特許第6080046号(P6080046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080046
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20170206BHJP
   B22D 17/26 20060101ALI20170206BHJP
   B22D 17/22 20060101ALI20170206BHJP
   B29C 45/70 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   B22D17/32 Z
   B22D17/26 Z
   B22D17/32 B
   B22D17/22 H
   B22D17/22 K
   B29C45/70
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-15843(P2013-15843)
(22)【出願日】2013年1月30日
(65)【公開番号】特開2014-144479(P2014-144479A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久
(72)【発明者】
【氏名】野田 三郎
(72)【発明者】
【氏名】久保木 勲
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕治
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−297912(JP,A)
【文献】 特開昭60−124454(JP,A)
【文献】 特開平07−185773(JP,A)
【文献】 特開平03−138062(JP,A)
【文献】 特開2010−264491(JP,A)
【文献】 特開昭59−035871(JP,A)
【文献】 特開平07−080904(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0099401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/22,17/32
B29C 45/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締シリンダに作動液を送出する型締用ポンプと
当該型締用ポンプを駆動する型締用電動機と
射出シリンダに作動液を送出する射出用ポンプと
当該射出用ポンプを駆動する射出用電動機と
押出シリンダ及び中子シリンダに作動液を送出する共用ポンプと
当該共用ポンプを駆動する共用電動機と
を有し、
前記型締シリンダ、前記型締用ポンプ及び前記型締用電動機は、型開閉方向の位置を調整可能なリンクハウジングに支持されており、
前記射出シリンダ、前記射出用ポンプ及び前記射出用電動機は、固定的に設けられており、
前記押出シリンダ、前記中子シリンダ、前記共用ポンプ及び前記共用電動機は、移動ダイプレートに支持されている
成形機。
【請求項2】
前記リンクハウジングに支持されており、前記型締シリンダ及び前記型締用ポンプと接続されている型締用タンクと、
固定的に設けられており、前記射出シリンダ及び前記射出用ポンプと接続されている射出用タンクと、
前記移動ダイプレートに支持されており、前記押出シリンダ、前記中子シリンダ及び前記共用ポンプと接続されている共用タンクと、
を更に有している請求項1に記載の成形機。
【請求項3】
前記型締シリンダと前記型締用ポンプとの間の流路、前記射出シリンダと前記射出用ポンプとの間の流路、前記押出シリンダと前記共用ポンプとの間の流路、及び、前記中子シリンダと前記共用ポンプとの間の流路は、剛体の部材から構成されている
請求項1又は2に記載の成形機。
【請求項4】
前記型締用ポンプから前記型締シリンダに作動液を供給することにより型開きを行い、
前記型開きの初期において、前記射出用ポンプから前記射出シリンダに作動液を供給することにより射出プランジャで成形品を固定金型から押し出し、
前記型開きが行われている間において、前記共用ポンプから前記中子シリンダに作動液を供給することにより中子抜きを行い、
中子抜き完了後で、まだ前記型開きが行われている間において、前記共用ポンプから前記押出シリンダに作動液を供給することにより移動金型から成形品を押し出す、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融状態又は半凝固状態の成形材料を金型内で凝固させる成形機に関する。成形機は、例えば、ダイカストマシンや射出成形機である。
【背景技術】
【0002】
型締めや射出等を行うための駆動装置として、液圧シリンダと、当該液圧シリンダに作動液を供給するポンプとを含む液圧系を有する成形機が知られている。特許文献1では、型締めを行うための型締シリンダと、射出を行うための射出シリンダと、成形品の押出しを行うための押出シリンダと、中子の出し入れを行うための中子シリンダと、これらの液圧シリンダに作動液を供給するポンプとを有するダイカストマシンが開示されている。ポンプの送出する作動液は、制御弁によって複数の液圧シリンダのいずれかに選択的に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−264491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の成形機においては、その液圧系の構成に起因して、種々の不都合が生じる。
