特許第6079082号(P6079082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6079082
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 35/32 20060101AFI20170206BHJP
   H01L 35/34 20060101ALI20170206BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20170206BHJP
   H02N 10/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   H01L35/32 A
   H01L35/34
   H02N11/00 A
   H02N10/00
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-205379(P2012-205379)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-60316(P2014-60316A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】森本 晃弘
【審査官】 安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−053301(JP,A)
【文献】 特開2000−353829(JP,A)
【文献】 特開2003−051624(JP,A)
【文献】 特開2002−299701(JP,A)
【文献】 特開2013−149738(JP,A)
【文献】 特開2007−088124(JP,A)
【文献】 特開昭63−164291(JP,A)
【文献】 特開2010−267832(JP,A)
【文献】 特開2009−117645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 35/00−34
H02N 11/00
H01L 27/16
F25B 21/02
H01L 23/38
H05K 1/18
H05K 3/10−26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の実装面上に形成されている複数の電極と、各々の前記電極に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子と、を含み、前記電極の少なくとも1つには、画像上の明度および彩度が前記電極と異なる画像認識用マークが形成され、前記電極の全体を電気の導通経路として利用可能であり、
前記電極は、前記絶縁基板に対面する電極の固定面と、前記電極の固定面に背向する電極の実装面と、を持ち、前記電極の実装面は、前記ペルチェ素子を実装する電極の実装領域と、それ以外の領域である電極の一般領域と、を持ち、
前記画像認識用マークは、前記電極の一般領域に形成され、前記電極の実装領域とは明度および彩度の異なる導電材料からなる熱電モジュール。
【請求項2】
絶縁基板と、前記絶縁基板の実装面上に形成されている複数の電極と、各々の前記電極に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子と、を含み、前記電極の少なくとも1つには、画像上の明度および彩度が前記電極と異なる画像認識用マークが形成され、前記電極の全体を電気の導通経路として利用可能であり、
前記電極は、前記絶縁基板に対面する電極の固定面と、前記電極の固定面に背向する電極の実装面と、を持ち、前記電極の実装面は、前記ペルチェ素子を実装する電極の実装領域と、それ以外の領域である電極の一般領域と、を持ち、
前記画像認識用マークは、前記電極の一般領域に形成され、
前記電極は、第1の導電材料からなり前記絶縁基板に接触している基層と、第2の導電材料からなり前記基層の上に積層されている表層と、を含み、前記表層は、前記電極の実装領域を構成する表層の実装部と、前記電極の一般領域を構成する表層の一般部と、を含み、
複数の前記電極において、
前記表層の一般部の少なくとも一部の肉厚は、前記表層の実装部の肉厚に比べて小さく、
前記表層の一般部のなかで前記肉厚の小さい部分には、前記第2の導電材料とは明度および彩度の異なる導電材料からなる前記画像認識用マークが形成され、
前記画像認識用マークの表面と前記電極の一般領域とは面一である熱電モジュール。
【請求項3】
複数の前記画像認識用マークを持ち、
前記画像認識用マークは、各々異なる前記電極に形成されている請求項1または請求項2に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
複数の前記電極において、前記電極の一般領域の少なくとも一部には、凸状をなす前記画像認識用マークが形成されている請求項1または請求項1を引用する請求項3に記載の熱電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のペルチェ素子を持つ熱電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ効果を利用した熱電モジュールは、一般に、複数のペルチェ素子を持ち、電力の供給を受けて種々の装置を冷却および/または加熱する(例えば、特許文献1参照)。この種の熱電モジュールは、例えば光送信装置(より具体的には、光ファイバー用のレーザダイオード)の温度調節用に使用されている。近年、通信環境の変化に伴うデータ通信量の増加により、熱電モジュールを多く配設することが要求されている。また、光送信装置の大型化を避けつつ多くの熱電モジュールを配設するために、熱電モジュールの各構成部品についても小型化することが要求されている。
