【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/究極立体映像用超高密度・超多画素表示デバイスの研究開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数本の列データ線と複数本の行走査線とが交差する複数の交差部のそれぞれに液晶画素が配置され、前記各液晶画素に対応した複数ビットの階調データに基づいて、前記各液晶画素に階調駆動電圧を供給して前記各液晶画素を駆動し、1フレームの画像を階調表示する表示部と、
1水平走査期間単位で前記複数本の列データ線に選択的に階調駆動電圧を出力する水平走査回路と、
前記複数本の行走査線を1水平走査期間単位で1本ずつ順次選択する行選択信号を出力する垂直走査回路とを備え、
前記水平走査回路は、
1水平走査期間の各液晶画素に対応した階調データを順次格納するシフトレジスタと、
前記シフトレジスタに格納された階調データを1水平走査期間保持するラッチ回路と、
1水平走査期間に、階調データで表示可能な階調数と同じカウント値をカウントアップするカウンタ回路と、
前記各液晶画素に対応した階調データ毎に、前記ラッチ回路に保持された階調データと前記カウンタ回路のカウント値とを比較し、カウント値と階調データとが一致したとき一致パルス信号を出力するコンパレータ回路と、
1水平走査期間の周期で前記液晶画素における黒表示の電圧レベルから白表示の電圧レベルに電圧が上昇する方向に変化する掃引信号である同一で複数のアナログ信号からアナログ信号を選択し、前記一致パルス信号に基づいて、選択した前記アナログ信号をサンプリングし、サンプリングしたアナログ信号の電圧を階調駆動電圧として前記列データ線を介して前記液晶画素に与える選択回路と
を備え、
前記選択回路は、j階調の階調データで選択する前記アナログ信号と、(j+1)階調の階調データで選択する前記アナログ信号とが異なる
ことを特徴とする液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
【0013】
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の構成を説明する。
図1において、液晶表示装置は、表示部11、垂直走査回路12ならびに水平走査回路13を備える。
【0014】
表示部11は、x本の列データ線D(D1〜Dx)とy本の行走査線G(G1〜Gy)との各交差部にマトリクス状に配置された複数(x×y)個の画素回路111を備える。
【0015】
各画素回路111はすべて同じ構成であるので、例えばx=1、y=1の1行1列目の画素回路111を代表すると、画素回路111は、画素選択トランジスタ112と液晶画素113とを備える。
【0016】
画素選択トランジスタ112は、例えば薄膜トランジスタで構成される。画素選択トランジスタ112は、ゲート端子が行走査線G1に接続され、行走査線G1に与えられる行選択信号に基づいてスイッチング制御される。画素選択トランジスタ112は、ドレイン端子が列データ線D1に接続され、列データ線D1に与えられるアナログ電圧の階調駆動電圧を液晶画素113に印加制御する。
【0017】
液晶画素113は、画素選択トランジスタ112のソース端子に接続され、画素選択トランジスタ112を介して与えられる階調駆動電圧が印加される。液晶画素113は、印加される階調駆動電圧に基づいて駆動され、階調駆動電圧の電圧値に応じて階調表示される。
【0018】
表示部11は、それぞれの液晶画素113に対応した複数ビットの階調データに基づいて複数の液晶画素113が駆動され、1フレームの画像を階調表示する。
【0019】
垂直走査回路12は、複数の行走査線G1〜Gyに接続されている。垂直走査回路12は、行走査線Gに対して、水平同期信号HDに基づいて例えば行走査線G1からGyに順次行選択信号を1水平走査期間単位で供給する。
【0020】
水平走査回路13は、複数の列データ線D1〜Dxに接続されている。水平走査回路13は、それぞれの液晶画素113に対応して液晶画素113を階調駆動する階調駆動電圧を、列データ線Dに選択的に1水平走査期間単位で出力する。階調駆動電圧は、アナログ信号VREFをサンプリングして得られるアナログ電圧である。
【0021】
