特許第6079528号(P6079528)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6079528
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】発泡成形品の製造方法及び発泡成形品
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/10 20060101AFI20170206BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20170206BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20170206BHJP
【FI】
   B29C39/10
   B29K105:04
   B29L31:58
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-193088(P2013-193088)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-58607(P2015-58607A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】特許業務法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】高田 宏樹
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−001311(JP,A)
【文献】 特開2003−080972(JP,A)
【文献】 特開2010−253839(JP,A)
【文献】 特開2003−001740(JP,A)
【文献】 特開2002−127163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00−39/44
B60R 13/01−13/04
B60R 13/08
B60K 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締めによってキャビティを形成する第1型及び第2型を用意し、前記キャビティ内の前記第1型側に基材を設けるとともに、前記キャビティ内の前記第2型側に表皮を設ける第1工程と、
前記第1型及び前記第2型を型締め方向で型締めし、前記基材及び前記表皮で閉ざされた前記キャビティ内に発泡樹脂原料を注入して前記基材と前記表皮との間に発泡層を形成する第2工程と、
前記第1型及び前記第2型を型開きし、発泡成形品を得る第3工程とを備えた発泡成形品の製造方法において、
前記基材は、前記発泡層と対面する基材本体部と、前記基材本体部から前記型締め方向と直交する第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する基材シール部と、前記基材本体部から前記第1方向と交差し、かつ前記発泡層から離れる第2方向に延びる基材支持部とを有し、
前記表皮は、前記発泡層と対面する表皮本体部と、前記表皮本体部から前記第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する表皮シール部とを有し、
前記第2工程では、前記第1型と当接する前記基材シール部が前記表皮シール部と面接触していることを特徴とする発泡成形品の製造方法。
【請求項2】
前記第2工程では、前記表皮シール部における前記基材シール部と当接する側の逆側が前記第2型と当接している請求項1記載の発泡成形品の製造方法。
【請求項3】
基材と表皮との間に発泡層が設けられた発泡成形品において、
前記基材は、前記発泡層と対面する基材本体部と、前記基材本体部から第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する基材シール部と、前記基材本体部から前記第1方向と交差し、かつ前記発泡層から離れる第2方向に延びる基材支持部とを有し、
前記表皮は、前記発泡層と対面する表皮本体部と、前記表皮本体部から前記第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する表皮シール部とを有し、
前記基材シール部と前記表皮シール部とが面接触して固着され
前記表皮本体部は、少なくとも前記第1方向と交差する方向に延びる部位を有し、
前記表皮シール部は、前記部位から前記第1方向のうち、前記基材本体部から離れる方向に延びていることを特徴とする発泡成形品。
【請求項4】
前記発泡層は、前記第1方向に厚みを有する厚肉発泡層と、前記厚肉発泡層と一体をなし、前記厚肉発泡層より厚みが薄い薄肉発泡層とを有し、
前記基材シール部及び前記表皮シール部は前記薄肉発泡層に隣接している請求項記載の発泡成形品。
【請求項5】
前記厚肉発泡層は、前記基材シール部及び前記表皮シール部よりも前記第1方向に突出している請求項記載の発泡成形品。
【請求項6】
前記表皮本体部は、前記厚肉発泡層と前記第1方向で対面する意匠部を有し、
前記基材支持部には、前記基材シール部及び前記表皮シール部を隠蔽するパネルが固定され、
