特許第6079987号(P6079987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6079987
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】容器供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/44 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   B65B43/44 A
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-131018(P2012-131018)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-252892(P2013-252892A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年4月30日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】393027121
【氏名又は名称】株式会社ファブリカトヤマ
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】砂田 雅弘
【審査官】 小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/42
B65B 43/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を着脱自在に保持する吸着ヘッドと、この吸着ヘッドを回転させる回転機構と、上記吸着ヘッド及び回転機構を昇降させる昇降機構と、上記回転機構及び昇降機構の作動を制御する制御手段とを備えて、マガジン内の最下部の容器を上記吸着ヘッドにより取り出して下方へ移送しながら反転させて下方側の供給位置に容器を供給するようにした容器供給装置であって、
上記回転機構は、回転自在に設けられるとともに上記吸着ヘッドの設けられた回転軸と、上記回転軸を回転させる回転用サーボモータとを備え、
上記昇降機構は、上記回転軸を保持するとともに上下に移動可能に設けられた昇降部材と、水平状態で回転自在に設けられた昇降用回転軸と、この昇降用回転軸と上記昇降部材とを連動させるリンク機構と、上記昇降用回転軸を回転させる昇降用サーボモータとを備えており、
上記制御手段は、容器を保持した吸着ヘッドを上記昇降機構と回転機構とを介して下降させながら反転させる際に、吸着ヘッドが昇降部材とともに下降しながら反転動作をする途中で、吸着ヘッドの回転を継続しつつ昇降部材を一旦上昇させて、上記容器が等速で反転されるように上記回転用サーボモータと昇降用サーボモータとを制御することを特徴とする容器供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器供給装置に関し、より詳しくは、容器を下方へ移送しながら反転させてから下方側の供給位置に供給するようにした容器供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンやゼリー等の食品を容器に充填する充填ラインは公知である。こうした従来の充填ラインにおいては、先ず、空の容器をマガジン内から取り出した後に、容器を下方へ移送しながら反転させてから下方側の搬送手段へ供給する方法を採用することがある。その場合は、容器を搬送手段へ供給した後、搬送手段によって搬送される容器内にプリン等の食品が充填され、次にシール装置によって容器の開口部にシール部材が装着されるようになっている。
ところで、高い処理能力が要求される充填ラインにおいて充填装置やシール装置を高速で稼働させると、搬送手段への容器の供給も高速で行う必要がある。従来、空の容器をマガジンから取り出した後に、下降させつつ反転させてから下方の供給位置へ供給するようにした容器供給装置として例えば特許文献1や特許文献2が知られている。
特許文献1の装置は、複数の保持部材106を設けた水平回転軸105を備えており、該水平回転軸105にカム板107を取り付けている。そして、水平回転軸105と保持部材106を下降させる際に、上記カム板107をローラカム108に係合させることによって回転軸105及び保持部材106を180度ずつ正転逆転させるようになっている。それにより、保持部材106に保持した容器を下降させながら反転させるようになっている。
他方、特許文献2の装置は、円筒状の昇降反転部2に複数の吸着ノズル20を設けてあり、上記昇降反転部2をロータリーシリンダ等によって回動させることにより、吸着ノズル20に保持した容器を反転させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−253412号公報
