(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティング物質ストッピング手段は、前記コーティング物質供給管の下部に挿入され且つ供給された固相のコーティング物質を保持し、加熱時に相変化した液相のコーティング物質をコーティング蒸気発生チューブに排出する 排出管で構成される、請求項3に記載の加熱装置。
前記コーティング物質ストッピング手段は、前記コーティング物質供給管の下部に一体に形成された排出管に、固相のコーティング物質を保持するように設置された保持部で構成される、請求項3に記載の加熱装置。
前記コーティング物質ストッピング手段は、互いに組み立てられるコーティング物質供給管の下端と排出管の上端に係合して保持され且つ固相のコーティング物質を保持するように設置された係止爪で構成される、請求項3に記載の加熱装置。
前記コーティング物質供給ユニットは、コーティング物質供給管と連結され、固相のコーティング物質を供給管に順次供給するコーティング物質供給手段をさらに含む、請求項3に記載の加熱装置。
前記コーティング物質供給ユニットのコーティング物質供給管の下端、又は供給管の下部に設置される排出管の下端は、加熱部に備えられた上・下部電磁コイルの間に位置する、請求項3に記載の加熱装置。
前記真空チャンバーを通過するコーティング対象物は鋼板からなり、前記加熱装置と真空チャンバーは鋼板が水平又は垂直移送されながらコーティングが可能となるように配列される、請求項13に記載のコーティング機構。
【背景技術】
【0002】
基板、例えば、連続して(高速)進行する鋼板を真空雰囲気下で蒸着する公知の方式により、コーティング物質、即ち、金属蒸気を鋼板の表面にコーティングする。
【0003】
上記真空蒸着は、真空雰囲気下で多様な方式で固体(固相)又は液体(液相)のコーティング物質を加熱−蒸発させて蒸気(気体)に変化させ、これを鋼板上に蒸着してコーティングを行うことである。
【0004】
上記真空蒸着に基づいた基板(鋼板)の連続コーティングは加熱方法によって分類され、例えば、熱蒸着法(thermal evaporation)及び電子ビーム蒸着法(electron beam evaporation)等がある。
【0005】
最近では、高速蒸着のための電磁(浮上)蒸着法(electro−magnetic levitation evaporation)が研究開発されてきた。
【0006】
上記電磁蒸着法は、コーティング物質が電磁コイルに取り囲まれており、高周波電源から発生する高周波交流電流を電磁コイルに印加し、この際に発生した交流電磁場によってコーティング物質を浮上状態で加熱させるため、既存の坩堝で金属蒸気を発生させることに比べ、熱損失を減らし、且つ多量の金属蒸気を基板、例えば、連続して(高速)進行する鋼板の表面にコーティングすることを可能にする。
【0007】
しかしながら、真空中で連続して進行する鋼板をコーティングするためにはコーティング蒸気を発生させる加熱装置(蒸発源装置)が必要であり、連続コーティングを具現するためにはコーティング物質(蒸発(コーティング)対象物質)の供給が必要である。
【0008】
上記コーティング物質の供給は、コーティング物質の状態によって固相(固体)供給と液相(液体)供給に区分され、液相供給は、機械的方式、高さの差を用いた方式、圧力差方式等に分類されることができる。
【0009】
例えば、液相供給方式のうち、機械的方式としては、ピストン方式(米国特開2005‐0229856号)、電磁を用いたMHDポンプ方式(韓国特開2007‐0015923号)又はスクリュー方式(日本特開2010‐189739号)等がある。
【0010】
また、高さの差を用いた方式は、韓国特開2009‐0074064号等に開示され、圧力差方式は、日本特開昭55‐154537号等に開示されている。
【0011】
しかしながら、上記特許に開示されている液相供給方式には、共通に、供給される液相物質による温度又は化学的特性によって設備の侵食(磨耗)が発生するという問題があった。
【0012】
