防止部材36がボルト37により取り付けられ、鉛直方向(
図52中のZ方向)上方に延びている。
脱落防止部材36は、段部36aを有する板状に形成されている。脱落防止部材36は、段部36aを境として厚板状の固定部36Aと、固定部36Aと比較して薄く形成された脱落防止部36Bとを備えている。脱落防止部材36の固定部36A側端面には螺子孔(図示略)が設けられており、当該螺子孔に台座部32Bを介してボルト37を螺着することにより、脱落防止部材36は台座部32Bに固定されている。このように固定されることで、脱落防止部材36は、上方に延び起立した状態となる。
【0281】
上方に延びた脱落防止部材36は、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の移動範囲(枠辺5a長さ方向(X方向))の両側に配置される。これにより、脱落防止部材36は、受け部材30の載置面30a上を一端部分62Ba(62Bb)の転動体41を介して転動する第2の支持軸62Bの動作範囲を制限し、載置面30a上から脱落することを防止する。即ち、第2の支持軸62Bの転動体41が、枠辺5aの長さ方向に沿って転動(移動)し、受け部材30の長手方向端部を超えようとしても、脱落防止部材36が第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の転動体41と干渉して脱落を防止できる。
【0282】
なお、脱落防止部材36は、台座部材32の台座部32Bに固定された板材に限ることは無い。例えば、丸棒からなるものであっても良く、台座部材32の取り付け部32AからY方向に突出するように形成されていても良い。また、台座部材32と一体に形成されていても良い。
【0283】
脱落防止部材36の段部36aは、受け部材30より下方に形成されている。また、段部36aから上方は、薄く形成された脱落防止部36Bが形成されている。脱落防止部36Bは、受け部材30と接触を避ける様に配置されている。したがって、脱落防止部36Bに第2の支持軸62Bから力が加わってもその力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。これにより脱落防止部材36に第2の支持軸62Bから力が加わっても基体52の作動部52Bにこの力が伝わることが無く作動部52Bに貼付された歪みセンサ57は、正確な荷重を計測できる。
【0284】
次に、第1の支持軸62A(移動を抑制する側(ベッド本体の前側)の支持軸)の一対のロードセル51Aの第10の例およびその取り付け状態について、
図53を参照して説明する。このロードセル51Aは、上記第9の例と比較して、阻止部材54の構成が異なる。
【0285】
図53に示す本例のロードセル51Aは、阻止部材54を有する。阻止部材54は、台座部材32の台座部32Bにボルト37により取り付けられ、鉛直方向(
図52中のZ方向)上方に延びる、第1阻止片部材38と第2阻止片部材39とからなる。
【0286】
第1阻止片部材38は、段部38aを有する板状に形成されている。第1阻止片部材38は、段部38aを境として厚板状の固定部38Aと、固定部38Aと比較して薄く形成された阻止部38Bとを備えている。第1阻止片部材38の固定部38A側端面には螺子孔(図示略)が設けられており、当該螺子孔に台座部32Bを介してボルト37を螺着することにより、第1阻止片部材38は台座部32Bに固定されている。このように固定されることで、脱落防止部材36は、上方に延び起立した状態となる。
【0287】
第2阻止片部材39は、正面視クランク状に形成された板材であり、鉛直方向(Z方向)に延びる固定部39A及び阻止部39Cと、水平方向(X方向)に延び固定部39Aと阻止片39Cを接続するブリッヂ部39Bとからなる。
固定部39Aの下端面には、螺子孔(図示略)が設けられており、当該螺子孔に台座部32Bを介してボルト37を螺着することにより、第2阻止片部材39は台座部32Bに固定されている。
阻止部39Cは、第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの側部に配置される。また、阻止部39Cは、第1阻止片部材38の阻止部38Bとともに、第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの移動を阻止するように移動方向(X方向)両側に配置されている。
より具体的には、第1阻止片部材38の阻止部38Bと第2阻止片部材39の阻止部39Cは、第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41の外径と同等(もしくはそれよりわずかに大きい)間隔をおいて配設されている。阻止部38B、39Cの間には、第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41が挿入される挿入空間54Fが形成されている。
