特許第6080127号(P6080127)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080127
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】静電塗装用回転霧化ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20170206BHJP
   B05B 3/10 20060101ALN20170206BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
   !B05B3/10 B
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-220492(P2013-220492)
(22)【出願日】2013年10月23日
(65)【公開番号】特開2015-80766(P2015-80766A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 敬二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩之
(72)【発明者】
【氏名】秋元 峻
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−334692(JP,A)
【文献】 特公昭40−013113(JP,B1)
【文献】 実公昭17−003372(JP,Y1)
【文献】 実公昭17−003371(JP,Y1)
【文献】 特開昭48−072710(JP,A)
【文献】 特開平02−207860(JP,A)
【文献】 特開2012−152700(JP,A)
【文献】 実公昭27−006873(JP,Y1)
【文献】 特開昭59−166261(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料路を通じヘッド本体の回転中心部に供給される塗料を電圧印加状態にある前記ヘッド本体の回転に伴う遠心力により前記ヘッド本体の表面上に拡がらせて前記ヘッド本体の外周側端縁部の全周から外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる静電塗装用回転霧化ヘッドであって、
前記塗料路は、前記ヘッド本体の回転中央部において前記ヘッド本体の表側表面と裏側表面とに塗料を分配供給する構成にし、
前記ヘッド本体の外周側端縁部は、その全周にわたらせて、前記表側表面上を拡がる塗料を外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる表側外周側端縁部と、前記裏側表面上を拡がる塗料を外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる裏側外周側端縁部とに二股状に分岐してある静電塗装用回転霧化ヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体をその回転軸芯が螺旋中心軸芯となる螺旋形状に形成して、そのヘッド本体の表側及び裏側の表面の夫々を螺旋面状にし、
前記塗料路は、前記ヘッド本体の回転中心部において塗料を前記螺旋中心軸芯方向に分散させた状態で前記ヘッド本体の表側及び裏側の螺旋表面に分配供給する構成にしてある請求項1記載の静電塗装用回転霧化ヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体の表面のうち少なくとも塗料を外側に向けて霧状に飛散させる前記外周側端縁部の表面は、前記外周側端縁部の全周にわたって前記外周側端縁部の先端まで平滑面にしてある請求項1又は2記載の静電塗装用回転霧化ヘッド。
【請求項4】
一体的に回転させる複数の前記ヘッド本体を回転軸芯方向に並べて配置し、
前記塗料路は、複数の前記ヘッド本体夫々の回転中心部においてそれらヘッド本体夫々の表側及び裏側の表面に塗料を分配供給する構成にし、
複数の前記ヘッド本体夫々の表面のうち少なくとも塗料を外側に向けて霧状に飛散させる前記外周側端縁部の表面は、前記外周側端縁部の全周にわたって前記外周側端縁部の先端まで平滑面にしてある請求項1記載の静電塗装用回転霧化ヘッド。
【請求項5】
複数の前記ヘッド本体は、互いに隣り合うヘッド本体同士を連結することで回転軸芯方向に連設する構成にし、
複数の前記ヘッド本体の夫々には、互いに隣り合う前記ヘッド本体同士の連結に伴い前記塗料路を延長する状態で互いに連通する塗料路形成孔、及び、その塗料路形成孔からヘッド本体の表側及び裏側の表面に塗料を分配供給する塗料路分岐孔を形成してある請求項4記載の静電塗装用回転霧化ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電塗装において帯電状態の塗料を霧状に飛散させる静電塗装用回転霧化ヘッドに関し、詳しくは、塗料路を通じヘッド本体の回転中心部に供給される塗料を電圧印加状態にある前記ヘッド本体の回転に伴う遠心力により前記ヘッド本体の表面上に拡がらせて前記ヘッド本体の外周側端縁部の全周から外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる静電塗装用回転霧化ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗装ラインにおける塗装機の必要設置数を低減するなどのために塗装機一機あたりの塗装能力を高めることが望まれているが、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を高めるためには、回転霧化ヘッドの回転中心部に対する単位時間当たりの塗料供給量(即ち、塗料吐出能力)を大きくしながらも、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料の帯電度を十分にして、所要の高い塗装品質を確保するとともに被塗物に対する塗料塗着効率を良好にする必要がある。
