特許第6078647号(P6078647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078647
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】引込み式ハンドル構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/16 20140101AFI20170130BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20170130BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20170130BHJP
【FI】
   E05B85/16 D
   E05B81/76
   B60J5/04 H
【請求項の数】25
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-532469(P2015-532469)
(86)(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公表番号】特表2015-533964(P2015-533964A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2013070020
(87)【国際公開番号】WO2014049026
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】1217113.8
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・スマート
(72)【発明者】
【氏名】アンディ・マッシア
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・スミス
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−082933(JP,A)
【文献】 特開2007−321470(JP,A)
【文献】 特開2004−244991(JP,A)
【文献】 特開2005−307463(JP,A)
【文献】 特開2008−081926(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0039671(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0019261(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0163555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車用のハンドル構造であって、
格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
配置位置にあるハンドルをその格納位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサ、
を含み、
駆動機構が、前記力を検出するとハンドルを配置位置から格納位置に移動させる構成を有するハンドル構造。
【請求項2】
ハンドルにその配置位置から格納位置への移動を開始させるに十分な力が付加されていることをユーザーに表示するフィードバック装置を含む請求項1に記載のハンドル構造。
【請求項3】
フィードバック装置は、聴覚フィードバック装置、触覚フィードバック装置及び視覚フィードバック装置の1つ又は1つ以上を含む請求項2に記載のハンドル構造。
【請求項4】
ハンドル構造は、車のドア、又はその他のクロージャのロック機構に連結され得、ロック機構は、力を検出すると起動されてドア、又はその他クロージャをロックするように構成される請求項1〜3の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項5】
ハンドル構造は、ハンドルへの第2の力の付加を検出すると車のドア、又はその他のクロージャのデッドロック機構を起動するように構成される請求項4に記載のハンドル構造。
【請求項6】
ハンドルは、第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされる請求項1〜5の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項7】
ハンドルピボット軸はハンドルを貫いて伸延され得、且つハンドル内部に配置される請求項6に記載のハンドル構造。
【請求項8】
ハンドルは、第1端部と、第2端部との間を伸延する長手方向軸を含み、ハンドルピボット軸は前記長手方向軸と実質的に直角を成して配置される請求項7に記載のハンドル構造。
【請求項9】
ハンドルは、駆動機構とは無関係に格納位置から配置位置に手動で移動され得るように駆動機構に連結される請求項1〜8の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項10】
ハンドルは少なくとも一時的に駆動機構から分離自在である請求項9に記載のハンドル構造。
【請求項11】
ハンドル構造は、ハンドルを配置位置から格納位置に戻すように構成した戻りバネを含む請求項1〜10の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項12】
ハンドル構造は、キーブレードを受けるキーバレルを含み得、キーバレルは、格納位置ではハンドルによりキーバレルが隠されるようにハンドルの裏側に配置される請求項1〜11の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項13】
ハンドルは第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされ、ハンドルピボット軸は、格納位置のハンドルの裏側にキーバレルが実質的に残され、キーバレル及びハンドルが、ハンドルピボット軸を含む平面に実質的に直角を成す同一平面内に配置され得るように構成される請求項12に記載のハンドル構造。
【請求項14】
ハンドルは第1端部及び第2端部を有し、ハンドルは、ユーザーがハンドルを片手で配置できるよう、ハンドルの第1端部に近接して配置したアンロックボタンを含む請求項1〜13の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項15】
アンロックボタンは、ユーザーが親指でアンロックボタンを押してハンドルを配置位置に移動させ且つハンドルの第2端部を1本又は1本以上の指で把持し得るように位置付けられる請求項14に記載のハンドル構造。
【請求項16】
格納位置のハンドルへの、ハンドルを配置位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサを含み、駆動機構は、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させるように構成される請求項1〜15の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項17】
ハンドル構造は、格納位置のハンドルへの、ハンドルを格納位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサを含み、駆動機構は、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させるように構成される請求項1〜16の何れかに記載のハンドル構造。
【請求項18】
請求項1〜15の何れかに記載のハンドル構造を各々含む複数のドア、又はその他クロージャを有する車であって、車に設けられる全ての引込み式ハンドル構造に制御ユニットを連結した車。
【請求項19】
制御ユニットは、配置位置のハンドルの1つ又は1つ以上に付加される力のパラメータに基づき、引込み式ハンドル構造の1つ又は全てを配置位置から格納位置に移動させるかを判定し、前記判定に従い、各引込み式ハンドル構造の駆動機構を制御するように構成される請求項18に記載の車。
【請求項20】
