(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.分離容器キット
本発明の分離容器キットは、前述のように、液体試料から分離対象物を分離するための分離容器キットであって、
分離容器およびキャップを含み、
前記分離容器は、
内容器および外容器を有し、
前記内容器は、
上端および下端が開口した筒状であり、
前記外容器は、
上端が開口し、下端が閉口した有底筒状であり、
前記内容器および前記外容器は、
それぞれの上下方向を揃えた状態で、前記外容器の内部に前記内容器を挿入可能であり、
前記キャップは、
前記内容器の上端開口部に対する第1嵌合部、および前記外容器の上端開口部に対する第2嵌合部を有し、
前記第1嵌合部は、前記内容器の上端開口部に嵌合することで、前記内容器の内部を液密状態にでき、
前記第2嵌合部は、前記外容器の上端開口部に嵌合することで、前記外容器の内部を液密状態にできることを特徴とする。
【0011】
本発明において、「嵌合」は、例えば、差し込みによる嵌合(挿嵌)、ねじ作用による嵌合(螺合)の意味も含む。
【0012】
本発明の分離容器キットは、例えば、1つの前記キャップを、前記内容器のキャップおよび前記外容器のキャップとして使用できる。また、本発明の分離容器キットは、同形状の前記キャップを少なくとも2つ含んでもよい。この場合、例えば、一方の前記キャップが、前記内容器用のキャップであり、その第1嵌合部を前記内容器の上端開口部に嵌合することで、前記内容器の内部を液密状態にでき、他方の前記キャップが、前記外容器用のキャップであり、その第2嵌合部を前記外容器の上端開口部に嵌合することで、前記外容器の内部を液密状態にできる。
【0013】
前記キャップは、例えば、さらに、同形状のキャップに対する第3嵌合部、および、同形状のキャップが嵌合可能な被嵌合部を有してもよい。前記第3嵌合部は、例えば、前記同形状のキャップの被嵌合部に嵌合することで、前記同形状のキャップと連結可能である。
【0014】
本発明の分離容器キットは、例えば、同形状の前記キャップを2つ含むことが好ましく、前記2つのキャップは、例えば、それぞれ、
前記内容器の上端開口部に対する前記第1嵌合部、前記外容器の上端開口部に対する前記第2嵌合部、他方のキャップに対する第3嵌合部、および、前記他方のキャップが嵌合可能な被嵌合部を有し、
一方の前記キャップが、
前記内容器用のキャップであり、その第1嵌合部を前記内容器の上端開口部に嵌合することで、前記内容器の内部を液密状態にでき、
他方の前記キャップが、
前記外容器用のキャップであり、その第2嵌合部を前記外容器の上端開口部に嵌合することで、前記外容器の内部を液密状態にでき、
前記各キャップを未使用の場合、
前記一方のキャップの第3嵌合部を、前記他方のキャップの被嵌合部に嵌合することで、両者を連結可能である。
【0015】
本発明の分離容器キットは、例えば、同形状のキャップを少なくとも2つ含むことが好ましく、前記同形状のキャップの数は、例えば、2つ以上でもよく、その上限は、特に制限されない。
【0016】
本発明の分離容器キットにおいて、前記キャップの具体例として、A1形態、A2形態、A3形態およびA4形態が例示できる。本発明の分離容器キットは、これらの例示には限定されない。
【0017】
A1形態のキャップは、円状基板、第1環状壁、第2環状壁および第3環状壁を有し、前記円状基板の一方の表面において、同心円状に、内側に前記第1環状壁、外側に前記第2環状壁が形成され、前記円状基板の他方の表面において、前記第3環状壁を有する。
【0018】
前記キャップにおいて、前記第1環状壁は、前記第1嵌合部であり、前記第2環状壁が、前記第2嵌合部であり、前記被嵌合部を兼ね、前記第3環状壁が、前記第3嵌合部である。そして、前記第1環状壁は、前記内容器の前記開口部に対して内嵌合し、前記第2環状壁は、前記外容器の前記開口部に対して外嵌合し、前記第3環状壁は、前記他のキャップの前記第2環状壁に対して外嵌合することが好ましい。
【0019】
A2形態のキャップは、円状基板、第1環状壁、第2環状壁および第3環状壁を有し、前記円状基板の一方の表面において、同心円状に、内側に前記第1環状壁、外側に前記第2環状壁が形成され、前記円状基板の他方の表面において、前記第3環状壁を有する。前記キャップにおいて、前記第1環状壁は、前記第1嵌合部であり、前記第2環状壁は、前記第2嵌合部であり、前記被嵌合部を兼ね、前記第3環状壁は、前記第3嵌合部である。
【0020】
前記第1環状壁は、前記内容器の前記開口部に対して内嵌合し、前記第2環状壁は、前記外容器の前記開口部に対して外嵌合し、前記第3環状壁は、前記他のキャップの前記第2環状壁に対して内嵌合することが好ましい。
【0021】
A3形態のキャップは、円状基板、第1環状壁、第2環状壁および第3環状壁を有し、前記円状基板の側面に、前記第1環状壁、前記第2環状壁および前記第3環状壁のいずれかが形成され、前記第1環状壁の上側端部に、前記第2環状壁が連結され、前記第2環状壁の上側端部に、前記第3環状壁が連結される。前記キャップにおいて、前記第1環状壁は、前記第1嵌合部であり、前記被嵌合部を兼ね、前記第2環状壁は、前記第2嵌合部であり、前記第3環状壁は、前記第3嵌合部である、
【0022】
前記第1環状壁は、前記内容器の前記開口部に対して内嵌合し、前記第2環状壁は、前記外容器の前記開口部に対して内嵌合し、前記第3環状壁は、前記他のキャップの前記第1環状壁に対して外嵌合することが好ましい。
