(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、室内熱交換器の熱交換効率を向上させるため、伝熱管の細径化が求められている。これに伴い、出入口配管の、室内熱交換器との接続部の配管径も細径化している。そのため、作業員が、空調機の据付等の作業時に出入口配管に力を加えた場合、特に出入口配管の細径部で損傷が生じるおそれがある。そこで、作業員は、極めて慎重に空調機の据付作業等を行う必要があり、作業工数の増加に繋がっている。
【0004】
本発明の課題は、壁掛け式の空調室内機であって、空調室内機と空調室外機との連絡配管に接続される出入口配管に力が加えられた場合にも、出入口配管に損傷が生じにくい、据付等の作業が容易な空調室内機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空調室内機は、空調室外機と連絡配管を介して接続される壁掛式の空調室内機である。空調室内機は、室内熱交換器と、室内冷媒配管組立体と、を備える。室内冷媒配管組立体は、大径管と、細径管と、を有する。大径管は、連絡配管に接続される。細径管は、室内熱交換器に接続され、室内熱交換器と大径管とを連通する。大径管には、第1平面上でU字状に曲がる第1曲がり部と、第1曲がり部の近傍に配置され、第1平面と交差する第2平面上でU字状に曲がる第2曲がり部と、を含むトラップが形成されている。
大径管は、水平方向に延びる第1部と、第1部から上方に延びる第2部と、第2部から延び、細径管に接続される第3部とを有する。トラップは、第3部に形成されている。
【0006】
ここでは、出入口配管となる室内冷媒配管組立体の大径管に、第1曲がり部と、第1曲がり部が曲がる第1平面と交差する第2平面上で曲がる第2曲がり部と、が設けられている。そのため、空調室内機が据付等される際に、室内冷媒配管組立体にいかなる方向の力が加えられたとしても、第1曲がり部および第2曲がり部により、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。その結果、室内冷媒配管組立体に損傷が生じにくく、空調室内機の据付等の作業が容易になりやすい
。
【0007】
また、ここでは、大径管の、細径管と接続される第3部にトラップが形成されるため、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。
【0008】
本発明の第
2観点に係る空調室内機は、第1観
点に係る空調室内機であって、第2平面は、第1平面と直交する。
【0009】
ここでは、第2曲がり部の曲がる第2平面が、第1曲がり部の曲がる第1平面と直交するため、空調室内機が据付等される際に、室内冷媒配管組立体にいかなる方向の力が加えられたとしても、第1曲がり部および第2曲がり部により、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。
【0010】
本発明の第
3観点に係る空調室内機は、第1観点
又は第
2観
点に係る空調室内機であって、大径管は、液冷媒用の連絡配管と接続される。
【0011】
ここでは、大径管が液冷媒の連絡配管と接続される場合、つまり、室内冷媒配管組立体が液冷媒用の室内冷媒配管組立体である場合に、室内冷媒配管組立体の細径管の損傷を抑制することができる。
【0012】
本発明の第
4観点に係る空調室内機は、第
3観点に係る空調室内機であって、室内冷媒配管組立体は、大径管と室内熱交換器とを、単一の細径管により連通する。
【0013】
液冷媒用の室内冷媒配管組立体が、単一の細径管により室内熱交換器と接続される場合、特に細径管で損傷が発生しやすい。ここでは、室内冷媒配管組立体にトラップが設けられているため、細径管に作用する力を低減することが可能で、液冷媒用の室内冷媒配管組立体に生じる損傷の発生を抑制できる。
【0014】
本発明の第
5観点に係る空調室内機は、第
3観点に係る空調室内機であって、室内冷媒配管組立体は、大径管から2本の細径管に冷媒流路を分岐させる分流器を更に有する。
【0015】
液冷媒用の室内冷媒配管組立体が、2本の細径管により室内熱交換器と接続される場合にも、細径管で損傷が発生しやすい。ここでは、室内冷媒配管組立体にトラップが設けられているため、細径管に作用する力を低減することが可能で、液冷媒用の室内冷媒配管組立体に生じる損傷の発生を抑制できる。
【0016】
本発明の第
6観点に係る空調室内機は、第
3観点から第