車は、ドア、あるいはその他クロージャの各々におけるロック機構を含み、制御ユニットは、ハンドルの1つに付加される力のパラメータに基づき、ドア、又はその他クロージャの1つ又は全てをロックするようにロック機構を起動させるように構成される請求項18又は19に記載の車。
【請求項21】
前記パラメータは、力の持続時間、力の大きさ、力の方向及び力の付加回数、の1つである請求項20に記載の車。
【請求項22】
車用の車体コンポーネントであって、請求項1〜17の何れかに記載の引込み式ハンドル構造のハンドルを受ける切り欠き又は穴を含む外側パネルを含み、切り欠き又は穴が外側パネルの縁部を画定し、ハンドルが格納位置にある時は、外側パネルの切り欠き又は穴の内部にハンドルがぴったりと受けられ、ハンドルの外側表面が、切り欠き又は穴と一致する形状を有し且つ外側パネルと面一配置される車体コンポーネント。
【請求項23】
ハンドルと、外側パネルの前記切り欠き又は穴により画定される縁部との間に可撓性のシール部材が配置される請求項22に記載の車体コンポーネント。
【請求項24】
請求項1〜17の何れかに記載のハンドル構造を有する車。
【請求項25】
車は、1つ又は1つ以上のドアを含み、ハンドルは、個別の各ドア用のロック状態インジケータとして作用する請求項24に記載の車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアあるいはその他のクロージャ用の引込み式ハンドル構造及び引込み式ドアハンドル構造の配置方法に関する。本発明の様相は、ハンドル構造、ボディーコンポーネント、方法及び車に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を車のドアに関して説明するが、本発明はトランク等の、車のその他のクロージャ、あるいは飛行機等のその他形式の乗り物で使用可能である。実際、本発明の引込み式ハンドル構造は広い意味で非自動車用途で使用できる。
審美上、空力上、そして風騒音を制御する要求上、ドアハンドルを車の周囲ドアスキンと面一状態で配置させることが望ましい場合がある。フラップタイプのドアハンドルはこの理由から使用され得る。それらハンドルは代表的には、バネ偏倚に抗して引き出され、周囲ドアスキンに関して外側にピボット作動させてドアをアンラッチさせるトップピボット式フラップを含む。ドアスキンの、通常、ハンドルのフラップに隣り合う部分、最も一般的にはその真下に指凹所が設けられる。指凹所は、ハンドルを引いてドアをアンラッチ及び開放させ得るように指をハンドル後部にアクセスさせる。
【0003】
フラップタイプハンドルは使いにくく且つ他のタイプのハンドルのように楽に、あるいは、十分に把持できない。恐らく最も使いやすいタイプのハンドルは、ユーザーが手で掴めるバー状の突出した手摺又は握り部であり、その一例は握り部がループの一部を構成するストラップタイプハンドルである。
ストラップタイプハンドルはエルゴノミクス及び荷重移動の点で、例えば、ユーザーがオーバーハンド又はアンダーハンドの把持スタイルを選べないフラップタイプハンドルの使用に勝る特定の利益を有する。フラップタイプハンドルには、ユーザーの姿勢に関する、車において位置決め可能な場所の制約もある。しかし残念なことに、ストラップタイプハンドルの突出するハンドグリップ部はフラッシュマウントの利益を有さない。
【0004】
関連する指凹所を備えるフラップタイプハンドルにも審美上の制約がある。従って、ドアスキン及び隣接するフラップタイプハンドルと面一配置され、しかしハンドルを操作するユーザーの指を受けるように内方にピボット作動するヒンジ式カバープレート付きの指凹所を提供する従来技術が幾つか提案されて来ている。しかしながらこのカバープレートは、ハンドルをむしろより使いにくくするというフラップタイプハンドルの固有の問題を解消しない。このカバープレートは、恐らく、指凹所をカバーしないままの場合より見た目が良くならない。
これらの問題の幾つかを解決し且つ“意外で且つ面白い”特徴を提供するべく、あるドアハンドルは引込み可能に車にフラッシュマウントされる。これは、ハンドルが2つの状態、即ち、ハンドルがフラッシュマウントされた格納又は引込み状態と、ハンドルが掴み易いように周囲の車体から突き出す又は伸張状態との間で可動であることを意味する。ハンドルの格納及び配置状態間での移動は自動機構により実施され得る。
【0005】
ハンドルを配置状態にした後、ハンドルを引くとドアを開けることができる。これは、ハンドルを、ドアをアンラッチさせるための第3の作動状態に、代表的には配置したハンドルをバネ偏倚に抗してピボット作動させて移動することを含む。配置状態から第3の作動状態に移動するに際し、ハンドルは、例えば、ドアラッチに作用するボーデンケーブルを引いて機械的に又はドアラッチに作用するソレノイドを切り替えて電気的に、ドアをアンラッチさせ得る。
引込み式のこのようなドアハンドルには、ユーザーがハンドルを配置状態にしないとハンドルを握ってドアを開けることができない問題がある。湿潤及び凍結条件下ではドアハンドル構造は凍結する恐れがある。そのため、ハンドルが自動機構で配置される場合はユーザーは氷のためにハンドルを配置できず、ドアハンドルの氷が溶けるまでドアを開けられないために不便であり且つ時間の無駄になる。
【0006】
更には、自動機構でドアハンドルを配置状態から格納状態に引き込ませる際上述した種類の引込み式ドアハンドルには別の問題もある。それは、ハンドルの引込み時にユーザーがハンドルを握っていると、ユーザーの指がハンドルと周囲ドアスキンとの間に捕捉され得る危険性があることである。
更には、上述したこの種の引込み式ドアハンドルはユーザーが乱暴に扱うと破損しやすい。そのような破損は、ユーザーがドアハンドルを配置状態から無理に格納状態とし、その際に機構を破壊し得る応力が付加されることで生じ得る。
加えて、そのような引込み式ドアハンドルには、ドアハンドル及び関連する配置機構を受け且つ取り付けるドア内部の空間が限られるという問題があり、ドアハンドルをドアの外側スキンとフラッシュマウントする場合はこの問題は更に大きくなり、ウィンドウやウィンドウ引込み用の引込み機構等のその他コンポーネントがドアキャビティ内に収納されることで空間は更に制限される。
【0007】
更に、引込み式ハンドル構造に関しては、ドアのロック及びアンロック用手段等の関連する機能性をユーザーにとって直覚的且つ簡単な方法で提供する上での別の問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】GB1110487.4号明細書
【特許文献2】PCT/EP2012/062040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来問題の少なくとも幾つかを実質的に解消又は緩和する引込み式ハンドル構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の様相は、付随する請求の範囲に記載した如き、ハンドル構造、車体コンポーネント、方法及び車に関する。
本発明の1様相によれば、車用のハンドル構造であって、
格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
配置位置にあるハンドルをその格納位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサ、
を含み、
駆動機構が、前記力を検出するとハンドルを配置位置から格納位置に移動させる構成を有するハンドル構造が提供される。
これにより直覚的なハンドル操作が提供される。
【0011】
ハンドル構造は、ハンドルにその配置位置から格納位置への移動を開始させるに十分な力が付加されていることをユーザーに表示するフィードバック装置を含み得る。
フィードバック装置は、聴覚フィードバック装置、触覚フィードバック装置及び視覚フィードバック装置の1つ又は1つ以上を含む。
ハンドル構造は、車のドア、又はその他のクロージャのロック機構に連結され得、ロック機構は、力を検出すると起動されてドア、又はその他クロージャをロックするように構成される。
【0012】
ハンドル構造は、ハンドルへの第2の力の付加を検出すると車のドア、又はその他のクロージャのデッドロック機構を起動するように構成される。
ハンドルは、第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされ得る。
