(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の磁極(32a)が配置された第1環状領域と、複数の前記磁極を連結する第2環状領域とを有し、前記第2環状領域の上に固定面(32e)を有するステータコア(32)、
複数の前記磁極に配置されたステータコイル(33)、
前記ステータコアに装着されたインシュレータ(35)、および
前記第1環状領域に沿って配置される配線(11a、11b)、および/または前記ステータコイルから延び出すコイル端部(37、637)のための配線部品であって、前記ステータコアの軸方向と平行に、かつ、前記ステータコアの径方向に沿って広がる板状の部材であり、前記第2環状領域の上において前記ステータコアに直接的または間接的に固定された固定部(69、83、783a、783b)を有する配線部品(65、81)を備え、
前記固定部は、前記ステータコアの周方向に関して互いに離れた第1固定部(783a)と第2固定部(783b)とを有し、
前記第1固定部と前記第2固定部との間に、他の部品(61)を有している内燃機関用回転電機のステータ。
前記ステータコアおよび/または前記インシュレータは、前記ステータコアの軸方向に沿って延びており、前記固定部を受け入れているスリット(84、784a、784b)を有し、
前記固定部は、前記ステータコアの軸方向を挿入方向として前記スリット内に挿入されており、
前記固定部は、前記固定部を形成する板の端面の一部であって、前記ステータコアの軸方向において前記スリット上に位置し、前記挿入方向の後方に面する端面(65a、86、786a、786b)を有している請求項1に記載の内燃機関用回転電機のステータ。
複数の磁極(32a)が配置された第1環状領域と、複数の前記磁極を連結する第2環状領域とを有し、前記第2環状領域の上に固定面(32e)を有するステータコア(32)、
複数の前記磁極に配置されたステータコイル(33)、
前記ステータコアに装着されたインシュレータ(35)、および
前記第1環状領域に沿って配置される配線(11a、11b)、および/または前記ステータコイルから延び出すコイル端部(37、637)のための配線部品であって、前記ステータコアの軸方向と平行に広がる板状の部材であり、前記第2環状領域の上において前記ステータコアに直接的または間接的に固定された固定部(69、83、783a、783b、883)を有する配線部品(65、81)を備え、
前記配線部品は、前記第1環状領域の上と前記第2環状領域の上との間にわたって延びており、
前記配線部品は、前記第1環状領域の上に配置され、前記配線を前記第1環状領域の上に保持するための保持部、または、前記配線と接続される接続部を有し、
前記ステータコアおよび/または前記インシュレータは、前記ステータコアの軸方向に沿って延びており、前記固定部を受け入れているスリット(84、784a、784b、884)を有し、
前記固定部は、前記ステータコアの軸方向を挿入方向として前記スリット内に挿入されており、
前記固定部は、前記固定部を形成する板の端面の一部であって、前記ステータコアの軸方向において前記スリット上に位置し、前記挿入方向の後方に面する端面(65a、86、786a、786b、886)を有している内燃機関用回転電機のステータ。
前記配線部品は、前記配線(11a、11b)を前記第1環状領域の上に保持するためのブラケット(81)である請求項1から請求項7のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
前記配線部品は、外部回路に接続される電力線(11b)と前記コイル端部とを接続する接続端子(65)である請求項1から請求項7のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
複数の磁極(32a)が配置された第1環状領域と、複数の前記磁極を連結する第2環状領域とを有し、前記第2環状領域の上に固定面(32e)を有するステータコア(32)、
複数の前記磁極に配置されたステータコイル(33)、
前記ステータコアに装着されたインシュレータ(35)、および
外部回路に接続される電力線(11b)と前記ステータコイルから延び出すコイル端部(37、637)とを接続する接続端子(65)を備え、
前記接続端子は、
前記第1環状領域の上に配置され、前記電力線(11b)と接続される第1接続部(66)と、
前記第2環状領域の上に配置され、前記コイル端部と接続される第2接続部(67)と、
前記第1接続部と前記第2接続部との間にわたって延びており、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する腕部(68)と、
前記第2環状領域の上において、前記インシュレータに固定された固定部(69)とを備える内燃機関用回転電機のステータ。
さらに、前記第2接続部および前記コイル端部の少なくとも一部を覆い、前記第2接続部および前記コイル端部の一部を保護する保護部材(79)を備える請求項10から請求項12のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0028】
(第1実施形態)
図1において、内燃機関用回転電機(以下、単に回転電機10という)は、発電電動機、または交流発電機スタータ(AC Generator Starter)とも呼ばれる。回転電機10は、インバータ回路(INV)と制御装置(ECU)とを含む電気回路11と電気的に接続されている。電気回路11は、三相の電力変換回路を提供する。回転電機10の用途の一例は、車両用の内燃機関12と連結される発電電動機である。回転電機10は、例えば、二輪車に利用することができる。
【0029】
電気回路11は、回転電機10が発電機として機能するとき、出力される交流電力を整流し、バッテリを含む電気負荷に電力を供給する整流回路を提供する。電気回路11は、回転電機10から供給される点火制御用の基準位置信号を受信する信号処理回路を提供する。電気回路11は、点火制御を実行する点火制御器を提供してもよい。電気回路11は、回転電機10を電動機として機能させる駆動回路を提供する。電気回路11は、回転電機10を電動機として機能させるための回転位置信号を回転電機10から受信する。電気回路11は、検出された回転位置に応じて回転電機10への通電を制御することにより回転電機10を電動機として機能させる。
【0030】
回転電機10は、内燃機関12に組み付けられている。内燃機関12は、ボディ13と、ボディ13に回転可能に支持され、内燃機関12と連動して回転する回転軸14とを有する。回転電機10は、ボディ13と回転軸14とに組み付けられている。ボディ13は、内燃機関12のクランクケース、ミッションケースなどの構造体である。回転軸14は、内燃機関12のクランク軸、またはクランク軸と連動する回転軸である。回転軸14は、内燃機関12が運転されることによって回転し、回転電機10を発電機として機能させるように駆動する。回転軸14は、回転電機10が電動機として機能するとき、回転電機10の回転によって内燃機関12を始動可能な回転軸である。また、回転軸14は、回転電機10が電動機として機能するとき、回転電機10の回転によって内燃機関12の回転を支援(アシスト)することができる回転軸である。
【0031】
回転電機10は、アウタロータ型の回転電機である。ロータ21と、ステータ31と、センサユニット41とを有する。以下の説明において、軸方向の語は、ロータ21、ステータ31、またはステータコア32を円筒と見なした場合の中心軸に沿う方向を指す。径方向の語は、ロータ21、ステータ31、またはステータコア32を円筒と見なした場合の径方向を指す。
【0032】
ロータ21は、界磁子である。ステータ31は、電機子である。ロータ21は、全体がカップ状である。ロータ21は、その開口端をボディ13に向けて位置付けられる。ロータ21は、回転軸14の端部に固定される。ロータ21と回転軸14とは、キー嵌合などの回転方向の位置決め機構を介して連結されている。ロータ21は、固定ボルト25によって回転軸14に締め付けられることによって固定されている。ロータ21は、回転軸14とともに回転する。ロータ21は、永久磁石によって界磁を提供する。
【0033】
ロータ21は、カップ状のロータコア22を有する。ロータコア22は、内燃機関12の回転軸14に連結される。ロータコア22は、回転軸14に固定される内筒と、内筒の径方向外側に位置する外筒と、内筒と外筒との間に拡がる環状の底板とを有する。ロータコア22は、後述する永久磁石のためのヨークを提供する。ロータコア22は、磁性金属製である。
【0034】
ロータ21は、ロータコア22の内面に配置された永久磁石23を有する。永久磁石23は、外筒の内側に固定されている。永久磁石23は、径方向内側に配置された保持カップ24によって軸方向および径方向に関して固定されている。保持カップ24は、薄い非磁性金属製である。保持カップ24は、ロータコア22に固定されている。
【0035】
永久磁石23は、複数のセグメントを有する。それぞれのセグメントは、部分円筒状である。永久磁石23は、その内側に、複数のN極と複数のS極とを提供する。永久磁石23は、少なくとも界磁を提供する。永久磁石23は、12個のセグメントによって、6対のN極とS極、すなわち12極の界磁を提供する。磁極の数は、他の数でもよい。永久磁石23は、点火制御のための基準位置信号を提供するための部分的な特殊磁極を提供する。特殊磁極は、界磁のための磁極配列とは異なる部分的な磁極によって提供される。
【0036】
ステータ31は、環状の部材である。ステータ31は、外突極型のステータである。ステータ31は、ロータ21とボディ13との間に配置されている。ステータ31は、回転軸14とロータコア22の内筒とを受け入れることができる貫通穴32cを有する。ステータ31は、ロータ21の内面とギャップを介して対向する外周面を有する。外周面には、複数の磁極32aが配置されている。ステータ31は、例えば、18個の磁極32aを有する。磁極32aの数は、他の数でもよい。これら磁極32aは、ロータ21の界磁と対向して配置されている。ステータ31は、電機子巻線を有する。ステータ31は、多相の電機子巻線を有する。ステータ31は、ボディ13に固定される。ステータ31は、複数の磁極32aと、複数の三相巻線とを有する三相多極ステータである。
【0037】
ステータ31は、ステータコア32を有する。ステータコア32は、内燃機関12のボディ13に固定されることによってロータ21の内側に配置される。ステータコア32は、永久磁石23と対向する複数の磁極32aを径方向外側に形成する。ステータコア32は、複数の磁極32aを形成するように所定の形状に成形された電磁鋼板または鋼板などの磁性材料を積層することにより形成されている。ステータコア32は、永久磁石23の内面と対向する複数の磁極32aを提供する。ステータコア32の複数の磁極32aの間には、隙間32bが設けられている。
【0038】
ステータ31は、ステータコア32に巻回されたステータコイル33を有する。ステータコイル33は、ステータコア32の外側環状領域に配置されている。ステータコイル33は、電機子巻線を提供する。ステータコイル33は、三相巻線である。ステータコイル33は、ロータ21およびステータ31を発電機または電動機として選択的に機能させることができる。ステータコイル33を形成するコイル線は、絶縁被覆によって被覆された単線導体である。コイル線は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のようなアルミ系金属製である。コイル端部37は、コイル線の端部である。
【0039】
ステータ31とボディ13とは、固定ボルト34を介して連結されている。ステータ31は、複数の固定ボルト34によってボディ13に締め付けられることによって固定されている。ステータ31は、ボディ13から延び出すボス部13aに固定されている。ボス部13aは、筒状の部分である。ボス部13aは、ボディ13と一体の金属製の部材である。
【0040】
ステータコア32とステータコイル33との間には絶縁材料製のインシュレータ35が配置されている。インシュレータ35は、樹脂製である。インシュレータ35は、ボビンとも呼ばれる。インシュレータ35の一部は、磁極32aに隣接して位置づけられることによって、ボビンのフランジ部を提供する。インシュレータ35の一部は、磁極32aの軸方向における両側に配置されている。以下の説明では、多くの場合、インシュレータ35は、ボビンのフランジ部を指す。
【0041】
センサユニット41は、内燃機関用回転位置検出装置を提供する。センサユニット41は、ステータコア32の一端面に固定されている。センサユニット41は、ステータコア32とボディ13との間に配置されている。
【0042】
センサユニット41は、ロータ21に設けられた永久磁石23が供給する磁束を検出することにより、ロータ21の回転位置を検出し、回転位置を示す電気信号を出力する。センサユニット41は、複数の回転位置センサ43(以下、単にセンサという)を有する。センサ43は、ホールセンサ、MREセンサなどによって提供される。この実施形態は、点火制御のためのひとつのセンサ43と、モータ制御のための3つのセンサ43とを有する。複数のセンサ43は、隣接する2つの磁極部分の間に配置されている。磁極部分は、主として磁極32aによって提供される。磁極部分は、磁極32a、ステータコイル33、およびインシュレータ35を含む場合がある。
【0043】
センサユニット41は、電気回路部品42を収容する。電気回路部品42は、基板と、基板に実装された電気素子、および電線などを含む。センサユニット41は、センサ43を収容する。センサユニット41は、樹脂材料製のケース51を有する。ケース51は、電気回路部品42とセンサ43とを収容し、保持する。センサ43は、電気回路部品42と接続される。ケース51は、電気回路部品42を収容するための容器52を有する。
【0044】