【0023】
A4形態のキャップは、さらに、前記内容器の下端開口部に対する第4嵌合部を有する。前記キャップは、前記第4嵌合部を前記内容器の下端開口部に嵌合することで、前記内容器の下端の開口部を閉口できる。
【0024】
前記第4嵌合部の形態は、例えば、前記第1形態、前記第2形態および前記第3形態のキャップに適用できる。具体例としては、前記各形態のキャップにおいて、前記円状基板が、さらに、第4環状壁を有し、前記第4環状壁が、前記内容器の下端開口部に対する第4嵌合部となる。そして、前記キャップは、前記第4嵌合部を前記内容器の下端開口部に嵌合することで、前記内容器の下端の開口部を閉口できる。前記キャップは、前記第4環状壁を、前記内容器の下端開口部に内嵌合することが好ましい。
【0025】
前記第4嵌合部の形状は、特に制限されず、例えば、円柱体でもよい。この場合、前記円柱体を、前記内容器の下端開口部に内嵌合することが好ましい。
【0026】
本発明の分離容器キットにおいて、前記分離容器は、前記外容器および前記内容器を有する。前記外容器および前記内容器は、それぞれ筒状であればよいが、特に、円筒状が好ましい。
【0027】
前記外容器および前記内容器は、前記外容器の内部に前記内容器を挿入可能であればよく、形状等は、特に制限されない。
【0028】
前記内容器の外周面と前記外容器の内周面は、それぞれ、対応する係止部を有することが好ましい。このような形態とすることで、例えば、前記外容器の内部に前記内容器を挿入する際、互いの係止部を接触させることで、前記外容器と前記内容器とを係止可能である。
【0029】
前記内容器は、その上部の外周面に、突起部を有することが好ましく、前記突起部は、環状突起部であることがより好ましい。前記環状突起部は、その外周面の直径が、前記外容器の上端の外周面の直径よりも大きいことが好ましい。このような形態とすることで、例えば、前記外容器の内部に前記内容器を挿入する際、前記環状突起部の底面が、前記外容器の開口部の端面に接触することで、前記内容器の挿入位置を固定可能である。
【0030】
以下に、本発明の例として、前記A1形態のキャップを用いる実施形態1、前記A2形態のキャップを用いる実施形態2、前記A3形態のキャップを用いる実施形態3、前記A4形態のキャップを用いる実施形態4を、
図1〜
図16を用いて説明する。なお、各実施形態は、特に示さない限り、それぞれの記載の援用できる。各図は、それぞれ同一箇所には同一符号を付している。また、同形状の2つのキャップに関しては、一方のキャップにダッシュ(’)無しの符号を付し、他方のキャップにダッシュ(’)付きの同じ符号を付している。
【0031】
(1)実施形態1
実施形態1は、前記A1形態のキャップを用いる例であり、
図1〜
図4を用いて説明する。
図1は、分離容器の一例を示す概略図であり、(A)は、外容器の断面図、(B)は、内容器の断面図、(C)は、外容器の内部に内容器を挿入した分離容器の断面図である。
図2は、前記A1形態のキャップの一例であり、(A)は、キャップの平面図、(B)は、前記(A)のキャップのI−I方向断面図であり、(C)は、下方向からの斜視図であり、(D)は、上方向からの斜視図である。
図3は、前記A1形態のキャップを連結した状態を示す一例であり、(A)は、連結したキャップの平面図であり、(B)は、前記(A)の連結したキャップのII−II方向断面図である。
図4は、キャップを装着した分離容器の一例であり、(A)は、キャップを嵌合した分離容器の断面図であり、(B)は、キャップを嵌合した内容器の断面図であり、(C)は、キャップを嵌合した外容器の断面図である。
【0032】
図1(A)に示すように、外容器10は、上端に開口部104を有する有底の円筒状であり、本体部101、テーパー部102および先端部103から構成される。
図1(B)に示すように、内容器11は、上端の開口部114および下端の開口部113を有し、本体部111、テーパー部112から構成され、本体部111の上部の外周面に、環状突起部115を有する。環状突起部115は、例えば、内容器11の把持部となる。そして、
図1(C)に示すように、外容器10の内部に、内容器11が挿入される。内容器11の環状突起部115は、その下面が、外容器10の開口部104の端面に接触するため、外容器10内への内容器11の挿入位置が固定化できる。
図1(C)において、外容器10に内容器11を挿入した際、外容器の先端部103であって、内容器11の下端よりも下方向の領域は、収容部105となる。収容部105は、例えば、後述するように、内容器11内からの沈殿物を収容できる。
【0033】
図2(A)〜(D)に示すように、キャップ20は、円状基板24、第1環状壁21、第2環状壁22および第3環状壁23を有する。円状基板24の下表面において、同心円状に、内側に第1環状壁21、外側に第2環状壁22が形成され、円状基板24の上表面において、第3環状壁23が形成されている。そして、円状基板24の下面においては、第1環状壁21と第2環状壁22との間に、環状溝が形成される。第1環状壁21は、内容器11に対する第1嵌合部21であり、第2環状壁22は、外容器10に対する第2嵌合部22であり、第3環状壁23は、後述する
図3に示す他方のキャップ20’の第2環状壁22’に対する第3嵌合部23である。
【0034】