【0005】
例えば、2以上の液圧シリンダを同時に駆動しようとすると、ポンプからの作動液は負荷が低い液圧シリンダに優先的に流れてしまい、個々の液圧シリンダにおいて適切な駆動力を生じさせることが難しい。その結果、例えば、複数の動作を同時に行ってサイクルタイムを短縮することが難しくなる。
【0006】
また、例えば、上記に関連して、一の液圧シリンダ又はその周辺回路について設計変更が生じると、他の液圧シリンダへの作動液の流れも変化することから、液圧系の全体について、設計変更乃至は作動液の流れに係る調整を行わなければならない。
【0007】
また、例えば、射出シリンダ以外の液圧シリンダは、ポンプとの距離が長く、ひいては、これら液圧シリンダとポンプとを接続する流路が長くなる。また、例えば、ポンプと、中子シリンダのように移動ダイプレートと共に移動する液圧シリンダとを接続する流路は、可撓性の部材(例えばゴムホース)により構成される必要がある。長い流路や可撓性の部材からなる流路は、例えば、エネルギーロスを招いたり、マシン回りの複雑化を招く。
【0008】
従って、液圧系の構成がより好適化された成形機が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る成形機は、型締シリンダに作動液を送出する型締用ポンプと、当該型締用ポンプを駆動する型締用電動機とを含む型締用液圧ユニットと、射出シリンダに作動液を送出する射出用ポンプと、当該射出用ポンプを駆動する射出用電動機とを含む射出用液圧ユニットと、押出シリンダ及び中子シリンダに作動液を送出する共用ポンプと、当該共用ポンプを駆動する共用電動機とを含む共用液圧ユニットと、を有する。
【0010】
好適には、前記型締シリンダ及び前記型締用液圧ユニットは、型開閉方向の位置を調整可能なリンクハウジングに支持されており、前記射出シリンダ及び前記射出用液圧ユニットは、固定的に設けられており、前記押出シリンダ、前記中子シリンダ及び前記共用液圧ユニットは、移動ダイプレートに支持されている。
【0011】
好適には、前記型締シリンダと前記型締用液圧ユニットとの間の流路、前記射出シリンダと前記射出用液圧ユニットとの間の流路、前記押出シリンダと前記共用液圧ユニットとの間の流路、及び、前記中子シリンダと前記共用液圧ユニットとの間の流路は、剛体の部材から構成されている。
【0012】
好適には、前記成形機は、前記型締用液圧ユニットから前記型締シリンダに作動液を供給することにより型開きを行い、前記型開きの初期において、前記射出用液圧ユニットから前記射出シリンダに作動液を供給することにより射出プランジャで成形品を固定金型から押し出し、前記型開きが行われている間において、前記共用液圧ユニットから前記中子シリンダに作動液を供給することにより中子抜きを行い、中子抜き完了後で、まだ前記型開きが行われている間において、前記共用液圧ユニットから前記押出シリンダに作動液を供給することにより移動金型から成形品を押し出す。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液圧系の構成がより好適化される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るダイカストマシンを示す正面図。
図2図1のダイカストマシンを示す上面図。
図3図1のダイカストマシンの液圧回路の構成を示す図。
図4図1のダイカストマシンの動作を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(ダイカストマシンの基本構成)
図1は、本発明の実施形態に係るダイカストマシン1の要部の構成を示す正面図であり、図2は、ダイカストマシン1の上面図である。
【0016】
ダイカストマシン1は、例えば、固定金型103及び移動金型105を型締めする型締装置3と、固定金型103と移動金型105との間に中子107(図1)を出し入れする中子引抜装置5と、型締めされた固定金型103及び移動金型105により構成されるキャビティCaに成形材料としての溶湯(溶融状態の金属材料)を射出・充填する射出装置7と、成形品(ダイカスト品)を固定金型103又は移動金型105(本実施形態では移動金型105)から押し出す押出装置9と、これら装置を制御するための制御盤11(図2)とを有している。
【0017】
型締装置3は、ベース13と、ベース13上に固定され、固定金型103を保持する固定ダイプレート15と、ベース13上において型開閉方向(図1及び図2の紙面左右方向)に移動可能であり、移動金型105を保持する移動ダイプレート17と、固定ダイプレート15及び移動ダイプレート17に掛架された複数のタイバー19とを有している。
【0018】
また、型締装置3は、トグル式のものであり、ベース13上において移動ダイプレート17とは反対側に設けられたリンクハウジング21と、リンクハウジング21と移動ダイプレート17との間に介在するトグル機構23と、トグル機構23に駆動力を付与する型締シリンダ25とを有している。
【0019】
