(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記運転モードが前記第1暖房モードおよび前記第2暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、冷媒圧力に関する値が予め設定されている閾値よりも高ければ、前記第2速度で前記回転数を下げ、前記値が前記閾値以下であれば、前記第1速度で前記回転数を下げる、
請求項1に記載の空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の空気調和機は、一般的な暖房モードよりも高温風を吹出す高温風モードを暖房機能として備える場合がある。運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、ファンの回転数が急激に低下する場合がある。ファンの回転数が急激に低下すると、凝縮器の温度が上昇する。このとき、凝縮器の温度が上昇し過ぎると、すなわち、冷媒圧力が上昇し過ぎると、圧縮機が停止してしまう。なお、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に限らず、通常暖房モードから高温風モードに切り換えられた場合にも同様の課題が生じ得る。
【0004】
本発明の課題は、冷媒圧力の過度の上昇を抑制する空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る空気調和機は、室内ファンと、室内熱交換器と、設定部と、制御部とを備える。室内熱交換器は、冷媒と室内空気とを熱交換して調和空気を生成する。設定部は、運転モードを設定する。制御部は、室内ファンの回転数を制御する。制御部は、運転モードが第1暖房モードおよび第1暖房モードよりも高温の調和空気が生成される第2暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、運転モードが第1暖房モードに設定されている場合の回転数の低下速度である第1速度よりも遅い第2速度で回転数を下げる。
【0006】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、運転モードが第1暖房モードおよび第2暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、制御部は、第1速度で回転数を下げるのではなく、第2速度で回転数を下げる。これにより、室内熱交換器での冷媒温度の過度の上昇を抑制することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る空気調和機においては、制御部は、運転モードが第1暖房モードおよび第2暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、冷媒圧力に関する値が予め設定されている閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げる。冷媒圧力に関する値が閾値以下であれば、第1速度で回転数を下げる。すなわち、制御部は、冷媒圧力に関する値に基づいて回転数を制御する。
【0008】
したがって、本発明の第2観点に係る空気調和機では、冷媒圧力に適した速度で回転数を下げることができる。
【0009】
本発明の第3観点に係る空気調和機においては、凝縮器と、温度センサとをさらに備える。温度センサは、凝縮器の温度を検出する。制御部は、冷媒圧力に関する値として温度センサの出力値が閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げる。
【0010】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、制御部は、温度センサの出力値が閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げるので、空気調和機が圧力センサを備えなくてもよい。
【0011】
本発明の第4観点に係る空気調和機においては、圧縮機と、圧力センサとをさらに備える。圧力センサは、圧縮機の吐出側での冷媒圧力を検出する。制御部は、冷媒圧力に関する値として圧力センサの出力値が閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げる。
【0012】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、制御部は、圧力センサの出力値が閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げる。これにより、室内ファンの回転数をより高精度で制御することができる。
【0013】
本発明の第5観点に係る空気調和機においては、制御部は、回転数を維持する区間と回転数を低下させる区間とを繰り返すことにより、全体として第2速度で回転数を目標回転数まで下げる。すなわち、制御部は、回転数を段階的に下げることにより、第2速度で回転数を目標回転数まで下げる。
【0014】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、プログラムによる制御の簡略化が期待できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1観点に係る空気調和機では、室内熱交換器での冷媒温度の過度の上昇を抑制することができる。
【0016】
本発明の第2観点に係る空気調和機では、冷媒圧力に適した速度で回転数を下げることができる。
【0017】