図3に示すように、同形状の2つのキャップ20および20’は、一方のキャップ20の第3環状壁23が、他方のキャップ20’の第2環状壁22’に外嵌合する。これによって、2つのキャップ20および20’を連結できる。このため、両方のキャップを使用しない場合、互いに連結することで、それぞれがバラバラになることを防止できる。なお、本実施形態では、同形状のキャップが2つの場合を例示したが、2個以上のキャップであっても、同様に連結することが可能である。
【0035】
内容器11および外容器10を備える分離容器1に対するキャップ20の装着について、以下に説明する。
図4(A)は、外容器10の内部に内容器11を挿入した分離容器に対するキャップの装着を示す。キャップ20の第1環状壁21を、内容器11の開口部114に挿入する。この際、キャップ20の第1環状壁21の外周面と内容器11の上側端部の内周面とを接触させて、キャップ20の第1環状壁21を内容器11に内嵌合させる。キャップ20の装着により、内容器11の内部は、液密状態となる。
図4(B)は、内容器11に対するキャップの装着を示し、
図4(A)における内容器11およびキャップ20と同様の状態である。
図4(C)は、外容器10に対するキャップ20’の装着を示す。内容器11に装着したキャップ20とは別に、同形状のキャップ20’の第2環状壁22を、外容器10の開口部104に外嵌合する。この際、キャップ20’の第2環状壁22の内周面と外容器10の上側端部の外周面とが接触する。キャップ20’の装着により、外容器10の内部は、液密状態および気密状態となる。
【0036】
本実施形態において、キャップ20は、
図2に示すように、外容器10および内容器11と嵌合する領域の露出が無いため、例えば、外容器10および内容器11に対して、キャップ20を介したコンタミネーションの可能性を十分に防止できる。また、キャップ20は、例えば、第1環状壁21と第2環状壁22の有無から、その上下が判別し易く、また、把持し易い形状であるため、取り扱い性にも優れる。
【0037】
各部材の大きさは、特に制限されず、例えば、外容器10への内容器11の挿入、キャップ20、20’の外容器10および内容器11への嵌合、キャップ20、20’同士の連結が可能であればよい。各部材の大きさを、以下に例示する。本発明において、「軸方向」とは、内容器11、外容器10およびキャップ20の軸方向であって、上下方向を意味し、「垂直方向」とは、前記軸方向に対して垂直の方向を意味し、「高さ」とは、前記軸方向の長さをいい、「直径」とは、前記垂直方向の断面における直径を意味する。
【0038】
外容器10の大きさは、例えば、以下の条件が例示できる。全体の容量は、例えば、0.5〜100mLであり、好ましくは1.0〜50mLである。外容器10全体の内部の高さは、例えば、30〜200mmであり、好ましくは50〜120mmである。本体部101の高さは、例えば、80〜120mmであり、好ましくは105〜115mmである。テーパー部102の高さは、例えば、5〜20mmであり、好ましくは10〜15mmである。先端部103の高さは、例えば、5〜15mmであり、好ましくは8〜12mmである。開口部104の内周の直径は、例えば、10〜20mmであり、好ましくは13〜15mmである。テーパー部102の上端の内周の直径は、例えば、8〜18mmであり、好ましくは10〜13mmである。収容部105の上端の内周の直径は、例えば、5〜15mmであり、好ましくは6〜7mmである。収容部105の容量は、例えば、0.1〜0.5mLであり、好ましくは0.2〜0.4mLである。収容部105の内部の高さは、例えば、4〜10mmであり、好ましくは5〜8mmである。
【0039】
内容器11の大きさは、例えば、以下の条件が例示できる。全体の容量は、例えば、0.3〜100mLであり、好ましくは0.5〜50mLである。内容器11全体の高さは、例えば、60〜100mmであり、好ましくは80〜90mmである。本体部111の高さは、例えば、50〜90mmであり、好ましくは60〜70mmである。テーパー部112の高さは、例えば、5〜30mmであり、好ましくは10〜20mmである。上端の開口部114の内周の直径は、例えば、5〜20mmであり、好ましくは10〜14mmである。環状突起部115の外周直径は、例えば、10〜20mmであり、好ましくは14〜18mmである。テーパー部112の上端の外周の直径は、例えば、8〜18mmであり、好ましくは10〜15mmである。テーパー部112の下端の外周の直径、すなわち、下端の開口部113の外周の直径は、例えば、3〜8mmであり、好ましくは4〜7mmである。下端の開口部113の内周の直径は、例えば、2〜7mmであり、好ましくは3〜6mmである。
【0040】