5観点のいずれかに係る空調室内機であって、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体を更に備える。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体は、ガス冷媒用大径管と、ガス冷媒用細径管と、を有する。ガス冷媒用大径管は、ガス冷媒用の連絡配管に接続される。ガス冷媒用細径管は、室内熱交換器に接続され、室内熱交換器とガス冷媒用大径管とを連通する。大径管およびガス冷媒用大径管のうち、大径管にのみトラップが形成される。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体は、ガス冷媒用大径管から、少なくとも3本のガス冷媒用細径管に冷媒流路を分岐させる分流器を更に有する。
【0017】
ここでは、液冷媒用の室内冷媒配管組立体にトラップが設けられる。一方で、3本以上のガス冷媒用細径管が室内熱交換器と接続され、ガス冷媒用細径管が比較的損傷しにくいガス冷媒用の室内冷媒配管組立体にはトラップが設けられない。このため、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体については、トラップを設けるための配管加工の工数を低減できる。
【0018】
本発明の第
7観点に係る空調室内機は、第1観点から第
6観点のいずれかに係る空調室内機であって、細径管の外径は5mm以下である。
【0019】
細径管の外径が5mm以下と細い場合、比較的小さな力で細径管が損傷しやすい。ここでは、大径管にトラップを設けることで、5mm以下の外径の細径管であっても、その損傷を抑制することができる。そのため、室内熱交換器の伝熱管の細径化に合わせて、室内冷媒配管組立体の細径管の外径も細径化できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1観点に係る空調室内機では、出入口配管となる室内冷媒配管組立体の大径管に、第1曲がり部と、第1曲がり部が曲がる第1平面と交差する第2平面上で曲がる第2曲がり部と、が設けられている。そのため、空調室内機が据付等される際に、室内冷媒配管組立体にいかなる方向の力が加えられたとしても、第1曲がり部および第2曲がり部により、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。その結果、室内冷媒配管組立体に損傷が生じにくく、空調室内機の据付等の作業が容易になりやすい。
また、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。
【0021】
本発明の第2観
点に係る空調室内機では、室内冷媒配管組立体の細径管に作用する力が低減されやすい。
【0022】
本発明の第
3観点から第
5観点に係る空調室内機では、液冷媒用の室内冷媒配管組立体の細径管の損傷を抑制することができる。
【0023】
本発明の第
6観点に係る空調室内機では、ガス冷媒用細径管が損傷しにくいガス冷媒用室内冷媒配管組立体については、トラップを設けるための配管加工の工数を低減できる。
【0024】
本発明の第
7観点に係る空調室内機では、室内熱交換器の伝熱管の細径化に合わせて、室内冷媒配管組立体の細径管の外径も細径化できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の空調室内機の一実施形態に係る空調室内機10について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。以下の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0027】
(1)空調機の全体構成
空調室内機10は、空調機100の一部を構成する装置である。空調機100は、空調室内機10と、空調室外機50と、連絡配管40と、を有する。空調室内機10は、空調室外機50と、連絡配管40を介して接続される。連絡配管40は、空調室内機10に収容された室内熱交換器20や、空調室外機50に収容された、図示しない圧縮機、室外熱交換器、膨張弁等を接続し、冷媒回路を構成する。空調機100は、冷媒回路内で冷媒を循環させることで、空調室内機10の設置された空間の冷暖房を行う。
【0028】
なお、ここでは、空調機100は冷暖房を実施可能であるが、これに限定されるものではなく、冷房専用、又は、暖房専用の空調機であってもよい。
【0029】
(2)空調室内機の詳細構成
空調室内機10について説明する。なお、以下では、位置関係等を説明するために、「前(正面)」、「後(正面)」、等の表現を用いる場合があるが、ここでは、特に断りのない限り、後述するケーシング11の前面パネル11a(
