(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、フィルター包装紙であり、前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、樹脂層で形成される請求項1から3のいずれか1項に記載のシガレット。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[参考形態]
以下にシガレットの参考形態について説明する。この参考形態では、香料カプセルは、フィルターを構成する濾材に直接埋め込まれていてもよいし(第1態様)、複数のフィルタープラグ間に形成された中空部に配置されていてもよい(第2態様)。
【0010】
図1に示すように、参考形態の第1態様に係るシガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙13を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0011】
フィルター15は、単一のフィルタープラグ17と、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたフィルター包装紙21と、フィルター15内(フィルタープラグ17内)に埋め込まれて位置し、皮膜22内に香料を含む内容液を保持する香料カプセル23と、を含んでいる。第1態様では、フィルター包装紙21およびチップペーパー16の少なくとも一方の紙が、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する。
【0012】
図2に示すように、参考形態の第2態様に係るシガレット11は、たばこ充填材12およびたばこ充填材12の周囲に巻かれた巻紙13を含むたばこロッド14と、フィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを接続するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を有する。
【0013】
フィルター15は、互いに離間し中空部24を介して配置された2つのフィルタープラグ17と、2つのフィルタープラグ17に跨りフィルタープラグ17間に中空部24を形成するように2つのフィルタープラグ17の周囲に巻かれたフィルター包装紙21と、中空部24内に位置し皮膜22内に香料を含む内容液を保持する香料カプセル23とを、含んでいる。
【0014】
第2態様では、フィルター包装紙21およびチップペーパー16の少なくとも一方の紙が、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する。
【0015】
以下は、特に明示しない限り、上述の2つの態様についての説明である。
【0016】
0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙は、フィルター包装紙21やチップペーパー16に一般に使用される紙と比較して、密度および厚さが大きく、かかる密度と厚さにより高いカプセル破砕性能を有する。
【0017】
本明細書において、紙の密度は、シガレット作成の原料となる紙の坪量および厚さを、それぞれJIS P 8124およびJIS P 8118に規定される方法により測定し、得られた値を下記式に当てはめることにより求めた値を指す。すなわち、「密度(g/cm
3)=坪量(g/m
2)/厚さ(mm)×1000…(式2)」である。
【0018】
なお、フィルター包装紙21として0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を使用した場合、チップペーパー16は、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を使用してもよいし、一般にチップペーパー16として使用される通常の密度と厚みを有する紙を使用してもよい。同様に、チップペーパー16として0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を使用した場合、フィルター包装紙21は、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を使用してもよいし、一般にフィルター包装紙21として使用される通常の密度と厚みを有する紙を使用してもよい。
【0019】
本参考形態では、フィルター包装紙21およびチップペーパー16の少なくとも一方の紙が、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有し、好ましくは、0.7〜1.0g/cm
3の密度および180〜250μmの厚さを有し、より好ましくは、0.8〜1.0g/cm
3の密度および240〜250μmの厚さを有する。
【0020】
紙の厚さが100〜250μmの範囲内であったとしても、密度が0.5g/cm
3より小さいと、香料カプセル23の破砕時に、紙が変形して折れやすく、指にかかる圧力が局所に集中するため、香料カプセル23を破砕しにくくなる。また、密度が1.0g/cm
3より大きいと、紙の製造コストが高くなるため好ましくない。紙の密度は、カプセル内容液の染み出しを防止するためには、0.5〜1.0g/cm
3の範囲内において大きいことが望ましい。
【0021】
紙の密度が0.5〜1.0g/cm
3の範囲内であったとしても、厚さが100μmより小さいと、香料カプセル23の破砕時に、紙が変形して折れやすく、指にかかる圧力が局所に集中するため、香料カプセル23を破砕しにくくなる。また、厚さが250μmより大きいと、シガレット製造の巻き工程を行うことが難しくなるとともに、香料カプセル23を割った感触を得にくくなる。
【0022】
第1態様におけるフィルター包装紙21は、巻取紙とも呼ばれ、同様に、巻取紙に0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を採用した場合、坪量は50〜250g/m
2、通気度は0〜30000CUとすることができる。第1態様において、香料カプセル23内の液体がシガレット11外部に染み出すことを防止する目的で、フィルター包装紙21の通気度を0とすることができる。