キャップ部20の大きさは、例えば、以下の条件が例示できる。円状基板24は、外周直径が、例えば、10〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、厚みが、例えば、0.1〜5.0mmであり、好ましくは0.5〜3.0mmである。第1環状壁21は、外周直径が、例えば、5〜21mmであり、好ましくは10〜15mmであり、内周直径が、例えば、4〜20mmであり、好ましくは9〜14mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmであり、第2環状壁22は、外周直径が、例えば、11〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、内周直径が、例えば、10〜22mmであり、好ましくは13〜16mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmである。第1環状壁21と第2環状壁22との間の環状溝の幅、つまり、第1環状壁21の外周面と第2環状壁22の内周面との距離は、例えば、0.5〜5mmであり、好ましくは0.8〜3mmである。第3環状壁23は、外周直径が、例えば、15〜35mmであり、好ましくは16〜24mmであり、内周直径が、例えば、11〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmである。
【0041】
各部材を形成するための材料は、特に制限されない。前記材料は、例えば、合成樹脂材料、金属材料、ガラス材料等があげられる。これらの中でも、例えば、成形性、組立性、必要に応じて接着性等の材料の加工性;添加物の試料への溶出等の衛生面;視認性等の機能性;コスト面等の観点から、前記合成樹脂材料が好ましい。前記材料は、例えば、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルペンテン、メタクリル、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ塩化ビニル、シリコーン、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、各種エラストマー等の合成樹脂があげられ、これらの中でも、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートが好ましい。前記フッ素樹脂は、例えば、疎水性フッ素樹脂が好ましく、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0042】
つぎに、
図1〜
図4に基づいて、本実施形態の分離容器キットを用いて、遠心分離により、精子を含む試料から精子を分離する方法を説明する。
【0043】
まず、
図1(C)に示すように、外容器10の内部に内容器11を配置する。この際、内容器11の環状突起部115の下面が、外容器10の開口部104の端面に接触している。
【0044】
つぎに、内容器11の内部に、遠心処理液を注入する。内容器11の下端は、開口部113を有する。このため、内容器11に注入された前記遠心処理液は、開口部113を通じて、外容器10の収容部105に導入される。前記遠心処理液の量は、特に制限されず、外容器10および内容器11の大きさに応じて適宜決定できる。前記遠心処理液は、例えば、1〜10mLであり、好ましくは2〜5mLである。
【0045】
つぎに、内容器11の内部に、精子を含む試料を導入する。前記試料は、内容器11の内部における前記遠心処理液に、重層することが好ましい。
【0046】
そして、
図4(A)に示すように、内容器11の開口部114に、キャップ20の第1環状壁21を挿入し、内嵌合により、内容器11の内部を液密状態にする。なお、図において、遠心処理液等の液体は、図示しない(以下、同様)。そして、分離容器1を遠心分離に供する。遠心分離の条件は、特に制限されず、例えば、1000G(1000×9.80665m/s
2)で20〜30分間の条件である。遠心分離によって、前記試料から精子が分離され、内容器11の開口部113から、外容器10の収容部105に、精子が沈殿する。
【0047】
遠心後、
図4(B)に示すように、キャップ20を装着した状態で、内容器11を外容器10から取り出す。内容器11の内部には、前記試料の不要物が含まれる。しかしながら、キャップ20の装着により、内容器11の内部は液密状態となっている。このため、内容器11の内部から液体が漏れることなく、外容器10から内容器11を取り出すことができる。そして、外容器10の収容部105に、沈殿した精子を含む前記遠心処理液が回収される。
【0048】
そして、
図4(C)に示すように、外容器10の開口部104に、新たなキャップ20’の第2環状壁22を外嵌合する。これによって、外容器10の内部が液密状態および気密状態となる。このため、例えば、外部からの不純物の混入等が防止でき、また、移動も容易となる。
【0049】
前記遠心処理液は、特に制限されず、例えば、試料および分離対象物の種類に応じて適宜決定できる。前記遠心処理液は、例えば、密度勾配担体、培地、緩衝液等があげられる。前記密度勾配担体は、例えば、比重調整剤ということもできる。前記密度勾配担体は、特に制限されず、例えば、パーコール、修飾コロイドシリカ、ショ糖重合体、フィコール等があげられる。前記パーコールは、通常、ポリビニルピロリドン皮膜を持つコロイド状シリカゾルである。前記パーコールは、例えば、エンドトキシンを除去した後、前記培地を添加して等張化したパーコールが好ましい。パーコールの濃度は、特に制限されず、例えば、90〜98%が好ましい。前記培地は、例えば、分離対象物が精子の場合、HEPES含有液等があげられる。
【0050】