水平走査回路13は、シフトレジスタ131、ラッチ回路132、カウンタ回路133、コンパレータ回路134(134−1〜134−x)、レベルシフタ回路135ならびに選択回路136(136−1〜136−x)を備える。
【0022】
シフトレジスタ131は、シフトクロック信号SCLKとnビットの階調データDL(i(i=1〜x))とを入力する。シフトレジスタ131は、シフトクロック信号SCLKに基づいて、1水平走査期間単位で1本の行走査線Gに対応したx個の液晶画素113に対応したnビットの階調データを順次入力する。
【0023】
それぞれの液晶画素113に対応した階調データはnビットで構成される。例えばn=12ビットとすると、1つの液晶画素113あたり2
n の4096階調で階調表示することができる。シフトレジスタ131は、nビットの階調データを並列に順次入力してシフトする。例えば表示部11が、フルハイビジョンに対応してx=1920の場合には、シフトレジスタ131は、1水平走査期間に1920個分の液晶画素113のそれぞれに対応したnビットの階調データを入力してシフトする。
【0024】
ラッチ回路132は、1水平ブランキング期間内に発生するラッチ信号SLと、1水平走査期間にシフトレジスタ131に入力してシフトされた階調データが入力される。ラッチ回路132は、ラッチ信号SLに基づいて、1水平走査期間にシフトレジスタ131に入力してシフトされた階調データを取り込む。ラッチ回路132は、取り込んだx個の液晶画素113のそれぞれに対応したnビットの階調データを次の1水平走査期間保持する。
【0025】
カウンタ回路133は、nビットのカウンタ回路で構成され、カウンタクロック信号CCLKに基づいてnビットのカウント値QDを順次カウントアップする。カウンタクロック信号CCLKは、本液晶表示装置の外部からカウンタ回路133に与えられる。これにより、カウンタ回路133は、1水平走査期間毎に2
n のカウント値QD(0〜(2
n −1))を出力する。したがって、カウンタ回路133は、nビットの階調データと同じ階調数のカウント値を出力し、コンパレータ回路134に与える。
【0026】
コンパレータ回路134(134−1〜134−x)は、x本の列データ線Dに対応したx個の液晶画素113にそれぞれ対応してx個設けられている。各コンパレータ回路134はすべて同様に構成され、nビットのデータを各ビット毎に比較し、nビットのデータがすべて一致したときに一致パルス信号AP(i(i=1〜x))を出力する。
【0027】
例えば1列目の列データ線D1に対応したコンパレータ回路134−1を代表すると、コンパレータ回路134−1は、列データ線D1に対応した液晶画素113のnビットの階調データと、カウンタ回路133から与えられたnビットのカウント値を入力する。コンパレータ回路134−1は、nビットの階調データとnビットのカウント値を比較し、両者が一致すると一致パルス信号AP(1)をレベルシフタ回路135に出力する。
【0028】
レベルシフタ回路135は、ラッチ回路132にラッチされたnビットの階調データのうち、下位k(n>k)ビットの階調データDLを入力する。レベルシフタ回路135は、入力した下位kビットの階調データの電圧レベルを昇圧して選択信号SDL(i(i=1〜x))を生成する。ここで、下位kビットの階調データは、例えば上限が3.3V程度の電圧レベルである。一方、選択信号SDLは、例えば上限が15V程度の電圧レベルである。昇圧された選択信号SDLは、対応する選択回路136に与えられる。
【0029】
レベルシフタ回路135は、コンパレータ回路134から出力された一致パルス信号APを入力する。レベルシフタ回路135は、入力した一致パルス信号APの電圧レベルを昇圧する。ここで、一致パルス信号APは、昇圧前は例えば上限が3.3V程度の電圧レベルであり、昇圧後は例えば上限が15V程度の電圧レベルである。昇圧された一致パルス信号APは、対応する選択回路136に与えられる。
【0030】
選択回路136(136−1〜136−x)は、x本の列データ線Dにそれぞれ対応してx個設けられ、対応する列データ線Dに接続されている。選択回路136は、すべて同様に構成され、2
k 個のアナログ信号VREF(1〜2
k )を入力し、そのうちの1つのアナログ信号VREFを選択する。