【0003】
このことから従来、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を高める方法としては、塗料吐出能力の増大に合わせて回転霧化ヘッドの回転速度を大きくする、あるいは、塗料吐出能力の増大に合わせて回転霧化ヘッドを大径化することが考えられていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、塗料吐出能力の増大に合わせて回転霧化ヘッドの回転速度を大きくする前者の方法では、塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの回転速度増大による遠心力の増大により噴霧塗料の粒径は適正な粒径に保ち得るものの、噴霧塗料の帯電度(換言すれば、単位量の塗料に対する電荷供給量)が低下してしまい、この点で、塗着効率を良好に保った状態での塗装能力の向上を十分には実現し得ない問題があった。
【0005】
一方、塗料吐出能力の増大に合わせて回転霧化ヘッドを大径化する方法では、塗料吐出能力の増大に対し、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つことができ、また、噴霧塗料の帯電度も十分にすることができて、塗装品質及び塗着効率を良好に保った状態での塗装能力の向上を実現し得るものの、回転霧化ヘッドの大径化に伴い、回転霧化ヘッドを回転駆動するモータの負荷トルクが大きくなってモータが大型化するとともに、回転霧化ヘッドやモータを備える塗装機全体の大型化を招く問題が生じ、また、回転霧化ヘッドを移動させながらの塗装作業において回転霧化ヘッドと他物との干渉が生じ易くなり、そのことで塗装機の大型化とも相俟って塗装作業性が低下する問題も派生した。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、また、モータや塗装機の大型化等の問題を回避しながら、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を効果的に向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記静電塗装用回転霧化ヘッドの参考例としては、
塗料路を通じヘッド本体の回転中心部に供給される塗料を電圧印加状態にある前記ヘッド本体の回転に伴う遠心力により前記ヘッド本体の表面上に拡がらせて前記ヘッド本体の外周側端縁部の全周から外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる静電塗装用回転霧化ヘッドであって、
一体的に回転させる複数の前記ヘッド本体を回転軸芯方向に並べて配置し、
前記塗料路は、複数の前記ヘッド本体夫々の回転中心部においてそれらヘッド本体夫々の表面に塗料を分配供給する構成にし、
複数の前記ヘッド本体夫々の表面のうち少なくとも塗料を外側に向けて霧状に飛散させる前記外周側端縁部の表面は、前記外周側端縁部の全周にわたって前記外周側端縁部の先端まで平滑面にすることが考えられる。
【0008】
つまり、回転霧化ヘッドに対する研究の結果、回転霧化ヘッドに対する単位時間当たりの塗料供給量で表される塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの外周側端縁部から飛散させる噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つには、回転霧化ヘッドの表面上を拡がって回転霧化ヘッドの外周側端縁部に至る塗料の膜厚を単に前述の如き回転霧化ヘッドの回転速度増大や大径化などにより適正な厚さに保つことだけで実現することができる。
【0009】
しかし、噴霧塗料の帯電は電圧印加した回転霧化ヘッドにおける外周側端縁部(即ち、塗料の飛散部)において集中的に生じることから、塗料吐出能力の増大に対し噴霧塗料の帯電度(単位量の塗料に対する電荷供給量)を十分にするには、塗料膜厚を適正な厚さに保つだけでは不十分であり、回転霧化ヘッドにおける外周側端縁部の周長を大きくして、回転霧化ヘッドの外周上の1点における単位時間当たりの塗料通過量を小さくすることが重要であることを知見するに至った。
【0010】
このことに対し、上記参考例の構成によれば、並置した複数のヘッド本体夫々の表面で分配塗料を拡がらせて、それら複数のヘッド本体夫々の外周側端縁部から分配塗料を帯電状態で霧状に飛散させるから、塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッドの表面面積及び外周側端縁部の周長を、複数のヘッド本体夫々の表面面積の和及び外周側端縁部の周長の和をもって大きく確保することができる。
【0011】