【0003】
ところで熱電モジュールは、絶縁基板と、熱電基板上に実装された複数の熱電変換素子(ペルチェ素子)とを持つ。このため、熱電モジュールを製造する際には、絶縁基板上に複数の電極を形成し、それぞれの電極上にペルチェ素子を実装する工程が必要である。熱電モジュールの製造効率向上を考慮すると、電極上にペルチェ素子を実装する工程は、マウンターと呼ばれる実装装置を用いて自動的に行うのが好ましい。電極上にペルチェ素子を自動実装するためには、絶縁基板上における電極の配置を正確に把握する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−55541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
絶縁基板上における電極の配置を正確に把握するために、例えば、電極を形成した絶縁基板を画像認識し、複数の電極の位置関係、または、絶縁基板全体に対する複数の電極の位置関係を導き出し、さらに、各電極の位置を導き出す方法が考えられる。
【0006】
画像認識を精度高くおこなうためには、認識すべき複数の対象の明度または彩度に差があると良いと考えられる。しかし絶縁基板と電極との明度差および彩度差は比較的小さいため、絶縁基板を背景とした電極を画像認識した上で、絶縁基板上における電極の配置を精度高く把握するのは困難である。絶縁基板と画像認識上の明度および/または彩度の異なる何らかの目印(画像認識用マーク)を絶縁基板上に形成した上で画像認識を行えば、絶縁基板上における電極の配置を正確に(または略正確に)把握できると考えられる。
【0007】
ところで、上述したように、熱電モジュールの各構成部品を小型化することが要求されているため、絶縁基板上において隣接する電極同士の間には画像認識用マークを配置するだけの空間的余裕がない。このため、画像認識用マークは電極に形成する必要がある。特許文献1には、電極の中央部および周辺部にスリットを設ける技術が紹介されている。特許文献1において、このスリットは、電極と熱電変換素子との半田接合部におけるボイドを外部に排出するために設けられている。しかし特許文献1に紹介されているような電極を用いれば、スリット内に陰影がつくことでスリット自体が画像認識用マークとして機能し、上述した画像認識精度が向上すると考えられる。
【0008】
その一方で、特許文献1に紹介されている電極はスリットを有するために、電極の全体を電気の導通経路として利用することは不可能である。例えば、上述した画像認識の精度を考慮すると、画像認識用マークの大きさは0.2mm以上であるのが好ましいが、光送信装置用の熱電モジュールにおいて、一般的な電極幅は0.4mm以下である。このため、電極に画像認識用マークを設ける場合には、電気の導通に利用可能な電極の幅が半分以下になる可能性がある。このため、このような電極は導電性に劣り、熱電モジュールの性能向上の妨げとなる可能性がある。また、このような電極においてはスリットの導電経路上流側部分で電気抵抗が高まる。このため、電極で熱損失が生じ、熱電モジュールの性能向上の妨げとなる可能性がある。
【0009】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、画像認識用マークを設けることで画像認識精度を向上させることが可能であり、かつ、導電性の低下や電気抵抗の増大を抑制し得る熱電モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の熱電モジュールは、絶縁基板と、前記絶縁基板の実装面上に形成されている複数の電極と、各々の前記電極に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子と、を含み、前記電極の少なくとも1つには、画像上の明度および/または彩度が前記電極と異なる画像認識用マークが形成され、前記電極の全体を電気の導通経路として利用可能なものである。
【0013】
本発明の熱電モジュール(1)は、絶縁基板と、前記絶縁基板の実装面上に形成されている複数の電極と、各々の前記電極に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子と、を含み、前記電極の少なくとも1つには、画像上の明度および彩度が前記電極と異なる画像認識用マークが形成され、前記電極の全体を電気の導通経路として利用可能であり、
前記電極は、前記絶縁基板に対面する電極の固定面と、前記電極の固定面に背向する電極の実装面と、を持ち、前記電極の実装面は、前記ペルチェ素子を実装する電極の実装領域と、それ以外の領域である電極の一般領域と、を持ち、
前記画像認識用マークは、前記電極の一般領域に形成され、前記電極の実装領域とは明度および彩度の異なる導電材料からなるものである。
本発明の熱電モジュール(2)は、絶縁基板と、前記絶縁基板の実装面上に形成されている複数の電極と、各々の前記電極に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子と、を含み、前記電極の少なくとも1つには、画像上の明度および彩度が前記電極と異なる画像認識用マークが形成され、前記電極の全体を電気の導通経路として利用可能であり、