ハンドルピボット軸はハンドルを貫いて伸延され得、且つハンドル内部に配置され得る。
【0013】
ハンドルは、第1端部と、第2端部との間を伸延する長手方向軸を含み得、ハンドルピボット軸は前記長手方向軸と実質的に直角を成して配置され得る。
【0014】
ハンドルは、駆動機構とは無関係に格納位置から配置位置に手動で移動され得るように駆動機構に連結され得る。
ハンドルは少なくとも一時的に駆動機構から分離自在であり得る。
【0015】
ハンドル構造は、ハンドルを配置位置から格納位置に戻すように構成した戻りバネを含み得る。
ハンドル構造は、キーブレードを受けるキーバレルを含み得、キーバレルは、格納位置ではハンドルによりキーバレルが隠されるようにハンドルの裏側に配置され得る。
【0016】
ハンドルは第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされ得、ハンドルピボット軸は、格納位置のハンドルの裏側にキーバレルが実質的に残され、キーバレル及びハンドルが、ハンドルピボット軸を含む平面に実質的に直角を成す同一平面内に配置され得るように構成され得る。
ハンドルは第1端部及び第2端部を有し得、ハンドルは、ユーザーがハンドルを片手で配置できるよう、ハンドルの第1端部に近接して配置したアンロックボタンを含み得る。
アンロックボタンは、ユーザーが親指でアンロックボタンを押してハンドルを配置位置に移動させ且つハンドルの第2端部を1本又は1本以上の指で把持し得るように位置付け得る。
【0017】
ハンドル構造は、
格納位置のハンドルへの、ハンドルを配置位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサを含み得、駆動機構は、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させるように構成される。
ハンドル構造は、
格納位置のハンドルへの、ハンドルを格納位置に付勢する方向で付加される力を検出するセンサを含み得、駆動機構は、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させるように構成される。
【0018】
本発明の更に他の様相によれば、上述した如きハンドル構造を各々含む複数のドア、又はその他クロージャを有する車であって、車に設けられる全ての引込み式ハンドル構造に制御ユニットを連結した車が提供される。
制御ユニットは、配置位置のハンドルの1つ又は1つ以上に付加される力のパラメータに基づき、引込み式ハンドル構造の1つ又は全てを配置位置から格納位置に移動させるかを判定し、前記判定に従い、各引込み式ハンドル構造の駆動機構を制御するように構成され得る。
【0019】
車は、ドア、あるいはその他クロージャの各々におけるロック機構を含み得る。制御ユニットは、ハンドルの1つに付加される力のパラメータに基づき、ドア、又はその他クロージャの1つ又は全てをロックするようにロック機構を起動させるように構成され得る。
前記パラメータは、力の持続時間、力の大きさ、力の方向及び力の付加回数、の1つである。
【0020】
本発明の更に他の様相によれば、車用の車体コンポーネントであって、上述した如き引込み式ハンドル構造のハンドルを受ける切り欠き又は穴を含む外側パネルを含み、切り欠き又は穴が外側パネルの縁部を画定し、ハンドルが格納位置にある時は、外側パネルの切り欠き又は穴の内部にハンドルがぴったりと受けられ、ハンドルの外側表面が、切り欠き又は穴と一致する形状を有し且つ外側パネルと面一配置される車体コンポーネントが提供される。
ハンドルと、外側パネルの前記切り欠き又は穴により画定される縁部との間に可撓性のシール部材が配置され得る。
本発明の更に他の様相によれば、上述した如きハンドル構造を有する車が提供される。
車は、1つ又は1つ以上のドアを含み得、ハンドルは、個別の各ドア用のロック状態インジケータとして作用し得る。
【0021】
本発明の1様相によれば、車用の引込み式ハンドル構造であって、
第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
配置位置のハンドルを格納位置に付勢する方向でハンドルに付加される力を検出するセンサ、
を含み、
引込み式ハンドル構造が、前記力が検出されるとハンドルを配置位置から格納位置に移動させる引込み式ハンドル構造が提供される。
これにより、ハンドル操作が直覚的なものとなる。
【0022】
ある実施形態では引込み式ハンドル構造は、ハンドルの配置位置から格納位置への移動を開始させるに十分な力が付加されたことをユーザーに表示するためのフィードバック装置を含む。前記フィードバック装置は随意的には、触覚フィードバック装置、聴覚フィードバック装置又は視覚フィードバック装置である。
引込み式ハンドル構造は随意的には、車のドア又はその他クロージャのロック機構に連結され、前記ロック機構は、力を検出するとドア又はその他クロージャをロックするべく起動される。
ある実施形態では引込み式ハンドル構造は、ハンドルへの第2の力の付加を検出すると車のドア又はその他のクロージャのデッドロック機構を起動する。
【0023】
本発明の他の様相によれば、車用の引込み式ハンドル構造であって、
第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
格納位置のハンドルを配置位置に付勢する方向でハンドルに付加される力を検出するセンサ、
を含み、
引込み式ハンドル構造が、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させる引込み式ハンドル構造が提供される。
【0024】
本発明の他の様相によれば、車用の引込み式ハンドル構造であって、
第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
格納位置のハンドルを格納位置に付勢する方向でハンドルに付加される力を検出するセンサ、
を含み、
引込み式ハンドル構造が、前記力を検出するとハンドルを格納位置から配置位置に移動させる引込み式ハンドル構造が提供される。
ハンドルは随意的には、前記第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされる。
【0025】
ハンドルピボット軸はハンドルを貫いて伸延され得、且つハンドル内部に配置され得る。
ある実施形態ではハンドルは、第1端部と、第2端部との間を伸延する長手方向軸を含み、ハンドルピボット軸は前記長手方向軸と実質的に直角を成して配置される。
本発明の更に他の様相によれば、上述した如き引込み式ハンドル構造を各々有する複数のドア又はその他クロージャを有する車であって、車に設けた全ての引込み式ハンドル構造に制御ユニットを連結した車が提供される。
【0026】
ある実施形態では制御ユニットは、配置位置のハンドルの1つ又は1つ以上に付加される力のパラメータに基づき、引込み式ハンドル構造の1つ又は全てを配置位置から格納位置に移動させるかを判定し、前記判定に従い、各引込み式ハンドル構造の駆動機構を制御するように構成され得る。
車は随意的には、ドア、あるいはその他クロージャの各々においてロック機構を含み、制御ユニットは、ハンドルの1つに付加される力のパラメータに基づき、ドア又はその他クロージャの1つ又は全てをロックするようにロック機構を起動させる。
前記パラメータは、力の持続時間、力の大きさ、力の方向及び力の付加回数、の1つであり得る。
【0027】
本発明の尚他の様相によれば、車用のハンドル構造であって、
第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動のハンドル、
ハンドル位置を制御する駆動機構、
を含み、
前記ハンドルが、駆動機構とは無関係に格納位置から配置位置に手動で移動され得るように駆動機構に連結されるハンドル構造が提供される。
本構造には、例えば停電又は駆動手段の故障時に駆動手段がハンドルを配置できない状況下にハンドルを作動させ得る利益がある。本構造によれば、また例えば、ハンドルがドアスキンに固く凍り付いた場合にユーザーはハンドル配置用駆動手段を支援可能である。
【0028】
ある実施形態ではハンドルは少なくとも一時的に駆動機構から分離自在である。
ハンドル構造は随意的には、ハンドルを配置位置から格納位置に戻すための戻りバネを含む。
