特許第6080113号(P6080113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080113
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】フィルタープレスのろ布走行機構
(51)【国際特許分類】
   B01D 25/12 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   B01D25/12 B
   B01D25/12 J
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-40055(P2014-40055)
(22)【出願日】2014年3月3日
(65)【公開番号】特開2015-164708(P2015-164708A)
(43)【公開日】2015年9月17日
【審査請求日】2016年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 信宏
(72)【発明者】
【氏名】山下 学
(72)【発明者】
【氏名】大谷 和久
(72)【発明者】
【氏名】原 康二
(72)【発明者】
【氏名】元家 正二
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−162917(JP,A)
【文献】 特開2011−251230(JP,A)
【文献】 特開昭64−063008(JP,A)
【文献】 特開2014−176817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0043175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D25/12−25/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在に並列した複数のろ板(5・・・)の上方にスライドシャフト(8)を設け、ろ板(5)上部に配設したべベルギアスライド(10)をスライドシャフト(8)に軸線方向にのみ移動自在に嵌入し、各ろ板(5、5)間に設けたろ布(9)をべベルギアスライド(10)に連動連結し、スライドシャフト(8)を回転させることによって上部を合着した一対のろ布(9)を上下に走行するようにしたろ布走行型フィルタープレスにおいて、
各ろ板間に配設した二組の一対のろ布(9a、9b)と、
べベルギアスライド(10)と回転自在に連結して一方の一対のろ布(9a)を走行させるろ布駆動軸(20a)と、
ろ布駆動軸(20a)と連動連結して駆動する平歯車(29)と、
平歯車(29)と回転自在に連結して他方の一対のろ布(9b)を走行させるろ布駆動軸(20b)と、
を備えることを特徴とするフィルタープレスのろ布走行機構。
【請求項2】
前記ろ布駆動軸(20a)両端に固定したスプロケット(21)と、
前記ろ布駆動軸(20b)両端に固定したスプロケット(21)と、
スプロケット(21)に巻き掛けられた駆動チェーン(33)と、
駆動チェーン(33)の一端と連結したろ布(9)上縁部の上部ろ布芯金(31)と、
駆動チェーン(33)の他端と連結したろ布(9)下縁部の下部ろ布芯金(32)と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のフィルタープレスのろ布走行機構。
【請求項3】
前記下部ろ布芯金(32)を装着したろ布(9)を巻き掛けるろ板(5)下方のリターンロール(24)と、
前記下部ろ布芯金(32)を装着したろ布(9)を巻き掛けるろ板(5、5)間下方のリターンロール(24)と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のフィルタープレスのろ布走行機構。
【請求項4】
前記ろ布駆動軸(20a、20b)をろ板(5)上方で支架する上部ブラケット(19)と、
前記ろ布駆動軸(20a)の一端に固定してべベルギアスライド(10)と連動連結した入力べベルギア(26)と、
前記ろ布駆動軸(20a)に固定して平歯車(29)と噛み合う駆動歯車(27)と、