前記電極は、前記絶縁基板に対面する電極の固定面と、前記電極の固定面に背向する電極の実装面と、を持ち、前記電極の実装面は、前記ペルチェ素子を実装する電極の実装領域と、それ以外の領域である電極の一般領域と、を持ち、
前記画像認識用マークは、前記電極の一般領域に形成され、
前記電極は、第1の導電材料からなり前記絶縁基板に接触している基層と、第2の導電材料からなり前記基層の上に積層されている表層と、を含み、前記表層は、前記電極の実装領域を構成する表層の実装部と、前記電極の一般領域を構成する表層の一般部と、を含み、
複数の前記電極において、
前記表層の一般部の少なくとも一部の肉厚は、前記表層の実装部の肉厚に比べて小さく、
前記表層の一般部のなかで前記肉厚の小さい部分には、前記第2の導電材料とは明度および彩度の異なる導電材料からなる前記画像認識用マークが形成され、
前記画像認識用マークの表面と前記電極の一般領域とは面一であるものである。
【0014】
本発明の熱電モジュール(1)は、以下の要素(a)及び/又は(b)を備えるのが好ましい。本発明の熱電モジュール(2)は、要素(a)を備えるのが好ましい。
(a)複数の前記画像認識用マークを持ち、前記画像認識用マークは、各々異なる前記電極に形成されている。
(b)複数の前記電極において、前記電極の一般領域の少なくとも一部には、凸状をなす前記画像認識用マークが形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱電モジュールは、電極の導電面積減少を抑制しつつマークを設けたことで、画像認識の精度を向上させることができ、かつ、熱電モジュールの性能低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1の熱電モジュールを模式的に表す一部透過斜視図である。
図2】実施形態1の熱電モジュールにおける絶縁基板上に電極および画像認識用マークを形成している様子を模式的に表す説明図である。
図3】実施形態1の熱電モジュールにおける絶縁基板上に電極および画像認識用マークを形成している様子を模式的に表す説明図である。
図4】実施形態1の熱電モジュールにおける絶縁基板上に電極および画像認識用マークを形成している様子を模式的に表す説明図である。
図5】実施形態1の熱電モジュールにおける電極上にペルチェ素子を実装している様子を模式的に表す説明図である。
図6】実施形態2の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図7】実施形態2の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図8】実施形態3の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図9】実施形態4の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図10】実施形態4の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図11】実施形態4の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図12】実施形態4の熱電モジュールを製造している様子を模式的に表す説明図である。
図13】実施形態5の熱電モジュールを模式的に表す斜視図である。
図14】実施形態5の熱電モジュールにおける第1ユニットを模式的に表す斜視図である。
図15】実施形態5の熱電モジュールを製造している様子を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の熱電モジュールは、上述したように複数の電極と複数のペルチェ素子とを含む。電極およびペルチェ素子の数は特に限定されないが、ペルチェ素子を用いた一般的な熱電モジュールと同様に、少なくとも一対のP型熱電素子とN型熱電素子とを電極により電気的に直列または並列に連結すれば良い。これら複数のペルチェ素子および電極は、一般的な熱電モジュールと同様に、2つの絶縁基板で挟み込むのが好ましい。この場合、一方の絶縁基板(第1の絶縁基板)上に複数の電極(第1電極)を形成し、第1電極および/または第1絶縁基板に画像認識用マーク(第1画像認識用マーク)を形成し、画像認識用マークを含む第1絶縁基板と第1電極とのユニット(第1ユニット)を画像認識することで第1の電極の配置を把握して、ペルチェ素子を第1電極に実装すれば良い。ペルチェ素子は、半田付け等の一般的な方法を用いて電極に実装できる。そして、同様に、他方の絶縁基板(第2絶縁基板)に複数の電極(第2電極)を形成し、第2電極および/または第2絶縁基板に第2画像認識用マークを形成し、第2画像認識用画像認識用マークを含む第2絶縁基板と第2電極とのユニット(第2ユニット)を画像認識することで、第2電極の配置を把握して、第1ユニット上のペルチェ素子を第2電極に実装すれば良い。
【0018】
画像認識方法は一般的な方法を用いることができる。例えば、CCD(Charge coupled device)、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)等の一般的な撮像素子で第1ユニットまたは第2のユニットを撮像すれば良い。そして、撮像素子で得た画像データを画像処理し、画像認識用マークの位置データを得て、当該位置データを基に電極の配置を把握すれば良い。なお、電極を例えばパターン印刷する場合には、各電極の相対位置は略一定である。このため、画像認識用マークの位置情報を基に少なくとも1つの電極の配置を把握すれば、電極全体の配置を把握できる。ここでいう電極の配置とは、絶縁基板上の電極の座標、絶縁基板上の任意の直線に対する電極の向き(角度)等を含む概念である。例えば、予め想定している基本位置に対する画像認識用マークの距離や角度のズレを基にして、電極の配置を把握することができる。