タイバー19は、移動ダイプレート17に挿通されており、また、その一端は、固定ダイプレート15に固定され、他端は、リンクハウジング21に固定されている。リンクハウジング21は、ベース13上において型開閉方向に移動可能に支持されている。なお、リンクハウジング21とタイバー19との位置(リンクハウジング21の型開閉方向の位置)は、タイバナットにより型開閉方向において調整可能である。トグル機構23は、リンクハウジング21と移動ダイプレート17との間に介在する複数のリンクを有している。型締シリンダ25は、そのシリンダ部25cがリンクハウジング21に固定され、ピストンロッド25r(図1)がトグル機構23に連結されている。
【0020】
型締シリンダ25によりトグル機構23に型閉方向(紙面右側)への駆動力が付与されると、移動ダイプレート17は、型閉方向へ移動し、移動金型105は固定金型103に接触する。すなわち、型閉じがなされる。その後、さらに、型締シリンダ25によりトグル機構23に型閉方向への駆動力が付与されると、タイバー19が伸長し、その伸長量に応じた型締力が移動金型105及び固定金型103に付与される。すなわち、型締めが行われる。また、型締シリンダ25によりトグル機構23に型開方向への駆動力が付与されると、移動ダイプレート17は型開方向へ移動し、移動金型105は固定金型103から離れる。すなわち、型開きがなされる。
【0021】
中子引抜装置5は、例えば、コアプラー式のものであり、固定金型103及び移動金型105の一方(本実施形態では移動金型105)に支持された中子シリンダ27(図1)を有している。中子シリンダ27は、そのシリンダ部27cが移動金型105に固定され、ピストンロッド27rに中子107が固定されている。そして、中子シリンダ27が駆動されることにより、中子107は、固定金型103及び移動金型105の間に出し入れされる。
【0022】
射出装置7は、キャビティCaに通じるスリーブ29と、スリーブ29内の溶湯をキャビティCaへ押し出すプランジャ31と、プランジャ31に連結された射出シリンダ33とを有している。射出シリンダ33は、そのシリンダ部33cが固定ダイプレート15に対して固定され、ピストンロッド33rがプランジャ31に連結されている。
【0023】
不図示の給湯口からスリーブ29内に溶湯が供給された状態で、射出シリンダ33によりプランジャ31がキャビティCaに向かう方向(前進方向)に駆動されると、スリーブ29内の溶湯はキャビティCaに押し出される。すなわち、射出が行われる。また、射出シリンダ33は、キャビティCaに溶湯が概ね充填された後も継続してプランジャ31に前進方向の駆動力を付与する。これにより、溶湯の増圧及び保圧が行われる。また、射出シリンダ33は、溶湯が凝固して型開きが行われるとき、その初期において、プランジャ31に前進方向の駆動力を付与する。これにより、成形品は、プランジャ31により押され、固定金型103からの離型が促される。すなわち、射出追従が行われる。
【0024】
押出装置9は、移動金型105からキャビティCa側へ突出可能な押出ピン35(図1)と、押出ピン35を駆動する押出シリンダ37(図1)とを有している。押出ピン35は、例えば、移動金型105に挿通されている。押出シリンダ37は、そのシリンダ部37cが不図示の適宜な部材により移動ダイプレート17に対して固定されており、ピストンロッド37rが押出板や押出ロッドを介して押出ピン35に固定されている。
【0025】
溶湯が凝固して成形品が形成され、型開きがある程度行われた後、押出シリンダ37により押出ピン35がキャビティCa側へ突出するように駆動されると、成形品は、押出ピン35により移動金型105から押し出される。
【0026】
制御盤11は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含むコンピュータを有している。そして、CPUがROM等に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御盤11からは型締装置3、中子引抜装置5、射出装置7及び押出装置9に対してこれらの動作を制御する制御信号が出力される。また、制御盤11は、外部からの電力を適宜な電圧に変換し、変換後の電力を各装置に供給する電源部も有している。制御盤11は、例えば、射出装置7の側方に配置されている。
【0027】
制御盤11は、固定ダイプレート15等の適宜な位置に配置された操作盤39と不図示の配線を介して接続されている。操作盤39は、例えば、入力装置及び表示装置を含んで構成されている。作業者(ユーザ)は、操作盤39に対する入力操作により、各装置の動作に係るパラメータの設定、又は、ダイカストマシン1の稼働開始若しくは稼働停止等を制御盤11に対して指示できる。
【0028】
(液圧ユニット等の配置)
上述のように、型締装置3、中子引抜装置5、射出装置7及び押出装置9は、それぞれ、駆動装置として、液圧シリンダ(25、27、33及び37)を有している。換言すれば、ダイカストマシン1は、複数の動作に対応して複数の液圧シリンダを有している。
【0029】
一般に、複数の液圧シリンダを有するダイカストマシンは、ベース13の内部に設けらたタンクと、当該タンクから作動液(例えば油)を送出する1つのポンプ(又は多連ポンプ)と、当該ポンプを駆動する1つの電動機と、ポンプから送出される作動液を複数の液圧シリンダへ分配する複数の制御弁とを有している。すなわち、1つの液圧源から複数の液圧シリンダに作動液が供給される。
【0030】
しかし、本実施形態のダイカストマシン1は、複数の液圧シリンダに対応して複数の液圧源を有している。
【0031】
