特許第6078690号(P6078690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6078690-膨張型ピストン油圧チェーンテンショナ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078690
(24)【登録日】2017年1月20日
(45)【発行日】2017年2月8日
(54)【発明の名称】膨張型ピストン油圧チェーンテンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/08 20060101AFI20170130BHJP
【FI】
   F16H7/08 B
【請求項の数】15
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-516036(P2016-516036)
(86)(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公表番号】特表2016-526643(P2016-526643A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】US2014045547
(87)【国際公開番号】WO2015006195
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2016年2月24日
(31)【優先権主張番号】61/844,552
(32)【優先日】2013年7月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】デール・エヌ・スミス
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ウィグステン
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−022792(JP,A)
【文献】 実開昭55−063451(JP,U)
【文献】 実開昭58−018147(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/00−7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ループ伝動部材用のテンショナ(10)であって、
無端ループ伝動部材と操作可能に係合するプランジャ(12)と、
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記プランジャ(12)が摺動同軸運動を行うように誘導し、油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するピストン(14)と、
ピストンボア(34)と同軸のカウンターボア(32)内に位置する軸受球(30)を有する軸受(28)とを備え、
前記カウンターボア(32)が、前記軸受球(30)がその上面で移動する急傾斜テーパ(36)を含むことにより、前記プランジャ(12)が延伸方向に動く場合、前記軸受球(30)は前記カウンターボア(32)の外に移動して前記プランジャ(12)の自由延伸運動を許容し、前記プランジャ(12)が後退方向に動く場合、前記軸受球(30)は前記急傾斜テーパ(36)の内部へ下向きに駆動され前記プランジャ(12)の後退を防止することを特徴とする、テンショナ(10)。
【請求項2】
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記ピストン(14)が摺動同軸運動を行うように誘導しその間で油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するボア(52)を含むシリンダ(50)と、
前記シリンダ(50)の内径(ID)にある溝内に保持されている円状クリップ(38)とを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のテンショナ(10)。
【請求項3】
前記円状クリップ(38)がその内部で移動する、一定の幅の溝(40)を有する前記ピストン(14)を更に備え、前記一定の幅は、前記テンショナ(10)の許容可能ながたつき範囲に対応することを特徴とする、請求項2に記載のテンショナ(10)。
【請求項4】
延伸運動中に前記円状クリップ(38)と接触し、前記円状クリップ(38)が前記ピストン(14)を停止させるようにする、前記溝(40)の端壁を更に備えることを特徴とする、請求項3に記載のテンショナ(10)。
【請求項5】
前記軸受(28)と前記プランジャ(12)との間で作用し、前記円状クリップ(38)が前記溝(40)の端壁と接触する際に前記プランジャ(12)を付勢して前記ピストン(14)の外に出すことにより、結果として前記プランジャ(12)を延伸させ、前記無端ループ伝動部材の巻き取り誘導して当該無端ループ伝動部材の緩みを取り除く付勢バネ(42)を更に備えることを特徴とする、請求項4に記載のテンショナ(10)。
【請求項6】
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記ピストン(14)が摺動同軸運動を行うように誘導し、その間で油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するボア(52)を含むシリンダ(50)と、