【特許文献2】特開2009−255936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1、特許文献2の装置においては、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1の装置においては、保持部材106を高速で反転下降させると容器の振り回し速度が速くなり容器にかかる慣性力が大きくなる
そこで、特許文献1の装置においては、保持部材106の左右両側に一対のL字状押さえ片123を回動可能に取り付けてあり、容器を保持部材106の負圧によって吸着するとともに上記L字状押さえ片123によって保持部材106の上部に把持するようにしている。そのため、特許文献1においては、保持部材106の周辺の機構が複雑になっていた。なお、特許文献1の装置において上記一対のL字状押さえ片123を省略して、保持部材106の負圧のみで容器を吸着保持する構成を採用した場合には、容器を反転させる際に該容器が保持部材106が脱落するおそれがあった。
他方、特許文献2の装置においても、単に昇降反転部2の回転と下降の速度を上げるのでは、容器にかかる慣性力が大きくなり特許文献1と同様なトラブルが発生する危険性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、容器を着脱自在に保持する吸着ヘッドと、この吸着ヘッドを回転させる回転機構と、上記吸着ヘッド及び回転機構を昇降させる昇降機構と、上記回転機構及び昇降機構の作動を制御する制御手段とを備えて、マガジン内の最下部の容器を上記吸着ヘッドにより取り出して下方へ移送しながら反転させて下方側の供給位置に容器を供給するようにした容器供給装置であって、
上記回転機構は、回転自在に設けられるとともに上記吸着ヘッドの設けられた回転軸と、上記回転軸を回転させる回転用サーボモータとを備え、
上記昇降機構は、上記回転軸を保持するとともに上下に移動可能に設けられた昇降部材と、水平状態で回転自在に設けられた昇降用回転軸と、この昇降用回転軸と上記昇降部材とを連動させるリンク機構と、上記昇降用回転軸を回転させる昇降用サーボモータとを備えており、
上記制御手段は、容器を保持した吸着ヘッドを上記昇降機構と回転機構とを介して下降させながら反転させる際に、吸着ヘッドが昇降部材とともに下降しながら反転動作をする途中で、吸着ヘッドの回転を継続しつつ昇降部材を一旦上昇させて、上記容器が等速で反転されるように上記回転用サーボモータと昇降用サーボモータとを制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
このような構成によれば、吸着ヘッドにより容器を反転させる際に、容器は等速で反転されるので、吸着ヘッドから容器が離脱したり位置ずれすることを防止できる。そのため、吸着ヘッドによって容器を高速で反転させてから供給位置に確実に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施例に係る容器供給装置を備えた充填シールシステムの全体構成を示す側面図。
図2】上記容器供給装置の要部を拡大して示す側面図。
図3】上記容器供給装置の回転機構と昇降機構を示す側面図。
図4】上記容器供給装置の回転機構と昇降機構を示す背面図。
図5】上記容器供給装置の回転機構と昇降機構を示す平面図。
図6】上記容器供給装置の動作を示す説明図。
図7】本発明の他の実施例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図示実施例について本発明を説明すると、図1ないし図2において1は充填シールシステムである。この充填シールシステム1は容器2を搬送手段3によって間欠的に搬送しながら容器2内にゼリーを充填し、次に容器2の開口部2Aをシール部材Sによって密封し、最後に容器2に装着したシール部材Sの不要部分を切り揃えるようになっている。本実施例における容器2は合成樹脂からなり、かつ上部の開口部2Aが拡開したカップ状となっている。
充填シールシステム1は、開口部2Aを上に向けた状態の容器2を保持して間欠的に下流側へ搬送する搬送手段3と、搬送手段3の搬送過程の上流端となる供給位置Aの上方側に配置されて空の容器2を積層状態で保持する5列のマガジン4と、5列のマガジン4内に積層された1列分5個の容器2を同期して取り出してから供給位置Aに停止中のリテーナ6のポケットPに供給する容器供給装置5と、供給位置Aよりも下流側となる搬送手段3の搬送過程に順次設けられた従来公知の充填装置7、シール装置8及びトリミング装置9と、さらに上記搬送手段3や各装置5、7〜9等の作動を制御する制御手段10とを備えている。
【0009】
