特許第6079746号(P6079746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6079746
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】空気調和機のリモートコントローラ
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170206BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   F24F11/02 104A
   F24F11/02 105Z
   H04Q9/00 301D
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-218390(P2014-218390)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2016-84991(P2016-84991A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 規宏
【審査官】 岡澤 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−271693(JP,A)
【文献】 特開2002−247770(JP,A)
【文献】 特開平09−264594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を取り替え可能に収納する電池収納部(13)と、
前記電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機(1)に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータ(21)と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセットが行われた後に、前記特定コマンドが実行されることによって再びリセットが行われたときに、電池交換を促す報知を行う、空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項2】
電池を取り替え可能に収納する電池収納部(13)と、
前記電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機(1)に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータ(21)と、
前記マイクロコンピュータのリセット直後の前記特定コマンドの実行を示す所定フラグを記憶する不揮発性メモリ(23)
を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセットから復帰したときに前記不揮発性メモリの前記所定フラグによって直前のリセットが前記特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識し、前記特定コマンドが実行されることによって直前のリセットが行われたときには、電池交換を促す報知を行う、空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項3】
電池を取り替え可能に収納する電池収納部(13)と、
前記電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機(1)に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータ(21)と、
前記マイクロコンピュータのリセット直後の前記特定コマンドの実行を示す所定フラグを記憶する不揮発性メモリ(23)と
を備え、
前記マイクロコンピュータは、前記電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセット直後に前記特定コマンドが実行されたときに限り、前記不揮発性メモリに前記所定フラグを記憶し、リセットから復帰したときに前記不揮発性メモリの前記所定フラグによって直前のリセットが前記特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識し、前記特定コマンドが実行されることによってリセットが行われたときに、電池交換を促す報知を行う、空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項4】
前記マイクロコンピュータは、リセット後の前記特定コマンドのトリガによって前記不揮発性メモリに前記所定フラグを記憶させ、前記トリガから所定時間が経過したときに前記所定フラグを消去する、
請求項2又は請求項3に記載の空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項5】
前記マイクロコンピュータから送信される内容を表示する表示装置(25)をさらに備え、
前記マイクロコンピュータは、前記表示装置の画面に電池交換を促す内容の表示を行う、
請求項4に記載の空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項6】
前記表示装置は、バックライト(25b)を有し、
前記マイクロコンピュータは、前記バックライトが消灯されるタイミングと同じかそれよりも早いタイミングで、前記不揮発性メモリの前記所定フラグを消去する、
請求項5に記載の空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項7】
前記マイクロコンピュータは、前記不揮発性メモリの前記所定フラグが記憶されている状態で、さらに前記特定コマンドの前記トリガがあったときには前記所定フラグを消去するタイミングを最新の前記トリガから前記所定時間が経過したときに変更する、
請求項6に記載の空気調和機のリモートコントローラ。
【請求項8】
前記マイクロコンピュータは、前記特定コマンドにより、前記空気調和機に対して信号を送信するとともに、前記バックライトを点灯させる、