即ち、このことから、上記参考例の構成によれば、塗料吐出能力の増大に対して、回転霧化ヘッドの大径化によるモータや塗装機の大型化並びに塗装作業性の低下を回避しながら、また、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料の帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を効果的に向上させることができる。
【0012】
さらに、上記参考例の構成では、複数のヘッド本体夫々について外周側端縁部の表面を全周にわたって平滑面にするため、複数のヘッド本体夫々の外周側端縁部の全周において分配塗料を均一に拡がらせてその全周を噴霧塗料の帯電に有効に利用することができ、これにより噴霧塗料の帯電度を一層効果的かつ十分に高めることができるから、上記のような回転霧化式静電塗装機の塗装能力の向上を一層効果的なものにすることができる。
【0013】
そして、以上のように、上記参考例の構成では、モータ等を小型に保ち、作業性、塗装品質、及び、塗着効率を良好に保ちながらも、回転霧化式静電塗装機一機あたりの塗装能力を向上させることができるから、塗装ラインにおける塗装機の必要設置数も効果的に低減することが可能になる。
【0014】
ここで、本発明の第1特徴構成の特徴は、
塗料路を通じヘッド本体の回転中心部に供給される塗料を電圧印加状態にある前記ヘッド本体の回転に伴う遠心力により前記ヘッド本体の表面上に拡がらせて前記ヘッド本体の外周側端縁部の全周から外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる静電塗装用回転霧化ヘッドであって、
前記塗料路は、前記ヘッド本体の回転中央部において前記ヘッド本体の表側表面と裏側表面とに塗料を分配供給する構成にし、
前記ヘッド本体の外周側端縁部は、その全周にわたらせて、前記表側表面上を拡がる塗料を外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる表側外周側端縁部と、前記裏側表面上を拡がる塗料を外側に向けて帯電状態で霧状に飛散させる裏側外周側端縁部とに二股状に分岐してある点にある。
【0015】
つまり、この第1特徴構成によれば、ヘッド本体の表側と裏側とに塗料を分配して供給しヘッド本体の表側表面と裏側表面とで分配塗料を拡がらせて、二股状に分岐させたヘッド本体の表側外周側端縁部と裏側外周側端縁部から分配塗料を帯電状態で霧状に飛散させるから、塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッドの表面面積及び外周側端縁部の周長を、ヘッド本体の表側と裏側夫々の表面面積の和及び表側外周側端縁部と裏側外周側端縁部の周長の和をもって大きく確保することができる。
【0016】
即ち、このことから、上記第1特徴構成によれば、前記した参考例と同様に、塗料吐出能力の増大に対して、回転霧化ヘッドの大径化によるモータや塗装機の大型化並びに塗装作業性の低下を回避しながら、また、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料の帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を効果的に向上させることができる。
【0017】
そして、第1特徴構成では、前記参考例と同様に、モータ等を小型に保ち、作業性、塗装品質、及び、塗着効率を良好に保ちながらも、回転霧化式静電塗装機一機あたりの塗装能力を向上させることができるから、塗装ラインにおける塗装機の必要設置数も効果的に低減することが可能になる。
【0018】
本発明の第2特徴構成は、上記した第1特徴構成において、
前記ヘッド本体をその回転軸芯が螺旋中心軸芯となる螺旋形状に形成して、そのヘッド本体の表側及び裏側の表面の夫々を螺旋面状にし、
前記塗料路は、前記ヘッド本体の回転中心部において塗料を前記螺旋中心軸芯方向に分散させた状態で前記ヘッド本体の表側及び裏側の螺旋表面に分配供給する構成にしてある点にある。
【0019】
つまり、この第2特徴構成によれば、第1特徴構成による効果に加えて、ヘッド本体の表側及び裏側の表面を螺旋面状にするとともに、塗料をそれら表側及び裏側の螺旋表面に分散させた状態で供給して表側及び裏側の螺旋表面の全体に分配塗料を拡がらせて、ヘッド本体の外周側端縁部から分配塗料を帯電状態で霧状に飛散させるから、塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッドの表面面積及び外周側端縁部の周長を、ヘッド本体の表面を螺旋面状とすることによる表面面積及び外周側端縁部の周長の増大をもって更に大きく確保することができる。
【0020】
即ち、このことから、上記第2特徴構成によれば、塗料吐出能力の増大に対して、回転霧化ヘッドの大径化によるモータや塗装機の大型化並びに塗装作業性の低下を回避しながら、また、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料の帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を更に効果的に向上させることができる。
【0021】
そして、第2特徴構成では、前記参考例と同様に、モータ等を小型に保ち、作業性、塗装品質、及び、塗着効率を良好に保ちながらも、回転霧化式静電塗装機一機あたりの塗装能力を向上させることができるから、塗装ラインにおける塗装機の必要設置数も効果的に低減することが可能になる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、