【0031】
2
k 個のアナログ信号VREFは、本液晶表示装置の外部から与えられる。これにより、アナログ信号VREFを生成するための構成を本液晶表示装置に搭載する必要はなくなり、本液晶表示装置の構成を小型化することができる。また、アナログ信号VREFを生成するための構成を外部に設けた場合には、任意の波形のアナログ信号VREFを容易に生成して、本液晶表示装置に供給することができる。
【0032】
選択回路136は、選択したアナログ信号VREFをサンプリングし、サンプリングしたアナログ信号VREFの電圧を階調駆動電圧VID(i(i=1〜x))として対応する列データ線Dに与える。例えば1列目の列データ線D1に対応した選択回路136−1を代表すると、選択回路136−1は、レベルシフタ回路135から与えられた選択信号SDL(1)ならびに一致パルス信号AP(1)を入力する。選択回路136−1は、
2
k 個のアナログ信号VREFを入力する。
【0033】
ここで、kは、選択回路136−1に入力される選択信号SDLのビット数kと同一である。2
k 個のアナログ信号VREFは、すべて同一波形の信号で構成される。アナログ信号VREFは、1水平走査期間の周期で液晶画素113における黒表示の電圧レベルから白表示の電圧レベルに電圧が上昇する方向に変化する周期的な掃引信号のランプ波形で構成される。
【0034】
選択回路136−1は、選択信号SDLに基づいて、2
k 個のアナログ信号VREFのうち1つのアナログ信号VREFを選択する。選択回路136−1は、一致パルス信号AP(1)に基づいて選択されたアナログ信号VREFをサンプリングし、サンプリングしたアナログ信号VREFを階調駆動電圧VID(1)として対応する列データ線D1に出力する。
【0035】
選択回路136は、例えば
図2に示すように構成される。
図2において、選択回路136は、第1スイッチ回路21、第2スイッチ回路22ならびにデコーダ回路23を備える。
【0036】
第1スイッチ回路21は、2
k 個のアナログ信号VREFを入力する。第1スイッチ回路21は、デコーダ回路23から与えられるデコード選択信号に基づいて、入力された
2
k 個のアナログ信号VREFのうち1つのアナログ信号VREFを選択する。第1スイッチ回路21は、選択したアナログ信号VREFを第2スイッチ回路22に与える。
【0037】
第2スイッチ回路22は、第1スイッチ回路21と対応する列データ線Dとの間に接続されている。第2スイッチ回路22は、一致パルス信号APに基づいて、第1スイッチ回路21と列データ線Dとを導通制御する。第2スイッチ回路22は、一致パルス信号APが与えられたときにのみ、第1スイッチ回路21と列データ線Dとを導通状態とする。
【0038】
第2スイッチ回路22は、第1スイッチ回路21で選択されたアナログ信号VREFを入力する。第2スイッチ回路22は、一致パルス信号APが与えられているときにのみ入力されたアナログ信号VREFを列データ線Dに出力する。これにより、アナログ信号VREFは、一致パルス信号APに基づいてサンプリングされ、サンプリングされたアナログ信号VREFの電圧は階調駆動電圧VIDとして対応する列データ線Dに出力される。
【0039】
第1スイッチ回路21ならびに第2スイッチ回路22は、例えばバイポーラトランジスタなどで構成される。
【0040】
デコーダ回路23は、レベルシフタ回路135から与えられるkビットの選択信号SDLを入力する。デコーダ回路23は、kビットの選択信号SDLをデコードし、2
k 個のアナログ信号VREFのうちいずれか1つのアナログ信号VREFを選択するデコード選択信号を生成する。デコーダ回路23は、生成したデコード選択信号を第1スイッチ回路21に出力する。
【0041】
図2に示すような構成を採用することで、小型で簡易な選択回路136を提供することが可能となる。
【0042】
なお、
図2に示す選択回路136の構成では、第1スイッチ回路21と第2スイッチ回路22との2つのスイッチ回路を用いている。一方、選択回路136は、これらの2つのスイッチ回路に代えて1つのスイッチ回路で構成することも可能である。このような場合には、論理積回路によりデコーダ回路23の各デコード選択信号と一致パルス信号APとの論理積を算出する。論理積の算出結果に基づいて、1つのスイッチ回路でアナログ信号VREFを選択し、かつ選択したアナログ信号VREFをサンプリングする。