請求項6又は請求項7に記載の空気調和機のリモートコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機のリモートコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機の遠隔操作に用いられるリモートコントローラには、電源に電池を用いるものが多い。このように、電池を用いるリモートコントローラの中には、例えば、特許文献1(特開2005−79805号公報)、特許文献2(特開平7−154869号公報)、及び特許文献3(特開平7−243692号公報)などに開示されているように、電池交換を促す報知を行う機能を持つものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1乃至特許文献3に開示されている、電池交換を促す報知を行う機能を持つリモートコントローラでは、電池交換の要否を判断するために、電池の電圧を検出して信号を出力する電圧検出部、電池の残留容量を検出して監視するバッテリー検知回路部、又は電源電圧を計測する電源電圧計測手段と電源電圧計測手段の出力状態により電源電圧の低下を判定する電池切れ判定手段のような追加回路又は追加手段が必要になる。このような追加回路や追加手段を設けるための追加コストが発生することから、電池交換を促す報知機能を持つリモートコントローラは、価格が高くなる傾向がある。
【0004】
本発明の課題は、電池交換を促す報知機能を持つリモートコントローラを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、電池を取り替え可能に収納する電池収納部と、電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータとを備え、マイクロコンピュータは、電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセットが行われた後に、特定コマンドが実行されることによって再びリセットが行われたときに、電池交換を促す報知を行う。
【0006】
第1観点のリモートコントローラにおいては、マイクロコンピュータに対して設けられているリセット機能を使い、特定コマンドが実行されることに起因してリセットが行われたときに電池交換を促す報知を行うので、電池交換が必要な状態まで降下した電池の電圧を検出するための電圧検出部などの追加回路や追加手段を別途追加する必要が無くなる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、電池を取り替え可能に収納する電池収納部と、電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータのリセット直後の特定コマンドの実行を示す所定フラグを記憶する不揮発性メモリとを備え、マイクロコンピュータは、電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセットから復帰したときに不揮発性メモリの所定フラグによって直前のリセットが特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識し、特定コマンドが実行されることによって直前のリセットが行われたときには、電池交換を促す報知を行うものである。
【0008】
第2観点のリモートコントローラにおいては、所定フラグが不揮発性メモリに記憶されるので、マイクロコンピュータがリセットされても所定フラグの記憶が保持されてマイクロコンピュータが特定コマンドの実行によってリセットされたということを確認できる。従って、従来から不揮発性メモリを持つリモートコントローラにおいてはリセットの原因が特定コマンドの実行によるものであることを確認する構成を低コストで実現することができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、電池を取り替え可能に収納する電池収納部と、電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行するマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータのリセット直後の特定コマンドの実行を示す所定フラグを記憶する不揮発性メモリとを備え、マイクロコンピュータは、電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときにリセットされるように構成され、リセット直後に特定コマンドが実行されたときに限り、不揮発性メモリに所定フラグを記憶し、リセットから復帰したときに不揮発性メモリの所定フラグによってのリセットが特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識し、特定コマンドが実行されることによってリセットが行われたときに、電池交換を促す報知を行うものである。
【0010】
第3観点のリモートコントローラにおいては、マイクロコンピュータのリセット直後に特定コマンドが実行される場合に限って所定フラグを記憶するので、不揮発性メモリにおける所定フラグの記憶と消去の繰り返し動作を減らして不揮発性メモリの寿命を延ばすことができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第2観点又は第3観点に係るリモートコントローラにおいて、マイクロコンピュータは、リセット後の特定コマンドのトリガによって不揮発性メモリに所定フラグを記憶させ、トリガから所定時間が経過したときに所定フラグを消去するものである。
【0012】
第4観点のリモートコントローラにおいては、リセット後の特定コマンドのトリガから所定時間が経過したときに所定フラグが消去されるので、所定フラグが消去された後には電池電圧の低下以外の要因でリセットが掛かっても電池交換を促す報知が行われなくなることから、電池交換を促す報知を誤って行うリスクを減らすことができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第4観点に係るリモートコントローラにおいて、マイクロコンピュータから送信される内容を表示する表示装置をさらに備え、マイクロコンピュータは、表示装置の画面に電池交換を促す内容の表示を行うものである。
【0014】
