(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078710
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】防水(放射能防御)粘土を圧入する廃棄物の水底深層地盤置換処理法
(51)【国際特許分類】
B09B 1/00 20060101AFI20170206BHJP
G21F 9/34 20060101ALI20170206BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
B09B1/00 HZAB
B09B1/00 F
G21F9/34 C
G21F9/36 541M
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-539456(P2013-539456)
(86)(22)【出願日】2011年10月20日
(86)【国際出願番号】JP2011074108
(87)【国際公開番号】WO2013057813
(87)【国際公開日】20130425
【審査請求日】2014年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】513005822
【氏名又は名称】うつろ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】赤井 一昭
【審査官】
岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3000193(JP,B2)
【文献】
米国特許第04973194(US,A)
【文献】
特開2003−185796(JP,A)
【文献】
特開昭52−023872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00
G21F 9/34
G21F 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底地盤深くケイシングを挿入し、廃棄物を水底地盤の深層に圧入処理を行う廃棄物の底泥深層置換処理法において、廃棄物の圧入処理を行う前に、あらかじめ防水粘土もしくは放射性物質を吸着する粘土を十分圧入し、圧入した粘土の中にケイシング上端部より廃棄物を投入することによって、廃棄物と水底の底泥深層との間に粘土の層を形成して、廃棄物の汚染水や放射能性物質の水底地盤の深層への流出を防止することを特徴とする、防水粘土または放射性物質を吸着する粘土を具備した廃棄物の底泥深層置換処理法
【請求項2】
前記廃棄物を圧入した後、前記の防水粘土又は放射性物質を吸着する粘土をケイシング内に投入して廃棄物を粘土で密閉し、ケイシング内に間詰め材を投入した後、圧力のバランスをさせてケイシングを引き抜き、この作業と前後して、水底地盤深く注入された廃棄物に達するガス抜きパイプ7を挿入して、注入廃棄物内の圧力をバランスさせて廃棄物の管理を行う、請求項1記載の防水粘土または放射性物質を吸着する粘土を具備した廃棄物の水底深層地盤置換処理法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は防水(放射能防御)粘土を圧入する廃棄物の水底地盤深層置換処理法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の廃棄物は海域を鋼矢板等で仕切りこの中に埋め立て処分を行ない表面の覆土を行なうもので、雨水による滲出汚水など環境破壊につながる事が多かった。
また、焼却処分についても排ガスによる大気汚染など環境破壊が生じてきた。
さらに、従来の水域の埋め立てや焼却による廃棄物の処理方法では、コストの上でも、技術的にも 処分地の立地が大きな社会問題となっている。
このため、1999年に、(JP3000193)「廃棄物の底泥深層置換処理法」を発明した。この技術は、ケイシングを底泥深く挿入して、底泥深層に廃棄物を注入処理を行う、廃棄物の海底泥深く圧入処理技術である。
【特許文献1】特許公報3000193号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
水底の深層地盤は一朝に形成されたものでなく、何千、何万年の年月を要して構成されたもので、この間いろんな天変地異があり、深層地盤には断層や砂層、礫層が存在し、地下水脈となっている。
このため、水底深層地盤に置換処理された廃棄物の汚染水が地層や地下水脈を通じて流出するなど、地下水を汚染する原因となる。
