特許第6080116号(P6080116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テールズの特許一覧

特許6080116マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法
<>
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000002
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000003
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000004
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000005
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000006
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000007
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000008
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000009
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000010
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000011
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000012
  • 特許6080116-マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080116
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】マルチモードタッチスクリーン装置用の力測定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170206BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20170206BHJP
   G06F 3/045 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   G06F3/041 580
   G06F3/041 600
   G06F3/044 140
   G06F3/045 H
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-219905(P2011-219905)
(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公開番号】特開2012-84144(P2012-84144A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2014年9月12日
(31)【優先権主張番号】1003955
(32)【優先日】2010年10月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505157485
【氏名又は名称】テールズ
(74)【代理人】
【識別番号】100071054
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高久
(72)【発明者】
【氏名】コニ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニシ、ヨハンナ
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−242044(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0018608(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電性行(5)を有する剛性の第1の基板(4)と、前記行に直角な複数の導電性列(3)を有する可撓性の第2の基板(2)と、を含むタッチスクリーン装置(10)へアクチュエータ(11)によって加えられた力を測定するための方法であって、
− 行(5)および列(3)間のノードに存在し、抵抗成分および容量成分を含むインピーダンス(Z)を測定する第1のステップと、
− 前記行(5)および前記列(3)間の前記ノードにおける結合容量に対応する、前記インピーダンスの容量成分(CZ)を計算する第2のステップと、