第5観点のリモートコントローラにおいては、表示装置に電池交換を促す内容の表示が行われるので、リモートコントローラを使用している空気調和機のユーザに電池交換の必要な状況にあることを確実に確認させることができる。
【0015】
本発明の第6観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第5観点に係るリモートコントローラにおいて、表示装置は、バックライトを有し、マイクロコンピュータは、バックライトが消灯されるタイミングと同じかそれよりも早いタイミングで、不揮発性メモリの所定フラグを消去するものである。
【0016】
第6観点のリモートコントローラにおいては、バックライトが消灯されてから電池が交換されることが多いので、バックライトが消灯されるタイミングと同じかそれよりも早いタイミングで所定フラグを消去することにより、新しい電池に交換されたときに誤って電池交換を促す報知を行うリスクを減らすことができる。
【0017】
本発明の第7観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第6観点に係るリモートコントローラにおいて、マイクロコンピュータは、不揮発性メモリの所定フラグが記憶されている状態で、さらに特定コマンドのトリガがあったときには所定フラグを消去するタイミングを最新のトリガからの所定時間の経過に変更するものである。
【0018】
第7観点のリモートコントローラにおいては、所定フラグを消去するタイミングを最新のトリガから所定時間が経過したときに変更するので、複数回の特定コマンドの実行によってリセットが掛かる程度の電池の消耗も検知でき、電池の消耗の検知のバリエーションが広がる。
【0019】
本発明の第8観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第6観点又は第7観点に係るリモートコントローラにおいて、マイクロコンピュータは、特定コマンドにより、空気調和機に対して信号を送信するとともに、バックライトを点灯させるものである。
【0020】
第8観点のリモートコントローラにおいては、信号の送信とバックライトの点灯によって比較的大きな電力が消費されることに起因する電池の電圧低下具合から電池の消耗が検知でき、電池交換の要否の判定が容易になる。
【0021】
他の問題点としては、次のようなものがある。すなわち、電池が消耗してくると、電圧の低下の程度によっては、信号を送信することができなくなるケースが出てくる。しかし、手元に新しい電池が無い場合には、新しい電池を入手する前に、空気調和機の運転を確実に停止させたい状況が生じる可能性がある。そこで、電池が消耗してきて電池交換が必要な状況になっても、空気調和機の運転停止を確実に行えるリモートコントローラが提供されることが好ましい。このような問題を解決するための周辺技術を第9観点以降に示す。
【0022】
本発明の第9観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、電池を取り替え可能に収納する電池収納部と、電池交換の要否を判定する判定部と、バックライトを有する表示装置と、前記電池収納部に収納されている電池を電源として動作し、空気調和機に運転停止を指示するための停止コマンドを実行可能なマイクロコンピュータとを備え、前記マイクロコンピュータは、前記判定部により電池交換が必要と判定されたときには、前記バックライトの点灯をせずに前記停止コマンドを実行して前記空気調和機に運転停止を指示する信号を送信する。
【0023】
第9観点のリモートコントローラにおいては、バックライトを点灯せずに停止コマンドを実行して空気調和機に運転停止を指示する信号を送信するので、バックライトを点灯するための電力を削減する分だけ電池の電圧低下を防ぐことができ、運転停止を指示する信号の送信の確実性が向上する。その結果、電源電圧が低下している状況において、空気調和機の運転停止を確実に行えることにより、ユーザの利便性の向上が図れる。
【0024】
本発明の第10観点に係る空気調和機のリモートコントローラは、第9観点に係るリモートコントローラにおいて、少なくとも前記判定部により電池交換が必要と判断されたときに前記空気調和機に送信する運転停止を指示する信号に、他のコマンドの実行による所定の動作の指示のために送信する信号よりも信号長が短いものを使用するものである。
【0025】
第10観点のリモートコントローラにおいては、運転停止を指示する信号の信号長が短いため、運転停止を指示する信号を送信するための電力を抑えることができ、電源電圧が低下している状況においても、運転停止を指示する信号の送信の確実性が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換を促す報知機能を持つリモートコントローラの製造コストを抑えることができる。
【0027】
本発明の第2観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、リセットの原因が特定コマンドの実行によるものであることを確認する構成を低コストで実現することができる。
【0028】
本発明の第3観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、不揮発性メモリの寿命を延ばしてリモートコントローラのメンテナンスのコストの削減を図ることができる。
【0029】
本発明の第4観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換を促す報知が誤って行われてユーザに不便を感じさせる可能性を低減させることができる。
【0030】
本発明の第5観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換による動作不良と故障による動作不良との識別がユーザにおいても容易になる。
【0031】
本発明の第6観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換を促す報知の誤報が減り、利便性が向上する。
【0032】
本発明の第7観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換を促す報知を行えるケースを増やすことができる。