具体的には、ダイカストマシン1は、型締シリンダ25に作動液を供給する型締用液圧ユニット41と、射出シリンダ33に作動液を供給する射出用液圧ユニット43と、中子シリンダ27及び押出シリンダ37に作動液を供給する共用液圧ユニット45とを有している。換言すれば、型締シリンダ25及び射出シリンダ33に対しては、それぞれ専用の液圧ユニット(41及び43)が設けられており、中子シリンダ27及び押出シリンダ37には、これらに共用される共用液圧ユニット45が設けられている。
【0032】
型締用液圧ユニット41は、例えば、不図示の適宜な部材によりリンクハウジング21に固定されている。従って、型締用液圧ユニット41と型締シリンダ25のシリンダ部25cとの位置関係は固定的である。そして、これらを接続する流路は、可撓性のホースにより構成される必要は無い。なお、型締用液圧ユニット41の具体的な配置位置は、リンクハウジング21の側面、上面又は背面など、適宜に設定されてよい。
【0033】
射出用液圧ユニット43は、例えば、床面に設置されることなどにより、ダイカストマシン1の固定部分(射出シリンダ33のシリンダ部33cを含む)に対して固定的に設けられている。従って、射出用液圧ユニット43とシリンダ部33cとを接続する流路は、可撓性のホースにより構成される必要は無い。なお、射出用液圧ユニット43の具体的な配置位置は、適宜に設定されてよく、図2では、射出シリンダ33の側方に配置された場合を例示している。
【0034】
共用液圧ユニット45は、例えば、不図示の適宜な部材により移動ダイプレート17に固定されている。従って、共用液圧ユニット45と中子シリンダ27のシリンダ部27cとの位置関係は固定的である。そして、これらを接続する流路は、可撓性のホースにより構成される必要は無い。同様に、共用液圧ユニット45と押出シリンダ37のシリンダ部37cとの位置関係は固定的であり、これらを接続する流路は、可撓性のホースにより構成される必要は無い。なお、共用液圧ユニット45の具体的な配置位置は、移動ダイプレート17の側面又は上面など、適宜に設定されてよい。
【0035】
ダイカストマシン1は、制御盤11と各液圧ユニット(41、43及び45)とを仲介する端子箱(図2の47、49及び51)を有している。各端子箱は、制御盤11から延びるケーブルが接続される端子を有している。なお、各端子箱は、制御盤11からの制御信号に基づいて、制御盤11からの電力を適宜な電圧に変換して液圧ユニット内の各種の要素に供給するドライバを含んでいてもよいし、更には、制御盤11とドライバとを仲介する制御回路及び/又は電源回路を含んでいてもよい。
【0036】
端子箱は、例えば、液圧ユニット毎に液圧ユニットに隣接して設けられ、液圧ユニットとの位置関係が固定的になるように設けられている。
【0037】
具体的には、制御盤11と型締用液圧ユニット41とを仲介する型締用端子箱47は、型締用液圧ユニット41に隣接して設けられるとともに、型締用液圧ユニット41に固定されている(ひいてはリンクハウジング21に固定されている)。制御盤11と射出用液圧ユニット43とを仲介する射出用端子箱49は、射出用液圧ユニット43に隣接して設けられるとともに、射出用液圧ユニット43に固定されている(ひいてはダイカストマシン1の固定部分に対して固定的に設けられている)。制御盤11と共用液圧ユニット45とを仲介する共用端子箱51は、共用液圧ユニット45に隣接して設けられるとともに、共用液圧ユニット45に固定されている(ひいては移動ダイプレート17に固定されている)。
【0038】
ダイカストマシン1は、更に、射出用液圧ユニット43と射出シリンダ33との仲介等を行う射出用液圧回路53を有している。射出用液圧回路53は、例えば、バルブユニット53a(図2)及びアキュムレータ111を含んでいる。バルブユニット53aは、例えば、射出シリンダ33のシリンダ部33cの側方に固定的に設けられている。アキュムレータ111は、シリンダ部33cの上方に固定的に設けられている。
【0039】
(液圧ユニット等の構成)
図3は、ダイカストマシン1の液圧系の構成を示す回路図である。
【0040】
上述のように、ダイカストマシン1は、複数の液圧シリンダ(25、27、33及び37)を有するとともに、これらに作動液を供給する液圧ユニット(41、43及び45)を有している。また、射出シリンダ33に関しては、ダイカストマシン1は、射出用液圧回路53を有している。
【0041】
各液圧シリンダ(25、27、33及び37)のシリンダ部の内部は、ピストンにより2つのシリンダ室に区画されており、2つのシリンダ室に選択的に作動液が供給されることにより駆動される。複数の液圧ユニット(41、43及び45)は、それぞれポンプ及び当該ポンプを駆動する電動機を有しており、互いに独立に作動液を供給可能である。また、各液圧ユニット又は射出用液圧回路53は、作動液の流れを制御するための弁を適宜に有している。具体的には、以下のとおりである。
【0042】
(型締用液圧ユニット等の構成)
型締シリンダ25のシリンダ部25cの内部は、ピストン25pによりピストンロッド25r側のロッド側室25aとその反対側のヘッド側室25bとに区画されている。型締用液圧ユニット41は、ロッド側流路55A及びヘッド側流路55Bを介して、ロッド側室25a及びヘッド側室25bに接続されている。
【0043】
型締用液圧ユニット41は、例えば、型締用ポンプ57と、型締用ポンプ57を駆動する型締用電動機59と、作動液の過不足を補償する補償回路61とを有している。
【0044】