これにより、ユーザーの指又は衣類がハンドルに捕捉される恐れが減少する。
ハンドル構造は随意的には、キーブレードを受けるキーバレルを含み得、キーバレルは、格納位置のハンドルによりキーバレルが隠れるようにハンドルの裏側に配置される。
これにより、キーバレル内部への埃又は水分の侵入が低減され、キーバレルの改竄も防止される。
【0029】
ある実施形態ではハンドルは、第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされ、前記ハンドルピボット軸は、ハンドルが格納位置にある時はキーバレルがハンドルの裏側に実質的に隠れた状態に維持され、キーバレル及びハンドルが、ハンドルピボット軸を含む平面に実質的に直角を成す同一平面内に配置されるように構成される。
本発明の尚他の様相によれば、ドア内部に設けたハンドルを含む車用のハンドル構造であって、前記ハンドルが、第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動であり、前記ハンドル構造が、ハンドル位置を制御する駆動機構を含み、前記ハンドルが、ユーザーが片手でハンドルを配置させ得るようにハンドルの第1端部に近接して配置したアンロックボタンを含むハンドル構造が提供される。
随意的にはアンロックボタンは、ユーザーが親指で前記アンロックボタンを押してハンドルを配置状態に移動させ且つ1本又は1本以上の指でハンドルの第2端部を把持し得るように位置付け得る。
【0030】
本発明の尚他の様相によれば、ドア内部に設けたハンドルを含む車用のハンドル構造であって、前記ハンドルが、第1端部及び第2端部を有し、前記ハンドルが、前記第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされ、前記ハンドルが、第1端部が回転してドアキャビティ内に伸延し、第2端部が回転してドアの外側表面から外側に伸延する状態下に格納位置と、配置位置との間で可動であり、前記引込み式ハンドル構造が、ハンドル位置を制御する駆動機構を含み、前記ハンドルが、ハンドルの第1端部と、ハンドルピボット軸との間に配置したアンロックボタンにして、前記アンロックボタンを押すとハンドルが配置位置方向に賦勢されて回転するアンロックボタンを含むハンドル構造が提供される。
【0031】
本発明の更に他の様相によれば、引込み式ハンドル構造であって、
第1端部及び第2端部を有し、格納位置と、配置位置との間で可動のハンドルにして、前記第1端部と、第2端部との間に配置したハンドルピボット軸を中心としてピボット取り付けされたハンドル、
ハンドルから伸延する作動部材、
ハンドルを格納位置から配置位置に移動させる第1レバーアーム、
ハンドルが配置位置から作動位置に移動されるのに応答して解放機構を起動させる第2レバーアーム、
モーター、
を含み、
第1レバーアームは伝達手段によりモーターに連結され、
前記第1レバーアームが、前記モーターが第1方向に駆動される時は作動部材と作動上係合され、
作動部材が、ハンドルが配置位置から作動位置に移動される時は第2レバーアームと作動上係合される引込み式ハンドル構造が提供される。
【0032】
第1レバーアームは随意的には、作動部材の第1側部上でレバーピボット軸を中心としてピボット取り付けされる。
第2レバーアームは随意的には、作動部材の第2側部上で第2レバーピボット軸を中心としてピボット取り付けされる。
作動部材は随意的には、ハンドルに実質的に直角を成して配置される。
レバーピボット軸は随意的には、ハンドルピボット軸に実質的に直角を成して取り付けられ、第2レバーピボット軸はハンドルピボット軸に実質的に直角を成して取り付けられる。
【0033】
伝達手段は有益には、第2配置相中のハンドルの移動速度が初期配置相中より高速であるように構成され得る。かくして、ハンドルの配置時間は、ユーザーがハンドルが配置状態になるまで長時間待たされないように最適化され得る。
伝達手段は、第3配置相中にハンドルが徐々に配置状態に停止するように構成され得る。かくして、ハンドルは見た目に上品且つエレガントに徐々に停止され得る。
ある実施形態では引込み式ハンドル構造は、ハンドルを格納位置に偏倚するように配置した戻りバネを含む。
随意的には、引込み式ハンドル構造は第2レバーアームをラッチ止め位置方向に偏倚させるように構成された戻りバネを含む。
【0034】
本発明の更に他の様相によれば、上述した如き引込み式ハンドル構造のハンドルを受ける切り欠き又は穴を含む外側パネルを含む車用の車体コンポーネントであって、切り欠き又は穴が外側パネルの縁部を画定し、ハンドルが格納位置にある時は、ハンドルが外側パネルの切り欠き又は穴の内部にぴったりと受けられ、ハンドルの外側表面が、切り欠き又は穴と一致する形状を有し且つ外側パネルと面一配置される車体コンポーネントが提供される。
随意的には、ハンドルと、切り欠き又は穴により画定される外側パネルの縁部との間に可撓性のシール部材が設けられる。
【0035】
本発明の更に尚他の様相によれば、モーター被駆動式の引込み式ハンドル構造の作動方法であって、引込み式ハンドル構造が、ハンドルを格納位置から配置位置に移動させる駆動手段を介してハンドルピボット軸を中心として可動のハンドルを含み、
前記方法は、
駆動手段を第1方向に作動させてハンドルを格納位置から配置位置に移動させるステップを含む方法が提供される。
引込み式ハンドル構造は随意的には、駆動手段を第1レバーに連結するように構成された伝達手段にして、第1レバーが、ハンドルを格納位置から配置位置に移動させるためにハンドルに連結した伝達手段を含み、前記方法は、
駆動手段を起動して伝達手段を第1方向に駆動させ、それにより、第1レバーアームをレバーピボット軸を中心としてピボット作動させてハンドルから伸延する作動部材の第1側部に係合させ、かくしてハンドルを格納位置から配置位置に移動させるステップを含む。
前記方法は随意的には、第2配置相中は初期配置相中より高速でハンドルを移動させるステップを含む。
【0036】
前記方法は、ある実施形態では、第3配置相中にハンドルを配置位置に徐々に停止させるステップを含み得る。
ある実施形態では前記方法は、ハンドルをハンドルピボット軸を中心として第1方向に回転させて配置位置から作動位置とし、それにより、第2レバーアームを作動部材の、第1側部とは反対側の第2側部に係合させるステップ、第2レバーアームを、ハンドルピボット軸に実質的に直角を成して取り付けた第2レバーピボット軸を中心として回転させ、それにより第2レバーアームがドア解放機構を作動するステップを含む。
【0037】
前記方法は随意的には、
ハンドルを、ハンドルピボット軸を中心として第2方向に回転させて配置位置から格納位置とするステップ、
モーターを起動して伝達手段を第2方向に駆動させ、それにより、
第1レバーアームをレバーピボット軸を中心としてピボット作動させ、かくしてハンドルを配置位置から格納位置に移動させるステップ、
を含む。
ある実施形態ではハンドルは、弾力性偏倚装置により格納位置に戻るよう偏倚され、前記方法は、
前記モーターを起動して伝達手段を第2方向に駆動させ、かくして前記弾力性偏倚装置がハンドルを配置位置から格納位置に移動できるようにするステップを含む。
【0038】
随意的にはハンドル構造は、ハンドルの移動を検出する又はハンドルに付加される力を検出するセンサを含み、前記方法は、
前記ハンドルの移動又はハンドルへの付加力を検出して駆動手段を第2方向に作動させ、それにより、
ハンドルを配置位置から格納位置に移動するステップを含む。
随意的にはハンドル構造は制御ユニットを含み、前記方法は、
ハンドルに付加される力又はハンドルの移動のパラメータ又は特性に基づいて、必要なアクションを判定するステップを含む。
【0039】
ある実施形態ではハンドル構造は車の各ドア又はその他クロージャに設けられ、各ドア又はその他クロージャはロック機構と、デッドロック機構とを含み、前記方法は、
ハンドルに付加される力又はハンドルの移動の予め定義されたパラメータを検出するステップ及び、
力又は移動が付加されるハンドル構造を含む車のドア又はその他クロージャ上に設けたロック機構を起動させるステップ、又は、
車の全てのドア又はその他クロージャ上に設けられたロック機構を起動させるステップ又は、
力又は移動が付加されるハンドル構造を含む車のドア又はその他クロージャ上に設けられたデッドロック機構を起動させるステップ又は、
