【実施例】
【0017】
図1(a)は、本発明のアライナ装置1の一実施例として回帰反射式光センサ2を搭載した装置の内部構成(8インチウェハ把持時)を示した断面図である。
図1(b)は限定反射式光センサ3を搭載したアライナ装置1を部分的に示した断面図である。
図1(c)は回帰反射式光センサ搭載の装置で6インチウェハを取り扱った状態を、
図2は、同装置(
図1(a),(b))の平面構成を示した平面図である。以下、アライナ装置1の概略構成について、これらの図を参照して説明する。
【0018】
本発明のアライナ装置1は、
図1(a),
図2に示したように、ケーシング5の外形平面形状が略八角形状をなし、装置1の中心軸と、固定円板12の中心軸と、その上に載置されるウェハWの各中心がほぼ一致するように、装置上部に配置された中央支軸6に支持されたクランプ機構20によって2種類の直径のウェハWを把持し、旋回機構30によってウェハWを旋回、位置決めすることができる装置である。
【0019】
本発明のアライナ装置1の実施形態では、ウェハWのウェハ受け11上での載置状態、クランプ機構20による把持状態、旋回位置の確認のために光センサが搭載されている。光センサとしては、回帰反射式光センサ2と限定反射式光センサの2種類の異なるタイプを搭載することができる。まず、それぞれの光センサを搭載した装置の構成と、それぞれの特徴について説明する。
【0020】
[回帰反射式光センサ搭載装置]
回帰反射式光センサ2は、
図2(a)に示したように、固定円板12の下面に、発光部、受光部がわずかに円板外側に位置するように取り付けられている。このセンサ2の固定位置はウェハ受け11とウェハWを把持した状態のクランプレバー21,22を検出しない位置であり、ウェハ受け11とクランプレバー21,22の間に生じる隙間を通してウェハWのノッチあるいはオリフラを検出できる。回帰反射式センサ2を使用する場合には、センサ2が発光部と受光部とを備えているため、ウェハWの位置を通過して所定位置に設けられた反射面で反射させる。本発明では反射テープ13,15をセンサ2に対向した位置に貼付して反射面を形成している。反射テープ15はセンサ2に対応した位置に設けられたブラケット14の下面に、反射テープ13はクランプレバー21,22の下側に貼付されている。反射テープ13,15はセンサ光がクランプレバー21,22に投光される全範囲を覆うことができるようにレバーの全幅を覆うことが好ましい。これにより、クランプレバー21,22が光軸位置に来たとき、レバーに張り付けられた反射テープ13にセンサ光が反射する。よって、レバーがあるにも関わらずクランプレバー21,22を認識しないようにすることができる。
【0021】
[限定反射式光センサ搭載装置]
図1(b)に示した限定反射式光センサ3も、平面上は回帰反射式光センサ2と同じく、クランプレバー21,22下に固定される。限定反射式光センサ3の場合、センサ光は前述の隙間を通過してウェハWの裏面に所定の入射角反射角をなして反射する。ウェハWで反射した光はセンサの受光部に入光してウェハWが対象位置にあることを判別する。実際の検知においては、たとえばウェハWを把持したクランプ状態で回転し、センサの投光範囲にノッチまたはオリフラが来ると、センサ光はノッチまたはオリフラを通過するので、センサ光は反射せず受光部には入光しないのでノッチまたはオリフラが来たことを判別できる。限定反射型センサ3は、センサから一定の距離の範囲でのみワークの検出が可能なセンサであり、投光範囲内のウェハW裏面は検出できるが、さらに上側に位置するクランプレバー21,22は検出しない。
【0022】
以下の説明では、回帰反射式光センサ2を利用した装置の構成を例に説明するが、上述した特徴、及び
図1(a)、
図1(b)に配置したように、両タイプの光センサは装置の構成において、回帰反射式光センサ2の場合に反射テープ15を取り付けるブラケット14を設ける点以外、配置、配線等の構造上の大差はない。
【0023】
[中央支軸と昇降機構]
中央支軸6は、
