特許第6078894号(P6078894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6078894
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】新型太陽エネルギー蒸気圧力設備
(51)【国際特許分類】
   F24J 2/24 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   F24J2/24 D
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-561919(P2015-561919)
(86)(22)【出願日】2014年2月11日
(65)【公表番号】特表2016-513234(P2016-513234A)
(43)【公表日】2016年5月12日
(86)【国際出願番号】CN2014071954
(87)【国際公開番号】WO2015120570
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】515012882
【氏名又は名称】劉 凱
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱
【審査官】 仲村 靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−285379(JP,A)
【文献】 特開2012−127577(JP,A)
【文献】 実公昭39−003999(JP,Y1)
【文献】 特公平01−037660(JP,B2)
【文献】 特開2004−156818(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00252484(EP,A1)
【文献】 中国実用新案第202927806(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24J 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気供給装置と、蒸気圧力養生に用いられる蒸気圧力釜とを含む新型太陽エネルギー蒸気圧力設備であって
前記蒸気供給装置は太陽エネルギー加熱装置であり、室外に固定的に設置され、
内部に、下端が閉塞し、上端が開口し、且つ上端が真空管から延出する直管状の管状水タンクがそれぞれ挿着され、且つ前記管状水タンクの上端の外表面と真空管の上端内壁との間が密封される複数の真空管と、それぞれ前記管状水タンクの上端に連通し、入口は前記蒸気圧力釜の凝縮水の排水口に接続し、出口はコンプレッサーを経由して前記蒸気圧力釜の蒸気入口に接続する接続管とを含み、
前記管状水タンクは負圧に保たれることを特徴とする新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項2】
前記複数の真空管が一列に設置されることを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項3】
前記複数の真空管が複数列に設置され、アレイ式に配置され、各列の前記管状水タンクに接続される接続管は順に首尾に接続して直列構造又は網状構造に接続することを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項4】
前記真空管が上下方向で又は傾斜して設置されることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項5】
第一入口が第一管路により前記接続管の出口に接続され、第二入口が大気に接続される切替弁が前記コンプレッサーの入口に設けられることを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項6】
前記コンプレッサーの出口は第一流量制御弁が設けられる第二管路により前記蒸気圧力釜の蒸気入口に接続することを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項7】
前記凝縮水の排出口は第三管路により底部に汚水排出管が設けられる水槽に接続し、前記接続管の入口は第四管路により前記水槽の上部に接続することを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項8】
