【実施例1】
【0025】
実施例1として、速度取り締まり情報の監視・表示を行うための車載電子機器1について説明する。
図1に示す様に、この車載電子機器1は、筐体10の前面に、液晶表示パネル20と、この液晶表示パネル20の左右外側に位置するダイレクト操作用のタッチ式スイッチ(以下、「ダイレクトスイッチ」という)31〜35とを備えている。右側上のダイレクトスイッチ31には、操作エリア31aの外側寄りに偏らせて上から下に向かう横書きとなる様に、音量アップを意味する記号「△」と「VOL」の英文字が透光部31bとして形成されている。同じく右側中のダイレクトスイッチ32にも、操作エリア32aの外側寄りに偏らせて上から下に向かう横書きとなる様に、「VOL」の英文字と音量ダウンを意味する記号「▽」が透光部32bとして形成されている。さらにその下のダイレクトスイッチ33には、操作エリア33aの外側寄りに偏らせて上から下に向かう横書きとなる様に、「MUTE」の英文字が透光部33bとして形成されている。また、左側上のダイレクトスイッチ34には、操作エリア34aの外側寄りに偏らせて下から上に向かう横書きとなる様に、「MEMO」の英文字が透光部34bとして形成され、左側下のダイレクトスイッチ35には、操作エリア35aの外側寄りに偏らせて下から上に向かう横書きとなる様に、「VIEW」の英文字が透光部35bとして形成されている。即ち、各透光部31b〜35bは、表示画面の画面中心側を下辺とする横書き表記の文字となっている。
【0026】
図2に示す様に、これらダイレクトスイッチ31〜35は、
図2に示す様に、液晶表示パネル20の画面21を画面タッチエリア30aとするタッチパネル30の左右外側に形成されていて、各スイッチの透光部31b〜35bの真後ろにLED41〜45が設置されている。なお、左側上下のダイレクトスイッチ34,35の間には、ロゴ36を表記した透光部36bも形成されていて、その真後ろにもLED46が設置されている。
【0027】
右側のLED41〜43の設置位置についてさらに詳しく述べると、
図2(A)に示す様に、LED41〜43は、液晶表示パネル20の画面21の右側に備えられた回路収納部22の外側直近位置に設置されている。そして、ダイレクトスイッチ31〜33は、それぞれの操作エリア31a〜33aの内側が回路収納部22に重なり、画面21には重ならない様に形成されている。また、左側のダイレクトスイッチ34,35も、それぞれの操作エリア34a,35aの内側が画面31に重ならない様に形成されている。右側上下のダイレクトスイッチ31,33と、左側上下のダイレクトスイッチ34,35とは、画面21の中心に対して左右対称となる様に形成されている。
【0028】
これらLED41等についてさらに詳しく述べる。
図3〜
図5に示す様に、これらLED41〜46は、液晶表示パネル20を設置した表示基板51の前面に設置されている。筐体10は、表示基板51を背面側から位置決め装着するフロントケース11と、フロントケース11と一体化されて筐体の側面及び上下面を構成する筒状のメインボディ12と、メインボディ12の後端を塞ぐ裏蓋13とから構成されている。
【0029】
そして、フロントケース11は、メインボディ12の前端縁12aよりも所定量後方に控えた位置においてメインボディ12の左右側面から内側に突設する様に一体形成され、その前面にタッチパネル30がメインボディ12の内側に収まる様に設置される構造となっている。そして、フロントケース11には、液晶表示パネル20の画面21を正面から視認可能とする中央窓60が形成されると共に、この中央窓60の右側縁に沿って、LED31〜33を正面に向かって露出させる切り欠き61〜63が形成されると共に、中央窓60の左側には縁から所定量外側の位置にLED44〜46を正面に向かって露出させる開口64〜66が形成されている。
図4に示す様に、これら切り欠き61〜63及び開口64〜66は、後方に向かって所定長さの縁枠61a〜66aを備えていて、これら縁枠61a〜66aによって表示基板51の前面位置を位置決めする様に構成されている。フロントケース11には、この他、ネジ止め用のボス軸68a〜68dが背面からメインボディ12の軸と平行に後方に向かって突設されると共に、右側中及び右側下の切り欠き62,63の間に照度センサ47用の窓となる切り欠き67も形成されている。
【0030】