ケース51は、少なくともひとつのセンサ43を収容し、直接的にまたは間接的に支持するための少なくともひとつのカバー53を有する。カバー53は、センサ43のための鞘とも呼ぶことができる。複数のカバー53は、点火制御のための基準位置検出用のセンサのためのひとつのカバー53と、回転電機制御のためのセンサのための3つのカバー53とを有する。
【0045】
この実施形態における点火制御およびモータ制御のための永久磁石23に関連する細部、および複数のセンサ43に関連する細部については、特許文献として列挙した特開2013−233030号公報、特開2013−27252号公報、または特許第5064279号に記載の内容を援用することができ、同記載の内容は参照により引用されている。
【0046】
ケース51は、締付部54を有する。締付部54は、回転電機10の径方向に関して容器52より径方向内側に設けられている。容器52と締付部54との間には、それらの間を連結するための連結部55が設けられている。固定ボルト44は、ステータコア32のボディ13と反対側の面からステータコア32を貫通して配置されている。固定ボルト44のステータコア32から突出する先端部は、締付部54の雌ねじ部分に螺合される。これにより、センサユニット41は、ステータコア32に固定される。容器52内は、保護用の封止樹脂56によって満たされている。封止樹脂56は電気回路部品42を保護するためのポッティング樹脂である。
【0047】
センサユニット41は、センサ43から出力される信号を外部に取り出すための外部接続用の信号線11aを有する。回転電機10は、ステータコイル33と電気回路11とを接続する複数の電力線11bを有する。電気回路11は電力線11bが接続される外部回路である。電力線11bは、回転電機10が発電機として機能するとき、ステータコイル33に誘導される電力を電気回路11に供給する。電力線11bは、回転電機10が電動機として機能するとき、ステータコイル33を励磁するための電力を電気回路11からステータコイル33へ供給する。
【0048】
信号線11aは、回転電機10のための配線のひとつである。電力線11bは、回転電機10のための配線のひとつである。信号線11aおよび電力線11bは、ステータコア32の外側環状領域に沿って配置される。信号線11aは、ボディ13の上にも沿って敷設される。電力線11bは、ボディ13の上にも沿って敷設される。
【0049】
図2において、ステータコイル33は、多相巻線である。ステータコイル33は、三相巻線である。ステータコイル33は、スター結線されている。ステータコイル33は、複数の相コイルu1、u2、v1、v2、w1、w2を有する。電気的に同相の複数の相コイルu1、u2は並列接続されている。複数の相コイルv1、v2も並列接続されている。複数の相コイルw1、w2も並列接続されている。複数の相コイルu1、u2、v1、v2、w1、w2は、一組の三相巻線(u1、u2)−(v1、v2)−(w1、w2)を形成するように接続されている。よって、ステータコイル33は、3つの出力端PTと、ひとつの中性点NTとを有する。出力端PTは、2つのコイル端部37と、ひとつの電力線11bとの間を接続する。中性点NTは、6つのコイル端部を接続する。なお、複数の相コイルu1、u2、v1、v2、w1、w2は、二組の三相巻線u1−v1−w1、u2−v2−w2を形成するように接続されてもよい。
【0050】
図3および
図4において、ステータコア32は、径方向外側に設けられた外側環状領域と、径方向内側に設けられた内側環状領域とを有する。外側環状領域は、ステータコイル33を配置するための環状部分である。外側環状領域は、複数の磁極32aを互いに独立的に配置するための磁極部分とも呼ぶことができる。外側環状領域は、複数の磁極32aとステータコイル33とが配置された第1環状領域を提供する。内側環状領域は、ステータ31をボディ13に固定するための環状部分でもある。内側環状領域は、複数の磁極32aに共通の共通磁路部分とも呼ぶことができる。内側環状領域は、複数の磁極32aを連結する第1環状領域を提供する。外側環状領域と内側環状領域との境界は、インシュレータ35が提供するボビンの内側フランジに対応している。
【0051】
内側環状領域は、回転軸14およびロータコア22の内筒を受け入れるための貫通穴32cを区画形成している。さらに、内側環状領域は、複数の固定ボルト34を受け入れるための複数の貫通穴32dを有する。これら貫通穴32dは、ステータコア32の周方向に関する位置を規定するために貢献する。ステータコア32は、内側環状領域の上に固定面32eを有する。固定面32eは、ボディ13にステータコア32を固定するために利用される。固定面32eは、貫通穴32cの周囲、および貫通穴32dの周囲に広がっている。固定面32eは、ステータコア32の軸方向端面に設けられている。固定面32eは、貫通穴32cを囲む細い環状部分を有する。固定面32eは、細い環状部分から径方向外側に延び出し、貫通穴32dを囲むタブ部分を有する。
【0052】
ステータ31のための複数の部品、例えば配線のための配線部品は、固定面32eを避けて、周方向に互いに離れて配置されている。ステータコア32の上には、ステータコイル33の出力端PTのための配線部品を配置し固定するための部品搭載部31aが設けられている。インシュレータ35は、内側環状領域の上に部品搭載部31aを形成している。ステータコア32の上には、ステータコイル33の中性点NTのための配線部品を配置し固定するための部品搭載部31bが設けられている。インシュレータ35は、内側環状領域の上に部品搭載部31bを形成している。ステータコア32の上には、センサユニット41を配置し固定するための部品搭載部31cが設けられている。これら部品搭載部31a、31b、31cのそれぞれは、周方向に配置された2つの貫通穴32dの間に位置している。部品搭載部31a、31b、31cのそれぞれは、固定面32eの2つのタブ部分の間に位置している。
【0053】
部品搭載部31aは、複数の出力端PTを提供するための3つの接続部分61、62、63を配置するために利用される。部品搭載部31aは、端子台とも呼ばれる。3つの接続部分61、62、63のそれぞれは、インシュレータ35に固定された接続端子65を有する。部品搭載部31aは、信号線11aおよび/または電力線11bを保持するためのブラケット81を配置するために利用される。
【0054】
部品搭載部31bは、中性点NTを提供するために利用される。部品搭載部31bは、端子台とも呼ばれる。部品搭載部31bには、図示されない接続端子が配置される。接続端子は、中性点NTを提供するように複数のコイル端部を接続するために利用される。
【0055】
部品搭載部31cは、センサユニット41を配置するために利用される。部品搭載部31cは、ステータコア32の端面によって提供される。
【0056】
3つの接続部分61、62、63は、多相巻線のための複数の出力端PTを提供する。3つの接続部分61、62、63のそれぞれは、接続端子65と、接続端子65に電気的に接続される複数のコイル端部37と、接続端子65に電気的に接続される電力線11bとによって提供される。さらに、3つの接続部分61、62、63のそれぞれは、コイル端部37を所定の形状に保持するための案内部を有する。案内部は、インシュレータ35によって提供されている。
【0057】
3つの接続部分61、62、63は、径方向の長さが異なる3つの接続端子65によって提供されている。径方向の長さの違いは、複数の電力線11bを、ステータ31の端面上に、径方向に重なるように配置することを可能とする。径方向の長さの違いは、複数の電力線11bの干渉を抑制するために貢献する。径方向の長さの違いは、ステータ31の周方向に沿って配置される複数の電力線11bが、軸方向に関して重複しないように設定されている。
【0058】
3つの接続部分61、62、63は、径方向に対して延びる角度が異なる3つの接続端子65によって提供されている。3つの接続端子65は、径方向に対して互いに異なる角度をもって延びるように形成されている。角度の違いは、複数の電力線11bを、ステータ31の端面上に、径方向に重なるように配置することを可能とする。角度の違いは、複数の電力線11bの干渉を抑制するために貢献する。角度の違いは、複数の電力線11bの終端部分が延びる方向を互いに近づけるように設定されている。
【0059】
3つの接続部分61、62、63は、相似の形状を有しているから、以下の説明では、接続部分61を中心に説明する。他の接続部分62、63については、接続部分61に関する説明を参照することができる。
【0060】
接続端子65は、板状の部材である。接続端子65は、ステータコア32の軸方向と平行な板状の部材である。言い換えると、接続端子65は、ステータ31の端面に対して縦に広がる板状の部材である。接続端子65は、外部回路である電気回路11に接続される電力線11bとステータコイル33から延び出すコイル端部37とを接続する。
【0061】
接続端子65は、導電性の金属製である。接続端子65は、アルミニウムまたはアルミニウム合金のようなアルミ系金属、鉄または鉄合金のような鉄系金属、銅、黄銅などによって提供することができる。接続端子65の材料は、そこに接続される導線、例えば、コイル端部37の材料に応じて選定される。接続端子65は、ステータコイル33との接続および電力線11bとの接続に適した材料によって提供されている。例えば、接続端子65の材料は、コイル端部37との組み合わせに起因する腐食を抑制するように選定される。コイル端部37がアルミ系金属である場合、接続端子65には、アルミ系金属、または鉄系金属が用いられる。接続端子65にアルミ系金属と、銅とが接続される場合、接続端子65は鉄系金属によって提供される場合がある。この実施形態では、接続端子65は、鉄系金属製である。
【0062】
接続端子65は、電力線11bが接続される外側接続部66を有する。接続端子65は、外側環状領域に沿って配置される電力線(配線)11bのための配線部品である。外側接続部66は、第1接続部とも呼ばれる。外側接続部66は、外側環状領域、すなわち第1環状領域の上に配置されている。
【0063】
外側接続部66は、ステータ31の周方向に沿って配置される電力線11bを受け入れるように形成されている。具体的には、外側接続部66は、周方向に向けて開口した隙間を区画する爪部を有している。外側接続部66は、電力線11bとの接続に適した形状を有する。電力線11bは、しなやかに変形するために、複数の銅線を撚った撚り線によって提供されている。外側接続部66は、複数の銅線を包み込むように塑性変形させることができる爪部を有している。外側接続部66は、電力線11bの端部を締め付けるように変形させられる。外側接続部66は、はんだ付けに適した形状を有している。
【0064】
接続端子65は、コイル端部37が接続される内側接続部67を有する。接続端子65は、ステータコイル33から延び出すコイル端部37のための配線部品である。内側接続部67は、第2接続部とも呼ばれる。内側接続部67は、内側環状領域、すなわち第2環状領域の上に配置されている。
【0065】
内側接続部67は、コイル端部37との接続に適した形状を有する。コイル端部37は、回転電機の巻線の端部であり、比較的太い導体線の端部である。内側接続部67は、アルミ系金属との接続に適した形状を有する。内側接続部67は、コイル端部37との電気抵抗溶接、特にプロジェクション溶接に適した形状を有する。
【0066】
接続端子65は、外側接続部66と内側接続部67との間にわたって延びる腕部68を有する。腕部68は、外側接続部66と内側接続部67とを接続する。腕部68は、径方向にほぼ沿って延びている。接続部分62の腕部は径方向に沿って延びている。接続部分61の腕部68は、接続部分62に近づくように径方向に対してやや傾斜して延びている。接続部分63の腕部は、接続部分62に近づくように径方向に対してやや傾斜して延びている。このように、3つの接続部分61、62、63の腕部は、互いに近づくように傾斜して延びている。
【0067】
接続部分61、62、63には、金属部分の露出部分を覆うように保護部材79が付与されている。保護部材79は、少なくとも内側接続部67とコイル端部37とを覆うように付与されている。追加的に、または代替的に、保護部材79は、腕部68および/または外側接続部66を覆うように付与されていてもよい。保護部材79は、電気絶縁性の樹脂材料によって提供することができる。例えば、保護部材79は、流動状態の絶縁樹脂を滴下または塗布した後に硬化させることによって形成される。
【0068】
図5において、接続部分61が拡大図によって図示されている。図中には、外側接続部66にはんだ付けが適用される場合のはんだ78が図示されている。
【0069】
接続端子65は、固定部69を有する。固定部69は、ステータコア32の軸方向と平行に、かつ、ステータコア32の内側から外側に広がる板状の部材である。固定部69の径方向の幅は、内側接続部67と等しい。固定部69の径方向の幅は、部品搭載部31aの径方向の幅より小さい。固定部69は、接続端子65の一部として一体的に設けられている。固定部69は、内側環状領域の上においてインシュレータ35に固定されている。固定部69は、スリット76に挿し込まれることによって接続端子65を固定する。スリット76は、インシュレータ35によって形成されている。固定部69は、インシュレータ35に埋設される埋設部分でもある。固定部69は、スリット76内においてインシュレータ35と噛み合い、固定される。固定部69は、接続端子65を固定するための基部でもある。接続端子65は、径方向内側の端部に設けられた固定部69によって支持される片持ち梁状である。
【0070】
内側接続部67は、インシュレータ35からステータコア32の軸方向に沿って突出している。内側接続部67は、所定の厚さを上回る保護部材79の層が形成されるように、半円形の先端部を有する。内側接続部67は、プロジェクション溶接のための突条71を有する。突条71は、内側接続部67からコイル端部37に向けて突出するように形成されている。突条71は、ステータコア32の軸方向に沿って細長く延在している。突条71は、複数のコイル端部37の配列方向に沿って延びている。この結果、突条71と、コイル端部37とは、それらの長手方向が交差するように、例えば直交するように位置づけられる。