前記意匠部は前記パネルと面一とされる請求項4又は5記載の発泡成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成形品の製造方法と、発泡成形品とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の発泡成形品の製造方法が開示されている。この製造方法は、以下の第1〜3工程を備えている。まず、第1工程では、型締めによってキャビティを形成する第1型及び第2型を用意し、第1型のキャビティ内に基材を設けるとともに、第2型のキャビティ内に表皮を設ける。また、第2工程では、第1型及び第2型を型締め方向で型締めし、基材及び表皮で閉ざされたキャビティ内に発泡樹脂原料を注入し、基材と表皮との間に発泡層を形成する。そして、第3工程において、第1型及び第2型を型開きする。こうして、例えば車両のインスツルメントパネル等の発泡成形品を得る。
【0003】
ここで、基材は、発泡層と対面する基材本体部と、基材本体部から型締め方向に突出し、発泡層に隣接する突条と、発泡層から離れる型締め方向に基材本体部から延びる基材支持部とを有している。また、表皮は、発泡層と対面する表皮本体部と、表皮本体部から型締め方向と交差する第1方向に平面状に延び、発泡層に隣接する表皮シール部とを有している。
【0004】
この製造方法によれば、第2工程において、基材の突条と表皮の表皮シール部とが型締め力によって線接触することにより、発泡時の負荷を支持する。こうして、発泡成形品では、突条と表皮シール部とが好適にシールされつつ固着されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−211625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の製造方法では、突条と表皮シール部とが線接触してシールされているに過ぎないことから、基材と表皮との間からの発泡樹脂材料の漏れが懸念される。
【0007】
また、この製造方法では、型締め方向と逆方向に作用する発泡時の負荷に突条が耐えられるよう、突条の背後に基材支持部を位置させる必要がある。こうして製造された発泡成形品では、突条及び表皮シール部のすぐ背後に基材支持部が位置し、意匠性が損なわれてしまう。かといって、突条の背後の基材支持部を削除すれば、発泡時の負荷によって突条が背後に変形し、基材と表皮とのシール性が明らかに損なわれることとなる。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能な発泡成形品の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。また、本発明は、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能な発泡成形品を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発泡成形品の製造方法は、型締めによってキャビティを形成する第1型及び第2型を用意し、前記キャビティ内の前記第1型側に基材を設けるとともに、前記キャビティ内の前記第2型側に表皮を設ける第1工程と、
前記第1型及び前記第2型を型締め方向で型締めし、前記基材及び前記表皮で閉ざされた前記キャビティ内に発泡樹脂原料を注入して前記基材と前記表皮との間に発泡層を形成する第2工程と、
前記第1型及び前記第2型を型開きし、発泡成形品を得る第3工程とを備えた発泡成形品の製造方法において、
前記基材は、前記発泡層と対面する基材本体部と、前記基材本体部から前記型締め方向と直交する第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する基材シール部と、前記基材本体部から前記第1方向と交差し、かつ前記発泡層から離れる第2方向に延びる基材支持部とを有し、
前記表皮は、前記発泡層と対面する表皮本体部と、前記表皮本体部から前記第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する表皮シール部とを有し、
前記第2工程では、前記第1型と当接する前記基材シール部が前記表皮シール部と面接触していることを特徴とする
【0010】
また、本発明の発泡成形品は、基材と表皮との間に発泡層が設けられた発泡成形品において、
前記基材は、前記発泡層と対面する基材本体部と、前記基材本体部から第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する基材シール部と、前記基材本体部から前記第1方向と交差し、かつ前記発泡層から離れる第2方向に延びる基材支持部とを有し、
前記表皮は、前記発泡層と対面する表皮本体部と、前記表皮本体部から前記第1方向に平面状に延び、前記発泡層に隣接する表皮シール部とを有し、
前記基材シール部と前記表皮シール部とが面接触して固着され
前記表皮本体部は、少なくとも前記第1方向と交差する方向に延びる部位を有し、
前記表皮シール部は、前記部位から前記第1方向のうち、前記基材本体部から離れる方向に延びていることを特徴とする
【0011】
本発明の製造方法によれば、基材本体部から型締め方向と直交する第1方向に平面状に延びる基材シール部を基材が有し、表皮本体部から第1方向に平面状に延びる表皮シール部を表皮が有し、基材シール部及び表皮シール部がともに発泡層に隣接しているため、第2工程において、基材の基材シール部と表皮の表皮シール部とが型締め力によって面接触し、発泡時の負荷を支持する。
【0012】
また、この製造方法では、第1方向と交差し、かつ発泡層から離れる第2方向に延びる基材支持部も基材が有していることから、型締め方向と逆方向に作用する発泡時の負荷に基材シール部が耐えられる。そして、こうして製造された発泡成形品では、基材支持部が基材本体部から延びているため、基材支持部は基材シール部及び表皮シール部の背後から内側にずれた位置になることとなり、優れた意匠性を発揮する。