前記ろ布駆動軸(20b)に固定して平歯車(29)と噛み合う従動歯車(28)と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のフィルタープレスのろ布走行機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ろ板間に4枚のろ布を有することでろ過室を2つ形成するフィルタープレスにおいて、固液分離終了後のケーキ排出工程で、ろ布を走行させてケーキを排出するろ布走行式フィルタープレスのろ布走行機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大容量の汚泥を処理するフィルタープレスは、ろ過サイクル時間を短縮するため、ケーキ排出時にはろ板間に吊るしたろ布を走行させてケーキの排出時間を短縮している。ろ布を走行させるフィルタープレスとして、ろ板間に配設した一対のろ布をチェーンで吊るし、ろ板上方に設けた駆動輪にチェーンを掛け回し、チェーン他端をろ布下部と連結することで、駆動輪が回動した際にろ布下部がチェーンで牽引され、ろ布のろ過面が下方へ走行してケーキを剥離するろ布走行式フィルタープレスが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2011/048962
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ろ板間に配設された一対のろ布を走行させるろ布吊設装置が開示されている。通常、これらのフィルタープレスのろ板間にはろ布が2枚配設され固液分離を行っているため、特許文献1のろ布吊設装置は2枚のろ布を走行させるろ布走行機構を備える。しかしながら通常とは異なり、ろ板間にろ布を4枚配設して固液分離を行うことで、ろ過面が増加してフィルタープレスの処理能力をさらに向上させることが可能である。その場合、特許文献1に開示されているろ布走行機構では、4枚のろ布を走行させてケーキを排出することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開閉自在に並列した複数のろ板の上方にスライドシャフトを設け、ろ板上部に配設したべベルギアスライドをスライドシャフトに軸線方向にのみ移動自在に嵌入し、各ろ板間に設けたろ布をべベルギアスライドに連動連結し、スライドシャフトを回転させることによって上部を合着した一対のろ布を上下に走行するようにしたろ布走行型フィルタープレスにおいて、各ろ板間に配設した二組の一対のろ布と、べベルギアスライドと回転自在に連結して一方の一対のろ布を走行させるろ布駆動軸と、ろ布駆動軸と連動連結して駆動する平歯車と、平歯車と回転自在に連結して他方の一対のろ布を走行させるろ布駆動軸と、を備えることで、二組の一対のろ布をひとつの駆動源で連動して同時に走行させることができる。
【0006】
前記ろ布駆動軸両端に固定したスプロケットと、前記ろ布駆動軸両端に固定したスプロケットと、スプロケットに巻き掛けられた駆動チェーンと、駆動チェーンの一端と連結したろ布上縁部の上部ろ布芯金と、駆動チェーンの他端と連結したろ布下縁部の下部ろ布芯金と、を備えることで、ろ布が下方へ走行すると共に、ろ布下端を上方へ吊り上げ、ケーキを速やかに剥離することができる。
【0007】
前記下部ろ布芯金を装着したろ布を巻き掛けるろ板下方のリターンロールと、前記下部ろ布芯金を装着したろ布を巻き掛けるろ板間下方のリターンロールと、を備えることで、ろ布に付着して剥離しきれなかったケーキをリターンロールの巻き掛け部で剥離することができる。
【0008】
前記ろ布駆動軸をろ板上方で支架する上部ブラケットと、前記ろ布駆動軸の一端に固定してべベルギアスライドと連動連結した入力べベルギアと、前記ろ布駆動軸に固定して平歯車と噛み合う駆動歯車と、前記ろ布駆動軸に固定して平歯車と噛み合う従動歯車と、を備えることで、前記ろ布行動軸は同時に駆動し、一度のろ布走行で全てのろ過室のろ布が下方へ走行するため、フィルタープレスのろ過サイクル時間を大幅に短縮できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るフィルタープレスは、ろ板間に一対のろ布を二組配設することでろ過室を二つ形成し、4枚のろ布でろ過できるようにしたものである。そのため、従来のろ布走行機構では不可能であった、二組の一対のろ布の同時走行を可能とした。ろ板間に配設した二組のろ布は連動しているため、個別に駆動させる駆動源を必要としない。また、ろ板間に配設した二組のろ布を同時に走行させることで、ろ布に付着したケーキを速やかに排出することができ、フィルタープレスのろ過サイクル時間を大幅に短縮できる。その他、複数のろ板間に配設しているろ布がすべて連動しているため、一度のろ布走行で全てのろ過室からケーキを排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るフィルタープレスの側面図である。