本実施形態の分離容器キットは、例えば、さらに、スイムアップ法にも適用できる。まず、外容器10から内容器11を取り出した後、外容器10に、未使用の新たな内容器11を配置する。新たな内容器11には、予め、精子が遊泳可能な液体を充填しておくことが好ましい。この際、内容器11の開口部114に、未使用のキャップ20を内嵌合することが好ましい。キャップ20の挿入によって、液密状態を維持できるため、前記液体が開口部113から漏れることなく、内容器11を外容器10に配置可能である。この状態で放置する。運動性を示す精子は、放置の間に、外容器10の収容部105から、内容器11の開口部113を通じて、内容器11の内部にスイムアップしてくる。このため、運動性を示す精子のみを内容器11に移動させ、回収できる。
【0051】
放置後、内容器11に、再度、キャップ20を装着して、内部の液密性を保持した状態で、内容器11を外容器10から取り出す。これによって、内容器11により、運動性を示す精子のみを回収できる。また、取出した内容器11の内部の精子は、例えば、内容器11からキャップ20を取り外して液密性を解除し、前記内部から液体を導出させ、他の容器に回収してもよい。
【0052】
遠心分離は、通常、遠心ローターに分離容器をセットして行われる。この際、セットした本実施形態の分離容器1と、前記遠心ローターとの間に隙間が生じる場合、前記分離容器1にアジャスターを装着してもよい。
【0053】
また、前記A1形態のキャップは、例えば、さらに、使用時の軸方向において、前記内容器に内嵌合する前記第1環状壁の外周面の下方領域が、前記外周面の上方領域よりも小さい直径であることが好ましい。このような形状であれば、前記キャップの外周面の下方領域と上方領域とで、それぞれ、内容器に装着した際、嵌合力が「下方領域<上方領域」という関係になる。このため、例えば、前記分離容器セットを、滅菌処理したり、輸送したり、繰り返して使用した場合でも、全体としての嵌合力の低下を防止できる。
【0054】
また、前記A1形態のキャップは、例えば、さらに、前記外容器に外嵌合する前記第2環状壁の内周面に、軸方向中心に向かって突起部(凸部)を有してもよい。前記キャップにおける前記凸部は、例えば、前記内周面において、周方向全体に形成されてもよく、部分的に形成されてもよく、好ましくは前者である。他方、前記A1形態を装着する外容器は、例えば、前記キャップを装着した際に、前記キャップの凸部が接触する領域よりも、上方向であって、外周面に突起部(凸部)を有することが好ましい。前記外容器における前記凸部は、例えば、前記外周面において、周方向全体に形成されてもよく、部分的に形成されてもよく、好ましくは前者である。このような形状であれば、前記キャップを前記外容器に外嵌合した際、前者の凸部が、後者の凸部と咬合するため、取り扱い時に、装着が確実に行われていることを、触感的に確認できる。
【0055】
このような形態の一例を、
図13および
図14に示す。
図13は、キャップの一例を示す断面図であり、
図14は、分離容器キットの一例を示す断面図であり、キャップを内容器または外容器に装着した際の、装着した領域のみを示す部分断面図である。
図14において、(A)は、分離容器に
図13のキャップを仮装着した状態を示す断面図であり、(B)は、分離容器に
図13のキャップを本装着した状態を示す断面図であり、(C)は、外容器に
図13のキャップを装着した状態を示す断面図である。
図13および
図14において、
図1〜
図4と同一箇所には、同符号を付している。
【0056】
図13に示すように、キャップ60は、第1環状壁61および第2環状壁62を有し、第1環状壁61の外周面が、相対的に直径が小さい下方領域61aと、相対的に直径が大きい上方領域61bとを有し、第2環状壁の内周面が、突起部62aを有する。第1環状壁61において、下方領域61aの直径(外周直径)と上方領域61bの直径(外周直径)の差は、特に制限されず、例えば、5〜21mmであり、好ましくは10〜15mmである。第2環状壁62において、突起部62aの大きさは、特に制限されず、軸方向中心に向かう長さが、例えば、0.01〜0.5mmであり、好ましくは0.05〜0.2mmである。
【0057】
内容器11にキャップ60を内嵌合する場合、前述のように、仮装着と本装着が可能である。内容器11にキャップ60を仮装着させる場合は、
図14(A)に示すように、第1環状壁61の直径が小さい下方領域61aにおいて、キャップ60を内容器11に仮装着させる。また、内容器11にキャップ60を本装着させる場合は、
図14(B)に示すように、第1環状壁61の直径が大きい上方領域61bにおいて、キャップ60を内容器11に本装着させる。仮装着は、本装着と比較して、内容器11に対するキャップ60の嵌合力が弱いため、例えば、使用前等のキャップの装着に適している。また、本装着は、仮装着と比較して、内容器11に対するキャップ60の嵌合力が強いため、例えば、遠心処理等の使用時のキャップの装着に適している。さらに、外容器10にキャップ60を外嵌合する場合、
図14(C)に示すように、第2環状壁62の突起部62aを、外容器10の突起部15に咬合させる。この際、キャップ60の突起部62aと外容器10の突起部15との接触を、触感とし感知できる。なお、このような形態は、例えば、後述する実施形態2〜4において、キャップを内嵌合または外嵌合させる際に適用できる。
【0058】
(2)実施形態2
実施形態2は、前記A2形態のキャップを用いる例であり、
図5〜7を用いて説明する。
図5は、前記A2形態のキャップの一例であり、(A)は、キャップの平面図、(B)は、前記(A)のキャップのIII−III方向断面図であり、(C)は、下方向からの斜視図であり、(D)は、上方向からの斜視図である。