図1(a)に示したように、アライナ装置1の構造上の主構成部品であり、その上端に同軸的に、ウェハWを載置する固定円板12が取り付けられるとともに、各種の上下方向に昇降する機構のガイドの役割を果たす。たとえば、後述するように、中央支軸6に軸受を介して装着されたクランプ開閉用リングを昇降させるガイドとなる。また、クランプ機構20には把持する2種類のウェハWの直径に対応したクランプ16が、それぞれ上下、内外に位置をずらして設けられている。ウェハWを載置した固定円板12は、ウェハWの直径に対応する高さにあるクランプ16と初期位置との間を、中央支軸6を介して昇降することができる。
【0024】
中央支軸6は、
図1(a)に示したように、中空軸からなり、電気ケーブル、ファイバー50を挿通して、装置内の制御部25からウェハW側の光センサ2側まで導く経路としても機能する。中央支軸6は、装置内に組み立てられた支持フレーム7に下部ガイド26を介してウェハWに対しての垂直性を保持して回転不能に支持されている。すなわち、中央支軸6が回転しないように、中央支軸6と平行配置されたガイドシャフト28とガイド29がガイドベース8に組み付けられている。ガイドシャフト28下端と中央支軸6下端とは、連結板9を介して固定されている。
【0025】
中央支軸6とガイドシャフト28とを一体的に所定量だけ装置内で昇降させるために、これらの部材全体を上下させる昇降機構40が備えられている(
図1(a))。昇降機構40は、昇降用レバー41が回転出力軸42aに固定されたモータ42と、昇降用レバー41の他端に取り付けられたカムフォロア43がスライド移動する長丸孔44aを有し、連結板9の下端を上方に押し上げ可能な昇降プレート44とから構成されている。カムフォロア43は昇降プレート44の長丸孔44aに挿入された状態で組み付けられている。これにより、モータ42の回転出力軸42aを所定方向に回転させることで、昇降プレート44が中央支軸6下端を上昇あるいは降下させる方向に移動する。昇降プレート44の位置(高さ)を監視可能な昇降高さ確認用原点センサ45が設けられている。
【0026】
[クランプ機構の構成と動作]
(クランプベース、クランプレバーの構成)
固定円板12上のウェハ受け11上に載置されたウェハWを把持するクランプ機構20の構成について、
図1(a),
図2,
図3を参照して説明する。クランプ機構20は、主構造部材である2本のクランプレバー21,22が中央支軸6を挟んでクランプベース224(
図3)上に、各々が同形の2個のリニアガイド225を介して保持されている。このため、両方のクランプレバー21,22は、中央支軸6を挟んで同一直線上を移動することができる。2つのクランプレバー21,22は
図3に示したように、ベース部材としてのクランプベース224上に組み付けられ、リンク機構230を介して動作方向が反対で同一距離を移動できる構造からなる。リンク機構230は、略菱形形状のリンクプレート235とその両端に組み込まれたカムフォロア232とクランプレバー21,22にそれぞれ形成された長丸孔233に嵌め込まれたカムフォロア234の動作により、クランプレバー21,22を連動させ、開閉動作を実現する役割を果たす(
図3(a))。
【0027】
ここで、クランプ機構20に付与される初期把持力について、
図3(a),(b)を参照して説明する。クランプレバー21の側端には平面視してL字形のブラケット241が固定されている。このブラケット241には、クランプレバー21の移動方向と平行に配置されたロッド242の端部が固着されている。ロッド242はクランプベース224側のブラケット243の貫通孔に摺動可能に挿通して支持されて組み付けられている。ロッド242には、ブラケット243とロッド先端の固定プレート244との間に圧縮バネ245が組み込まれている。この圧縮バネ245の付勢力により、初期状態として、クランプレバー21を中央支軸6の中心軸方向に引き寄せた状態が得られる。クランプレバー22も、上述したリンク機構230を介してクランプレバー21の移動と同期して動作し、中央支軸6の中心軸方向に引き寄せられる。これにより、クランプ機構20にウェハを把持する初期把持力が付与される。
【0028】
(クランプ開閉機構)
クランプ機構20において、クランプ開閉機構として、クランプ開閉用リング24が摺動部250を介して中央支軸6に装着されている。中央支軸6の周囲に組み付けられた摺動部250には、内部に直動ガイド251を内蔵したハウジング252と、ハウジング252上部に配置された回転ベアリング253を介してクランプ開閉用リング24が装着されている。クランプ開閉用リング24は、