図2】同じく、フィルタープレスの脱水ユニットの断面図である。
図3】同じく、ろ布の吊設装置が配設されたろ板の正面図である。
図4】同じく、上部吊設装置の概略平面図である。
図5】同じく、上部吊設装置の概略側面図である。
図6】同じく、ろ板間に吊設したろ布の斜視図である。
図7】同じく、ろ布吊設装置の要部側面図である。
図8】同じく、ろ布走行前のろ布走行機構概略側面図である。
図9】同じく、ろ布走中のろ布走行機構概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明に係るフィルタープレスの側面図である。
フィルタープレス1は、フロントフレーム2とリアーフレーム3に支架されたガイドレール4上に、複数のろ板5・・・で構成した脱水ユニット6が水平方向に並列に配設されている。脱水ユニット6は、ガイドレール4上を移動自在に支架され、ガイドレール4に沿って、例えば電動シリンダーや油圧シリンダー等の駆動力により往復移動する開閉装置7で締め付けられる。
脱水ユニット6の上方に、この脱水ユニット6に沿ってスライドシャフト8を設けてあり、スライドシャフト8には、ろ布9を走行させるべベルギアスライド10を軸方向に摺動自在に嵌入している。スライドシャフト8はリアーフレーム3に載置したろ布駆動機11によって回転させる。
【0012】
図2は本発明に係るフィルタープレスの脱水ユニットの断面図である。
脱水ユニット6は、凹状に形成されたろ過床を有するろ板5を対向させて形成する。一方のろ板5にはダイアフラム12を設け、ダイアフラム12は内部に圧力流体を注入することで膨張する。
ろ板5、5間には、4枚のろ布9が配設されている。ろ布9は二組の一対のろ布9a、9bとし、二組の一対のろ布9a、9bは、それぞれ一対のろ布9間にろ過室13を形成し、一方の一対のろ布9aはろ過室13aを、他方の一対のろ布9bはろ過室13bを形成する。
一対のろ布9間で形成するろ過室13に原液が供給されるため、ろ板5とろ布9との間、ダイアフラム12とろ布9との間、並びにろ過室13中央の2枚のろ布9間からろ液が排出される。
【0013】
ろ過室13の上部には、脱水しようとするスラリー等の原液をろ過室13に供給する原液供給路14が設けられている。ダイアフラム12を配設したろ板5には、ろ板5を貫通して、ダイアフラム12に至る圧搾水注入路15が形成されている。圧搾流体供給管から供給された圧搾流体が、圧搾水注入路15を介してダイアフラム12内に注入される。ろ板5の下方には、ろ布9から透過したろ液を外部に排出するろ液排出路16が設けられている。
【0014】
図3は本発明に係るろ布の吊設装置が配設されたろ板の正面図である。
ろ布9の吊設装置は、ろ板5の上部に配設された上部吊設装置17と、下部に配設された下部吊設装置18とからなる。
上部吊設装置17は、ろ板5の両肩に立設された一対の上部ブラケット19と、これらに支架されたろ布駆動軸20a、20bと、ろ布駆動軸20a、20bの両端部に固定された一対のスプロケット21と、一方の上部ブラケット19のろ布駆動軸20a近傍に配設されたスライドギアハウジング22とを備える。
スライドギアハウジング22はスライドシャフト8を回転自在に軸支している。
一方、下部吊設装置18は、ろ板5の両側下端部に垂下した一対の下部ブラケット23と、これらに支架された4本のリターンロール24及び洗浄管25を備える。
【0015】
図4は本発明に係る上部吊設装置の概略平面図である。
上部ブラケット19は、スライドギアハウジング22を介して、フィルタープレス1の前後方向に延びる断面多角形状のスライドシャフト8を支持している。
また、スライドギアハウジング22は、べベルギアスライド10を介してスライドシャフト8を回転可能に軸支している。べベルギアスライド10は、スライドシャフト8に対して回動不能、且つ軸方向に摺動自在に嵌合している。