本発明の第3観点に係る空気調和機では、空気調和機が圧力センサを備えなくてもよい。
【0018】
本発明の第4観点に係る空気調和機では、室内ファンの回転数をより高精度で制御することができる。
【0019】
本発明の第5観点に係る空気調和機では、プログラムによる制御の簡略化が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態を以下に示す。なお、以下の実施形態は、具体例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。
【0022】
<第1実施形態>
(1)空気調和機の構成
図1は、空気調和機100の構成の一例を説明する図である。空気調和機100は、熱源側ユニットとしての空調室外機200と、利用側ユニットとしての空調室内機300とを含む。空調室外機200と空調室内機300は、液冷媒の冷媒連絡配管101およびガス冷媒の冷媒連絡配管102を介して、互いに接続されている。
【0023】
空気調和機100の冷媒回路は、空調室外機200、空調室内機300、冷媒連絡配管101、および冷媒連絡配管102によって、構成されている。より詳細には、冷媒回路は、膨張弁203、圧縮機204、四路切換弁205、アキュムレータ206、室外熱交換器207、および室内熱交換器301を含む。
【0024】
(2)空気調和機の詳細構成
(2−1)空調室内機
空調室内機300は、室内熱交換器301と、室内ファン302とを有する。室内熱交換器301は、例えば、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィンアンドチューブ型熱交換器である。室内熱交換器301は、冷房運転時に冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時に冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する。すなわち、冷媒と室内空気とを熱交換して調和空気を生成する。生成された調和空気は、空調室内機300の吹出口(図示せず)から吹き出される。室内ファン302は、ファンモータ330(
図2参照)に接続されている。室内ファン302がファンモータ330の駆動によって回転すると、室内の空気は、室内熱交換器301に供給される。
【0025】
(2−2)空調室外機
空調室外機200は、ガス冷媒配管201と、液冷媒配管202と、膨張弁203と、圧縮機204と、四路切換弁205と、アキュムレータ206と、室外熱交換器207と、室外ファン208とを有する。ガス冷媒配管201の一端は、室外熱交換器207のガス側端部に接続され、ガス冷媒配管201の他端は、四路切換弁205に接続されている。液冷媒配管202の一端は、室外熱交換器207の液側端部に接続され、液冷媒配管202の他端は、膨張弁203に接続されている。
【0026】
膨張弁203は、冷媒を減圧する機構である。膨張弁203は、室外熱交換器207と冷媒連絡配管101の間に設けられている。圧縮機204は、圧縮機用モータによって駆動される密閉式圧縮機である。
【0027】
四路切換弁205は、冷媒が流れる方向を切り換える機構である。冷房運転時には、
図1の四路切換弁205の実線に示されるように、四路切換弁205は、圧縮機204の吐出側の冷媒配管とガス冷媒配管201を接続すると共に、アキュムレータ206を介して、圧縮機204の吸入側の冷媒配管と冷媒連絡配管102を接続する。一方、暖房運転時には、
図1の四路切換弁205の破線に示されるように、四路切換弁205は、圧縮機204の吐出側の冷媒配管と冷媒連絡配管102を接続すると共に、アキュムレータ206を介して、圧縮機204の吸入側の冷媒配管とガス冷媒配管201を接続する。
【0028】
アキュムレータ206は、冷媒を気相と液相に分ける。アキュムレータ206は、圧縮機204と四路切換弁205の間に設けられている。
【0029】
室外熱交換器207は、冷房運転時に冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時に冷媒の蒸発器として機能する。室外ファン208は、空気を室外熱交換器207に供給する。
【0030】
(3)空気調和機の空調動作
(3−1)冷房運転
膨張弁203の開度は、室内熱交換器301の出口(すなわち、室内熱交換器301のガス側)における冷媒の過熱度が一定になるように、調整されている。冷房運転時の四路切換弁205の接続状態は、既に説明した通りである。
【0031】
以上のような状態の冷媒回路において、圧縮機204から吐出された冷媒は、四路切換弁205を通って室外熱交換器207へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器207から流出された冷媒は、膨張弁203を通過するときに膨張する。その後、室内熱交換器301へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。
【0032】
(3−2)暖房運転
膨張弁203の開度は、室内熱交換器301の出口における冷媒の過冷却度が過冷却度目標値で一定になるように、調節されている。暖房運転時の四路切換弁205の接続状態は、既に説明した通りである。
【0033】
以上のような状態の冷媒回路において、圧縮機204から吐出された冷媒は、四路切換弁205を通って室内熱交換器301へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。室内熱交換器301から流出した冷媒は、膨張弁203を通過するときに膨張する。その後、室外熱交換器207へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器207から流出した冷媒は、四路切換弁205を通過後に再び圧縮機204へ吸入されて圧縮される。