【0023】
第2態様におけるフィルター包装紙21は、成形紙とも呼ばれる。0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙をフィルター包装紙21に採用した場合、一般に、坪量は50〜250g/m
2、通気度は0〜30000CUとすることができる。第2態様では、香料カプセル23がフィルター15の中空部24に位置するため、香料カプセル23内の液体がシガレット11外部に染み出すことを防止する目的で、フィルター包装紙21の通気度を0とすることが特に好ましい。0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙をフィルター包装紙21に採用した場合、チップペーパー16は、一般にチップペーパー16として使用される通常の密度と厚みを有する紙とすることができる。この場合、チップペーパー16の坪量を例えば、20〜60g/m
2とし、その厚みを例えば、20〜60μmとすることができる。
【0024】
本参考形態の第1態様では、香料カプセル23は、フィルタープラグ17内に埋め込まれており、第2態様では、香料カプセル23は、フィルタープラグ17間の中空部24に収容されている。香料カプセル23は、フィルター15内に1個存在していてもよいし、複数個(たとえば2〜10個)存在していてもよい。香料カプセル23が中空部24に収容されている場合、中空部24の1つあたり1個の香料カプセル23が収容されていてもよいし、複数個(たとえば2〜10個)の香料カプセル23が収容されていてもよい。
【0025】
香料カプセル23は、皮膜22と香料を含有する内容液25とから構成される。皮膜22には、たとえばデンプン、デキストリン、多糖類、寒天、ジェランガム、ゼラチン、各種天然ゲル化剤、グリセリン、ソルビトール、塩化カルシウムなどを用いることができ、さらに香料や着色料を含むことができる。香料カプセル23は、不透明度を有するフィルター包装紙21やチップペーパー16に囲まれていても香料カプセル23をつぶす際に喫煙者が認識できるように着色されていることが好ましく、皮膜22に着色料、たとえば青色1号等を含むことが好ましい。
【0026】
内容液25の香料としては、たとえばメンソール、植物精油などの喫煙物品に用いられる任意の香料を用いることができる。主な香料としては、メンソール、葉たばこ抽出エキス、天然植物性香料(例えば、シナモン、セージ、ハーブ、カモミール、葛草、甘茶、クローブ、ラベンダー、カルダモン、チョウジ、ナツメグ、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズ油、レモン、オレンジ、ケイ皮、キャラウェー、ジャスミン、ジンジャー、コリアンダー、バニラエキス、スペアミント、ペパーミント、カシア、コーヒー、セロリー、カスカリラ、サンダルウッド、ココア、イランイラン、フェンネル、アニス、リコリス、セントジョンズブレッド、スモモエキス、ピーチエキス等)、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、異性化糖、カラメル等)、ココア類(パウダー、エキス等)、エステル類(例えば、酢酸イソアミル、酢酸リナリル、プロピオン酸イソアミル、酪酸リナリル等)、ケトン類(例えば、メントン、イオノン、ダマセノン、エチルマルトール等)、アルコール類(例えば、ゲラニオール、リナロール、アネトール、オイゲノール等)、アルデヒド類(例えば、バニリン、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド等)、ラクトン類(例えば、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン等)、動物性香料(例えば、ムスク、アンバーグリス、シベット、カストリウム等)、炭化水素類(例えば、リモネン、ピネン等)が挙げられる。これら香料は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
【0027】
内容液25の溶媒としては、香料に適した溶媒を用いることができ、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)(具体的には、トリカプリル/カプリン酸グリセリン)、プロピレングリコール、水、エタノールなどを用いることができる。内容液25は、さらに他の溶媒、色素、乳化剤、増粘剤などの他の添加剤を含有していてもよい。
【0028】
香料カプセル23の製造方法は特に限定されないが、たとえば滴下法を用いればシームレスな皮膜22を有する香料カプセル23を製造することができる。この方法では、二重ノズルを用い、内側ノズルから内容液25を、外側ノズルから液状の皮膜物質を同時に吐出させることにより、皮膜液が、継ぎ目を有することなく内容液を包み込むことができる。
【0029】
香料カプセル23は、たとえば、球体または円筒体の形状を有することができ、ここで球体は、断面がほぼ円である球体および断面が楕円である楕円体の何れも含む。香料カプセル23は、好ましくは、断面がほぼ円である球体の形状を有する。香料カプセル23は、断面がほぼ円である球体の場合、たとえば直径1.0〜8.0mmとすることができ、楕円体の場合、たとえば最大直径1.0〜7.0mm、最小直径1.0〜7.0mmとすることができ、円筒体の場合、円の直径1.0〜7.0mm、高さ1.0〜7.0mmとすることができる。後述の例3より、香料カプセル23のサイズが、小さすぎると、香料カプセル23破砕時の押込み距離が長くなるため、球体の場合、直径が3.0mm以上であることがより好ましく、楕円体の場合、最小直径が3.0mm以上であることがより好ましく、円筒体の場合、円の直径が3.0mm以上であることがより好ましい。
【0030】
また、香料カプセル23は、それ自体、約10〜35[N]の強度で破壊され得るものが好ましい。0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙を使用すると、比較的硬いカプセル、たとえば約25[N]より高く、約30[N]以下の強度で破壊され得るカプセルなども、小さい力かつ短い押込み距離で破砕することが可能である。より硬いカプセルは、カプセル入りシガレット11が高温に晒された際や搬送される時に割れにくいという利点を有する。