【0071】
コイル端部37の先端部には、絶縁被膜を剥離したストリップ部分38が設けられている。内側接続部67は、ストリップ部分38と接続されている。ストリップ部分38は、突条71の上に配置されている。突条71の頂部分と、ストリップ部分38とは、プロジェクション溶接によって溶接されている。
【0072】
コイル端部37は、ステータコイル33から、軸方向に沿って延び出すように配置され、さらに、径方向内側へ向けて延びるように部品搭載部31aの上に配置される。複数のコイル端部37は、ステータコア32の軸方向に沿って積層されるように配置される。これにより、突条71の長手方向に沿って複数のコイル端部37が配置される。
【0073】
インシュレータ35は、コイル端部37を案内するための案内部を有する。案内部は、コイル端部37を規定の形状に保持する保持部でもある。案内部は、コイル端部37が内側接続部67に接続される前の工程においてコイル端部37を規定の形状に保持する。案内部は、コイル端部37が配置されるスリット73を有する。案内部は、スリット73を区画形成するためのスリット区画部74、75を有する。スリット区画部74、75は、軸方向に沿って延び出す柱状の部材によって提供されている。
【0074】
スリット73は、部品搭載部31aの径方向外側の部位に形成されている。スリット73は、ステータコイル33とインシュレータ35との境界に形成されている。スリット73は、径方向外側および径方向内側に向けて開いている。さらに、スリット73は、軸方向に向けて開口している。これにより、スリット73は、コイル端部37を軸方向に沿って受け入れ可能な形状を提供する。スリット73の周方向の幅は、コイル端部37が圧入され、コイル端部37を保持できるように設定されている。スリット区画部74、75は、スリット区画部74、75の表面に沿ってコイル端部37を曲げることができるように形成されている。コイル端部37は、スリット区画部74、75においてL字型に曲げられている。
【0075】
スリット73の軸方向底面位置を含む寸法は、挿入されるコイル端部37の直径と本数とに応じて設定される。例えば、スリット73の軸方向底面位置は、ストリップ部分38と突条71の高さとが一致するように設定される。このように、スリット73およびスリット区画部74、75は、プロジェクション溶接のために適切な位置にコイル端部37を位置づける位置決め部材として機能する。また、ストリップ部分38と絶縁皮膜との境界部が、スリット73より径方向内側に位置するようにストリップ部分38とスリット73とが設定される。このような配置は、ストリップ部分38を保護部材79で確実に覆うことを可能とする。また、ストリップ部38は絶縁被膜がないから、ステータコイル33を提供するコイル線の中でも直径がわずかに細い。このため、スリット73内にストリップ部38が位置したり、境界部が位置したりすると、振動による応力集中や、コイル端部37の緩みを生じるおそれがある。この実施形態によると、上述の不具合なく、スリット73内にコイル端部37を確実に保持し、固定することができる。
【0076】
インシュレータ35は、部品搭載部31aの上に、接続端子65を受け入れるスリット76を区画形成する。接続端子65は、スリット76に挿し込まれることによってインシュレータ35に固定される。スリット76は、径方向に沿って細長く延びている。この結果、板状の接続端子65は、径方向に沿って広がるように配置される。なお、「径方向に沿って」の語は、径方向と厳密に一致していることを含み、さらに、径方向に対してやや傾斜した状態を包含している。板状の接続端子65が径方向に沿って広がるように配置されることにより、周方向の幅が狭い部品搭載部31aの上に、複数の接続端子65を配置することが可能となる。別の観点では、内側接続部67の上における接続作業のための空間が内側接続部67の周囲に提供される。
【0077】
インシュレータ35は、部品搭載部31aの上に、側壁77を有する。側壁77は、内側接続部67の周囲に広がる搭載面を囲むように設けられている。側壁77は、内側接続部67の周囲に、浅い皿状の容器部分を提供する。側壁77は、部品搭載部31aの上に配置された3つの内側接続部67を囲むように形成されている。側壁77は、保護部材79が硬化前に過剰に流れ広がることを阻止する。これにより、保護部材79が確実に内側接続部67を覆う。また、保護部材79の固定面32eの上への流出が抑制される。
【0078】
図6において、固定部69は、軸方向において、内側接続部67の延長上に位置している。内側接続部67は、インシュレータ35の上に突出しているから、固定部69は、内側接続部67の下側に配置されているともいえる。内側接続部67と固定部69とが軸方向に配列されることにより、内側接続部67がステータ31の上の規定の位置に位置付けられる。また、固定部69は、内側接続部67を強固に安定的に固定する。内側接続部67の安定は、溶接による接続の信頼性を向上するために貢献する。
【0079】
図5および
図6に示されるように、腕部68は、内側接続部67および固定部69を提供する板状部分から延び出している。腕部68も、ステータコア32の軸方向と平行に、かつ、ステータコア32の径方向に沿って広がる板状の部材である。腕部68は、内側接続部67および固定部69の横方向、すなわちステータ31の端面に沿って延び出している。腕部68は、ステータ31の軸方向における固定部69の背後の全体、すなわち図中の上端面の全体を覆わない。よって、腕部68の形状は、後述の端面65aを提供するために貢献する。
【0080】
固定部69および内側接続部67を形成する板の端面65aは、ステータコア32の軸方向におけるスリット76の直上に位置している。端面65aは、ステータ31の軸方向におけるスリット76の延長上に位置している。以下の説明において、「上」の語は、
図3または
図4のように接続端子65が上側に位置するようにステータ31を置いた場合の「上」を指している。「上」は、ステータコア32の軸方向においてステータコア32から離れる方向でもある。
【0081】
端面65aは、固定部69を形成する板の端面の一部である。端面65aは、固定部69をスリット76内へ挿入する挿入方向の後方に面する。端面65aは、固定部69を形成する板の縁を規定する端面の一部である。端面65aは、ステータ31の軸方向に面している。端面65aは、ステータ31の軸方向と直交する面である。端面65aは、ステータ31の軸方向において固定部69の延長上に位置している。端面65aは、固定部69の背、または固定部69の峰とも呼ぶことができる。端面65aは、背後端面とも呼ばれる。端面65aは、固定部69をスリット76内に押し込むためのプレス力を受ける受け面を提供する。端面65aは、固定部69をスリット76内に押し込むための工具が接触する接触面でもある。工具は、接触を示す痕跡を端面65aに残すことがある。端面65aは、ステータコア32の端面と平行な平面によって提供されてもよい。また、そのような平面が固定部69の峰に部分的に形成されていてもよい。
【0082】
図7において、ブラケット81は、外側環状領域に沿って配置される配線11a、11bのための配線部品である。ブラケット81は、信号線11aおよび/または電力線11bを収容し保持する保持部82を有する。保持部82は、センサユニット41を備えない用途においても、少なくとも複数の電力線11bを束ね、保持する。保持部82は、筒状に形成されている。筒の中に信号線11aおよび/または電力線11bが配置される。保持部82は、ステータ31の外側環状領域の上に配置されている。保持部82は、径方向内側と径方向外側との間にわたって横たわるように配置されている。
【0083】
ブラケット81は、ブラケット81をインシュレータ35に固定するための固定部83を有する。固定部83は、保持部82の径方向内側だけに設けられている。固定部83は、インシュレータ35の中に埋設される埋設部でもある。固定部83は、インシュレータ35に設けられたスリット84内に挿入され、固定される。固定部83は、インシュレータ35に固定されることによって、ステータコア32に間接的に固定される。固定部83は、インシュレータ35を貫通してステータコア32に直接的に固定されてもよい。ブラケット81は、径方向内側だけで固定された片持ちのケーブルホルダを提供する。
【0084】
固定部83は、軸方向と平行であって、かつ、径方向に沿って広がる板状の部材である。ここでも、「径方向に沿って」の語は、径方向と厳密に一致していることを含み、さらに、径方向に対してやや傾斜した状態を包含している。固定部83は、ステータ31の周方向に面している。固定部83の径方向の幅は、部品搭載部31aの径方向の幅より小さい。固定部83がインシュレータ35の上において占める周方向の範囲は狭い。固定部83は、狭い部品搭載部31aの中に、ブラケット81を固定することを可能とする。固定部83は、狭い部品搭載部31aの中に、3つの接続部分61、62、63と、ブラケット81とを配置することを可能とする。
【0085】
保持部82と固定部83との間には、固定部83より径方向外側に保持部82を位置づけるための腕部85が設けられている。腕部85は、L字型の断面形状を提供する2つの板状部分を有している。ひとつの板状部分は、固定部83と同様にステータ31の周方向に面している。この板状部分は、軸方向に沿って広がっている。他のひとつの板状部分は、軸方向と交差し、ステータ31の端面に沿って広がっている。この板状部分は、ステータ31の端面に対して横に広がる板状部分である。この板状部分は、固定部83の一部も提供する。腕部85は、保持部82と固定部83との間において高い剛性を提供する。L字型の断面は、保持部82のひとつの面に沿って延びている。これにより、保持部82においても高い剛性が提供される。
【0086】
四辺形の固定部83は、スリット84内に挿し込まれる先端の端面と、軸方向に延びる両側の端面と、スリット84の外に位置する背後の端面86とで囲まれている。固定部83を形成する板の端面86は、ステータコア32の軸方向におけるスリット84の直上に位置している。端面86は、ステータ31の軸方向におけるスリット84の延長上に位置している。
【0087】
端面86は、固定部83を形成する板の端面の一部である。端面86は、固定部83をスリット84内へ挿入する挿入方向の後方に面する。端面86は、固定部83を形成する板の縁を規定する端面の一部である。端面86は、ステータ31の軸方向に面している。端面86は、ステータ31の軸方向と直交する面である。端面86は、平面を有する。端面86は、ステータ31の軸方向において固定部83の延長上に位置している。端面86は、固定部83の背、または固定部83の峰とも呼ぶことができる。端面86は、背後端面とも呼ばれる。端面86は、固定部83をスリット84内に押し込むためのプレス力を受ける受け面を提供する。端面86は、固定部83をスリット84内に押し込むための工具が接触する接触面でもある。工具は、接触を示す痕跡を端面86に残すことがある。
【0088】
腕部85は、固定部83の横側から横方向へ延び出すように配置されている。また、腕部85は、固定部83の上側から上方向へも延び出すように配置されている。腕部85は、固定部83の上に、上述のL字型の断面形状を有する。よって、固定部83の軸方向上側には、腕部85の一部と、端面86とが位置している。この形状は、固定部83と腕部85との連結部分における変形を抑制しながら、端面86を形成することを可能とする。
【0089】
回転電機10の製造方法は、配線部品である接続端子65またはブラケット81をインシュレータ35および/またはステータコア32に挿入する挿入工程を含む。端面65a、86は、挿入方向におけるプレス力を受ける受け面として利用される。挿入工程では、固定部69、83の直上に位置する端面65a、86にプレス力が加えられる。プレス力は、分力を生じることなく、スリット76、84に向けて固定部69、83を真っ直ぐに押し込む。よって、片持ち支持される配線部品の傾きなどの変形、配線部品の位置のずれが抑制される。よって、固定部の変形を抑制しながら、強いプレス力を作用させることができる。この結果、配線部品とステータコア32とを強固に連結することができる。加えて、端面65a、86は、広い受け面を必要としないから、配線部品が狭い領域に配置される。
【0090】
以上に述べた実施形態によると、ステータ31は、配線11a、11bおよび/またはコイル端部37のための配線部品65、81を有する。固定部69、83は、内側環状領域の上において配線部品65、81をインシュレータ35に固定する。固定部69、83は、板状の部材である。この板状の部材は、ステータコア32の軸方向と平行であって、かつ、ステータコア32の径方向内側から径方向外側に広がっている。言い換えると、固定部69、83は、ステータコア32の端面に対して縦である。しかも、固定部69、83は、径方向に一致して、または径方向に対してやや傾斜して広がっている。このため、固定部69、83は、内側環状領域の上において、狭い周方向範囲を占めるだけで、配線部品65、81を固定する。これにより、配線部品65、81が狭い領域に配置される。よって、配線のための配線部品65、81がステータ31の内側環状領域の狭い領域に配置された車両用回転電機およびそのステータが提供される。
【0091】
インシュレータ35は、内側環状領域の上に部品搭載部31aを形成している。部品搭載部31aに、固定部69、83が固定されている。よって、狭い内側環状領域を有効に利用して配線部品65、81が搭載される。配線部品の一例は、配線11a、11bを外側環状領域の上に保持するためのブラケット81である。よって、ブラケット81が狭い領域を利用して固定される。配線部品の一例は、外部回路に接続される電力線11bとステータコイル33から延び出すコイル端部37とを接続する接続端子65である。よって、接続端子65が狭い領域を利用して固定される。
【0092】