【0034】
(4)空調室内機の機能ブロック
図2は、空調室内機300の機能ブロックの一例を説明する図である。空調室内機300は、ファンモータ330に加えて、制御部310と、温度センサ320と、リモートコントローラ340とを含む。
【0035】
制御部310は、MPU、ROMおよびRAM等から構成されたコンピュータである。ROMには、後述のフローチャートで用いられる各種閾値、および後述の下限回転数等が予め記憶されている。制御部310は、温度センサ320およびファンモータ330に電気的に接続されている。
【0036】
制御部310は、後述のコマンド信号に基づいて運転モードを設定する設定部としての役割を担う。運転モードは、第1暖房モードの一例としての通常暖房モード、および第2暖房モードの一例としての高温風モードを含む。すなわち、空気調和機100は、通常暖房モードおよび高温風モードを暖房機能として備える。高温風モードの吹出し温度は、通常暖房モードの吹出し温度よりも高い。すなわち、高温風モードでは、通常暖房モードよりも高温の調和空気が生成される。運転モードは、さらに、送風モード、および冷房モードを含む。
【0037】
制御部310は、温度センサ320から温度センサ320の出力値を取得する。制御部310は、取得した出力値に基づいて、室内ファン302の回転数を制御する。すなわち、ファンモータ330を制御する。詳しくは後述するが、制御部310は、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、取得した出力値が予め設定されている閾値よりも大きければ、回転数の下限値を設定する。これにより、室内ファン302の回転数を段階的に低下させる。
【0038】
温度センサ320は、冷媒圧力に関する値の一例としての室内熱交換器温度を検出する。室内熱交換器温度は、室内熱交換器301の2相域での温度である。温度センサ320は、検出した室内熱交換器温度を制御部310に送信する。
【0039】
リモートコントローラ340は、ユーザ操作に基づいて、赤外線により、制御部310にコマンド信号を送信する。コマンド信号は、運転モードの設定に関するコマンド信号を含む。ユーザは、リモートコントローラ340を操作することによって、空調室内機300の運転モードを設定することができる。
【0040】
(5)通常暖房モードと高温風モードの切換
図3は、通常暖房モードと高温風モードの切換を説明する図である。既に説明したように、空気調和機100は、暖房機能として、通常暖房モードおよび高温風モードを有する。運転モードが通常暖房モードに設定されている場合に、ユーザから高温風モードの機能オンの要求があれば、空調室内機300は、通常暖房モードから高温風モードに切り換える。
【0041】
一方、運転モードが高温風モードに設定されている場合に、ユーザから高温風モードの機能オフの要求があれば、空調室内機300は、高温風モードから通常暖房モードに切り換える。また、運転モードが高温風モードに設定されてから、予め設定されている時間が経過した場合にも、空調室内機300は、高温風モードから通常暖房モードに切り換える。
【0042】
(6)室内ファンの回転数の低下速度
図4は、室内ファン302の回転数の低下速度を説明する図である。横軸は、時間を示し、縦軸は、室内ファン302の回転数を示す。
【0043】
グラフg1では、室内ファン302の回転数は、カレント回転数R
CURから目標回転数R
REに右肩下がりに直線状に低下する。すなわち、一次関数的に単調減少する。グラフg1では、室内ファン302の回転数がカレント回転数R
CURから目標回転数R
REに低下するまでに、時間t5−時間t1の期間が必要である。すなわち、第1速度としての回転数の低下速度は、(R
CUR−R
RE)/(t5−t1)である。運転モードが通常暖房モードに設定されている場合には、室内ファン302の回転数は、グラフg1に示されるように、第1速度で下げられる。
【0044】
グラフg2では、室内ファン302の回転数は、一次関数的に単調減少するのではなく、低下区間decと維持区間mtを繰り返しながら、カレント回転数R
CURから目標回転数R
REに低下する。すなわち、室内ファン302の回転数は、段階的に低下する。詳しくは後述するが、回転数の下限値が適宜設定されることにより、すなわち、維持区間mtが設けられることにより、一次関数的に単調減少することが回避される。低下区間decは、室内ファン302の回転数が低下する区間であり、維持区間mtは、室内ファン302の回転数が維持される区間である。
【0045】
本実施形態においては、室内ファン302の回転数は、まず、時間t1から時間t2にかけて、カレント回転数R
CURから第1下限回転数R
LIM1に低下する。第1下限回転数R
LIM1は、特定のファンタップでの回転数である。第1下限回転数R
LIM1は、圧縮機204の停止を回避する観点から、十分に許容される回転数として予め設定されている。その後、室内ファン302の回転数は、維持区間mtと低下区間decを繰り返す。より詳細には、室内ファン302の回転数の区間は、時間t2から時間t3まで維持区間mtであり、時間t3から時間t4まで低下区間decである。時間t4から時間t6まで維持区間mtであり、時間t6から時間t7まで低下区間decである。時間t7から時間t8まで維持区間mtであり、時間t8から時間t9まで低下区間decである。
【0046】