図1参照)側を前(正面)とする。また位置関係等を説明するために用いられる、「前(正面)」、「後(正面)」、「前」、「後」、「左」、「右」等の表現は、特に断りのない限り、
図2〜
図6に矢印で示した方向に従う。
【0030】
また、以下では、方向を表すために、空調室内機10を正面(前面パネル11a側)から見た状態における、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向と呼ぶ場合がある。さらに、以下では、平面を説明するために、空調室内機10を正面側(前面パネル11a側)から見た状態における、左右方向および上下方向に広がる平面をXZ平面Pxz、左右方向および前後方向に広がる平面をXY平面Pxy、前後方向および上下方向に広がる平面をYZ平面Pyzと呼ぶ場合がある。
【0031】
空調室内機10は、壁掛けタイプであり、空調室内機10の設置される空間の壁に取り付けられる。空調室内機10は、ケーシング11(
図1参照)と、室内熱交換器20(
図2参照)と、液冷媒用室内冷媒配管組立体60およびガス冷媒用室内冷媒配管組立体70(
図2参照)と、図示しないファンおよびフィルタを主に有する。ケーシング11の内部には、室内熱交換器20、ファンおよびフィルタが収容される。液冷媒用室内冷媒配管組立体60およびガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、それぞれ、液冷媒用の連絡配管40およびガス冷媒用の連絡配管40と接続される。
【0032】
室内熱交換器20は、複数の伝熱管21を有する(
図2参照)。伝熱管21には、室内熱交換器20内を冷媒が流れるように、伝熱管21同士を接続する接続配管23や、液冷媒用室内冷媒配管組立体60およびガス冷媒用室内冷媒配管組立体70が接続されている。
【0033】
図示されないファンが駆動されると、ケーシング11の上部に形成された吸入口12(
図1参照)から、空調機100の空調対象空間の空気が取り込まれる。ファンにより吸入口12から取り込まれた空気は、図示されないフィルタを通過して、室内熱交換器20へと供給される。空気がフィルタを通過する際に、空気に含まれる塵埃が除去される。室内熱交換器20へと供給された空気は、室内熱交換器20の伝熱管21が挿通された複数のフィン(図示せず)を通過する際に、伝熱管21を流れる冷媒との間で熱交換を行う。室内熱交換器20のフィンを通過した空気は、ケーシング11の下部に形成された吹出口13(
図1参照)から空調対象空間へと吹き出す。
【0034】
以下に、特に室内熱交換器20と、液冷媒用室内冷媒配管組立体60と、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70と、について説明する。
【0035】
(2−1)室内熱交換器
室内熱交換器20(
図2、
図3参照)では、ファンにより吸入口12から取り込まれた空気と、伝熱管21を流れる冷媒との熱交換が行われる。
【0036】
室内熱交換器20は、空調室内機10の正面側に位置する第1熱交換部20aと背面側に位置する第2熱交換部20bとが、側面視において逆V字形状に連結して配置されている(
図3参照)。室内熱交換器20は、図示しないファンの前方、上方および後方を取り囲むように取り付けられている。第2熱交換部20bは、上端が前方へ向けて傾斜すると共に、ファンの上方から後部上方を覆うように配置されている。第1熱交換部20aは、上端が後方へ向けて傾斜するとともに、ファンの上方および前方を覆うように配置されている。
【0037】
室内熱交換器20は、複数の伝熱管21(
図2参照)と、伝熱管が挿通された複数のフィン(図示せず)を有する。伝熱管21は、外径5mmの管である。各伝熱管21は、水平方向(左右方向)に直線状に延び、配管を挿入するための挿入部22を両端に有する。挿入部22には、伝熱管21同士を接続する接続配管23(
図2参照)、液冷媒用室内冷媒配管組立体60およびガス冷媒用室内冷媒配管組立体70が接続されている。なお、挿入部22は、接続配管23や、後述する液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65(
図3参照)、後述するガス冷媒用室内冷媒配管組立体70のガス冷媒用細径管75(
図3参照)を挿入できるように、拡管されている。挿入部22に挿入された、接続配管23、液冷媒用細径管65、およびガス冷媒用細径管75は、ロウ付けにより、伝熱管21と固定されている。
【0038】
(2−2)液冷媒用室内冷媒配管組立体