図1(a)に示したように、上部端面にはリング中心部にかけて高くなる所定のテーパ24aが形成されている。クランプレバー22には、
図3(a)に示したように回転軸部221が形成され、この回転軸部221にカムフォロア222が組み付けられている。
【0029】
このような構成からなるため、クランプ開閉用リング24が中央支軸6に沿って上下に摺動すると、クランプレバー22のカムフォロア222は、テーパ24aをガイドとして、クランプレバー22を中央支軸6に対してクランプ機構20を開閉する方向にスライドする。
【0030】
支持フレーム7には、昇降用シリンダ260の上端が固定されている(
図1(a))。クランプ開動作は支持フレーム7に固定支持された昇降用シリンダ260のシャフト262を伸長させることで実現する。すなわち、摺動部250が中央支軸6に沿って上方に摺動することでクランプ開閉用リング24が上昇し、クランプレバー22のカムフォロア222が、クランプ開閉用リング24のテーパ24aに沿って外側に移動し、クランプレバー22は開方向に移動する。これと同期してリンク機構230(
図3(a)他)で連結されたクランプレバー21も逆方向(開方向)に移動し、クランプレバー21に連結された圧縮バネ245の付勢力により閉状態にあった両方のクランプレバー21,22が開放状態となる。
【0031】
逆の動作として、昇降用シリンダ260のシャフト262が縮退(下方に降下)することにより、摺動部250が中央支軸6に沿って下方に摺動し、クランプ開閉用リング24位置も下がる。これに応じてクランプ機構20は、クランプレバー21側の圧縮バネ245の付勢力によって、クランプレバー22のカムフォロア222がテーパ24aに沿って中心支軸6側に移動し、クランプレバー22は閉方向に移動する。これと同期してリンク機構230で連結されたクランプレバー21も逆方向(閉方向)に移動し、両方のクランプレバー21,22によりウェハWがクランプされる。なお、昇降用シリンダ260のシャフト262の伸長側と縮退側とに位置センサ(図示せず)を組み込み、クランプ16の開閉状態を確認することができる。
【0032】
なお、クランプ機構20は、ウェハWの受け渡し時に、図示しない搬送ロボットのフォーク等のウェハ支持部材と衝突しないように、一定位置に位置決めされる必要がある。そこで、
図1(a)に示したように、クランプベース224にドグ265を設けることが好ましい。このドグ265の位置をクランプ旋回原点センサ266で検出して位置決めし、ウェハWの受け渡し時のクランプ機構20の位置決めがなされる。
【0033】
(ウェハ受け機構)
ウェハWを受ける機構は複数の直径(たとえば8インチ、6インチ)に対応したウェハ受け11が固定円板12に固定されている(
図1(a))。固定円板12はその中心軸を同軸とした中央支軸6上端に固定支持されている。この円板12の下面の各所に所定の光センサを配置して固定できる。なお、ウェハW下側であれば円板12の上側に位置させることもできる。
【0034】
[ウェハ旋回機構]
中央支軸6の周囲にはウェハ旋回機構30のための旋回支持軸31が組み付けられている(
図1(a))。さらに旋回支持軸31の外周には、タイミングプーリ32がベアリングを介して回転可能に組み付けられている。このタイミングプーリ32の上端にクランプベース224が支持されている。このタイミングプーリ32は、クランプ回転用モータ33の回転軸34に組み付けられた小径タイミングプーリ35との間に掛け渡されたタイミングベルト36を介して無限回転させることができる。タイミングプーリ32の回転軸の軸芯と、クランプ機構20で把持されたウェハWの中心とは一致する構造からなる。これにより、ウェハWを旋回させて位置検出する際に、高精度な位置決めが可能となる。
【0035】
[8インチウェハの位置決め作業]
以下、本発明のアライナ装置1を用いて、8インチウェハWの位置決めを行う手順とウェハWの状態について、
図4各図、
図5各図を参照して説明する。
