(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6079954
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】天板付家具
(51)【国際特許分類】
A47B 3/08 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
A47B3/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-249408(P2012-249408)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-97113(P2014-97113A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】古田 司
(72)【発明者】
【氏名】善田 陽一
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−159750(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3142960(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
A47B 91/00−97/08
E05F 5/02
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体とを備えている天板付家具であり、
前記天板の天板面を下向きとし、前記脚体を収納姿勢とした状態で、前記脚体の上を向く面である外側面に、同じく天板面を下向きとした他の天板付家具の天板の側端縁を載せ置き、前記他の天板付家具を前記脚体の外側面に沿って滑らせることにより、該他の天板付家具を載置することができるようにしたものにおいて、
前記脚体の外側面に、前記他の天板付家具と重ね合わせた際に前記他の天板付家具の天板面に衝き当たるクッション部材を有し、
このクッション部材が、クッション部材本体と、このクッション部材本体を脚体に保持させるための保持部とを有し、前記外側面に沿って滑る他の天板付家具が最初に衝き当たる側の前記クッション部材本体の外側縁が、前記脚体の外側面よりも内方に控えた位置に配されていることを特徴とする天板付家具。
【請求項2】
前記クッション部材が、前記脚体の外側面に衝き当たる内向き面を有する前記クッション部材本体と、このクッション部材本体の長手方向中央部から前記脚体内部に向けて伸びる前記保持部と、前記クッション部材本体の長手方向両端部から前記脚体内部に向けて伸びる挿入部とを備えている請求項1記載の天板付家具。
【請求項3】
前記保持部が、前記クッション部材本体との間で前記脚体を挟持する保持爪を備えている請求項2記載の天板付家具。
【請求項4】
前記保持部が、前記クッション部材本体から脚体の内部に向かう方向に伸びる対をなす保持壁と、この保持壁の先端部同士を接続する底壁と、この底壁から脚体の外部に向かう方向に起立し弾性変形が可能な弾性壁とを備えており、この弾性壁の中間部に前記保持爪を備えている請求項3記載の天板付家具。
【請求項5】
このクッション部材の外側面の長手方向両端部が、前記脚体の外側面に対して90度未満の傾斜を有する請求項1、2、3又は4記載の天板付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体を備えた天板付家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体とを備え、脚体を前記使用姿勢とした状態で使用するとともに、非使用時には脚体を前記収納姿勢とした状態で収納することが可能な天板付家具が広く知られている。このような天板付家具の脚体を前記収納姿勢とした状態で複数台収納する際には、天板付家具同士を上下に積み重ねることが一般的に行われているが、天板面を上向きとした天板付家具同士又は天板面を下向きとした天板付家具同士を重ね合わせる際には、脚体と天板とが衝き当たって天板面に傷が付くことがある。このような不具合の発生を防止又は抑制するための構成として、脚体の外側面に他の天板付家具に衝き当たるクッション部材を設けることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、従来のクッション部材は、脚体の外側面に衝き当たり、脚体の外側面に平行な頂面及びこの頂面の外周縁から脚体に向かって垂下する側面とを有するクッション部材本体と、このクッション部材本体の底面の長手方向両端部からそれぞれ前記脚体内部に向けて伸び前記脚体内部に挿入されることによりこのクッション部材を脚体に保持させるための保持部とを備えているが、このような構成を採用した場合以下に述べるような不具合が発生しうる。