【0033】
本発明の第8観点に係る空気調和機のリモートコントローラでは、電池交換の要否の判定の確度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】リモートコントローラを備える空気調和機を説明するための斜視図。
図2】リモートコントローラの平面図。
図3】電池収納部のふたが取り外された状態のリモートコントローラの背面図。
図4】リモートコントローラの内部回路を説明するためのブロック図。
図5】古い電池が使用されているときのリモートコントローラの動作を説明するためのタイミングチャート。
図6】古い電池が使用されているときのリモートコントローラの動作を説明するためのフローチャート。
図7】周辺技術が適用されたリモートコントローラの動作を説明するためのタイミングチャート。
図8】周辺技術が適用されたリモートコントローラの動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<空気調和機の構成の概要>
この発明の一実施形態に係るリモートコントローラの説明において、まず、リモートコントローラから制御のための信号が送信される空気調和機について簡単に説明する。図1に示されているように、空気調和機1は、室内の壁Wに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3とを備えている。室内機2と室外機3とは、冷媒配管、加湿ホース、伝送線及び通信線などを集合した集合連絡配管4によって接続されている。この空気調和機1は、熱交換を行って室内の空気調和を行うために冷媒回路を備えている。冷媒回路(図示せず)は、例えば、室内機2の室内側熱交換器(冷房時は蒸発器/暖房時は凝縮器として機能する)及び、室外機3の圧縮機と室外側熱交換器(冷房時は凝縮器/暖房時は蒸発器として機能する)と膨張弁などが集合連絡配管4の中の冷媒配管で連結されて構成される。
【0036】
また、室内の壁Wの高いところに室内機2が取り付けられるため、空気調和機1を操作するリモートコントローラ10が設けられている。室内機2には、リモートコントローラ10から指令を受けて室内ファンモータ(図示せず)などの室内側機器を制御するための室内制御装置(図示せず)を収納する電装品箱(図示せず)が設けられ、が室外機3には、室外ファンモータ(図示せず)などの室外側機器を制御する室外制御装置(図示せず)を収納するための電装品箱(図示せず)が設けられている。そして、室内機2の室内制御装置と室外機3の室外制御装置とが集合連絡配管4の中を通る伝送線で接続されている。室内機2の室内制御装置は、リモートコントローラ10かとの間で送受信される制御信号を処理する。
【0037】
(1)リモートコントローラ10の外観
図2は、リモートコントローラの平面図であり、図3は、リモートコントローラの背面図である。なお、図3には、電池収納部の蓋の取り外されたリモートコントローラの背面の状態が示されている。リモートコントローラ10の前面には、液晶表示画面25aと操作ボタン12が配置されている。操作ボタン12の中には、空気調和機1の運転開始と運転停止とを切り換えるための運転/停止ボタン12aが設けられている。また、リモートコントローラ10は、先端部10aから電磁波が送信されるように構成されている。
【0038】
リモートコントローラ10の背面側には、電池収納部13が設けられている。電池収納部13には、単3形の電池100が2本収納できる。電池100は一次電池であっても、二次電池であってもよい。ここでは、使用した結果、電池交換が必要なほどに電圧が降下した電池100を古い電池と呼ぶ。また、未使用の一次電池から古い電池になるまでの状態の一次電池を新しい電池と呼ぶ。また、満充電状態又は満充電に近い状態から古い電池になるまでの状態の二次電池を新しい電池と呼ぶ。さらに、古い電池よりも電圧が低下して、リモートコントローラ10が全く動作しないほど消耗した電池100を空の電池と呼ぶ。
【0039】
電池収納部13には、電池100の正電極101に接続される第1端子13aと、電池100の負電極102に接続される第2端子13bが設けられている。電池100は、電池収納部13に嵌め込まれれば、正電極101が第1端子13aに接続されるとともに負電極102が第2端子13bに接続されるように構成されている。
【0040】
(2)リモートコントローラ10の内部回路
リモートコントローラ10は、図4に示されている内部回路20を備えている。リモートコントローラ10の内部回路20には、マイクロコンピュータ21と、リセット回路22と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)23と、操作部24と、表示装置25と、送信部26と、受信部27とを含んでいる。マイクロコンピュータ21、リセット回路22、EEPROM23、操作部24、表示装置25、送信部26及び受信部27は、電池収納部13に収納されている電池100を電源として動作する。
【0041】
マイクロコンピュータ21は、主に、室内機2との間で送受信される制御信号の処理及び情報の表示のための処理を行う。また、マイクロコンピュータ21は、例えば発振子を内蔵しており、タイマ機能を有している。ここでは、発振子及びタイマ機能がマイクロコンピュータ21に内蔵されている場合を例に挙げて説明しているが、発振子及びタイマ機能は、マイクロコンピュータ21に外付けされてもよい。
【0042】
リセット回路22は、マイクロコンピュータ21をリセットするための回路であり、例えば、リモートコントローラ10を初期化したい場合及び電池100を入れ換える場合にマイクロコンピュータ21をリセットする。そのため、リセット回路22は、電源電圧が、予め設定されている閾値電圧よりも低くなった場合にリセット信号を送信する機能が備わっている。このリセット回路22は、マイクロコンピュータ21のリセットのために従来から設けられていたものであるが、このリモートコントローラ10では、電池交換を促す報知のために流用されている。
【0043】
EEPROM23は、特定コマンドが実行されたときに、その特定コマンドの実行を示す所定フラグを記憶する。所定フラグの記憶は、特定コマンドのトリガのタイミングで行われる。以下の説明では、特定コマンドとして、操作ボタン12の押下げに伴う室内機2への制御信号の送信コマンド、特に運転/停止ボタン12aの押下げに伴う運転/停止の切換信号の送信コマンドを例に挙げて説明する。