図6は、前記A2形態のキャップを連結した状態を示す一例であり、(A)は、連結したキャップの平面図であり、(B)は、前記(A)の連結したキャップのIV−IV方向断面図である。
図7は、キャップを装着した分離容器の一例であり、(A)は、キャップを嵌合した分離容器の断面図であり、(B)は、キャップを嵌合した内容器の断面図であり、(C)は、キャップを嵌合した外容器の断面図である。
【0059】
図5(A)〜(D)に示すように、キャップ30は、円状基板34、第1環状壁31、第2環状壁32および第3環状壁33を有する。円状基板34の下表面において、同心円状に、内側に第1環状壁31、外側に第2環状壁32が形成され、円状基板34の上表面において、第3環状壁33が形成されている。そして、円状基板34の下面においては、第1環状壁31と第2環状壁32との間に、環状溝が形成される。第1環状壁31は、内容器11に対する第1嵌合部31であり、第2環状壁32は、外容器10に対する第2嵌合部32であり、第3環状壁33は、他方のキャップの第2環状壁32’に対する第3嵌合部33である。
【0060】
図6に示すように、同形状の2つのキャップ30および30’は、一方のキャップ30の第3環状壁33が、他方のキャップ30’の第2環状壁32’に内嵌合する。これによって、2つのキャップ30および30’を連結できる。このため、両方のキャップを使用しない場合、互いに連結することで、それぞれがバラバラになることを防止できる。なお、本実施形態では、同形状のキャップが2つの場合を例示したが、2個以上のキャップであっても、同様に連結することが可能である。
【0061】
内容器11および外容器10を備える分離容器1に対するキャップの装着について、以下に説明する。
図7(A)は、外容器10の内部に内容器11を挿入した分離容器1に対するキャップの装着を示す。キャップ30の第1環状壁31を、内容器11の開口部114に挿入する。この際、キャップ30の第1環状壁31の外周面と内容器11の上側端部の内周面とを接触させて、キャップ30の第1環状壁31を内容器11に内嵌合させる。キャップ30の装着により、内容器11の内部は、液密状態となる。
図7(B)は、内容器11に対するキャップ30の装着を示し、
図7(A)における内容器11およびキャップ30と同様の状態である。
図7(C)は、外容器10に対するキャップ30’の装着を示す。内容器11に装着したキャップ30とは別に、同形状のキャップ30’の第2環状壁32を、外容器10の開口部104に外嵌合する。この際、キャップ30’の第2環状壁32の内周面と外容器10の上側端部の外周面とが接触する。キャップ30’の装着により、外容器10の内部は、液密状態および気密状態となる。
【0062】
本実施形態において、キャップ30は、
図5に示すように、外容器10および内容器11と嵌合する領域の露出が無いため、例えば、外容器10および内容器11に対して、キャップ30を介したコンタミネーションの可能性を十分に防止できる。
【0063】
キャップ部30の大きさは、例えば、以下の条件が例示できる。円状基板34は、外周直径が、例えば、10〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、厚みが、例えば、0.1〜5.0mmであり、好ましくは0.5〜3.0mmである。第1環状壁31は、外周直径が、例えば、5〜21mmであり、好ましくは10〜15mmであり、内周直径が、例えば、4〜20mmであり、好ましくは9〜14mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmであり、第2環状壁32は、外周直径が、例えば、11〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、内周直径が、例えば、10〜22mmであり、好ましくは13〜16mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmである。第1環状壁31と第2環状壁32との間の環状溝の幅、つまり、第1環状壁31の外周面と第2環状壁32の内周面との距離は、例えば、0.5〜5mmであり、好ましくは0.8〜3mmである。第3環状壁33は、外周直径が、例えば、10〜22mmであり、好ましくは13〜16mmであり、内周直径が、例えば、6〜21mmであり、好ましくは7〜15mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmである。
【0064】
(3)実施形態3
実施形態3は、前記A3形態のキャップを用いる例であり、
図8〜10を用いて説明する。
図8は、前記A3形態のキャップの一例であり、(A)は、キャップの平面図、(B)は、前記(A)のキャップのV−V方向断面図であり、(C)は、下方向からの斜視図であり、(D)は、上方向からの斜視図である。
図9は、前記A3形態のキャップを連結した状態を示す一例であり、(A)は、連結したキャップの平面図であり、(B)は、前記(A)の連結したキャップのVI−VI方向断面図である。
図10は、キャップを装着した分離容器の一例であり、(A)は、キャップを嵌合した分離容器の断面図であり、(B)は、キャップを嵌合した内容器の断面図であり、(C)は、キャップを嵌合した外容器の断面図である。
【0065】