車の全てのドア又はその他クロージャ上に設けられたデッドロック機構を起動させるステップ、
を含む。
【0040】
本発明の更に他の様相によれば、モーター被駆動式の引込み式ハンドル構造の作動方法であって、引込み式ハンドル構造が、ハンドルを格納位置から配置位置に移動させる駆動手段を介してハンドルピボット軸を中心として可動のハンドルを含み、前記方法は、
ハンドルを格納位置から配置位置に手動で移動し、それにより、ハンドルを駆動手段から分離させるステップを含む方法が提供される。
本発明の追加的様相によれば、上述した如きハンドル構造を有する車又は方法を使用するように適合された車が提供される。
車は、1つ又は1つ以上のドアと、個別の各ドア用のロック状態インジケータとして作用するハンドルとを含むことが好ましい。
本発明の範囲内で、本明細書、請求の範囲、及び又は、以下の詳細な説明及び図面、及び特にはその個別の特徴において、様相、実施形態、例、及び別態様における単独でのあるいは組み合わせにおいての種々の変更を成し得るものとする。1つの実施形態に関して記載される特徴は、その互換性がない限り、全ての実施形態に適用され得るものとする。
【発明の効果】
【0041】
従来問題の少なくとも幾つかを実質的に解消又は緩和する引込み式ハンドル構造が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、本発明の1実施形態に従う引込み式ドアハンドル構造を備える車のドアの、ドアハンドルを格納位置で示す部分外観斜視図である。
図2図2は、図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の正面図である。
図3図3は、図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の後方正面図である。
図4図4は、ドアハンドルを配置状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の上面図である。
図5図5は、ドアハンドルを配置状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の後方正面図である。
図6図6は、ドアハンドルを配置状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の、下方から見た斜視図である。
図7図7は、ドアハンドルを作動状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の上面図である。
図8図8は、ドアハンドルを作動状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の後方正面図である。
図9図9は、ドアハンドルを配置状態で示す図1の引込み式ドアハンドル構造の機構の下方から見た斜視図である。
図10図10は、図1の引込み式ハンドル構造の作動を制御するシステムの1実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の引込み式ハンドル構造、方法及び車の特定実施形態を以下に説明する。記載される実施形態は本発明を実施可能な特定様相を例示するものであるに過ぎず、本発明の全てを具現化したものではない。実際、ここに記載する引込み式ハンドル構造、方法及び車は種々の且つ別形態において具現化され得る。図面は縮尺通りではなく、幾つかの特徴部は特定コンポーネントの詳細を示すために誇張又は矮小化され得る。よく知られたコンポーネント、材料又は方法については本発明の開示の不明瞭化を回避するべくその詳細は記されない。ここに記載する特定構造及び機能の詳細は請求項に対する根拠であり且つ当業者に本発明の使用の多様性を教示するための代表的根拠であって限定的に解釈されるべきではない。
【0044】
図1を参照するに、本発明の1実施形態の引込み式ハンドル構造1が示され、ドアハンドル10は引込み式であり、車のドアに関してフラッシュマウントされている。本図ではドアを表すドアスキン12は塗装されている。引込み式の引込み式ハンドル構造1はユーザーインタラクションに応じて自動または手動で配置されるように作動自在のハンドル10を提供し、ハンドル10は格納状態から配置位置に配置される。ハンドル10は、配置位置又は少なくとも部分的に配置した位置では、ドアラッチを解放させる作動位置に移動するよう作動自在である。ハンドル10が配置位置にあるとドアはアンロックされる。
【0045】
ドアスキン12には、ハンドル10をぴったりと受ける水平方向に伸延する長孔14が貫通される。ハンドル10の外側表面16は長孔14に合致する形状を有し、ハンドル10は図1に示すように格納されると周囲のドアスキン12と面一状態に配置される。ハンドル10の長孔14及び外側表面16の形状は審美的理由により選択され、機能的な意味はほとんど無い。
図面の明瞭化のために対比的色調で示されるが、ハンドル10の少なくとも外側表面16、そして恐らくはハンドル10全体は車体と同一色で塗装される。それに代えて、やはり審美上の理由からその他の仕上げを選択できるのは言うまでもない。
【0046】
図2、3及び4を参照するに、引込み式ハンドル構造1が示され、以下に詳しく説明するように、ハンドル10を格納状態(格納状況及び格納位置とも称する)と、配置状態(配置状況及び配置位置とも称する)との間で移動させるように作動自在の機構18を含んでいる。
ハンドル10はハウジング3内に設けられ、ハウジング3はハンドル10を受ける孔を有する。ハンドル10と、ハウジング3、及び又は、ドアスキン12との間のシールを構成するシール要素4が設けられる。ハンドル10は細長部材であり、第1端部20及び第2端部22を有する。第1端部20に近接してピボット手段24が配置され、このピボット手段24は、ハンドル10が格納状態と、配置状態との間で移動する際にハンドル10がその周囲を回転する軸を画定する。ある実施形態ではピボット手段24上に、ハンドル10を格納位置に向けて偏倚させる戻りバネ26が設けられる。ハンドル10の、外側表面16とは反対側に配置した内側表面から垂直に作動部材28が突出する。作動部材28は第1端部20からハンドル10の長さ方向に沿ってピボット手段24と実質的に同一距離位置に配置される。
【0047】
機構18は、伝達手段32に連結したモーター30を含む。伝達手段32はピストン34と、レバーアーム38とを含む。ピストン34は、モーター30内への埃又は水分の侵入を防止又は低減させる膨張性のシール部材36にして、グリス等の潤滑材を保持するようにも作用し得るシール部材36により包囲され得る。ピストン34は、ラック、クランク機構又はカムによりモーター30に連結され得、ラックを用いる場合はピニオンギヤ又はウォームギヤを使用してラックを直線駆動させ得る。カム機構を用いる場合はピストン34を伸張又は引き込む力及び速度を制御又は調節し得る利点がある。他の実施形態ではレバーアーム38はカム機構に直結され得る。ここに参照することによりその全体を本明細書の一部とする、本願と同一出願人の、“RETRACTABLE HANDLE ARRANGEMENT FOR A DOOR OR THE LIKE”と題するGB1110487.4及びPCT/EP2012/062040には、ピボット動作するレバーアーム38に好適なそのようなカム機構が記載される。
【0048】
レバーアーム38は第1端部44及び第2端部46を有し、ピストン34の移動方向に少なくとも実質的に直角を成すレバーアーム軸40中心としてピボット取り付けされる。レバーアーム軸40は、レバーアーム38の実質的に第2端部46の位置又は前記第2端部46に近接する位置で第2端部46に向けて配置される。ピストン34は、レバーアーム38の実質的に第1端部44の位置又は前記第1端部44に近接する位置でレバーアーム38の第1表面に接触する。ハンドル10の作動部材28は、レバーアーム軸40と、レバーアーム38の第1端部44との間でレバーアーム38に接触する。ハンドル10の作動部材28は、レバーアーム38の、第1表面とは反対側の第2表面上でレバーアーム38と接触し、ハンドル10の作動部材28と、レバーアーム38との間の接触点はレバーアーム38の第2端部46に向けて配置される。
【0049】