【0019】
画像認識用マークは、画像上で、電極または基板と識別可能であれば良く、画像上での明度および/または彩度が電極または基板と異なれば良い。例えば本発明の第1の熱電モジュールにおいては、電極上に画像認識用マークを形成する。この場合には、例えば電極と同材料であり凹凸形状をなす画像認識用マークを形成しても良い。この場合には、画像認識用マークの陰影によって、画像認識用マークと電極とを画像上で識別可能である。或いは、電極を構成する材料と明度および/または彩度の異なる材料を用いて画像認識用マークを形成することもできる。この場合には材料固有の色調によって、画像認識用マークと電極とを識別可能である。画像認識の精度および速度を考慮すると、画像認識用マーク用の材料として、電極用の材料と明度および/または彩度の異なるものを用いるのが好ましい。
【0020】
本発明の熱電モジュールは、光送信装置用の熱電モジュールとして好適に使用できるが、その他の装置に配設しても良い。例えば、本発明の熱電モジュールを撮像装置に配設する場合には、熱電変換素子によってCCD素子等の撮像素子を冷却できる。また、本発明の発電モジュールは冷却用だけでなく加熱用に用いても良い。
【0021】
本発明の熱電モジュールにおける絶縁基板は、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(SiN)などから選ばれる少なくとも一種の絶縁材料のみで構成しても良い。あるいは、銅、アルミニウム、銅/タングステン合金などから選ばれる少なくとも一種の金属材料(非絶縁材料)と上述した絶縁材料とで構成しても良い。例えば、金属材料からなる本体層の表面を絶縁材料からなる絶縁層で覆っても良い。この場合、本体層および絶縁層は1層のみであっても良いし、2層以上であっても良い。
【0022】
電極は、無電解めっき、電解めっき、パターン印刷等の一般的な方法で絶縁基板に形成することができる。電極には、外部電源に接続されているリード端子等に接続しても良い。電極の材料としては、銅、金、ニッケル、パラジウム等の一般的な導電性材料を選択することができる。
【0023】
(実施形態)
以下、具体例を挙げて本発明の熱電モジュールを説明する。なお、実施形態1〜4の熱電モジュールは本発明の第1の熱電モジュールの一例である。実施形態5の熱電モジュールは本発明の第2の熱電モジュールの一例である。
【0024】
(実施形態1)
実施形態1の熱電モジュールは、電極の一般領域上に凸状をなす画像認識用マークを形成したものである。実施形態1の熱電モジュールを模式的に表す一部透過斜視図を図1に示す。実施形態1の熱電モジュールにおける絶縁基板上に電極および画像認識用マークを形成している様子を模式的に表す説明図を図2図4に示す。実施形態1の熱電モジュールにおける電極上にペルチェ素子を実装している様子を模式的に表す説明図を図5に示す。
【0025】
〔熱電モジュール〕
図1に示すように、実施形態1の熱電モジュール1は、2つの絶縁基板(第1絶縁基板11、第2絶縁基板12)と、各々の絶縁基板11、12に形成されている複数の電極(第1電極21、第2電極22)と、各電極21、22に実装されている複数のペルチェ素子30と、を含む。絶縁基板11、12はアルミナ製であり略平板状をなす。一方の絶縁基板を第1絶縁基板11と呼び、他方の絶縁基板を第2絶縁基板12と呼ぶ。第1絶縁基板11のなかで第2絶縁基板12に対面する面を第1絶縁基板11の実装面11aと呼ぶ。第2絶縁基板12のなかで第1絶縁基板11に対面する面を第2絶縁基板12の実装面12aと呼ぶ。第1絶縁基板11の実装面11aには複数の電極21が形成され、第2絶縁基板12の実装面12aには複数の電極22が形成されている。電極21、22は略同径の短冊状をなす。
【0026】
各々の第1電極21は、第1絶縁基板11に対面する固定面21cと、固定面21cに背向する実装面21dをもつ。各々の第1電極21の実装面21dには、長手方向に沿って2つずつのペルチェ素子30が実装(半田付け)されている。第2電極22に関しても同様である。同一の電極21、22に実装されているペルチェ素子30の一方はP型であり、他方はN型である。図1に示すように、各ペルチェ素子30は、第1絶縁基板11の実装面11aに形成されている電極21、および第2絶縁基板12の実装面12aに形成されている電極22によって、P型―N型―P型―N型…と交互に直列に連結されている。
【0027】
第1絶縁基板11および第2絶縁基板12上において、各電極21、22は、図1中の左右方向および前後方向に配列している。図3に示すように、第1絶縁基板11上に形成されている複数の電極21のなかで、後端かつ右端に位置する電極21x、および、前端かつ左端に位置する電極21yには、画像認識用マーク40が形成されている。以下、画像認識用マーク40が形成されている電極21x、21y(および22x、22y)を、マーク電極と呼ぶ。実施形態1において、マーク電極21x、yは、第1絶縁基板11の対角線上に配置されている。画像認識用マーク40は電極21、22と同じ導電材料で構成されている。したがって、画像認識用マーク40は電極21、22の一部を構成している。画像認識用マーク40は凸状をなす。このため、例えば第1絶縁基板11、第1電極21および画像認識用マーク40を画像認識すると、画像上において、画像認識用マーク40と第1電極21とは少なくとも明度が異なる。実施形態1の熱電モジュール1は以下のように製造できる。