タッチパネル30は、表示基板51の裏面側に設置される電子回路70と電気的に接続され、画面11内は画面表示に重なる画面タッチエリア30aと、その左右の外側に区画されたダイレクトスイッチ31〜35用の操作エリア31a〜35aとを備えている。電子回路70は、操作エリア31aが押圧されると「音量アップ」の設定処理を行い、操作エリア31bが押圧されると「音量ダウン」の設定処理を行い、操作エリア31cが押圧されると「消音」の設定処理を行う。なお、この「消音」は、押圧された後、レーダー信号を検知しなくなるまでの間の消音であって、レーダー信号を検知しなくなったら、直前の音量設定状態に復帰する。また、電子回路70は、操作エリア34aが押圧されると「地点の登録」等の処理を行い、操作エリア35aが押圧されると「待ち受け画面の切替」を行う。一方、電子回路70は、中央の画面タッチエリア30aが押圧されたときは、そのときの画面表示と押圧位置との対応関係に従った設定処理等を実行する。
【0031】
表示基板51には、さらに、裏面側にマイクロSDカード用のカードスロット71も備えられている。そして、メインボディ12の側面に、カードスロット71に対してマイクロSDカードを挿脱するための長孔12cが形成されている。このカードスロット71は、マイクロSDカードを用いて、電子回路70の演算処理に必用な地図情報などを最新の情報に更新するためのものである。
【0032】
筐体10を構成する裏蓋13は、メインボディ12の後端縁12bの内側に嵌り込む様に装着される構成とされていて、フロントケース11から突設されたボス軸68a〜68dへとネジをねじ込むためのネジ挿通孔13a〜13d、ダッシュボード上に設置するためのブラケットを嵌め込むための凹部13e、電源コネクタを挿入するための電源コネクタ用長孔13f、及びスイッチ窓13gも形成されている。
【0033】
ここで、メインボディ12内には、フロントケース11と裏蓋13の間に、スペーサ72a〜72dを介して表示基板51の後方に所定間隔を保持する様に第2の基板52も設置される構成となっている。この第2の基板52には、裏面側にパッチアンテナ73が設置されると共に、パッチアンテナ73の受信信号に基づいて所定の情報処理を実行するレーダーモジュール74が設置されている。また、第2の基板52には、GPS信号を受信して所定の情報処理を実行するGPSモジュール75も設置されている。表示基板51と第2の基板52は、BtoBコネクタによって信号を授受する構成となっていて、電子回路70は、レーダーモジュール74から入力される信号に基づいて速度取り締まりのためのレーダーの監視を行い、速度違反取り締まりのためのレーダーの設置状況等を運転者に通知する表示や音声を出力を実行する構成となっている。また、電子回路70は、GPSモジュール75から入力される信号に基づいて車両の現在位置を認識し、画面に種々の表示を行ったり、音声出力を行ったりする。
【0034】
裏蓋13に形成された電源コネクタ用長孔13fは、ミニUSBタイプのコネクタを横差しで受け入れる用に横長とされていて、この長孔13fから挿入されたミニUSBタイプのコネクタと嵌合するレセプタクル77が第2の基板12の背面側に設置されている。第2の基板12の背面側には、さらに、裏蓋13のスイッチ窓13gから露出させるスライドスイッチ78も設置されている。
【0035】
電源用のミニUSBタイプのコネクタは、
図6に示す様に、L型プラグ81を備えた8ピンミニUSBタイプのコネクタ80であって、L型プラグ81のL字面81aに対して平行となる方向にコネクタ部82を形成したものを用いる構成を採用している。この8ピンミニUSBタイプのコネクタ80は、コード83の先に車両のOBD(On-board diagnostics)コネクタに接続するOBD2アダプタ84を備えたものとなっている。電子回路70は、この8ピンミニUSBタイプのコネクタ80により、車両の運転状態の情報とDC電源とを入力し、例えば、トンネル内の様なGPSモジュール74による速度計測が困難な場所であっても正確な速度情報を得ることが可能となっている。
【0036】
以上説明した実施例1の車載電子機器1によれば、ダイレクトスイッチ31〜35は、LED41〜45の光により透光部31b〜35bが照射されるから、夜間等においてもダイレクトスイッチの位置を容易に認識することができ、視認性・操作性を向上させることができる。そして、この透光部31b〜35bが各操作エリア31a〜35aの中心よりも外側寄りに形成されるから、
図2に示した様に、LED41〜45を筐体10の前面の端に位置する様に設置することができる。この結果、ダイレクトスイッチ31〜33を液晶表示パネル20の回路収納部22と一部重なる様に内側寄りに設置して筐体10を小型化することが可能となっている。
【0037】
また、回路収納部22側だけでなく、反対側の表示画面外側にもLED44,45を設置すると共に、文字を横書きで表した透光部34b,35bを有するダイレクトスイッチ34,35を設置したので、表示画面を中心にしてより多くのダイレクトスイッチを備えさせることができ、デザイン上もバランスがよく、振り分けてダイレクトスイッチを設置することで、筐体の前面形状をコーナーRを有するものとし、ダイレクトスイッチ31〜35を前面に備えたことによって若干の寸法増加があったとしても、コンパクトな印象を与えるものとすることができている。また、各ダイレクトスイッチ31〜35における文字や記号の並び方が統一されていることもコンパクトな印象、バランスの取れた印象を与えるものとなっている。特に、左右のダイレクトスイッチが表示画面の中心に対して対称となる位置に設置されているので、コンパクトな印象、バランスの取れた印象をより高めることができている。