液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、室内冷媒配管組立体の一例である。
【0039】
液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、液冷媒用の連絡配管40と接続される。液冷媒用室内冷媒配管組立体60には、空調機100の冷房運転時に、空調室外機50から室内熱交換器20に向かって液冷媒が流れる。また、液冷媒用室内冷媒配管組立体60には、空調機100の暖房運転時に、室内熱交換器20から空調室外機50に向かって液冷媒が流れる。
【0040】
液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、液冷媒用大径管61と、液冷媒用細径管65と、を有する(
図4参照)。液冷媒用大径管61は、液冷媒用の連絡配管40に接続される。液冷媒用細径管65は、室内熱交換器20に接続され、室内熱交換器20と液冷媒用大径管61とを連通する。液冷媒用大径管61は、外径が6.35mmの配管である。液冷媒用細径管65は、外径が5mmの配管である。液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、大部分が液冷媒用大径管61からなる。液冷媒用大径管61は室内熱交換器20の近傍で配管径が落とされ、液冷媒用細径管65と接続される。液冷媒用大径管61は、液冷媒用細径管65に枝分かれせず接続される。液冷媒用細径管65の端部は、室内熱交換器20の伝熱管21に接続される。液冷媒用大径管61と室内熱交換器20とは、単一の液冷媒用細径管65により連通する(
図3参照)。
【0041】
液冷媒用大径管61は、第1部62、第2部63、および第3部64を含む(
図2参照)。空調室内機10を正面から見た状態において、第1部62は、液冷媒用の連絡配管40と接続される接続部62aから、右方向に水平に延びる。第2部63は、第1部62の右側端部から、上方に延びる。第1部62および第2部63は、90°の角度をなす。第3部64は、第2部63の上側端部から延び、液冷媒用細径管65に接続される。第3部64には、空調室内機10の設置時等に、液冷媒用室内冷媒配管組立体60に力が作用した場合に、液冷媒用細径管65に作用する力を低減するためのトラップ66が形成されている(
図3〜
図6参照)。トラップ66は、第1曲がり部66aおよび第2曲がり部66bの両方を含む(
図3〜
図6参照)。
【0042】
第1曲がり部66aは、
図5のように、液冷媒用室内冷媒配管組立体60を上方から見た場合に、紙面に垂直な向きに広がるXZ平面Pxzに対し、角度θだけ傾いた第1平面P1上でU字状(
図4参照)に曲げられている。第1曲がり部66aでは、液冷媒用大径管61が第2部63の上側端部から、円弧状に左斜め上方に延びたあと、下向きに曲げられ、左斜め下方に延びる(
図4参照)。第1曲がり部66aでは、液冷媒用大径管61が、折り返すようにU字状に曲げられている。
【0043】
第2曲がり部66bは、
図6のように、第1曲がり部66aの近傍に配置されている。より具体的には、第2曲がり部66bは、第3部64の、第1曲がり部66aより液冷媒用細径管65側に、第1曲がり部66aと連続するように配置されている。第2曲がり部66bは、
図5のように、液冷媒用室内冷媒配管組立体60を上方から見た場合に、紙面に垂直な向きに広がる第2平面P2上でU字状(
図4参照)に曲げられている。第2平面P2は、YZ平面Pyzと同一の平面である。第2平面P2は、
図5のように、第1平面P1と交差する平面である。
【0044】
第2曲がり部66bは、第1曲がり部66aの、第2曲がり部66b側の端部から、前方にほぼ水平に延びたあと、背面側に曲げられ、後ろ斜め下方に延びる(
図6参照)。第2曲がり部66bでは、液冷媒用大径管61が、折り返すようにU字状に曲げられている。
【0045】
トラップ66、すなわち、第1曲がり部66aおよび第2曲がり部66bの両方を設けた効果について説明する。
【0046】
まず、トラップ66は設けられず、第1曲がり部66aだけが設けられていると仮定する。そして、液冷媒用室内冷媒配管組立体60と連絡配管40とを接続する際等に、液冷媒用室内冷媒配管組立体60が引っ張られ、第1平面P1に沿った方向に力が作用したとする。この場合には、第1曲がり部66aのU字状に曲げられた液冷媒用大径管61が第1平面P1上により、液冷媒用細径管65に作用する力が低減される。しかし、液冷媒用室内冷媒配管組立体60が引っ張られた結果、第1平面P1と直交する方向に力が作用したとすると、この方向には、第1曲がり部66aによる液冷媒用細径管65に作用する力の低減という効果が得られない。そのため、室内熱交換器20と接続されている液冷媒用細径管65が損傷するおそれがある。