繰り返し区間における各低下区間decでは、室内ファン302の回転数は、第2下限回転数ずつ低下する。なお、
図4においては、カレント回転数R
CURから第1下限回転数までの下げ幅は、繰り返し区間における各低下区間decでの下げ幅よりも小さい。
【0047】
グラフg2では、室内ファン302の回転数がカレント回転数R
CURから目標回転数R
REに低下するまでに、時間t9−時間t1の期間が必要である。すなわち、グラフg3に示されるように、全体としての、第2速度としての回転数の低下速度は、(R
CUR−R
RE)/(t9−t1)である。
【0048】
グラフg1およびグラフg3から明らかなように、第2速度は、第1速度よりも遅い。また、グラフg2の各低下区間decにおける速度は、第1速度と同一である。
【0049】
(7)フローチャート
図5は、室内ファン302の回転数の下限値設定処理のフローチャートの一例を示す図である。本フローチャートは、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に開始される。本フローチャートにおいて、変数TEMhは、室内熱交換器温度を示す。定数TEMthは、室内熱交換器温度の閾値を示す。変数RF
LIMは、室内ファン302の回転数の下限値を示す。定数RF
LIM1は、第1下限回転数を示す。定数RF
LIM2は、第2下限回転数を示す。定数RF
REは、目標回転数を示す。目標回転数は、例えば、高温風モードに切り換えられる直前の、通常暖房モードでの回転数である。変数TIMは、タイマのカウント値を示す。定数TIMthは、タイマの閾値を示す。
【0050】
運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられると、制御部310は、変数TEMhが定数TEMthよりも大きいかを判定する(ステップS101)。すなわち、室内熱交換器温度が予め設定されている閾値よりも大きいかを判定する。
【0051】
制御部310は、変数TEMhが定数TEMthよりも大きいと判定した場合には(ステップS101でYES)、変数RF
LIMに定数RF
LIM1を代入する(ステップS102)。すなわち、室内ファン302の回転数の下限値を第1下限回転数に設定する。その後、制御部310は、一定時間毎に室内ファン302の回転数の下限値を下げていく。すなわち、段階的に室内ファン302の回転数の下限値を下げていく。これにより、第1速度よりも遅い第2速度で回転数を下げる。具体的には、下記の通りである。
【0052】
まず、制御部310は、タイマを開始する(ステップS103)。次に、変数TIMが定数TIMth以上であるかを判定する(ステップS104)。変数TIMが定数TIMth未満であると判定した場合には(ステップS104でNO)、そのまま待機する。一方、変数TIMが定数TIMth以上であると判定した場合には(ステップS104でYES)、変数RF
LIMから定数RF
LIM2を引いた値を新たに変数RF
LIMに代入する(ステップS105)。すなわち、室内ファン302の回転数の下限値を定数RF
LIM2だけ下げる。
【0053】
制御部310は、変数RF
LIMが定数RF
RE以下であるか判定する(ステップS106)。すなわち、室内ファン302の回転数の下限値が目標回転数に到達したかを判定する。制御部310は、変数RF
LIMが定数RF
REよりも大きいと判定した場合には(ステップS106でNO)、タイマをリセットして(ステップS107)、ステップS103に戻る。変数RF
LIMが定数RF
RE以下であると判定した場合(ステップS106でYES)には、一連の処理を終了する。また、ステップS101において、変数TEMhが定数TEMth以下であると判定した場合にも(ステップS101でNO)、下限値設定処理を行うことなく、一連の処理を終了する。この場合には、室内ファン302の回転数を第1速度で低下させればよい。
【0054】
(8)空気調和機の特徴
本実施形態の空気調和機100においては、制御部310は、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、第1速度で回転数を下げるのではなく、第1速度よりも遅い第2速度で回転数を下げる。これにより、室内熱交換器301での冷媒温度の過度の上昇を抑制することができる。
【0055】
本実施形態の空気調和機100においては、制御部310は、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、室内熱交換器温度に基づいて、回転数を制御する。具体的には、まず、室内熱交換器温度が予め設定されている閾値よりも大きいかを判定する。そして、室内熱交換器温度が予め設定されている閾値よりも大きい場合には、第2速度で回転数を下げる。室内熱交換器温度が予め設定されている閾値以下である場合には、第1速度で回転数を下げる。制御部310が室内熱交換器温度に基づいて回転数を制御するので、冷媒圧力に適した速度で回転数を下げることができる。
【0056】
本実施形態の空気調和機100においては、制御部310は、室内熱交換器温度として温度センサ320の出力値が閾値よりも高ければ、第2速度で回転数を下げる。したがって、空気調和機100が圧力センサを備えなくてもよい。
【0057】
本実施形態の空気調和機100においては、制御部310は、回転数を維持する区間と回転数を低下させる区間とを繰り返すことにより、全体として第2速度で回転数を目標回転数まで下げる。これにより、プログラムによる制御の簡略化が期待できる。
【0058】
<変形例>
本発明の実施形態に適用可能な変形例を説明する。
【0059】
(1)変形例A