前記蒸気圧力釜に蒸気圧力釜内の最高圧力を制御することに用いる安全弁が設けられることを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【請求項9】
前記管状水タンクに水を補充する補水管を含むことを特徴とする請求項1記載の新型太陽エネルギー蒸気圧力設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蒸気圧力設備に関し、具体的に新型太陽エネルギー蒸気圧力設備に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気圧力設備は用途が広く、例えば、プラスガスコンクリートブロック、アッシュレンガ、微細孔ケイ酸カルシウム板、新規な軽量壁材料、保温アスベスト板、高強度石膏等の建築材料の蒸気圧力の養生がある。同時にゴム製品、木材乾燥及び防腐処理、重金属製錬、化繊製品の高圧処理、ケーブル硫化及び化学工業、医薬、航空宇宙工業、保温材料、紡績工業、軍需産業などの圧力蒸気の養生が必要である項目に広く応用する。
【0003】
蒸気圧力設備は主に蒸気圧力釜、蒸気供給装置及び安全制御装置等のいくつかの部分で構成される。プラスガスコンクリートブロックの蒸気圧力養生を例とし、プラスガスコンクリートブロックを蒸気圧力釜に配置し、蒸気供給装置によって蒸気圧力釜に高温、高圧の蒸気を供給し、プラスガスコンクリートブロックは蒸気圧力釜内にCaO−Si02−H2Oの水熱反応を行い、蒸気圧力養生を完成する。現在、蒸気供給装置は高温、高圧の蒸気を提供方式は主にボイラ蒸解法を採用し、即ち水を加熱することにより膨張する水蒸気を得て蒸気圧力釜に蒸気と圧力を提供することである。水の膨張と加圧の過程において大量のエネルギーを消費するため、従来の蒸気圧力設備の蒸気供給装置は作業過程において大量にエネルギーを消費する。
【0004】
よく知られるように、現在、エネルギー危機はすでに世界経済発展の重要な課題となる。太陽エネルギー等のクリーニングで再生可能エネルギーはエネルギー危機の解決にとって重要なアプローチである。しかし、太陽設備は水の膨張と加圧を実現する効率が低いため、蒸気圧力設備に応用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は蒸気圧力設備が太陽エネルギーで高温、高圧蒸気を提供できないという技術的課題を解決しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の技術的解決手段は新型太陽エネルギー蒸気圧力設備を提供することであり、蒸気圧力釜及び蒸気供給装置を含み、前記蒸気供給装置は太陽エネルギー加熱装置であり、室外に固定的に設置され、内部に下端が閉塞し、上端が開口し、且つ上端が真空管から延出する直管状の管状水タンクがそれぞれ挿着され、且つ前記管状水タンクの上端の外表面と真空管の上端内壁との間が密封される複数の真空管と、それぞれ管状水タンクの上端に連通し、入口は前記蒸気圧力釜の凝縮水の排水口に接続し、出口はコンプレッサーによって前記蒸気圧力釜の蒸気入口に接続する接続管と、を含む。
【0007】
上記の解決手段において、前記複数の真空管が一列に設置される。
【0008】
上記の解決手段において、前記複数の真空管が複数列に設置され、アレイ式に配置され、各列の前記管状水タンクに接続される接続管は順に首尾に接続して直列構造又は網状構造に接続する。
【0009】
上記の解決手段において、前記真空管が上下方向で又は傾斜して設置される。
【0010】
上記の給湯機において、前記コンプレッサーの入口に切替弁が設けられ、前記切替弁の第一入口は第一管路により前記接続管の出口に接続し、前記切替弁の第二入口は大気に接続する。
【0011】
上記の解決手段において、前記コンプレッサーの出口は第一流量制御弁が設けられる第二管路により前記蒸気圧力釜の蒸気入口に接続する。
【0012】
上記の技術的解決手段において、前記凝縮水の排出口は第三管路により水槽に接続し、前記水槽の底部に汚水排出管が設けられ、前記接続管の入口は第四管路により前記水槽の上部に接続する。
【0013】
上記の技術的解決手段において、前記蒸気圧力釜に蒸気圧力釜内の最高圧力を制御することに用いる安全弁が設けられる。
【0014】