レバーアーム38は、レバーアーム38が偏倚されて格納位置に戻るように、図4に示す如く戻りバネ17によりピストン34に抗して偏倚される。ある実施形態では戻りバネ17は作動部材28と係合するように構成及び配置され、レバーアーム38と、作動部材28とが共に戻りバネ17により偏倚されて格納位置に戻るように、レバーアーム38に抗して作動部材28を偏倚させる。
引込み式ハンドル構造1は、作動部材28の、レバーアーム38とは反対の側部に配置した第2レバーアーム42を含む。第2レバーアーム42は第1端部43及び第2端部47を有し、ピストン34の移動方向に実質的に直角を成すレバーアーム軸41を中心としてピボット取り付けされる。レバーアーム軸41は、第2レバーアーム42の第2端部47の位置又は第2端部47に近接する位置で第2端部47に向けて配置される。
【0050】
ある実施形態では第2レバーアーム42はその格納状況では作動部材28から離間、つまり、物理的に接触しない状態とされる。ハンドル10が配置位置に配置されると作動部材28は実質的に第2レバーアーム42部分と接触又は少なくとも非常に接近するように回転する。他の実施形態では第2レバーアーム42はその格納位置では戻りバネ19によって作動部材28に抗して偏倚され、戻りバネ19は、第2レバーアーム42が作動部材28に作用することから、ハンドル10の格納位置への戻りを容易化する。他の実施形態では第2レバーアーム42は、ハンドル10が、従って作動部材28が配置位置から作動位置に移動する際に作動部材28に抗してのみ偏倚される。引込み式ハンドル構造1は、作動部材28がその配置位置から格納位置に戻る際に第2レバーアーム42が作動部材28に対向作用するのを防止する端部ストッパを含み得る。
【0051】
ハンドル10の作動部材28はその配置位置ではレバーアーム軸41と、第2レバーアーム42の第1端部43との間で第2レバーアーム42と実質的に接触する。ハンドル10の作動部材28と、第2レバーアーム42との接触点は第2レバーアーム42の第2端部47に向けて配置される。
第2レバーアーム42には、前記第2レバーアーム42の実質的に第1端部43の位置に配置した孔A1が設けられる。孔A1は、ドアラッチ(図示せず)に連結したボーデンケーブル等の連結部材74(図8に示す)に連結される。
レバーアーム38は第2クラスレバーを、他方、第2レバーアーム42は第3クラスレバーを構成することを認識されよう。
【0052】
引込み式ハンドル構造1は複数のマイクロスイッチM1、M2、M3、M4を含む。マイクロスイッチM1、M2、M3、M4及びスイッチ15は、ワイヤハーネス7により制御モジュール54(図10に示す)に電気的に接続される。
マイクロスイッチM1は第1端部44に向けてレバーアーム38上に取り付けられ、レバーアーム38上にはバネ機構45が、マイクロスイッチM1と、ピストン34との間に取り付けられる。ハンドル10が配置状況にある場合、マイクロスイッチM1はユーザーがハンドルを格納位置方向に押す方向でハンドル10に力を行使することで起動される。こうするとバネ機構45がピストン34の端部に押し付けられてマイクロスイッチM1に作用する。バネ機構45はユーザーにスイッチ起動を知らせる触覚フィードバックを提供し、ある実施形態ではバネ機構45がその非偏倚状況に戻る際の可聴クリック音もユーザーへのフィードバックを提供し得る。制御モジュール54は、マイクロスイッチM1が起動されるのに応答して、引込み式ハンドル構造1に対し、ハンドル10を格納位置に戻してドアをロックするように指令する構成及び配置を有する。ある実施形態では引込み式ハンドル構造は、聴覚又は触覚フィードバックに加えて又は代えて、例えば、引込み式ハンドル構造上又は車の何れかの場所に取り付けたライトを作動させる事による視覚フィードバックを提供し得る。ある実施形態では聴覚フィードバックは、例えば車に取り付けたセキュリティシステムが発生させ得る電子ビープ音又はその他ノイズの形態を取り得る。
【0053】
マイクロスイッチM2は制限スイッチであり、レバーアーム38がその配置位置に駆動される際にレバーアーム38により起動される。制御モジュール54は、マイクロスイッチM2が起動されるとモーター30にピストン34の伸張を停止させるように指令する構成及び配置を有する。
マイクロスイッチM3は制限スイッチであり、レバーアーム38がその格納位置に戻る際にレバーアーム38により起動される。制御モジュール54は、マイクロスイッチM3が起動されるとモーター30にピストン34の引込み停止を指令する構成及び配置を有する。
マイクロスイッチM4は随意的なものであり、ハンドル10が配置位置から作動位置に移動する際又はそれ以前に1つの機能を起動させるために使用され得、マイクロスイッチM4は例えば、フレームレス式ドアウィンドウ(そのようなウィンドウは一般に車体又はフレーム内に伸延してシールを形成し、ドアを開けるには、ドア内にウィンドウを少なくとも部分的に引き込ませてウィンドウを車体又はフレームから引き出す必要がある)を含む車に設け得る。制御モジュール54は、マイクロスイッチM4が起動されるとウィンドウシステムにウィンドウをドア内に引き込ませるように指令する構成及び配置を有する。
【0054】
別の実施形態ではマイクロスイッチM4は省略され得、システムは、ハンドル10を配置位置に配置する要求を検出し、ドアウィンドウを車体又はフレームから引き出すためのドアウィンドウの移動を開始させるようにプログラムされ得る。あるいはシステムは、ハンドル10を配置させる指令を受けると、ドアを開放させ得るに十分なだけ部分的にドアウィンドウを引き込む又は降下させる指令をそれ用のアクチュエータに送るように構成され得る。このアクチュエータは、ハンドルを配置させ且つドアを開放させ得るに十分なだけドアウィンドウを部分的に引き込む又は降下させるために使用可能であり、その場合、ウィンドウはハンドルが配置されると自動的に部分的に引込み又は降下され得る。そのような実施形態では、ドアウィンドウはハンドル10が完全配置位置に至る前に引き込まれることが想定されるため、ドアウィンドウが車体又はフレーム内部に上昇する間にユーザーがドアを開放させる恐れが低下される。
【0055】
図1、2、3に例示する格納状態では、ハンドル10の外側表面16は周囲ドアスキン12と面一配置されている。ハンドル10は、種々の事象に応答してその格納状態から配置状態に自動的に駆動され得る。例えば、この移動は、車の合鍵からの又は車の至近距離に存在する合鍵を検出する存在センサからのアンロック信号に応答したものであり得る。その逆にハンドル10は、車を施錠した合鍵からの又は合鍵が車の至近距離に残されていると判定する存在センサからのロック信号に応答してその配置位置から格納位置に戻るように自動的に駆動又は偏倚され得る。ハンドル10は、ユーザーによるその後のアクション、例えば、車のドア上のスイッチ(図1には示されない)を押すアクションに応答してその格納位置と、配置位置との間をトグル作動され得る。
【0056】
図4、5、6を参照するに、ハンドル10はその配置位置で、ハンドルの第2端部22が、ユーザーが指を置けるに十分な量で長孔14(図4、5、6には示されない)からハンドル10の周囲に突出するよう、戻りバネ17、及び又は、戻りバネ26の偏倚力に抗してピボット手段24の周囲で回転される。
図4、5、6に示す本発明の実施形態の引込み式ハンドル構造1は、ハンドル10の長手方向に沿って、及び第2端部22の一部に沿って内側表面に実質的に直角を成して伸延する上部カバー部分72を含む。
上部カバー部分72が存在するため、ユーザーは関連するドアを開放させるにはハンドル10をアンダーハンドで把持する必要がある。このハンドル構成の、先に説明したバータイプのハンドルに勝る利点は、ハンドルが配置位置にある場合は、上部カバー部分72により、ハンドル10への衣服、バッグストラップ等のループ絡みが防止され得ることである。従って、そのようなハンドルによれば安全面での向上が提供される。
【0057】
先に説明したように、ハンドル10が作動状況にあるとドアは開放される。図7、8、9に示すような作動状況は、ハンドル10が配置位置を越えてピボット手段24の周囲で更に回転された位置に相当する。引込み式ハンドル構造1の作動を以下に詳しく説明する。