【0028】
〔製造方法〕
第1絶縁基板11上に複数の第1電極21を形成した。
【0029】
具体的には、第1絶縁基板11上に、予め定めた所定の間隔で、かつ、上記した第1電極21の形状と同じ短冊状に、厚さ20μmのCuめっき(無電解めっき)を施した。この工程で、図2〔a〕に示すように、第1絶縁基板11上にCuめっきからなる基層51が形成された。基層51は、第1電極21の大部分を占め、第1電極21の通電経路を主として構成する部分である。
【0030】
次いで、図2〔b〕に示すように、基層51を形成した第1絶縁基板11上に、レジスト樹脂からなるレジスト層52を形成した。このとき、マーク電極21x、21yを構成する2つの基層51のなかで、画像認識用マーク40を形成する部分(マーク形成予定部53)には、レジスト層52を形成しなかった。換言すると、この工程では、基層51を形成した第1絶縁基板11の実装面11a上の、マーク形成予定部53を除く全ての領域にレジスト層52を形成した。図1に示すように、第1電極21のなかで長手方向の両端部はペルチェ素子30を実装する領域(第1電極21の実装領域21a)であり、長手方向の略中央部はペルチェ素子30を実装しない領域(第1電極21の一般領域21b)である。マーク形成予定部53は、マーク電極21x、yにおける第1電極21の一般領域21bに形成した。
【0031】
次いで、図2〔c〕に示すように、基層51およびレジスト層52を形成した第1絶縁基板11上に厚さ5μmのCuめっき(無電解めっき)を施した。このCuめっき層(マーク凸層54と呼ぶ)は、基層51のなかでレジスト層52が形成されていない部分つまりマーク形成予定部53にのみ形成された。
【0032】
その後、図2〔d〕に示すようにレジスト層52を除去した。さらにその後、図2〔e〕に示すように、第1電極21の上面全面に厚さ4μmのNiめっき(無電解めっき)を施し、さらにその上層に厚さ0.3μmのAuめっき(無電解めっき)を施した。この工程で、Ni層55およびAu層56を含む表層57を基層51上に形成した。なお、Ni層55およびAu層56は第1電極21(特に基層51)の酸化を抑制するため、および、ペルチェ素子30の実装用に用いられる半田と第1電極21とを強固に接合させるために設けた層である。画像認識用マーク40は、マーク凸層54および表層57で構成されている。画像認識用マーク40はマーク凸層54の肉厚分だけ第1電極21の上方に突起する。
【0033】
なお、実施形態1ではマーク凸層54をCuめっきで構成したが、マーク凸層54の材料はこれに限定されず、例えばNiめっきやAuめっきであっても良い。この工程により、マーク電極21x、yの一般領域21b上に凸状をなす画像認識用マーク40が形成された第1ユニット19が得られた(図3)。
【0034】
上述したように、画像認識用マーク40は、マーク凸層54および表層57で構成されている。各第1電極21における基層51の肉厚は略一定であり、画像認識用マーク40は基層51上に形成されている。このため、基層51つまり電気の導通経路は、第1電極21の全体に存在する。換言すると、基層51が第1電極21の全体に存在することで、第1電極21の全体が電気の導通経路として機能し、第1電極21の導電性や電気抵抗は画像認識用マーク40の有無に影響され難い。よって、実施形態1の熱電モジュール1によると、画像認識用マーク40に由来する第1電極21の導電性低下や電気抵抗の増大を回避することが可能である。参考までに、画像認識用マーク40は直径約0.2mmの略円形状をなしていた。第1電極21における実装領域21a間の距離、つまり、第1電極21の一般領域21bの幅は約0.4mmであった。互いに隣接する第1電極21間の距離は約0.15mmであった。このため、画像認識用マーク40は隣り合う第1電極21同士の間には形成し難いが、第1電極21上の一般領域21bには容易に形成できる。
【0035】
上述した方法と同様に、第2絶縁基板12に第2電極22を形成し、第2ユニット29を得た。第2ユニット29においても、第1ユニット19と同様に、第2絶縁基板12上の対角線上に位置する2つの第2電極22をマーク電極(図略)とし、このマーク電極に各々画像認識用マーク40を形成した。
【0036】
次いで、電極および画像認識用マーク40が形成された絶縁基板(つまり第1ユニット19、図3に示す)を図略の部品実装機にセットした。部品実装機にはCCD素子を含む画像認識装置が配設されている。この画像認識装置によって、第1ユニット19を撮像した。画像認識用マーク40は凸状をなすため陰影が形成され、画像上では画像認識用マーク40と第1電極21とは異なる明度で表示される。このため、第1絶縁基板11上の画像認識用マーク40の位置を容易に演算(または計測)することができる。このようにして把握した画像認識用マーク40の位置を基に、予め記憶している各第1電極21の基準位置と実際の第1電極21の位置との差(位置ズレの大きさ)を演算した。また、予め記憶している第1電極21の基準位置と、実際の第1電極21との角度差(角度ズレの大きさ)を演算した。そして、各第1電極21の位置ズレの大きさおよび角度ズレの大きさを基に、各第1電極21上において半田を印刷形成すべき位置、および、ペルチェ素子30を実装すべき位置を算出した。その後、算出したペルチェ素子30の実装位置に基づいて、第1電極21の実装領域21a上に半田70(Au80/Sn20)をスクリーン印刷によって塗布した(図4)。そして、塗布した半田70上にペルチェ素子30を自動実装した(図5)。さらに、同様の手順で半田70を印刷した第2電極ユニット29をペルチェ素子30上に自動実装し、その後加熱して、実施形態1の熱電モジュール1を得た。
