(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080131
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】内燃機関の燃焼排ガスを冷却するための排ガス冷却器、集水アダプタ、排ガス冷却システム、および排ガス冷却システムを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F01N 3/02 20060101AFI20170206BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
F01N3/02 101F
F28D7/16 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-505632(P2014-505632)
(86)(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公表番号】特表2014-515806(P2014-515806A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012057196
(87)【国際公開番号】WO2012143462
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年2月26日
(31)【優先権主張番号】102011007748.0
(32)【優先日】2011年4月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング ブーヒャー
(72)【発明者】
【氏名】オリバー グリル
【審査官】
山本 健晴
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0207578(US,A1)
【文献】
実開平01−123078(JP,U)
【文献】
特表2008−545082(JP,A)
【文献】
特開2000−266494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/02
F28D 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多気筒内燃機関用の排ガス冷却システム(100)であって、以下の特徴、すなわち、
前記内燃機関の燃焼排ガスを冷却材で冷却するための排ガス冷却器(102)、および、
冷却材を前記排ガス冷却器(102)から導出するための集水アダプタ(104)、
を有し、
前記排ガス冷却器(102)は、
高温の燃焼排ガスを前記排ガス冷却器内(102)へ導入するための排ガス入口(110)、
冷却された燃焼排ガスを前記排ガス冷却器(102)から導出するための排ガス出口(112)であって、前記排ガス入口(110)に流体接続されている排ガス出口(112)、
前記内燃機関の少なくとも1つの冷却材出口に前記排ガス冷却器(102)を流体接続するための少なくとも1つの冷却材入口(114)、
集水アダプタ(104)を流体結合するためのインタフェース(116)であって、前記冷却材を前記排ガス冷却器(102)から導出できるように構成されているインタフェース(116)、
を有し、
前記集水アダプタ(104)は、
前記集水アダプタ(104)を前記排ガス冷却器(102)の前記インタフェース(116)に流体接続するためのインタフェース(118)、
前記内燃機関の更に別の少なくとも1つの冷却材出口に流体接続するための少なくとも1つの冷却材入口(114)、および、
冷却材出口(120)、
を有し、
前記集水アダプタ(104)の前記インタフェース(118)が前記排ガス冷却器(102)の前記インタフェース(116)に流体接続されている排ガス冷却システム(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却材入口(114)が、前記排ガス冷却器(102)における燃焼排ガスの流動方向に対して横向きに前記排ガス冷却器(102)から突出しており、かつ、前記内燃機関に前記排ガス冷却器(102)を固定するための固定機構を有する、請求項1に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの冷却材入口(114)が屈曲されている、請求項1および2のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項4】
前記集水アダプタ(104)を結合するための前記インタフェース(116)が、前記少なくとも1つの冷却材入口(114)が配置された前記排ガス冷却器(102)の側面において前記排ガス冷却器(102)から突出しており、前記インタフェース(116)が、前記冷却材を燃焼排ガスの流動方向に前記排ガス冷却器(102)から導出できるように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項5】