型締用ポンプ57は、回転方向の切り換えにより吸入口及び吐出口を2つのポート間で切り換え可能な双方向ポンプであり、一方のポートはロッド側流路55Aに接続され、他方のポートはヘッド側流路55Bに接続されている。
【0045】
従って、型締用ポンプ57が一方向へ回転されると、ロッド側室25aの作動液がヘッド側室25bに送出され、型締シリンダ25は伸長し、他方向へ回転されると、ヘッド側室25bの作動液がロッド側室25aに送出され、型締シリンダ25は収縮する。
【0046】
型締用電動機59は、例えば、サーボモータとして設けられており、型締用電動機59の回転数を検出するエンコーダ63と、型締用電動機59に電力を供給する不図示のドライバとともにサーボ機構を構成している。
【0047】
型締用ポンプ57は、型締シリンダ25の専用のポンプとされているから、型締用ポンプ57へ供給される作動液の流量は、型締用ポンプ57の回転数の制御、すなわち、型締用電動機59の回転数の制御によって制御可能である。
【0048】
ロッド側室25aにはピストンロッド25rが位置することから、型締用ポンプ57によってロッド側室25aからヘッド側室25bに作動液が送出されるときには作動液が不足し、型締用ポンプ57によってヘッド側室25bからロッド側室25aに作動液が送出されるときには作動液が過剰となる。補償回路61は、この過不足を解消するためのものである。
【0049】
補償回路61は、例えば、タンク65、ロッド側逆止弁67A及びヘッド側逆止弁67Bを有している。
【0050】
ロッド側逆止弁67Aは、パイロット圧が導入されていないときは、ロッド側流路55Aからタンク65への流れを禁止するとともに、その逆方向の流れを許容し、パイロット圧が導入されているときは、双方の流れを許容する。また、ロッド側逆止弁67Aは、パイロット圧として、ヘッド側流路55Bの圧力が導入される。
【0051】
ヘッド側逆止弁67Bは、パイロット圧が導入されていないときは、ヘッド側流路55Bからタンク65への流れを禁止するとともに、その逆方向の流れを許容し、パイロット圧が導入されているときは、双方の流れを許容する。また、ヘッド側逆止弁67Bは、パイロット圧として、ロッド側流路55Aの圧力が導入される。
【0052】
従って、型締用ポンプ57からヘッド側流路55Bに作動液が送出されているときは、ロッド側逆止弁67Aが開かれ、作動液の不足分がタンク65から型締用ポンプ57へ補給される。なお、当該動作は、ロッド側逆止弁67Aがパイロット式のものでなくても可能である。また、型締用ポンプ57からロッド側流路55Aに作動液が送出されているときは、ヘッド側逆止弁67Bが開かれ、作動液の余剰分がヘッド側室25bからタンク65へ排出される。
【0053】
(共用液圧ユニット等の構成)
中子シリンダ27のシリンダ部27cの内部は、ピストン27pによりピストンロッド27r側のロッド側室27aとその反対側のヘッド側室27bとに区画されている。共用液圧ユニット45は、ロッド側流路69A及びヘッド側流路69Bを介して、ロッド側室27a及びヘッド側室27bに接続されている。
【0054】
押出シリンダ37のシリンダ部37cの内部は、ピストン37pによりピストンロッド37r側のロッド側室37aとその反対側のヘッド側室37bとに区画されている。共用液圧ユニット45は、ロッド側流路71A及びヘッド側流路71Bを介して、ロッド側室37a及びヘッド側室37bに接続されている。
【0055】
共用液圧ユニット45は、例えば、共用ポンプ73と、共用ポンプ73を駆動する共用電動機75と、作動液の過不足を補償する補償回路77とを有している。
【0056】
これらの構成は、ポンプ容量等の設計的事項を除いて、型締用液圧ユニット41のものと同様である。すなわち、共用ポンプ73は、双方向ポンプであり、共用電動機75は、エンコーダ79と共にサーボ機構を構成し、補償回路77は、タンク81、ロッド側逆止弁83A及びヘッド側逆止弁83Bを有している。
【0057】
さらに、共用液圧ユニット45は、共用ポンプ73及び補償回路77の接続先を中子シリンダ27と押出シリンダ37との間で切り換える切換回路85を有している。
【0058】
例えば、切換回路85は、中子シリンダ27と共用ポンプ73との間に介在する中子側切換弁87Cと、押出シリンダ37と共用ポンプ73との間に介在する押出側切換弁87Eとを有している。
【0059】
中子側切換弁87C及び押出側切換弁87Eそれぞれは、例えば、4ポート2位置切換弁により構成されており、また、その制御方式(駆動方式)は、電磁コイル方式とばね方式との組み合わせ方式とされている。
【0060】
中子側切換弁87Cは、2つの切換位置のうち一方の位置(接続位置)とされているときは、共用ポンプ73の一方のポートとロッド側流路69Aとを接続するとともに、共用ポンプ73の他方のポートとヘッド側流路69Bとを接続し、他方の位置(遮断位置)とされているときは、前記の2つの接続を遮断する。
【0061】
同様に、押出側切換弁87Eは、2つの切換位置のうち一方の位置(接続位置)とされているときは、共用ポンプ73の一方のポートとロッド側流路71Aとを接続するとともに、共用ポンプ73の他方のポートとヘッド側流路71Bとを接続し、他方の位置(遮断位置)とされているときは、前記の2つの接続を遮断する。
【0062】
従って、中子側切換弁87Cが接続位置とされ、押出側切換弁87Eが遮断位置とされているときは、中子シリンダ27は、型締シリンダ25と同様に、共用ポンプ73が一方へ回転されることにより伸長し、他方に回転されることにより収縮する。