− 前記インピーダンスの前記容量成分の値によって、前記アクチュエータ(11)と前記タッチスクリーンの表面との間の接触を検出する第3のステップと、
− 前記インピーダンスの前記容量成分(CZ)の変化を解析して、前記アクチュエータ(11)と前記タッチスクリーン(10)の表面との間の接触に対応する瞬間後に、前記タッチスクリーン装置(10)に加えられた力を測定する第4のステップであって、前記容量成分(CZ)の変化が、加えられた力に比例するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アクチュエータと前記タッチスクリーン(10)の表面との間で、前記第3のステップにおいて実行される接触の検出が、行(5)および列(3)間のノードにおけるインピーダンスの増加、または前記ノードの前記列に存在する出力電圧の降下が存在することに反映されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
高周波電圧発生器によって高周波電圧を発生し、高周波電圧が、行と列のノードにおけるインピーダンス(Z)を発生するステップと、
高周波電圧発生器の周波数と同一の周波数の選択を実行する同期復調器によって、インピーダンスから電磁妨害をフィルタリングし、フルタリング後のインピーダンスを測定する、同期復調するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記タッチスクリーン(10)に力が加えられる前記第4のステップにおいて、前記容量成分(CZ)の変化が、少なくとも、前記アクチュエータ(11)と前記タッチスクリーンの表面との間の接触に対応する瞬間後から前記第1の基板(4)と前記第2の基板(2)との間の接触に対応する瞬間の前までの時間間隔の間に、計算されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インピーダンスの前記容量成分(CZ)の変化を解析する第4のステップが、
容量性モードにおいて、信号が一定のとき、前記アクチュエータが、前記タッチスクリーン(10)から離れているとし、
容量性モードにおいて、信号が最小のとき、前記アクチュエータが、前記タッチスクリーン(10)に接触しているとし、
離散静電容量モードにおいて、信号が局所的に減少するとき、前記アクチュエータが、前記タッチスクリーン(10)に、前記容量性モードの場合よりも軽く接触しているとし、
静電容量−抵抗モードにおいて、信号が最大に達するとき、前記アクチュエータが、前記タッチスクリーン(10)に、前記容量性モードの場合よりも強く接触しているとする
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記行と列の間の前記ノードのそれぞれに存在する前記インピーダンス(Z)のマッピングを保存する第5のステップを含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
複数の導電性行(5)を有する剛性の第1の基板(4)と、前記行に直角な複数の導電性列(3)を有する可撓性の第2の基板(2)と、を含むタッチスクリーン装置(10)であって、前記タッチスクリーン装置(10)がまた、取得エレクトロニクスおよび処理エレクトロニクス(30)を含み、前記取得エレクトロニクスが、行と列の間のノードに存在し、抵抗成分および容量成分を含むインピーダンス(Z)を測定し、
前記処理エレクトロニクスが、
前記インピーダンスの容量成分の値によって、アクチュエータ(11)とタッチスクリーンの表面との間の接触を検出し、
アクチュエータ(11)とタッチスクリーン(10)の表面との間の接触に対応する瞬間後に、前記タッチスクリーン(10)の表面に加えられた力を測定するために、前記容量成分(CZ)の変化を解析し、容量成分(CZ)の変化は、加えられた力に比例する
ことを特徴とするタッチスクリーン装置(10)。
【請求項8】
制御エレクトロニクスを備え、
前記制御エレクトロニクスが、
行と列のノードにおけるインピーダンスを発生する高周波電圧発生器と、
高周波電圧発生期と同じ周波数で動作し、得られたインピーダンス(Z)から電磁妨害をフィルタリングする同期復調器を含み、フィルタリングの後に容量成分を計算する処理エレクトロニクスと、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のタッチスクリーン装置(10)。
【請求項9】
処理エレクトロニクスが、信号が最小になる容量性モードと、信号が局所的に減少する離散静電容量モードと、信号が最大になる静電容量−抵抗モードの定義を備え、前記インピーダンスの容量成分を計算する