前記ヘッド本体の表面のうち少なくとも塗料を外側に向けて霧状に飛散させる前記外周側端縁部の表面は、前記外周側端縁部の全周にわたって前記外周側端縁部の先端まで平滑面にしてある点にある。
【0023】
つまり、この第3特徴構成によれば、ヘッド本体の外周側端縁部の表面を全周にわたって平滑面にするため、ヘッド本体の外周側端縁部の全周において分配塗料を均一に拡がらせてその全周を噴霧塗料の帯電に有効に利用することができ、これにより噴霧塗料の帯電度を一層効果的かつ十分に高めることができるから、上記のような回転霧化式静電塗装機の塗装能力の向上を一層効果的なものにすることができる。
【0024】
本発明の第4特徴構成は、前記した第1特徴構成において、
一体的に回転させる複数の前記ヘッド本体を回転軸芯方向に並べて配置し、
前記塗料路は、複数の前記ヘッド本体夫々の回転中心部においてそれらヘッド本体夫々の表側及び裏側の表面に塗料を分配供給する構成にし、
複数の前記ヘッド本体夫々の表面のうち少なくとも塗料を外側に向けて霧状に飛散させる前記外周側端縁部の表面は、前記外周側端縁部の全周にわたって前記外周側端縁部の先端まで平滑面にしてある点にある。
つまり、この第4特徴構成によれば、第1特徴構成による効果に加えて、並置した複数のヘッド本体夫々の表面で分配塗料を拡がらせて、それら複数のヘッド本体夫々の外周側端縁部から分配塗料を帯電状態で霧状に飛散させるから、塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッドの大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッドの表面面積及び外周側端縁部の周長を、複数のヘッド本体夫々の表面面積の和及び外周側端縁部の周長の和をもって更に大きく確保することができる。
即ち、このことから、上記第4特徴構成によれば、塗料吐出能力の増大に対して、回転霧化ヘッドの大径化によるモータや塗装機の大型化並びに塗装作業性の低下を回避しながら、また、噴霧塗料の粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料の帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機の塗装能力を更に効果的に向上させることができる。
さらに、上記第4特徴構成では、複数のヘッド本体夫々について外周側端縁部の表面を全周にわたって平滑面にするため、複数のヘッド本体夫々の外周側端縁部の全周において分配塗料を均一に拡がらせてその全周を噴霧塗料の帯電に有効に利用することができ、これにより噴霧塗料の帯電度を一層効果的かつ十分に高めることができるから、上記のような回転霧化式静電塗装機の塗装能力の向上を一層効果的なものにすることができる。
そして、第4特徴構成では、前記参考例と同様に、モータ等を小型に保ち、作業性、塗装品質、及び、塗着効率を良好に保ちながらも、回転霧化式静電塗装機一機あたりの塗装能力を向上させることができるから、塗装ラインにおける塗装機の必要設置数も効果的に低減することが可能になる。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成において、
複数の前記ヘッド本体は、互いに隣り合うヘッド本体同士を連結することで回転軸芯方向に連設する構成にし、
複数の前記ヘッド本体の夫々には、互いに隣り合う前記ヘッド同士の連結に伴い前記塗料路を延長する状態で互いに連通する塗料路形成孔、及び、その塗料路形成孔からヘッド本体の表面に塗料を供給する塗料路分岐孔を形成してある点にある。
つまり、この第5特徴構成によれば、回転霧化ヘッドに対して新たにヘッド本体を連結するのに伴い、各ヘッド本体の塗料路形成孔が連通することで新たに連結するヘッド本体まで塗料路が延長されて、各ヘッド本体の塗料路分岐孔から各ヘッド本体の表面に塗料が供給されるから、即ち、ヘッド本体の単なる連結作業のみで塗料が拡がるヘッド表面の面積を大きくすることができるから、塗装能力に合った数のヘッド本体を一体に備える専用の回転霧化ヘッドを個々に製造するのに比べ、ヘッド本体の単なる連結作業のみで所望の数のヘッド本体を備えた回転霧化ヘッドを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1第1参考形態を示す静電塗装機の縦断面図
図2第1参考形態を示す静電塗装機の先端部の縦断面模式図
図3本発明の実施形態を示す静電塗装機の先端部の縦断面模式図
図4本発明の実施形態を示す回転霧化ヘッドの斜視模式図
図5第2参考形態を示す静電塗装機の先端部の縦断面模式図
図6第2参考形態を示す回転霧化ヘッドの斜視模式図
【発明を実施するための形態】
【0027】
第1参考形態
図1は、塗装ロボットのアームの先端部などに装備された状態で静電塗装を行う回転霧化式静電塗装機1を示す。塗装機1の先端には噴霧部としての回転霧化ヘッド10を装備し、さらに、塗装機1の内部には、回転霧化ヘッド10を回転させるタービン型エアモータ2、回転霧化ヘッド10まで塗料Tを供給する塗料路3、塗料帯電用の高電圧を発生する高電圧発生器4を設けてある。
【0028】