搬送手段3は、左右2組のスプロケット11、11に掛け渡した左右一対の無端状チェーン(図示を省略)を備えており、それら左右の無端状チェーンにわたって多数の板状をしたリテーナ6を掛け渡して取り付けている。各リテーナ6には、搬送手段3の搬送方向と直交する方向に5箇所のポケットPが等間隔で形成されている。図2に示すように、リテーナ6の5個のポケットPに、開口部2Aを上方に向けた状態の容器2を保持できるようになっている。
スプロケット11は、図示しないモータに連動して間欠回転されるようになっており、スプロケット11を間欠回転させるためのモータは、制御手段10によって制御される。制御手段10が図示しないモータを介して搬送手段3のスプロケット11を矢印方向に間欠回転させることにより、供給位置Aに各リテーナ6(ポケットP)が順次所定時間、停止されるようになっている。
一方、空の容器2を積層状態で保持する5列の各マガジン4は、供給位置Aに停止されるリテーナ6の各ポケットPと対応させてそれらの上方位置に同じ高さで配置されている。
【0010】
容器供給装置5はマガジン4及びリテーナ6のポケットPの数に合せて横一列で5個の吸着ヘッド14を備えており、この吸着ヘッド14は図示しない可撓性チューブを介して負圧源に連通している。制御手段10が上記負圧源から吸着ヘッド14の負圧の給排作動を制御することで、吸着ヘッド14により容器2を吸着保持し、或いは保持状態を解放するようになっている。
本実施例においては、上記5列のマガジン4における最下部の容器2を5個の吸着ヘッド14により同期して吸着保持して取り出してから下方へ移送した後に、供給位置Aに停止中におけるリテーナ6の5箇所のポケットPに同期して供給するようになっている。後に詳述するが、容器2を取り出した5個の吸着ヘッド14は下降しながら反転されるので、開口部2Aを上方に向けた状態の容器2が5箇所のポケットPに同期して供給されるようになっている。
【0011】
5列のマガジン4の下部にわたってストッパ機構15が設けられており、このストッパ機構15によって、5列のマガジン4における最下部の容器2を支持するとともに、最下部の容器2が吸着ヘッド14によって円滑にマガジン4から取り出されるようになっている。各マガジン4内には開口部2Aを下方に向けた状態の容器2が積層状態で収容されており、マガジン4内の積層状態の容器2はストッパ機構15によって支持されている。なお、図1図2は側面図であるため、マガジン4と吸着ヘッド14は1つだけ表示している。
図2に示すように、ストッパ機構15は、相互に対向させて配置された前後一対の上部ストッパ16、16’と、相互に対向させて配置された前後一対の下部ストッパ17、17’と、上部ストッパ16、16’を同期して進退動させるための一組のエアシリンダ21、21’と、下部ストッパ17、17’を同期して進退動させるための一組のエアシリンダ22、22’とを備えている。エアシリンダ21、21’、22、22’の作動は制御手段10によって制御されるようになっており、5個の吸着ヘッド14によって各マガジン4の最下部の容器2が吸着されて取り出される際には、制御手段10は、エアシリンダ21、21’、22、22’を介して各ストッパ16、16’、17、17’を次のように進退動させる。
【0012】
つまり、吸着ヘッド14がマガジン4の近接直下位置となる上昇端まで上昇される前においては、エアシリンダ21、21’は作動されていないので、上部ストッパ16、16’は容器2を支持しない後退位置に位置している(図2の状態)。他方、エアシリンダ22、22’は作動されて下部ストッパ17、17’は前進端まで前進されており、これら前進された下部ストッパ17、17’によって各マガジン4内の最下部の容器2が支持されている。
この状態において、容器供給装置5の5個の吸着ヘッド14が同期して対応位置の各マガジン4の近接直下位置となる上昇端まで上昇される。この時には各吸着ヘッド14に負圧が導入されるので、各マガジン4内の最下部の容器2が対応する各吸着ヘッド14によって吸着・保持される。すると、制御手段10はエアシリンダ22、22’の作動を停止させて下部ストッパ17、17’を後退させる一方、エアシリンダ21、21’を作動させて上部ストッパ16、16’を前進端位置まで前進させる。これにより、下部ストッパ17、17’による最下部の容器2の支持状態が解放される一方、各マガジン4内における最下部から2番目の容器2が上部ストッパ16、16’によって支持される。
この後、最下部の容器2を保持した吸着ヘッド14は、同期して鉛直下方へ所定量だけ下降されるので、各マガジン4内から最下部の容器2が吸着ヘッド14によって取り出されるようになっている。