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置するチェック弁(16)とを更に備えることを特徴とする、請求項1に記載のテンショナ(10)。
【請求項7】
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置するピストンバネ(18)と、
前記ピストンバネ(18)と直列した状態で位置する前記軸受(28)と前記プランジャ(12)との間で作用する付勢バネ(42)とを更に備え、
前記ピストンバネ(18)はより強いバネ力を加え、前記テンショナ(10)が完全に延伸した場合にのみ前記プランジャ(12)が延伸するようにして、前記テンショナ(10)内で最小限のがたつきだけが維持されるように保障することを特徴とする、請求項6に記載のテンショナ(10)。
【請求項8】
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置し、前記油圧液の流速を制御して油圧テンショナ機能を作り出す流速制御装置(20)を更に備えることを特徴とする、請求項7に記載のテンショナ(10)。
【請求項9】
無端ループ伝動部材用のテンショナ(10)であって、
無端ループ伝動部材と操作可能に係合するプランジャ(12)と、
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記プランジャが摺動同軸運動を行うように誘導し、油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するピストン(14)と、
ピストンボア(34)と同軸のカウンターボア(32)内に位置する軸受球(30)を有し、前記カウンターボア(32)が、前記軸受球(30)がその上面で移動する急傾斜テーパ(36)を含むことにより、前記プランジャ(12)が延伸方向に動く場合、前記軸受球(30)は前記カウンターボア(32)の外に移動して前記プランジャ(12)の自由延伸運動を許容し、前記プランジャ(12)が後退方向に動く場合、前記軸受球(30)は前記急傾斜テーパ(36)の内部へ下向きに駆動され前記プランジャ(12)の後退を防止する軸受(28)と、
前記軸受(28)と前記プランジャ(12)との間で作用し、前記プランジャ(12)を付勢して前記ピストン(14)の外に出すことにより、結果として前記プランジャ(12)を延伸させ、前記無端ループ伝動部材の巻き取り誘導して当該無端ループ伝動部材の緩みを取り除く付勢バネ(42)とを備えることを特徴とする、テンショナ(10)。
【請求項10】
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記ピストン(14)が摺動同軸運動を行うように誘導し、その間で油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するボア(52)を含むシリンダ(50)と、
前記シリンダ(50)の内径(ID)にある溝内に保持されている円状クリップ(38)とを更に備えることを特徴とする、請求項9に記載のテンショナ(10)。
【請求項11】
前記円状クリップ(38)がその内部で移動する、一定の幅の溝(40)を有する前記ピストン(14)を更に備え、前記一定の幅は、前記テンショナ(10)の許容可能ながたつき範囲に対応することを特徴とする、請求項10に記載のテンショナ(10)。
【請求項12】
延伸運動中に前記円状クリップ(38)と接触し、前記円状クリップ(38)が前記ピストン(14)を停止させるようにする、前記溝(40)の端壁を更に備えることを特徴とする、請求項11に記載のテンショナ(10)。
【請求項13】
前記無端ループ伝動部材の方向へ前記ピストン(14)が摺動同軸運動を行うように誘導し、その間で油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するボア(52)を含むシリンダ(50)と、
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置するチェック弁(16)とを更に備えることを特徴とする、請求項9に記載のテンショナ(10)。
【請求項14】
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置するピストンバネ(18)と、
前記ピストンバネ(18)と直列した状態で位置する前記軸受(28)と前記プランジャ(12)との間で作用する付勢バネ(42)とを更に備え、
前記ピストンバネ(18)はより強いバネ力を加え、前記油圧テンショナ(10)が完全に延伸した場合にのみ前記プランジャ(12)が延伸するようにして、 前記テンショナ(10)内で最小限のがたつきだけが維持されるように保障することを特徴とする、請求項13に記載のテンショナ(10)。
【請求項15】
前記シリンダ(50)と前記ピストン(14)との間に位置し、前記油圧液の流速を制御して油圧テンショナ機能を作り出す流速制御装置(20)を更に備えることを特徴とする、請求項14に記載のテンショナ(10)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関するものであり、より具体的には、内燃機関の無端ループ伝動駆動に用いられ、作動中に無端ループ伝動部材に張力を加える無端ループ伝動部材用テンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