【0013】
したがって、本発明の製造方法によれば、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能な発泡成形品を製造することが可能である。また、本発明の発泡成形品は、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能である。
【0014】
型締め方向と第1方向と直交するため、型締め力が発泡時の負荷をより確実に支持することができる。また、第1方向と第2方向とは可及的に直交することが好ましい。すなわち、第2方向は型締め方向と逆の型開き方向と可及的に平行であることが好ましい。この場合には、基材支持部が発泡時の負荷をより確実に支持することができる。
【0015】
発泡層は、第1方向に厚みを有する厚肉発泡層と、厚肉発泡層と一体をなし、厚肉発泡層より厚みが薄い薄肉発泡層とを有し得る。そして、基材シール部及び表皮シール部は薄肉発泡層に隣接していることが好ましいこの場合には、基材シール部及び表皮シール部に発泡時の負荷がさほど作用せず、より高いシール性を発揮することができる。また、この発泡成形品は、厚肉発泡層が大きく第1方向に突出したものとなり、より優れた意匠性を発揮する。
【0016】
厚肉発泡層は、基材シール部及び表皮シール部よりも第1方向に突出していることが好ましいこの発泡成形品は、厚肉発泡層がより大きく第1方向に突出したものとなり、さらに優れた意匠性を発揮する。
【0017】
表皮本体部は、厚肉発泡層と第1方向で対面する意匠部を有し得る。基材支持部には、基材シール部及び表皮シール部を隠蔽するパネルが固定され得る。意匠部はパネルと面一とされていることが好ましいこの発泡成形品は従来にない優れた意匠性を発揮する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法によれば、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能な発泡成形品を製造することが可能である。また、本発明の発泡成形品は、基材と表皮との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例のインスツルメントパネルの斜視図である。
図2】実施例のインスツルメントパネルに係り、図1のII−II矢視断面図である。
図3】実施例の製造方法を示す金型等の要部断面図である。
図4】比較例1のインスツルメントパネルの要部断面図である。
図5】比較例2のインスツルメントパネルの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例と、これと対比される比較例1、2とを図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
実施例では、発泡成形品として、図1に示すインスツルメントパネル1を製造した。このインスツルメントパネル1は、図2に示すように、基材3と表皮5との間に発泡層7が設けられている。
【0022】
このインスツルメントパネル1は、以下の製造方法によって製造されている。まず、第1工程として、図3に示すように、型締めによってキャビティCを形成する第1型11及び第2型13を用意する。第1型11と第2型13とは、型割面PLを有し、型締め方向D1に相対的に移動させることによって型締め可能であるとともに、型締め方向D1とは逆の型開き方向D2に相対的に移動させることによって型開き可能である。
【0023】
第2型13は本体型13aと左型13bとを有している。本体型13aと左型13bとは、型締め方向D1及び型開き方向D2で一体的に型締め及び型開きが可能である。また、左型13bは、本体型13aに対し、型締め方向D1と直交する第1方向D3に型開き可能である。
【0024】
キャビティCは、第1方向D3とほぼ平行に延びる第1本体部保持部C1と、第1本体保持部C1の左端でほぼ型開き方向D2に屈曲した第2本体部保持部C2と、第2本体部保持部C2からほぼ型開き方向D2と平行に第1本体保持部C1から離れる方向に延びる薄肉部C3と、薄肉部C3から第1方向D3と平行に延びるシール部保持部C4と、薄肉部C3からほぼ型開き方向D2に延びる支持部保持部C5とを有している。第1型11は支持部保持部C5内に突出するスライド型15を有している。
【0025】
第1工程では、第1型11のキャビティCにおける第1、2本体部保持部C1、C2、薄肉部C3、シール部保持部C4及び支持部保持部C5内に基材3を設ける。基材3は樹脂の射出成型によって成形されている。基材3は、第1、2本体部保持部C1、C2及び薄肉部C3に保持される基材本体部3aと、シール部保持部C4に保持される基材シール部3bと、支持部保持部C5に保持される基材支持部3cとを有している。基材支持部3cには、スライド型15の先端が挿入される貫通穴3dが形成されている。
【0026】
また、第2型13のキャビティCにおける第1、2本体部保持部C1、C2、薄肉部C3及びシール部保持部C4内に表皮5を設ける。表皮5は樹脂のスラッシュ成形によって成形されている。表皮5は、第1方向D3に延び、基材本体部3aと大きく間隙を開けて対面する第1表皮本体部5aと、ほぼ型開き方向D2に延び、基材本体部3aと大きく間隙を開けて対面する第2表皮本体部5bと、型開き方向D2に延び、基材本体部3aと小さな間隙を開けて対面する第3表皮本体部5cと、第1方向D3に延び、基材シール部3bと当接する表皮シール部5dとを有している。
【0027】