【0044】
操作部24は、図2に示されている操作ボタン12を含んでおり、操作ボタン12で指示された操作を示す信号をマイクロコンピュータ21に対して出力する。通常、操作部24から出力される信号が特定コマンドのトリガになる。
【0045】
表示装置25は、液晶表示画面25aとバックライト25bを含んでいる。表示装置25は、液晶表示画面25aの表示を見易くするために、液晶表示画面25aの背面側に配置されているバックライト25bから光が当たるように構成されている。例えば、運転を停止する場合には、運転停止の表示内容を表示するための信号が、マイクロコンピュータ21から表示装置25に対して出力される。このような信号を受けた表示装置25は、液晶表示画面25aに運転停止の表示を行うとともに、バックライト25bを点灯させる。
【0046】
送信部26は、マイクロコンピュータ21から制御信号の命令を受けて、例えば赤外線LED(図示せず)により室内機2に制御信号を送信する。このように赤外線LEDを含む回路を起動するため、送信部26は、電池100の電圧が低下して閾値電圧を下回る電圧しか電源から電圧が印加されなくなると、室内機2に対して制御信号を送信できなくなる。このような制御信号の送信が赤外線による場合だけでなく、リモートコントローラ10から室内機2への制御信号の送信が他の方法例えば電磁波による場合であっても電源電圧が閾値電圧を下回ると不能になる。
【0047】
受信部27は、室内機2から例えば赤外線受光モジュール(図示せず)によって制御信号を受信する。そして、受信部27は、室内機2から受信した制御信号に基づく命令をマイクロコンピュータ21に送信する。この受信部27も送信部26と同様に、電池100の電圧が低下して閾値電圧を下回る電圧しか電源から電圧が印加されなくなると、室内機2からの制御信号を受信できなくなる。
【0048】
(3)電池交換を促す報知の動作
リモートコントローラ10における電池交換を促す報知の動作について、図5及び図6を用いて説明する。以下、電源電圧VDDが3Vで、リセット電圧Vrが1.8Vであるものとして説明する。また、図6において、「RET」は、操作ボタン12の押下げを待機している状態へ戻ることを意味している。
【0049】
マイクロコンピュータ21は、マイコンリセットチェック済フラグFcの書き込みを行う機能を備えている。マイコンリセットチェック済フラグFcは、マイクロコンピュータ21がリセットされたときに、「0」になり、リセットされた直後の操作ボタン12の押下げによる信号SWが「L」になったときに「1」に戻される。
【0050】
(3−1)新しい電池100が入ったとき
リモートコントローラ10に新しい電池100が入れられて電源が入った直後には、リセット回路22からリセット信号Rsが出力されることによってマイクロコンピュータ21のリセットが行われる。図5における時刻t1は、リモートコントローラ10の電源が入った直後のリセット状態から回復した時点である。このとき、マイクロコンピュータ21は、マイコンリセットチェック済フラグFcを「0」にする。そして、図5における時刻t2は、リセット直後に操作ボタン12、例えば運転/停止ボタン12aが押下げられた時点である。
【0051】
運転/停止ボタン12aが押下げられた時刻t2にはマイコンリセットチェック済フラグFcが「0」であるから、マイクロコンピュータ21は、EEPROM23のリセットフラグFrを「ON」にする。マイクロコンピュータ21は、内蔵しているタイマによってEEPROM23のリセットフラグFrの立ち上がりから5秒をカウントしており、立ち上がりから5秒が経過した時点(時刻t3)で、リセットフラグFrを「OFF」にする。このリセットフラグFrが立ち上がってから時刻t3までの間に、例えば、他の操作ボタン12である温度調節ボタンが押されても、電池100の電圧が不足してマイクロコンピュータ21のリセットが掛かることは無いので、電池交換を促す報知の動作は行われない。
【0052】
(3−2)古い電池100が入っているとき
時刻t11は、電池100が古くなった状態で、操作部24の運転/停止ボタン12aの押下げによる信号SWが「L」になった時点である(図6のステップS1)。
【0053】
強制的にリセットを行わない限り、通常はリセットが行われずにリモートコントローラ10が操作されるため、マイコンリセットチェック済フラグFcは「1」になっている。このとき、マイクロコンピュータ21は、時刻t11では、マイコンリセットチェック済フラグFcが「1」になっているので、図6のステップS2でFc=1と判断され、操作ボタン12が押されるのを待機している状態に戻る(RET)。
【0054】
しかし、時刻t11に運転/停止ボタン12aの押下げられることによって、マイクロコンピュータ21は、送信部26に運転開始の制御信号を送信させるコマンドを実行するとともに表示装置25のバックライト25bを点灯させて(ステップS3)、運転開始の指示に関する表示を液晶表示画面25aに行わせるコマンドを実行する。ところが、操作部24、マイクロコンピュータ21、送信部26及び表示装置25の動作によって、電池100の電圧が降下し、時刻t12において、リセット回路22がリセット電圧Vrを下回る電圧を検出することで、リセット回路22からマイクロコンピュータ21にリセット信号Rsが送信されて、マイクロコンピュータ21のリセットが行われる。そのため、室内機2には、運転開始の制御信号が送信されない。そして、マイクロコンピュータ21がリセットから回復するときに、マイコンリセットチェック済フラグFcが「1」に変更される(時刻t13)。
【0055】
時刻t13ではマイクロコンピュータ21がリセットされるために、リモートコントローラ10から室内機2に正常な操作指示がされないので、ユーザは不審に思って再度運転/停止ボタン12aの押下げることになる(時刻t14)。
【0056】
時刻t14において、再度運転/停止ボタン12aが押下げられると(ステップS1)、時刻t14ではマイコンリセットチェック済フラグFcが「0」になっているので、ステップS2からステップS4に進むことになる。