【0047】
これに対し、本空調室内機10では、液冷媒用室内冷媒配管組立体60にトラップ66が設けられており、第1曲がり部66aに加え、第1平面P1と交差する第2平面P2上で曲げられた第2曲がり部66bを有する。そのため、第1平面P1と直交する方向に力が作用した場合には、第2曲がり部66bにより、液冷媒用細径管65に作用する力が低減される。そのため、液冷媒用室内冷媒配管組立体60に作用する力の方向によらず、液冷媒用細径管65の損傷が抑制されやすい。
【0048】
(2−3)ガス冷媒用室内冷媒配管組立体
ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、ガス冷媒用の連絡配管40と接続される。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70には、空調機100の冷房運転時に、室内熱交換器20から空調室外機50に向かってガス冷媒が流れる。また、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70には、空調機100の暖房運転時に、空調室外機50から室内熱交換器20に向かってガス冷媒が流れる。
【0049】
ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、ガス冷媒用の連絡配管40に接続されるガス冷媒用大径管71と、室内熱交換器20に接続され、室内熱交換器20とガス冷媒用大径管71とを連通するガス冷媒用細径管75と、を有する(
図2参照)。ガス冷媒用大径管71は、外径が9.52mmの配管であり、ガス冷媒用細径管75は、外径が5mmの配管である。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、大部分がガス冷媒用大径管71からなる。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、室内熱交換器20の近傍に配置された分流器77を有する。分流器77は、ガス冷媒用大径管71から、3本のガス冷媒用細径管75に冷媒流路を分岐させる(
図3参照)。分流器77で分岐したガス冷媒用細径管75は、それぞれが室内熱交換器20の伝熱管21へと接続される。
【0050】
ガス冷媒用大径管71は、第1部72、第2部73、および第3部74を含む(
図2参照)。空調室内機10を正面から見た状態において、第1部72は、ガス冷媒用の連絡配管40との接続部72aから右方向に水平に延びる。第2部73は、第1部72の右側端部から、上方に延びる。第1部72および第2部73は、90°の角度をなす。第3部74は、第2部73の上側端部から延び、分流器77を介して、ガス冷媒用細径管75に接続される。第3部74には、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の第1曲がり部66aと同様の構造の曲がり部76aが設けられている。しかし、ガス冷媒用大径管71の第3部74には、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の第3部64のような第2曲がり部は存在せず、第1曲がり部と第2曲がり部とからなるトラップは形成されていない。つまり、液冷媒用大径管61とガス冷媒用大径管71のうち、液冷媒用大径管61にのみトラップ66は形成される。
【0051】
ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、室内熱交換器20と、3本のガス冷媒用細径管75により接続されているため、トラップを設けなくても、各ガス冷媒用細径管75に作用する力が小さくなりやすい。また、各ガス冷媒用細径管75は、
図3のように異なる方向に延びた後、室内熱交換器20と接続されるため、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70に力が作用しても、ガス冷媒用細径管75は損傷しにくい。
【0052】
(3)特徴
(3−1)