タイミング駆動テンショナは、チェーンと、究極的にはテンショナアーム/フェイスを介して伝達されるタイミング駆動動的入力を制御できるように設計されている。前記制御を行うために、テンショナは機械方式、油圧方式、或いは両方の組み合わせにより「チューニング」される。チェーンが摩耗すれば、一般的なテンショナピストンは延伸し、緩んだチェーンを巻き取りしようとする。ピストンの延伸は機械的付勢バネ力を低減させ、テンショナチューニングを変化させる油圧液の漏出を増加させることがある。テンショナの寿命サイクルにおいて、チューニングの変化は、テンショナが新品であればテンショナの過剰張力で相殺することができ、それにより寿命サイクルにおいてチェーン摩耗時期に生じるピストンの延伸を相殺する。しかしながら、テンショナの過剰張力は効率性とシステムの耐久性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0003】
テンショナに求められる機能は、延伸により摩耗して緩んだチェーンの巻き取りを行うことである。従来のテンショナの場合、チェーンの巻き取り中に、チェーンを新品に取り替える際にかかる過剰な予荷重を軽減させる圧縮バネが伸びてしまい、やはり効率性とシステムの耐久性に悪影響を及ぼしてしまうのだ。
【発明の概要】
【0004】
無端ループ伝動部材用のテンショナは、無端ループ伝動部材と操作可能に係合するプランジャと、無端ループ伝動部材の方向へプランジャが摺動同軸運動を行うように誘導し、油圧液を受け取るオイル容器を区画するピストンとのアセンブリーを備える。軸受は、ピストンボアと同軸のカウンターボア内に位置する軸受球を有する。カウンターボアは、軸受球がその上面で移動する急傾斜テーパを含むので、プランジャが延伸方向に動く場合、軸受球はカウンターボアの外に移動してプランジャの自由延伸運動を許容し、プランジャが後退方向に動く場合、軸受球は急傾斜テーパの内部へ下向きに駆動されプランジャの後退を防止する。
【0005】
テンショナは二つのバネを含んでも良い。第1バネはプランジャを付勢してピストンから遠ざけ、第2バネはピストンを付勢してシリンダボアから遠ざける。テンショナは、ピストン付勢バネがプランジャ付勢バネより常に大きい組立て荷重(assembled load)を持つように設計されている。ピストン、シリンダ、容器、チェック弁、通風口は、無端ループ伝動装置に対し、バネ力、オイルからの圧力、油圧減衰を印加する従来の油圧式テンショナとして作用することができる。
【0006】
シリンダに対するピストンの移動(travel)距離は、システムの摩耗において完全に巻き取りを行うために要るテンショナの総移動距離より短い距離に制限しても良い。シリンダは無端ループ伝動部材の方向へピストンが摺動同軸運動を行うように誘導し、その間で油圧液を受け取るオイル容器を区画するボアを含んでも良い。円状クリップはシリンダの内径(ID)にある溝内に保持されていても良い。ピストンは、円状クリップがその内部で移動する、一定の幅の溝を有しても良い。該一定の幅は、テンショナに求められる最小限のがたつきと、少なくとも同じ距離に対応する。溝の端壁は、延伸運動中に円状クリップと接触し、ピストンがピストンボアに対して完全に延伸した際に、第1バネのバネ力はそれ以上チェーンに対して作用しない代わりに、第2バネは軸受及びピストンに対してプランジャを外へ押し出せるようにする。従ってテンショナの短距離移動油圧部は、システムの摩耗によって外向きに位置を変えるようになる。
【0007】
本発明が開示するテンショナは、ピッチ無し/がたつき無しの歯止め機構と直列に連結されている短距離移動油圧テンショナとして用いることができる。従来のチェーンテンショナは、歯止めと平行する油圧テンショナとして用いられる。本発明のテンショナは、歯止めの頂部に作用する油圧機能を有する。油圧部の移動はテンショナが必要とする総移動距離よりずっと短く、よってピストンとシリンダ間に位置するバネの設計が容易になる。荷重がより一貫性を持つという長所もある。また、油圧漏出路の長さは決して変わらない。従来のテンショナの場合、テンショナが遠くへ進めば進むほど、漏出路が短くなった。本発明のテンショナは、二つのバネを用いて、テンショナの油圧部が圧縮される間にがたつき無しの歯止めが決して延伸しないようにする構成を採用している。
【0008】
本発明を実施するための最善の形態に関する下記の説明を、添付図面と共に熟読した当業者ならば、本発明を容易に応用することができると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の明細書の参考として添付した図面において、同じ部品には同一の参照番号を与えている。
【0010】
図1図1は、膨張型ピストン油圧チェーンテンショナの断面図です。
【発明を実施するための形態】
【0011】