以上の説明では、空気調和機100は、温度センサ320を備えたが、温度センサ320の代わりに、または温度センサ320に加えて、圧力センサを備えてもよい。圧力センサは、圧縮機204の吐出側での冷媒圧力を検出する。制御部310は、圧力センサの出力値を取得する。そして、取得した出力値に応じて、ファンモータ330を制御する。
【0060】
制御部310は、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、取得した出力値が予め設定されている閾値よりも大きければ、回転数の下限値を設定してもよい。これにより、室内ファン302の回転数を段階的に低下させることができるので、室内ファン302の回転数を第2速度で低下させることができる。この場合に、例えば、
図5で説明したフローチャートを適用することができる。制御部310が圧力センサの出力値に応じてファンモータ330を制御する場合には、室内ファン302の回転数をより高精度で制御することができる。
【0061】
(2)変形例B
以上の説明では、制御部310は、冷媒圧力そのもの、または冷媒圧力に相関する室内熱交換器温度に応じて、回転数の下限値設定の要否を判定したが、他の要素に応じて、回転数の下限値設定の要否を判定してもよい。例えば、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合に、直前の通常暖房モードでの室内ファン302の風量が、高温風モードでの室内ファン302の風量よりも低ければ、制御部310は、運転モードの切換により、室内ファン302の風量を低下させて、直前の設定値に戻す。このとき、冷媒圧力が過度に上昇する場合があり得る。
【0062】
そこで、制御部310は、室内ファン302の風量に基づいて、室内ファン302の回転数の下限値設定の要否を判定してもよい。より詳細には、直前の通常暖房モードでの室内ファン302の風量が、高温風モードでの室内ファン302の風量よりも低ければ、室内ファン302の回転数を段階的に下げるとよい。
【0063】
(3)変形例C
以上の説明では、
図4のグラフg2の各低下区間decにおける速度は、第1速度と同一であったが、第1速度と同一でなくてもよい。例えば、第1速度よりも遅くてもよい。これにより、室内熱交換器301での冷媒温度の過度の上昇をより抑制することができる。
【0064】
(4)変形例D
以上の説明では、制御部310は、室内ファン302の回転数を段階的に下げることにより、室内ファン302の回転数を第2速度で下げたが、段階的に下げなくてもよい。例えば、
図4のグラフg3で示したように、室内ファン302の回転数を一次関数的に単調減少させてもよい。
【0065】
(5)変形例E
カレント回転数R
CURから第1下限回転数までの下げ幅は、カレント回転数R
CURに応じて適宜設定されてもよい。また、カレント回転数R
CURから第1下限回転数までの下げ幅は、繰り返し区間における各低下区間decでの下げ幅と同一であってもよいし、繰り返し区間における各低下区間decでの下げ幅よりも大きくてもよい。
【0066】
(6)変形例F
以上の説明では、運転モードが高温風モードから通常暖房モードに切り換えられた場合を例に挙げたが、運転モードが通常暖房モードから高温風モードに切り換えられた場合にも、制御部310は、室内ファン302の回転数を第2速度で下げてもよい。この場合にも、
図5で示したフローチャートを適用することができる。すなわち、運転モードが高温風モードおよび通常暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、
図5で示したフローチャートを適用することができる。
【0067】
(7)変形例G
図5では、変数RF
LIMが定数RF
RE以下であると判定した場合(ステップS106でYES)、またはステップS101において、変数TEMhが定数TEMth以下であると判定した場合に、一連の処理を終了した。しかしながら、制御部310は、これらの条件を満たさなくても、圧縮機204が停止した場合に、一連の処理を終了してもよい。例えば、運転モードが送風モード、または冷房モードに切り換えられた場合に、圧縮機204は停止する。したがって、制御部310は、運転モードが送風モード、または冷房モードに切り換えられた場合に、一連の処理を終了してもよい。すなわち、下限値の設定を解除してもよい。
【0068】
以上のように、本発明は実施形態を用いて説明されたが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の範囲に限定されない。多様な変更または改良を上記の実施形態に加えることが可能であることは、当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
特許請求の範囲、明細書、および図面中に示した装置、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いる場合でない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】空気調和機100は、室内ファン302と、室内熱交換器301と、制御部310とを備える。室内熱交換器301は、冷媒と室内空気とを熱交換して調和空気を生成する。制御部310は、運転モードを設定する。制御部310は、室内ファンの回転数を制御する。より詳細には、運転モードが第1暖房モードおよび第1暖房モードよりも高温の調和空気が生成される第2暖房モードの一方から他方に切り換えられた場合に、運転モードが第1暖房モードに設定されている場合の回転数の低下速度である第1速度よりも遅い第2速度で回転数を下げる。