一方、固相(固体)供給方式の代表的な方式として固体ワイヤを供給する方式が今まで用いられてきたが、この場合、電磁コイル内で蒸気物質の温度が低下するという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0023】
図1及び
図2は、
図4に示した本発明による加熱装置1を含む一実施例のコーティング機構200を示し、
図3〜
図6は、本発明の加熱装置1の多様な実施例を示し、
図7及び
図8は、
図4に示した本発明の加熱装置1を含むコーティング機構200の他の実施例とその変形例を示している。
【0024】
したがって、以下の本実施例では、
図1〜
図6を参照して一実施例のコーティング機構200と多様な実施例の加熱装置1を説明し、
図7及び
図8を参照して他の実施例のコーティング機構200とその変形例を説明する。
【0025】
一方、本発明のコーティング機構200の場合、
図1及び
図2のコーティング機構200はコーティング対象物、即ち、鋼板210を水平に移動させながらコーティングする方式であり、
図7及び
図8のコーティング機構200は鋼板210を垂直に移動させながらコーティングする方式で、差異があり、これらのコーティング機構は、以下に詳述する
図3〜
図6の本発明の加熱装置1の多様な実施例を全て含むことができる。
【0026】
以下の本実施例では、コーティング対象物を(高速で)進行する鋼板210に限定して説明する。また、コーティング物質は鋼板に蒸着コーティングされる気体、即ち、コーティング蒸気として提供されるコーティング媒質であり、以下では、このコーティング媒質をコーティング物質として説明する。特に、固体状態のコーティング物質を「固相のコーティング物質10」、固相のコーティング物質を加熱して相変化した(溶融された)液体状態のコーティング物質を「液相のコーティング物質12」、液相のコーティング物質12が加熱されて生成される蒸着蒸気(気体)を「コーティング蒸気14」として説明する。
【0027】
なお、固相のコーティング物質10は、
図1、2及び
図7、8に示したように、一定のサイズを有し、運搬や供給環境を良好にするインゴット(塊)の形であることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0028】
図1及び
図2に示したように、本発明の一実施例のコーティング機構200は、メッキ溶液に鋼板が浸漬された状態で通過しながらメッキを行う方式とは異なり、真空雰囲気下でコーティング蒸気14を蒸着させて鋼板210の表面に所望の材質のコーティングを具現する乾式コーティング機構であればよい。
【0029】
一方、本発明のコーティング機構200は、以下に
図2〜
図6を参照して詳述する加熱装置1の加熱部20とコーティング物質供給ユニット60の供給管62の少なくとも一部を密封状態で取り囲む真空チャンバー220を含むことができる。
【0030】
また、真空チャンバー220の入側と出側には、コーティング対象物である鋼板210を連続して高速で進行させるための鋼板移送ロール222が設置され、上記鋼板移送ロール222は、チャンバーの入側及び出側で入口と出口をシーリングする役割もすることができる。
【0031】
したがって、本発明のコーティング機構200では、加熱装置1で発生したコーティング蒸気14がコーティング蒸気ノズルチューブ50に備えられたノズル開口52から噴出し、隣接して進行する鋼板210の表面にコーティング蒸気14が蒸着してコーティングが行われる。
【0032】
以下、
図2〜
図6を参照して本発明の加熱装置1の多様な実施例を説明する。
【0033】
本発明の加熱装置1は、供給される固相のコーティング物質10を加熱して鋼板210にコーティングされるコーティング蒸気14を発生させる加熱部20を含み、好ましくは、供給された固相のコーティング物質10を液相のコーティング物質12に相変化、即ち、溶融させた後、加熱部20でコーティング蒸気14を発生させるものである。
【0034】
したがって、本発明の加熱装置1は、従来の、液相のコーティング物質をすぐに設備(加熱部)に供給する場合に発生する設備の侵食(損傷)の問題を解消し、固体ワイヤのような固体のコーティング物質を供給する場合に発生するコーティング物質の温度低下を防止することができる。