前記排ガス冷却器(102)を前記内燃機関の第2の冷却材出口に流体接続するための第2の冷却材入口(114)と、前記排ガス冷却器(102)を前記内燃機関の第3の冷却材出口に流体接続するための第3の冷却材入口(114)とを備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの冷却材入口(114)が、前記内燃機関に前記集水アダプタ(104)を固定するための固定機構を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項7】
前記排ガス冷却器(102)の前記インタフェース(116)を前記集水アダプタ(104)の前記インタフェース(118)に流体密に接続するための密封要素(106)を備えていて、前記密封要素(106)が、前記排ガス冷却器(102)の前記インタフェース(116)と前記集水アダプタ(104)の前記インタフェース(118)との間に配置されており、前記密封要素(106)が、前記集水アダプタ(104)に対する前記排ガス冷却器(102)の半径方向および軸方向への相対的な移動を補償できるように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の排ガス冷却システム(100)を製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
前記排ガス冷却器(102)を準備するステップ、
前記集水アダプタ(104)を選定するステップであって、前記集水アダプタにおける前記冷却材入口(114)の個数が、前記内燃機関における冷却材出口の個数と前記排ガス冷却器(102)における冷却材入口(114)の個数との間の差に等しいステップ、および、
前記排ガス冷却器(102)を前記集水アダプタ(104)に接続するステップ、
を備えた方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼排ガスを冷却材で冷却するための排ガス冷却器、前記排ガス冷却器から冷却材を導出するための集水アダプタ、多気筒内燃機関用の排ガス冷却システム、および排ガス冷却システムを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気装置へ排ガスを再循環するための従来の排ガス冷却器では、高温の燃焼排ガスが内燃機関から排ガス冷却器へ誘導され、これにより、排ガス冷却器で外気によって冷却される。燃焼排ガスを冷却するために冷却材を用いることも可能である。
【0003】
これに関連して、特許文献1は、液体冷却式の内燃機関における再循環される排ガスを冷却するための装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0930429号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、内燃機関の燃焼排ガスを冷却するための排ガス冷却器、前記排ガス冷却器から冷却材を導出するための集水アダプタ、多気筒内燃機関用の排ガス冷却システム、および排ガス冷却システムを製造する方法を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、各主請求項に記載された、内燃機関の燃焼排ガスを冷却材で冷却するための排ガス冷却器、前記排ガス冷却器から冷却材を導出するための集水アダプタ、および多気筒内燃機関用の排ガス冷却システムによって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
内燃機関における構造スペースの利用を改良するために、従来周辺に配置されていた構成要素が中央のエンジンブロックの更に近くに配置される。補足的にこれらの構成要素への供給経路および導出経路を短くできるように、給気冷却器や排ガス冷却器のような前記構成要素は、部分的にエンジンブロックに直接螺着される。これによって、加速または減速されねばならない空気質量またはガス質量が減少されるので、負荷変更時の応答特性が改良される。エンジンブロックに直接螺着された冷却器へはエンジンブロックから冷却材を直接供給することが可能である。しかしその際、エンジンは多種多様であり、冷却器に対するインタフェースの個数および位置がそれぞれ異なっているので、様々なエンジンに対してそれぞれ異なった冷却器を開発し、備蓄しておくことが必要である。
【0008】
本発明の根底をなす認識は、気筒数が異なり、種類が異なったエンジンに統一的な冷却器を用いることができるならば、開発コスト、金型コストおよび製造コストが節減できるということである。そのために、モジュール式の排ガス熱交換器では、構成部材におけるインタフェースの個数を最小にすることができ、これらのインタフェースは該当する全ての種類の内燃機関において同一である。当該内燃機関が比較的多数のインタフェースを有する種類である場合、それらの内燃機関は、前記排ガス熱交換器に直接結合されたアダプタを介して接続可能である。その際、前記排ガス熱交換器と前記アダプタは、結合するための共通のインタフェースを有することができる。
【0009】
有利には、複数の種類の前記アダプタと前記統一的な排ガス熱交換器とを用いることで、数多くの種類のエンジンを接続することが可能であり、これらの種類のアダプタは特に低コストで準備することが可能である。