すなわち、天板面を下向きとした一の天板付家具に、天板面を下向きとした他の天板付家具を積み重ねるにあたって、前記一の天板付家具の脚体に前記他の天板付家具の天板の側端縁を載せ置き、前記他の天板付家具を側方に滑らせて前記天板の側端縁を前記一の天板付家具の天板の側端縁に揃えるようにする載置態様がとられた場合に、前記一の天板付家具のクッション部材に前記他の天板付家具の天板の側端縁が衝き当たると前記一の天板付家具のクッション部材のクッション部材本体と保持部との境界に応力が集中し、該クッション部材が破損する不具合が発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−83740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の点に着目し、脚体が天板に平行な収納姿勢をとることが可能な天板付家具において、複数の天板付家具同士を積み重ねる際の載置態様に関わらずクッション部材の破損を防ぎうる構成を有する天板付家具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決すべく、本発明に係る天板付家具は、以下に述べるような構成を有する。すなわち本発明に係る天板付家具は、天板と、この天板から垂下する使用姿勢及び前記天板に平行な収納姿勢をとることが可能な脚体とを備えている天板付家具で
あり、
前記天板の天板面を下向きとし、前記脚体を収納姿勢とした状態で、前記脚体の上を向く面である外側面に、同じく天板面を下向きとした他の天板付家具の天板の側端縁を載せ置き、前記他の天板付家具を前記脚体の外側面に沿って滑らせることにより、該他の天板付家具を載置することができるようにしたものにおいて、前記脚体の外側面に、
前記他の天板付家具と重ね合わせた際に前記他の天板付家具
の天板面に衝き当たるクッション部材を有し、このクッション部材が、クッション部材本体と、このクッション部材本体を脚体に保持させるための保持部とを有し、
前記外側面に沿って滑る他の天板付家具が最初に衝き当たる側の前記クッション部材本体の外側縁が、前記脚体の外側面よりも内方に控えた位置に配されている。
【0007】
このようなものであれば、一の天板付家具の脚体を上側に配置し、この一の天板付家具の脚体の外側面上で他の天板付家具の天板を側方に滑らせ、該他の天板付家具の天板の側端縁を一の天板付家具の天板の側端縁に揃えるようにする態様がとられた場合に、一の天板付家具のクッション部材の一方の外側端側から他の天板付家具の天板が衝き当たると、この衝突の際に発生する力は、一の天板付家具のクッション部材を全体的にスライドさせるように作用する。すなわち、保持部だけでなく該クッション部材の他方の外側端と脚体とが対向する部位にも作用する。従って、応力がクッション部材の脚体への取付部分に集中することがないので、クッション部材が破損する不具合の発生を防ぐことができる。
【0008】
一の天板付家具のクッション部材に他の天板付家具の天板が衝き当たった際に保持部が衝撃を受けにくくするためには、前記クッション部材が、前記脚体の外側面に衝き当たる内向き面を有する前記クッション部材本体と、このクッション部材本体の長手方向中央部から前記脚体内部に向けて伸びる前記保持部と、前記クッション部材本体の長手方向両端部から前記脚体内部に向けて伸びる挿入部とを備えているものが望ましい。
【0009】
このようなクッション部材を脚体に安定的に取り付けることができるようにするための前記保持部の構成として、前記クッション部材本体との間で前記脚体を挟持する保持爪を備えているものが挙げられる。
【0010】
上述した保持爪と脚体との係合を外れにくくしてクッション部材を脚体にさらに安定的に取り付けることができるようにするための前記保持部の構成として、前記保持部が、前記クッション部材本体から脚体の内部に向かう方向に伸びる対をなす保持壁と、この保持壁の先端部同士を接続する底壁と、この底壁から脚体の外部に向かう方向に起立し弾性変形が可能な弾性壁とを備えており、この弾性壁の中間部に前記保持爪を備えているものが挙げられる。
【0011】
一の天板付家具のクッション部材に他の天板付家具の天板が衝き当たった際にこのクッション部材が受ける衝撃を緩和する構成として、外側面の長手方向両端部が、前記脚体の外側面に対して90度未満の傾斜を有するものが挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脚体が天板に平行な収納姿勢をとることが可能な天板付家具において、複数の天板付家具同士を積み重ねる際の載置態様に関わらずクッション部材の破損を防ぎうる構成を有する天板付家具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る天板付家具を示す斜視図。
【
図4】同実施形態に係る天板付家具の脚部を収納姿勢とした状態を示す正面図。
【
図5】同実施形態に係る天板付家具の脚部を収納姿勢とした状態の要部を示す拡大底面図。
【