無端ループ伝動部材用のテンショナ(10)は、無端ループ伝動部材と操作可能に係合するプランジャ(12)と、無端ループ伝動部材の方向へプランジャ(12)が摺動同軸運動を行うように誘導するピストン(14)とのアセンブリーを備えても良い。ピストン(14)は、油圧液を受け取るオイル容器(26)を部分的に区画する。軸受(28)は、ピストンボア(34)と同軸のカウンターボア(32)内に位置する軸受球(30)を有しても良い。カウンターボア(32)は、軸受球(30)がその上面で移動する急傾斜テーパ(36)を含むので、プランジャ(12)が延伸方向に動く場合、軸受球(30)はカウンターボア(32)の外に移動してプランジャ(12)の自由延伸運動を許容し、プランジャ(12)が後退方向に動く場合、軸受球(30)は急傾斜テーパ(36)の内部へ下向きに駆動されプランジャ(12)の後退を防止する。シリンダ(50)は、ピストン(14)が無端ループ伝動部材の方向へ摺動同軸運動を行うように誘導し、その間で油圧液を受け取るオイル容器(26)を区画するボア(52)を含んでも良い。円状クリップ(38)は、シリンダ(50)の内径(ID)にある溝内に保持されていても良い。ピストン(14)は、円状クリップ(38)がその内部で移動する、一定の幅の溝(40)を有しても良い。該一定の幅は、テンショナの許容可能ながたつき範囲に対応する。溝(40)の端壁は、延伸運動中に円状クリップ(38)と接触しても良く、それによって円状クリップ(38)はピストン(14)を停止させることができる。付勢バネ(42)は軸受(28)とプランジャ(12)との間で作用しても良い。付勢バネ(42)は、円状クリップ(38)が前記溝(40)の端壁と接触する際に、プランジャ(12)を付勢してピストン(14)の外に出すことにより、結果として延伸と無端ループ伝動部材の巻き取りを誘導する。
【0012】
チェック弁(16)は、シリンダ(50)とピストン(14)との間に位置しても良い。ピストンバネ(18)は、シリンダ(50)とピストン(14)との間に位置しても良い。必要によって設ける流速制御装置(20)もまた、シリンダ(50)とピストン(14)との間に位置しても良い。チェック弁(16)、ピストンバネ(18)、必要によって設ける流速制御装置(20)は、共に油圧テンショナ機能を作り出すことができる。
【0013】
タイミング駆動延伸型ピストンチェーン巻き取りテンショナは、ボア(52)内部で摺動するピストン(14)を用いる。テンショナボア(52)はチェック弁(16)を含む。ピストン(14)とチェック弁(16)間にはピストンバネ(18)があり、必要によって設ける流速制御装置(20)は従来の油圧テンショナ機能を作り出す。ピストン(14)はボア(34)内部で移動するプランジャ(12)を有する。ピストン(14)はまた、テーパ(36)を有するカウンターボア(32)内に捕らえている玉軸受(28)を備える。軸受(28)とプランジャ(12)との間には、軸受(28)に力を印加しプランジャ(12)を延伸させる付勢バネ(42)が位置する。プランジャ(12)は延伸することはできるが、後退方向においては軸受(28)にかかりロックされる。円状クリップ(38)はボア(52)の内径(ID)にある溝内に保持されている。円状クリップ(38)は、ピストン(14)の外径(OD)に形成された一定の幅を持つ溝(40)の内部で移動する。該幅は、テンショナ(10)の許容可能ながたつき範囲に対応する。円状クリップ(38)が延伸運動中に溝(40)の端壁と接触すれば、ピストン(14)は停止する。バネ(42)から付勢されたプランジャ(12)は延伸してタイミングシステムアームとの接触を維持し、緩んだチェーンを巻き取りする。
【0014】
タイミング駆動延伸型ピストンチェーン巻き取りテンショナは、緩んだチェーンに巻き取りを行って、テンショナ(10)がタイミング駆動装置の寿命の間、一定のテンショナチューニングを維持する平均位置を確保できるようにする膨張型ピストン(14)を用いる。プランジャ/ピストンアセンブリー(12/14)は、油圧ピストン(14)がフールストローク位置に達した場合だけ膨張しても良い。片方向装置で運動を制御して後退を阻止することで、緩んだチェーンの巻き取りを行う。ピストン(14)内のボア(34)内部へ誘導されるプランジャ(12)を用いてこの機能を具現することができる。プランジャ(12)はテーパ状壁(36)を有するカウンターボア(32)内部に捕らえている玉軸受(28)を通り過ぎる。バネ(42)はプランジャ(12)を付勢してプランジャ(12)が軸受(28)を通り過ぎて延伸するように仕向ける。ピストン(14)は、所望のがたつき幅を有する溝(40)内部で移動するクリップ(38)により保持される。ピストン(14)はテンショナボア(52)内で移動する。ボア(52)はオイル供給装置(54)、チェック弁(16)、ピストンバネ(18)は勿論、必要ならば流速制御装置(20)も収容する。
【0015】
プランジャ(12)、ピストン(14)、軸受(28)、付勢バネ(42)は、チェーン巻き取り機構を形成する。バネ(42)はプランジャ(12)を外向きに付勢してプランジャ(12)が軸受(28)を通り過ぎて延伸するように仕向ける。後退方向において、玉軸受(28)はテーパボア(36)内部へ下向きに駆動されプランジャ(12)をロックし、後退を防止する。ピストン(14)は所望のがたつき幅を有する溝(40)の内部で移動するクリップ(38)により保持される。ピストン(14)が延伸すれば、クリップ(38)が溝(40)の端部にぶつかるためピストン(14)は停止をやむなくするが、プランジャ(12)は延伸することができる。チェーンの巻き取りが起きるので、後退はできなくなる。プランジャ(12)が緩んだチェーンを巻き取りするため、テンショナチューニングはチェーンの寿命のうちは変わらない。標準の油圧テンショナ機能は、チェック弁(16)、ピストンバネ(18)、流速制御装置(20)が提供する。従来の歯止めを用いてチェーンの巻き取りを制御することもできるが、この場合、ピッチはなるべく小さくしなければならない。
【0016】
以下、最も実用的かつ好ましい実施形態を考慮して本発明を説明したが、本発明は開示した実施形態に限られず、後述する請求項の範疇に含まれる変形や等価物を全て含むことになる。また請求項は、法律上許容される全ての変形及び等価物を網羅する最大範疇の解釈と一致する。
図1