なお阻止部材54(第1阻止片部材38及び第2阻止片部材39)は、受け部材30及び基体52に接しないように枠辺5aに取り付けられる。したがって、阻止部材54に第1の支持軸62Aから力が加わってもその力が基体52の受け部52A、さらには作動部52Bに伝達されないようになっている。これにより、阻止部材54に第1の支持軸62Aから力が加わっても基体52の作動部52Bにこの力が伝わることが無く、作動部52Bに貼付された歪みセンサ57は、正確な荷重を計測できる。
【0288】
また、第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の転動体41の上方には、上板部材40が設けられている。上板部材40は、鉛直方向に延び枠辺5aに固定される取り付け部40Aと、取り付け部40Aの下端から屈曲され水平方向に延びる上板部40B(上板)とからなる。
上板部40Bは、第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)の上方に配置されて、第1の支持軸62Aの一端部分62Aa(62Ab)、すなわち転動体41の部分が、その移動領域の上方に飛び出して脱輪することを防ぐ役割を果たす。なお、上板部40Bと第1の支持軸62Aの一端部分62Aaの転動体41の外周面の上部との間には間隙が保持されるように、上板部40Bと受け部材30との間の距離が定められている。
【0289】
〔ロードセルの第11の例〕
次に、第2の支持軸62B(移動を許容する側(ベッド本体の後側)の支持軸)の一対のロードセル51Bの第11の例およびその取り付け状態について、
図54、
図55を参照して説明する。このロードセル51Bは、上記第9の例と比較して、受け部材30及び第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)の構成が主に異なる。
【0290】
第11の例において、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)は、前記各例と同様に転動体41が設けられているが、その転動体41の外周面には、前記各例と異なり、軸方向に沿う歯面41aを有している。すなわち第11の例の転動体41は、歯車状に作られている。また、本例のロードセル51Bの受け部材30は、その載置面30aがY方向に歯面30cを有するラックギヤとなっている。
転動体41の歯面41aと載置面30aに形成されて歯面30cは、係合可能に形成されている。即ち、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が受け部材30上を移動すると、一端部分62Ba(62Bb)の転動体41と受け部材30の載置面30aの互いの歯面30c、41a同士を係合させながら転動体41が載置面30aを移動する。
【0291】
歯面30c、41a同士が係合することで、第2の支持軸62Bは、受け部材30の長手方向(Y方向)に対して直交が維持される。即ち、枠辺5aの長さ方向に対し常に第2の支持軸62Bが直行した状態が保たれ、第2の支持軸62Bが蛇行して移動することが無い。したがって、第2の支持軸62Bの一端部分62Ba(62Bb)が受け部材30から脱輪することを抑制できる。
【0292】
なお、転動体41の周面に形成される歯車の種類は、平歯車、はすば歯車、やまば歯車等を適用しても良い。特にはすば歯車を適用する場合には、第2の支持軸62Bの両端部分62Ba、62Bbの転動体41に設けられる歯面の傾斜方向を互いに逆向きとしスラスト方向の応力を打ち消し合うように構成することが好ましい。
また、転動体41の歯面41aの表面形状は、転動体41の軸線に対し直交する断面で見て、直線形状であっても、インボリュート曲線であっても良い。
【0293】
なお、上記のような第2の支持軸62B(移動を許容する側(ベッド本体の後側)の支持軸)の第11の例のロードセル51Bと組合わせて用いる、第1の支持軸62A(移動を阻止する側(ベッド本体の後側)の支持軸)のロードセル51Aの構成は特に限定しないが、第11の例のロードセル51Bと同じ構成とすることが望ましい。そして、既に述べた阻止部材54(例えば
図51参照)と同様な阻止部材を取り付けたりして、第1の支持軸62Aの移動を阻止するように構成すれば良い。
【0294】
〔その他の態様〕
以上の各例のロードセル51A、51Bは、下側フレーム5の枠辺5aの内側面5ab(矩形状の下側フレーム5の内側に相当する側面)に取り付けられている。しかしながら、ロードセル51A、51Bは、枠辺5aの外側の側面、上面、下面の何れに取り付けられていても良い。
【0295】
以上の各例のロードセル51A、51Bでは、歪みの大きさを検出する歪みセンサ57として、歪みゲージR1、R2、R3、R4を用いた構成となっているが、このような歪み感受抵抗体に限らず、歪みセンサとしては、例えば、導電性エラストマーセンサや、光学式歪みセンサ、電歪デバイスセンサ、圧電デバイスセンサ、磁歪デバイスセンサなどを用いることができる。
【0296】