この実施形態によると、電力線11bのための外側接続部66と、コイル端部37のための内側接続部67とが径方向に離れて配置される。接続端子65は、ステータ31上の径方向に広がる範囲を利用して配置される。これにより、配線のための部品である接続端子65が狭い領域に配置される。
【0093】
外側接続部66は電力線11bとの接続に適した形状を有し、内側接続部67はコイル端部37との接続に適した形状であって、外側接続部66とは異なる形状を有する。よって、接続端子65は、電力線11bとの接続、およびコイル端部37との接続の両方を高い信頼性をもって提供することができる。
【0094】
外側接続部66と内側接続部67とは、径方向に離れて配置されている。このため、一方の接続部における接続作業が、他方の接続部に与える望ましくない影響が抑制される。また、それぞれの接続部における接続作業のための空間が提供される。よって、ステータコイル33と電力線11bとの間の接続作業が容易な車両用回転電機およびそのステータが提供される。
【0095】
内側接続部67とコイル端部37とは、プロジェクション溶接によって接続されている。よって、内側接続部67とコイル端部37との接続が高い信頼性をもって提供される。突条71は、プロジェクション溶接の信頼性を高めるために貢献する。しかも、外側接続部66と内側接続部67とは、径方向に離れて配置されているから、内側接続部67におけるプロジェクション溶接に伴ってスパッタが飛散することがあっても、外側接続部66への影響が抑制される。また、プロジェクション溶接は、コイル端部がアルミ系金属製である場合にも高い信頼性を提供する。よって、電力線11bのために適した外側接続部66と、コイル端部37のために適した内側接続部67とを有する車両用回転電機およびそのステータが提供される。
【0096】
(第2実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、3つの接続部分61、62、63には、異なる形状の接続端子65が利用されている。これに代えて、この実施形態では、3つの接続部分61、62、63に、同じ形状の接続端子265が用いられている。図中には、ブラケット81は図示されていない。図中には、ブラケット81を固定するためのスリット84が図示されている。
【0097】
図8に図示されるように、接続端子265は、腕部268を有する。腕部268は、先行する実施形態の腕部68より短い。さらに、腕部268は、ステータ31の端面の上においてL字型である。
【0098】
外側接続部66は、ステータ31の外側環状領域に配置されている。外側接続部66は、内側接続部267よりも径方向外側に配置されている。
【0099】
内側接続部267は、ステータ31の周方向、または接線方向に沿って広がる板状の部材である。コイル端部37は、内側接続部267の径方向内側に配置されている。
【0100】
コイル端部37は、ステータコイル33が配置されている第1環状領域から、径方向内側に延びるように配置されている。コイル端部37は、第1環状領域から、第2環状領域の上へ延び出すように配置されている。第1環状領域と第2環状領域との間において、コイル端部37は径方向に延在するように配置されている。同時に、コイル端部37は、ステータ31の軸方向に関して、ステータコイル33が配置されている高さから、内側接続部267が位置する高さへ到達するように配置されている。
【0101】
第2環状領域の上において、コイル端部37は、さらに、内側接続部267より径方向外側から、内側接続部267の横を通過して、内側接続部267より径方向内側へまわりこむように配置されている。言い換えると、コイル端部37は、その先端に向かうにつれて、内側接続部267の背面側から、内側接続部267の横を通って、内側接続部267の正面側、すなわち溶接される溶接面側へまわりこむように配置されている。コイル端部37は、内側接続部267の横において、内側接続部267に向けて曲げられている。コイル端部37は、曲がり部を有している。内側接続部267は、曲がり部の内側に位置づけられている。コイル端部37は、内側接続部267の正面において、突条71が提供する内側接続部267の峰部と交差して延びるように配置されている。
【0102】
このようなコイル端部37の配置は、内側接続部267の正面側と、背面側との両方において、溶接用の電極を位置付けるための空洞を提供する。この結果、コイル端部37と溶接用の電極との干渉が抑制される。
【0103】
内側接続部267は、プロジェクション溶接のための電極が、径方向に沿って開閉することを可能とする。これにより、内側接続部267の径方向内側と径方向外側とに位置する空間を利用することが可能となる。また、複数の内側接続部267は、ステータ31の周方向に沿って並べられる。これにより、プロジェクション溶接のための電極は、ステータ31の周方向に沿ってステータ31と電極とを相対的に移動させることによって、複数の内側接続部267の上を順に移動することができる。
【0104】
(第3実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、周方向に広がる内側接続部267が利用されている。これに代えて、この実施形態では、径方向に広がる内側接続部67が利用される。
【0105】
図9に図示されるように、接続端子365は、短い腕部368を有する。腕部368は、径方向に沿って真っ直ぐに延びている。内側接続部67は、軸方向と平行であり、かつ、径方向に沿って広がる板状の部材である。この実施形態でも、外側接続部66は、内側接続部67よりも径方向外側に配置されている。また、外側接続部66は、ステータ31の外側環状領域、すなわちステータコイル33が配置された領域に位置づけられている。一点鎖線BDRは、ステータ31の中央の環状領域と、ステータ31の径方向外側の環状領域との境界を示している。
【0106】
(第4実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、接続端子65、265、365は、電力線11bをステータ31の周方向に沿って配置するように形成されている。これに代えて、この実施形態では、接続端子465は、電力線11bをステータ31の上において径方向に配置することを可能とする。
【0107】
図10に図示されるように、接続端子465は、短い腕部468を有する。腕部468は、L字型である。接続端子465は、外側接続部466を有する。外側接続部466は、径方向外側から径方向内側に向けて引き込まれる電力線11bを受け入れるように形成されている。この実施形態でも、外側接続部466は、内側接続部67よりも径方向外側に配置されている。また、外側接続部466は、ステータ31の外側環状領域、すなわちステータコイル33が配置された領域に位置づけられている。
【0108】
(第5実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ブラケット81はインシュレータ35に固定されることによって間接的にステータコア32に固定されている。これに代えて、この実施形態では、ブラケット81は、ステータコア32に直接的に固定されている。
【0109】
ステータコア32は、ブラケット81の固定部83を受け入れるためのスリット532fを有する。固定部83は、スリット532fに圧入され、固定される。固定部83は、スリット532f内における機械的な摩擦により固定される。代替的に、または付加的に、固定部83とスリット532fとの間に、接着剤、または溶接部のような接合部材が設けられてもよい。スリット532fは、ブラケット81を支持するための支持部を提供する。スリット532fは、ステータコア32の周方向に短手方向を有し、ステータコア32の径方向にほぼ沿って長手方向を有する細長いスリットである。
【0110】
この構成によると、ブラケット81は、ステータコア32に直接的に固定される。ステータコア32は金属製であるから、ブラケット81を強固に固定することができる。この実施形態でも、固定部83は、ステータコア32の軸方向および径方向に沿って広がる板状である。固定部83は、ステータコア32の端面において縦方向に突出し、しかも径方向に延在している。よって、ブラケット81は、ステータコア32の上における周方向の狭い範囲を占有するだけで、ステータコア32に固定される。
【0111】
(第6実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、プロジェクション溶接のための突条71は、軸方向に延びている。これに代えて、ステータコア32の軸方向と垂直に延びる突条671が採用されてもよい。この場合でも、突条671とコイル端部637とは、交差するように配置される。
【0112】
図12は、この実施形態の接続端子65を示す。接続端子65は、内側接続部67の面上に突条671を有する。突条671は、図の紙面に対して手前方向へ突出している。突条671は、ステータコア32の軸と直交するように延びている。コイル端部637は、突条671と交差するように配置される。例えば、コイル端部637は、ステータコア32の軸方向に沿って立ち上がるように配置される。この構成にでも、内側接続部67とコイル端部637とがプロジェクション溶接によって接合される。
【0113】
(第7実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、ブラケット81は、ひとつの固定部83によってステータコア32および/またはインシュレータ35に固定されている。これに代えて、ひとつの配線部品は、複数の固定部を備えていてもよい。
【0114】
図13は、ステータ31の平面図を示す。ステータ31は、複数の接続部分61、62、63を有する。ステータ31は、ステータコア32の端面の上に、ブラケット81を有する。ブラケット81は、信号線11aおよび電力線11bを保持するための保持部82を有する。
【0115】
ブラケット81は、複数の固定部783a、783bを有する。2つの固定部783a、783bは、ステータコア32の軸方向に沿って拡がるとともに、径方向に拡がる板状の部材である。第1の固定部783aは、貫通穴32dと接続部分61との間に配置されている。第2の固定部783bは、2つの接続部分61、62の間に配置されている。よって、ひとつの接続部分61は、2つの固定部783a、783bの間に配置されている。複数の固定部783a、783bは、ステータコア32の周方向に関して互いに離れている。
【0116】
図14は、
図13におけるXIV−XIV線における断面である。複数の接続部分61、62、63は、ステータコア32の両面のそれぞれに接続部を有する貫通型の接続部分である。以下の説明では、接続部分61について説明する。3つの接続部分61、62、63は、同様の構成を有する。
【0117】
接続部分61は、ステータコア32を貫通する貫通型の接続端子765を有する。接続端子765は、インシュレータ35に固定されている。接続端子765は、ステータコア32の一方の端面上に、第1の接続部766を有する。第1の接続部766は、電力線11bと接続端子765との接続を提供する。接続端子765は、ステータコア32の他方の端面上に、第2の接続部767を有する。第1の接続部767は、コイル端37と接続端子765との接続を提供する。この実施形態では、ステータコア32は、ブラケット81が配置される一方の端面上に第1の接続部766を有し、反対の他方の端面上に第2の接続部767を有する。第1の接続部と第2の接続部とは、逆に配置されてもよい。接続部766、767は、はんだ接合、若しくは、ろう接合のような低融点接合材料を利用する接続、かしめ、圧着、若しくは、ヒュージング(熱かしめ)のような固相接続、または、電気抵抗溶接、若しくは、アーク溶接のような溶融接続によって提供することができる。例えば、第1の接続部766は、はんだ接合により提供でき、第2の接続部767はスポット溶接によって提供できる。
【0118】
ステータコア32は、複数のスリット784a、784bを有する。2つのスリット784a、784bは、複数の鋼板を貫通してステータコア32の軸方向に延びている。スリット784a、784bは、ステータコア32の一方の端面に開口している。スリット784a、784bは、ステータコア32を貫通しない。スリット784a、784bは、薄い直方体状の空洞である。スリット784a、784bは、ステータコア32の軸方向に深さをもつ。スリット784a、784bは、ステータコア32の径方向に幅をもつ。第1のスリット784aは、貫通穴32dと接続部分61との間に配置されている。スリット784a、784bは、ステータコア32を貫通していても良い。ただし、スリット784a、784bは、磁束を妨げる障壁となる場合がある。ステータコア32に期待される磁気回路としての性能を得るために、スリット784a、784bの内部空洞の所定割合が固定部783a、783bによって満たされることが望ましい。この場合、固定部783a、783bが磁気的特性の低下を補う。例えば、スリット784a、784bの深さと、固定部783a、783bの長さとを等しくしてもよい。また、スリット784a、784bの深さと、固定部783a、783bの長さとの差、すなわちエアギャップの長さは、ステータコア32の軸方向の厚さの1/4以下とすることが望ましい。なお、幅方向、厚さ方向についても、同様の寸法設定が可能である。
【0119】
第1のスリット784aは、第1の固定部783aを収容している。第2のスリット784bは、2つの接続部分61、62の間に配置されている。第2のスリット784bは、第2の固定部783bを収容している。ブラケット81は、2つの固定部783a、783bが2つのスリット784a、784bの中に挿し込まれ、固定されることによってステータコア32に直接的に固定されている。2つの固定部783a、783bは、それぞれが端面786a、786bを有する。この実施形態でも、端面786a、786bは、固定部783a、783bを形成する板の端面の一部である。端面786a、786bは、ステータコア32の軸方向においてスリット784a、784b上に位置する。端面786a、786bは、挿入方向の後方に面している。端面786a、786bはステータコア32の軸方向に直角な面を有する。端面786a、786bは、少なくとも部分的な平面を有する。