本発明はコンプレッサーを用いて太陽エネルギー加熱装置に対して減圧することにより蒸気を得て、且つ蒸気圧力釜に汲み込み、凝縮して放熱し、それに対応する温度と圧力を提供し、それにより太陽エネルギー加熱装置を蒸気圧力設備に応用する。また、太陽エネルギー加熱装置は複数の真空管内に挿着される管状水タンクを採用して集熱し、各管状水タンク内の水が加熱されても流れず、ただその上端口により接続管の水と熱交換を行い、太陽エネルギー蒸気圧力設備の正常動作を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の構造を示す図である。
図2】本発明の蒸気供給装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、説明書の図面及び具体的な実施例に基づいて本発明に詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の提供する新型太陽エネルギー蒸気圧力設備は蒸気圧力釜10と蒸気供給装置20を含む。蒸気圧力釜10はプラスガスコンクリートブロックの等の材料に蒸気圧力養生を行うことに用い、蒸気供給装置20は蒸気圧力釜10に高温、高圧の蒸気を供給することに用いる。そのうち、蒸気供給装置20は太陽エネルギー加熱装置を採用する。
【0018】
図2に示すように、太陽エネルギー加熱装置は複数の真空管21を含み、真空管21が上下方向に室外に固定的に設置され、通常の場合に、真空管21の数量は実際の需要に基づいて設置する。
【0019】
各真空管21内にそれぞれ一つの管状の水タンク22が挿着され、管状水タンク22は下端が閉塞して上端が開放する直管状を呈し、管状水タンク22の上端に真空管21が延出し、且つ管状水タンク22の上端の外表面は真空管21の上端の内壁の間に封止し、複数の真空管21が一列に設置され、又は多列のアレイ式に配置され、各排管状の水タンク22の上端はそれぞれ一本の接続管23により並列の接続構造に連通し、各排管状の水タンク22に接続される接続管23と順に首尾に接続して直列構造又は網状構造に接続し、最終的に一つの入口と出口を有する接続ヘッダー管を形成する。
【0020】
本実施例において、管状水タンク22はステンレス、銅又は合金材質で製造してなる。管状水タンク22は真空管21に挿入した後、外表面が真空管21の内壁に接近し、真空管21及び管状の水タンク22の少なくともいずれか一方に太陽選択性吸収コート層が設けられ、それにより太陽光エネルギーを吸収して且つ熱エネルギーを転換して管状水タンク22内の水を加熱する。もし真空管21と管状水タンク22にいずれも太陽選択性吸収コート層が設けられ、さらに太陽光エネルギーを利用できる。
【0021】
さらに図1を参照し、接続管23の入口は蒸気圧力釜10の凝縮水の排水口に接続し、接続管23の出口はコンプレッサー30によって蒸気圧力釜10の蒸気入口に接続する。
【0022】
コンプレッサー30の入口に切替弁31が設けられ、切替弁31の第一入口は第一管路により接続管23の出口に接続し、切替弁31の第二入口は大気に接続する。
【0023】
コンプレッサー30の出口は第二管路33により蒸気圧力釜10の蒸気入口に接続し、第二管路33に第一流量制御弁34が設けられる。
蒸気圧力釜10の凝縮水の排出口は第三管路41によって水槽40に接続し、水槽40の底部に汚水排出管が設けられ、接続管23の入口は第四管路42によって水槽40の上部に接続する。
蒸気圧力釜10に蒸気圧力釜10内の最高圧力を制御することに用いる安全弁13が設けられる。
【0024】
本発明はさらに補水管45が設けられ、設備が運転中における消耗する水分を補充し、補水管45が接続管23又は水槽40に設置される。
【0025】
本発明の作業過程は以下のとおりである。
【0026】
真空管21は太陽エネルギーを吸収して管状水タンク22内の水を加熱し、コンプレッサー30が動作し、蒸気供給装置の内部を負圧にさせ、さらに接続管23内の湯は即時蒸気になって且つ蒸気圧力釜10内に汲み込まれ、蒸気が蒸気圧力釜10内に反応し、凝縮して放熱し、プラスガスコンクリートブロック等の材料に対して蒸気圧力養生を行い、熱量を含む凝縮水は接続管23を介して還流して循環し、続いて放熱する。凝縮水に大量の熱量を有するため、再び蒸気を生成することに必要なエネルギーが比較的小さく、エネルギーの利用率が高い。
【0027】