【0043】
このような構成を採用することで、
図2に示す構成に比べてより一層小型で簡易な選択回路136を提供することが可能となる。
【0044】
2
k 個のアナログ信号VREFは、本液晶表示装置の外部から各選択回路136に与えられるが、本液晶表示装置の外部に設けられた例えばアナログ信号発生部14で発生することができる。なお、このアナログ信号発生部14は、本液晶表示装置に含まれていてもかまわない。
【0045】
アナログ信号発生部14は、タイミング発生回路141とアナログ信号発生回路142とを備える。
【0046】
タイミング発生回路141は、nビットの階調データDLに同期した水平同期信号HDならびに垂直同期信号VDが与えられる。タイミング発生回路141は、水平同期信号HDならびに垂直同期信号VDに基づいて、カウンタクロック信号CCLKを発生する。タイミング発生回路141は、カウンタクロック信号CCLKをカウンタ回路133ならびにアナログ信号発生回路142に与える。タイミング発生回路141は、水平同期信号HDならびに垂直同期信号VDを垂直走査回路12に与える。
【0047】
アナログ信号発生回路142は、カウンタクロック信号CCLKに基づいて、ランプ波形の2
k 個のアナログ信号VREFを発生する。
【0048】
アナログ信号発生回路142は、例えば
図3に示すように構成される。
図3において、アナログ信号発生回路142は、アドレス生成部31、アナログ信号発生部32を備える。
【0049】
アドレス生成部31は、カウンタクロック信号CCLKとカウンタリセット信号CRとが与えられる。アドレス生成部31は、カウンタリセット信号CRでカウント値をリセットされる。カウント値のリセットは、1水平ブランキング期間内で行われる。アドレス生成部31は、カウント値がリセットされた後、カウンタクロック信号CCLKをカウントアップする。アドレス生成部31は、カウントアップしたカウント値を順次LUTアドレスとしてアナログ信号発生部32に与える。
【0050】
アナログ信号発生部32は、2
k 個のルック・アップ・テーブル(LUT)321(321−1〜321−2
k)と、2
k 個のDA(デジタル/アナログ)変換器322(321−1〜321−2
k)とを備える。
2
k 個のLUT321は、すべて同一構成である。LUT321は、ランプ波形を構成するアナログ信号VREFをデジタルデータに基づいて発生する際のデジタルデータを記憶する。LUT321は、記憶装置で構成され、例えばRAMで構成される。このRAMは、アドレスポートとデータポートを2系統備えたデュアルポートで構成される。なお、LUT321は、記憶するデジタルデータの書き換えが不要な場合には、ROMで構成してもよい。
【0051】
LUT321は、外部バスEBに接続されている。外部バスEBは、本液晶表示装置の外部に設けられたMPU(マイクロ・プロセッサ・ユニット)(図示せず)が、本液晶表示装置などの外部機器との間でやりとりする信号を転送する。
【0052】
LUT321は、外部バスEBを介してMPUからすべてのLUT321に共通した書き込み用のアドレスならびにデジタルデータが与えられる。また、LUT321は、外部バスEBを介してMPUから各LUT321のそれぞれに対応したライトイネーブル信号WE(1〜2
k)が与えられる。このライトイネーブル信号WEにより、LUT321は書き込み可能状態となり、書き込み用のアドレス信号に対応したアドレスに順次デジタルデータを書き込んで記憶する。
【0053】
なお、LUT321は、各LUT321に対応した個別のライトイネーブル信号WEが与えられので、それぞれ独立して個別に書き込みが可能となる。これにより、各LUT321は、任意のアドレスに任意のデジタルデータを書き込んで記憶することが可能となる。
【0054】
LUT321は、アドレス生成部31で生成されたLUTアドレスを入力し、このLUTアドレスに基づいて記憶されたデジタルデータが読み出される。すなわち、各LUT321では、それぞれのLUT321に共通のLUTアドレスに基づいて同一のデジタルデータが読み出される。
【0055】
2