【0035】
即ち、取り扱いと供給が容易な一定のサイズのインゴット状の固相のコーティング物質10を加熱部20に供給し、後述する加熱装置1のストッピング手段を用いて供給された固相のコーティング物質10を一時的にストッピングさせた状態で、加熱して相変化した液相のコーティング物質12を加熱部20のコーティング蒸気発生チューブ40に送ることにより、コーティング蒸気14を円滑に生成し、且つ初期から液相に供給しなくてもよいため、設備の侵食が発生せず、ワイヤ等の固体のコーティング物質を供給する場合のコーティング物質の温度低下を防止することができる。
【0036】
一方、
図2に示したように、本発明の加熱装置1は、加熱部20と連結され、供給経路上で固相のコーティング物質10を液相のコーティング物質12に相変化させて加熱部20に供給するコーティング物質供給ユニット60を含むことができる。
【0037】
本発明の加熱装置1において、上記加熱部20は、電磁誘導によるコーティング物質の加熱を可能にする電磁コイル30と、上記電磁コイル30の内側に、供給された液相のコーティング物質12を加熱してコーティング蒸気14を生成するように設置されるコーティング蒸気発生チューブ40を含むことができる。
【0038】
また、本発明の加熱装置1は、コーティング蒸気発生チューブ40と連結され、コーティング蒸気14を鋼板210に噴出(排出)させて鋼板210の連続コーティングを可能にするノズル開口52を備えたコーティング蒸気ノズルチューブ50をさらに含むことができる。
【0039】
上記コーティング蒸気ノズルチューブ50は、実際にはコーティング機構200の関連要素であってもよい。
【0040】
即ち、本発明の加熱装置1は、基本的に、電磁コイル30、例えば、適宜のターン数で巻き取られた上部電磁コイル32と、上部電磁コイルから適宜離隔し、適宜のターン数で巻き取られた下部電磁コイル34で構成された電磁コイル30に電源が印加されると、この際に発生する電磁誘導電流を用いてコーティング物質を加熱し、鋼板のコーティングに必要なコーティング蒸気14を発生させるものである。
【0041】
例えば、電磁コイル30の内側で高周波電流の印加時に形成される電磁力によって、その内側に提供された固相のコーティング物質10は液相のコーティング物質12に相変化し、この液相のコーティング物質12はコーティング蒸気発生チューブ40の内側で加熱されながら金属蒸気であるコーティング蒸気14として生成される。
【0042】
一方、
図1に示したように、電磁コイル30の上・下部電磁コイル32、34には電源供給器36が連結され、図示されてはいないが、上記電磁コイル30には電磁コイル(高周波コイル)30のアーク発生を遮断するための絶縁構造が設置されることができる。例えば、電磁コイルは、キャスタブルやセラミックの充填材で絶縁されるものである。
【0043】
また、
図1、2及び
図7、8に示したように、本発明の電磁コイル30とその内側のコーティング蒸気発生チューブ40とその上部に連結されるノズル開口52を備えるコーティング蒸気ノズルチューブ50は、真空チャンバー220の内側に配置されることが好ましい。これは、電磁力を用いてコーティング物質を加熱する場合に相当な高熱が発生し、これにより、チューブが外部に露出する場合に汚染粒子等でアークが発生する恐れがあるためである。
【0044】
図2〜
図4に示したように、本発明の加熱装置1の上記コーティング物質供給ユニット60は、コーティング蒸気発生チューブ40又はコーティング蒸気ノズルチューブ50のうちから選択された一つを密封状態で通過してチューブの内部に連結されるコーティング物質供給管62を含む。
【0045】
本発明のコーティング物質供給管62は、真空チャンバー220の壁を貫通して、以下に詳述する
図1、2及び
図7、8のコーティング物質供給手段70、170と連結され、初期には固相のコーティング物質10をコーティング蒸気発生チューブ40の内側且つ加熱部20の加熱領域に供給する。
【0046】