図7】同実施形態に係る天板付家具のクッション部材を示す底面斜視図。
【
図8】同実施形態に係る天板付家具の積み重ね操作の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を
図1〜
図8を参照しつつ以下に示す。
【0015】
本実施形態に係る天板付家具1は、
図1〜
図5に示すように、天板2と、この天板2から垂下する使用姿勢U及び前記天板2に平行な収納姿勢Sをとることが可能な脚体3と、これら天板2及び脚体3の間に設けられ天板2を支持する天板支持部材4と、この天板支持部材4に支持された棚5とを備えている。
【0016】
前記天板2は、
図1〜
図5に示すように、天板本体21と、この天板本体21の下面に設けた横架材22とを備えている。前記天板本体21は、平面視細長い矩形状をなす木製板状の部材である。前記横架材22は、前記天板本体21の長辺方向に延びる端縁近傍の下面に対をなして設けている。この横架材22の長手方向両端縁には脚取付ブラケット23を溶接により固定して取り付けていて、この脚取付ブラケット23を貫通させた脚取付軸24により前記脚体3を回転可能に支持させている。
【0017】
前記脚体3は、
図1〜
図5に示すように、前記天板2の横架材22に脚取付軸24を介して回転可能に取り付けられ、左右一対に設けられている。各脚体3はそれぞれ、使用姿勢Uにある場合に前記天板2の下面から垂下する前後一対の脚支柱31と、この脚支柱31の下端に取り付けられたアジャスタ32と、前記一対の脚支柱31の中間部同士を連結する脚補強材33とを備えている。前記脚支柱31は、金属製で中空の角柱状の部材であり、前述したように脚取付軸24により天板2に回転可能に取り付けられている。この脚支柱31は、前記天板2の下面から垂下する
図1〜
図3に示すような使用姿勢Uと前記天板2の横架材22に添接する
図4に示すような収納姿勢Sとを選択的にとることができる。また、この脚支柱31の下端部には、前記アジャスタ32を取り付けるための雌ねじ部材311が挿入されている。前記アジャスタ32は、接地体と、この接地体の上面から上方に延びる雄ねじ部材とを備え、この雄ねじ部材を前記雌ねじ部材311の雌ねじ孔に螺合させることにより前記脚支柱31に取り付けられる構成のものである。前記脚補強材33は、金属製の角パイプ状の部材で、前後両端部がそれぞれ前記脚支柱31に溶接により固着されている。
図4に示すように、この脚体3を収納姿勢Sとし、天板2より脚体3を上方に位置させた状態で、この脚体3の上方に他の天板付家具1(2)の天板2(2)を載置することができる。なお、
図4及び
図7において、天板2が水平をなす状態でおかれている一の天板付家具1には符号1(1)、この一の天板付家具1(1)の上方に載置する他の天板付家具1には符号1(2)をそれぞれ付している。さらに、前記
図4及び
図7、並びにこれらに一の天板付家具1(1)の各部位と他の天板付家具1(2)の各部位と区別して示す必要がある箇所においては、各部位を示す符号の後に(1)、(2)を付している。一の天板付家具1(1)のそして、この脚体3の脚支柱31の上部と前記天板2の横架材22との間に、天板支持部材4を介在させている。
【0018】
前記天板支持部材4は、
図1〜
図5に示すように、前記脚体3の内面に基端部を第1の取付軸64を介して回転可能に取り付けている第1のリンクメンバ6と、天板2の横架材22の内面に基端部を第2の取付軸74を介して回転可能に取り付けているとともに先端部を連結軸4aを介して前記第1のリンクメンバ6の先端部に回転可能に支持させている第2のリンクメンバ7とを備えている。なお、この天板支持部材4は、前後に対をなして設けているとともに、左右両側に1対ずつ計2対設けている。そして、対をなす天板支持部材4の第2のリンクメンバ7同士は、連結材75により接続されている。
【0019】
しかして本実施形態では、一の天板付家具1(1)の脚体3(1)の外側面31a(1)に、前記収納姿勢Sをとった際において、他の天板付家具1(2)の天板2(2)に衝き当たるクッション部材8(1)を備えている。以下、一の天板付家具1(1)のクッション部材8(1)の構成について説明するが、クッション部材8(1)の各部の説明については、符号の後の(1)を省略する。
【0020】
このクッション部材8は、
図5〜
図7に示すように、前記脚体3の外側面31aに衝き当たる内向き面811を有する前記クッション部材本体81と、このクッション部材本体81の長手方向中央部から前記脚体3の内部に向けて伸びる保持部82と、前記クッション部材本体81の長手方向両端部から前記脚体3の内部に向けて伸びる挿入部83とを備えている。また、このクッション部材8は、全体が樹脂により一体に形成されている。
【0021】
前記クッション部材本体81は、
図5〜