【0120】
図15および
図16は、ブラケット81を示す。
図15は、
図16の矢印XVに沿って見た平面図である。
図16は、
図13および
図15の矢印XVIに沿って見た側面図である。なお、これらの図では、保持部82が開かれている状態が示されている。
【0121】
図15において、2つの固定部783a、783bは、ステータコア32の端面上において放射状に延びている。腕部85は、保持部82と2つの固定部783a、783bとを連結している。腕部85は、台形もしくは扇形と呼べる形状をもっている。腕部85は、主として第1環状領域の上に広がっている。2つの固定部783a、783bは、腕部85から径方向内側へ延び出しており、主として第2環状領域の上に位置づけられている。端面786a、786bは、固定部783a、783bをスリット784a、784b内に押し込むためのプレス力を受ける受け面を提供する。端面786a、786bは、固定部783a、783bをスリット784a、784b内に押し込むための工具91が接触する接触面でもある。端面786a、786bは、工具91と接触するために必要な長さにわたって延びている。端面786a、786bは、スリット784a、784bの直上、すなわち軸方向におけるスリット784a、784bの延長上に位置している。
【0122】
図16において、2つの固定部783a、783bは、ステータコア32との係合を強化するための鋸歯状の縁787と、突出部788とを有している。鋸歯状の縁787は、固定部783a、783bの幅方向の辺に形成されている。縁787は、幅方向に関して凹凸と、鋭い角部とを形成する。固定部783a、783bには、板としての厚さ方向に突出する突出部788が形成されている。突出部788は、固定部783a、783bを配置するために要する板状空間の厚さを大きくする。言い換えると、突出部788は、固定部783a、783bの側面から部分的に突出している。縁787および突出部788は、プレス加工によって形成することができる。突出部788は、
図15に図示されるように、2つの固定部783a、783bの間に向けて突出するように形成されている。このような突出部788は、板材のプレス加工によって形成することができる。また、突出部788の突出方向を揃えることにより、プレス型の製作が容易になる。なお、突出部788は、2つの固定部783a、783bの外側に向けて突出していてもよい。腕部85は、ステータコア32の径方向外側における固定部783a、783bの縁から径方向外側に延び出している。腕部85は、端面786a、786bを形成するように、固定部783a、783bの直上を避けて、固定部783a、783bの径方向外側の縁だけから延び出している。
【0123】
回転電機10の製造方法は、ブラケット81を製造する準備工程と、ブラケット81をステータコア32に固定する固定工程と、電力線11bを接続部766に接続する接続工程とを含む。ブラケット81は、金属製の板状の部材である。準備工程では、一枚の板から、ブラケット81に対応する所定の形状の部材が切断される。準備工程は、鋸歯状の縁787と、突出部788とを形成するためのプレス工程を含むことができる。準備工程は、所定の形状の部材を曲げることによりブラケット81を成形する曲げ工程を含む。これにより、
図15および
図16に図示されるブラケット81が得られる。
【0124】
固定工程では、固定部783a、783bがスリット784a、784b内に挿入される。まず、固定部783a、783bの先端が、スリット784a、784bの開口部に位置づけられる。次に、ブラケット81が所定の姿勢に位置づけられる。次に、工具91が端面786a、786bに接触するように位置づけられる。次に、工具91がステータコア32の軸方向に操作される。工具91の操作方向は、挿入方向INSTとして
図16に図示されている。工具91が端面786a、786bを押すことにより、固定部783a、783bは、スリット784a、784bの中に徐々に挿入される。接続端子765の端部が端面786a、786bより高く位置づけられるように、固定部783a、783bは深く押し込まれる。固定部783a、783bは、端面786a、786bが接続部分61のためのインシュレータ35とほぼ同じ高さとなるように押し込まれる。固定部783a、783bは、接続部分61のためのインシュレータ35の側面に沿うように配置されている。
【0125】
このとき、端面786a、786bは、挿入方向INSTにおけるスリット784a、784bの直上に位置しているから、プレス力は、固定部783a、783bをまっすぐにスリット784a、784bの中へ押しこむ。よって、固定部783a、783bの変形が抑制される。固定部783a、783bは、スリット784a、784bの内面に強く接触する。ブラケット81は、ステータコア32に強固に固定される。固定工程は、圧入工程とも呼ぶことができる。
【0126】
接続工程では、電力線11bは、保持部82を通るように配置される。電力線11bは、その先端が接続部766に到達するように配置される。電力線11bの先端は、接続部766において接続端子765の端部と接続される。このとき、接続端子765の端部は、端面786a、786bより高く位置づけられているから、固定部783a、783bは接続部766における接続作業を妨げない。
【0127】
この実施形態によると、剛性が高いブラケット81が提供される。ブラケット81は、ステータ31の端面から突出して位置づけられるから、回転電機の製造工程、または内燃機関上において他の部材と干渉し、変形しやすい。しかし、剛性が高いブラケット81は、望ましくない変形を抑制することを可能とする。また、剛性が高いブラケット81は、内燃機関による振動の下でも、応力の集中を緩和する。また、ブラケット81がステータコア32に強固に固定される。また、第1の固定部783aと第2の固定部783bとの間に、他の部品を配置することができる。他の部品として、コイル端部37と電力線11bとの間を電気的に接続する接続部分61を設けることができる。この結果、配線のための部品がステータ31の環状領域のうちの狭い領域に配置された回転電機10が提供される。
【0128】
(第8実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態では、固定部83、783は、ステータ31の径方向に沿って延びる板状の部材である。これに代えて、ステータ31の周方向または接線方向に沿って延びる固定部を用いることができる。この場合も、固定部は、スリットの直上に端面を有する。
【0129】
図17において、ステータ31は、ステータコア32に3つの接続部分61、62、63を有する。接続部分61、62、63は、貫通型である。接続部分61、62、63は、第7実施形態と同様の接続端子と接続部とを有する。この実施形態では、コイル端部37が接続される接続部が設けられた一方の端面上にブラケット81が設けられている。電力線11bは、ステータコア32を貫通することによってステータコア32の他方の端面に到達している。これら電力線11bは、ステータコア32の他方の端面上において接続部分61、62、63と接続されている。
【0130】
ステータコア32には、破線で示されるスリット884が設けられている。スリット884は、ステータコア32の周方向、具体的には接線方向に沿って延びている。スリット884は、ステータコア32の軸方向に沿って延びている。接続部分61、62、63は、2つの貫通穴32dの間に設けられている。スリット884も、2つの貫通穴32dの間に設けられている。スリット884は、接続部分61、62、63よりも径方向外側に設けられている。電力線11bは、ステータコア32の上を、径方向内側の第2環状領域から径方向外側に向けて延び出すように配置されている。ブラケット81は、複数の電力線11bとステータコア32との間に配置されている。
【0131】
図18は、
図17における矢印XVIIIに沿って見たブラケット81の側面図である。ブラケット81は、スリット884に挿入された固定部883を有する。スリット884は、固定部883を受け入れている。固定部883は、ステータコア32の軸方向と平行に、かつ、ステータコア32の周方向または接線方向に沿って広がる板状の部材である。
【0132】
図19は、
図18における矢印XIXに沿って見たブラケット81の側面図である。ブラケット81は、端面886を有する。端面886は、固定部883と腕部85との間の角部に形成されている。端面886は、角部に形成された開口部の縁によって提供されている。端面886は、固定部883を形成する板の端面の一部である。端面886は、ステータコア32の軸方向においてスリット884上に位置している。端面886は、挿入方向INSTの後方に面している。この実施形態でも、固定部883は、鋸歯状の縁787と、突出部788とを有する。
【0133】
図20は、端面886を示す拡大斜視図である。端面886は、挿入方向INSTに沿って操作される工具91と接触可能である。この実施形態でも、ブラケット81の変形を抑制しながら、ステータコア32とブラケット81とを強固に連結することができる。
【0134】
(第9実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。
図21は、この実施形態の回転電機10を示す。この実施形態では、電力線が符号A1によって示されている。
図22は、ステータ31とセンサユニット41とを含む部分的な平面図である。図中には
図21の断面位置がXXI−XXI線によって示されている。
【0135】
ステータコア32は、センサユニット41を固定するための固定ボルト44を受け入れるための貫通穴32gを有する。センサユニット41は、回転位置センサ43から出力される信号を外部に取り出すための外部接続用の信号線11aを有する。信号線11aは、車両上のワイヤハーネスからステータ31を分離可能とするためのコネクタを有する。回転電機10は、ステータコイル33と電気回路11とを接続する複数の電力線A1を有する。電力線A1は、回転電機10が発電機として機能するとき、ステータコイル33に誘導される電力を電気回路11に供給する。電力線A1は、回転電機10が電動機として機能するとき、ステータコイル33を励磁するための電力を電気回路11からステータコイル33へ供給する。電力線A1は、車両上のワーヤハーネスからステータ31を分離可能とするためのコネクタを有する。
【0136】
電力線A1は、車両に搭載された電気回路から延びるワイヤハーネスA2を有する。図中には、変形可能なワイヤハーネスA2の敷設状態の一例が図示されている。ワイヤハーネスA2は、複数の被覆線A3と、複数の被覆線を覆うカバーA6とを有する。ひとつの被覆線A3は、多芯銅線を絶縁樹脂によって被覆した電線である。被覆線A3は、銅線、アルミ線、黄銅線などの被覆金属線によって提供することができる。カバーA6は、ガラスメッシュのチューブである。カバーA6は、複数の被覆線A3を保護している。
【0137】
電力線A1は、接続のためのターミナルユニットB1を有する。ターミナルユニットB1は、ステータコイル33のコイル端部37と、ワイヤハーネスA2とを接続する。ターミナルユニットB1は、コイル端部37と、複数の被覆線A3との間を接続する。ターミナルユニットB1は、ステータ31に属する部品である。
【0138】
複数のコイル端部37は、電機子巻線の端部である。ひとつのコイル端部37には、複数の導線が含まれる場合がある。コイル端部37は、三相星形結線の3つの端部である。コイル端部37は、ステータコイル33を形成する銅、アルミなどの金属線が、ステータ31の端面に引き出された引出線の端部である。コイル端部37は、ステータ31の端面上において、所定の狭い角度範囲の中に、周方向および/または径方向に関して分散して配置されている。図示の例では、コイル端部37は、隣接する3つの磁極32aの範囲に配置されている。コイル端部37は、周方向および径方向に分散して配置されている。
【0139】
ターミナルユニットB1は、複数のバスバーB2を有する。バスバーB2は、銅、アルミ、黄銅、鉄などの通電に適した金属製の部材である。バスバーB2は、細長い板状の部材である。バスバーB2は、対応付けられたコイル端部37と被覆線A3とを電気的に接続する。バスバーB2は、被覆線A3より変形しにくい。よって、ステータ31の端面上において、バスバーB2は与えられた形状を維持しやすい。
【0140】
複数のバスバーB2は、複数のコイル端部37の数、および複数の被覆線A3の数に対応する数のバスバーを含む。複数のバスバーB2は、ステータ31の端面上に沿って周方向に延びるように並べられている。複数のバスバーB2は、被覆線A3の端部と、複数のコイル端部37との間にわたって延在している。
【0141】
複数のバスバーB2は、ステータ31の径方向に沿って互いに離れるように配置されている。複数のバスバーB2は、ステータ31の端面と平行なひとつの平面上において、互いに離れた状態で並ぶように配置されている。よって、複数のバスバーB2は、径方向に関して多層をなすように配置されているが、軸方向に関して単層をなすように配置されている。
【0142】
図示の例は、3つのバスバーB3、B4、B5を含む。バスバーB3は、径方向の最も外側に位置し、周方向に関して最も長い。バスバーB5は、径方向の最も内側に位置し、周方向に関して最も短い。バスバーB4は、径方向に関して2つのバスバーB3、B5の間に位置し、周方向に関して中間の長さを有する。
【0143】
図24は、ひとつのバスバーB2の斜視図を示す。バスバーB2は、ステータ31の端面上において縦状態に配置されている。バスバーB2は、その長辺とステータ31の端面とが平行となるように配置されている。バスバーB2は、板としての広い平面と、ステータ31の軸方向とが平行となるように配置されている。このように配置されたバスバーB2は、ステータ31の径方向よりも、軸方向に向けて変形しにくい。また、縦状態のバスバーB2は、ステータ31の軸方向に流れる冷却風を許容する。よって、回転電機10の冷却性の低下が抑制される。