【0010】
本発明は、内燃機関の燃焼排ガスを冷却材で冷却するための排ガス冷却器であって、以下の特徴、すなわち、
高温の燃焼排ガスを前記排ガス冷却器内へ導入するための排ガス入口、
冷却された燃焼排ガスを前記排ガス冷却器から導出するための排ガス出口であって、前記排ガス入口に流体接続されている排ガス出口、
前記内燃機関の少なくとも1つの冷却材出口に前記排ガス冷却器を流体接続するための少なくとも1つの冷却材入口、
集水アダプタを流体結合するためのインタフェースであって、前記冷却材を前記排ガス冷却器から導出できるように構成されているインタフェース、
を有する排ガス冷却器を提供する。
【0011】
排ガス冷却器とは、燃焼排ガスを冷却材で冷却できるように構成された熱交換器と解することができる。これに関連して、前記排ガス冷却器は、例えば、燃焼排ガスを前記排ガス入口から前記排ガス出口へ案内するための管束を有することができる。また、前記管束は前記冷却材を案内することも可能である。前記冷却材は例えば冷却水であってもよい。冷却材入口は、前記冷却材を前記内燃機関から前記排ガス冷却器内へ誘導できるように構成された接続短管であってもよい。冷却材出口は、冷却材通路への直接的な接続を構築でき、かつ動作中に前記内燃機関における冷却材の流れへの直接的な接続を構築できるように構成された、前記内燃機関におけるインタフェースであり得る。インタフェースとは、前記排ガス冷却器から集水アダプタへの冷却材の引き渡し箇所と解することができる。例えば、前記インタフェースは、前記集水アダプタのインタフェースに対応して構成しておくことができる。同様に、前記インタフェースは、前記集水アダプタのインタフェースに対して鏡像対称に構成しておくことが可能である。また、前記インタフェースは、前記集水アダプタのインタフェースと同様に構成しておくことも可能である。前記排ガス冷却器は箱状のハウジングを有することができ、このハウジングにおいて、前記排ガス入口は第1の端壁に配置されており、前記排ガス出口は前記排ガス入口の反対側に位置する端壁に配置されている。
【0012】
前記少なくとも1つの冷却材入口は、前記排ガス冷却器における燃焼排ガスの流動方向に対して横向きに前記排ガス冷却器から突出しており、前記内燃機関に前記排ガス冷却器を固定するための固定機構を有することができる。固定機構とは、例えば少なくとも1つの固定孔、密封面および/または案内面と解することができる。従って、前記排ガス冷却器は、前記内燃機関に直接固定することができ、保持装置なしで取り付けることが可能である。
【0013】
更に、前記少なくとも1つの冷却材入口を屈曲させておくことが可能である。前記冷却材入口は湾曲部を有することができ、この湾曲部によって、前記排ガス冷却器を前記内燃機関の近傍に固定することが可能となる。これにより、有用な構造スペースを節約することができ、前記排ガス冷却器の組み立てに関するアクセス可能性を保証することができる。
【0014】
更に、前記集水アダプタを結合するための前記インタフェースは、前記少なくとも1つの冷却材入口が配置された前記排ガス冷却器の側面において前記排ガス冷却器から突出していることが可能である。この場合、前記インタフェースは、前記冷却材を燃焼排ガスの流動方向に前記排ガス冷却器から導出できるように構成しておくことができる。これにより、前記集水アダプタを直接もう一方の水出口の方に固定することができ、しかもその際、曲線半径が小さくなることで流体抵抗を増大させることがない。
【0015】
前記排ガス冷却器は、前記排ガス冷却器を前記内燃機関の第2の冷却材出口に流体接続するための第2の冷却材入口と、前記排ガス冷却器を前記内燃機関の第3の冷却材出口に流体接続するための第3の冷却材入口とを有することが可能である。3つの冷却材入口を備えた実施形態によって、可能な限り多種多様なエンジンに対応することができる。例えば、V型配置の6気筒エンジンの場合、この同一の排ガス冷却器を2つ用いることが可能である。直列配置の4気筒エンジンに関しては、冷却材入口が1つ追加された集水アダプタを用いることができる。直列配置の6気筒エンジンに対しては、冷却材入口が3つ追加された集水アダプタを用いることが可能である。
【0016】
更に、前記排ガス冷却器は、排ガス供給機構を固定するためのフランジを前記排ガス入口に有し、排ガス導出機構を固定するためのフランジを前記排ガス出口に有することができる。フランジ接続によって、前記排ガス冷却器を容易に保守管理することが可能となる。
【0017】
更にまた、本発明は、冷却材を本発明の実施形態に係る排ガス冷却器から導出するための集水アダプタであって、以下の特徴、すなわち、
前記集水アダプタを前記排ガス冷却器の前記インタフェースに流体接続するためのインタフェース、
前記内燃機関の更に別の少なくとも1つの冷却材出口に流体接続するための少なくとも1つの冷却材入口、および、
冷却材出口、
を有する集水アダプタを提供する。
【0018】