図7に示すように、前記脚体3の外側面31aに衝き当たる内向き面811を有し、前記脚体3の外側に向かって脚体3の幅方向両側に対をなして起立する板状の起立要素812と、この起立要素812の起立端間を接続しているとともに外側面の長手方向両側縁が前記脚体3の外側面よりも内方に控えている外側面要素813とを備えている。前記対をなす起立要素812間には、これらの長手方向中間部を接続するリブ812aを設けている。前記外側面要素813は、長手方向中央部に位置し前記脚体3の外側面31aと平行な平坦部814と、この平坦部814の長手方向両端から外側面要素813の両端に向かい脚体3の内部に向かう傾斜を有する傾斜面部815とを有する。この傾斜面部815の外側端、すなわちクッション部材本体81の外側縁815aは前記脚体3の外側面31aよりも内方に控えている。そして、前記平坦部814の中央部にはこのクッション部材本体81の厚み方向に貫通する貫通孔814aが設けられていて、この貫通孔814aの外縁から脚体3の内部に向かう方向に前記保持部82が伸びている。また、このクッション部材8を脚体3に取り付けた状態で、クッション部材本体81と脚体3との間に空間8sが形成される。より具体的には、この空間8sは、前記外側面要素813、前記リブ812a、及び脚体3により区画されている。
【0022】
前記保持部82は、
図5〜
図7に示すように、前記外側面要素813における貫通孔814aの幅方向両側に隣接する位置から脚体3の内部に向かう方向に伸びる保持壁821と、この保持壁821の先端部同士を接続する底壁822と、この底壁822の幅方向中央部から脚体3の外部に向かう方向に起立し起立端が前記貫通孔814a内に達し弾性変形が可能な対をなす弾性壁823とを備えており、脚体3の外側面31aに設けた第1のクッション部材取付孔31xに係り合う。前記弾性壁823の中間部には、脚体3に係り合うことが可能な保持爪824が設けられている。この保持爪824は、前記脚体3に対向する対向面824a、及びこの対向面824aの突出端と弾性壁823の基端側とを接続する案内面824bを備え、この保持爪824の対向面824aと前記クッション部材本体81の内向き面811とにより前記脚体3を挟持可能である。このクッション部材8を脚体3に取り付ける際には、前記保持壁821及び前記弾性壁823が第1のクッション部材取付孔31xを通過し、前記案内面824bが第1のクッション部材取付孔31xの開口縁に衝き当たった際に対をなす弾性壁823が相寄る方向に退避するように弾性変形し、前記対向面824aが第1のクッション部材取付孔31xを通過した際に前記対をなす弾性壁823がいずれも弾性復帰して保持爪824が脚体3に係り合うように構成している。そして上述したように、前記クッション部材本体81の長手方向両端部からは、脚体3の内部に向かう方向に伸びる挿入部83をこの保持部82とは別に設けている。
【0023】
前記挿入部83は、
図5〜
図7に示すように、脚体3の外側面31aの前記第1のクッション部材取付孔31xと長手方向両側にそれぞれ隣接する位置に設けた第2のクッション部材取付孔31yに係り合う。
【0024】
そして、
図8に示すように、一の天板付家具1(1)の脚体3(1)を収納位置Sに配しかつ天板2(1)より脚体3(1)を上側に配した状態で、一の天板付家具1(1)の脚体3(1)の外側面31a(1)の上方に、他の天板付家具1(2)の天板2(2)の側端縁を載せ置き、次いで一の天板付家具1(1)の脚体3(1)の外側面31a(1)上で他の天板付家具1(2)の天板2(2)を滑らせると以下のような作用が発生する。すなわち、他の天板付家具1(2)の天板2(2)が、前記クッション部材8(1)の外側面要素813の傾斜面部815に衝き当たる。このとき、前記クッション部材8(1)は全体的に他の天板付家具1(2)の天板2(2)の進行方向にスライドする方向に作用を受ける。すなわち、他の天板付家具1(2)の天板2(2)が衝き当たった側の挿入部83は保持部82寄りに向かう作用を受けて保持部82寄りの面が脚体3(1)の第2のクッション部材取付孔31yの開口端縁に押し付けられるとともに、前記保持部82の前記他の天板付家具1(2)の天板2(2)の進行方向側の面が第1のクッション部材取付孔31xの開口端縁に押し付けられクッション部材本体81の他方の側の外側端815aが第2のクッション部材取付孔31yの開口端縁に押し付けられる。
【0025】
以上に述べたように、本実施形態によれば、一の天板付家具1(1)の脚体3(1)を上側に配置し、この一の天板付家具1(1)の脚体3(1)の外側面31a(1)上で他の天板付家具1(2)の天板2(2)を側方に滑らせ、該他の天板付家具1(2)の天板2(2)の側端縁を一の天板付家具1(1)の天板2(1)の側端縁に揃えるようにする態様がとられた場合に、一の天板付家具1(1)のクッション部材8(1)に他の天板付家具1(2)の天板2(2)が衝き当たると、このクッション部材8(1)は全体的に他の天板付家具1(2)の天板2(2)の進行方向にスライドし、他の天板付家具1(2)の天板2(2)が衝き当たった側の挿入部83、前記保持部82、及び該クッション部材8(1)のクッション部材本体81の他方の側の外側端815aが分散して応力を受けることとなる。従って、応力がクッション部材本体81と保持部82との境界に集中することがないので、クッション部材8(1)が破損する不具合の発生を防ぐことができる。