図面には概略的に示したが、上記コーティング物質供給管62は、好ましくは、真空チャンバー220の壁とコーティング蒸気発生チューブ40又はコーティング蒸気ノズルチューブ50のうち一つを貫通し、且つコーティング蒸気14の外部への漏れや外部空気のチャンバー内への流入を遮断するように密封状態で設置される。
【0047】
また、上記コーティング物質供給管62は、電磁力を用いて固相のコーティング物質10を加熱し、相変化した液相のコーティング物質12をコーティング蒸気14として生成する加熱部と連結されるため、高温でも用いるのに問題のない耐熱材質で形成されることが好ましく、例えば、グラファイト材質で形成される。
【0048】
図4〜
図6に示したように、本発明の加熱装置1において、コーティング物質供給ユニット60の供給管62には、供給された固相のコーティング物質10を一時的にストッピング(位置止め)し、電磁力による加熱によって液相のコーティング物質12に相変化することを可能にするコーティング物質ストッピング手段を含むことができる。
【0049】
図4に示したように、本発明のコーティング物質ストッピング手段は、コーティング物質供給管62の下部に連結されるか又は一体に形成され、供給された固相のコーティング物質10を保持(ストッピング)し、その状態で加熱によって液相のコーティング物質12に相変化させた後、コーティング蒸気発生チューブ40に送らせる排出管64でもよい。
【0050】
図4及び
図5に示したように、上記ストッピング手段である排出管64は、供給管62の下部に別個の要素として連結されるか、又は一体に形成されることができる。上記コーティング物質排出管64は、供給管62と同様に、加熱部20の領域に配置されるため、耐熱素材であるグラファイト中空体であればよい。
【0051】
即ち、ストッピング手段である排出管64は、供給管62の下部の内側に挿入されるか又は一体に形成されることにより排出管の厚さ分だけ段差を形成し、供給された固相のコーティング物質10を保持してストッピングするものである。
【0052】
したがって、供給された固相のコーティング物質10は供給管62の内部で排出管64の上端にかかって保持され、この状態で印加された電磁力で加熱されて液相のコーティング物質12に相変化し(溶融され)、液相のコーティング物質12はコーティング蒸気発生チューブ40に排出(投入)されて加熱され続け、最終的にコーティング蒸気14が発生し、上記コーティング蒸気が鋼板210の表面に蒸着されて鋼板の乾式コーティングが行われる。
【0053】
しかしながら、本発明の加熱装置1において、電磁コイル30の内側ではコーティング物質が実際には浮上―加熱される。したがって、
図3に示したようにコーティング物質供給管62のみを備えても、電磁力が印加された状態で供給された固相のコーティング物質10は浮上―加熱されて液相のコーティング物質12に相変化し、その後、コーティング蒸気発生チューブ40でコーティング蒸気14として生成されることもできる。
【0054】
但し、
図3に示したように、供給管62のみを用いる場合、電磁力による浮上―加熱を具現するためには、浮上―加熱が可能な相当高い電磁力を発生させる必要がある。
【0055】
したがって、最も好ましくは、
図4から6に示したように、供給管62の下部に配置されたストッピング手段である排出管64によって、供給管に投入された後に落下する固相のコーティング物質10を保持し、加熱による液相のコーティング物質12を形成する。
【0056】
一方、
図5に示したように、本発明の加熱装置1において、供給管62の下部にストッピング手段である排出管64が一体に形成される場合、固相のコーティング物質10を保持してストッピングするための、段差を形成する保持部66を含むことが好ましい。
【0057】
図5に示したように、上記供給管62は、加熱部20、即ち、電磁コイル30に近接して位置する部分がグラファイト等の耐熱管62’であり、その上部に他の供給管62’’が連結される形をしてもよい。
【0058】
例えば、上記供給管62’’は、グラファイト材質より安価な金属管でもよい。
【0059】
また、