【0037】
(実施形態2)
実施形態2の熱電モジュール1は、電極の形状、画像認識用マーク40の位置および画像認識用マーク40の材料以外は実施形態1と同じものである。実施形態2の熱電モジュール1を製造している様子を表す説明図を図6図7に示す。
【0038】
〔熱電モジュール1〕
実施形態2の熱電モジュール1において、第1電極21の一般領域21b上には、レジスト層52からなる画像認識用マーク40が形成されている。画像認識用マーク40すなわちレジスト層52は、表層57のさらに上層に形成されている。第2電極22に関しても同様である。実施形態2の熱電モジュール1は以下のように製造できる。
【0039】
〔製造方法〕
先ず、図6〔a〕に示すように、第1絶縁基板11上にCuめっき(無電解めっき)を施して基層51を形成した。次いで、図6〔b〕に示すように基層51の上層全体にNiめっき(無電解めっき)を施してNi層55を形成した。さらに、図6〔c〕に示すように、Ni層55の上層にAuめっき(無電解めっき)を施してAu層56を形成した。この工程で、基層51(Cu層)および表層57(Ni層55、Au層56)で構成される第1電極21を形成した。その後、図6〔d〕に示すように、2つのマーク電極21x、yの表層57における一般領域21bにさらにレジスト樹脂を塗布(印刷)して、レジスト層52を形成した。このレジスト層52は、実施形態2の熱電モジュール1における画像認識用マーク40であり、レジスト層52は直径約0.3mmの略円形状をなす。以上の工程で実施形態2の熱電モジュール1における第1ユニット19を得た。また、同様の工程で、実施形態2の熱電モジュール1における第2ユニット29を得た。レジスト樹脂は第1電極21の表層57を構成するAuと明度および彩度が大きく異なるため、電極21と画像認識用マーク40とは画像上で識別可能である。このようにして得た第1ユニット19に、実施形態1と同様の方法で複数のペルチェ素子30(図略)を自動実装し、さらにペルチェ素子30上に第2ユニット29(図略)を自動実装した。以上の工程で実施形態2の熱電モジュール1を得た。
【0040】
なお実施形態2においては、図7に示すように、前後方向の略中央部かつ左端に位置する電極21y、および前後方向の略中央部かつ右端に位置する電極21xをマーク電極21x、yとし、このマーク電極21x、yに各々画像認識用マーク40を形成した。実施形態2の第1ユニット19および第2ユニット29は、実施形態1の第1ユニット19および第2ユニット29に比べて2つの画像認識用マーク40の間隔が小さい。しかしこの場合にも、複数の画像認識用マーク40を異なる電極21x、21y上に形成したことで、各画像認識用マーク40間の距離を充分にとることができ、電極21、22の配置を精度高く認識することが可能である。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3の熱電モジュール1は、画像認識用マーク40の位置および材料以外は実施形態2と同じものである。実施形態3の熱電モジュール1を製造している様子を模式的に表す説明図を図8に示す。
【0042】
〔熱電モジュール1〕
実施形態3の熱電モジュール1における画像認識用マーク40は、黒色Ni層58で構成されている。黒色Ni層は第1電極21の表層57における一般領域21b上に形成されている。黒色Niは、表層57の表面(最上面)を構成するAuと画像上での明度および彩度が大きく異なる。このため、第1電極21と画像認識用マーク40とは画像上で識別可能である。なお、この黒色Ni層58は黒色Niめっきされてなる。黒色Niめっき用の材料(めっき浴)としては、通常のNiめっき浴に、ほう酸イオンやアミノ酸等を添加してなる混合Niめっき浴を用いることができる。
【0043】
実施形態3においては、画像認識用マーク40の材料として導電材料たる黒色Niを選択したことで、画像認識用マーク40が第1電極21の一部として機能し、画像認識用マーク40に由来する第1電極21の導電性低下および電気抵抗の増大をより信頼性高く回避することが可能である。なお、第2電極22に関しても同様である。実施形態3の熱電モジュール1は以下のように製造した。
【0044】
〔製造方法〕
先ず、実施形態1と同様に、第1絶縁基板11上にCuめっきを施し、第1電極21の基層51を形成した(図8〔a〕)。次いで、基層51の上層にNi層55を形成し(図8〔b〕)、さらにNi層55の上層にAu層56を形成した(図8〔c〕)。この工程で、Cu層からなる基層51、および、Ni層55およびAu層56からなる表層57を含む第1電極21を形成した。
【0045】
次いで、マーク電極として実施形態1と同じ位置に形成されている2つの第1電極21x、yを選択し、この2つのマーク電極21x、yに画像認識用マーク40を形成した。具体的には、マーク電極21x、y以外の第1電極21、第1絶縁基板11、および、マーク電極におけるマーク形成予定部53以外の部分にレジスト樹脂を塗布してレジスト層52を形成した(図8〔d〕)。このときマーク形成予定部53にはレジスト層52を形成しなかった。そして、マーク形成予定部53上に黒色Niめっきを施し、黒色Ni層58を形成した(図8(e))。その後レジスト層52を除去し、第1電極21の一般領域上21bに黒色Ni層58からなる画像認識用マーク40が形成されてなる第1ユニット19を得た(図8〔f〕)。また、同様の工程で第2ユニット29(図略)を得た。そして、実施形態1と同様に、画像認識により第1電極21の配置を把握し、第1ユニット19上に複数のペルチェ素子30(図略)を自動実装し、さらに複数のペルチェ素子30上に第2ユニット29(図略)を自動実装した。以上の工程で実施形態3の熱電モジュール1を得た。