この回転霧化ヘッド10は、図1、2に示すように、2つのベル型のヘッド本体11A,11Bを回転軸芯Xの方向に並べて配置するとともに、これらヘッド本体11A,11Bが一体的に回転するようにしてあり、各ヘッド本体11A,11Bには塗料路3として各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bに塗料Tを供給する塗料路形成孔13A,13Bと、各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bに供給された塗料Tを各ヘッド本体11A,11Bの表面15A,15Bへと導く塗料路分岐孔14A,14Bとを設けてある。
【0029】
即ち、この回転霧化ヘッド10は、塗料路3としての塗料路形成孔13A,13Bを通じて各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bに供給された塗料Tを、塗料路分岐孔14A,14Bを通じて各ヘッド本体表面15A,15Bに分配して供給し、この供給塗料Tを回転霧化ヘッド10の回転による遠心力により各ヘッド本体表面15A,15B上に拡がらせて各ヘッド本体11A,11Bの外周側端縁部16A,16Bの全周から外側に向けて霧状に飛散させる。
【0030】
先端側のヘッド本体11Bは基端側のヘッド本体11Aに対して着脱可能な構成にしてあり、適当な連結手段により(図示しない)、先端側のヘッド本体11Bを基端側のヘッド本体11Aに連結して回転軸芯方向に各ヘッド本体11A,11Bを連設してある。なお、適当な連結手段の一例を挙げれば、基端側ヘッド本体11Aに被ネジ部を設けるとともに先端側のヘッド本体11Bにボルト挿通孔を設け、先端側のヘッド本体11Bに設けたボルト挿通孔に挿通したボルトを基端側ヘッド本体11Aの被ネジ部に対しネジ込み操作して、ボルト頭による締め付けにより先端側のヘッド本体11Bを基端側ヘッド本体11Aに対し狭着固定するなどすればよい。
【0031】
塗料路形成孔13A,13Bは回転軸芯Xの方向に開口し、先端側ヘッド本体11Bの基端側ヘッド本体11Aへの連結に伴い各塗料路形成孔13A,13Bは互いに連通するようにしてある。なお、最先端側のヘッド本体11Bについては、塗料路形成孔13Bの表側開口はプラグ17等により常に閉じておく。
【0032】
塗料路分岐孔14A,14Bは各塗料路形成孔13A,13Bの内周面から各ヘッド本体11A,11Bの表面まで貫通するものであり、各ヘッド本体11A,11Bには、その周方向に分散させて複数の塗料路分岐孔14A,14Bを設けてある。
【0033】
また、各ヘッド本体11A,11Bにおいて、塗料路分岐孔14A,14Bの数や流入口径、流出口径を適示調整することで、各ヘッド本体11A,11Bに塗料Tが均等に分配されるようにするとともに、塗料路分岐孔14A,14Bの流入口18A,18Bを塗料路形成孔13A,13Bの内周面の周方向に等間隔に配置し、塗料路分岐孔14A,14Bの流出口19A,19Bをヘッド本体表面15A,15Bに同一円周上で等間隔に配置することにより、各ヘッド本体11A,11Bに分配された塗料Tが各ヘッド本体11A,11Bの表面15A,15Bの全周に均等に供給されるようにしてある。
【0034】
また、各ヘッド本体11A,11Bの外周側端縁部16A,16Bの表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面としてある。
【0035】
タービン型エアモータ2はタービン部2aと回転出力軸2bとからなり、回転霧化ヘッド10は回転出力軸2bに連結してある。そして、タービン部2aを塗装機1の外部からホースを通じて供給する圧縮空気により回転させることで、回転霧化ヘッド10に連結したエアモータ2の回転出力軸2bを駆動回転させて回転霧化ヘッド10を回転させる。
【0036】
塗料路3は、塗装機1の外部から塗装機1の内部を通り、中空軸であるエアモータ2の回転出力軸2bの中央孔を経由して各ヘッド本体11A,11Bの塗料路形成孔13A,13Bにわたり、これにより塗装機外部から各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bまで塗料Tを供給する。
【0037】
高電圧発生器4の電圧出力端4aはエアモータ2のタービン部2aに対して電気的に接続してあり、高電圧発生器4によるタービン部4aへの高電圧印加により、そのタービン部2aと機械的に連結されたエアモータ2の回転出力軸2b、及び、その回転出力軸2bに連結する回転霧化ヘッド10(つまりは各ヘッド本体11A,11B)にも高電圧が印加され、これにより、高電圧印加状態にある各ヘッド本体11A,11Bとその表面15A,15Bを拡がる塗料Tとの接触により噴霧前の塗料Tを帯電させるようにしてある。
【0038】
また、塗装機1の先端部には、その塗装機先端部の外郭を形成するとともに先端開口部5aを通じて回転霧化ヘッド10を塗装機1から前方に向けて露出させるエアノズル形成カバー5を装着してあり、このエアノズル形成カバー5の装着によりエアノズル形成カバー5における先端開口縁と回転霧化ヘッド10の背面との間の隙間部分に先端開口部5aの全周にわたるシェーピングエア噴出部6を形成してある。
【0039】
さらに具体的には、外周面に多数の凹溝を形成したノズル形成筒7をエアノズル形成カバー5に内嵌して、ノズル形成筒7の各凹溝をエアノズル形成カバー5により蓋する状態にすることで、それら凹溝の夫々をエア通路にして各凹溝の先端側の開口をエアノズル形成カバー5における先端開口部5aの全周にわたって並ぶエア噴出口にし、これらのエア噴出口の環状群により上記シェーピングエア噴出部6を形成してある。