k 個のDA変換器322は、すべて同一構成であり、デジタルデータをアナログ信号VREFに変換する。DA変換器322は、各LUT321に一対一に対応して設けられている。DA変換器322は、LUT321から読み出されたデジタルデータが与えられる。DA変換器322は、与えられたデジタルデータをランプ波形を構成するアナログ信号VREFに変換する。これにより、2
k 個のDA変換器322は、ランプ波形の2
k 個のアナログ信号VREFを発生する。
【0056】
なお、各DA変換器322は、その出力にオペアンプなどを用いたバッファ回路を接続し、DA変換器322と選択回路136ならびに列データ線Dとの間をバッファするよういしてもよい。
【0057】
図3に示すような構成を採用することで、任意の波形のアナログ信号VREFを容易に発生することが可能なアナログ信号発生回路142を提供することが可能となる。
【0058】
図3に示す構成のアナログ信号発生部14は、デジタルデータに基づいてアナログ信号VREFを発生させる構成を採用しているが、1水平走査期間に任意の波形のアナログ信号VREFを発生できる構成であれば、
図3に示す構成に限ることはない。
【0059】
次に、
図4のタイミングチャートを参照して、この第1実施形態の液晶表示装置の動作を説明する。
【0060】
図4(a)に示す水平同期信号HDに同期した、同図(b)に示すnビットの階調データDLが、並列にシフトレジスタ131に入力される。nビットの階調データDLは、
図4(c)に示すシフトクロック信号SCLKに基づいてシフトされる。これにより、1水平ライン分、すなわちx本の列データ線Dに対応したx個の液晶画素113分のnビットの階調データDLは、シフトレジスタ131に順次シフト入力されて格納される。
【0061】
1水平ライン分の階調データDLがシフトレジスタ131に格納された後、ラッチ信号SLがラッチ回路132に与えられる。これにより、シフトレジスタ131に格納された階調データDLは、ラッチ回路132にラッチされ、1水平走査期間の間保持される。
図4(d)は、1水平走査期間の間ラッチ回路132に保持される階調データDLを模式的に示したものである。
【0062】
ラッチ回路132に保持されたそれぞれの液晶画素113に対応したnビットの階調データは、それぞれの列データ線Dに対応したコンパレータ回路134に与えられる。例えば1行1列目の液晶画素113に対応するnビットの階調データDL(1)は、コンパレータ回路134−1に与えられる。
【0063】
一方、水平同期信号HDに同期した、
図4(e)に示すカウンタクロック信号CCLKがカウンタ回路133に与えられる。これにより、カウンタクロック信号CCLKは、nビットのカウンタ回路133でカウントアップされ、nビットのカウント値QDがカウンタ回路133から順次出力される。すなわち、
図4(f)に示すように0〜(2
n −1)のカウント値QDがカウンタ回路133から順次出力される。カウンタ回路133から順次出力されたnビットのカウント値QDは、それぞれのコンパレータ回路134に共通に与えられる。
【0064】
nビットのカウンタ値QDとnビットの階調データDLとは、コンパレータ回路134で比較される。すなわち、nビットのカウンタ値QDと1水平ライン分のそれぞれの液晶画素113に対応したnビットの階調データDLとが、1水平走査期間の間に比較される。比較の結果、両者が一致すると、
図4(g)に示すような一致パルス信号APがコンパレータ回路134から出力される。
【0065】
1つの液晶画素113に対応した階調データDLはnビットで構成され、カウンタ値QDもnビットである。これにより、カウンタ回路133の1周期、すなわち1水平走査期間内で、1水平ライン分のそれぞれの液晶画素113に対応したnビットの階調データDLのすべてとカウント値QDとを比較することができる。したがって、nビットの階調データDLのうち、いずれかの階調データDLに対応して、一致パルス信号APが出力される。
【0066】
コンパレータ回路134から出力された一致パルス信号APは、レベルシフタ回路135に与えられて昇圧される。昇圧された一致パルス信号APは、対応する選択回路136に与えられる。
【0067】