この後、制御手段10によって、エアシリンダ22、22’が作動されて下部ストッパ17、17’が前進端まで前進され、さらにその後に制御手段10によってエアシリンダ21、21’の作動が停止されて上部ストッパ16、16’が後退される。これにより、それまでマガジン4内の最下部から2番目に位置していた容器2が最下部に位置し、該最下部の容器2は下部ストッパ17、17’によって支持されるようになっている。
以上のようにして制御手段10がストッパ機構15の上部ストッパ16、16’及び下部ストッパ17、17’を進退動させることによって、5列のマガジン4内から5個の吸着ヘッド14により最下部の容器2を同期して1個ずつ取り出すことができるようになっている。
【0013】
一方、5列のマガジン4から容器2を取り出した1列分5個の吸着ヘッド14は、この後、制御手段10によって以下のような移動軌跡で下降されながら反転されるので、吸着ヘッド14に保持された容器2も同様の移動軌跡で下降されながら反転されるようになっている。つまり、上昇端位置で容器2を保持した直後に鉛直下方へ下降する取り出し工程S1と、その後に下降しながら180°反転される反転工程S2と、反転工程S2の後に鉛直下方へ下降端まで下降して容器2をポケットPに供給する挿入工程S3の3つの工程が得られるように、制御手段10は、一列分5個の吸着ヘッド14を同期して移動させるようになっている。
このように、容器2を保持した吸着ヘッド14を3つの作動工程S1〜S3で移動させることにより、横一列分5個の吸着ヘッド14に保持された容器2が供給位置Aの5個のポケットP内に供給される。そして、ポケットP内に吸着ヘッド14により容器2が供給された時点で制御手段10が各吸着ヘッド14への負圧の供給を停止させるので、吸着ヘッド14による容器2の保持状態が解放される。これにより、開口部2Aを上方に向けた容器2がポケットP内に供給されるようになっている。
この後、吸着ヘッド14は制御手段10によって作動を制御されて、下降端の位置から上昇されつつ反転されてマガジン4の近接直下位置となる上昇端まで復帰し、その時点で制御手段10により吸着ヘッド14へ負圧が導入される。そのため、5個の吸着ヘッド14により対応位置となるマガジン4の最下部の容器2が吸着保持されるようになっている。この後、前述したようにして吸着ヘッド14により各マガジン4から容器2が取り出され、搬送手段3の間欠搬送に伴って各リテーナ6が供給位置Aに停止する毎に吸着ヘッド14によりリテーナ6のポケットP内に容器2が供給される。
【0014】
そして、搬送手段3の間欠搬送に伴って各リテーナ6のポケットPに保持された各容器2は下流側へ搬送されて次のような処理が行われる。すなわち、開口部2Aを上に向けた状態でリテーナ6内の横一列5個の容器2が充填位置Bに搬入されると、充填装置7によって横一列5個の容器2内に所定量のゼリーが充填される。この後、充填後の容器2を保持したリテーナ6がシール位置Cに搬入されると、シール装置8によって帯状のシール部材Sが横一列5個の容器2における上端の開口部2Aに一斉に取り付けられる。これにより、各容器2の開口部2Aがシール部材2により密封される。
この後、シール部材Sが取り付けられた容器2がトリミング位置Dに搬入されると、トリミング装置9によって各容器2におけるシール部材Sの不要部分が切り揃えられる。つまり、容器2の開口部2Aの輪郭に倣った形状にシール部材Sが切り揃えられるようになっている。
このようにして、リテーナ6に保持されて間欠搬送される一列部5個の容器2に対してゼリーの充填、シール部材Sの装着及びシール部材Sの不要部分を切り揃える処理が行われる。そして、これらの処理が終わってリテーナ6に保持された横一列分5個の容器2は、図示しない排出手段によって搬送手段3のリテーナ6から取り外された後に図示しない下流側の集積位置へ移送されるようになっている。なお、充填装置7、シール装置8及びトリミング装置9の構成は従来公知であるので、それらに関する詳細な説明は省略する。
【0015】
しかして、本実施例は、容器供給装置5が備える一列分5個の吸着ヘッド14を上述した各工程S1〜S3によって移動させるに当たって、反転工程S2において吸着ヘッド14とそれに保持された容器2を等速で反転させるようにしたものであり、それにより反転される容器2が吸着ヘッド14から脱落したり位置ずれすることを防止したものである。
以下、容器供給装置5の詳細な構成について説明する。図3ないし図5において容器供給装置5は、容器2を吸着して保持する1列分5個の吸着ヘッド14と、一列分の吸着ヘッド14を同期して回転させる回転機構23と、吸着ヘッド14及び回転機構23を昇降させる昇降機構24とを備えており、制御手段10により回転機構23と昇降機構24の作動を制御することで、前述した各工程S1〜S3で吸着ヘッド14を移動させるようになっている。