【0144】
ひとつのバスバーB2は、コイル端部37と接続されるための第1接続部B6を有する。図中には、2本の導線を含むコイル端部37が図示されている。第1接続部B6は、かしめ接続部、または圧着接続部とも呼ばれる。第1接続部B6は、バスバーB2の端部を折り曲げることによって形成されている。第1接続部B6は、コイル端部37を受け入れるスリット状の隙間を形成している。第1接続部B6は、コイル端部37を挟むように、またはコイル端部37を包み込むように、折り曲げられている。コイル端部37は、第1接続部B6の隙間に入るようにステータ31から軸方向に延び出している。第1接続部B6とコイル端部37とは、機械的な圧接、はんだ付け、ろう付け、電気抵抗溶接、レーザ溶接、ヒュージング(熱かしめ)などの電気的な接続工法を利用して電気的に接続されている。図中には、はんだ付けが採用される場合のはんだA8の形状の一例が破線によって図示されている。
【0145】
ひとつのバスバーB2は、被覆線A3と接続されるための第2接続部B7を有する。第2接続部B7は、かしめ接続部、または圧着接続部とも呼ばれる。第2接続部B7は、バスバーB2の端部を折り曲げることによって形成されている。第2接続部B7は、バスバーB2の長手方向に沿って延びる軸をもつ筒状部分を形成している。第2接続部B7は、バスバーB2の長手方向に沿って延びるバスバーB2より太い筒状部分である。第2接続部B7は、筒状部分に導体を受け入れ、筒状部分を垂直方向に変形させることによって形成されている。第2接続部B7と被覆線A3とは、機械的な圧接、はんだ付け、抵抗溶接、レーザ溶接、ヒュージング(熱かしめ)などの電気的な接続工法を利用して電気的に接続されている。
【0146】
図25は、ステータ31上における複数のバスバーB2を示す部分拡大図である。複数のコイル端部37は、ステータコイル33が占める環状領域の径方向内側に配置されている。このため、複数のバスバーB2は、径方向外側から径方向内側に向かって延びるように曲がった形状を有する。バスバーB2は、ステータ31の径方向外側から径方向内側へ巻き込むように曲がった形状、例えば「L字型」、または「^型(キャレット型)」と呼びうる形状を有する。言い換えると、バスバーB2は、後述のターミナルホルダC1から周方向に延び出しており、その長手方向の中間部分から径方向に向けて回り込むように延びてコイル端部37へ到達する形状を与えられている。このような形状は、第1接続部B6における電気接続作業において有利な利点を提供する。例えば、第1接続部B6の周囲に作業に必要な空間を与える。また、複数の第1接続部B6を同方向に指向させて整列させる。
【0147】
この実施形態では、3群のコイル端部37がステータ31上において周方向および径方向に離れて配置されている。複数の第1接続部B6は、ステータ31上において周方向および径方向に離れて配置されている。3群のコイル端部37は、複数の第1接続部B6のそれぞれに対応して位置づけられている。一群のコイル端部37と、ひとつの第1接続部B6とが、ひとつの接続部を形成している。3つの接続部は、ステータ31の上において、周方向に沿って並んでいる、図示の例では、3つの接続部は、ほぼ一直線上に並んでいる。このような配置は、電気接続作業において有利な利点を提供する。例えば、接続作業の位置を簡単に確実に特定することができる。
【0148】
複数のバスバーB2は、径方向外側から径方向内側へ向けて曲がった形状を有する。この結果、複数の第1接続部B6の周囲において、同様の作業空間が提供される。図中には、第1接続部B6を挟むためのクランプ方向が矢印によって図示されている。複数の第1接続部B6において、ほぼ同じクランプ方向が提供されている。この実施形態の第1接続部B6は、コイル端部37と接続されるためにバスバーB2の端部を折り曲げて形成されている。よって、第1接続部B6における接続作業では、その第1接続部B6が器具によって挟まれる場合がある。複数のバスバーB2が提供する複数の第1接続部B6は、第1接続部B6を挟む方向(図示される矢印)がステータ31上において、ほぼ同じ方向となるように配置されている。よって、作業者または自動化機械は、第1接続部B6を挟むための器具の微調整を抑制しながら、複数の第1接続部B6を挟むことができる。このように、バスバーB2の形状は、電気接続作業の簡素化に貢献する。
【0149】
図22および
図23に戻り、ひとつのバスバーB2は、後述のターミナルホルダC1に固定され、支持される支持部分B8を有する。支持部分B8は、バスバーB2の本体部分の一部によって提供されている。支持部分B8は、第2接続部B7に隣接する部分である。複数のバスバーB2は、第1接続部B6と支持部分B8との間の長さが、第2接続部B7と支持部分B8との長さより長い。このようなバスバーB2の形状は、第1接続部B6における接続作業のし易さを改善する。支持部分B8は、支持機能に関して説明される場合に第2接続部B7を含む場合がある。
【0150】
ターミナルユニットB1は、ターミナルホルダC1を有する。ターミナルホルダC1は電気絶縁性の樹脂製である。ターミナルホルダC1は、複数のバスバーB2を支持することによってそれらの位置を固定する。ターミナルホルダC1は、複数のバスバーB2を電気的に絶縁しながら支持する。ターミナルホルダC1は、複数のバスバーB2、特に、複数の第2接続部B7を、狭い範囲内に集中的に配置することを可能とする。ターミナルホルダC1は、複数の被覆線A3を支持することによってそれらの位置を固定する。ターミナルホルダC1は、ステータ31の端面における径方向外側の環状領域の中に配置されている。より具体的には、ターミナルホルダC1は、ステータコイル33が配置された環状領域の中に配置されており、そのような配置に適した形状を有する。ターミナルホルダC1は、端子台、またはバスバーホルダとも呼ばれる。
【0151】
カバーA6は、複数の被覆線A3を覆うように、かつ、ターミナルホルダC1を覆うように配置されている。図中に破線で示されるように、カバーA6は、複数の被覆線A3の外側に沿って延びており、さらに、ターミナルホルダC1の外側に沿って延びており、ターミナルホルダC1の端部において終端している。
【0152】
図26および
図27は、ターミナルホルダC1を示す斜視図である。ターミナルホルダC1は、板状の部材である。ターミナルホルダC1は、ステータ31の軸方向に沿って見ると、円弧状または扇状と呼びうる形状をもつ。ターミナルホルダC1は、ステータ31の外周部分に沿って延びている。ターミナルホルダC1は、ステータ31の軸方向に向けて開口した浅い容器状または皿状と呼びうる形状を有する。ターミナルホルダC1の形状は、バスタブ状とも呼ぶことができる。ターミナルホルダC1は、複数の第2接続部B7を安定的に固定するための固定部とも呼ばれる。ターミナルホルダC1は、周方向の一端にバスバー支持部C2を有し、周方向の他端に被覆線支持部C4を有する。
【0153】
バスバー支持部C2は、複数のバスバーB2を支持するための部分である。バスバー支持部C2は、ターミナルホルダC1の周方向一端の壁C1aによって形成されている。バスバー支持部C2は、溝状に形成されたスリットC2a、C2bによって提供されている。ターミナルホルダC1は、複数のバスバーB2を支持するために、複数のバスバー支持部C2を有している。これら複数のバスバー支持部C2は、ステータ31の径方向に関して多重に配置されている。このような配置は、複数のバスバーB2を径方向に関して並べて配置することを可能とし、ステータ31の軸方向における厚さを抑制するために貢献する。
【0154】
壁C1aは、支持部分B8を受け入れ、固定するためのスリットC2aを区画形成している。スリットC2aは、支持部分B8を受け入れる。支持部分B8は、スリットC2aの中に圧入される。スリットC2aは、支持部分B8におけるバスバーB1の厚さと等しいか、わずかに小さい幅を有する。この結果、ターミナルホルダC1の弾性によって、バスバーB2が固定される。スリットC2aは、バスバー支持部C2を提供している。ターミナルホルダC1は、3つのバスバーB3、B4、B5を支持するために3つのスリットC2aを有する。
【0155】
壁C1aは、第2接続部B7を受け入れ、固定するためのスリットC2bを区画形成している。スリットC2bは、スリットC2aから連続して延びる溝である。スリットC2bは、スリットC2aより径方向に広い。よって、スリットC2aとスリットC2bとの間には段差が形成されている。スリットC2bは、第2接続部B7を受け入れる。第2接続部B7は、スリットC2bの中に圧入される。ターミナルホルダC1は、3つのバスバーB3、B4、B5を支持するために3つのスリットC2bを有する。この結果、ターミナルホルダC1の弾性によって、バスバーB2が固定される。
【0156】
ターミナルホルダC1は、隔壁によって区画された3つのスリット状のバスバー支持部C2を備えることにより、3つの第2接続部B7を確実に絶縁することができる。例えば、第2接続部B7におけるかしめ加工に起因するバリ、溶接時に生じることがある突起、はんだから延び出す突起などがあっても、複数の第2接続部B7の間における電気絶縁性が確保される。
【0157】
複数のバスバーB2は、バスバー支持部C2においても、上述の縦状態で配置されている。すなわち、複数のバスバーB2は、その板形状に起因する長方形断面の厚さ方向が、ステータ31の端面とほぼ平行になるように配置されている。バスバー支持部C2は、この厚さ方向において支持部分B8と第2接続部B7とを挟んでいる。より具体的には、バスバー支持部C2においては、複数のバスバーB2は、その厚さ方向が、ステータ31の径方向にほぼ一致するように配置されている。このような配置は、バスバー支持部C2におけるターミナルホルダC1の寸法、例えば径方向の幅を小さく形成するために貢献する。
【0158】
被覆線支持部C4は、複数の被覆線A3を支持するための部分である。被覆線支持部C4は、ターミナルホルダC1の周方向他端の壁C1bによって形成されている。壁C1bは、被覆線A3を受け入れ、固定するためのスリットC4aを区画形成している。ひとつのスリットC4aは、ひとつの被覆線A3を受け入れる。ひとつの被覆線A3は、ひとつのスリットC4a内に圧入される。ターミナルホルダC1は、3本の被覆線A3を受け入れるために3つのスリットC4aを有する。ターミナルホルダC1は、複数の被覆線A3を支持するために、複数の被覆線支持部C4を有している。これら複数の被覆線支持部C4は、ステータ31の径方向に関して多重に配置されている。このような配置は、複数の被覆線A3を径方向に関して並べて配置することを可能とし、ステータ31の軸方向における厚さを抑制するために貢献する。
【0159】
被覆線支持部C4は、複数の被覆線A3の端部を収容する集合室C5を有する。集合室C5は、壁C1aと壁C1bとの間に区画形成されている。集合室C5は、複数の被覆線A3のための応力抑制部として機能する。また、集合室C5は、接着剤またはポッティング樹脂などの封止樹脂を溜めるための収容室として利用されてもよい。封止樹脂は、複数の被覆線A3を固定する。封止樹脂は、複数の被覆線A3の端部を保護する。かかる構成においては、ターミナルホルダC1の中に被覆線A3の端部が埋設される。加えて、封止樹脂は、第2接続部B7および/または支持部分B8を覆うように適用されてもよい。かかる構成においては、ターミナルホルダC1の中にバスバーB2の第2接続部B7および/または支持部分B8が埋設される。
【0160】
この実施形態におけるターミナルホルダC1は、多様な機能を提供する。ターミナルホルダC1は、複数のバスバーB2を支持することによってそれらの位置を固定するための支持部材である。ターミナルホルダC1は、複数の被覆線A3を支持することによってそれらの位置を固定するための支持部材である。ターミナルホルダC1は、第2接続部B7を保護する保護部材である。
【0161】
図22および
図23に戻り、ターミナルユニットB1は、クリップ91を有する。クリップ91は、金属または樹脂によって提供することができる。この実施形態のクリップ91は、板状の金属製である。クリップ91は、電力線A1をステータ31上の規定の位置に固定するための固定部材である。クリップ91は、ワイヤハーネスA2をステータ31上の所定の位置に支持する。クリップ91は、ターミナルユニットB1をステータ31上の所定の位置に支持する。クリップ91は、ターミナルホルダC1をステータ31上の所定の位置に支持する。
【0162】
クリップ91は、ステータ31に固定される固定部92を有する。固定部92は、ステータコア32またはステータコイル33の部品に固定される。例えば、固定部92は、ステータコア32に設けられた凹部に圧入されるか、またはステータコイル33の樹脂製ボビンに係合される。固定部92は、先行する実施形態の固定部883と同じ形状を有していてもよい。
【0163】
クリップ91は、センサユニット41から延び出す信号線11aを支持するための小クリップ片93を有する。小クリップ片93は、ステータ31上の径方向内側に設けられている。
【0164】
クリップ91は、ターミナルホルダC1を支持することによってターミナルユニットB1およびワイヤハーネスA2を支持する大クリップ片94を有する。大クリップ片94は、小クリップ片93より径方向外側に設けられている。大クリップ片94は、小クリップ片93より大きい環を形成している。大クリップ片94は、カバーA6が被せられている部位においてターミナルホルダC1を支持している。大クリップ片94は、複数の被覆線A3の端部が配置された集合室C5の上に配置されている。この実施形態では、被覆線A3の端部とターミナルホルダC1とがカバーA6によって覆われている。大クリップ片94は、カバーA6の上からターミナルホルダC1と被覆線A3の端部とを保持している、よって、ターミナルホルダC1と複数の被覆線A3とが安定的に固定される。
【0165】
この回転電機10の製造方法は、ターミナルユニットB1を組み立てる組立工程と、ステータ31とターミナルユニットB1とを組み合わせる工程とを含むことができる。