【0040】
そして、シェーピングエア噴出部6から塗装機1の前方に向けてシェーピングエアAを噴出させ、このシェーピングエアAにより各ヘッド本体11A,11Bの外周側端縁部16A,16Bから飛散する塗料Tを変向させて、噴霧塗料Tの噴霧パターンPを塗装機1の前方に向く円筒状ないし逆円錐状にする。
【0041】
塗装機1は以上のように構成され、静電塗装においては、回転霧化ヘッド10をエアモータ2の運転により高速回転させるとともに、高電圧発生器4の運転により各ヘッド本体11A,11Bを高電圧印加状態にし、塗料路3を通じて各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bに供給された塗料Tを回転による遠心力により各ヘッド本体表面15A,15Bに均等に分配供給して各表面15A,15Bに拡がらせ、また、塗料Tを各表面15A,15Bに拡がらせる間に高電圧印加状態にある各ヘッド本体11A,11Bとの接触により塗料Tを帯電させる。そして、この帯電塗料Tを外周側端縁部16A,16Bの全周から外側に向けて霧状に飛散させ、この飛散する塗料TをシェーピングエアAにより噴霧パターンPに変向させることで塗装機1前方の自動車ボディなどの被塗物(図示せず)に対し塗料Tを噴霧し、塗料Tの帯電極性とは逆極性の電圧を印加した被塗物に対して塗料Tを電気的引力により塗着させて塗装する。
【0042】
塗装機1は上記のようにして静電塗装を行うが、塗装機1の回転霧化ヘッド10は、2つ連設したヘッド本体11A,11B夫々の表面15A,15Bで分配塗料Tを拡がらせて、各ヘッド本体11A,11B夫々の外周側端縁部16A,16Bから分配塗料Tを帯電状態で霧状に飛散させることにより、回転霧化ヘッド10の大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッド10の表面面積及び外周側端縁部の周長を、各ヘッド本体11A,11B夫々の表面面積の和及び外周側端縁部16A,16Bの周長の和をもって大きく確保してある。
【0043】
即ち、この第1参考形態では、塗装機1の塗料吐出能力の増大に対し、回転霧化ヘッド10の表面面積を大きく確保することによって回転霧化ヘッド10の表面15A,15Bを拡がり回転霧化ヘッド10の外周側端縁部16A,16Bに至る塗料Tの膜厚を適正な厚さに保ち、これにより噴霧塗料Tの粒径を適正な粒径に保つことができ、かつ、噴霧塗料Tの帯電が集中的に生じる外周側端縁部の周長を大きく確保することによって噴霧塗料Tの帯電度も効果的かつ十分に高めることができるから、塗装機1の塗料吐出能力を増大させても、塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機1の塗装能力を効果的に向上させることができる。
【0044】
さらに、各ヘッド本体11A,11Bの外周側端縁部16A,16Bの表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面とすることにより、塗料Tを外周側端縁部16A,16Bの全周において均一に薄膜化して拡がらせて外周側端縁部16A,16Bの全周を塗料Tの帯電に有効に利用してあり、これにより噴霧塗料の帯電度を一層効果的かつ十分に高めるから、上記のような回転霧化式静電塗装機の塗装能力の向上を一層効果的なものにしてある。
【0045】
本発明の実施形態
図3は、塗装ロボットのアームの先端部などに装備した状態で静電塗装を行う回転霧化式の静電塗装機1の先端部の拡大図を示し、上記した第1参考形態とは塗装機1の先端に装備した回転霧化ヘッド20の構造が異なる。
【0046】
回転霧化ヘッド20は、1つのヘッド本体21を備え、塗料路3からヘッド本体21の回転中心部22の塗料室22aに供給された塗料Tをヘッド本体21の表側21Aに供給する複数の第1塗料供給孔23と、塗料路3からヘッド本体21の回転中心部22の塗料室22aに供給された塗料Tをヘッド本体21の裏側21Bに供給する複数の第2塗料供給孔24を設けてある。
【0047】
第1及び第2塗料供給孔23、24の流入口23a、24aは回転中心部22において同一円周上で互い違いに、且つ、等間隔に並ぶよう設けてあり、また、流入口23aと流入口24aの数や流入口径、流出口径を適示調整することにより、ヘッド本体21の表側21Aと裏側21Bとに塗料Tが均等に分配されるようにしてある。
【0048】
第1塗料供給孔23の流出口23bについてはヘッド本体表側表面25Aに同一円周上で等間隔設け、また、第2塗料供給孔24の流出口24bについてはヘッド本体裏側表面25Bに同一円周上で等間隔設け、ヘッド本体21の表側21Aと裏側21Bとに分配された塗料Tがヘッド本体の表側表面25Aと裏側表面25Bとの夫々の全周に均等に供給されるようにしてある。
【0049】
また、ヘッド本体21の外周側端縁部26は、図3、4に示すように、全周にわたらせて回転軸芯方向に表側外周側端縁部26Aと裏側外周側端縁部26Bとの二股状に分岐してあり、表側表面25Aを拡がる塗料は表側外周側端縁部26Aから、また裏側表面25Bを拡がる塗料は裏側外周側端縁部26Bから夫々、霧状に飛散させるようにしてある。
【0050】