上記実施形態に係る空調室内機10は、空調室外機50と連絡配管40を介して接続される壁掛式の空調室内機10である。空調室内機10は、室内熱交換器20と、室内冷媒配管組立体の一例としての液冷媒用室内冷媒配管組立体60と、を備える。液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、液冷媒用大径管61と、液冷媒用細径管65と、を有する。液冷媒用大径管61は、連絡配管40に接続される。液冷媒用細径管65は、室内熱交換器20に接続され、室内熱交換器20と液冷媒用大径管61とを連通する。液冷媒用大径管61には、第1平面P1上でU字状に曲がる第1曲がり部66aと、第1曲がり部66aの近傍に配置され、第1平面P1と交差する第2平面P2上でU字状に曲がる第2曲がり部66bと、を含むトラップ66が形成されている。
【0053】
ここでは、出入口配管となる液冷媒用室内冷媒配管組立体60の、液冷媒用大径管61に、第1曲がり部66aと、第1曲がり部66aが曲がる第1平面P1と交差する第2平面P2上で曲がる第2曲がり部66bと、が設けられている。そのため、空調室内機10が据付等される際に、液冷媒用室内冷媒配管組立体60にいかなる方向の力が加えられたとしても、第1曲がり部66aおよび第2曲がり部66bにより、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65に作用する力が低減されやすい。その結果、液冷媒用室内冷媒配管組立体60に損傷が生じにくく、空調室内機10の据付等の作業が容易になりやすい。
【0054】
(3−2)
上記実施形態に係る空調室内機10では、液冷媒用大径管61は、水平方向に延びる第1部62と、第1部62から上方に延びる第2部63と、第2部63から延び、液冷媒用細径管65に接続される第3部64とを有する。トラップ66は、第3部64に形成されている。
【0055】
ここでは、液冷媒用大径管61の、液冷媒用細径管65に接続される第3部64にトラップ66が形成されるため、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65に作用する力が低減されやすい。
【0056】
(3−3)
上記実施形態に係る空調室内機10では、液冷媒用大径管61は、液冷媒用の連絡配管40と接続される。
【0057】
ここでは、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65の損傷を抑制することができる。
【0058】
なお、一般的に、液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、比較的少数の液冷媒用細径管65によって室内熱交換器20に接続される場合が多い。本空調室内機10でも、液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、液冷媒用大径管61と室内熱交換器20とを、単一の液冷媒用細径管65により連通する。
【0059】
液冷媒用室内冷媒配管組立体60が、単一の液冷媒用細径管65により室内熱交換器20と接続される場合、特に液冷媒用細径管65で損傷が発生しやすい。ここでは、液冷媒用室内冷媒配管組立体60にトラップ66が設けられているため、液冷媒用細径管65に作用する力を低減することが可能で、液冷媒用室内冷媒配管組立体60に生じる損傷の発生を抑制できる。
【0060】
(3−4)
上記実施形態に係る空調室内機10は、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70を更に備える。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、ガス冷媒用大径管71と、ガス冷媒用細径管75と、を有する。ガス冷媒用大径管71は、ガス冷媒用の連絡配管40に接続される。ガス冷媒用細径管75は、室内熱交換器20に接続され、室内熱交換器20とガス冷媒用大径管71とを連通する。液冷媒用大径管61およびガス冷媒用大径管71のうち、液冷媒用大径管61にのみトラップ66が形成される。ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70は、ガス冷媒用大径管71から、3本のガス冷媒用細径管75に冷媒流路を分岐させる分流器77を有する。
【0061】
ここでは、液冷媒用室内冷媒配管組立体60にトラップ66が設けられる。一方で、3本のガス冷媒用細径管75が室内熱交換器20と接続され、ガス冷媒用細径管75が比較的損傷しにくいガス冷媒用室内冷媒配管組立体70には、トラップが設けられない。このため、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70については、トラップ66を設けるための配管加工の工数を低減できる。
【0062】
(3−5)
上記実施形態に係る空調室内機10では、液冷媒用細径管65の外径は5mmである。
【0063】