図6に示したように、別の形のストッピング手段を用いることもできる。本発明の加熱装置1において、供給管62の下端とストッピング手段である排出管64の上端に、係合して保持される係止爪62a、64aを形成することにより、供給される固相のコーティング物質10が引っかかって保持されてストッピングするようにすることもできる。
【0060】
即ち、供給される固相のコーティング物質10は、係止爪が重なる部分で保持され、加熱時(電磁力の印加時)に液相に相変化してコーティング蒸気発生チューブ40に排出される。
【0061】
一方、
図6に示したように、供給管と排出管のそれぞれの係止爪62a、64aの間に、耐熱材質でできた緩衝部材68、即ち、緩衝リングを介在することもできる。上記緩衝リングは、供給管62を通して落下するインゴット状の固相のコーティング物質10の落下衝撃を緩衝することを可能にする。
【0062】
次に、
図1、2及び
図7、8に示したように、本発明の加熱装置1において、コーティング物質供給ユニット60は、供給管62と連結され、固相のコーティング物質10、即ち、インゴット(塊)状の固相のコーティング物質10を供給管から加熱部20に供給することを可能にするコーティング物質供給手段70、170をさらに含むことができる。
【0063】
図1、2のコーティング機構200と
図7、8のコーティング機構200は鋼板210の進行方向が水平方向と垂直方向である点で異なるため、これに対応して、コーティング物質供給手段70、170も
図1、2と
図7、8のように別の形でもよい。但し、
図7、8のコーティング物質供給手段170は類似した形である。
【0064】
即ち、本発明のコーティング物質供給手段は、
図1、2に示したように鋼板210が水平方向に進行する場合のコーティング物質供給手段70と、
図7、8に示したように鋼板210が垂直方向に進行する場合のコーティング物質供給手段170に区分されることができる。
【0065】
図2に示したように、本発明の一実施例のコーティング物質供給手段70は、コーティング機構200の真空チャンバー220の一側に設置された円筒体のケーシング72を含み、上記ケーシング72の内側には、ケーシングの上側のモータ75が連結されて回転が可能な円形の回転供給体76が配置される。また、上記回転供給体76には、適宜の間隔で多数のコーティング物質収容部74が設置される。
【0066】
したがって、
図1及び
図2に示したように、移送手段90のベルトコンベヤー92から連続して適宜の間隔で供給されるインゴット状の固相のコーティング物質10は、ケーシング72の開口部(図示せず)から回転供給体76の収容部74に順次投入され、回転供給体の回転時にケーシングの底の排出口78から供給管62を通して加熱部20に供給される。
【0067】
一方、
図7及び
図8に示したように、本発明の他の実施例のコーティング機構200は、
図1、2を参照して説明したコーティング機構200と同様に、
図3〜
図6を参照して上述した本発明の加熱装置1のコーティング物質供給ユニット60、加熱部20の電磁コイル30とコーティング蒸気発生チューブ40及びノズル開口52を備えたコーティング蒸気ノズルチューブ50を基本的に含む。
【0068】
しかしながら、
図1、2に示したように鋼板が水平に進行するにあたり、鋼板の幅が広がる場合は鋼板が垂れ下がる現象が発生する恐れがある。したがって、鋼板の幅が広がる場合は、
図7、8に示したように鋼板を垂直方向に進行させながらコーティングすることが好ましい。
【0069】
垂直方向に鋼板を進行させながらコーティング蒸気14を蒸着して鋼板のコーティングを行う場合、垂直移送される鋼板の進行方向に合わせて、加熱部20の電磁コイル30が取り囲まれるコーティング蒸気発生チューブ40と連結されるコーティング蒸気ノズルチューブ50をノズル開口52の方向が鋼板に対応する構造で湾曲させるか又は折り曲げさせ、固相のコーティング物質10を
図1、2とは逆に上部から下部へ落下させる方式でコーティング物質供給ユニット60の供給管62から加熱部20に供給することができる。
【0070】
一方、
図7及び
図8に示したように、本発明の他の実施例とその変形例のコーティング物質供給手段170は、円筒体であるハウジング172の内側に回転可能に設置され且つ固相のコーティング物質10が収容されるコーティング物質収容部174を備える回転スタック176を基本的に含むことができる。