【0038】
また、透光部31b〜35bとして、回路収納部22の外側に沿って並ぶ様に文字・記号を備えたので、「△VOL」「VOL▽」「MUTE」「MEMO」「VIEW」と4文字を用いていても透光部31b等が外側に広がらないから、装置のコンパクト化を妨げることなく、多くの情報をダイレクトスイッチ31〜35に表示して、視認性・操作性の一層の向上を図ることができている。単に外側に偏らせるだけでなく横書きとすることにより、英語表記を見た目も自然で読みやすいものとしている。
【0039】
さらに、筐体10を筒状のメインボディ12の前側に表示基板51の位置決め及びタッチパネル30の嵌め込み用となるフロントケース11を一体形成し、メインボディ12の後端を裏蓋13で塞ぐ構成としたことにより、筐体10の側面は合わせ目のない構造となり、周囲がすっきりした凹面を備えるデザインとなっていて、コンパクト化と相俟って、車載電子機器のデザイン性を向上させる効果をも発揮している。
【0040】
また、フロントケース11に縁枠付きの切り欠き61〜63及び開口64〜66を形成して、ここにLED41〜46を収納した状態となる様に表示基板51を取り付ける構成を採用しているので、LEDの光が横方向に広がってしまわず前方への指向性を与えることができ、ダイレクトスイッチ31〜35及びロゴ36の透光部31b〜36bを的確かつ明るく照らすことができている。
【0041】
さらに、フロントケース11は、メインボディ12の前端縁12aよりも所定量後方に控えた位置において内側に突設する様に一体形成され、前面にタッチパネル30がメインボディ12の内側に収まる様に設置される構成を採用したから、タッチパネル30を表示画面の前面に装着して表示画面上をタッチ操作することで所定の処理を実行させることができると共に、タッチパネル30の取り付けがしっかりとしたものとなり、コンパクト化の目的を阻害することがない。なお、切り欠き61〜63、開口64〜66の縁枠61a〜66aやボス軸68a〜68dをメインボディ12の軸と平行に後方に向かって突設する構成としたので、射出成形によって容易に一体成形することができる。
【0042】
加えて、タッチパネル30の所定領域として構成されるダイレクトスイッチ31〜35を備え、操作エリア31b〜33bは内側縁を回路収納部22に重なる様に設置したので、機器のコンパクト化に資すると共に、タッチパネル30の画面タッチエリア30aとは明確に区別され、ダイレクトスイッチの意味を示す文字や記号が外側縁よりに備わっていることから、利用者は、無意識にこれら文字や記号の付近を押圧しようとし、誤って表示画面上のタッチ領域に触れることが起こり難い。従って、操作性向上の点において特に優れた効果を発揮するものとなる。また、このタッチ操作において、利用者に、単純に正面から押圧する以外に、人差し指等を筐体10の側面又は背面に添えて親指で透光部を押圧する様な操作を促す効果もある。この結果、機器に対して回転モーメントを起こし難いダイレクト操作が促されることとなり、機器をダッシュボードに貼り付ける両面テープ等の粘着性能を弱めたりすることがなくなるという副次的効果も期待できる。このとき、側面に合わせ目がないから、側面に人差し指等を添えたときの感触が良く、背面に人差し指等を添える場合はメインボディ12によるしっかりとした筐体構造が、利用者に安心してダイレクト操作を行えるというイメージを与えるものにもなっている。
【0043】
また、裏蓋13が、メインボディ12の後端縁12bの内側に嵌り込む様に装着される構成とされているので、側面には一切合わせ目が見えないこととなり、上述した様なメインボディ側面の装飾による立体感が高まり、すっきりした印象がより一層高まる。さらに、データの追加・更新等を行うマイクロSDカードの挿脱も、合わせ目のないメインボディ側面の長孔から実施できるので、マイクロSDカードが合わせ目に引っかかるといった問題もなく、すっきりした印象を損なうこともない。
【0044】
さらに、
図6に示した様に、L型プラグのL字面に対して平行となる方向にコネクタ部を形成したミニUSBタイプのコネクタを横差しにして電源を供給する構成となっているので、コードが引っ張られて電源が瞬断するといった問題もなく、OBD2アダプタからの車両の運転状態を診断するための信号が瞬断することもない。この結果、電源瞬断による機器のリセットや、データ瞬断による動作不良を起こしたりするといった問題も起こし難くなっている。
【実施例2】
【0045】