即ち、この回転霧化ヘッド20は、塗料路3からヘッド本体21の回転中心部22の塗料室22aに供給された塗料Tを、第1塗料供給孔23と第2塗料供給孔24とを通じてヘッド本体21の表側21Aと裏側21Bとに分配して供給し、この供給塗料Tを回転霧化ヘッド20の回転による遠心力によりヘッド本体21の表側表面25Aと裏側表面25B上に拡がらせてヘッド本体表側21Aの表側外周側端縁部26Aとヘッド本体裏側21Bの裏側外周側端縁部26Bとの全周から外側に向けて霧状に飛散させる。
【0051】
また、ヘッド本体21の各外周側端縁部26A,26Bの表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面としてある。
【0052】
このように、塗装機1の回転霧化ヘッド20は、ヘッド本体21の表側21Aと裏側21Bとに塗料Tを分配して供給しヘッド本体21の表側表面25Aと裏側表面25Bとで分配塗料Tを拡がらせて、二股状に分岐したヘッド本体21の表側外周側端縁部26Aと裏側外周側端縁部26Bから分配塗料Tを帯電状態で霧状に飛散させるから、回転霧化ヘッドの大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッド20の表面面積及び外周側端縁部の周長を、ヘッド本体20の表側21Aと裏側21B夫々の表面面積の和及び二股状に分岐した外周側端縁部26A,26Bの周長の和をもって大きく確保してある。
【0053】
即ち、本実施形態では、前記した第1参考形態と同様に、回転霧化ヘッド20の表面面積及び外周側端縁部の周長を大きく確保することにより、塗料吐出能力を増大させても、噴霧塗料Tの粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料Tの帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機1の塗装能力を効果的に向上させることができる。
【0054】
さらに、ヘッド本体21の外周側端縁部26A,26Bの表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面とすることにより、塗料Tを外周側端縁部26A,26Bの全周において均一に薄膜化して拡がらせて外周側端縁部26A,26Bの全周を塗料Tの帯電に有効に利用してあり、これにより噴霧塗料の帯電度を一層効果的かつ十分に高めるから、上記のような回転霧化式静電塗装機の塗装能力の向上を一層効果的なものにしてある。
【0055】
なお、このヘッド本体21の裏側表面25Bには親塗料処理を施してあり、第2塗料供給孔24を通じてヘッド本体裏側21Bに供給された塗料が第2塗料供給孔24から外側に向けて飛散することなくヘッド本体裏側表面25Bを拡がるようにしてある。
【0056】
〔第2参考形態
図5は、塗装ロボットのアームの先端部などに装備した状態で静電塗装を行う回転霧化式の静電塗装機1の先端部の拡大図を示し、前記した第1参考形態とは塗装機1の先端に装備した回転霧化ヘッド30の構造が異なる。
【0057】
回転霧化ヘッド30は、図5,6に示すように、1つのヘッド本体31を備え、ヘッド本体31は回転軸芯Xが螺旋中心軸芯となる螺旋形状に形成し、その表面31Aは螺旋面状にしてある。
【0058】
また、ヘッド本体31は、回転軸芯方向に開口し塗料路3としてヘッド本体31の回転中心部32に塗料を供給する塗料路形成孔33と、回転中心部32に供給された塗料Tをヘッド本体31に分散して供給する複数の塗料路分岐孔34を設けてある。
【0059】
塗料路分岐孔34の流入口34aは塗料路形成孔33の内周面にヘッド本体螺旋表面31Aに対応する配置で螺旋状且つ等間隔で並べてあり、塗料路分岐孔34の流出口34bはヘッド本体螺旋表面31A上に螺旋中心軸芯方向に分散させて周方向に等間隔で並べてあり、これにより、塗料Tが螺旋中心軸芯方向に分散した状態でヘッド本体31に均等に供給されるようにしてヘッド本体31の螺旋表面31Aの全面にわたって塗料Tが均一に拡がるようにしてある。
【0060】
即ち、この回転霧化ヘッド30は、塗料路3としての塗料路形成孔33を通じてヘッド本体31の回転中心部32に供給された塗料Tを、塗料路分岐孔33を通じて螺旋中心軸芯方向に分散させた状態でヘッド本体31に供給し、この供給塗料Tを回転霧化ヘッド30の回転による遠心力によりヘッド本体31の螺旋表面31A上に拡がらせてヘッド本体31の外周側端縁部35の全周から外側に向けて霧状に飛散させる。
【0061】
また、ヘッド本体31の外周側端縁部35の表面は全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面にしてある。
【0062】
このように、回転霧化ヘッド30は、ヘッド本体31の表面31Aを螺旋面状にするとともに塗料Tをヘッド本体31に分散させた状態で供給してその螺旋表面31Aの全面に分配塗料Tを拡がらせて、ヘッド本体31の外周側端縁部35から分配塗料Tを帯電状態で霧状に飛散させるから、回転霧化ヘッド30の大径化を伴うことなく、回転霧化ヘッド30の表面面積及び外周側端縁部の周長を、ヘッド本体31の表面31Aを螺旋面状とすることによる表面面積及び外周側端縁部35の周長の増大をもって大きく確保してある。
【0063】
即ち、この第2参考形態では、前記した第1参考形態と同様に、回転霧化ヘッド30の表面面積及び外周側端縁部の周長を大きく確保することにより、塗料吐出能力を増大させても、噴霧塗料Tの粒径を適正な粒径に保つとともに噴霧塗料Tの帯電度も効果的かつ十分に高めて塗装品質及び塗着効率を良好に保ちながら、回転霧化式静電塗装機1の塗装能力を効果的に向上させることができる。