容器供給装置5は、上記搬送手段3を挟んで配置された左右一対の支柱25、25を備えており、これら支柱25の外面に各一対のガイドレール26、26が鉛直方向に連結されている。左右各対のガイドレール26、26には、スライド部材27、27を介して左右一対の昇降部材31、31が昇降自在に取り付けられており、これら一対の昇降部材31、31の先端部にわたって回転軸32が回転自在に取り付けられている。この回転軸32は、搬送手段3上に該搬送手段3の搬送方向と直交して、かつ水平に支持されている。この回転軸32の長手方向に等間隔で上記5個の吸着ヘッド14が開口を同一方向を向けて取り付けられている。前述したように、各吸着ヘッド14は図示しない可撓性チューブを介して負圧源に連通させてあり、制御手段10によって所要時に各吸着ヘッド14に同期して負圧を導入し、或いは負圧の導入を停止させるようになっている。それにより、吸着ヘッド14によって容器2を保持し、或いは保持状態を解放することができる。
回転軸32の一端にはサーボモータ33が接続されており、このサーボモータ33は制御手段10によって正逆に所要量だけ回転されるようになっている。すなわち、制御手段10は、サーボモータ33により回転軸32を正逆に回転させることにより、回転軸32に取り付けた1列分5個の吸着ヘッド14の開口を鉛直上方に向けた状態と、さらに鉛直上方を向けた状態から回転軸32の軸心を回転中心として180°回転させた状態、すなわち吸着ヘッド14が反転された状態とに移動させることができる。本実施例の回転機構23は、回転軸32及びサーボモータ33とによって構成されている。
【0016】
次に、上記回転機構23と吸着ヘッド14を昇降させる昇降機構24について説明する。上記左右の支柱25、25の上端部にわたって、回転軸34が水平な状態で回転自在に軸支されており、回転軸34は図示しない複数のギヤを介してサーボモータ35に連動されている。サーボモータ35は制御手段10によって作動を制御されるようになっており、所要時に制御手段10によって正逆に所要量だけ回転されるようになっている。
回転軸34の両端部は両支柱25、25の外方まで突出させてあり、それら回転軸34の両端部は、揺動レバー29と連結ロッド30からなる左右一対のリンク機構36、36を介して上記左右の昇降部材24、24に接続されている。そのため、制御手段10によってサーボモータ35が正逆に所要量だけ回転されて回転軸34が正逆に回転されると、左右のリンク機構36、36を介して両昇降部材31、31、回転軸32及び5個の吸着ヘッド14がガイドレール26に沿って昇降され、それに伴い、両昇降部材31、31に配設されている回転軸32及び5個の吸着ヘッド14も昇降されるようになっている。本実施例においては、昇降部材31、31、リンク機構36、36、回転軸34及びサーボモータ35によって昇降機構24が構成されている。
【0017】
容器供給装置5の回転機構23及び昇降機構24は、上述したように構成されており、制御手段10が上記回転機構23のサーボモータ33と昇降機構24のサーボモータ35の作動を制御することにより、1列分5個の吸着ヘッド14を前述した上昇端と下降端との間で上記各作動工程S1〜S3が得られるように、より詳細には、上記反転工程S2の移動時に一番外側を移動する容器2の底面中心が等速に移動するように上記回転機構23のサーボモータ33と昇降機構24のサーボモータ35の作動を制御して、マガジン4から容器2を取り出して供給位置AのポケットPに供給するようになっている。
以下、本発明の一実施例に係る容器供給装置5の作動について説明する。
先ず、制御手段10は、両サーボモータ33、35の作動を制御して、回転機構23と昇降機構24を介して開口を上方に向けた状態の吸着ヘッド14を、各マガジン4の近接下方となる上昇端へ上昇させる(図2参照)。この時、制御手段10により各吸着ヘッド14に負圧が導入されているので、5列のマガジン4における最下部の容器2が各吸着ヘッド14により吸着保持される。
この後、前述したようにストッパ機構15による各マガジン4内の容器2の支持状態が解除される。また、この時点では搬送手段3のリテーナ6が下方側の供給位置Aに停止している。
【0018】
次に、制御手段10は、サーボモータ35の作動を制御して昇降機構24を介して吸着ヘッド14及び回転機構23を所定量だけ下降させる。これにより、各マガジン4内の最下部の容器2が吸着ヘッド14に吸着保持されて取り出される(取り出し工程S1)。
この後、制御手段10は、サーボモータ35の回転を継続させて昇降機構24を介して吸着ヘヅド14を下降させつつ、サーボモータ33を正転させて回転機構23を介して吸着ヘッド14を、図2で示す反時計回りに回転させる(反転工程S2)。ここで、本実施例では、この反転工程S2の途中において、反転中の吸着ヘッド14の軸心が略水平となる位置まで回転される前、すなわち反転工程S2の動作を示す図6においては(a)から(b)に至るまでは回転軸32は下降しているが、(b)から(d)に至る経路では吸着ヘッド14は反転動作は継続しつつ、制御手段10はサーボモータ35をそれまでとは逆方向に所定量だけ上昇させて回転軸32を上昇させている。その後、制御手段10はサーボモータ35を元の回転方向に回転させるようになっている。これにより容器2に係る下降動作に伴う慣性力が相殺されることになり、下降しながら反転さえる場合と比較して容器2に係る慣性力を小さくすることが可能となる。また、下降ストロークも短くすることが可能となり、容器供給装置5をコンパクトにできる。