次に、実施例2について説明する。実施例2の車載電子機器2は、
図7(B)に示す様に、機器の内部の構成は実施例1と同様であるが、表示基板31及び筐体90のデザインを異ならせている。表示基板31には、左上のLED44の内側に赤外線センサ49が設置され、フロントケース91には、この赤外線センサ49の正面に位置する切り欠き99も備えられている。メインボディ92は、
図7(A)に示す様に、上下面の後縁が円弧状に前方へ入り込んだ筒状を呈し、表面は平坦面で構成されている。そして、裏蓋93は、最外面がメインボディ92の後端縁と面一となる様に装着される構成とされている。構成としては、メインボディ92に一体形成された中央窓付きのフロントケース91を備え、メインボディ92の中に表示基板51及び第2の基板52をスペーサ72a〜72dで所定距離を保って収納し、裏蓋93で蓋する構成なので、
図7(A)に示す様に、マイクロSDカード用のスロット開口は合わせ目なしの長孔92cで構成され、すっきりした印象を与える。なお、メインボディ92の左右前縁に金属調に塗装した縁飾り92dを組み付けて、シャープな印象を高めている。
【0046】
この実施例2の車載電子機器2は、
図8(A)に示す様に、本機101、リモコン102、ダッシュボード取付用ブラケット103、シガープラグコード104、リモコン用ボタン電池105、粘着シート106、粘着マット107、直付け用両面テープ108、取扱説明書109を同梱して提供される。上述の梱包内容を備えることで、ブラケット103を用いた取り付けとブラケット103を用いない直付けとを任意に選択することができる。
【0047】
ブラケット103を用いる場合は、
図8(B)に示す様に、(1)ダッシュボード上においてなるべく平らで水平に近く、GPS電波を受信しやすい場所を取り付け面とし、ホコリや汚れがないことを確認し、(2)本機101の溝をブラケット103に合わせ取り付け、(3)保護シートを片面だけはがした粘着マット107をブラケット103に貼り付け、(4)シガープラグコード104のDCプラグを本機101に挿してパワーをONにし、(5)粘着マット107の残りの保護シートをはがし、(6)ダッシュボードの取り付け面にブラケット103を押さえ付ける様にして貼り付け、(7)Gセンサーやジャイロセンサーが正しく動作するよう、本機101の背面が車両進行方向を向くと共に画面が見やすいように角度等を調整する。
【0048】
直付けの場合は、
図8(C)に示す様に、(1)ダッシュボード上においてなるべく平らで水平に近く、GPS電波を受信しやすい場所を取り付け面とし、ホコリや汚れがないことを確認し、(2)直付け用両面テープ108の保護シートを片面だけはがして、本機101の底面にしっかりと貼り付け、(3)直付け用両面テープ103の残った保護シートを剥がして本機101の背面を車両進行方向に向けて、水平な路面と平行になるように取り付ける。
【0049】
シガープラグコード104の接続方法は、
図9(A)に示す様に、車両のシガーライターソケットにシガー側を2,3回ひねりながら差し込み、プラグは本機101の背面に横差しに形成したDCジャックに対してプラグの上下を示す目印を確認しつつ上下を正しく差し込む。なお、シガープラグコード104の他に、
図9(B)に示す様に、既存のシガープラグコードもしくは電源直結コードにDCプラグ111→ミニプラグ変換コネクタ112を取り付けて電源を確保してもよいし、
図9(C)に示す様に、ミニプラグ付きの電源直結コード113を用いて社内のアクセサリー系端子から直接電源を確保したり、
図9(D)に示す様に、実施例1と同じくOBD2アダプタ114を用いることもできる。
【0050】
この車載電子機器2は、画面の右側上及び右側中にあるダイレクトスイッチ31,32にタッチすることにより、
図10(A)に示す様に、音量のアップ・ダウン、マナーモードの設定・解除を行うことができる。また、オールオンモードの設定をするには、
図10(B)に示す様に、待ち受け画面をタッチすることによって「設定画面」へと切り替え、「待受」「モード」…の表示の中の「モード」にタッチして「モード画面」へと切り替え、「ノーマル」「ミニマム」…の表示の中の「オールオン」にタッチして「オールオン」を点灯させた上で「EXIT」をタッチすることによって設定することができる。なお、これらの操作は、リモコン102のカーソルボタン、決定ボタン等を操作し、赤外線センサ49に信号をリモコン受信させて実行することもできる。
【0051】
こうしたスイッチ操作において、特にダイレクトスイッチ11〜15の操作は、夜間等であってもLEDによって各スイッチの透光部11b〜15bが背面側から照明されているのでスイッチを間違えることがなく、また、タッチする際の目印になる透光部11b〜15bが外側寄りに位置しているから、誤って待ち受け画面にタッチしてしまうといったこともない。