(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080114
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20170206BHJP
G05B 19/05 20060101ALI20170206BHJP
G05B 11/36 20060101ALI20170206BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
H05K7/14 R
G05B19/05 N
G05B11/36 T
H05K5/03 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-225137(P2014-225137)
(22)【出願日】2014年11月5日
(65)【公開番号】特開2016-92219(P2016-92219A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堤 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】大脇 康裕
(72)【発明者】
【氏名】島村 浩一郎
【審査官】
三森 雄介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06104616(US,A)
【文献】
特開2011−187686(JP,A)
【文献】
特開2001−094221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
H05K 5/00− 5/06
G05B 1/00− 7/04
G05B 11/00−13/04
G05B 17/00−17/02
G05B 19/04−19/05
G05B 21/00−21/02
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートに複数のモジュールを着脱可能に取り付けられるように構成された電子機器において、
前記モジュールは端子台モジュールを含み、前記端子台モジュールの引き出し端部側には開閉可能な扉が設けられ、この扉には前記端子台に接続される機器の属性情報表示部が設けられ、
前記端子台モジュールの引き出し端部側の端面に対する奥行方向の長さが隣接するモジュールの長さに対して短く構成され、
前記扉は、この扉の前記端子台モジュールと連結する辺に対向する辺が、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面よりも前面に突出するように開くことが可能であり、
前記属性情報表示部は前記扉から開閉可能であること、
を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記属性情報表示部は、前記扉が、この扉の前記端子台モジュールと連結する辺に対向する辺が、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面よりも前面に突出するように開いた状態で、前記扉から開くと、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面の少なくとも一部よりも前面に突出するように開くことが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記端子台に接続される機器は制御システムのフィールド側に設置されるフィールド機器であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記属性情報表示部は、前記扉からスライド式で開閉可能であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、詳しくは、ベースプレートに複数のモジュールを着脱可能に取り付けるように構成された電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の一種に、ベースプレートに複数のモジュールを着脱可能に取り付けるように構成されたものがある。
【0003】
図6は、このような電子機器を用いて構成される制御システムの一例を示すブロック図である。
図6において、フィールドコントロールステーション10は、複数の入出力モジュール11と、電源モジュールや上位システムとの間で各種信号の授受を制御する制御モジュールなどの各種の機能モジュール12が図示しないベースプレートに設けられた第1の端子盤に着脱可能に嵌合接続されている。
【0004】
フィールドコントロールステーション10は、ケーブル20を介して第2の端子盤30と接続されている。第2の端子盤30には、システム側のケーブル20が図示しないコネクタを介して着脱可能に嵌合接続されるコネクタ31、フィールド側の図示しないセンシング機器やモータ、バルブなどのフィールド機器の配線が接続される端子台32、コネクタ31と端子台32とを機械的かつ電気的に接続する信号系統を必要に応じて機械的に遮断する断路部材33などが設けられている。
【0005】
断路部材33は、たとえばシステムの立ち上げや保守時にそれぞれの信号系統のシステム側またはフィールド側における状態を個別に確認することを目的として設けられたもので、該当する信号系統の断路部材33を第2の端子盤30から抜去することにより、システム側とフィールド側の間で信号の授受を行う信号入出力系統を機械的に遮断する。
【0006】
これらフィールドコントロールステーション10や端子盤30は、たとえばDINレールに着脱可能に取り付けられる。
図7では、端子盤30の背面がDINレール40に取り付けられた状態を示している。
【0007】
図7は、
図6の入出力モジュール11の具体的な構成例図である。(A)は入出力モジュール11の前面に着脱可能な複数種類の端子ブロック11a、11b、11cを用意しておき、用途に応じたものに交換して取り付ける例を示している。(B)は入出力モジュール11にコネクタ11dを介してケーブルを接続する例を示している。(C)は入出力モジュール11に信号線を接続するためのカバー付の端子盤11eを設けた例を示している。これらの入出力モジュール11も図示しないDINレールに取り付けられる。