【0031】
後述の参考実施例で実証されるとおり、約30[N]の強度で破壊され得るカプセルを、直接指で破砕した場合や成形紙(50NFB)の上から破砕した場合、局所的な指圧を感じるが、0.5〜1.0g/cm
3の密度および100〜250μmの厚さを有する紙の上から破砕した場合、局所的な指圧を感じることなく、香料カプセルを容易に破砕することが可能である。
【0032】
参考形態の第1態様および第2態様において、フィルタープラグ17は、通常のフィルター付シガレットと同様、アセテートトウの濾材により構成され得る。フィルタープラグ17は、濾材のみから構成されていてもよいし、濾材とその周囲に巻かれたプラグ巻取紙とから構成されていてもよい。フィルター15が複数のフィルタープラグ17を含む場合、たばこ刻側のフィルタープラグ17と吸口側のフィルタープラグ17は、同じ素材および構造を有していてもよいし、異なる素材および構造を有していてもよい。
【0033】
アセテートトウは、たとえば、単糸繊度1.9〜12.0(g/9000m)、総繊度10000〜44000(g/9000m)、繊維本数830〜23500(本)、通気抵抗100〜600(mmH2O/120mm)とすることができる。アセテートトウに、トリアセチン等の可塑剤を添加してもよく、可塑剤は、アセテートトウの重量に対して6〜10重量%の量で添加することができ、アセテートトウに活性炭を添加した場合、可塑剤は、アセテートトウの重量に対して2〜20重量%の量で添加することができる。
【0034】
濾材が硬すぎると、香料カプセル含有フィルターを指でつぶした際のフィルタープラグ17による反発力が大きくなるため、単糸繊度は3.0(g/9000m)以上であることがより好ましく、総繊度は35000(g/9000m)以下であることがより好ましい。
【0035】
フィルター15は、たとえば、約14〜26mmの円周を有し、長さは、通常のフィルターと同様、例えば17〜31mmであり得る。第1態様のフィルター15において、中空部24の長さは、香料カプセル23のサイズ以上であればよく、たとえば3〜7mmであり、各フィルタープラグ17の長さは、5〜20mmであり得る。
【0036】
図2に示す第2態様のシガレット11では、2つのフィルタープラグ17が1つの中空部24を介して配置されているが、n個(nは2以上の整数)のフィルタープラグ17が(n−1)個の中空部24を介して配置されていてもよく、たとえばnは2〜4であり、好ましくはnは2〜3であり、より好ましくはnは2である。
【0037】
本参考形態の態様において、たばこロッド14は、通常のシガレット11と同様、たばこ充填材12とその周囲を巻装するたばこ巻紙13からなり、例えば、約14〜26mmの円周および53〜67mmの長さを有することができる。
【0038】
[参考実施例]
例1:香料カプセルを破砕する際の押込み距離に対する紙の厚さおよび密度の効果
本例では、以下の6タイプの試験紙を使用した(かっこ書きは各試験紙の入手先)。各試験紙の特性を下記表1に示す。各試験紙は、2cm四方の大きさで実験に使用した。
【0039】
(1)50NFB(日本製紙パピリア株式会社)
(2)HS(新巴川製紙株式会社)
(3)AT(新巴川製紙株式会社)
(4)HS120(新巴川製紙株式会社)
(5)S80(日本製紙パピリア株式会社)
(6)抵抗紙(日本製紙パピリア株式会社)
図3において、「破壊強度」は、香料カプセルが破壊されたときに香料カプセルに加えられた荷重[N]を表し、「移動距離」は、香料カプセルが破壊されたときの押込み距離[mm]を表す。なお、50NFBの坪量は、50.0g/m
2である。
【0040】
香料カプセル23は、皮膜物質(15重量%)と内容液25(85重量%)を混合し、滴下法により調製した。香料カプセル23を構成する皮膜物質および内容液の主要成分は、それぞれ下記のとおりとした。
(i)皮膜物質
ゼラチン、ジェランガム、デンプン、グリセリン、およびソルビトール
(ii)内容液
中鎖脂肪酸トリグリセリド(トリカプリル/カプリン酸グリセリン)(83重量%)
【0041】
調製された香料カプセル23は、直径約4.5mmの球体であった。また、香料カプセル23の硬さは、約30Nであった。なお、本実施例では、香料カプセル23の内容液25は溶媒のみから構成され、香料を含有しないが、香料の有無が、カプセルの破砕し易さに影響を及ぼさないことは実証されている。
【0042】
図4に示す測定系26を用いて、香料カプセル23を破砕する際の押込み距離と荷重との関係を調べた。すなわち、弾性ゴム上に置かれた試験紙の上に、香料カプセルを置き、上方からレオメーターの感圧軸により圧力をかけて香料カプセルを破砕した。そのときの押込み距離(mm)(移動距離ともいう)と荷重(N)を測定した。測定は、Sun RHEO METER CR3000EX(株式会社サン科学)を用いて行った。
【0043】
測定結果を
図5に示す。
図5において、(1)は50NFB、(2)はHS、(3)はAT、(4)はHS120、(5)はS80、(6)は抵抗紙を表す。
【0044】
図5の結果から、HS、AT、HS120およびS80は、試験紙50NFBと比べて、同じ荷重に到達するのに必要な押込み距離(移動距離)が小さいことがわかる。一方、抵抗紙は、50NFBと比べて、同じ荷重に到達するのに必要な押込み距離(移動距離)が大きい。50NFB、抵抗紙、S80に同じ荷重をかけたときの様子を
図6に模式的に示す。
図6は、所定の密度と厚さを有する紙、たとえばS80などを使用すると、より小さい押込み距離で香料カプセル23に同じ荷重を与えることができ、かつ荷重をかけた際に紙が折れにくいため、香料カプセル23を破砕する際の圧力を、より広い接触面に分散させることができることを示す。一方、
図6では、密度が小さい紙(抵抗紙)や厚さが小さい紙(50NFB)を使用すると、所定の荷重を与えるのに必要な押込み距離が大きく、かつ荷重をかけた際に紙が折れやすいため、香料カプセル23を破砕する際の圧力が一点に集中しやすいことを示す。
【0045】