【0046】
(実施形態4)
実施形態4の熱電モジュール1は、全ての第1電極21および第2電極22に画像認識用マーク40が形成されていること、第1電極21および第2電極22の形状、画像認識用マーク40の形状、および画像認識用マーク40の材料以外は実施形態3と同じものである。実施形態4の熱電モジュール1を製造している様子を模式的に表す図を図9図12に示す。
【0047】
〔熱電モジュール1〕
実施形態4の熱電モジュール1において、第1電極21は基層51と表層57とを持つ。基層51は実施形態1と同様にCuめっきされてなるCu層である。表層57は、第1電極21の実装領域21aを構成する部分(表層57の実装部57a)と第1電極21の一般領域21bを構成する部分(表層57の一般部57b)とで異なっている。表層57の実装部57aは実施形態1の表層57と同様に、Ni層55およびAu層56からなる2層構造である。それに対して、表層57の一般部57bはNi層55のみで構成されている。したがって、表層57の一般部57bは、表層57の実装部57aに比べて薄肉である。表層57の実装部57aと表層57の一般部57bとの間には段差が形成されている。また、全ての第1電極21において、表層57の一般部57b上には黒色Niめっきが施され、黒色Ni層58が形成されている。この黒色Ni層58によって、表層57の実装部57aと表層57の一般部57bとの段差が埋められている。つまり、実施形態4の熱電モジュール1では、全ての第1電極21において、表層57の一般部57b上に黒色Ni層58からなる画像認識用マーク40が形成されている。図10に示すように、画像認識用マーク40は帯状(0.4mm×0.2mm)をなし、画像認識用マーク40の長手方向(図10中左右方向)は第1電極21の長手方向(前後方向)と略直交する方向を向いている。なお、実施形態4の熱電モジュール1において、画像認識用マーク40は円形ではなく帯状をなす。つまり、実施形態4における画像認識用マーク40は、方向性がなく回転方向の位置ズレを検知し難い形状ではなく、方向性があり回転方向の位置ズレを検知し易い形状である。この画像認識用マーク40によると、第1電極21の特に角度のズレ(つまり、予め想定している基本位置に対する画像認識用マーク40の角度のズレ)を認識し易い。したがって、実施形態4の熱電モジュール1によると、全ての第1電極21上に同じ画像認識用マーク40を形成しても、第1電極21の位置および角度を信頼性高く認識することが可能である。
【0048】
また、画像認識用マーク40は導電材料で構成され、かつ、黒色Ni層58(つまり画像認識用マーク40)の表面と、Au層56の表面(つまり、表層57の一般部57bの表面、第1電極21の一般領域21b)とは面一である。このため、第1電極21の表面には段差がなく、半田70を自動的に塗布し易い利点がある。また、この場合には、第1電極21の導電性低下を抑制しつつ第1電極21に画像認識用マーク40を設けることができ、かつ、画像認識用マーク40を含む第1電極21の表面を平滑面にできる。したがってこの場合には、例えば画像認識用マーク40の配置位置を第1電極22の一般領域21bに限らず、第1電極21の実装領域21aにすることも可能である。なお、第2電極22に関しても同様である。実施形態4の熱電モジュール1は以下のように製造した。
【0049】
〔製造方法〕
先ず、実施形態1と同様に、第1絶縁基板11上にCuめっきを施し、第1電極21の基層51を形成した(図9〔a〕)。次いで、基層51の上層にNi層55を形成した(図9〔b〕)。基層51の厚さは20μmであり、Ni層55の厚さは6μmであった。次いで、Ni層55を形成した第1絶縁基板11上にレジスト層52を形成した。具体的には、全ての第1電極21の略中央部をマーク形成予定部53とみなし、第1絶縁基板11、および、各Ni層55のなかでマーク形成予定部53を構成する部分(以下、単にマーク形成予定部53と略する)を残し、それ以外の部分にレジスト樹脂を塗布してレジスト層52を形成した。そして、マーク形成予定部53の上に黒色Niめっきを施し、黒色Ni層58を形成した(図8〔c〕)。その後レジスト層52を除去し、黒色Ni層58に第2のレジスト層59を形成した。このとき各Ni層55において黒色Ni層58が形成されていない部分(つまり、ペルチェ素子30が実装される部分)には第2のレジスト層59を形成しなかった(図9〔d〕)。その後、Ni層55上の第2のレジスト層59が形成されていない部分にAuめっきを施してAu層56を形成し、第2のレジスト層59を除去した。以上の工程で、全ての第1電極21の一般領域上に黒色Ni層58からなる画像認識用マーク40が形成されてなる第1ユニット19を得た(図9〔e〕、図10)。
【0050】
なお、黒色Ni層58の厚さは0.5μmであり、Au層56の厚さは0.5μmであった。同様の工程で第2ユニット29を得た。そして、実施形態1と同様に、第1ユニット19を画像認識し画像上の画像認識用マーク40の位置を基に、第1電極21の位置および角度を演算した。このようにして把握した各第1電極21の配置(位置および角度)を基に、各第1電極上に半田70を自動塗布し(図11)、複数のペルチェ素子30を自動実装した(図12)。その後、さらに複数のペルチェ素子30上に第2ユニット29(図略)を自動実装した。以上の工程で実施形態4の熱電モジュール1を得た。