図8(A)〜(D)に示すように、キャップ40は、円状基板44、第1環状壁41、第2環状壁42および第3環状壁43を有する。円状基板44の側面に、第1環状壁41、第2環状壁42および第3環状壁43のいずれかが形成されており、
図8においては、円状基板44の側面に、第2環状壁42が形成されている。そして、キャップ40の下方向から上方向に向かって、第1環状壁41、第2環状壁42および第3環状壁43が連結されている。具体的には、第1環状壁41の上側端部に、第2環状壁42が連結され、第2環状壁42の上側端部に、第3環状壁43が連結されている。第1環状壁41は、内容器11に対する第1嵌合部41であり、第2環状壁42は、外容器10に対する第2嵌合部42であり、第3環状壁43は、他方のキャップ40’の第1環状壁41’に対する第3嵌合部43である。
【0066】
図9に示すように、同形状の2つのキャップ40および40’は、一方のキャップ40の第3環状壁43が、他方のキャップ40’の第1環状壁41’に外嵌合する。これによって、2つのキャップ40および40’を連結できる。このため、両方のキャップを使用しない場合、互いに連結することで、それぞれがバラバラになることを防止できる。なお、本実施形態では、同形状のキャップが2つの場合を例示したが、2個以上のキャップであっても、同様に連結することが可能である。
【0067】
内容器11および外容器10を備える分離容器1に対するキャップ40の装着について、以下に説明する。
図10(A)は、外容器10の内部に内容器11を挿入した分離容器に対するキャップ40の装着を示す。キャップ40の第1環状壁41を、内容器11の開口部114に挿入する。この際、キャップ40の第1環状壁41の外周面と内容器11の上側端部の内周面とを接触させて、キャップ40の第1環状壁41を内容器11に内嵌合させる。キャップ40の装着により、内容器11の内部は、液密状態となる。
図10(B)は、内容器11に対するキャップ40の装着を示し、
図10(A)における内容器11およびキャップ40と同様の状態である。
図10(C)は、外容器10に対するキャップ40’の装着を示す。内容器11に装着したキャップ40とは別に、同形状のキャップ40’の第2環状壁42を、外容器10の開口部104に挿入する。この際、キャップ40’の第2環状壁42の外周面と外容器10の上側端部の内周面とを接触させて、キャップ40’の第2環状壁42を外容器10に外嵌合させる。キャップ40’の装着により、外容器10の内部は、液密状態および気密状態となる。
【0068】
キャップ部40の大きさは、例えば、以下の条件が例示できる。円状基板44は、外周直径が、例えば、10〜21mmであり、好ましくは13〜16mmであり、厚みが、例えば、0.1〜5mmであり、好ましくは0.5〜3mmである。第1環状壁41は、外周直径が、例えば、5〜21mmであり、好ましくは10〜15mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは2〜8mmであり、第2環状壁42は、外周直径が、例えば、10〜21mmであり、好ましくは13〜16mmであり、高さが、例えば、1〜10mmであり、好ましくは13〜16mmである。第3環状壁43は、外周直径が、例えば、11〜25mmであり、好ましくは15〜22mmであり、内周直径が、例えば、5〜21mmであり、好ましくは10〜15mmであり、高さが、例えば、1〜15mmであり、好ましくは2〜10mmである。
【0069】
また、前記A3形態のキャップは、例えば、さらに、前記内容器に内嵌合する前記第1環状壁の外周面が、少なくとも2段の凸部を有し、前記外容器に内嵌合する第2環状壁の外周面が、少なくとも1段の凸部を有することが好ましい。前記凸部は、それぞれ、例えば、前記外周面において、周方向全体に形成されてもよく、部分的に形成されてもよく、好ましくは前者である。
【0070】
前記第1環状壁の2段の凸部は、使用時の軸方向において、下方の凸部が、上方の凸部よりも小さい直径であることが好ましい。このような形状であれば、前記キャップの外周面の下方と上方とで、それぞれ、内容器に装着した際、嵌合力が「下方領域<上方領域」という関係になる。このため、例えば、前記分離容器セットを、滅菌処理したり、輸送したり、繰り返して使用した場合でも、全体としての嵌合力の低下を防止できる。
【0071】
また、前記第2環状壁が凸部を有することによって、前記キャップを前記外容器に外嵌合した際、取り扱い時に、装着が確実に行われていることを、触感的に確認できる。
【0072】
このような形態の一例を、
図15および
図16に示す。
図15は、キャップの一例を示す断面図であり、
図16は、分離容器キットの一例を示す断面図であり、キャップを内容器または外容器に装着した際の、装着した領域のみを示す部分断面図である。
図16において、(A)は、分離容器に
図15のキャップを仮装着した状態を示す断面図であり、(B)は、分離容器に
図15のキャップを本装着した状態を示す断面図であり、(C)は、外容器に
図15のキャップを装着した状態を示す断面図である。
図15および
図16において、
図8および9と同一箇所には、同符号を付している。
【0073】