【0057】
時刻t15では、マイクロコンピュータ21により、マイコンリセットチェック済フラグFcが「1」に戻され(ステップS4)、EEPROM23のリセットフラグFrが「ON」にされ(ステップS5)、マイクロコンピュータ21は、次のステップS5に進む。ステップS5でも、マイクロコンピュータ21は、送信部26に運転開始の制御信号を送信させようとするとともに表示装置25のバックライト25bを点灯させて液晶表示画面25aに運転開始の指示に関する表示を行わせようとする(ステップS6)。しかし、電池100の電圧低下が原因で、運転開始の指示が室内機2に送信されず、時刻t16では、再度リセット回路22がリセット電圧Vrを下回る電圧を検出することで、リセット回路22からマイクロコンピュータ21にリセット信号Rsが再度送信されて、運転/停止ボタン12aの再度の押下げがあってから5秒以内(バックライト25bの点灯中)にマイクロコンピュータ21の2回目のリセットが行われる。
【0058】
この2回目のリセットから回復した時刻t17では、EEPROM23のリセットフラグFrが「ON」になっているので、マイクロコンピュータ21は、バックライト点灯中にマイクロコンピュータ21のリセットが発生したことを認識することができる(ステップS7)。このようなステップS7の判断ができるのは、リセットから復帰したときにEEPROM23のリセットフラグFrによって直前のリセットが特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識することができるからである。
【0059】
そこで、マイクロコンピュータ21は、続いて行われた運転/停止ボタン12aの2回目の押下げによる再度のリセット後に、表示装置25に対して液晶表示画面25aで「電池交換してください」という表示(図2参照)を行わせて、電池交換を促す報知を行う(ステップS8)。このような液晶表示画面25aの表示を行わせるときには、マイクロコンピュータ21は、表示装置25にバックライト25bを点灯させないように指示する。バックライト25bを点灯させると電池100の電力を消耗するので、液晶表示画面25aの表示が行われないなどの不具合が生じる可能性があるからである。
【0060】
再度の運転/停止ボタン12aの押下げが、EEPROM23のリセットフラグFrを「OFF」にするためのマイクロコンピュータ21のタイマを起動するトリガとなっている。時刻t14(時刻t15とほぼ同時)から5秒が経過して、バックライト25bが消灯する時点(時刻t18)でEEPROM23のリセットフラグFrが「OFF」になる(ステップS9)。
【0061】
図5に示されているリモートコントローラ10の操作では、再度の運転/停止ボタン12aの押下げから5秒が経過する前(バックライト25bの点灯中)の時刻t16で再度のリセットが行われた。しかし、電池100の電圧の低下の程度によっては、この再度のリセットが行なわれない場合がある。そのような場合に、再度の運転/停止ボタン12aの押下げから5秒が経過する前に、例えば温度設定に関連する操作ボタン12を押すかもしれない。そして、操作ボタン12を押下げたことに起因して、リセットが掛かる場合がある。そこで、ステップS7において、バックライト25bの点灯中(再度の運転/停止ボタン12aの押下げから5秒経過前)に、マイクロコンピュータ21のリセットが発生しなかった場合には、ステップS10に進み、バックライト25bの点灯中に操作ボタン12の押下げがあったか否かを判断する。このような状況で、バックライト25bの点灯中に操作ボタン12の押下げがあったときは、マイクロコンピュータ21がEEPROM23のリセットフラグFrを「ON」し(ステップS11)、その動作とともに、リセットフラグFrを「OFF」するためのマイクロコンピュータ21のタイマのカウントがバックライト25bの点灯中の操作ボタン12の押下げをトリガとして開始される(ステップS12)。このような状況でも、バックライト25bの点灯中に操作ボタン12の押下げがなかったときは、ステップS10からステップS13に進み、再度の運転/停止ボタン12aの押下げから5秒が経過してバックライト25bが消灯する時点で、リセットフラグFrが「OFF」にされて操作ボタン12が押下げられるのを待機している状態に戻る(RET)。
【0062】
このように、ステップS6,S7,S10,S11,S12のループを繰り返すことで、1回の操作ボタン12の押下げではリセットが掛からない程度の電池100の消耗でも、複数回の操作ボタン12の押下げでリセットが掛かる場合があり、そのような場合にも電池交換を促す報知を行うことができる。
【0063】
(3−3)電池交換が行われたとき
時刻t21では、新しい電池100への交換が行われている。時刻t21では、最初のリセット信号Rsによってリセットが行われ、既に説明した時刻t1と同じ状況になる。従って、リセット後の操作ボタン12の押下げられたときの時刻t22,t23の動作は、上述の時刻t2,t3と同様の動作になる。
【0064】
ところが、ユーザが誤って古い電池100への交換を行ったときには、操作ボタン12の押下げによって時刻t14以降の動作が繰り返されることになる。その結果、ユーザが誤って古い電池100への交換を行ったときでも、リモートコントローラ10は、電池交換を促す報知を行うことができる。
【0065】
(4)特徴
(4−1)
以上説明したように、リモートコントローラ10のマイクロコンピュータ21は、電池収納部13に収納されている電池100を電源として動作する。そして、マイクロコンピュータ21は、操作ボタン12の押下げにより空気調和機1に所定の動作を指示するための特定コマンドを実行する。リモートコントローラ10においては、電源から与えられる電圧がリセット電圧以下になったときに、リセット回路22のリセット信号Rsによってマイクロコンピュータ21がリセットされるように構成されている。上記の説明では、運転/停止ボタン12aを押下げたときにマイクロコンピュータ21が送信部26に運転開始の制御信号を送信させるコマンド(特定コマンドの例)を実行するとともに液晶表示画面25aとバックライト25bにより運転開始の指示に関する表示を行わせるコマンド(特定コマンドの例)を実行する。マイクロコンピュータ21が実行する特定コマンドは、一つでもよく、また複数であってもよい。上記実施形態では、操作ボタン12が押下げられたときにマイクロコンピュータ21で実行されるコマンドが特定コマンドである。マイクロコンピュータ21は、特定コマンドを実行することによってリセットが行われたときに、電池交換を促す報知を行う。