【0166】
ターミナルユニットの組立工程は、被覆線工程とターミナルホルダ工程とを含むことができる。被覆線工程では、ひとつの被覆線A3の端部に、対応するひとつのバスバーB2が第2接続部B7によって接続される。この状態では、被覆線A3が柔軟であるため、複数のバスバーB2の位置は安定しない。ターミナルホルダ工程では、複数のバスバーB2がターミナルホルダC1に装着される。このとき、この実施形態では、複数の被覆線A3の端部もターミナルホルダC1に装着される。バスバーB2は、対応するスリットC2aに支持部分B8を挿入し、対応するスリットC2bに第2接続部B7を挿入することによってターミナルホルダC1に固定される。同時に、またはその前後において、そのバスバーB2に接続された被覆線A3が、対応するスリットC4aに挿入され、被覆線A3の端部が集合室C5内に配置される。
【0167】
ステータ31とターミナルユニットB1とを組み合わせる工程は、ターミナルユニットB1をステータ31上の規定位置に配置する配置工程と、コイル端部37とバスバーB2とを接続する電気接続工程とを含むことができる。この実施形態のターミナルユニットB1の上では、複数のバスバーB2は相対的に規定の位置に固定される。このため、配置工程において、ターミナルホルダC1がステータ31上の規定の位置に位置付けられると、複数の第1接続部B6がステータ31上の規定の位置に位置付けられる。複数の第1接続部B6は、複数のコイル端部37との接続に適した位置に位置付けられる。電気接続工程では、コイル端部37とバスバーB2とが、第1接続部B6によって電気的に接続される。対応するコイル端部37に接続される。
【0168】
ターミナルユニットB1のための組立工程は、少なくとも部分的に組立機械による自動化が可能である。例えば、第2接続部B7における接続工程は自動化が可能である。また、バスバーB2と被覆線A3とをターミナルホルダC1に装着する工程は自動化が可能である。ステータ31とターミナルユニットB1とを組み合わせる工程は、少なくとも部分的に組立機械による自動化が可能である。例えば、クリップ91をステータ31に装着する工程は自動化が可能である。また、第1接続部B6における接続工程は、バスバーB2とターミナルホルダC1とによって第1接続部B6の位置が安定的に維持されるから、自動化が可能である。
【0169】
この実施形態によると、電機子巻線の3つのコイル端部37は、ターミナルユニットB1を介してワイヤハーネスA2に接続される。しかも、複数のバスバーB2がターミナルホルダC1によって支持されるから、複数のバスバーB2の位置が安定的に維持される。これにより、第1接続部B6を規定の位置に安定的に位置づけることができる。この結果、電機子巻線のコイル端部37と第1接続部B6との接続作業が容易な回転電機が提供される。接続作業の容易さは、作業者を支援する。別の観点では、接続作業の容易さは、シーケンス制御される作業機械による自動化を可能とする。
【0170】
この実施形態では、ターミナルホルダC1とコイル端部37との間にわたって複数のバスバーB2は、カバーA6のような電気絶縁部材を被せることなく露出している。複数の第1接続部B6も、カバーA6のような電気絶縁部材を被せることなく露出している。複数のコイル端部37は、ステータ31上に分散して配置されている。この結果、複数の第1接続部B6の間には、電気的な絶縁のために十分に大きい距離が提供されている。また、複数のバスバーB2は、その形状を維持するために十分な太さを有している。また、複数のバスバーB2は、ターミナルホルダC1によって強固に支持されている。しかも、複数の第2接続部B7の間は、ターミナルホルダC1によって電気的な絶縁が確保されている。よって、これらバスバーB2の変形および/または位置ずれに起因する短絡のおそれが少ない。
【0171】
(第10実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態の第1接続部B6に代えて、
図28に図示される第1接続部AB6を採用することができる。
【0172】
第1接続部AB6は、バスバーB2の本体部よりも広い幅を有する。第1接続部AB6は、バスバーB2の本体部よりも、ステータ31の軸方向へ突出するように形成されている。さらに、第1接続部AB6は、折り曲げられる工程において、先端部が先細形状となるように折り曲げられる。第1接続部AB6によると、バスバーB2より突出した形状をもつ第1接続部AB6によってコイル端部37とバスバーB2とが接続される。突出した形状は、ステータ31の上における電気接続のための作業をさらに容易にする。例えば、突出した形状は、器具によって先端を把持する作業を容易にする。さらに、先細の第1接続部AB6は、その先端部からの作業を容易にする。例えば、先細の形状も、器具による把持を容易にする。
【0173】
図中には、第1接続部AB6においてはんだ付けが採用される場合のはんだA8の形状の一例が破線によって図示されている。さらに、図中には、バスバーB2および第1接続部AB6を保護する保護膜A9の形状の一例が破線によって図示されている。保護膜A9は、電気絶縁性の樹脂材料によって提供することができる。保護膜A9は、塗布、浸漬といった多様な手法によって形成することができる。
【0174】
(第11実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態の被覆線支持部C4に代えて、
図29−
図32に図示される被覆線支持部BC4を採用することができる。
【0175】
ターミナルホルダC1は、周方向の他方の壁をゴム製のブッシュBC1bによって提供している。ゴム製のブッシュBC1bは、ターミナルホルダC1を形成する樹脂製の部材に組み付けられている。この実施形態でも、ターミナルホルダC1は、容器状の形状を有している。被覆線支持部BC4は、ブッシュBC1bに形成された貫通穴BC4aによって提供される。貫通穴BC4aは、被覆線A3の直径と等しいか、わずかに小さい内径を有する。被覆線A3は、貫通穴BC4aを貫通するように配置される。この構成によると、ターミナルホルダC1の本体部とブッシュBC1bとの間の隙間が抑制される。しかも、ブッシュBC1bと被覆線A3との間の隙間が抑制される。この結果、集合室C5に接着剤またはポッティング材が適用される場合に、製造工程における、それら流体の流出を抑制することができる。
【0176】
(第12実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態のターミナルホルダC1は、さらに、複数のバスバーB2を収容する容器部CC6を追加的に備えることができる。
【0177】
図33、
図34において、ターミナルホルダC1は、容器部CC6を有する。容器部CC6は、複数のバスバーB2を収容する。容器部CC6は、バスバーB2を保護する保護部材として機能する。
【0178】
容器部CC6は、先行する実施形態において説明したターミナルホルダC1の部材と一体的に成形されている。少なくともバスバー支持部C2と容器部CC6とは、それらにわたって連続する樹脂材料によって成形されている。容器部CC6は、センサユニット41のケース51とは別体である。
【0179】
容器部CC6は、ステータ31の端面と平行に広がる浅い容器状または皿状と呼びうる形状である。容器部CC6は、円弧状または扇状と呼びうる形状である。容器部CC6は、ステータ31の端面と平行に広がる底壁と、底壁の縁を囲むように立ち上がる側壁とを有している。底壁は、複数のコイル端部37が配置された範囲にわたって広がっている。底壁および/または側壁には、複数のコイル端部37を受け入れる貫通穴および/または切り欠きが設けられている。この実施形態では、複数のコイル端部37は、底壁を貫通して配置され、容器部CC6の内部に配置されている。
【0180】
複数のバスバーB2は、容器部CC6の中に配置されている。複数のバスバーB2がひとつの平面状に配置されることにより、ステータ31の軸方向に関する容器部CC6の高さが抑制される。
【0181】
容器部CC6は、それだけで複数のコイル端部37を規定の位置に位置付ける部材として機能する。容器部CC6、複数のバスバーB2を規定の位置に位置付ける部材として機能する。特にその底壁は、ステータ31の軸方向に関するバスバーB2の変形を抑制する。容器部CC6は、それだけでバスバーB2を機械的変形から保護する部材、または電気的に他の部材との接触から保護する部材として機能する。
【0182】
この実施形態では、容器部CC6は封止樹脂を溜める容器として利用される。容器部CC6内には、複数のバスバーB2、複数のコイル端部37、および第1接続部B6の少なくとも一部が覆われるように封止樹脂が注入される。望ましい形態では、複数のバスバーB2、複数のコイル端部37、および第1接続部B6の全体が完全に覆われるように封止樹脂が充填される。これに代えて、第1接続部B6およびコイル端部37だけが覆われるように封止樹脂が適用されてもよい。また、封止樹脂は、電気絶縁を目的とすることなく、バスバーB2を容器部CC6に固定するために、バスバーB2と容器部CC6との間に適用されてもよい。これにより、容器部CC6の内部において複数のバスバーB2の位置が安定的に維持される。また、複数のバスバーB2が他の部材との接触から保護される。さらに、第1接続部B6が機械的に、および電気的に保護される。
【0183】
(第13実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。上記実施形態の容器部CC6に代えて、
図35および
図36に図示される容器部DC6を採用することができる。
【0184】
容器部DC6は、センサユニット41のケース51と一体的に成形されている。容器部DC6と、ケース51とは、連続する樹脂材料によって成形されている。この結果、ターミナルホルダC1とケース51とは一体的に成形されている。この実施形態によると、ステータ31の端面に配置される電気的な部材を単一の部品として取り扱うことが可能となる。この結果、ステータ31にセンサユニット41とターミナルユニットB1とを装着する作業が容易になる。
【0185】
(第14実施形態)
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。この実施形態では、第1接続部B6において、
図5に例示されたプロジェクション溶接が採用されている。
図37において、ターミナルユニットB1は、容器部EC6を有する。容器部EC6は、コイル端部37を案内し、規定の位置に位置付けるためのスリット73を有する。スリット73は、容器部EC6に設けられたスリット区画部74、75によって区画形成されている。コイル端部37は、容器部EC6の径方向内側の縁から、容器部EC6の上へ、さらに容器部EC6の中へ導入されている。スリット73は、コイル端部37が敷設されるべき規定の方向に沿って延びている。
【0186】
バスバーB2は、第1接続部B6を提供するために、
図5に例示された接続部67と相似の形状を有している。第1接続部B6には、突条が形成されている。第1接続部B6が提供する端子の上において、突条は、端子の背面から端子の正面に向けて突出するように形成されている。図示の例では、突条は、おおよそ径方向外側に向けて突出するように形成されている。
【0187】
コイル端部37は、第1接続部B6における端子の背面から、正面に回りこむように配置されている。この結果、コイル端部37は、端子の背後から端子に掛けられるように配置される。第1接続部B6においては、突条の上に、コイル端部37が配置されている。第1接続部B6とコイル端部37とは、プロジェクション溶接によって接合され、電気的に、かつ機械的に接続されている。この実施形態によると、プロジェクション溶接のための電極を配置しやすい形状が提供される。この結果、高い生産性を実現することができる。上記実施形態では、第1接続部B6は、ステータ31の端面上において周方向に広がるように配置されている。言い換えると、第1接続部B6の面は、ステータ31の径方向を指向し、突条は径方向に沿って突出している。これに代えて、第1接続部B6は、ステータ31の端面上において径方向に沿って広がるように配置されてもよい。この場合、第1接続部B6の面は、ステータ31の周方向を指向し、突条は周方向に沿って突出する。
【0188】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0189】
上記実施形態では、外側接続部66、466は、かしめ加工、またははんだ付けに適した形状を有している。これに代えて、または加えて、外側接続部は、ヒュージング加工に適した形状を有していてもよい。
【0190】
上記実施形態では、内側接続部67、267は、プロジェクション溶接に適した形状を有している。これに代えて、内側接続部67、267は、コイル端部37との電気抵抗溶接に適した形状を有していてもよい。また、内側接続部67、267は、はんだ付けに適した形状を有していてもよい。内側接続部67、267は、外側接続部66、466とは異なる接続工法に適した形状をもつことができる。内側接続部67、267がプロジェクション溶接に代えて、はんだ付けとなる場合、フラックスが用いられる。例えば、コイル端部37がアルミ系金属製である場合、強い活性力をもつ強いフラックスが用いられる場合がある。この場合でも、ここに開示される接続端子は、フラックスに起因する不具合を抑制することを可能とする。例えば、フラックスの残渣は、内側接続部67、267の腐食原因となるから、十分な洗浄が必要となる。このような場合であっても、ここに開示される接続端子は、洗浄が必要な範囲の低減を可能とする。加えて、コイルその他の部位へのフラックスの不意の付着が防止される。
【0191】