搬送ロボット等のフォーク等(図示せず)に保持されたウェハWは、アライナ装置1の旋回原点センサで、高さ方向が位置調整された固定円板12上のウェハ受け11に挿入される。このときクランプ機構20は、ウェハWの挿入に支障がない位置に初期設定されている。
図4(a),
図5(a)は、8インチウェハ受け11にウェハWが載置された状態を示している。このとき中央支軸6は初期の原点位置より一定量上昇してクランプレバー21,22(ウェハクランプ)は開いた位置にある。
図5(a)に示したように、ウェハ受け11はウェハWの外周縁の曲率に近似した弧状の平面形状からなり、周方向に沿って十分な保持面積を確保するようになっている。このときウェハWの高さはクランプの溝位置に等しい。この状態から昇降用シリンダのシリンダを縮退すると、クランプ開閉用リング24が降下し、クランプレバー22のカムフォロア222がクランプ開閉用リング24の上端からはずれ、クランプレバー21を中心方向に付勢している圧縮バネ245(
図3(a)→(b))が作用して、クランプレバー21,22の間が狭まるように閉じ、それぞれの先端に設けられた溝部によってウェハWが8インチ用のクランプ16で把持された状態となる(
図4(b),
図5(b))。
【0036】
次いで、8インチウェハWをクランプ16で把持した状態で、ウェハWの中心出しを行う。これはクランプ機構20の構造上、ウェハWの把持と同時に実現する。その後、ウェハWを把持した状態で、クランプ回転用モータ30を駆動させて、中央支軸6中心軸回りにクランプベース224を旋回させる(
図4(b),(c),
図5(b),(c))。旋回過程で8インチウェハ対応の回帰反射式センサ2による位置情報によってウェハWのノッチ位置を検出し、ウェハWの位置決めを行う。8インチウェハWのノッチの位置決めが行われたら、その後、ウェハ受け11の固定円板12を上昇させウェハW下面を、ウェハ受け11上に移動させ、クランプを開放する。これにより、ウェハWの位置決め作業が完了する。
【0037】
[6インチウェハの位置決め作業]
以下、別の作業実施例として、6インチウェハの位置決めを行う手順とウェハWの状態について、
図6各図、
図7各図を参照して説明する。
本装置で6インチウェハWの位置決めを行うためには、昇降用モータ40を駆動してウェハWの搬入高さを
図6(a)に示した高さとなるまで、固定円板12を上昇させる。この状態で、ウェハWは、搬送ロボット等のフォーク等に保持されて固定円板12上のウェハ受け11に挿入される。このときクランプ機構20は、6インチウェハWの挿入に支障がない位置に初期設定されている。ウェハW搬入時は、中央支軸6は初期の原点位置より一定量上昇してクランプ16は開いた位置にある。
図7(a)に示したように、6インチウェハW用のウェハ受け11もウェハWの外周縁の曲率に近似した弧状の平面形状からなる。固定円板12上の6インチ用、8インチ用のそれぞれのウェハ受け11の高さは、
図1(a)に示したように、内側に設けられる6インチ用のウェハ受け11の方が低く設定されている。
【0038】
このウェハWの載置状態から昇降用シリンダ260のシリンダ262を縮退すると、クランプ開閉用リング24が降下し、クランプ機構20のクランプ16によってウェハWが6インチウェハ受け11上で把持された状態となる(
図6(b),
図7(b))。
【0039】
次いで、6インチウェハWをクランプ16で把持した状態で、ウェハWの中心出しを行う。これはクランプ機構20の構造上、ウェハWの把持と同時に実現する。その後、ウェハWを把持した状態で、クランプ回転用モータ30を駆動させて、中央支軸6回りにクランプベース224を旋回させる(
図6(b),(c),
図7(b),(c))。旋回過程で6インチウェハW対応の回帰反射式センサ2による位置情報によってウェハWのオリフラ位置を検出し、ウェハWの位置決めを行う。6インチウェハWのオリフラの位置決めが行われたら、ウェハ受け11の固定円板12を上昇させウェハWの下面を、ウェハ受け11上に移動させ、クランプを開放する。これにより、ウェハWの位置決め作業が完了する。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態、実施例に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。