【0066】
リモートコントローラ10は、マイクロコンピュータ21に対して設けられているリセット機能を使って、特定コマンドが実行されることによってリセットが行われたときに電池交換を促す報知を行うので、電池交換が必要な状態まで降下した電池100の電圧を検出するための電圧検出部などの追加回路や追加手段を別途追加する必要が無くなる。上述のリセット回路22は、マイクロコンピュータ21のリセットのために従来から設けられていた回路であって、電池交換の要否を判断するために新たに追加された回路ではない。従って、電池交換を促す報知機能を持つリモートコントローラ10の製造コストを抑えて、リモートコントローラ10を安価に提供することができる。上記実施形態では、リセット回路22がマイクロコンピュータ21の外部に設けられている例を用いて説明したが、マイクロコンピュータ21にリセット機能が内蔵されている場合には、外付けのリセット回路22は省くことができる。
【0067】
(4−2)
EEPROM23(不揮発性メモリの例)は、リセットフラグFrを記憶することができるように構成されている。このリセットフラグFrは、マイクロコンピュータ21のリセット直後の特定コマンドの実行を示す所定フラグの例である。マイクロコンピュータ21は、図6のステップS7に示されているように、リセットから復帰したときにEEPROM23のリセットフラグFrによって直前のリセットが特定コマンドの実行によるものであるか否かを認識する。リセットフラグFrがEEPROM23に記憶されるので、マイクロコンピュータ21がリセットされてもEEPROM23のリセットフラグFrの記憶が保持されてマイクロコンピュータ21が特定コマンドの実行によってリセットされたということを確認できる。従って、従来からEEPROM23を持つリモートコントローラ10においてはリセットの原因が特定コマンドの実行によるものであることを確認する構成を低コストで実現することができる。
【0068】
(4−3)
例えば、図5の時刻t15のように、マイクロコンピュータ21は、リセット直後に特定コマンドが実行されたときに限り、EEPROM23にリセットフラグFrをONする。例えば時刻t11には、EEPROM23にリセットフラグFrがOFFのまま維持される。このように、マイクロコンピュータ21のリセット直後に操作ボタン12が押下げられて特定コマンドが実行される場合に限ってリセットフラグFrを記憶するので、操作ボタン12が押下げられる度にリセットフラグFrの記憶を行なう場合に比べて非常に少ない回数の記憶(ON)と消去(OFF)で処理が可能になる。その結果、EEPROM23におけるリセットフラグFrの記憶と消去の繰り返し動作を減らしてEEPROM23の寿命を延ばして、リモートコントローラ10のメンテナンスのコストの削減を図ることができる。
【0069】
(4−4)
マイクロコンピュータ21は、図5の時刻t14のリセット後の運転/停止ボタン12aの押下げに応じたコマンドをトリガとして、EEPROM23にリセットフラグFrを記憶させ(ONし)、このトリガから5秒(所定時間の例)が経過したときにリセットフラグFrを消去する(OFFする)。
【0070】
リセット後の運転/停止ボタン12aを押下げに応じた特定コマンドのトリガから5秒という所定時間が経過したときにリセットフラグFrが消去されるので、リセットフラグFrが消去された後には電池電圧の低下以外の要因でリセットが掛かっても電池交換を促す報知が行われなくなる。従って、電池交換を促す報知を誤って表示するリスクを減らして、ユーザに不便を感じさせる可能性を低減させることができる。
【0071】
(4−5)
マイクロコンピュータ21は、表示装置25の液晶表示画面25aに電池交換を促す内容の表示を行うことができるように構成されている。例えば電池100の電圧が低下して電池交換が必要になった図5の時刻t17の時点で、表示装置25に図2に示されているような電池交換を促す内容の表示が行われる。その結果、リモートコントローラ10を使用している空気調和機1のユーザに電池交換の必要な状況にあることを確実に確認させることができることから、電池交換による動作不良と故障による動作不良との識別がユーザにおいても容易になる。
【0072】
(4−6)
マイクロコンピュータ21は、バックライト25bが消灯されるタイミングと同じ5秒が経過した時点で、リセットフラグFrをOFFする。バックライトが消灯されてから電池が交換されることが多いので、バックライト25bが消灯されるタイミングと同じタイミングでリセットフラグFrをOFFすることにより、新しい電池100に交換されたときに誤って電池交換を促す報知を行うリスクを減らすことができ、ユーザの利便性が向上する。なお、上記実施形態では、リセットフラグFrをOFFするまでの時間がトリガから5秒で、バックライト25bの消灯までの時間と同じになっていたが、例えばリセットフラグFrをOFFするまでの時間を4秒以下にして、バックライト25bが消灯されるタイミングよりも早いタイミングで、EEPROM23のリセットフラグFrをOFFするように構成してもよい。
【0073】
(4−7)
図6に示されているステップS10の判断を行なうようにして、マイクロコンピュータ21が、リセットフラグFrがONになっている状態で、さらに操作ボタン12の押下げにともなう特定コマンドのトリガがあったときにはリセットフラグFrがONをOFFするタイミングを最新のトリガから5秒が経過したときに変更する(ステップS13)。このように構成されると、複数回の特定コマンドの実行によってリセットが掛かる程度の電池の消耗も検知でき、電池の消耗の検知のバリエーションが広がって電池交換を促す報知を行えるケースを増やすことができる。
【0074】
(4−8)
マイクロコンピュータ21は、操作ボタン12の押下げにともなう特定コマンドにより、空気調和機1に対して信号を送信するとともに、バックライト25bを点灯させるように構成されている。そのため、リモートコントローラ10のバックライト2bの点灯によって比較的大きな電力が消費されることに起因する電池の電圧低下具合から電池の消耗が検知でき、電池交換の要否の判定が容易になって電池交換の要否の判定の確度が向上する。