これら結果を基に、紙の厚さと香料カプセル23への力の伝わり易さとの関係を
図7に示す。
図7において、横軸は、紙の厚さ[μm]を示し、縦軸は、破壊強度[N]/移動距離[mm]を示す。ここで「破壊強度」は、香料カプセル23が破壊されたときに香料カプセル23に加えられた荷重[N]を意味し、「移動距離」は、香料カプセル23が破壊されたときの押込み距離[mm]を意味する。破壊強度[N]/移動距離[mm]が大きいことは、小さい押込み距離で香料カプセル23に大きい荷重を与えることができること、すなわち小さい押込み距離で香料カプセル23に力を伝え易いことを意味する。
図7において、(1)は50NFB、(2)はHS、(3)はAT、(4)はHS120、(5)はS80、(6)は抵抗紙を表す。なお、
図7のグラフは、各試験紙につき、20個のサンプルを準備して押込み距離(mm)と荷重(N)を測定し、得られたデータの平均値をプロットしたものであり、上述の
図5のグラフは、20個のサンプルで得られたデータのうち、典型的な一例を選んで示したものである。
【0046】
図7より、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有する紙、すなわち50NFB、HS、AT、HS120、S80の場合、紙の厚さが増すにつれ、破壊強度[N]/移動距離[mm]の値は増大し、小さい押込み距離で香料カプセルに力を伝え易くなる。ただし、紙の厚さが約250μmになると、破壊強度[N]/移動距離[mm]は頭打ちになっている。一方、430μmの厚さを有するが0.27g/cm
3の密度を有する抵抗紙は、破壊強度[N]/移動距離[mm]の値は小さく、香料カプセルに力を伝えにくい。
【0047】
以上の結果より、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有し、かつ100μm以上の厚さを有する紙を使用すると、より小さい押込み距離で、香料カプセルを破砕するのに必要な荷重を与えられることがわかる。実際に、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有し、かつ100μm以上の厚さを有する紙を使用した場合、指にかかる圧力が小さい上に、小さい力で香料カプセル23を破砕しやすいという感触を得た。一方、0.5g/cm
3未満の密度を有する紙や、100μm未満の厚さを有する紙を使用すると、香料カプセルを破砕するのに必要な荷重を与えるためには大きな押込み距離が必要であることがわかる。実際に、0.5g/cm
3未満の密度を有する紙や、100μm未満の厚さを有する紙を使用した場合、指にかかる圧力が大きい上に、紙が変形したり折れやすかったりして、香料カプセル23を破砕しにくいという感触を得た。
【0048】
なお、
図5で観察される荷重の最大到達点の違いは、香料カプセル23の硬さのばらつきによるものである。
【0049】
例2.香料カプセルを破砕する際の圧力分布に対する紙の厚さの効果
例1と同様の手法に従って、弾性ゴム上に置かれた各試験紙の上に、香料カプセル23を置き、上方からレオメーターの感圧軸により圧力をかけて香料カプセル23を破砕した。カプセルが崩壊した時点において、試験紙に加えられた圧力分布を測定した。圧力分布の測定は、
図4に示す測定系およびイナストマー(株式会社イナバゴム)を用いて行った。試験紙として、例1で使用した50NFBおよびS80を使用した。
【0050】
測定結果を
図8に示す。
図8は、圧力分布の中心部ほど圧力が高く、中心部から離れるほど同心円状に順次圧力が低下することを示す。
図8において、試験紙50NFBで観察される中心部(黒塗り部分)が最も圧力が高く、その次に粗い斜線のハッチングを施した部分の圧力が高く、その次に細かい斜線のハッチングを施した部分の圧力が高い。
【0051】
図8の結果は、S80が、50NFBと比べて、加圧面積が全体として大きく、中心部の圧力が低いことを示す。これは、所定の密度と厚さを有する試験紙S80の方が、香料カプセルを破砕する際に、指にかかる圧力が局所に集中しにくく、より広い接触面に分散させることが可能であり、指にかかる負担が小さいことを示す。この様子、すなわち試験紙に同じ荷重をかけたときの様子を模式的に
図9に示す。
図9は、所定の厚さを有していない試験紙50NFBの方が、指にかかる圧力が局所に集中しやすく、中心部で高く、試験紙S80の方が指にかかる圧力が広い接触面に分散しやすく、中心部で低いことを示す。
【0052】
[第1実施形態]
発明者らは、参考実施例に示したようにフィルタープラグ17の周囲に様々の厚さの紙を巻いた場合、紙の厚さによってフィルター15の真円性に差が出ることを予想した。このため、発明者らは、シガレット11の真円性について検討を行った。
【0053】
図10には、50NFBとS2000とを用いた場合の、シガレット11の真円性を比較した結果を示している。真円性(mm)は、シガレット11のフィルター15付近の長径と短径とを測定し、「真円性=長径−短径…(式1)」により計算する。完全な真円では、長径と短径とは等しく、真円性の値はゼロとなる。楕円になるほど、長径と短径の差は大きくなり、真円性の値も大きくなる。長径および短径の測定には、英国Cerulean社製QTM測定器を用いた。
【0054】
図10では、Nはサンプル数(サンプルとして調べたシガレットの数)を示し、Aveは真円性の平均値を示す。SDは標準偏差を示し、Minは最小値(mm)を示し、Maxは最大値(mm)を示す。一重巻は、フィルタープラグ17の周囲に50NFBまたはS2000の層を1層設けたシガレット11を示す。二重巻は、フィルタープラグ17の周囲に50NFBの層を2層設けたシガレット11を示す。
【0055】
図10に示された50NFBの一重巻と、50NFBの二重巻と、S2000の一重巻と、の間で真円性に関し平均値の差の検定(2群の母平均の差の検定)を行った。その結果、50NFBの一重巻と、50NFBの二重巻と、の間では、真円性の平均値に有意差がなかった。一方、50NFBの一重巻および50NFBの二重巻と、S2000の一重巻と、の間では、有意水準1%で真円性の平均値に有意差があった。この検定結果から、50NFBの一重巻および50NFBの二重巻は、S2000の一重巻よりも真円性が良好であるということができる。