本発明において、太陽エネルギー加熱装置の動作方式は従来の太陽エネルギー加熱方式と異なり、従来の太陽エネルギー加熱方式は通常にU字管を採用し、水がU字状の配管内に流れて加熱され、また本発明において、水が管状の水タンク22内に流れないため、絶えず加熱され、同時に太陽エネルギー加熱装置の内部は負圧であるため、その熱量は水が蒸発の過程において吸収され、蒸気の形式で持ち行かれ、且つ蒸気圧力釜10に汲み込まれ、凝縮して放熱する。
【0028】
また、本発明は完全な保護制御装置を提供し、具体的に以下のとおりである。
【0029】
(1)蒸気圧力釜10内部の温度が設定値より低い場合、切替弁31は蒸気供給装置20に切り替えて連通し、接続管23内の蒸気が絶えず蒸気圧力釜10に進入し、蒸気圧力釜10内の温度が絶えず上昇する。
【0030】
(2)蒸気圧力釜10内部の温度が設定値より高い場合、切替弁31が大気に連通する状態に切り替え、さらにコンプレッサー30が蒸気圧力釜10に蒸気を輸送せずに空気を輸送し、それにより蒸気圧力釜10内の温度は上昇しなくなる。
【0031】
(3)蒸気圧力釜10内部の圧力が設定値より低い場合、流量制御弁34の開度を拡大し、蒸気圧力釜10の吸気量を増加させ、それにより蒸気圧力釜10内の圧力を向上させる。
【0032】
(4)蒸気圧力釜10の内部の圧力は設定値より高い場合、流量制御弁34の開度を減少させ、蒸気圧力釜10の空気吸入量を減少させ、それにより蒸気圧力釜10内の圧力を低下させる。
【0033】
上記の切替弁31と流量制御弁34を制御ユニットによって自動的に制御し、即ち、温度センサ11と圧力センサ12が蒸気圧力釜10内部の温度と圧力を絶えず制御ユニットに輸送し、制御ユニットは蒸気圧力釜10内部の温度と圧力に基づいて対応する制御信号を切替弁31と流量制御弁34に送信する。
【0034】
蒸気圧力釜10にさらに減圧弁13が設けられ、蒸気圧力釜10内部の圧力が瞬間に増大する場合、減圧弁13が自動的に開き、蒸気圧力釜10内の蒸気を排出して蒸気圧力釜10の安全な運転を保証する。
【0035】
さらに、減圧弁13は制御ユニットによって制御し、蒸気圧力釜10内の温度又は圧力が一定の時間内において(例えば2分、ユーザは必要に応じて設定できる)設定値を超える場合、制御ユニットは制御信号を発信し、減圧弁13を開き、蒸気圧力釜10内のガス蒸気を排出し、蒸気圧力釜10内の温度と圧力を低下させる目的を達成し、さらに蒸気圧力釜10の安全な運転を保証する。
【0036】
従来の技術的解決手段に比べ、本発明の提供する技術的解決手段は従来の技術における多くの解決できない課題を解決し、以下の利点を有する。
【0037】
(1)本発明は初めてヒートポンプシステムの内環境を利用し、蒸気圧力釜内部をヒートポンプシステムの凝縮段とし、ヒートポンプシステムにおいて蒸気圧力釜に必要な温度と圧力を得る。この過程において、ヒートポンプシステム内部環境に工質が(水/水蒸気)と作用対象物質(製品)を直接接触し、熱を伝達して又は化学反応を行い、効率を大幅に向上させる。
【0038】
(2)本発明は蒸気を得て且つ蒸気圧力分野における応用する方法を開示する。従来のボイラ蒸解法は水を加熱することにより膨張する水蒸気を得て蒸気圧力釜に蒸気と圧力を供給し、該膨張による増圧する過程は大量のエネルギーを消耗する。また本発明はコンプレッサーを用いて低温水源に圧力を低下させて蒸気を得て、且つそれを蒸気圧力釜に汲み込み、凝縮して放熱することにより、対応する温度と圧力を得て、太陽エネルギーを利用して蒸気圧力システムに必要な蒸気と圧力を供給し、それによりエネルギーを節約する。
【0039】
(3)従来のボイラ蒸気圧力法は蒸気圧力釜に圧力を供給するために大量の化石燃料又は電力を消費し、また本発明の技術的解決手段において、循環して熱を供給すると同時に対応する圧力を得て、余計な作業が要らない。
【0040】
(4)管状水タンク内の水は基本的に流れず、真空管は常にそれを加熱し、同時に真空管は効果が優れる保温容器に相当し、熱の損失を低減する。
【0041】
(5)従来の蒸気圧力方法は直接又は間接的に化石エネルギーを消耗し、大量なエネルギー汚染の原因となる。また本発明の提供する技術的解決手段は太陽エネルギーを利用し、運転中に汚染しない。
【0042】
本発明は上記の最適な実施例に限らず、誰でも本発明に基づいて構造を変更でき、また本発明と同一又は相当の技術的解決手段はすべて本発明の保護範囲である。
図1
図2