ことを特徴とする請求項8に記載のタッチスクリーン装置(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの表示スクリーンおよび1つのタッチスクリーン装置を含む表示装置であって、前記タッチスクリーン装置が少なくとも請求項7〜9のいずれか一項に記載のようなものであることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
操縦士および副操縦士によって別々にまたは同時に使用されるように意図された航空機計器パネルディスプレイであることを特徴とする、請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、タッチスクリーンの分野である。これらのスクリーンは、ユーザの指または手によって活性化される高感度表面であり、たいていは、グラフィカルインターフェースを介して装置またはシステムを制御するために用いられる。多数の可能な使用法がある。特に、航空用途があり、したがってそこでは、操縦士が、航空機計器パネルによって表示される全ての機能を制御し命令することができる。
【0002】
理想的なタッチシステムは、軽いタッチで1つまたは複数のカーソルの移動を管理でき、かつ1つまたは複数のキーのストロークを管理できることに加えて、タッチスクリーンの表面に垂直な軸に沿って、各ストロークを対応する力に関連付けることができなければならない。
【背景技術】
【0003】
様々な「タッチスクリーン」技術があり、主な2つは、容量性タッチ表面および抵抗性タッチ表面である。投影型容量性タッチ表面は、ユーザが、タッチ表面の方へ自分の指を動かした場合に、電気容量における変化を取得することによって動作する。軽い接触で十分であり、1つまたは複数のカーソルの移動を可能にするが、しかしこれらのタッチ表面は、手袋でもどんなスタイラスでも動作しない。さらに、ストローク力を条件とする確認は、不可能である。例として、国際公開第2004061808号パンフレットは、このタイプのタッチセンサを説明している。
【0004】
抵抗性タッチ表面は、手袋および任意のスタイラスで動作するように、ストローク力を監視することをある程度まで可能にする。しかしながら、単に軽いタッチによるカーソルの移動は、もはや不可能である。
【0005】
2009年11月17日に、本出願人は、仏国特許出願第0905510号を出願した。この特許出願に開示された装置によって、上述の欠点を克服する方法が提供される。実際に、それは、指がスクリーンに接近する場合には容量性モードで、かつある一定の力に適合する物理的接触がある場合には抵抗性モードで、動作することができる。
【0006】
しかしながら、最先端の装置では、ユーザによってフェースプレートに加えられた力に関する信頼できる情報を提供することが不可能である。最先端として周知の既存の装置は、例えば国際公開第2008065205A1号パンフレットにおけるように、圧力または移動に敏感な、おおむねタッチ表面の隅に配置された素子を用いる。これらの装置は、加えられた力の結果だけを提供し、ストロークポイントの数もそれらの位置および強度も提供しない。
【0007】
さらに、それらは、追加装置、センサ、機械的素子、および調整エレクトロニクスを必要とする。
【0008】
別のオリジナルの実施形態手段が、米国特許出願第2009237374A1号明細書に説明されているが、しかしタッチ表面は、その2つの活性層間において、感圧素子をタッチ表面に加えることによって個別化されなければならない。
【0009】
スクリーンの周囲に複数の感圧素子を用いることに存するハイブリッド手段が、国際公開第2010027591A2号パンフレットに説明されている。しかしながら、感圧コンポーネントを加えずに、ストロークの局所的な圧力を測定することはやはり不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の欠点の克服を可能にし、かつその目的は、タッチスクリーンに加えられた力を測定できるタッチスクリーン装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
より具体的には、本発明は、複数の導電性行を有する剛性の第1の基板と、前記行に直角な複数の導電性列を有する可撓性の第2の基板と、を含むタッチスクリーン装置へアクチュエータによって加えられた力を測定するための方法に関する。有利なことに、この方法には、
− 行と列の間のノードに存在するインピーダンスを測定する第1のステップと、
− 行と列の間のノードにおける結合容量に対応する、前記インピーダンスの容量成分を計算する第2のステップと、
− 前記インピーダンスの容量成分の値によって、アクチュエータとタッチスクリーンの表面との間の接触を検出する第3のステップと、
− 前記インピーダンスの容量成分の変化を解析して、アクチュエータとタッチスクリーンの表面との間の接触に対応する瞬間後に、前記タッチスクリーン装置に加えられた力を測定する第4のステップであって、容量成分の変化が、加えられた力に比例するステップと、
が含まれる。
【0012】