【0056】
続いて、
図11から
図17を参照して、第1実施形態にかかるシガレット11の詳細について説明する。第1実施形態では、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたシート状部材(フィルター包装紙21)を2重巻(2層)にして、参考形態よりもシガレット11の真円性を向上している。第1実施形態では、主として参考形態と異なる部分について説明し、参考形態と共通する部分については説明あるいは図示を省略する。
【0057】
シガレット11の第1実施形態において、香料カプセル23は、
図12に示すようにフィルター15を構成する濾材(フィルタープラグ17)に直接埋め込まれていてもよいし(第3態様)、
図13に示すように複数のフィルタープラグ17間に形成された中空部24に配置されていてもよい(第4態様)。
【0058】
図12に示すように、第3態様に係るシガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙13を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0059】
フィルター15は、2個のフィルタープラグ17と、各フィルタープラグ17の周囲に巻かれた2個の第1フィルター包装紙21Aと、2個のフィルタープラグ17に跨るように第1フィルター包装紙21Aの周囲に巻かれた1個の第2フィルター包装紙21Bと、フィルター15内に埋め込まれて位置し、皮膜22内に香料を含む内容液25を保持する香料カプセル23と、を含んでいる。
【0060】
第3態様では、第1フィルター包装紙21Aは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第1フィルター包装紙21Aは、例えば、上記した50NFBで構成されている。第2フィルター包装紙21Bは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bは、シート状部材の一例である。
【0061】
図13に示すように、第4態様に係るシガレット11は、たばこ充填材12およびたばこ充填材12の周囲に巻かれた巻紙13を含むたばこロッド14と、フィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを接続するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を有する。
【0062】
フィルター15は、互いに離間し中空部24を介して配置された2個のフィルタープラグ17と、2個のフィルタープラグ17に跨りフィルタープラグ17間に中空部24を形成するように2個のフィルタープラグ17の周囲に巻かれた1個の第1フィルター包装紙21Aと、第1フィルター包装紙21Aの上側に巻かれた1個の第2フィルター包装紙21Bと、中空部24内に位置し皮膜22内に香料を含む内容液25を保持する香料カプセル23とを、含んでいる。
【0063】
第4の態様では、第1フィルター包装紙21Aは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第1フィルター包装紙21Aは、例えば、上記した50NFBで構成されている。第2フィルター包装紙21Bは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第2フィルター包装紙21Bは、例えば、上記した50NFBで構成されている。第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bは、シート状部材の一例である。
【0064】
第3態様と第4態様のシガレット11は、概ね同じ断面形状を有する。
図14に
図12および
図13中のF14−F14線に沿った断面図を示す。以下は、特に明示しない限り、上述の2つの態様についての説明である。
【0065】
2個のフィルタープラグ17は、アセテートトウの濾材により構成されるが、互いに同じ性質を持たせてもよいし、或いは互いに異なる性質を持たせてもよい。2個のフィルタープラグ17の性質を異ならせる場合には、例えば、一方のフィルタープラグ17を通常のアセテートトウの濾材で構成し、他方のフィルタープラグ17を活性炭入りのアセテートトウの濾材で構成することができる。
【0066】
図14に示すように、複数の層(2層)を形成している第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bの合計の厚さAは、100〜250μmである。
【0067】
図14に示すように、フィルタープラグ17と第1フィルター包装紙21Aとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第1の糊31)によって固定されている。同様に、第1フィルター包装紙21Aと第2フィルター包装紙21Bとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第2の糊32)で固定されている。第2フィルター包装紙21Bとチップペーパー16とは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第3の糊33)で固定されている。第1の糊31から第3の糊33のそれぞれは、例えば、シガレット11の長手方向においてフィルター15の全長にわたるように、直線的に設けられている。
続いて、第1実施形態(第3態様)のシガレット11において、割り心地について評価を行った。評価は、男性6人および女性6人の合計12人の評価者にシガレット11の内部にある香料カプセル23を割ってもらい、割り易さ(割り難さ)を点数で示してもらう方法で行った。この評価では、評価者は、第1実施形態の第3態様に相当する実施例のサンプルおよび比較例のサンプルについて、香料カプセル23を割る作業を行い、それぞれ点数で評価を行った。
図15に示すように、「非常に割り難い」から「非常に割り易い」までの各評価結果には、1点から7点の点数を割り当てた。比較例のシガレットでは、第2フィルター包装紙21Bが例えば50NFBであり、第1フィルター包装紙21Aは例えばLPWSOLLである。LPWSOLLは、フィルター包装紙として一般的なものであり、50NFBよりも厚みが薄い。