【0064】
さらに、ヘッド本体31の外周側端縁部35の表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面とすることにより、塗料Tを外周側端縁部35の全周において均一に薄膜化して拡がらせて外周側端縁部35の全周を塗料Tの帯電に有効に利用してあり、これにより噴霧塗料Tの帯電度を一層効果的かつ十分に高めるから、上記のような回転霧化式静電塗装機1の塗装能力の向上を一層効果的なものにしてある。
〔別実施形態〕
【0065】
第1参考形態において、回転霧化ヘッド10に2つのヘッド本体11A,11Bを回転軸芯方向に並べて配置する例を示したが、ヘッド本体の並置数は2つに限定されるものではなく、3つ以上のヘッド本体を並べて配置してもよい。
【0066】
第1参考形態において、先端側のヘッド本体11Bは基端側のヘッド本体11Aに対し着脱可能な構成とする例を示したが、ヘッド本体11A,11Bが一体となり着脱できないものであってもよい。
【0067】
第1参考形態では、塗料Tは各ヘッド本体11A,11Bの表側の表面15A,15Bに拡がらせる例を示したが、これに代え、本発明の別実施形態として、各ヘッド本体11A,11Bの裏側の表面にも塗料が供給されるように塗料路分岐孔を設けるなどして、表側の表面15A,15Bに加え、各ヘッド本体11A,11Bの裏側の表面にも拡がらせてもよい。
【0068】
なお、このように各ヘッド本体11A,11Bの裏側の表面にも塗料を拡がらせる場合、前記した実施形態と同様に、各ヘッド本体11A,11Bの外周側端縁部16A,16Bを夫々、全周にわたらせて回転軸芯方向に二股状に分岐させる。
【0069】
第1参考形態において、塗料路3としての塗料路形成孔13A,13Bを通じて各ヘッド本体11A,11Bの回転中心部12A,12Bに供給された塗料Tを、塗料路分岐孔14A,14Bを通じて各ヘッド本体11A,11Bに分配して供給する例を示したが、塗料Tを各ヘッド本体11A,11Bに分配供給する構造はこれに限定されるものでなく、どのような構造であってもよい。
【0070】
前記した実施形態において、塗料路3からヘッド本体21の回転中心部22の塗料室22aに供給された塗料Tを、第1塗料供給孔23によりヘッド本体表側21Aに供給し、第2塗料供給孔24によりヘッド本体裏側21Bに供給する例を示したが、塗料Tをヘッド本体両側21A,21Bに分配供給する構造はこれに限定されるものでなく、第1塗料供給孔23又は第2塗料供給孔24のいずれか一方に代えてヘッド本体表側表面25Aと裏側表面25Bとを連通する塗料分岐孔を設け、ヘッド本体21の表側21A又は裏側21Bのいずれか一方側に供給されその表面を拡がる塗料Tの一部が塗料分岐孔を通じてヘッド本体の他方側に供給されるようにするなど適宜選択してもよい。
【0071】
第2参考形態では、塗料Tはヘッド本体31の表側の螺旋表面31Aに拡がらせる例を示したが、これに代え、本発明の別実施形態として、ヘッド本体31の裏側の表面にも塗料が供給されるよう塗料路分岐孔を設けるなどして、表側の螺旋表面31Aに加え、ヘッド本体31の裏側の表面にも塗料を拡がらせてもよい。
【0072】
なお、このようにヘッド本体31の裏側の表面にも塗料を拡がらせる場合、前記した実施形態と同様に、ヘッド本体31の外周側端縁部35を全周にわたらせて回転軸芯方向に二股状に分岐させる。
【0073】
第2参考形態において、塗料路3としての塗料路形成孔33を通じてヘッド本体31の回転中心部32に供給された塗料Tを、塗料路分岐孔33を通じて螺旋中心軸芯方向に分散させた状態でヘッド本体31に供給する例を示したが、塗料Tを螺旋中心軸芯方向に分散させた状態でヘッド本体31に供給する構造はこれに限定されるものでなく、どのような構造であってもよい。
【0074】
前記した実施形態においてはヘッド本体21の各外周側端縁部26A,26Bの表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面とする例を示し、前記した第2参考形態においてはヘッド本体31の外周側端縁部35の表面を全周にわたってその先端まで溝や突起などの凹凸のない平滑面にする例を示したが、これに限定されず、ヘッド本体21の各外周側端縁部26A,26Bやヘッド本体31の外周側端縁部35の表面に溝を設け、溝によって塗料Tを液糸に細分化するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の静電塗装用回転霧化ヘッドは、各種分野において種々の用途に用いる静電塗装において利用できる。
【符号の説明】
【0076】
3 塗料路
11A,11B,21,31 ヘッド本体
12A,12B,22,32 回転中心部
T 塗料
15A,15B ヘッド本体の表面
16A,16B、26、35 外周側端縁部
10,20,30 静電塗装用回転霧化ヘッド
X 回転軸芯
13A,13B 塗料路形成孔
14A,14B 塗料路分岐孔
25A ヘッド本体の表側表面
25B ヘッド本体の裏側表面
26A 表側外周側端縁部
26B 裏側外周側端縁部
31A ヘッド本体の螺旋表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6