図3、4、5を参照するに、ハンドル10が格納位置にあるとレバーアーム38及び第2レバーアーム42は実質的に垂直に配置される。戻りバネ26、及び又は、戻りバネ17は、ハンドル10をその格納位置方向に偏倚させるように作用する。従って、ハンドル10の作動部材28はレバーアーム38に押し付けられ、それによりレバーアーム38の第1端部44がピストン34に押し付けられる。ハンドル10を配置するためにモーター30を駆動させるとピストン34が図5に示す如く矢印D1方向に伸張する。
【0058】
図4、5、6を参照するに、ピストン34が伸張するとレバーアーム38がレバーアーム軸40を中心としてピボット作動する。レバーアーム38の第1端部44が図5に示す如く矢印D2方向に移動する。レバーアーム38はハンドル10の作動部材28に押し当てられ、かくしてハンドル10を配置位置に達するまで図4に示す如き矢印D3の方向でピボット手段24の周囲で回転させ、ハンドルが配置位置に到達するとマイクロスイッチM3が起動してモーター30を停止させる。
モーター30及びレバーアーム38は、湿潤且つ凍結条件下でハンドル10の氷を割る(約200Nの力を要する)に十分であるようなものが選択される。
【0059】
ハンドル10を配置位置から格納位置に戻すためにはモーター30を逆転作動させ、ピストン34を図5の矢印D1とは逆方向に引き込ませる。戻りバネ26、及び又は、戻りバネ17の偏倚力によりハンドル10は格納位置方向に移動する。ハンドル10が引き込まれるに従い、作動部材28がレバーアーム38を回転させて図3に示すその初期位置に戻す。従って、ハンドル10の引込み中、モーター30が作動しても機構18はハンドル10に閉鎖力を付加しない。これは、引込み中のハンドル10をユーザーが保持している場合にユーザーの手に対する反力が戻りバネ26、17の反力に限定される点で有益である。
ユーザーはハンドル10の、第2端部22と、ピボット手段24との間を押してマイクロスイッチM1を起動させることでハンドル10の引込みを開始させ得る。
ハンドルの配置速度は、モーター30の速度を調節することで変更させ得、この調節はモーター30への供給電圧を低下させることで達成できる。ある実施形態では、供給電圧を有効にオンオフさせてモーター30を横断する有効電圧を低下させる信号を用いて供給電圧を調節することで達成される。初期配置相中において、ハンドル10は比較的ゆっくり移動する。第2配置相では供給電圧が増加される。これにより、ハンドル10はより高速で移動する。
【0060】
本発明の更に他の実施形態では、供給電圧はハンドル10の第3配置相が生じるように調節される。詳しくは、供給電圧は第2配置相の後に低下される。従って、ハンドル10は、第2配置相中に素早く移動した後、第3配置相中はその配置位置で停止するまで徐々にスローダウンし、かくして心地よい審美的効果が創出される。
初期、第2及び第3の配置相を参照して説明したが、供給電圧は各配置相間に連続的に移行するように調節され得る。
【0061】
図7、8、9を参照するに、ドアを開けるにはユーザーは、ハンドル10をピボット手段24の周囲でピボット作動させてハンドル10を作動させ、ハンドル10の第2端部22を、ハンドル10が作動位置に到達するまで矢印D4で示す方向に引く。こうすると作動部材28は矢印D5で示す方向に回転して第2レバーアーム42と係合し、第2レバーアーム42を矢印D6で示す方向にピボット軸41の周囲をピボット作動させる。かくして第2レバーアーム42が連結部材74を引いてドアラッチを解放させる。連結部材74はクリップ8、9によりハウジング3に装着される。ユーザーがハンドル10を離すと戻りバネ19が第2レバーアーム42に作用して第2レバーアーム42をその配置位置に戻し、これにより第2レバーアーム42が作動部材28に作用してハンドル10をその配置位置に戻す。作動部材28はその配置位置に戻り、この配置位置でレバーアーム38と接触する。
【0062】
図2を参照するに、ハンドル10はその外側表面16上に配置したアンロックボタン49をも含み、アンロックボタン49はスイッチ又はセンサ15に連結される。アンロックボタン49は接触感知ボタン、即ち、容量センサであり得、あるいは、マイクロスイッチであり得る。アンロックボタン49の全機能については以下に詳しく説明される。しかしながら、ハンドル10上におけるアンロックボタン49の位置はユーザーに対して直覚的であり且つ引込み式ハンドル構造1の誤使用の恐れが低減されるように選択される。
【0063】
アンロックボタン49はハンドル10の第1端部20に隣り合って配置される。先に説明したように、ユーザーがハンドル10を操作する際、ユーザーの親指は代表的には第1端部20に位置付けられる。かくして、ユーザーが親指でアンロックボタン49を押すと関連するドアがアンロックされてハンドル10がその配置位置に移動し、ユーザーの手は自然に、配置されたハンドル10を把持し、ハンドルをその作動位置に引いてドアを開けるために容易で且つ好都合であるように位置決めされる。
【0064】
更に、アンロックボタン49は、ユーザーが、例えばモーター30への電力喪失時に手動でハンドル10を配置させる必要がある場合に有益であるように位置決めされる。この場合、ユーザーがアンロックボタン49に圧力を加えると関連するドアは先に説明した如くアンロックされる。次いで、ユーザーがアンロックボタン49に更に強い圧力を加えるとハンドル10は戻りバネ26の偏倚力に抗してピボット手段24の周囲で回転する。ハンドルの第2端部22が長孔14から突出するとユーザーはハンドル10を把持し、ハンドルをその作動位置に引いてドアを開けることができる。従って、ユーザーは、高度の熟練を要するもっと複雑なアクションを必要とすることなく、アンロックボタン49を単に押すだけでハンドル10を手動で配置させ得る。ユーザーは、例えば、ハンドル10の第1端部20と、ピボット手段24との間部分に片方の手の親指で力を加え、その後、ハンドル10の第2端部22と、ピボット手段24との間部分を同じ手の1本又は1本以上の指で把持する又は引くことでハンドル10を片手で配置させ得る。ハンドル10は手動的又は自動的にその格納位置から配置位置に移動され得る。
【0065】
他の実施形態ではアンロックボタン49は第2端部22に近接して位置付けられ得、ユーザーは片手でハンドル10を配置及び作動させ得、ユーザーは親指で、ハンドル10が自動的に配置されるようにアンロックボタン49を押すことが出来、その後、ユーザーは同じ手の1本又は1本以上の指で第2端部22と、ピボット手段24との間部分を把持してハンドル10を操作し得る。
図2に示す実施形態ではピボット手段24は、第1端部20が車に関して最前方に配置され、ユーザーが片手操作する際にハンドル10をアンダーハンドで、言い換えれば右手で下側から把持することを想定して、第2端部22よりも第1端部20に接近して位置付けられる。
【0066】
他の実施形態ではその他の構成、例えば、これに限定しないが、ピボット手段24を第2端部22よりも第1端部20に接近して位置付け、ユーザーが片手操作する際にハンドル10をオーバーハンドで、言い換えれば右手で上側から把持することを想定して、第2端部22を最前方に配置し得る。あるいはピボット手段24は、第1端部20が最前方に配置され得、ユーザーが片手操作する際にハンドル10をアンダーハンドで、言い換えれば左手で下側から把持することを想定して、第1端部20よりも第2端部22に接近して位置付け得る。更に他の実施形態ではピボット手段24は、第2端部22が車に関して最前部に配置され得、ユーザーが片手操作する際にハンドル10をオーバーハンドで、言い換えれば、左手で上から把持することを想定して、第1端部20より第2端部22により接近して配置され得る。
【0067】
更に、上述した構成によれば、アンロックボタン49の機能は引込み式ハンドル構造1の操作に不慣れなユーザーにとって直覚的なものとなる。詳しくは、ハンドル10の第1端部20位置に存在するアンロックボタン49の位置は、ハンドル10上のこの位置を押すことでハンドル10がその格納位置から配置位置に移動することから、ユーザーにドアの開放を連想させる。ロック機能を作動させるためにはユーザーにはハンドル10を格納位置に押すことのみが要求され、バネ機構45がハンドル10の所定程度の移動を許容し、その移動の間、ピストン34及びモーター30への伝達力が制限され、かくして、ピストン34、モーター30、及び又は、その間の駆動機構部分への損傷の恐れが低減される。
【0068】