更に、放射能廃棄物を水底地盤深く置換処理法で処理しようとする場合にも同じ問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、これらの問題を解決するため、あらかじめ廃棄物を投入する前に防水粘土を、(放射能廃棄物の場合に放射能防御粘土を)注入し、この中に廃棄物を圧入することにより、廃棄物の汚染水や放射能が水底深層地盤内への流出を防止しようとするものである。さらに、放射能廃棄物を処理する場合には、放射能の吸着性の強い粘土鉱物を使用する事により、放射性廃棄物の放射能を防御することが可能である。
【0005】
防水粘土は公知のベントナイト、油性粘土などゲル状の防水粘土であり、特に放射能廃棄物を処理しようとする場合には放射能の吸着性の高い公知のモンモリナイト等の粘土鉱物を主成分とした防水粘土を使用する。
【発明の効果】
【0006】
水底地盤深く挿入された廃棄物外圧は均しく、安定した格納構造である。
(一般の廃棄物)
水底地盤深くケイシングを挿入し、ケイシング上端より、あらかじめ挿入された防水粘土により、底泥深層の断層や地下水脈の遮断された格納効果を有する。
廃棄物の圧入により、 水底地盤深く挿入された廃棄物は外気に曝すことなく、また、飛散や悪臭を防止する格納効果を有する。
【0007】
(、放射能汚染廃棄物)
更に、放射能汚染廃棄物については、
図2、
図3に示すように、水中の水底地盤深く、放射能防護粘土の中に圧入された放射能汚染廃棄物の放射能汚染防止効果は(1)放射能防護粘土による防御効果。(2)水底地盤深く埋設の効果。(3)水の放射能遮断効果が大きく、水底下深層地盤内に保存された放射性廃棄物場所は最も頑強な中性子の放射能からも防御される。
このように、放射能汚染廃棄物は幾重にも防護された格納効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(作業開始の前処理)
廃棄物を圧入しようとする水底地盤深くにケイシング1を挿入し、あらかじめ防水(放射能防御)粘土を十分圧入した後、廃棄物を注入することにより、水底深層地盤が廃棄物に直接触れる事無く、水底地盤深く廃棄物を処理しようとするものである。
【0009】
(完了後の処理)
底泥深層置換処理の終了後、防水(放射能防御)粘土投入し、廃棄物を防水(放射能防御)粘土で密閉する。
完了に当って、ケイシング内に底泥を十分満たした後、ケイシングを引き抜く。
【0010】
(廃棄物の地下汚染防止)
廃棄物を水底地盤深くに圧入処理を行うまえに、あらかじめ防水(放射能防御)粘土を圧入し、圧入した廃棄物と底泥深層の地下水を遮断することにより廃棄物の地下水汚染を防止する。
【0011】
放射能廃棄物については防水粘土の粘土鉱物に放射能の吸着性の高い公知の粘土鉱物を使用する事により放射能の遮断作用が高められる。
(完了後)
底泥深層置換処理の完了後、
図3に示すような、ケイシングの開口部を8の底泥等で密閉し、底泥下の廃棄物内に達するパイプを設置し、設置されたパイプ7によって廃棄物内の圧力を外水位以下に保持することにより滲出汚水を防止する。
一般的には廃棄物より発生するガスをパイプ7で自然に放出することにより内圧が低下する。
【実施例】
【0012】
図1に示すように、ケイシング1を底泥2深く挿入し、防水(放射能防御)粘土をポンプや図に示すホッパ−5に投入し十分水底地盤内に注入する。
その後、
図2に示す様にケイシング内に廃棄物を注入すると廃棄物4はケイシング1の中を落下し、廃棄物の圧力によって、水底地盤(泥)を押しのけて、水底地盤(泥)深く
図2のように廃棄物と水底地盤(泥)深く置換される。
廃棄物の注入が完了すれば、廃棄物の代わりに防水(放射能防御)粘土を投入し、底泥などの間詰材8を投入し、圧力のバランスをとってケイシングを引き抜く。
時には、この作業と前後して、水底地盤深く注入された廃棄物に達するガス抜きパイプ7を挿入し、
図3の状態とで廃棄物の管理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1 図は 、廃棄物の水底深層地盤置換処理法を実施する前に防水(放射能防御)粘土を注入した状態の横断図である。
【
図2】第2 図は 、水底深層地盤に挿入された廃棄物が防水(放射能防御)粘土により遮断された状態の横断図である。
【
図3】第3 図は、防水(放射能防御)粘土による廃棄物の水底深層地盤置換処理の終了後の横断図である。
【符号の説明】
【0014】
0 防水(放射能防御)粘土
1 ケイシング
2 水底地盤
3 水
4 廃棄物
5 ホッパ−
6 フロウト
7 ガス、水抜きパイプ
8 間詰め材
9 積載荷重