上記実施形態では、3つの接続端子65、265、365、465は部品搭載部31aにおいてインシュレータ35だけに固定される。これに代えて、複数の接続端子の間を電気絶縁性の材料によって連結してもよい。例えば、3つの接続端子の間に跨って延びる補助ブラケットを採用することができる。また、保護部材79を3つの接続端子に跨がるように付与してもよい。また、上記実施形態では、接続端子は固定部69だけで支持される片持ち梁状である。これに代えて、接続端子を複数の位置で支持してもよい。例えば、腕部68を支持するための突出部分をインシュレータ35に形成してもよい。例えば、スリット区画部74、75、またはこれらに類似の軸方向突出部をインシュレータ35に形成し、接続端子を周方向に関して接触させてもよい。これにより、接続端子の望ましくない変形が抑制され、その望ましい形状が維持される。
【0192】
上記実施形態では、ステータコイル33を形成する導線はアルミ系金属製である。これに代えて、銅製の導線を使用してもよい。上記実施形態では、ステータコイル33は、スター結線されている。これに代えて、ステータコイル33はデルタ結線されていてもよい。
【0193】
上記実施形態では、接続端子65は平板状である。これに代えて、接続端子65は、湾曲した板でもよい。さらに、接続端子65の全体が、やや湾曲しながらステータ31の径方向に沿って延びていてもよい。
【0194】
上記実施形態では、ステータ31のボディ13側の端面に接続端子65を設けている。接続端子65は、ステータ31のどちらか一方の端面または両面に設けることができる。例えば、接続端子65は、ロータ21に面する端面に設けられてもよい。
【0195】
上記実施形態では、コイル端部37の先端にストリップ部分38を形成した。これに代えて、ストリップ部分38を形成することなく、絶縁皮膜を付けたままで、コイル端部37と接続端子65とを溶接してもよい。この場合、溶接によって絶縁皮膜が破られる。
【0196】
上記実施形態では、接続端子65は、複数のコイル端部37および電力線11bと電気的に接続されている。これに加えて、接続端子65は、他の部材と電気的に接続されてもよい。例えば、接続端子65は電圧または電流を計測するためのセンサ端子と電気的に接続されてもよい。
【0197】
上記実施形態では、インシュレータ35に接続端子65を圧入することによって接続端子65を固定している。これに代えて、インシュレータ35を樹脂成形する工程において、接続端子65をインサート成形してもよい。
【0198】
上記実施形態では、ステータコア32とインシュレータ35とは別体の部品である。これに代えて、ステータコア32とインシュレータ35とを一体化してもよい。例えば、ステータコア32をインシュレータ35の中にインサート成形してもよい。また、上記実施形態では、部品搭載部31aを提供するインシュレータ35は、ステータコイル33のためのボビンを提供している。これに代えて、部品搭載部31aを提供するインシュレータと、ボビンを提供するインシュレータとを別部品としてもよい。例えば、部品搭載部31aの部分だけを別部品として、ステータ31上に装着可能に構成してもよい。
【0199】
上記実施形態では、ロータ21は、回転軸14の端部からボディ13側に覆いかぶさるようなカップ形状である。これに代えて、回転軸の端部に向けて開いたカップ形状のロータを用いてもよい。この場合、ステータ31は、ボディ13としてのカバー部材に装着される場合がある。上記実施形態では、回転電機10は、いわゆるアウタロータ型である。これに代えて、回転電機10は、インナロータ型であってもよい。インナロータ型であっても、接続端子65を利用することができる。インナロータ型の場合、第1環状領域は内側環状領域であり、第2環状領域は外側環状領域である。第1接続部は内側接続部として内側環状領域に配置され、第2接続部は外側接続部として外側環状領域に配置される。
【0200】
上記実施形態では、2つの固定部783a、783bは、ひとつの接続部分61の周方向の両側に配置されている。これに代えて、2つの固定部783a、783bは、複数の接続部分の周方向の両側に配置されてもよい。例えば、2つの固定部783a、783bの間に、2つの接続部分61、62を配置してもよい。また、2つの固定部783a、783bは、放射状に延在している。これに代えて、2つの固定部783a、783bは、互いに多様な角度をなすように配置されてもよい。例えば、2つの固定部783a、783bは、平行に配置することができる。腕部85も、多様な形状によって提供することができる。例えば、腕部85は、固定部783aの延在方向を一辺とし、固定部783bの延在方向を一辺とする多辺形とすることができる。
【0201】
上記実施形態に加えて、ステータコア32に固定されるブラケット81は、接地接続のための部材として利用されてもよい。例えば、ブラケット81に端子を設けて、接地電位の電力線を接続することができる。ブラケット81は、ステータコア32を経由して、ボディ13と電気的に導通可能である。
【0202】
上記実施形態では、回転電機10は、交流発電機スタータを提供する。これに代えて、回転電機10は、発電機として構成されてもよい。
【0203】
例えば、上記実施形態では回転電機10は発電機機能と電動機機能との両方を備える。これに代えて、回転電機10は発電機機能だけ、または電動機機能だけを備えていてもよい。
【0204】
上記実施形態では、複数のバスバーB2は、径方向に関して多層をなすように配置されている。これに代えて、または加えて、複数のバスバーB2が、全体で、または一部で軸方向に関して多層をなすように配置されてもよい。
【0205】
上記実施形態では、長手方向に垂直な断面が長方形である板状のバスバーB2が採用されている。これに代えて、断面が丸形、または正方形のバスバーB2が採用されてもよい。このような場合、第1接続部B6および/または第2接続部B7における断面形状は板状に成形されてもよい。また、支持部分B8における断面形状は、スリットへの配置に適した板状に成形されてもよい。上記実施形態では、板状のバスバーB2が縦状態で配置されている。これに代えて、板状のバスバーの広い平面と、ステータ31の端面とが平行となるようにバスバーを配置してもよい。
【0206】
上記実施形態では、金属製のクリップ91を採用した。これに代えて、樹脂製のクリップが採用されてもよい。また、クリップ91はボルトによってステータ31に固定されてもよい。さらに、クリップ91をターミナルホルダC1に一体化してもよい。例えば、金属製のクリップ91を樹脂製のターミナルホルダC1にインサート成形しても良い。また、樹脂製のターミナルホルダC1に樹脂製のクリップを一体成型してもよい。
【0207】
上記実施形態では、ターミナルホルダC1に形成されたスリットC2a、C2bにバスバーB2を圧入することによって、複数のバスバーB2とターミナルホルダC1とを連結している。これに代えて、スリットC2aだけに、またはスリットC2bだけにバスバーB2を圧入してもよい。例えば、スリットC2aだけにバスバーB2を圧入する構成を採用し、第2接続部B7は、ターミナルホルダC1から突出して保持されるように構成してもよい。また、圧入を採用することなく、接着剤または封止樹脂によってターミナルホルダC1にバスバーB2を支持させてもよい。さらに、複数のバスバーB2を、端子台C1の樹脂材料の中にインサート成形してもよい。また、バスバーB2とスリットC2a、C2bとの嵌め合いを緩い嵌め合いとしてもよい。このような場合、支持部分B8がスリットC2a、C2b内に保持されるように、スリットC2a、C2bの入口にバスバーB2と端子台C1との間のスナップフィット機構を提供する爪状の係合部を設けてもよい。
【0208】
上記実施形態では、ターミナルホルダC1は円弧状である。これに代えて、ターミナルホルダC1は、四角形状、細長い棒状など多様な形状をもつことができる。また、上記実施形態では、ターミナルホルダC1は、容器状である。これに代えて、ターミナルホルダC1は、バスバー支持部C2を提供するためのスリットをもつ櫛歯状など多様な形状をもつことができる。
【0209】
上記実施形態では、複数のコイル端部37をステータコイル33の径方向内側に配置している。これに代えて、複数のコイル端部37をステータコイル33の径方向外側に配置してもよい。この場合、複数のバスバーB2は、ターミナルホルダC1から周方向に延び出し、中央部から径方向外側に向けて回りこむように延びてコイル端部37へ到達する形状を与えられる。
【0210】
上記実施形態では、バスバーB2および第1接続部B6は、金属部分を露出して配置されている。これに代えて、上記実施形態に開示された保護膜A9を備えていてもよい。また、複数のバスバーB2の全部または少なくともひとつにカバーを被せてもよい。また、ひとつのバスバーB2の全部または少なくとも一部にカバーを被せてもよい。
【0211】
上記実施形態では、ケース51は、ステータ31に固定され、支持されている。これに加えて、ケース51は、ボディ13に接触するための脚部または腕部を備えてもよい。脚部は、ボディ13と接触することにより弾性変形するように形成することができる。そのような脚部を開示する日本特許出願である特願2014−243431号の内容は、この明細書における技術的開示として参照により引用される。ケース51は、腕部として特許文献4に記載の腕部を備えてもよい。
【0212】
上記実施形態では、ターミナルホルダC1は、ステータ31だけに固定されている。これに代えて、ターミナルホルダC1に、ボディ13に対する位置を規定するための脚部または腕部を設けてもよい。この構成は、ステータ31とボディ13との間の回転方向に関する位置決めを、ターミナルホルダC1を介して提供することを可能とする。
(特徴1)
内燃機関(12)の回転軸に連結されるロータコア(22)の内面に永久磁石(23)が配置されたロータ(21)と組合せられることによって内燃機関用回転電機を構成するステータにおいて、前記内燃機関のボディ(13)に固定されることによって前記ロータの内側に配置され、前記永久磁石と対向する複数の磁極(32a)を径方向外側に形成するステータコア(32)と、前記ステータコアに設けられた電機子巻線としてのステータコイル(33)と、前記ステータコイルの複数のコイル端部(37)と外部の電気回路とを接続する電力線(A1)とを備え、前記電力線は、複数の被覆線(A3)を有するワイヤハーネス(A2)と、前記ステータコイルの複数のコイル端部と複数の前記被覆線との間を接続するターミナルユニット(B1)とを備え、前記ターミナルユニットは、複数の前記コイル端部と複数の前記被覆線との間を接続する複数の金属製のバスバー(B2)と、前記ステータの端面上に配置され、複数の前記バスバーを互いに電気的に絶縁しながら支持するバスバー支持部(C2)を有する絶縁材料製のターミナルホルダ(C1)とを備えることを特徴とする内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴2)
前記バスバーは、前記コイル端部と接続される第1接続部(B6)と、前記被覆線と接続される第2接続部(B7)と、前記第1接続部と前記第2接続部との間に位置する支持部分(B8)とを有し、前記バスバー支持部は、前記支持部および/または前記第2接続部を支持していることを特徴とする上記(特徴1)に記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴3)
前記ターミナルホルダは、前記バスバーが圧入されるスリット(C2a、C2b)によって前記バスバー支持部を提供することを特徴とする上記(特徴2)に記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴4)
前記ターミナルホルダは、前記被覆線の端部を支持する被覆線支持部(C4)を有することを特徴とする上記(特徴1)または上記(特徴2)に記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴5)
前記ターミナルホルダは、前記被覆線の端部を収容する集合室(C5)を有することを特徴とする上記(特徴4)に記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴6)
前記バスバーは、前記ターミナルホルダと前記コイル端部との間にわたって露出して配置されていることを特徴とする上記(特徴1)から上記(特徴5)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴7)
前記ターミナルホルダは、複数の前記バスバーを収容する容器部(CC6、DC6)を備えることを特徴とする上記(特徴1)から上記(特徴6)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴8)
複数の前記コイル端部は、前記ステータの周方向に沿って分散して配置されており、前記バスバーは、前記ターミナルホルダから周方向に延び出しており、径方向に向けて回りこむように延びて前記コイル端部へ到達する形状を有することを特徴とする上記(特徴1)から上記(特徴7)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴9)
前記バスバーは、前記コイル端部と接続されるために前記バスバーの端部を折り曲げて形成される第1接続部(B6)を有し、複数の前記バスバーが提供する複数の前記第1接続部は、前記第1接続部を挟む方向が前記ステータ上において、ほぼ同じ方向となるように配置されていることを特徴とする上記(特徴1)から上記(特徴8)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴10)
さらに、前記ターミナルホルダを前記ステータに固定する固定部材(91)と、前記被覆線と前記ターミナルホルダとを覆うカバー(A6)とを備え、前記固定部材(91)は、前記カバーの上から前記ターミナルホルダと前記被覆線とを保持していることを特徴とする上記(特徴1)から上記(特徴9)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータ。
(特徴11)
上記(特徴1)から上記(特徴10)のいずれかに記載の内燃機関用回転電機のステータと、前記内燃機関の回転軸に連結されるロータコア(22)の内面に永久磁石(23)が配置されたロータ(21)とを備えることを特徴とする内燃機関用回転電機。