【0063】
同様に、中子側切換弁87Cが遮断位置とされ、押出側切換弁87Eが接続位置とされているときは、押出シリンダ37は、共用ポンプ73が一方へ回転されることにより伸長し、他方に回転されることにより収縮する。
【0064】
各液圧シリンダ(27又は37)への作動液の流量が共用電動機75の回転数の制御により制御されること、作動液の過不足が補償回路77により解消されることも、型締用液圧ユニット41と同様である。
【0065】
(射出用液圧ユニット及び射出用液圧回路等の構成)
射出用液圧ユニット43及び射出用液圧回路53の構成は、射出用液圧ユニット43から送出される作動液が、他の液圧シリンダ(25、27及び37)に分配されないことを除いては、公知の構成と同様とされてよい。
【0066】
ただし、射出用液圧ユニット43は、射出シリンダ33専用とされていることから、型締用液圧ユニット41等と同様に、弁による流量制御ではなく、ポンプの送出量の制御により、射出シリンダ33への作動液の供給量を制御することが可能である。そこで、図3では、そのような制御を利用可能な構成を例示している。
【0067】
図3において例示された射出用液圧ユニット43及び射出用液圧回路53の構成は、基本的に、特許文献1において開示されている構成と同様である。従って、以下では、細部の説明は省略する。
【0068】
射出シリンダ33は、例えば、いわゆる直結形の増圧シリンダにより構成されている。具体的には、シリンダ部33cは、小径部33caと、その背後に通じる大径部33cbとを有している。小径部33caの内部は、射出用ピストン33paによりピストンロッド33r側のロッド側室33aとその反対側のヘッド側室33bとに区画されている。大径部33cbの内部は、増圧用ピストン33pbにより小径部33ca側の前側室33dとその反対側の後側室33eとに区画されている。増圧用ピストン33pbは、ヘッド側室33bに背後から摺動可能に挿入された摺動部を有している。
【0069】
射出用液圧ユニット43は、タンク89(図示の便宜上、図3では2箇所に記載)と、タンク89の作動液を送出する射出用ポンプ91と、射出用ポンプ91を駆動する射出用電動機93とを有している。
【0070】
射出用ポンプ91は、例えば、1方向のポンプにより構成されている。射出用電動機93は、不図示のサーボドライバ及びエンコーダ95と共にサーボ機構を構成している。
【0071】
射出用ポンプ91から送出された作動液は、供給用流路97Aを介して射出用液圧回路53に供給され、射出用液圧回路53から排出された作動液は、排出用流路97Bを介してタンク89に収容される。
【0072】
射出用液圧回路53は、射出用液圧ユニット43(射出用ポンプ91)の液圧をロッド側室33a及びヘッド側室33bに選択的に付与可能に構成されている。また、射出用液圧回路53は、アキュムレータ111を有しており、アキュムレータ111を射出用液圧ユニット43により蓄圧可能であるとともに、蓄圧した液圧をヘッド側室33b及び後側室33eに選択的に付与可能に構成されている。
【0073】
このように構成されていることにより、例えば、低速射出においては、射出用ポンプ91からヘッド側室33bに作動液を供給して射出用ポンプ91の送出量の制御により射出用ピストン33pa(ひいてはプランジャ31)の速度を制御し、高速射出においては、アキュムレータ111からヘッド側室33bに作動液を供給して射出用ピストン33paの高速移動を実現し、増圧及び保圧においては、アキュムレータ111から後側室33eに作動液を供給して高い圧力を実現することができる。
【0074】
なお、押出追従においては、アキュムレータ111から後側室33eに作動液が供給されてもよいし、射出用ポンプ91からヘッド側室33bに作動液が供給されてもよい。プランジャ後退においては、例えば、射出用ポンプ91からロッド側室33aに作動液が供給される。
【0075】
このような動作を実現する具体的構成は、例えば、以下のとおりである。
【0076】
射出用液圧回路53は、射出用ポンプ91からの作動液の供給先をヘッド側室33bとロッド側室33aとの間で切り換える射出用切換弁99を有している。射出用切換弁99は、例えば、4ポート3位置切換弁により構成されており、また、その制御方式(駆動方式)は、電磁コイル方式及びばね方式等の組み合わせ方式とされている。
【0077】
射出用切換弁99は、一の位置においては、供給用流路97Aとヘッド側室33bとを接続するとともに、タンク89とロッド側室33aとを接続し、他の一の位置においては、供給用流路97Aとロッド側室33aとを接続するとともに、タンク89とヘッド側室33bとを接続し、残りの位置(中立位置)においては、前記のいずれの接続も遮断する。
【0078】
アキュムレータ111は、例えば、供給用流路97Aに接続されている。従って、アキュムレータ111は、射出用切換弁99が中立位置とされた状態で、射出用ポンプ91が駆動されることにより蓄圧される。なお、アキュムレータ111と供給用流路97Aとの間には、供給用流路97A側からアキュムレータ111側への流れを許容し、その反対方向の流れを禁止する逆止弁113が設けられており、この逆止弁113によりアキュムレータ111から射出用切換弁99への流れは禁止されている。
【0079】