【0068】
図16に評価結果(質問結果)を示す。比較例のシガレットの割り心地の点数の平均点は、3.08であり、標準偏差は1.83であった。実施例のシガレット11の割り心地の点数の平均点は、4.25であり、標準偏差は1.42であった。
【0069】
続いて、比較例および実施例の平均点に関し、2群の母平均の差の検定(t検定)を行った。この場合、比較例および実施例について同じ評価者が割り心地を評価しているので、「対応のある」場合の検定となる。この場合、帰無仮説は、「比較例と実施例の香料カプセルの割り心地に差がない。」である。また、対立仮説は、「比較例の平均点m
1<実施例の平均点m
2である場合、実施例は比較例よりも香料カプセルの割り心地が良い。」である。P値は、標準正規分布における統計量tに対する確率をいう。なお、この場合のt検定は、対立仮説「m
1<m
2」であるため、片側検定となる。
【0070】
t検定の検定結果では、片側P値が5%の有意水準よりも小さい0.04184となった。このため、実施例と比較例の割り心地には有意差があり、「実施例は比較例よりも香料カプセルの割り心地が良い」とする対立仮説を採択できる。なお、第1実施形態の第4態様のシガレット11では、中空部24内に香料カプセル23が配置される。このため、第4態様では、香料カプセル23に荷重を加えた際にフィルタープラグ17の反発力が手に作用することがなく、フィルタープラグ17内に埋め込まれた第3態様のシガレット11よりも香料カプセル23の割り心地が低下することは考えにくい。このため、第4態様のシガレット11でも同様に、比較例よりも香料カプセル23の割り心地が良好になることが推測される。
【0071】
第1実施形態によれば、シガレット11は、たばこ充填材12および該たばこ充填材12の周囲に巻かれた巻紙13を含むたばこロッド14と、濾材を含むフィルタープラグ17と、複数の層を形成するようにフィルタープラグ17の周囲に巻かれた複数のシート状部材と、フィルター15内に位置し内容液25を皮膜22で被覆して保持するカプセルと、を含むフィルター15と、たばこロッド14とフィルター15とを接続するように該たばこロッド14および該フィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含み、前記シート状部材は、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有し、前記複数の層を形成した前記複数のシート状部材の合計の厚さAは、100〜250μmである。
【0072】
一般に、参考形態(参考実施例)に示すような紙は、剛性が高い(柔軟性が低い)ために折れやすく、フィルター15(シガレット11)の真円に巻きあげることが困難であった。上記の構成によれば、シガレット11の真円性を良好に維持しつつ、喫煙者がカプセルを割る際の割り心地を向上することができる。また、上記構成によれば、シート状部材の1枚当たりの厚みを低減させることができ、1枚の厚手のフィルター包装紙21を使用する上記参考実施形態に比して、既存のたばこ巻き上げ機或いはフィルター製造機に対する適合性が高いシガレットを実現できる。これによって、製造コスト面において、本実施形態のシガレット11が従来型のシガレットから極端に割高となることを防止できる。
【0073】
[第2実施形態]
続いて、
図18を参照して、シガレット11の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたシート状部材が2重巻(2層)である点は同様であるが、シート状部材の構成が異なっている。第2実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については説明あるいは図示を省略する。
【0074】
第2実施形態のシガレット11は、シガレット11の長手方向に関して、第1実施形態の第3態様(
図12)および第4態様(
図13)と概ね同様の配置を有する。
【0075】
図18に、
図12および
図13中のF14−F14線に対応する、第2実施形態のシガレット11の断面図を示す。
【0076】
図12、
図13、
図18に示すように、シガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙13を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0077】
フィルター15は、フィルタープラグ17と、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたフィルター包装紙21と、フィルター包装紙21とフィルタープラグ17との間に介在された樹脂層35と、第3態様(
図12)または第4態様(
図13)のように配置された香料カプセル23と、を含んでいる。
【0078】
フィルター包装紙21は、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。フィルター包装紙21は、シート状部材の一例であり、例えば、上記した50NFBで構成される。
【0079】
樹脂層35は、フィルタープラグ17の周囲を覆うように円筒形をなしており、長手方向においてフィルタープラグ17の全長にわたって設けられている。樹脂層35は、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。樹脂層35は、シート状部材の一例であり、例えば、ホットメルト系の接着剤で構成されている。なお、樹脂層35は、ホットメルト系の接着剤に限定されるものではなく、例えばデンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を原料とした糊、などの他の樹脂材料で構成されていても良い。複数の層(2層)を形成しているフィルター包装紙21および樹脂層35の合計の厚さAは、100〜250μmの厚さである。
【0080】