そして、べベルギアスライド10はろ布駆動軸20aの端部に固定された入力べベルギア26と噛み合っている。
【0016】
上部吊設装置17をこのように構成すれば、スライドシャフト8が回転することでべベルギアスライド10も回転し、同時にべベルギアスライド10と噛み合っている入力べベルギア26が回転する。従って、入力べベルギア26が固定したろ布駆動軸20aも同様に回転する。
【0017】
ろ布駆動軸20aには、スライドギアハウジング22近傍に駆動歯車27を固定し、ろ布駆動軸20bには、駆動歯車27と同一線上に従動歯車28を固定している。そして、上部ブラケット19には、駆動歯車27と従動歯車28を連結する平歯車29を軸着している。
ろ布駆動軸20a、20bが平歯車29によって連結されているため、スライドシャフト8の回転によって、ろ布駆動軸20a、20bが同時に同方向に回転する。
【0018】
スライドギアハウジング22及びこれを支持する上部ブラケット19は、閉板時に隣り合うろ板5の間で互いに干渉しないように、並列するろ板5の左右の肩部に交互に配設されている。このとき、各ろ板5のろ布駆動軸20a、20bのスプロケット21は、同一線上に並ぶ。
【0019】
ろ板5の上部ブラケット19に支持された一対のスライドシャフト8、8は、フィルタープレス1の前後方向に互いに平行に延びている。各スライドシャフト8の前後端は、それぞれフロントフレーム2及びリアーフレーム3に回動自在に支持されている。一対のスライドシャフト8、8の前端は、それぞれリアーフレーム3上に設置した正逆転可能なろ布駆動機11に連動連結されている。
【0020】
このろ布駆動機11を駆動させることにより、左右のスライドシャフト8、8及びこれに連結させたすべてのろ布駆動軸20a、20bを所定量回転させる。ろ布駆動軸20aと平歯車29で連結したろ布駆動軸20bも同様に所定量回転し、並列したろ板5、5間のろ布9を一斉に昇降させることができる。
【0021】
図5は本発明に係る上部吊設装置の概略側面図である。
図5は向かって左側がフロントフレーム2側、右側がリアーフレーム3側となっており、ろ板5に立設した上部ブラケット19は、ろ布駆動軸20を軸支する支持部30をリアーフレーム3に向かって斜めに設けている。上部ブラケット19の支持部30では、フロントフレーム2側から、ろ布駆動軸20a、平歯車29、ろ布駆動軸20bを軸支している。ろ布駆動軸20a、20bは、吊り下げたろ布9が互いに接触しないよう、垂直線上からずらして配設している。
【0022】
図6は本発明に係るろ板間に吊設したろ布の斜視図である。
ろ板5、5間には一対のろ布9が二組配設されている。一対のろ布9の上縁部は筒状に合着されており、筒状部には上部ろ布芯金31が装着されている。また、一対のろ布9の下縁部にはそれぞれ下部ろ布芯金32が装着されている。上部ろ布芯金31、下部ろ布芯金32はろ布9の幅より長く、上部ろ布芯金31の両端部には駆動チェーン33が連結されている。
また、二組の一対のろ布9の上部には給液板34が配設されている。給液板34は原液供給路14と連通する開口を有し、一対のろ布9間に配設される。給液板34は開口からろ布9間に分配口を設けることで、二組の一対のろ布9間にそれぞれ原液を供給することができる。
【0023】
図7は本発明に係るろ布吊設装置の要部側面図である。
図7は、向かって左側をフロントフレーム2側、右側をリアーフレーム3側とし、ろ板の5両肩部に配設された上部ブラケット19はリアーフレーム3側に斜めに設けられている。そして、上部ブラケット19にはろ布駆動軸20が回転自在に支架されている。
【0024】
ろ布駆動軸20aの両端に固定したスプロケット21aには、一方の一対のろ布9aの駆動チェーン33aが巻き掛けられている。また、ろ布駆動軸20bの両端に固定したスプロケット21bには、他方の一対のろ布9bの駆動チェーン33bが巻き掛けられている。
駆動チェーン33の一端は、それぞれろ布9の上縁部に装着した上部ろ布芯金31の両端に連結されている。そして、一方の一対のろ布9aの駆動チェーン33aをスプロケット21aに巻き掛けてろ布9aを吊り下げ、駆動チェーン33aの他端をろ板5のフロントフレーム2側に垂下している。また、他方の一対のろ布9bの駆動チェーン33bをスプロケット21bに巻き掛けてろ布9bを吊り下げ、駆動チェーン33bの他端を二組のろ布9間に垂下している。