図15に示すように、キャップ70は、第1環状壁41および第2環状壁42を有し、第1環状壁41の外周面が、上下2段の凸部41a、41bを有し、第2環状壁の外周面が、凸部42aを有する。第1環状壁41において、下方の凸部41aの最大直径(外周直径)と上方の凸部41bの最大直径(外周直径)の差は、特に制限されず、例えば、0〜1.0mmであり、好ましくは0.05〜0.5mmである。第2環状壁42において、凸部42aの最大直径(外周直径)は、特に制限されず、例えば、10〜22mmであり、好ましくは13.05〜16.5mmである。
【0074】
内容器11にキャップ70を内嵌合する場合、前述のように、仮装着と本装着が可能である。内容器11にキャップ70を仮装着させる場合は、
図16(A)に示すように、第1環状壁41の直径が小さい下方の凸部41aにおいて、キャップ70を内容器11に仮装着させる。また、内容器11にキャップ70を本装着させる場合は、
図16(B)に示すように、第1環状壁41の直径が大きい上方の凸部41bにおいて、キャップ70を内容器11に本装着させる。仮装着は、本装着と比較して、内容器11に対するキャップ70の嵌合力が弱いため、例えば、使用前等のキャップの装着に適している。また、本装着は、仮装着と比較して、内容器11に対するキャップ70の嵌合力が強いため、例えば、遠心処理等の使用時のキャップの装着に適している。さらに、外容器10にキャップ70を内嵌合する場合、
図16(C)に示すように、第2環状壁42の凸部42aにおいて、キャップ70’を外容器10に装着させる。この際、キャップ70’の凸部と外容器10との接触を、触感とし感知できる。なお、このような形態は、例えば、前述した実施形態1、2および後述する実施形態4において、キャップを内嵌合させる際に適用できる。
【0075】
(4)実施形態4
実施形態4は、前記A4形態のキャップを用いる例であり、
図11および
図12を用いて説明する。
図11は、前記A4形態のキャップの一例であり、(A)は、キャップの平面図、(B)は、前記(A)のキャップのVII−VII方向断面図であり、(C)は、下方向からの斜視図であり、(D)は、上方向からの斜視図である。
図12は、キャップを装着した内容器の一例を示す断面図である。
【0076】
図11に示すように、キャップ50は、前記A1形態のキャップ(
図1のキャップ20)において、円状基板24の下面の中央部に、さらに、第4環状壁55が形成されている。第4環状壁55は、内容器の下端開口部113に対する第4嵌合部55である。
【0077】
図12に示すように、キャップ50の第4環状壁55を、内容器11の下端開口部113に挿入する。この際、キャップ50の第4環状壁55の外周面と内容器11の下側端部の内周面とを接触させ、キャップ50の第4環状壁55を内容器11に内嵌合させる。キャップ50の装着により、内容器11の下端開口部113を閉口できる。また、台上に、第4環状壁55の形成面が上となるようにキャップ50を置き、その状態で内容器11に内嵌合させることで、内容器11の軸方向が上下となるように、内容器11を固定できる。このため、取り扱い性も向上する。
【0078】
第4環状壁55の形成面は、例えば、
図11に示すように、第1環状壁21および第2環状壁22の形成面でもよいし、第3環状壁23の形成面でもよい。
【0079】
前記実施形態において、本発明の分離容器キットの用途として、試料からの精子の分離を例示したが、これは一例であって、本発明は、この用途に限定されない。本発明の分離容器キットを、試料からの精子の分離に用いる場合、その分離方法は、特に制限されず、例えば、密度勾配遠心法、スイムアップ法等に適用できる。この他にも、例えば、細胞小器官の分離、DNAまたはRNAの分離、血液の特定成分(例えば、赤血球、単核球、血漿)の分離等にも使用可能である。前記試料は、特に制限されず、前記分離対象物を含む試料があげられ、具体例としては、精液、血液等があげられる。
【0080】
2.キャップおよびそのセット
本発明のキャップは、液体試料から分離対象物を分離するための分離容器用のキャップであって、
前記分離容器は、
内容器および外容器を有し、
前記内容器は、
上端および下端が開口した筒状であり、
前記外容器は、
上端が開口し、下端が閉口した有底筒状であり、
前記内容器および前記外容器は、
それぞれの上下方向を揃えた状態で、前記外容器の内部に前記内容器を挿入可能であり、
前記キャップは、
前記内容器の上端開口部に対する第1嵌合部、および前記外容器の上端開口部に対する第2嵌合部を有し、
前記第1嵌合部は、前記内容器の上端開口部に嵌合することで、前記内容器の内部を液密状態にでき、
前記第2嵌合部は、前記外容器の上端開口部に嵌合することで、前記外容器の内部を液密状態にできることを特徴とする。
【0081】
本発明のキャップは、例えば、前記本発明の分離容器キットにおける記載を援用できる。
【0082】
本発明のキャップは、例えば、
前記内容器の上端開口部に対する前記第1嵌合部、前記外容器の上端開口部に対する前記第2嵌合部、同形状のキャップに対する第3嵌合部、および、同形状のキャップが嵌合可能な被嵌合部を有し、
前記第1嵌合部は、前記内容器の上端開口部に嵌合することで、前記内容器の内部を液密状態にでき、
前記第2嵌合部は、前記外容器の上端開口部に嵌合することで、前記外容器の内部を液密状態にでき、
前記第3嵌合部は、前記同形状のキャップの被嵌合部に嵌合することで、前記同形状のキャップと連結可能である。
【0083】
本発明のキャップセットは、前記本発明のキャップを2つ以上含むことを特徴とする。本発明において、前記同形状のキャップの数は、2以上であればよく、その上限は、何ら制限されない。