一方、ラッチ回路132にラッチされたnビットの階調データDLのうち、下位k(k<n)ビットの階調データDLは、レベルシフタ回路135に与えられて昇圧される。昇圧された下位kビットの階調データDLは、対応する選択回路136に与えられる。
【0068】
それぞれの選択回路136には共通に、水平同期信号HDに同期して、例えば
図4(h)に示すようなランプ波形の2
k 個のアナログ信号VREFが与えられる。2
k 個のアナログ信号VREFは、下位kビットの階調データDLのデコード結果に応じて、いずれか1つのアナログ信号VREFが選択される。
【0069】
ここで、例えばn=4ビット、k=2ビットとして、階調データDLに基づくアナログ信号VREFの選択について説明する。n=4ビットであるので、1階調から16階調の16段階の階調表示が可能となる。k=2ビットであるので、2
k=4つのアナログ信号VREF(1〜4)が用意される。
【0070】
先ず、n=「0000」の1階調では、nの下位2ビットのk=「00」に基づいてアナログ信号VREF(1)が選択される。n=「0001」の2階調では、nの下位2ビットのk=「01」に基づいてアナログ信号VREF(2)が選択される。n=「0010」の3階調では、nの下位2ビットのk=「10」に基づいてアナログ信号VREF(3)が選択される。n=「0011」の4階調では、nの下位2ビットのk=「11」に基づいてアナログ信号VREF(4)が選択される。
【0071】
そして、n=「0100」の5階調では、nの下位2ビットのk=「00」に基づいてアナログ信号VREF(1)が選択される。すなわち、n=「0100」の5階調では、n=「0000」の1階調で選択されたと同じアナログ信号VREF(1)が選択される。
【0072】
これらのことから、4つのアナログ信号VREFのうち、1階調に対応した階調データDL(1)で選択されたアナログ信号VREF(1)は、5階調に対応した階調データDL(5)で選択される。同様に、アナログ信号VREF(1)は、9階調に対応した階調データDL(9)、13階調に対応した階調データDL(13)でも選択される。
【0073】
また、2階調に対応した階調データDL(2)で選択されたアナログ信号VREF(2)は、6階調に対応した階調データDL(6)で選択される。同様に、アナログ信号VREF(2)は、10階調に対応した階調データDL(10)、14階調に対応した階調データDL(14)でも選択される。
【0074】
また、3階調に対応した階調データDL(3)で選択されたアナログ信号VREF(3)は、7階調に対応した階調データDL(7)で選択される。同様に、アナログ信号VREF(3)は、11階調に対応した階調データDL(11)、15階調に対応した階調データDL(15)でも選択される。
【0075】
また、4階調に対応した階調データDL(4)で選択されたアナログ信号VREF(4)は、8階調に対応した階調データDL(8)で選択される。同様に、アナログ信号VREF(4)は、12階調に対応した階調データDL(12)、16階調に対応した階調データDL(16)でも選択される。
【0076】
このように、4つのアナログ信号VREF(1〜4)のうち、いずれか1つのアナログ信号VREFは、4階調おきに選択される。すなわち、j(j=1〜2
n−1)階調に対応する階調データDL(j)と、(j+1)階調に対応する階調データDL(j+1)とで選択されるアナログ信号VREFとは、異なるアナログ信号VREFが選択されることになる。
【0077】
このようにして選択されたアナログ信号VREFは、選択回路136に与えられる一致パルス信号APによってサンプリングされる。サンプリングされたアナログ信号VREFの電圧は、階調データDLに対応した階調駆動電圧となる。
【0078】
一致パルス信号APがロウレベルからハイレベルに立ち上がってサンプリングが開始されると、階調駆動電圧を列データ線Dに出力する選択回路136の出力端子は、列データ線Dに接続される。これにより、選択回路136には、1本の列データ線Dの容量や列データ線Dに接続された画素選択トランジスタ112のドレイン容量などの容量負荷が接続される。この容量負荷は、行走査線の数が多くなるほど大きくなる。
【0079】