第2フィルター包装紙21Aとチップペーパー16とは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第1の糊31)で固定されている。第1の糊31は、例えば、シガレット11の長手方向においてフィルター15の全長にわたるように、直線的に設けられている。
第2実施形態によれば、2つのシート状部材中の少なくとも1つは、フィルター包装紙21であり、2つのシート状部材中の少なくとも1つは、樹脂層35で形成される。樹脂層35は、接着剤で構成される。この構成によれば、シート状部材が樹脂層35(接着剤)で構成される場合であっても、シガレット11の真円性を良好に維持しつつ、喫煙者がカプセルを割る際の割り心地を向上することができる。また、樹脂層35をシート状部材として用いることで、カプセルの内容液25がシート状部材を貫通する方向に染み出すことを有効に防止できる。
【0081】
[第3実施形態]
続いて、
図19を参照して、シガレット11の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたシート状部材が3重巻(3層)である点で、第1実施形態とは構成が異なっている。このため、第3実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する部分については説明あるいは図示を省略する。
【0082】
第3実施形態のシガレット11は、シガレット11の長手方向に関して、シート状部材(フィルター包装紙)の枚数が異なるものの、第1実施形態の第3態様(
図12)および第4態様(
図13)と概ね同様の配置を有する。
【0083】
図19に、
図12および
図13中のF14−F14線に対応する、第3実施形態のシガレット11の断面図を示す。
【0084】
図12、
図13、
図19に示すように、シガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙13を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0085】
フィルター15は、フィルタープラグ17と、フィルタープラグ17の周囲に巻かれた第1フィルター包装紙21Aと、第1フィルター包装紙21Aの周囲に巻かれた第2フィルター包装紙21Bと、第2フィルター包装紙21Bの周囲に巻かれた第3フィルター包装紙21Cと、第3態様(
図12)または第4態様(
図13)のように配置された香料カプセル23と、を含んでいる。
【0086】
第1フィルター包装紙21Aから第3フィルター包装紙21Cのそれぞれは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第1フィルター包装紙21Aから第3フィルター包装紙21Cは、複数のシート状部材の一例である。第1フィルター包装紙21Aから第3フィルター包装紙21Cのそれぞれは、例えば、上記した50NFBで構成される。複数の層(3層)を形成しているフィルター包装紙21A、21B、21Cの合計の厚さAは、100〜250μmの厚さである。
【0087】
図19に示すように、フィルタープラグ17と第1フィルター包装紙21Aとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第1の糊31)によって固定されている。同様に、第1フィルター包装紙21Aと第2フィルター包装紙21Bとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第2の糊32)で固定されている。第2フィルター包装紙21Bと第3フィルター包装紙21Cとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第3の糊33)で固定されている。第3フィルター包装紙21Cとチップペーパー16とは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第4の糊34)で固定されている。第1の糊31から第4の糊34のそれぞれは、シガレット11の長手方向においてフィルター15の全長にわたるように、直線的に設けられている。
第3実施形態によれば、シート状部材が3層で構成される場合であっても、シガレット11の真円性を良好に維持しつつ、喫煙者がカプセルを割る際の割り心地を向上することができる。
【0088】
[第4実施形態]
続いて、
図20を参照して、シガレット11の第4実施形態について説明する。第4実施形態では、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたシート状部材(フィルター包装紙、樹脂層)の構成が異なる点で、第3実施形態とは構成が異なっている。このため、第4実施形態では、主として第3実施形態と異なる部分について説明し、第3実施形態と共通する部分については説明あるいは図示を省略する。
【0089】
第4実施形態のシガレット11は、シガレット11の長手方向に関して、シート状部材(フィルター包装紙、樹脂層)の枚数が異なるものの、第1実施形態の第3態様(
図12)および第4態様(
図13)と概ね同様の配置を有する。
【0090】
図20に、
図12および
図13中のF14−F14線に対応する、第4実施形態のシガレット11の断面図を示す。
【0091】
図20に示すように、シガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0092】
フィルター15は、フィルタープラグ17と、フィルタープラグ17の周囲に巻かれた第1フィルター包装紙21Aと、第1フィルター包装紙21Aの周囲に巻かれた第2フィルター包装紙21Bと、フィルタープラグ17と第1フィルター包装紙21Aとの間に介在された樹脂層35と、第3態様(
図12)または第4態様(
図13)のように配置された香料カプセル23と、を含んでいる。
【0093】
第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bのそれぞれは、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bは、複数のシート状部材の一例である。第1フィルター包装紙21Aおよび第2フィルター包装紙21Bのそれぞれは、例えば、上記した50NFBで構成される。