そして、第2工程において、第1型11及び第2型13を型締め方向D1で型締めし、基材3及び表皮5で閉ざされたキャビティC内に発泡樹脂原料を注入する。これにより、発泡樹脂原料が基材3と表皮5との間で発泡し、発泡層7(図2参照)を形成する。
【0028】
この後、第3工程では、第1型11及び第2型13を型開きする。具体的には、第2型13の左型13bとスライド型15とを第1方向D3の逆方向で型開きし、次いで第1型11及び第2型13の本体型13aを型開きする。こうして、後述するパネル17を固定することにより、図2に示すように、インスツルメントパネル1が得られる。
【0029】
このインスツルメントパネル1では、基材3は、発泡層7と対面する基材本体部3aと、基材本体部3aから第1方向D3に平面状に延び、発泡層7に隣接する基材シール部3bと、基材本体部3aから第1方向D3とほぼ直交し、かつ発泡層7から離れる型開き方向D2に延びる基材支持部3cとを有している。
【0030】
また、表皮5は、発泡層7と対面する第1〜3表皮本体部5a、5b、5cと、第1〜3表皮本体部5a、5b、5cから第1方向D3に平面状に延び、発泡層7に隣接する表皮シール部5dとを有している。
【0031】
そして、発泡層7は、型開き方向D2に厚みを有する第1厚肉発泡層7aと、第1厚肉発泡層7aと一体をなし、第1方向D3に厚みを有する第2厚肉発泡層7bと、第2厚肉発泡層7bと一体をなし、第2厚肉発泡層7bより厚みが薄い薄肉発泡層7cとを有している。第2厚肉発泡層7bは、基材シール部3b及び表皮シール部5dよりも第1方向D3に突出している。
【0032】
このため、このインスツルメントパネル1では、基材3が基材シール部3bを有し、表皮5が表皮シール部5dを有し、基材シール部3b及び表皮シール部5dがともに発泡層7に隣接していることから、第2工程において、基材3の基材シール部3bと表皮5の表皮シール部5dとが型締め力によって面接触し、発泡時の負荷を支持する。
【0033】
特に、このインスツルメントパネル1では、基材3が基材支持部3cを有していることから、型締め方向D1と逆方向に作用する発泡時の負荷に基材シール部3bが耐えられる。そして、基材支持部3cが基材本体部3aから延びているため、基材支持部3cは基材シール部3b及び表皮シール部5dの背後から内側にずれた位置になることとなる。
【0034】
そして、このインスツルメントパネル1では、基材シール部3b及び表皮シール部5dが薄肉発泡層7cに隣接しているため、面接触している基材シール部3bと表皮シール部5dとが発泡層7を構成する発泡樹脂原料によって固着されている。
【0035】
特に、このインスツルメントパネル1では、基材シール部3b及び表皮シール部5dが薄肉発泡層7cに隣接しているため、基材シール部3b及び表皮シール部5dに発泡時の負荷がさほど作用せず、より高いシール性を発揮する。
【0036】
そして、このインスツルメントパネル1は、第2厚肉発泡層7bが大きく第1方向D3に突出したものとなっている。特に、第2厚肉発泡層7bは、基材シール部3b及び表皮シール部5dよりも第1方向D3に突出している。
【0037】
また、このインスツルメントパネル1では、第2表皮本体部5bは、第2厚肉発泡層7bと第1方向D3で対面し、意匠部を構成している。また、車両にインスツルメントパネル1を固定する際、基材支持部3cの貫通孔3dには、基材シール部3b及び表皮シール部5dを隠蔽するパネル17が固定される。このパネル17は、第2表皮本体部5bから離れた部分は内側に湾曲しているが、第2表皮本体部5bに近い部分が外側に張り出し、第2表皮本体部5bの側面はパネル17と面一とされている。
【0038】
したがって、この製造方法によれば、基材3と表皮5との間で高いシール性を確保しつつ、優れた意匠性を発揮可能なインスツルメントパネル1を製造することが可能である。また、こうして得られるインスツルメントパネル1は、基材3と表皮5との間で高いシール性を確保しつつ、優れた組付け性を発揮可能である。
【0039】
(比較例1)
図4に示すように、型締め方向D1と逆方向に作用する発泡時の負荷に基材シール部3bが耐えられるよう、基材シール部3bの背後に基材支持部3eを位置させた。他の構成を含む製造方法は実施例と同様とした。
【0040】
こうして製造されたインスツルメントパネル90では、基材シール部3b及び表皮シール部5dのすぐ背後に基材支持部3eが位置することとなる。このため、このインスツルメントパネル1では、実施例のようなパネル17(図2参照)を表皮5からはみ出さないように設けることができず、意匠性が損なわれてしまう。
【0041】
(比較例2)
図5に示すように、基材シール部3bの背後の基材支持部3eを削除した。他の構成を含む製造方法は実施例と同様とした。
【0042】
こうして製造されたインスツルメントパネル91では、発泡時の負荷によって基材シール部3bが背後に変形し、基材3と表皮5とのシール性が明らかに損なわれる。
【0043】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明はインスツルメントパネル等に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
C…キャビティ
11…第1型
13…第2型
3…基材
5…表皮
D1…型締め方向
7…発泡層
1…インスツルメントパネル(発泡成形品)
3a…基材本体部
D3…第1方向
3b…基材シール部
D2…型開き方向(第2方向)
3c…基材支持部
5a、5b、5c…第1〜3表皮本体部、意匠部
5d…表皮シール部
7a、7b…第1、2厚肉発泡層
7c…薄肉発泡層
17…パネル
図1
図2
図3
図4
図5