有利なことに、第4のステップにおいて、力がタッチスクリーンに加えられた場合には、容量成分の変化は、少なくとも、アクチュエータとタッチスクリーンの表面との間の接触に対応する瞬間後から第1と第2の基板の間の接触に対応する瞬間前までの時間間隔の間に、計算される。
【0013】
有利なことに、この方法には、行と列の間のノードのそれぞれに存在するインピーダンスのマッピングを保存する第5のステップが含まれる。
【0014】
本発明はまた、複数の導電性行を有する剛性の第1の基板と、前記行に直角な複数の導電性列を有する可撓性の第2の基板と、を含むタッチスクリーン装置に関する。有利なことに、タッチスクリーン装置はまた、取得エレクトロニクスおよび処理エレクトロニクスを含み、取得エレクトロニクスは、行と列の間のノードに存在するインピーダンスを測定することができ、処理エレクトロニクスは、前記インピーダンスの容量成分を計算すること、および前記インピーダンスの容量成分の変化に関するデータに基づいて、前記タッチスクリーン装置に加えられた力を計算することができる。
【0015】
本発明は、本発明による少なくとも1つの表示スクリーンおよび1つのタッチスクリーン装置を含む表示装置に関する。
【0016】
表示装置は、操縦士および副操縦士によって別々にまたは同時に用いられるように意図された航空機計器パネルディスプレイであってもよい。
【0017】
非限定的な例として提供される以下の説明を読むことおよび添付の図面から、本発明はよりよく理解され、他の利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】圧力の影響下におけるタッチスクリーンの変形を表す。
図2】本発明によるタッチスクリーンの一般的原理を表す。
図3】本発明によるタッチスクリーン装置の電子図を表す。
図4】前記タッチスクリーン装置の行および列を含む交点の電子図を表す。
図5】異なる状況において、前記タッチスクリーンのユーザの指または手によって生成された、前記交点におけるインピーダンスの変化を表す。
図6】異なる状況において、前記タッチスクリーンのユーザの指または手によって生成された、前記交点におけるインピーダンスの変化を表す。
図7】異なる状況において、前記タッチスクリーンのユーザの指または手によって生成された、前記交点におけるインピーダンスの変化を表す。
図8】異なる状況において、前記タッチスクリーンのユーザの指または手によって生成された、前記交点におけるインピーダンスの変化を表す。
図9】異なる状況において、前記タッチスクリーンのユーザの指または手によって生成された、前記交点におけるインピーダンスの変化を表す。
図10】本発明によるタッチスクリーン装置の3つの使用モードを表す。
図11】本発明によるタッチスクリーン装置の3つの使用モードを表す。
図12】本発明によるタッチスクリーン装置の3つの使用モードを表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、力の容量性検出の原理を表す。タッチ表面は、空間によって分離された剛性基板4および可撓性基板2からなり、この空間は、スペーサ1によって維持されている。これは、標準的な抵抗性タッチ表面を作製するための最新技術を表す。ストロークに応じて、力を加え、このアセンブリを変形させることが必要であるが、前記力は、基板2の剛性だけでなく、スペーサ1のスチフネスにも依存する。従来の「タッチスクリーン」では、2つの基板間の明らかな接触だけが検出され、下降段階は観測されない。本発明の原理は、これら2つの基板の移動L、すなわち加えられた力に比例する移動を測定することに存する。実際上、基板2およびスチフナ1を含むアセンブリのスチフネスKを考慮した場合には、局所的に加えられた力は、積K×Lに等しい。
【0020】
また、多重「タッチスクリーン」は、導電性列3および行5のネットワークを用いる。したがって、ストロークのレベルに少なくとも1つの交差ノードがあり、このノードは、対応する結合静電容量Czを有する。
【0021】
ノードにおけるかかる静電容量は、次のように表現される。
Cz=ε×ε×S/L
【0022】
εは、空間の誘電率であり、εは、2つの基板2と4の間における環境の比誘電率である。Sは、ノードの交点における断面であり、Lは、2つの基板間の距離である。本発明による装置および方法によって、ユーザによって引き起こされる静電容量およびノードの交点における抵抗に加えて、この静電容量Czを測定することが可能になる。関係する誘電体媒質は、従来的には空気であってもよいが、しかしそれは、適切な誘電特性および粘性特性を備えた液体であってもよいことに留意されたい。
【0023】
可撓性基板2の第1の移動が、図1に表されており、ノードにおける結果としての静電容量は、CZに等しい。可撓性基板2の第2の移動が表されており、ノードにおける結果としての静電容量は、CZに等しい。
【0024】