【0026】
また、前記クッション部材8(1)が、前記脚体3の外側面31aに衝き当たる内向き面811を有する前記クッション部材本体81と、このクッション部材本体81の長手方向中央部から前記脚体3の内部に向けて伸びる前記保持部82と、前記クッション部材本体81の長手方向両端部から前記脚体3の内部に向けて伸びる挿入部83とを備えているので、一の天板付家具1(1)のクッション部材8(1)に他の天板付家具1(2)の天板2(2)が衝き当たった際に保持部82が直接衝撃を受けにくく、クッション部材8(1)を脚体3(1)により安定的に取り付けることができる。
【0027】
さらに、前記クッション部材8(1)の保持部82が、前記クッション部材本体81との間で前記脚体3(1)を挟持する保持爪824を備えているので、クッション部材8(1)を脚体3(1)にさらに安定的に取り付けることができる。
【0028】
加えて、前記保持部82が、前記クッション部材本体81の外側面要素813から脚体3の内部に向かう方向に伸びる対をなす保持壁821と、この保持壁821の先端部同士を接続する底壁822と、この底壁822から脚体3の外部に向かう方向に起立し弾性変形が可能な弾性壁823とを備えており、この弾性壁823の中間部に前記保持爪824を備えているので、衝撃によりこの保持爪824と脚体3の第1のクッション部材取付孔31xとの係合が外れにくく、この点からもクッション部材8(1)を脚体3(1)にさらに安定的に取り付けることができる。
【0029】
そして、このクッション部材8(1)の外側面要素813の長手方向両端部すなわち傾斜面部815が、前記脚体3(1)の外側面31a(1)に対して傾斜を有するので、一の天板付家具1(1)のクッション部材8(1)に他の天板付家具1(2)の天板2(2)が衝き当たった際に衝撃の一部をクッション部材8(1)の外側面要素813に平行な方向に逃がすことができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に限らない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、保持部が直接衝撃を受けることを回避すべく、保持部をクッション部材本体の長手方向中央部から脚体内部に向けて伸びるものとするとともにクッション部材本体の長手方向両端部から脚体内部に向けて伸びる挿入部を設けているが、前記挿入部を省略し、クッション部材本体の長手方向両端部から脚体内部に向けて伸びる保持部を設けたものであっても、クッション部材本体の外側面の長手方向両端部が、前記脚体の外側面よりも内方に控えた位置に配されているものであれば、少なくとも応力がクッション部材の脚体への取り付け部分に集中することを抑制又は防止することはできる。
【0032】
また、上述した実施形態では、保持部がクッション部材本体との間で脚体を挟持する保持爪を備えているが、保持部の脚体への取付態様はこれ以外のものであってもよい。例えば、保持部の全体が弾性変形可能であるとともに脚体に設けた保持孔に保持部を弾性変形させつつ圧入させる態様のものが考えられる。
【0033】
さらに、上述した実施形態では、衝突の際の衝撃により保持部と脚体との係合状態を解除しにくくすべく、保持部を、クッション部材本体から脚体の内部に向かう方向に伸びる対をなす保持壁と、この保持壁の先端部同士を接続する底壁と、この底壁から脚体の外部に向かう方向に起立し弾性変形が可能な弾性壁とを備えるものとし、この弾性壁の中間部に前記保持爪を備える構成を採用しているが、他の態様の保持爪を採用してももちろんよい。
【0034】
そして、上述した実施形態では、他の天板付家具の天板がクッション部材に衝き当たった際の衝撃を逃がすべく、このクッション部材の外側面の長手方向両端部が、前記脚体の外側面に対して90度未満の傾斜を有する構成を採用しているが、クッション部材の外側面の長手方向両端部が前記脚体の外側面に対して90度の角度をなして起立しているものであっても、クッション部材本体の外側面の長手方向両端部が、前記脚体の外側面よりも内方に控えた位置に配されているものであれば、本発明の最も主要な効果、すなわち応力がクッション部材本体と取付部との境界に集中することがなく、クッション部材が破損する不具合の発生を防ぐことができるという効果は得ることができる。
【0035】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0036】
1…天板付家具
2…天板
3…脚体
31a…脚体の外側面
8…クッション部材
81…クッション部材本体
815a…クッション部材本体の外側縁
82…保持部