図10を参照するに、上述した種類の引込み式ハンドル構造1の制御用システムが示され、車の各引込み式ハンドル構造1の機構18を制御する制御モジュール54を含んでいる。図7では片手構成のみを示すが、車の各ドアに引込み式ハンドル構造1を設け得ることを認識されよう。
制御モジュール54は、無線通信モジュール56、車速センサ58、車警報システム60、車のキャビン内のドアロック及びアンロックボタン62、ハンドル照明64、ドアアジャースイッチ66にも連結される。無線通信モジュール56は車のキーフォブ68からの信号を受けるように作動自在である。キーフォブ26には、各ドアロック及びアンロックボタンと、ユーザーが関連するボタンを押すのに応じて各ロック及びアンロック信号を無線通信モジュール56に送る手段とが設けられる。無線通信モジュール56は、車のターゲット距離(代表的には1〜2m)範囲内に存在する、パッシブエントリーを可能にするスマートキー70の存在を検出するようにも作動自在である。車のドライバー用ドアは、ドライバー用ドアハンドルの裏側に随意的に位置決めしたキーバレル50を介して、車外から機械的にロック又はアンロックさせることも出来る。かくして、キーバレル50はハンドルを配置位置又は作動位置に移動すると露呈され得る。キーバレル50は、ロックレバー51の一端に装着したボーデンケーブル等の連結要素75により車のドアロック(あるいはその他機能)に連結される。キーバレル50はハウジング3内の孔を通過し、ロックレバー51はキーバレル50の内側端部に装着される。
【0069】
各引込み式ハンドル構造1は、ハンドル10及びその直近の周囲部分を照明して薄暗い状況下でのドア開放を容易化するためのLED等の照明64を含み得る。ある実施形態ではLEDはハンドル10の下端部に近接してハンドル10の内側表面に取り付けられ得、上部カバー部分72から遠い下方ポイント部分を照明するように構成される。更に他の実施形態ではLEDはパッケージ空間上可能である限りにおいて異なる位置に取り付けられ、光ファイバケーブルあるいはその他の好適な光チャネリング装置の一端がLEDに連結される。光ファイバケーブルの他端はハンドル10の下端部に近接してハンドル10の内側表面に取り付けられ且つ上部カバー部分72から遠い下方ポイント部分を照明するように構成される。各引込み式ハンドル構造1は、ハンドル10の格納位置及び配置位置をそれぞれ検出する一対の制限スイッチをも含み得る。
【0070】
以下に制御モジュール54の操作を詳しく説明する。
車が駐車している場合、各ハンドル10はその関連するドアがロックされていると格納位置、即ち、ドアスキン12と面一配置され、各ハンドル10はその関連するドアがアンロックされると配置位置を取る。かくして、ハンドル10の配置はアンロック操作によって開始され、ハンドル10の引込みはロック操作により開始される。
ロック及びアンロックはキーフォブ68上のロックボタン及びアンロックボタンの何れかを使用することにより、又は各ハンドル10上に設けたパッシブエントリー用のアンロックボタン49を使用すること、及びハンドル10を押してマイクロスイッチM1を起動させることにより開始される。随意的にはロックボタン(図示せず)はハンドル上に設け得、ロックボタンはハンドルの外側表面16上の、ハンドル10の実質的にピボット点位置に位置付け得る。更に詳しくは、パッシブエントリーを介してのアクセス用にはユーザーはスマートキー70を携行する。スマートキー70が特定のドアハンドル10のターゲット範囲(代表的には1〜2m)内に有る場合にドアアンロックボタン49を操作すると、制御モジュール54は無線通信モジュール56を介して信号を受けることでスマートキー70の存在を認証するように作動自在であり、アンロックされた全てのドアのハンドル10が配置位置とされる。これによりユーザーはアンロックされたドアの関連するハンドル10をその配置位置から図7、8、9に示すような作動位置に引いてドアラッチを外すことで、アンロックされたドアを開けることが出来る。各ハンドル10は関連するドアがロックされると格納位置に戻る。これは、ユーザーがハンドル10上に圧力を付加する又は押すことにより、又は車のキャビン内のドアロック及びアンロックボタン62、又はキーフォブ68上のロックボタンにより達成され得る。
【0071】
ある実施形態ではハンドル10の格納位置から配置位置への配置は、ハンドル10が格納位置にある間にユーザーがハンドル10の第2端部22と、ピボット手段24との間部分を押し、ハンドルの第2端部22がドアキャビティ内方に付勢されてマイクロスイッチM1を起動させることにより開始される。
従って、各ハンドル10の配置位置は、個別の各ドア用のロック状態インジケータとして作用する。この作用は、全てのドアの全てのハンドル10がロック又はアンロック状態を問わず格納される車の走行時は除外される。アンロック状態のドアのハンドル10は、車が車速センサ58により判定され得る閾値速度、例えば毎時5マイル(毎時約8km)を越えると格納位置に引き込まれ得る。その後、アンロック状態のドアのハンドル10は車の走行中は格納位置のままとされ、車が静止しており且つ(i)何れか1つのドアが内側から開けられた(各ドアに設けたドアアジャースイッチ66により判定され得る)場合、(ii)スマートキー70が存在しなくとも、アンロック状態のドアのハンドルのアンロックボタン49が誰かに操作された場合(乗員を乗車させる際等)又は(iii)キャビン内のドアロック及びアンロックボタン62が押された場合、の何れかであると判定された場合にのみ、再度配置位置とされる。
【0072】
ハンドル10を車の方向に押してマイクロスイッチM1を起動される又は随意的なロックボタンを押すと車は全体的にロックされ、もし該当するならば車警報システム60がセットされる。ハンドル10又はロックボタンを所定時間長、例えば3秒以内にもう一度押すとデッドロック装置が起動される。ハンドル10はハンドル10又はロックボタンの一回目の押し込みに応答して格納状態に引き込められる。“グローバルクローズ”はハンドル10又はロックボタンを押し且つ保持することによる影響を受ける、即ち、これにより、開放されたウィンドウは自動閉鎖され、もしその車が該当するならば引込み式ルーフ等が配置位置とされる。
ハンドルの照明64は車をアンロックするとスイッチオンされ、車をロックさせるとスイッチオフされる。車が所定時間長、例えば20秒以上アンロック状態のままであるとシステムは照明64を消灯させるように構成される。また照明64は、イグニションをオン又は回転してオンにすると起動されない又は消灯される。
【0073】
ユーザーは、配置状態のハンドル10を作動状態に引き出すに十分把持できるのであれば、ドアを開ける前にハンドルのアンロックボタン49を押した後にハンドル10が完全に配置されるのを待つ必要はない。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。例えば、本発明のその他実施形態では、ハンドル10はアンダーハンド又はオーバーハンドで把持できるバータイプハンドルである。そのようなバータイプハンドルの場合、ハンドルをその配置位置から作動状態に引く際、ユーザーは親指を代表的にはハンドル10の第1端部20に向けて位置決めする。
【符号の説明】
【0074】
1 引込み式ハンドル構造
3 ハウジング
4 シール要素
7 ワイヤハーネス
8 クリップ
10 ハンドル
12 ドアスキン
14 長孔
15 スイッチ/センサ
16 外側表面
17 戻りバネ
18 機構
19 機構/戻りバネ
20 第1端部
22 第2端部
24 ピボット手段
26 戻りバネ
26 キーフォブ
28 作動部材
30 モーター
32 伝達手段
33 第2端部
34 ピストン
36 シール部材
38 レバーアーム
40 レバーアーム軸
41 レバーアーム軸
41 ピボット軸
42 第2レバーアーム
43、44 第1端部
45 バネ機構
46、47 第2端部
49 アンロックボタン
50 キーバレル
51 ロックレバー
54 制御モジュール/制御ユニット
56 無線通信モジュール
58 車速センサ
59 アンロックボタン
60 車警報システム
62 ドアロック及びアンロックボタン
64 ハンドル照明
66 ドアアジャースイッチ
68 キーフォブ
70 スマートキー
72 上部カバー部分
74 連結部材
75 連結要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10