このように、一致パルス信号APが立ち上がってサンプリングが開始されると、上述したような容量負荷が選択回路136に接続される。これにより、サンプリング開始時のアナログ信号VREFの電圧は、
図4(h)のランプ波形のアナログ信号VREFの拡大図に示すように、若干低下する。なお、拡大図において、本来のアナログ信号VREFの波形変化は、破線で示している。
【0080】
その後、一致パルス信号APがハイレベルからロウレベルに立ち下がって、アナログ信号VREFのサンプリングが終了すると、選択回路136の出力端子と列データ線Dとが遮断される。これにより、アナログ信号VREFにスイッチングノイズが発生するおそれがある。スイッチングノイズが発生すると、ランプ波形のアナログ信号VREFは、
図4(h)の拡大図に破線で示すように、スイッチングノイズが発生していない本来の波形に比べて乱れることになる。
【0081】
本発明は、このようなアナログ信号VREFの乱れの影響を回避するために、上述したようにj階調に対応する階調データDL(j)と、(j+1)階調に対応する階調データDL(j+1)とで異なるアナログ信号VREFを選択するといった、技術的特徴を採用している。
【0082】
すなわち、今回アナログ信号VREFのサンプリングが終了してスイッチングノイズが発生したとしても、スイッチングノイズが発生したアナログ信号VREFは、次回のサンプリングには使用されない。次回のサンプリングには、今回以前にサンプリングされてスイッチングノイズが発生していないアナログ信号VREFが選択される。
【0083】
例えば、
図5に示すように、j階調の階調データDL(j)におけるサンプリングでは、スイッチングノイズが発生していないサンプリング期間Tjでアナログ信号VREFをサンプリングする。サンプリングが終了すると、アナログ信号VREFは、スイッチングノイズにより乱れる。
【0084】
続いて、(j+1)階調の階調データDL(j+1)におけるサンプリングでは、j階調の階調データDL(j)で使用してスイッチングノイズにより乱れたアナログ信号VREFをサンプリングしない。すなわち、j階調の階調データDL(j)でサンプリングしたアナログ信号VREFとは別信号のスイッチングノイズにより乱れていないアナログ信号VREFが選択されてサンプリングされる。したがって、(j+1)階調の階調データDL(j+1)におけるサンプリングでは、スイッチングノイズが発生していないサンプリング期間T(j+1)でアナログ信号VREFをサンプリングする。
【0085】
このように、j階調の階調データDL(j)と(j+1)階調の階調データDL(j+1)とは、連続したサンプリング期間Tjとサンプリング期間T(j+1)とでアナログ信号VREFをサンプリングする。しかしながら、j階調の階調データDL(j)と(j+1)階調の階調データDL(j+1)とでは、それぞれ異なるアナログ信号VREFをサンプリングする。
【0086】
このため、j階調の階調データDL(j)におけるサンプリング終了時にスイッチングノイズが発生したとしても、(j+1)階調の階調データDL(j+1)では、スイッチングノイズが発生していない本来の波形のアナログ信号VREFをサンプリングすることが可能となる。これにより、アナログ信号VREFのサンプリング動作にともなうスイッチングノイズの影響を受けることなく、いずれの階調データDLにおいてもアナログ信号VREFをサンプリングすることが可能となる。
【0087】
なお、後述するが、サンプリング時間や階調数などに応じて選択回路136に与えられるアナログ信号VREFの数を決定することで、スイッチングが生じていない本来のアナログ信号VREFを選択することが可能となる。
【0088】
サンプリングされたアナログ信号VREFは、階調駆動電圧VIDとして選択回路136に対応した列データ線Dに与えられる。1水平ライン分のnビットの階調データDLは、すべて1水平走査期間内にnビットのカウント値QDと比較される。これにより、1水平走査期間内に、x本のすべての列データ線Dには、選択されたアナログ信号VREFをサンプリングして得られた階調駆動電圧VIDが与えられる。
【0089】
列データ線Dに与えられた階調駆動電圧は、垂直走査回路12から行選択信号が出力された行走査線Gに接続されて導通状態にある画素選択トランジスタ112を介して液晶画素113に与えられる。これにより、液晶画素113は、一致パルス信号APでサンプリングされたアナログ信号VREFの電圧が印加されて駆動され、印加された電圧値に応じて階調表示される。