射出用液圧回路53は、アキュムレータ111からヘッド側室33bへの作動液の流れを許容又は禁止するパイロット式の逆止弁115と、ロッド側室33aからタンク89への作動液の流量を制御する流量制御弁117と、アキュムレータ111から後側室33eへの作動液の流量を制御する流量制御弁119とを有している。
【0080】
逆止弁115は、例えば、パイロット圧が導入されていないときは、アキュムレータ111からヘッド側室33bへの作動液の流れを許容するとともにその反対方向の流れを禁止し、パイロット圧が導入されているときは、双方の流れを禁止する。流量制御弁117は、いわゆるメータアウト回路を構成している。流量制御弁119は、いわゆるメータイン回路を構成している。
【0081】
低速射出等においては、これらの弁は閉じられている。そして、高速射出においては、逆止弁115に対するパイロット圧の導入が停止されるとともに、流量制御弁117が開かれる。そして、射出用ピストン33paの速度は、流量制御弁117による流量制御によって制御される。また、増圧及び保圧においては、流量制御弁119が開かれる。なお、このときの前側室33dの圧抜きは、例えば、流量制御弁117を介して行われる。
【0082】
なお、特に図示しないが、各液圧シリンダにおいては、リニアスケールによりその位置又は速度が検出され、フィードバック制御が行われてよい。また、各液圧シリンダにおいては、圧力センサによりシリンダ室の圧力が検出され、フィードバック制御が行われてよい。
【0083】
(流路の構成)
各液圧ユニットと液圧シリンダとを接続する流路(55A、55B、69A、69B、71A、71B、97A、97B及び射出用液圧回路53内の各種流路)は、既に述べたように、可撓性のホースにより構成される必要はないことから、剛体の部材により構成されている。例えば、これら流路は、金属からなる管及び/又はブロックにより構成されている。その結果、例えば、エネルギーロスの低減、マシン周りの整然化等の効果が奏される。なお、各液圧ユニット内の流路も剛体の部材からなることが好ましい。
【0084】
(ダイカストマシンの動作)
背景技術においても述べたように、従来のダイカストマシンにおいては、複数の液圧シリンダを同時に駆動しようとすると、ポンプからの作動液は負荷が低い液圧シリンダに優先的に流れてしまう。
【0085】
しかし、本実施形態のダイカストマシン1では、複数の液圧シリンダに対応して複数の液圧ユニットを設けていることから、そのような不都合は生じない。その結果、複数の動作を同時に行うことができる。その結果、例えば、サイクルタイムの短縮が図られる。
【0086】
図4は、そのようなダイカストマシンの動作の一例を示すタイムチャートである。
【0087】
図4において、横軸は時間である。縦軸には、各液圧シリンダが示されている。図4では、各液圧シリンダにおいて、シリンダ室に作動液が流入したり、シリンダ室の作動液の圧力が上昇したりしている期間等について、ハッチングがなされている。なお、液圧シリンダが全く利用されていない期間だけでなく、シリンダ室の圧力が維持されるような期間についても、ハッチングはなされていない。
【0088】
まず、ダイカストマシン1は、型閉じ及び型締め(t0〜t2)と、中子入り(t0〜t1)とを同時に行う。すなわち、制御盤11は、型締用液圧ユニット41から型締シリンダ25のヘッド側室25bに作動液を供給し、同時に、共用ユニット45から中子シリンダ27のヘッド側室27bに作動液を供給するように、これら液圧ユニットを制御する。
【0089】
型締めが完了すると、ダイカストマシン1は、射出及び増圧を行う(t3〜t4)。すなわち、制御盤11は、ヘッド側室33bに作動液を供給し、続いて、後側室33eに作動液を供給するように、射出用液圧ユニット43及び射出用液圧回路53を制御する。
【0090】
その後、射出された溶湯が凝固すると、ダイカストマシン1は、型開きを行う(t5〜t8)。すなわち、制御盤11は、型締シリンダ25のロッド側室25aに作動液を供給するように型締用液圧ユニット41を制御する。
【0091】
型開きの初期においては、ダイカストマシン1は、射出追従を行う(t5〜t6)。すなわち、制御盤11は、射出シリンダ33の後側室33eに作動液を供給するように、又は、ヘッド側室33bに作動液を供給するように、射出用液圧ユニット43及び射出用液圧回路53を制御する。
【0092】
射出追従の後、ダイカストマシン1は、プランジャ後退を行う(t6〜t8)。すなわち、制御盤11は、射出シリンダ33のロッド側室33aに作動液を供給するように射出用液圧ユニット43を制御する。なお、プランジャ後退の完了時点は、型開きの完了時点と一致する必要は無い。
【0093】
また、型開き中において、ダイカストマシン1は、中子抜きを行い(t5〜t7)、続いて、押出ピン35による成形品の押出しを行う。すなわち、制御盤11は、中子シリンダ27のロッド側室33aに作動液を供給し、続いて、押出シリンダ37のヘッド側室37bに作動液を供給するように、共用液圧ユニット45を制御する。なお、押出完了時点は、型開きの完了時点と一致する必要は無い。
【0094】
型開きが完了してから中子抜きを行う場合、型開きの間に成形品が冷却に伴って収縮することから、中子107は成形品に強く締め付けられることになる。しかし、型開き中において中子抜きが行われることにより、そのような締め付けが生じる前に中子107を引き抜くことができる。
【0095】