液冷媒用細径管65の外径が5mmと細いため、比較的小さい力で液冷媒用細径管65が損傷しやすい。ここでは、液冷媒用大径管61にトラップ66を設けることで、5mmの外径の液冷媒用細径管65であっても、その損傷を抑制することができる。そのため、室内熱交換器20の伝熱管21の細径化に応じて、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65の外径も細径化できる。
【0064】
(4)変形例
以下に、上記実施形態の変形例を示す。なお、各変形例の構成の一部又は全部は、互いに矛盾しない範囲で、他の変形例の構成の一部又は全部と組み合わされてもよい。
【0065】
(4−1)変形例A
上記実施形態では、第2曲がり部66bが曲がる第2平面P2と、第1曲がり部66aが曲がる第1平面P1とは、直交していないが、これに限定されるものではない。
図7のように、第2平面P2が第1平面P1’と直交することで、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の液冷媒用細径管65に作用する力が特に低減されやすい。
【0066】
一方で、液冷媒用室内冷媒配管組立体60の省スペース化や、液冷媒用室内冷媒配管組立体60における配管抵抗の抑制等を考慮した場合には、第2平面P2と、第1平面P1とは、上記実施形態のように、直交していなくてもよい。ただし、第2平面P2と第1平面P1とが平行に近づくに連れ、第1平面P1と直交する方向の力が、液冷媒用細径管65に作用しやすくなるため、第2平面P2と第1平面P1との角度は、できるだけ90°に近い方が望ましい。
【0067】
(4−2)変形例B
上記実施形態では、液冷媒用大径管61と室内熱交換器20とは、単一の液冷媒用細径管65により連通されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8のように、液冷媒用室内冷媒配管組立体60は、液冷媒用大径管61から2本の液冷媒用細径管65に冷媒流路を分岐させる分流器67を有してもよい。そして、液冷媒用大径管61と室内熱交換器20とは、2本の液冷媒用細径管65により連通されてもよい。
【0068】
液冷媒用室内冷媒配管組立体60が、2本の液冷媒用細径管65により室内熱交換器20と接続される場合、単一の液冷媒用細径管65により室内熱交換器20と接続される場合に比べて損傷が抑制されやすい。しかし、特に液冷媒用細径管65の外径が5mm以下の場合には、液冷媒用室内冷媒配管組立体60が2本の液冷媒用細径管65により室内熱交換器20と接続されていても、液冷媒用細径管65の損傷が発生しやすい。これに対し、液冷媒用室内冷媒配管組立体60にトラップ66を設けることで、液冷媒用細径管65に作用する力を低減可能で、液冷媒用室内冷媒配管組立体60に生じる損傷の発生を抑制できる。
【0069】
(4−3)変形例C
上記実施形態では、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70にはトラップ66が設けられていない。ただし、これに限定されるものではなく、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70にもトラップが設けられてもよい。特に、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70が、2本以下のガス冷媒用細径管75により室内熱交換器20と接続される場合には、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70にもトラップが設けられることが望ましい。
【0070】
(4−4)変形例D
上記実施形態では、液冷媒用細径管65の外径を5mmとしたが、外径は5mmに限られるものではない。液冷媒用細径管65の外径は、5mmより大きくても、5mmより小さくてもよい。ただし、外径が細いほど、液冷媒用細径管65が損傷しやすくなることから、液冷媒用細径管65の外径が5mm以下の場合に、特に大きな効果が得られやすい。
【0071】
(4−5)変形例E
上記実施形態では、分流器77は、ガス冷媒用大径管71から3本のガス冷媒用細径管75に冷媒流路を分岐させるが、これに限定されるものではなく、分流器77は、ガス冷媒用大径管71から3本より多いガス冷媒用細径管75に冷媒流路を分岐させるものであってもよい。分岐するガス冷媒用細径管75の数量が多いほど、各ガス冷媒用細径管75に作用する力が小さくなりやすく、ガス冷媒用室内冷媒配管組立体70にトラップ66を設けなくてもガス冷媒用細径管75が損傷しにくい。