【0025】
ろ板5両側下端から垂下した下部ブラケット23には、二組の一対のろ布9を掛け回す4本のリターンロール24a、24b、24c、24dが支架されている。ろ板5下方に2本のリターンロール24a、24bを回転自在に支架し、開板後のろ板5、5間下方中央に相当する位置に2本のリターンロール24c、24dを回転自在に支架している。
【0026】
ろ布9aL下部は、ろ板5下方のリターンロール24bの一方に掛け回し、下部ろ布芯金32をろ板5のフロントフレーム2側に垂下した駆動チェーン33aと係止している。
ろ布9aR下部は、ろ板5、5間下方のリターンロール24cの一方に掛け回し、下部ろ布芯金32を二組のろ布9間に垂下した駆動チェーン33bと係止している。
ろ布9bL下部は、ろ板5、5間下方のリターンロール24dの他方に掛け回し、下部ろ布芯金32を二組のろ布9間に垂下した駆動チェーン33bと係止している。
ろ布9bR下部は、隣接するろ板5下方のリターンロール24a’の他方に掛け回し、下部ろ布芯金32を隣接するろ板5のフロントフレーム2側に垂下した駆動チェーンa33’と係止している。
【0027】
ろ布駆動軸20、ろ板5下方のリターンロール24a、24bとろ板5、5間下方のリターンロール24c、24dは、ろ布9走行中にろ布9とろ板5がそれぞれ接触しないよう、位置をずらして配設する。その際、必要であれば案内ロールを配設してもよい。
【0028】
図8は本発明に係るろ布走行前のろ布走行機構概略側面図である。
ろ布9の走行について詳述すると、フィルタープレス1での脱水が終了し、ケーキ排出工程でろ板5が開板した後、スライドシャフト8に連結したろ布駆動機20を作動してスライドシャフト8を回転させる。これにより、スライドシャフト8に連動したろ布駆動軸20aが回転し、その両端に固定されたスプロケット21a及びこのスプロケット21aに掛け回された駆動チェーン33aを介して、一方の一対のろ布9aが開板したろ板5、5の間を下降する。
【0029】
また、ろ布駆動軸20aの駆動歯車27が、平歯車29を介してろ布駆動軸20bの従動歯車28と連動しているため、ろ布駆動軸20bも同時に回転する。従って、ろ布駆動軸20bの両端に固定されたスプロケット21b及びこのスプロケット21bに掛け回された駆動チェーン33bを介して、他方の一対のろ布9bも開板したろ板5、5の間を下降する。
【0030】
図9は本発明に係るろ布走中のろ布走行機構概略側面図である。
それぞれスプロケット21に掛け回した駆動チェーン33により上部ろ布芯金31が下降するとともに、下部ろ布芯金32が引き上げられるため、ろ布9は下方へ走行した後、ろ板5下方のリターンロール24a、24bもしくはろ板5、5間下方のリターンロール24c、24dを介して、ろ布9下部から順に上方へ走行している。このとき、ろ過室13で形成された脱水ケーキは、ろ布9と共にろ板5、5間を下降し、ろ布9がそれぞれリターンロール24において反転する時にろ布9から剥離される。ケーキ剥離後、スプロケット21を逆転させ、ろ布9を元の位置に戻して脱水を再開する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係るフィルタープレスは、各ろ板間に4枚のろ布を配設して固液分離するもので、4枚のろ布を同時に走行させてケーキを速やかに排出するものである。ろ布はすべて連動して走行するため、それぞれ別の駆動源を用意する必要が無い。また、すべてのろ過室のろ布が同時に走行するため、一度の操作で全ろ過室のケーキを排出することが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 フィルタープレス
5 ろ板
8 スライドシャフト
9 ろ布
10 べベルギアスライド
19 上部ブラケット
20 ろ布駆動軸
21 スプロケット
24 リターンロール
26 入力べベルギア
27 駆動歯車
28 従動歯車
29 平歯車
31 上部ろ布芯金
32 下部ろ布芯金
33 駆動チェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9