また、前述の各例では、寝床面形成部100を昇降させるための昇降支持機構6における各傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの下端部を、それぞれ第1、第2の支持軸62A、62Bに固定して取り付け、第1、第2の支持軸62A、62Bが下側フレーム5の枠辺5aに取り付けたロードセル51A、51Bに軸中心に回動可能に支持される構成としている。しかしながら、場合によっては、各傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの下端部を、それぞれ第1、第2の支持軸62A、62Bに回動可能(傾動可能)に取り付けて、第1、第2の支持軸62A、62B自体は回動しないように構成することも許容される。
【0297】
さらに、本発明において、寝床面形成部100を昇降させるための昇降支持機構6としては、
図1〜
図7に示す例に限らず、その他の各種パンタグラフ方式や各種リンク機構をも適用することができる。即ち昇降支持機構6は、下側フレームと寝床面形成部との間において、枠辺の長さ方向と平行な垂直面内で互いに反対方向に傾斜して延びて、寝床面形成部からの荷重が加えられる、それぞれ複数の第1の傾斜可動アーム及び第2の傾斜可動アームと、第1の傾斜可動アームの下端に取り付けられ、軸線方向が枠辺の長さ方向に対し直交し、枠辺の長さ方向への移動が阻止される第1の支持軸と、第2の傾斜可動アームの下端に、第1の支持軸から前記枠辺の長さ方向に離れて取り付けられ、軸線方向が枠辺長さ方向に対し直交し、枠辺長さ方向への移動が許容される第2の支持軸と、記第1及び第2の傾斜可動アームの傾斜角度を変える駆動機構とを備えていれば良いから、
図1〜
図7に示したような昇降支持機構6に限らず、例えば
図56に示すような、いわゆるパンタグラフ方式の昇降支持機構6であっても良い。
【0298】
図56に示すような昇降支持機構6の場合も、傾斜可動アーム61Aa、61Ab;61Ba、61Bbの下端部間を連結する支持軸62A、62Bの両端部分と、下側フレーム5の長さ方向に延びる左右一対の例えば角パイプ状の枠辺5aとの間に、前述のようなロードセル51A、51Bを介在させればよい。そしてまた、ベッド本体1Aの前方寄りの支持軸62Aと後方寄りの支持軸62Bのうちいずれか一方は、枠辺5aの長さ方向に移動可能とし、枠辺5aにおける他方の支持軸の両端部分に対応する箇所に、既に述べたような阻止部材(
図56には示していない)を取り付けて、その側の支持軸の移動を阻止するように構成しておけば良い。
【0299】
また、ベッド本体1Aについては、寝板2の上に予めマット等が敷設されたものであってもよい。また、寝板2は、その長さ方向(ベッド本体1Aの長手方向)において分割された構造を有して、利用者Hの上半身側や足側の一部が起き上がるといったリクライニング機能を有するものであってもよい。このように寝板2をベッド本体1Aの長手方向に2分割して、リクライニング機能を付与する場合、例えば
図1〜
図6に示される上側フレーム3に各寝板分割部分をそれぞれ独立に傾動させる機構を取り付ければよく、したがって昇降支持機構6としては、
図1〜
図6に示される機構をそのまま使用することができる。
【0300】
さらに、上側フレーム3については、上述したフレーム構造に限定されるものではなく、様々なフレーム構造を採用することが可能である。
【0301】
また、荷重検出器50では、上述したロードセル51A、51Bと演算部59Aとの間、及び、演算部59Aと送信部59Bとの間を配線59a、59bによって電気的に接続した構成に限らず、無線(電波あるいは光信号)により接続した構成とすることも可能である。一方、送信部59Bと受信部59Cとの間の通信方法としては、上述した無線通信網を用いる場合に限らず、有線通信網を用いてもよい。さらに、荷重検出器50については、上記演算部59Aと上記送信部59Bとを一体に形成することも可能である。
【0302】
さらには、キャスター機構を持たないベッド本体に本発明を適用することもできる。
【0303】
なお、前述の各例では、ベッド本体1Aにおける寝床面Tを形成する寝床面形成部100が、寝板2と、寝板2を支持する上側フレーム3とによって構成されているものとしたが、場合によっては寝床面形成部100が、上側フレーム3のないもの、即ち寝板2のみからなるものとなっていることもある。このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0304】
さらに、寝床面形成部100が上側フレーム3を備えていても、上側フレーム3が単なる囲いとして機能するだけで、昇降支持機構6が、直接寝板2を昇降させる構成としたベッド本体もあり、このような場合にも本発明を適用し得ることはもちろんである。
【0305】
本発明による荷重検出機能付きベッドは、医療施設(例:病院、診療所等)や介護施設、養護施設、そのほか宿泊施設(例:ホテル、旅館等)、一般家庭(例:自宅介護等)などに使用することができ、その場合において、ベッドに加わる荷重を検出することにより、例えば、入床(就寝)や、離床(起床)、在床位置、体動(例:寝返り等)、姿勢(例:仰臥、伏臥、横臥等)など、ベッド利用者の状態(在床状況)を監視することができる。また本発明によるベッド用荷重検出器は、新規のベッドのみならず、既存のベッドに組み込むことができ、その場合にも、上記の機能を発揮させることができる。