【0071】
本発明の上記回転スタック176は、スタック自体が多重構造でもよいが、垂直方向に一体に形成されて貫通するコーティング物質収容部174を含む形でもよい。
【0072】
即ち、
図7及び
図8に示したように、上記コーティング物質供給手段170の回転スタック176は、円筒状で垂直に長く伸びる形であり、内部にコーティング物質収容部174が形成され、ハウジング172の上部に形成された穴(図示せず)から投入されたインゴット状の固相のコーティング物質10が収容部174に多層に積載されることができる。
【0073】
したがって、真空チャンバー220上に設置された支持台173上に設置された内部空間を有するケーシング177に形成された固相のコーティング物質排出口178から所定の単位の固相のコーティング物質10が落下すると、ケーシング177に水平に設置されたシリンダー190のロッドに備えられたプッシング具192は、固相のコーティング物質10をケーシング177の反対側且つ供給管62の上端の入口に移動させ、供給管62に供給された固相のコーティング物質10は、コーティング物質排出ユニット60のストッピング手段である
図4〜
図6の排出管64に引っかかって保持されてストッピングした状態で加熱されて液相のコーティング物質12に相変化した後、加熱され続けてコーティング蒸気14として生成される。
【0074】
上記回転スタック176は、
図7に示したように、モータ175として駆動するベルト179(チェーン)によってハウジング172上にベアリング等で組み立てられた回転軸171が回転して回転動作することができる。この際、回転スタックは、一定の角度で回転しながら固相のコーティング物質10の供給管への投入を順次行う。
【0075】
あるいは、上記回転スタック176は、
図8に示したように、回転軸171がハウジング172の上部に配置されたモータ175と直接連結されて回転動作することができる。
【0076】
即ち、
図7及び
図8のコーティング物質供給手段170は、回転スタック176の駆動源、及び水平動作するシリンダー190とプッシング具192の配列に差異がある。
【0077】
図1、2及び
図7、8に示したように、本発明の加熱装置1は、コーティング蒸気14が供給管62から漏れることを遮断する供給管遮断手段80をさらに含むことができる。
【0078】
例えば、本発明の供給管遮断手段80は、
図2に示したように、シリンダー等の駆動源82によって移動可能に設置され且つ供給管62の開口63を遮断する移動遮断具84を含むことができる。
【0079】
あるいは、
図7、8に示したように、垂直移動するシリンダー等の駆動源82の下部に連結され、垂直な供給管62の上端の入口を覆って遮断する遮断板84’を含むことができる。
【0080】
図2に示した移動遮断具84は、固相のコーティング物質10を供給管62の内部に押して移動させる役割もし、供給管62の開口63を密閉する役割もする。
【0081】
また、
図7、8に示した遮断板84’は、供給管62の上端の入口(開口)を遮る役割をする。
【0082】
しかしながら、本発明の場合、固相のコーティング物質10が供給管62の下部ストッピング手段である排出管14に保持されて加熱されながら液相のコーティング物質12に相変化し、排出管14の下端の排出口から液相のコーティング物質12がコーティング蒸気発生チューブ40に流れ落ちて溜まりながらコーティング蒸気として生成され、投入される固相のコーティング物質10で供給管62又は排出管64が詰まるため、上記移動遮断具84や遮断板84’がなくてもコーティング蒸気の供給管からの漏れがほぼない。
【0083】
図1及び
図7、8を参照すると、本発明のコーティング機構200に備えられた加熱装置1の電磁コイル30は、
図1に示したように真空チャンバー220の内部に設置されるか、又は
図7、8に示したように真空チャンバー220の外部(大気中)に設置されることもできる。
【0084】