【0090】
このような1水平走査期間の動作が、y本のそれぞれの行走査線Gに対して順次行われる。これにより、表示部11のすべての液晶画素113が駆動され、1フレームの画像が、それぞれの液晶画素113に対応したnビットの階調データにしたがって階調表示される。
【0091】
ここで、例えばフレームレートが60Hzのプログレッシブフルハイビジョンにおける表示を一例として、アナログ信号VREFのサンプリング期間とスイッチングノイズについて説明する。
【0092】
上記フルハイビジョンにおける1水平走査期間の映像有効期間THは、約14.8μsec程度である。階調数を12ビットとして4096階調とした場合に、アナログ信号VREFのサンプリング期間は、次式(1)で表される。
【0093】
1水平走査期間の映像有効期間TH/階調数
=14.8/4096=約3.6nsec …(1)
ここで、例えば1水平走査期間において、2048階調を表示する液晶画素113の数を960、2049階調を表示する液晶画素113の数を960とする。このような場合に、2048階調を表示する液晶画素113に対応したアナログ信号VREFのサンプリングが終了すると、960の画素選択トランジスタ112が一斉に導通状態から非導通状態となる。このときに、上述したようにアナログ信号VREFにスイッチングノイズが発生するおそれがある。
【0094】
アナログ信号VREFを出力する出力回路として一般的に用いられる容量負荷を駆動可能な汎用駆動回路は、3%セトリングタイムが20nsec程度である。このため、すべての階調表示で1つのアナログ信号VREFをサンプリングする従来の場合には、今回のサンプリングが終了してから次回のサンプリングを開始するまでに、20nsec程度の期間を設ける必要がある。すなわち、今回の2048階調の表示と次回の2049階調の表示とのアナログ信号VREFのサンプリングとの間に、20nsec程度の期間を設ける必要がある。これにより、アナログ信号VREFのスイッチングノイズの影響を回避することが可能となる。
【0095】
一方、フルハイビジョンにおけるアナログ信号VREFのサンプリング期間は、上述したように3.6nsec程度である。すなわち、今回のアナログ信号VREFのサンプリングが終了した後、20nsec程度の期間をあけることなく次回のサンプリングが開始される。このため、2049階調の表示におけるアナログ信号VREFのサンプリングでは、2048階調の表示おけるアナログ信号VREFのサンプリングの終了時に発生したスイッチングノイズで乱れた状態のアナログ信号VREFをサンプリングすることになる。
【0096】
これにより、正規の電圧値とは異なる電圧値のアナログ電圧がサンプリングされて、階調データに基づく精細な階調表示が困難となり、階調表示が劣化するおそれがある。
【0097】
これに対して、この第1実施形態では、サンプリングするアナログ信号VREFを複数用意し、
図5に示すように、j階調の階調データDL(j)と(j+1)階調の階調データDL(j+1)とでは、それぞれ異なるアナログ信号VREFをサンプリングする。これにより、上述したフルハイビジョンにおけるアナログ信号VREFのサンプリングでは、2048階調の表示におけるサンプリングと2049階調の表示におけるサンプリングとでは、異なるアナログ信号VREFがサンプリングされる。
【0098】
すなわち、2049階調の表示におけるサンプリングでは、2048階調の表示でサンプリングしたアナログ信号VREFとは別信号の、スイッチングノイズの発生していない本来の波形のアナログ信号VREFをサンプリングすることができる。これにより、階調データに基づいた正規なアナログ電圧値を液晶画素113に与えることが可能となる。この結果、階調データに基づく精細な階調表示が可能となり、階調表示の画質を向上することができる。
【0099】
なお、例えば上述したハイビジョン表示において、j階調表示と(j+1)階調表示とで、スイッチングノイズが発生していないアナログ信号VREFを選択してサンプリングするには、少なくともk=4として、2
k =8つのアナログ信号VREFを用意すればよい。