【0051】
(実施形態5)
実施形態5の熱電モジュール1は、第1電極21および第2電極22の形状、画像認識用マーク40の形状、および画像認識用マーク40の材料以外は実施形態4と同じものである。実施形態5の熱電モジュール1を模式的に表す斜視図を図13に示し、実施形態5の熱電モジュール1における第1ユニット19を模式的に表す斜視図を図14に示し、実施形態5の熱電モジュール1を製造している様子を表す説明図を図15に示す。
【0052】
〔熱電モジュール1〕
実施形態5の熱電モジュール1は、図13に示すように、実施例1の熱電モジュール1と同様に、第1絶縁基板11、第2絶縁基板12、第1絶縁基板11の実装面11a上に形成されている複数の第1電極21、第2絶縁基板12の実装面12a上に形成されている複数の第2電極22(図略)、および、各電極21、22に実装され電気的に接続されている複数のペルチェ素子30を含む。図14に示すように、第1絶縁基板11の実装面は、導通経路領域Iと一般領域IIとを含む。導通経路領域Iは、複数の第1電極21および複数のペルチェ素子30を含む電気の導通経路が形成されている領域である。一般領域IIは、導通経路領域I以外の部分であり、電気の導通には直接的に関与しない部分である。
【0053】
実施形態5の熱電モジュール1においては、複数の第1電極21のなかで、リード線91、92に直接接続される2つの第1電極21をマーク電極21x、yとして選択した。各マーク電極21x、yは略L字状をなしている。各マーク電極21x、yの略中央部にはリード線91または92に対する接続部95が形成されている。マーク電極21x、yの一端部(第1端部96と呼ぶ)はペルチェ素子30が実装される部分である。またマーク電極21x、yの他端部(第2端部97と呼ぶ)は、画像認識用マーク40が形成される部分である。各マーク電極21x、yの接続部95および第1端部96は電気が導通する部分であり、第1絶縁基板11の導通経路部Iに形成されている。各マーク電極21x、yの第2端部97は、電気の導通には直接的に関与しない部分であり、第1絶縁基板11の一般領域II上に形成されている。実施形態5の熱電モジュール1において、画像認識用マーク40は凹状をなす。実施形態5の熱電モジュール1は、以下のように製造できる。
【0054】
〔製造方法〕
先ず、第1絶縁基板11上のマーク形成予定部53に相当する部分にレジスト層52を形成した(図15〔a〕)。次いで、レジスト層52を形成した第1絶縁基板11上にCuめっきを施し、各電極の基層51を形成した。さらに、基層51の上層にNi層55を形成し(図15〔c〕)、Ni層55の上層にAu層56を形成した(図15〔d〕)。基層51、Ni層55およびAu層56の厚さは、実施形態1と同様である。この工程で、基層51(Cu層)および表層57(Ni層55およびAu層56)を持つ第1電極21を形成した(図15〔e〕)。また、レジスト層52を除去することで、凹状をなす画像認識用マーク40を形成した。画像認識用マーク40は、電極における電気の導通経路外の領域に形成されている。このため、実施形態5の熱電モジュール1においては、画像認識用マーク40を第1電極21の内部に形成したにもかかわらず、画像認識用マーク40に由来する第1電極21の導電性低下および電気抵抗の増大が生じ難い。
【0055】
なお、実施形態5においては画像認識用マーク40を第1電極21(マーク電極21x、y)に形成したが、例えば、画像認識用マーク40を第1絶縁基板11の一般領域II上に直接形成しても良い。この場合には、画像認識用マーク40は第1電極21の導通経路に全く干渉しない。また、凹状の画像認識用マーク40は、第1電極21を形成した後に、エッチングなどのパターニング工法によって第1電極21の厚さ方向の全てまたは一部を削り取ることで形成しても良い。
【0056】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。例えば、実施形態においては1つの熱電モジュール1を構成する絶縁基板上に電極を形成したが、大型の絶縁基板上に熱電モジュール1複数個分の電極をまとめて形成し、ダイシング工法などを用いて個々の熱電モジュール1に分割しても良い。実施形態では基層51として電極の完成形状に対応する形状のCuめっきを絶縁基板上に施したが、絶縁基板上で電極を所定形状に整形しても良い。例えば、絶縁基板の導通経路領域I全体にCuめっきを施した後、エッチング工法等でCuめっきを電極形状に対応するよう整形しても良いし、ペースト状の導電材料(例えば銅や、マグネシウム−モリブデン合金等)を絶縁基板上にスクリーン印刷し、その後焼成することで電極を形成しても良い。電極をめっき形成する場合、めっき工法は電解、無電解を問わない。
【符号の説明】
【0057】
1:熱電モジュール 11:絶縁基板 11a:絶縁基板の実装面
21:電極 21a:電極の実装領域 21b:電極の一般領域
21c:電極の固定面 21d:電極の実装面 30:ペルチェ素子
40:画像認識用マーク 51:基層 57:表層
57a:表層の実装部 57b:表層の一般部
I:導通経路領域 II:絶縁基板の一般領域
図1
図2
図3
図4
図5
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