その後、特に図示しないが、型閉じ前に、共用液圧ユニット45から押出シリンダ37のロッド側室37aに作動液が供給され、押出ピン35は、移動金型105内に退避する。
【0096】
以上のとおり、本実施形態では、ダイカストマシン1は、型締シリンダ25に作動液を送出する型締用液圧ユニット41と、射出シリンダ33に作動液を送出する射出用液圧ユニット43と、押出シリンダ37及び中子シリンダ27に作動液を送出する共用液圧ユニット45とを有している。これら液圧ユニットは、それぞれ、ポンプ及び当該ポンプを駆動する電動機を有している。
【0097】
従って、例えば、既に述べたように、複数の動作を同時に行ってサイクルタイムを短縮することが容易化される。その一方で、同時に駆動される要望の低い中子シリンダ27及び押出シリンダ37については、液圧ユニットを共用とすることにより、ポンプの数を減らすことができる。また、例えば、一の液圧シリンダ又はその周辺回路について設計変更が生じても、他の液圧シリンダへの作動液の流れは影響されないことから、設計変更が容易である。また、例えば、各液圧ユニットを対応する液圧シリンダの近くに設けて流路を短くすることが可能であり、その結果、例えば、マシン周りが整然としたものとされる。
【0098】
また、本実施形態では、型締シリンダ25及び型締用液圧ユニット41は、型開閉方向の位置を調整可能なリンクハウジング21に支持されている。射出シリンダ33及び射出用液圧ユニット43は、固定的に設けられている。押出シリンダ37、中子シリンダ27及び共用液圧ユニット45は、移動ダイプレート17に支持されている。
【0099】
従って、液圧シリンダと液圧ユニットとを隣接して配置することが容易化され、マシン周りの整然化が容易化される。また、既に述べたように、液圧ユニットから延びる流路は、可撓性のホースにより構成される必要が無くなる。
【0100】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0101】
成形機は、ダイカストマシンに限定されない。例えば、成形機は、他の金属成形機であってもよいし、射出成形機であってもよいし、木粉に熱可塑性樹脂等を混合させた材料を成形する成形機であってもよい。また、成形機は、横型締横射出に限定されず、例えば、縦型締縦射出、横型締縦射出であってもよい。作動液は、油に限定されず、例えば水でもよい。
【0102】
型締装置は、トグル式のものに限定されない。例えば、型締装置は、型締シリンダにより直接に移動ダイプレートを駆動する直圧式のものであってもよい。また、例えば、型締装置は、型開閉を型締シリンダとは別個の駆動装置により行うものであってもよい。なお、この場合において、型開閉を行う駆動装置は、液圧系であってもよいし、電動系であってもよい。型開閉を行う駆動装置が液圧系である場合において、型締用液圧ユニットは、型開閉用の液圧シリンダへの作動液の送出に利用されてもよいし、利用されなくてもよい。
【0103】
射出装置は、液圧系のみからなる駆動装置を有するものに限定されず、電動系と液圧系との組み合わせからなる駆動装置を有するものであってもよい。例えば、射出装置は、高速射出及び増圧は液圧系により行い、それ以外の動作は電動系により行うものであってもよい。また、射出シリンダは、直結型・増圧式のものに限定されず、例えば、単動式のものであってもよいし、射出用部分と増圧用部分とが分離したものであってもよい。
【0104】
押出装置は、押出シリンダが固定ダイプレートに支持され、固定金型から成形品を押し出すものであってもよい。また、押出装置は、ピストンロッドがダイプレートに固定され、シリンダ部が押出ピンに固定されるものであってもよい。ただし、この場合は、可撓性のホースが必要である。中子引抜装置は、固定金型に設けられるものであってもよい。
【0105】
本実施形態では、ポンプの回転数の制御によりポンプの送出量を制御したが、ポンプは、1回転当たりの吐出量が可変とされた可変容量ポンプにより構成され、ポンプの回転数の制御に代えて又は加えて、1回転当たりの吐出量の制御により送出量が制御されてもよい。
【0106】
実施形態では、型締液圧ユニット及び共用液圧ユニットに双方向ポンプを用いたが、一方向ポンプが用いられてもよい。また、射出液圧ユニットにおいて、双方向ポンプが用いられてもよい。
【0107】
射出用液圧ユニットのポンプは、低速射出、射出追従及びプランジャ後退だけでなく、他の工程において用いられてもよい。例えば、ポンプは、増圧及び保圧に用いられてもよい。この場合、例えば、増圧の多段制御が可能となる。
【0108】
本願発明は、図4を参照して説明したように、複数の液圧ユニットが設けられることにより、複数の動作が同時に行われることを可能とする。ただし、図4に例示した動作の重複は、その一部又は全部が行われなくてもよい。
【0109】
また、本願発明は、複数の液圧ユニットが設けられることにより、可撓性のホースが不要となる液圧シリンダ及び液圧ユニットの配置を可能とする。ただし、可撓性のホースを必要とするような液圧シリンダ及び液圧ユニットの配置とされてもよいし、可撓性のホースが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…ダイカストマシン(成形機)、41…型締用液圧ユニット、43…射出用液圧ユニット、45…共用液圧ユニット、57…型締用ポンプ、59…型締用電動機、73…共用ポンプ、75…共用電動機、91…射出用ポンプ、93…射出用電動機。
図1
図2
図3
図4