図2は、本発明によるタッチスクリーン装置10の一般的原理を表す。この図には、スクリーンの平面図、プロファイル図、および図2の右側に、ユーザがスクリーン10の方へ自分の手11を動かすかまたは圧力をかけてスクリーン10にタッチするかどうかに依存する、装置の動作を示す2つの概略図が含まれる。この図で分かるように、装置には、タッチフェースプレート10が含まれるが、このタッチフェースプレート10は、可撓性基板14および剛性基板15に面して配置された行12および列13からなる多重タッチ表面である。かかる装置は、当然、抵抗性モードで動作する。ユーザが可撓性基板14を押した場合には、局所的な力が、ストロークのノードにおける少なくとも1つの行および1つの列の接触を引き起こし、ストロークの位置を取得するために容易に測定されなければならない、この行およびこの列の交点における抵抗Rの変化を引き起こす(図2の右下におけるダイアグラム)。このタイプのフェースプレートは、従来的であり、特に英国の会社「Danielson」によって製造されている。フェースプレートはまた、容量性モードで動作することができる。ユーザが軽くキーボードにタッチした場合に、ユーザの手が、タッチフェースプレートの行および列の交点に位置する静電容量Cの変化を引き起こし得ることが実際に知られている。この機能を提供するために、発生器20が、注入静電容量を介して正弦波の高周波電圧をフェースプレート10に供給する。高周波では、行および列の交点において自然な容量性効果Cがある(図2における右上のダイヤグラム)。前に見たように、この値Cは、加えられた力に比例してストローク中に変化する。
【0025】
より具体的に、かつ非限定的な例として、本発明によるタッチスクリーン装置の全体が、図3に表されている。それには、
− 前述のような行および列からなるタッチフェースプレート10と、
− 制御エレクトロニクス20と、
− 取得および処理エレクトロニクス30と、
が含まれる。
【0026】
制御エレクトロニクス20には、
− 高周波電圧発生器21と、
− 注入静電容量23を介してタッチフェースプレート10の複数の導電性行12をアドレスする第1のマルチプレクサ22と、が含まれる。入力信号の電圧は、VINで示されている。マルチプレクサは完全でなく、関係する周波数において容量性損失24を有する。
【0027】
取得および処理エレクトロニクス30には、
− 容量性損失35を有する複数の導電性列をアドレスする第2のマルチプレクサ31と、
− 高周波電圧発生器21と同じ周波数で動作し、かつ複数の出力電圧VOUTを各列に送出する同期復調器32と、
− アナログ信号をデジタル信号に変換するためのアナログ/デジタル変換器33と、
− 各出力電圧と入力電圧との間に存在するインピーダンスZを計算し、それを記憶し、その抵抗成分および容量成分を決定し、そこから、タッチフェースプレートに対するユーザの行動の種類(1つまたは複数のストロークの位置および加えられた力)を推定するための計算、記憶および監視手段34と、
が含まれる。
【0028】
復調器32によって実行される同期復調は、高い品質係数を備えた帯域フィルタとして動作することによって、いわゆる「EMI」電磁妨害をフィルタリングすることを可能にし、それによって、受動フィルタリングの利用が回避される。さらに、たとえ妨害が、発生器21の周波数に近い周波数であっても、それは、フィルタの高い選択性によって、かつ妨害が注入周波数と決して同期し得ないので、フィルタリングされる。さらに、注入周波数は、決して妨害されないように、同一かつ同相の周波数によることを含めて、わずかにかつ擬似ランダムに変更され得る。
【0029】
図4は、所与の行および列の交点用の装置の等価電気回路図を表す。行は、等価抵抗Rを有する。発生器は、注入静電容量23を介してこの行に電圧を供給する。並列に、第1の入力マルチプレクサは、静電容量24を有する。列は、等価抵抗Rを有する。並列に、第2の出力マルチプレクサは、静電容量35を有する。行および列の交点において、ユーザの手または指は、抵抗成分Rおよび容量成分Cの両方を有するインピーダンスZの変化を引き起こす。入力電圧および出力電圧をリンクする従来の関係は、VOUT= ZVINであり、複素形式ではZ=A+Bjである。
【0030】
次に、信号は、同期復調器によって復調され、そこから実効値VOUT=VIN×√(A+B)を抽出する。
【0031】
前述のように、本発明による装置により、以下のステップを実行することに存する本発明による力測定方法を実行することが可能である。
− 第1のステップにおいて、行と列の間のノードに存在する特性インピーダンスが測定される。例えば、アクチュエータ、指またはスタイラスによって加えられた力に従って変化するインピーダンス値が測定される。この第1のステップにおいて、取得手段はまた、列における出力電圧など、ノードにおける他の電気特性を測定することができる。