但し、電磁コイル30が真空チャンバー220の外部に配置される場合は、真空チャンバー220の間に組み立てられる絶縁フランジ230(壁構造)の外側に取り囲まれるように配置されることが好ましい。上記絶縁フランジ230は、真空雰囲気下の加熱部20のコーティング蒸気発生チューブ40を取り囲み、且つ大気下に配置される電磁コイル30の間を隔離する壁構造物であればよい。
【0085】
なお、上述した本発明のコーティング機構200に設置される加熱装置1において、固相のコーティング物質10を液相のコーティング物質12に円滑に相変化させるためには、
図3に示したようにコーティング物質供給ユニット60の供給管62が単独で設置されているか又は
図4〜
図6に示したように供給管の下部にストッピング手段である排出管64が設置されている場合は、供給管又は排出管の下端を加熱部の電磁コイル30の上部電磁コイル32と下部電磁コイル34の間に位置させる必要がある。
【0086】
例えば、下記表1、2に、印加電流、及び供給管又は排出管の下端と下部電磁コイル34の最上部のコイル間の間隔及び発熱を数値で示した。表1は、上部電磁コイル32のターン数(巻取数)が2、下部電磁コイル34のターン数が5の場合を示し、表2は、上部電磁コイル32のターン数(巻取数)が3、下部電磁コイル34のターン数が5の場合を示したものである。
【0089】
上記表1から分かるように、投入電流が3kA、供給管62又は排出管64の下端と下部電磁コイル34の最上部のコイル間の間隔が0mmの場合に最大で16kWの発熱量を形成する。
【0090】
この発熱量は、鋼板210の進行速度を200mpm程度にしても、十分なコーティング蒸気14の蒸着が行われることにより鋼板の円滑なコーティングが行われるようにする。
【0091】
表1、2から分かるように、供給管62又は排出管64の下端と下部電磁コイル34間の間隔が0mmの場合に発熱量が最も大きく、また、表1の上部電磁コイル32のターン数が2の場合よりは表2の上部電磁コイル34のターン数が3の場合に発熱量が大きい。
【0092】
なお、表1、2は、幅1550mm、進行速度100mpmの鋼板210を基準に約2μmのコーティング条件で亜鉛メッキする場合、初期に供給される固相のコーティング媒質10を2.5kg程度として約10秒(sec)の間隔で投入する条件で、投入された固相のコーティング媒質10を、電磁力を用いて400℃に加熱し、液相のコーティング媒質12への相変化のために約4kWの発熱エネルギーを投入したことを示したものである。
【0093】
したがって、本発明の加熱装置1では、コーティング物質供給ユニット60の供給管62(
図3)又は排出管64(
図4)の下端が少なくとも上部電磁コイル32と下部電磁コイル34の間に位置するようにすることが好ましい。
【0094】
また、排出管64の長さが長すぎると、排出管の上端に保持される供給管の内側の固相のコーティング物質12が加熱部20の電磁コイル30に近接して位置しない。したがって、排出管14は、供給管の内部に挿入され液相のコーティング物質を排出するほどの適宜の長さを有すればよい。
【0095】
より好ましくは、上記コーティング物質供給ユニット60の、グラファイト材質でできた供給管62の厚さは、電磁表皮深さ(Skin depth)の0.3〜1.5倍であることが好ましい。
【0096】
例えば、電磁誘導加熱時、誘導された電流が流れる表面の深さ、即ち、表皮深さで、片面の金属における表皮深さの0.3のときに効率が最も高い。したがって、シリンダー型供給管62の場合は、管の厚さを電磁表皮深さの0.3〜1.5倍とすることが好ましい。但し、1.5倍以上の場合は電磁誘導電流の浸透が困難であるという問題がある。
【0097】
また、本発明において、コーティング物質供給ユニット60の供給管62の外径は、加熱部20を構成するコーティング蒸気発生チューブ40の内径の5〜20%であるのが好ましい。5%以下の場合は、供給管62の発熱量が低いため、供給される固相のコーティング物質10の相変化、即ち、液相化が困難であり、20%以上の場合は、液相のコーティング物質12で発生したコーティング蒸気の流れを妨げる可能性がある。
【0098】
したがって、上記供給管62の外径は、加熱部20のコーティング蒸気発生チューブ40の内径の5〜20%であるのが好ましい。