(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078751
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】墓の供え花の保護装置
(51)【国際特許分類】
E04H 13/00 20060101AFI20170206BHJP
A01G 5/06 20060101ALI20170206BHJP
A47G 33/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
E04H13/00 H
A01G5/06
A47G33/00 M
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-248657(P2015-248657)
(22)【出願日】2015年12月21日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3194654号
【原出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-61138(P2016-61138A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2015年12月21日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】714009072
【氏名又は名称】有限会社大西組
(72)【発明者】
【氏名】大西 秀利
(72)【発明者】
【氏名】大西 照美
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−011875(JP,U)
【文献】
実開昭57−036138(JP,U)
【文献】
実開昭63−175983(JP,U)
【文献】
特開平11−204953(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3108028(JP,U)
【文献】
特開2010−112141(JP,A)
【文献】
特開2011−036232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 13/00
A47G 33/00
A01G 5/06
A01M 29/00−29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
墓の花立に合わせた断面形状を有する長尺のカゴ状物であり、その屋根部及び周囲部は一定方向にのみ配置される線状部材で構成され、カゴ状物の内部が視認できる隙間が形成されており、その底部は開放され、当該花立の上部に設置されて固定され、かつ取り外し可能な構造であることを特徴とする墓の供え花の保護装置。
【請求項2】
墓の花立に合わせた断面形状を有する長尺のカゴ状物であり、その屋根部及び周囲部は一定方向にのみ配置される線状部材で構成され、カゴ状物の内部が視認できる隙間が形成されており、長丁番で開閉する部分を有し、その底部は開放され、当該花立の上部に設置されて固定されることを特徴とする墓の供え花の保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、墓所に供えられた花を鳥獣の被害から防御するための保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
墓所に供えられた花は、亡き人を思いたむけられ、そのことによって、お墓参りをした人も、心穏やかに亡き人の想いを偲ぶことができる。しかしながら、参拝した人の心を痛め、腹立たしささえ抱かせるのが、供えられた花の鳥獣被害である。鳥獣によって供え生けた花は食いちぎられ、食い散らかされてしまうことが多い。掃除の手間などと共に、無残な姿になった花の取り替えの費用も小さなものではない。亡き人を偲ぶ心静かな墓参りを実現するためにも、解決の方法が待たれる。
【0003】
墓に設けられた花立に供えられた花を、花筒より立ち上がったポールと花を側面から覆い保護する遮断板の組合わせにより鳥類の被害から守る、花立の花保護延命装置が提案されている(特許文献1)。また、墓に設けられた花立に供えられた花を、鳥害から守るために、花筒に鳥害防止遮断棒を取り付けた供え花保護延命装置も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−112141号公報
【特許文献2】特開2011−36232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の提案されている供え花保護延命装置では、鳥獣被害を防ぐことはできない。
【0006】
本発明は、墓の供え花を内部が視認できる隙間が形成されたカゴ状物で覆うことにより鳥獣被害から防御することができる、供え花の保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の課題解決手段は、墓の花立に合わせた断面形状を有する長尺のカゴ状物であり、その屋根部及び周囲部は
一定方向にのみ配置される線状部材で構成され、カゴ状物の内部が視認できる隙間が形成されており、その底部は開放され、当該花立の上部に設置されて固定され、かつ取り外し可能な構造であることを特徴とする墓の供え花の保護装置(これを「本発明1」という)を提供することである。
【0008】
また本発明の第二の課題解決手段は、墓の花立に合わせた断面形状を有する長尺のカゴ状物であり、その屋根部及び周囲部は
一定方向にのみ配置される線状部材
(以下、これを「線状部材」という)で構成され、カゴ状物の内部が視認できる隙間が形成されており、長丁番で開閉する部分を有し、その底部は開放され、当該花立の上部に設置されて固定されることを特徴とする墓の供え花の保護装置(これを「本発明2」という)を提供することである。
【0009】