【0008】
図8は、
図6の入出力モジュール11の他の具体的な構成例図である。(A)、(B)は発熱量が大きい入出力モジュール11のケース11f、11gを熱伝導性の優れたアルミ材で構成したものであり、(C)はネスト(エンクロージャー)11h全体をアルミ材で構成したものである。これらの入出力モジュール11も図示しないDINレールに取り付けられる。
【0009】
特許文献1には、DINレールに最小限のスペースで横滑りしないように固定でき、基板を金属ケースの中に収納したDINレール取付け形ターミナルボードの構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−134352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図6に示す制御システムの構成によれば、フィールドコントロールステーション10とフィールド機器の配線が接続される端子盤30は互いに独立した個別の機器として構成されていて、それぞれがDINレール40に取り付けられるとともにケーブル20を介して接続されている。
【0012】
作業者が制御システムの保守点検や調整設定などを行うのにあたり、端子盤30の端子台32に配線を介して接続されるフィールド機器の種別や名称や配線信号名などの属性情報を確認するためには、別途作成されている端子台32の各端子に対する各フィールド機器の割り当てリストを手元に備えておいて参照しなければならず、作業性や操作性がよくないという問題がある。
【0013】
本発明は、このような課題を解決するものであり、その目的は、端子盤の設置現場で必要に応じて即座に端子台の各端子に接続される各フィールド機器の属性情報を確認できる作業性および操作性の優れた電子機器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1の発明は、
ベースプレートに複数のモジュールを着脱可能に取り付けられるように構成された電子機器において、
前記モジュールは端子台モジュールを含み、前記端子台モジュールの引き出し端部側には開閉可能な扉が設けられ、この扉には前記端子台に接続される機器の属性情報表示部が設けられ、
前記端子台モジュールの引き出し端部側の端面に対する奥行方向の長さが隣接するモジュールの長さに対して短く構成され、
前記扉は、この扉の前記端子台モジュールと連結する辺に対向する辺が、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面よりも前面に突出するように開くことが可能であり、
前記属性情報表示部は前記扉から開閉可能であること、
を特徴とする
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の電子機器において、
前記属性情報表示部は、前記扉が、この扉の前記端子台モジュールと連結する辺に対向する辺が、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面よりも前面に突出するように開いた状態で、前記扉から開くと、前記隣接するモジュールの引き出し端部側の端面の少なくとも一部よりも前面に突出するように開くことが可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記端子台に接続される機器は制御システムのフィールド側に設置されるフィールド機
器であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子機器において、
前記属性情報表示部は、前記扉からスライド式で開閉可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
これらの構成により、作業者は、必要に応じて、端子盤の設置現場で端子台モジュールの引き出し端部側に設けられている扉を開くことにより、端子台の各端子に接続される各フィールド機器の属性情報を確認でき、作業性および操作性の優れた電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に基づく電子機器の一実施例を示す構成説明図である。
【
図2】本発明に基づく電子機器の一実施例を示す構成説明図である。
【
図4】端子台モジュール130の具体例を示す構成説明図である。
【
図5】端子台モジュール130の具体例を示す構成説明図である。
【
図6】従来の制御システムの一例を示すブロック図である。。
【
図7】
図6の入出力モジュール11の具体的な構成例図である。
【
図8】
図7の入出力モジュール11の他の具体的な構成例図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1および
図2は本発明に基づく電子機器の一実施例を示す構成説明図であって、(A)は全体の斜視図、(B)は上面図であり、
図1は端子台モジュール130の扉133を閉じた状態を示し、
図2は端子台モジュール130の扉133を開いた状態を示している。
【0020】
図1および
図2において、ベースプレート100の前面には、同一機能を有する2個の入出力モジュール110a、110bが図示しないコネクタを介して嵌合接続され、所定のオプション機能を有する機能別モジュールとしての複数のプラグインモジュール120が図示しないコネクタを介して嵌合接続され、複数の端子ブロックを有する端子台モジュール130が図示しないコネクタを介して嵌合接続されている。これら各構成要素の着脱は、前面からアクセスして作業することにより、比較的簡単に行える。なお、ベースプレート100の背面は、図示しないDINレールに着脱可能に取り付けられる。
【0021】