【0094】
樹脂層35は、フィルタープラグ17の周囲を覆うように円筒形をなしており、長手方向においてフィルタープラグ17の全長にわたって設けられている。樹脂層35は、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有する。樹脂層35は、シート状部材の一例であり、例えば、ホットメルト系の接着剤で構成されている。なお、樹脂層35は、ホットメルト系の接着剤に限定されるものではなく、例えばデンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を原料とした糊、などの他の樹脂材料で構成されていても良い。
【0095】
複数の層(3層)を形成している第1フィルター包装紙21A、第2フィルター包装紙21B、および樹脂層35の合計の厚さAは、100〜250μmの厚さである。
【0096】
図20に示すように、第1フィルター包装紙21Aと第2フィルター包装紙21Bとは、フィルタープラグ17の円周方向における一か所で、例えば糊(第1の糊31)によって固定されている。第2フィルター包装紙21Bとチップペーパー16とは、フィルタープラグの円周方向における一か所で、例えば糊(第2の糊32)で固定されている。第1の糊31および第2の糊32のそれぞれは、シガレット11の長手方向におけるフィルター15の全長にわたるように直線的に設けられている。
【0097】
第4実施形態によれば、前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、フィルター包装紙21であり、前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、樹脂層35で形成される。この構成によれば、複数のシート状部材のうちの1個が樹脂層35で構成される場合であっても、シガレット11の真円性を良好に維持しつつ、喫煙者がカプセルを割る際の割り心地を向上することができる。また、樹脂層35をシート状部材として用いることで、カプセルの内容液25がシート状部材を貫通する方向に染み出すことを有効に防止できる。
【0098】
[第5実施形態]
続いて、
図21を参照して、シガレット11の第5実施形態について説明する。第5実施形態では、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたシート状部材の構成が異なる点で、第3実施形態とは構成が異なっている。このため、第5実施形態では、主として第3実施形態と異なる部分について説明し、第3実施形態と共通する部分については説明あるいは図示を省略する。
【0099】
第5実施形態のシガレット11は、シガレット11の長手方向に関して、シート状部材(フィルター包装紙、樹脂層)の枚数が異なるものの、第1実施形態の第3態様(
図12)および第4態様(
図13)と概ね同様の配置を有する。
【0100】
図21に、
図12および
図13中のF14−F14線に対応する、第5実施形態のシガレット11の断面図を示す。
【0101】
図21に示すように、シガレット11は、たばこ充填材12(刻み葉、煙草)および該たばこ充填材12の周囲を巻いた巻紙を含むたばこロッド14と、たばこロッド14に隣接して設けられたフィルター15と、たばこロッド14およびフィルター15に跨ってこれらを連結するようにたばこロッド14およびフィルター15上に巻かれたチップペーパー16と、を含んでいる。
【0102】
フィルター15は、フィルタープラグ17と、フィルタープラグ17の周囲に巻かれたフィルター包装紙21と、フィルター包装紙21とフィルタープラグ17との間に介在された第1樹脂層35Aと、フィルター包装紙21とチップペーパー16との間に介在された第2樹脂層35Bと、第3態様(
図12)または第4態様(
図13)のように配置された香料カプセル23と、を含んでいる。
【0103】
フィルター包装紙21は、シート状部材の一例であり、例えば、上記した50NFBで構成される。フィルター包装紙21は、0.5〜1.0g/cm
3の密度および50〜125μmの厚さを有する。
【0104】
第1樹脂層35Aおよび第2樹脂層35Bのそれぞれは、円筒形をなしており、長手方向においてフィルタープラグ17の全長にわたって設けられている。第1樹脂層35Aおよび第2樹脂層35Bのそれぞれは、0.5〜1.0g/cm
3の密度を有する。第1樹脂層35Aおよび第2樹脂層35Bのそれぞれは、シート状部材の一例であり、例えば、ホットメルト系の接着剤で構成されている。なお、第1樹脂層35Aおよび第2樹脂層35Bのそれぞれは、接着剤に限定されるものではなく、例えばデンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等を原料とした糊、などの他の樹脂材料で構成されていても良い。
【0105】
複数の層(3層)を形成しているフィルター包装紙21、第1樹脂層35A、および第2樹脂層35Bの合計の厚さAは、100〜250μmの厚さである。
【0106】
第5実施形態によれば、前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、フィルター包装紙21であり、前記複数のシート状部材中の少なくとも1つは、樹脂層35で形成される。この構成によれば、複数のシート状部材のうちの1個が樹脂層35で構成される場合であっても、シガレット11の真円性を良好に維持しつつ、喫煙者がカプセルを割る際の割り心地を向上することができる。また、樹脂層35をシート状部材として用いることで、カプセルの内容液25がシート状部材を貫通する方向に染み出すことを有効に防止できる。
【0107】
シガレット11は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。すなわち、上記実施形態では、シート状部材の一例としてフィルター包装紙21を使用しているが、シート状部材としてフィルムを用いることもできる。シート状部材の枚数(層数)は、2層、3層に限定されるものではなく、例えば4層以上であってもよい。また、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせて実施してもよい。