【0075】
(5)変形例
(5−1)変形例1A
上記実施形態では、不揮発性メモリとして、EEPROM23を例に挙げて説明しているが、本発明で用いることのできる不揮発性メモリは、EEPROMに限られない。EEPROM以外の不揮発性メモリとしては、例えばフラッシュメモリ、強誘電体メモリ及び抵抗変化型メモリが挙げられる。
【0076】
(5−2)変形例1B
上記実施形態では、マイクロコンピュータ21の外付け回路として、リセット回路22が設けられている場合について説明したが、リセット回路22が外付け回路である必要はない。マイクロコンピュータの種類によっては、リセット回路が内蔵されているものがあり、そのようなリセット回路が内蔵されているマイクロコンピュータにおいては、内蔵されているリセット回路を用いて外付けのリセット回路を省くこともできる。
【0077】
(5−2)変形例1C
上記実施形態では、電池交換を促す報知を液晶表示画面25aへの表示によって行なう場合について説明したが、電池交換を促す報知は、液晶表示画面25aへの表示に限られるものではなく、リモートコントローラ10に、例えば電池交換を促す音声やビープ音や振動などの機能を設けることもできる。また、リモートコントローラ10から室内機2に報知を行わせる制御信号を送信するようにしてもよい。
【0078】
<その他の周辺技術>
(6)周辺技術の説明
図2に示されている構成を持つリモートコントローラ10の電池交換に関連する周辺技術について、図7及び図8を用いて説明する。図7に示されている時刻t17までの動作は、上述の通りであるが、マイクロコンピュータ21は、電池交換を促す表示とともに、バックライト25bの点灯を禁止するバックライト点灯禁止信号Hbを出力するように構成されている(ステップS20)。また、バックライト25bの点灯を行わせるステップS3の前に、表示装置25においてバックライト25bの点灯を行わせるか否かの判断が、バックライト点灯禁止信号Hbを使って行われる。
【0079】
上記実施形態では、液晶表示画面25aに「電池交換してください」という表示を行う際にバックライト25bを点灯させない場合について説明したが、次に説明するバックライト点灯禁止信号Hbは、操作ボタン12の押下げにともなうバックライト25bの点灯処理を禁止する信号である。
【0080】
図7の時刻t18では、再度、運転/停止ボタン12aが押下げられる(ステップS1)。このとき、マイコンリセットチェック済フラグFcが、リセット後の運転/停止ボタン12aの押下げが行われているので(時刻t14)、「1」になっているから、ステップS2からステップS21に進む。ステップS21では、時刻t17で、バックライト点灯禁止信号Hbが「禁止」になっているので、バックライト25bの点灯が禁止される。そして、バックライト25bが禁止された状態で、マイクロコンピュータ21は、送信部26から室内機2に停止を指示する制御信号を送信させる。
【0081】
このとき、マイクロコンピュータ21から表示装置25には、バックライト25bの点灯をさせないようにするとともに、液晶表示画面25aの「電池交換してください」という表示を維持させる命令が送信される。あるいは、バックライト点灯禁止信号Hbが「禁止」になっている状態では、マイクロコンピュータ21から表示装置25には制御信号が送られない。そのため、時刻t18以降も、バックライト25bが点灯されずに液晶表示画面25aの「電池交換してください」という表示がされたままになる。
【0082】
その結果、時刻t18では、運転/停止ボタン12aが押下げられても、電源電圧VDDが閾値電圧を下回らないことから、リセット回路22によるリセットが行われない。リセットが行われないので、室内機2の運転は、リモートコントローラ10から送られる制御信号によって停止される。
【0083】
(7)変形例
(7−1)変形例2A
上述の説明では、バックライト点灯禁止信号Hbによって、バックライト25bの点灯を禁止するだけの場合を説明したが、バックライト点灯禁止信号Hbによって、運転/停止ボタン12aが押下げられたときに送信される制御信号を短くするように構成してもよい。
【0084】
室内機2が、運転停止を受け付ける制御信号として、信号長が長いタイプの第1制御信号と、信号長が短いタイプの第2制御信号の2つを受信可能な場合について説明する。室内機2が前述のような構成を持つときには、リモートコントローラ10は、バックライト点灯禁止信号Hbによってマイクロコンピュータ21から送信部26に第2制御信号を送信することを命じるように構成することができる。
【0085】
(7−2)変形例2B
変形例2Aでは、室内機2が、運転停止を受け付ける制御信号として、信号長が長いタイプの第1制御信号と、信号長が短いタイプの第2制御信号の2つに対応している場合に、バックライト点灯禁止信号Hbによって、運転停止を指示する制御信号を信号長が短い第2制御信号に切り換える場合について説明したが、最初から他のコマンドの実行による所定の動作の指示のための第3制御信号よりも、第2制御信号の信号長が短いものを使用するように構成することもできる。このように構成するときには、切り換えが必要ないので、変形例2Bで説明した第1制御信号の送受信の機能を室内機2とリモートコントローラ10が備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 空気調和機
2 室内機
3 室外機
10 リモートコントローラ
12 操作ボタン
13 電池収納部
21 マイクロコンピュータ
22 リセット回路
23 EEPROM(不揮発性メモリの例)
24 操作部
25 表示装置
25a 液晶表示画面
25b バックライト
26 送信部
27 受信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2005−79805号公報
【特許文献2】特開平7−154869号公報
【特許文献3】特開平7−243692号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8