これら2個の入出力モジュール110a、110bと複数のプラグインモジュール120と端子台モジュール130の奥行方向の長さは、これらがベースプレート100に取り付けられた状態におけるそれぞれの引き出し端部側の端面がベースプレート100の一方の側から他方の側に向かって階段状になるように設計されている。
【0022】
本実施例では、ベースプレート100に取り付けられた状態における入出力モジュール110a、110bと複数のプラグインモジュール120と端子台モジュール130の引き出し端部側の端面は、入出力モジュール110a、110b>プラグインモジュール120>端子台モジュール130の関係になるように設定されている。
【0023】
2個の入出力モジュール110a、110bはマスター/スレーブ関係で動作するものであって、マスターとして動作している一方の入出力モジュール(たとえば110a)が故障した場合にはスレーブとして動作している他方の入出力モジュール(たとえば110b)がマスターとして代替動作するように冗長化され、二重化駆動される。これにより、入出力モジュール110の故障に起因する動作停止を最小限に抑制できる。
【0024】
プラグインモジュール120は、入出力モジュール110a、110bには実装されていないリレーによる信号変換機能、絶縁機能、断路機能、ヒューズ機能などのオプション機能を、各信号系統に個別に付加するものである。プラグインモジュール120の引き出し端部側である前面には、前面レバーがプラグインモジュール120の前面を覆うようにして、その一端近傍が取付軸に対して回転可能に取り付けられている。
【0025】
プラグインモジュール120にオプション機能としてたとえば断路機能を実装することにより従来の端子盤30に設けられていた断路部材33を不要にでき、ヒューズ機能を実装することにより従来の端子盤30に設けられていたヒューズを不要にできる。
【0026】
端子台モジュール130は、ハウジング131と、ハウジング131に収納された複数の端子ブロック132と、ハウジング131の引き出し端部側である前面に開閉可能に設けられた扉133などで構成されている。
【0027】
図3は、扉133の具体例を示す構成説明図である。扉133は、扉133の本体133aと、本体133aの開閉操作辺133bに開閉可能に設けられた属性情報表示部133cとで構成されている。
【0028】
属性情報表示部133cには、端子台モジュール130に設けられている端子ブロック132の各端子に配線を介して接続されるフィールド機器の種別や名称などの属性情報が各端子に対応するようにして書き込まれている。
【0029】
ここで、端子台モジュール130の扉133は、
図2(B)に示すように、ベースプレート100に入出力モジュール110a、110bと複数のプラグインモジュール120と端子台モジュール130が取り付けられた状態において、扉133を開いたとき、扉133の本体133aの開閉操作辺133bがプラグインモジュール120の引き出し端部側の端面よりも突出するように設定されている。
【0030】
これにより、ベースプレート100に入出力モジュール110a、110bと複数のプラグインモジュール120と端子台モジュール130が取り付けられた状態において、端子台モジュール130の引き出し端部側の端面の高さが他の入出力モジュール110a、110bおよび複数のプラグインモジュール120に対して最も低いにも拘わらず、扉133を開くことによって扉133の本体133aの開閉操作辺133bがプラグインモジュール120の引き出し端部側の端面よりも前面に突出することになる。
【0031】
この結果、作業者は、端子台モジュール130に隣接するプラグインモジュール120の引き出し端部側の端面に制限されることなく属性情報表示部133cを時計方向に180°を超える任意の角度で回転させることができるので、属性情報表示部133cの回転角度を属性情報を最も読みやすい所望の角度に設定でき、制御システムの保守点検や調整設定などを効率よく実行できる。
【0032】
図4は端子台モジュール130の具体例を示す構成説明図であって、(A)は扉133を閉じた状態を示し、(B)は扉133の本体133aを時計方向にほぼ90°に開いて属性情報表示部133bは閉じた状態を示し、(C)は(B)の状態から属性情報表示部133bも本体133aとほぼ水平な同一面になるように時計方向にほぼ180°に開いた状態を示し、(D)は(C)の状態から属性情報表示部133bをさらに時計方向に開いた状態を示している。
【0033】
図5も端子台モジュール130の具体例を示す構成説明図であり、(A)は組立構成図、(B)はベースプレート100への着脱説明図である。
図5において、端子ブロック132の図示しない接続ピンは可撓性プリント配線134を介してプリント配線板135に設けられている図示しないコネクタに接続された状態でハウジング131に収納され、端子台モジュール130として一体化されている。なお、プリント配線板135は、基板の水平方向に多少移動できる状態でハウジング131に取り付けられている。
【0034】
端子台モジュール130をベースプレート100に着脱するのにあたり、端子台モジュール130を構成するプリント配線板135は、プリント配線板135に設けられている図示しないコネクタがベースプレート100に設けられているコネクタCN1、CN2とスムーズに嵌合接続されるように基板の水平方向に多少移動できることから、端子台モジュール130の着脱を短時間で行えるとともに、端子台モジュール130の組立における公差条件をプリント配線板135が固定取付されている場合に比べて緩和でき、組立作業を効率よく行うことができる。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、ベースプレートに複数のモジュールを着脱可能に取り付けるように構成され、作業性および操作性の優れた電子機器を実現できる。
【符号の説明】
【0036】
100 ベースプレート
110 入出力モジュール
120 プラグインモジュール
130 端子台モジュール
131 ハウジング
132 端子ブロック
133 扉
133a 本体
133b 開閉操作辺
133c 属性情報表示部