本発明におけるカゴ状物の底部が開放された状態には、底部の形状を形成する枠に線状部材を配して、当該枠の内側には底面を構成する平面状物のない完全に開放された状態と、底部の形状を形成する枠の内側に底面を構成する平面状物が張られ、その中央が花筒の大きさに相当する穴で開放された状態とがある。前者の場合には、底部の枠を構成する線状部材を絞ることにより、その底部を逆円錐形にすることができる。後者の場合は、カゴ状物の全体形状は固定されたものとなる。
【0010】
本発明1の墓の供え花の保護装置は、墓の花立に設置され固定されるが、花立に花を供える際に取り外すことができる。
保護装置の墓の花立への固定は、花立が石柱である場合、例えば、当該装置の周囲部を構成する線状部材からなる支柱の数本をカゴ状物よりも長尺にし、それらの支柱の位置に対応して石柱の上面周辺に窪みを入れておくことにより、両者を嵌合させることにより行う。保護装置の取り外しは当該支柱を窪みから抜くことにより行う。
ツバ付きステンレス製花立である場合、例えば、底部が完全に開放されたカゴ状物からなる保護装置を使用し、カゴ状物の内に花立のツバを入れ、そのカゴ状物の底部の枠を構成する線状部材を絞って当該ツバの下方で固定する。保護装置の取り外しは当該線状部材の絞りを解くことにより行う。また、全体形状が固定され、底面の中央が花筒の大きさに相当する穴で開放されたカゴ状物からなる保護装置を、当該ツバの上部に設置して当該穴と花筒で嵌合させて固定することもできる。保護装置の取り外しは当該嵌合を解くことにより行う。
【0011】
本発明2の墓の供え花の保護装置は、墓の花立に設置され固定されて取り外しができないものである。この保護装置の墓の花立への固定は、上記の本発明1に係る保護装置の墓の花立への固定と同様であるが、取り外すことがないので、花立が石柱である場合には、上記のカゴ状物の支柱と石柱の上面周辺の窪みとの嵌合部分を固めるか、両者間にアンカー等を使用して行う。
この保護装置は、屋根部及び周囲部に長丁番で開閉する部分を有しており、その部分を開くことにより、花立に供える花を入れた花筒を差し入れることができる。閉じた際に自然に開かないように、開閉部分には鍵状物を付けることが好ましい。
【0012】
本発明におけるカゴ状物の屋根部及び周囲部を構成する線状部材としては、鉄、ステンレス、アルミ、木材、竹材などが挙げられるが、鉄、ステンレス、アルミなどの金属からなる線状部材が耐久性に優れ、丈夫であるので好ましい。
カゴ状物は、墓の花立に合わせた断面形状を有しているが、その断面形状は一様である必要はなく、花立に供えられた花を痛めないように、底部より周囲部及び屋根部が広がった形状であってもよい。屋根部は四角形、ドーム形、東屋形などにすることができる。
カゴ状物を補強するために、フラットバーを適宜設けることが好ましい。フラットバーは、ステンレス製、アルミ製、銅製、真鍮製などが好ましく、その大きさはカゴ状物の大きさに応じて決めればよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の墓の供え花の保護装置により、カラス等の鳥獣が上空や墓石の高い位置から狙い澄ませて供え花や花の入った花筒を咥えるのを防ぐことができる。
本発明の墓の供え花の保護装置により、供え花を保護することができるので、供え花の美しさを長く維持させ、墓所も清潔感を保つことができる。お墓参りの人は、心を和やかに保ち、亡き人を偲び、本来のお墓参りという心の満たされたひとときを過ごすことができる。
本発明の墓の供え花の保護装置は、花立に供えられた花の全体が屋根部及び周囲部の線状部材の隙間から見えるので、お墓参りの人が心やすらかに亡き方へ、先祖へ、手を合わすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の墓の供え花の保護装置を花立に設置した一例を示す図である。
【
図2】本発明2の墓の供え花の保護装置の使用形態の一例を示す図である。
【
図3】本発明2の墓の供え花の保護装置の使用形態の一例を示す
図2における開閉部分を開いた状態を示す図である。
【
図4】本発明2の墓の供え花の保護装置の屋根部の一例を示す図である。
【
図5】本発明2の墓の供え花の保護装置の屋根部の他の一例を示す図である。
【
図6】本発明2の墓の供え花の保護装置の屋根部の一例を示す
図5における開閉部分を開いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0016】
本発明の墓の供え花の保護装置は、
図1に示されるように、墓の花立の上部に設置される。
本発明2の墓の供え花の保護装置は、
図2及び
図3に示されるように、花立1の石柱に合わせてカゴ状物の全体が直方体であり、それがステンレス製の線状部材で鳥カゴ状に構築されており、屋根部6が東屋形で、前面が開閉扉となっており、開閉扉の部分に鍵部5が付いており、ステンレス製のフラットバー7で数箇所が補強されている形態をしている。保護装置の底部4には、底面を構成する平面状物が張られ、その中央に花筒の大きさに相当する穴を有している。保護装置をその底面中央にある穴を花筒に合わせて花立1の上表面に設置し固定する。花立1に内包される花筒2内の供え花3は、保護装置で覆われるが、線状部材を通してその全体を見ることができる。
【0017】
図4は、墓の供え花の保護装置の屋根部が四角形で、その前面の開閉扉を開いており、その装置をフラットバー7で数箇所を補強している形態を示している。
図5は、墓の供え花の保護装置の屋根部がドーム形で、屋根の最上部に開閉の長丁番8を有し、数箇所をフラットバー7で補強している形態を示しており、
図6は、その長丁番で前面の開閉扉を上方に開いた状態を示している。
【0018】
本発明の墓の供え花の保護装置は、従来の墓の花立の上表面又は上部分に設置することができる。カゴ状物の屋根部の形や開閉扉の有無とその形状は自由に変更可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 墓の花立
2 花筒
3 供え花
4 保護装置の底部
5 保護装置の鍵部
6 保護装置の屋根部
7 保護装置の補強のフラットバ−
8 保護装置の開閉の長丁番