− 第2のステップにおいて、行と列の間のノードにおける結合容量に対応する、前記インピーダンスの少なくとも容量成分が計算される。抵抗成分など、ノードにおける他の電気インピーダンス特性もまた、計算することができる。
− 第3のステップにおいて、アクチュエータとタッチスクリーンの表面との間の接触が、前記インピーダンスの容量成分の値によって検出される。検出は、ノードにおけるインピーダンスの増加、またはノードの列に存在する出力電圧の降下があるので可能である。
− 第4のステップにおいて、前記インピーダンスの容量成分の変化は、アクチュエータとタッチスクリーンの表面との間の接触に対応する瞬間後に、前記タッチスクリーン装置に加えられた力を測定するために解析されるが、容量成分の変化は、加えられた力に比例する。
【0032】
ノードの列における容量成分または出力電圧の変化は、可撓性基板2の移動に、したがって力にリンクされる。データ処理手段は、この容量成分または出力電圧の測定によって、この力を決定するために用いられる。
【0033】
より具体的には、図5、6、7、8および9は、タッチ表面が用いられる場合の、この実効値の変化を表す。これらの図において、左側は、タッチ表面10に対するユーザの手11の位置を示し、右側は、ユーザの手によって圧力を加えられた行上の位置に従って、対応する出力信号VOUTの変化を表すグラフを示す。これらのグラフはまた、入力電圧VINを示す。
【0034】
図5において、ユーザの手は、タッチフェースプレートから離れている。電圧を供給された行は、列と容量的に結合され、グランドに対して結合容量を有する測定装置と共に容量性分圧ブリッジを形成する。得られた信号は、電源電圧VINとグランドとの間の中間電位にあり、抵抗Rは無限であり、静電容量Cは、ゼロストローク力に対応して、その最小値にある。この信号は、明らかに、全行にわたって一定である。
【0035】
図6は、ユーザの手による、フェースプレート上の軽いタッチを示す。軽いタッチは、どんな測定可能な圧力もかけずに、指がフェースプレートをかするかまたはタッチするということを意味すると理解されるべきである。次に、指は、ノードにおいて、行(CVL)および列(CVC)をグランドに結合する静電容量Cを引き起こし、図6のグラフで分かるように、信号の局所的な減衰を引き起こす。指は、局所的な「プルダウン」として働く。
【0036】
図7に表すような無加圧接触の場合には、結合容量は、閾値まで増加し、その後、一定のままである。信号は、最小まで減少する。したがって、指の移動をたどることが可能である。
【0037】
図8に表すように、圧力を伴って接触するが、2つの基板14および15間の接触がない場合には、ストローク中に、加えられた力に従って、行と列の間の静電容量Cは、2つの基板が近づくので増加する。結合容量におけるこの増加は、ノードにおけるインピーダンスZの低減に帰着する(Zは、1/Cに比例して変化する)。指は、局所的な「プルアップ」として動作すると言われる。
【0038】
図9に表すように、圧力を伴って接触し、かつ2つの基板14および15間の接触を伴う場合には、ストローク中に、加えられた力に依存して、静電容量が、接触ポイントとグランドとの間で生成されるか、または接触抵抗が、行と列の間で生成される。圧力を伴う物理的接触の場合には、行/列容量結合Cは消え、抵抗Rは減少し、これは、ノードにおけるインピーダンスZの降下に帰着する(信号は増加する)。指は、局所的な「プルアップ」として動作すると言われる。
【0039】
したがって、行/列の交点における信号の単純な解析によって、
− 手の不在:信号が一定であることと、
− 軽い接触:信号が、局所的に減少することと、
− 接触:信号が最小に達することと、
− 圧力を伴うが、しかし2つの基板間の接触がない接触:信号が増加することと、
− 2つの基板間の接触を伴う接触:信号が最大に達することと、
を判定することが、非常に簡単に可能になる。
【0040】
大きさの程度の概念を提供すると、検出される静電容量の変化は、数十ピコファラド程度であり、検出される抵抗の変化は、数十オーム程度である。
【0041】
明らかに、行/列の交点の全てのマトリックスにわたって、信号の完全なマッピングを生成することが可能である。次に、以下で詳述し、かつ図10、11および12に表す3つの検出モードを定義することが可能である。
図10:手または指の接近およびその接近方向を検出するための、いわゆる「投影型静電容量」モード。図10において、信号がこのモードを表すフェースプレート10の交点16は、軽くシェーディングされて表されている。
図11:1つまたは複数の指が表面に軽くタッチするのを検出するためのいわゆる「離散静電容量」モードであり、これによって、多重カーソル管理を提供することが可能になる。図11において、信号がこのモードを表すフェースプレート10の交点16は、濃いシェーディングで表されている。