なお、図6中においてK1は容器2の底面中央部の移動点を示し、K2はその移動軌跡を示している。
この反転工程S2により、吸着ヘッド14及びそれに保持された容器2は、図2に示すように、搬送手段3の搬送方向に沿った仮想の鉛直面において円弧状の 移動軌跡を描いて反転されるようになっている。このような移動軌跡を描いて容器2が反転される際における容器2の天面中央の反転速度が等速となるように、制御手段10は上記両サーボモータ33、35の回転数を制御する。
このように、反転工程S2においては、吸着ヘッド14に吸着保持された容器2の天面中央が等速で移動するように反転されるので、吸着ヘッド14から容器2が脱落したり、位置ずれするのを抑えることができる。なお、本実施例では、反転動作時に1番外側となる容器2における天面中央に位置する箇所が等速移動するように上記両サーボモータ33、35を制御しているが、それに限るものではなく、容器2全体の中心や吸着ヘッド14の吸着部中心が等速移動するように上記両サーボモータ33、35を制御しても良い。この反転工程S2により、吸着ヘッド14に保持された各容器2は開口部2Aを上方に向けた状態に反転されるとともに、容器2は供給位置Aで停止中のボケツトPの上方に支持される。
【0019】
この後、制御手段10は、サーボモータ35の作動を制御して昇降機構24を介して吸着ヘッド14及び回転機構23を所定量下降させる(挿入工程S3)。これにより、吸着ヘッド14に保持された各容器2が対応位置のポケットP内に挿入される。ポケットPに容器2が挿入された直後に制御手段10は各吸着ヘッド14への負圧の導入を停止させるので、吸着ヘッド14による容器2の保持状態が解除されて、各容器2が開口部2Aを上方に向けた状態でポケットP内に供給される。
このように、制御手段10により作動を制御された吸着ヘッド14は、3つの作動工程S1〜S3を経ることで、供給位置Aに停止中の5個のポケットP内に容器2を供給するようになっている。
この後、下降端において容器2の保持状態を解放した吸着ヘッド14は、制御手段10がサーボモータ35の作動を制御することで上昇されるとともに、制御手段10がサーボモータ33の作動を制御することで反転工程S2とは逆方向に反転されて各マガジン4の近接直下位置となる上昇端に復帰するようになっている。
なお、上記実施例では、回転軸32に同一方向に一組の吸着ヘッド14を取り付けているが、図7に示すように回転軸32の円周方向に180°位置をずらして2組の吸着ヘッド14を回転軸32に取り付けても良い。このように吸着ヘッド14を2組取り付けた場合には、一方の組の吸着ヘッド14が容器2をポケットP内に供給した後に、そのまま回転軸32を上昇させれば他方の組の吸着ヘッド14を上昇端に位置させることができので、上記実施例よりも高速で動作させることが可能となる。
【0020】
この後、搬送手段3の各リテーナ6が供給位置Aに間欠的に移動されて停止する毎に、上述したようにして容器供給装置5の吸着ヘッド14によりマガジン4から容器2が取り出されて反転されてから供給位置Aのリテーナ6のポケットP内に供給される。そして、前述したように、この後は、搬送手段3のリテーナ6によって間欠的に下流側へ搬送される容器2に対してゼリーの充填、シール部材Sの装着及び不要部分の切り揃え等の処理が施される。
【0021】
なお、上記実施例においては供給位置Aに一時停止中のリテーナ6のポケットPに吸着ヘッド14によって容器2を挿入しているが、供給位置Aを搬送方向に移動中のリテーナ6に吸着ヘッド14を搬送方向に追随させて移動させつつポケットP内に容器2を挿入するようにしても良い。そのような構成を採用することにより、より高速の容器2の供給が可能となる。
また、上記実施例では、マガジン4内に底面を上方に向けた状態の容器2を取り出して反転させてからリテーナ6のポケットPに供給しているが、容器2の向きや供給する場所を限定するものではない。マガジン4内で底面を下方にした状態の容器2を取り出しても良いし、リテーナ6以外の場所に容器2を供給しても良い。
【符号の説明】
【0022】
2‥容器 5‥容器供給装置
10‥制御手段 14‥吸着ヘッド
23‥回転機構 24‥昇降機構
A‥供給位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7