図12:いわゆる「静電容量−抵抗」モード:抵抗性接触の前に、2つの基板が収束することの結果として生じる静電容量12は、圧力および位置情報を提供する。2つの基板の接触に対応するある圧力から、接触抵抗、および恐らくストロークの部分の解析により、位置および圧力情報が提供できるようになる。図12において、信号がこのモードを表すフェースプレート10の交点16は、黒で表されている。信号の変化は、圧力の強度を判定するために用いられる。したがって、図12の右側の手11は、この同じ図の左側に示される手11より、タッチフェースプレート10をより強く押し、その結果より強くてより拡大された信号変化を引き起こす。
【0042】
手の接近がない状態では、装置のタッチモニタは、フェースプレートから信号の「画像」を永続的に作成し、そこから、移動平均によって、アイドル時の信号の「表」を導き出してもよく、この表は記憶される。この画像は、瞬時値の表から減算されて差分表を形成し、そこから各ポイントまたは各交点にそのステータスを割り当てることが可能になる。
【0043】
したがって、かかる装置は「多重タッチ」であり、かつ望ましくない作動なしにボタン上を通過できる可能性を備え、容量性モードにおいて軽いタッチによる1つまたは複数のカーソルの移動を管理するために用いることができる。単純な圧力によって、1つまたは複数のオブジェクトを確認することが可能であり、ノードにおける結合容量の解析によって、圧力を測定することが可能になり、同様にストローク表面によって、指の変形、したがって圧力を測定することが可能になり、これが、第3の検出軸を提供する。したがって、手の位置に関して、本当の3次元情報を得ることが可能である。
【0044】
本発明に従ってタッチスクリーンによってアクセスできる新しい機能中には、それが、Microsoft社によって市販されている「Windows」ソフトウェアにおけるような情報、ウィンドウまたはアイコンを表示するグラフィックスクリーンと結合される場合には、以下のものがある。
− カーソルおよびストロークの分離。
− 従来のタッチ表面では、カーソルは、確認されたオブジェクトの状態から分離することができない。オブジェクトの上を指で通過することによって、オブジェクトが活性化される。本発明による装置においては、オブジェクトは、信号が「プルアップ」モードにある場合に確認される。カーソルは、「プルダウン」モードにおいてのみ管理される。それらは、信号の損失の場合には消える。確認は、「プルアップ」モード、すなわち、ユーザがスクリーンを物理的に押す場合にのみアクティブであり、かつまた、ある圧力閾値を条件とすることができる。
− 安全性または「監視」
− 従来のマトリックス抵抗性「タッチスクリーン」では、行または列の損失は検出できない。なぜなら「アイドル」状態、すなわちユーザの手が存在しない場合は、高インピーダンスであるからである。交流電流の使用によって、ノードにおける容量結合から利益を得ることが可能になる。したがって、アイドル状態は、抵抗ブリッジによる中間レベルによって表される。カットオフは、アイドル信号の損失によって容易に検出することができる。
− 仮想キーボードまたは「タッチパッド」の作成。
− 仮想キーボードは、グラフィックスクリーン上に作成することができる。次に、「プルアップ」機能だけが、このエリアで用いられる(ストローク圧力を伴う抵抗性モード)。また、「タッチパッド」エリアを作成することも可能である。この場合には、管理は、軽いタッチによる移動を伴う「プルダウン」モードのみである(軽いタッチを伴う容量性モード)。
− タッチスクリーンの3次元管理。
【0045】
多数の重ね合わされたストローク平面を識別することが可能であり、かつ抵抗平面において、力の測定が可能であるので、タッチスクリーンの平面に垂直な軸が、使用可能であり、かつ例えば制御部材の制御された押し下げを管理またはシミュレートできるようにする。
【0046】
本発明は、タッチスクリーンを含む表示装置に、より一般的にはタッチスクリーンに加えられた力を測定することが目標であるタッチスクリーンを含む任意のインタラクション装置に適用される。
【符号の説明】
【0047】
1 スペーサ
2 可撓性基板
3 行
4 剛性基板
5 列
10 タッチスクリーン装置
11 ユーザの手
12 行
13 列
14 可撓性基板
15 剛性基板
16 交点
20 制御エレクトロニクス
21 電圧発生器
22 第1のマルチプレクサ
23 注入静電容量
24 容量性損失
30 取得および処理エレクトロニクス
31 第2のマルチプレクサ
32 同期復調器
33 アナログ/デジタル変換器
34 計算、記憶および監視手段
35 容量性損失
L 距離
K スチフネス
静電容量
静電容量
S 断面
IN 入力電圧
OUT 出力電圧
Z インピーダンス
R 抵抗
等価抵抗
等価抵抗
抵抗成分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12