インタフェースとは、前記排ガス冷却器から前記集水アダプタへの前記冷却材の引き渡し箇所と解することができる。例えば、前記インタフェースは、前記排ガス冷却器の前記インタフェースと同様に整向および/または構成しておくことが可能である。冷却材入口は、前記冷却材を前記内燃機関から前記集水アダプタ内へ誘導できるように構成された接続短管であり得る。前記集水アダプタは、前記冷却材入口を通じて、前記排ガス冷却器に接続されていない前記内燃機関の諸部分から冷却材を導出することができる。これにより、前記内燃機関全体を均一に冷却することが実現可能となる。
【0019】
更に、前記少なくとも1つの冷却材入口は、前記内燃機関に前記集水アダプタを固定するための固定機構を有することができる。固定機構は、例えば少なくとも1つの固定孔、密封面および/または案内面と解することができる。従って、前記集水アダプタを前記内燃機関に直接固定でき、保持装置なしで取り付けることが可能である。
【0020】
更にまた、本発明は、多気筒内燃機関用の排ガス冷却システムであって、以下の特徴、すなわち、
本書で提示された方式に従った、内燃機関の燃焼排ガスを冷却するための排ガス冷却器、および、
本書で提示された方式に従った、冷却材を前記排ガス冷却器から導出するための集水アダプタであって、前記集水アダプタの前記インタフェースが前記排ガス冷却器の前記インタフェースに流体接続されている集水アダプタ、
を有する排ガス冷却システムを提供する。
【0021】
前記排ガス冷却システムは、前記排ガス冷却器の前記インタフェースを前記集水アダプタの前記インタフェースに流体密に接続するための密封要素を有することができる。この場合、前記密封要素は、前記排ガス冷却器の前記インタフェースと前記集水アダプタの前記インタフェースとの間に配置しておくことが可能である。前記密封要素は、前記集水アダプタに対する前記排ガス冷却器の半径方向および軸方向への相対的な移動を補償するように構成しておくことができる。これによって、接続の密封性を損なうことなく、振動および熱変形を補償することができる。同様に、前記集水アダプタを前記排ガス冷却器に材料結合によって接続することが可能である。
【0022】
更にまた、本発明は、多気筒内燃機関用の排ガス冷却システムを製造するための方法であって、以下のステップ、すなわち、
本書で提示された方式に従った排ガス冷却器を準備するステップ、
本書で提示された方式に従った集水アダプタを選定するステップであって、その冷却材入口の個数が、前記内燃機関における冷却材出口の個数と前記排ガス冷却器における冷却材入口の個数との間の差に等しいステップ、
前記排ガス冷却器を前記集水アダプタに接続するステップ、
を備えた方法を提供する。
【0023】
前記内燃機関における冷却材出口の前記個数は、一列に配置された冷却材出口の個数であり得る。それぞれ異なる個数の冷却材出口を備えた異なる種類のエンジンは前記排ガス冷却システムに関連してそれぞれ異なる部材を装備しなければならないが、統一的な排ガス冷却器に対して適合した集水アダプタを選定することによって前記異なる部材の個数を少数にすることができる。これによって、前記様々な集水アダプタを容易に製造でき、かつ複雑な輪郭形状を有していないので、金型コストが低減される。同様に、前記排ガス冷却器に関する金型は生産数が多いことにより、より効率的に生産して利用することができるので、前記排ガス冷却器に関する単価が低下する。前記接続のステップでは、前記排ガス冷却器と前記集水アダプタとを互いに直接的に接続すること、または適切なアダプタを介して接続することが可能である。
【0024】
以下において、本発明の有利な実施例について、添付した図面を参照しながら更に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施例に係る排ガス冷却システムを示す立体図である。
【
図2】本発明の更に別の実施例に係る排ガス冷却システムを示す立体図である。
【実施例】
【0026】
本発明の好ましい実施例についての下記説明では、それぞれ異なった図面に示された、類似の働きをする要素に対して同一または類似の符号が用いられており、これらの要素について反復して説明されることはない。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に係る排ガス冷却システム100を示す立体図である。前記排ガス冷却システム100は本発明の一実施例に係る排ガス冷却器102を含む。更に、前記排ガス冷却システム100は本発明の一実施例に係る集水アダプタ104を含む。前記排ガス冷却器102と前記集水アダプタ104とは、図示されてはいないが組み込まれた状態において、密封要素106によって流体密に接続される。ここに示された排ガス冷却システム100は、4気筒の内燃機関の燃焼排ガスを冷却するために適している。
【0028】
前記排ガス冷却器102はハウジング108を有する。前記ハウジング108は補強リブを備えた箱状の形態を有する。前記ハウジング108の第1の端面に排ガス入口110が配置されている。前記第1の端面の反対側に位置する前記ハウジングの第2の端面に排ガス出口112が配置されている。前記排ガス入口110は、熱交換器管から成る管束を介して前記排ガス出口112に流体接続されている。前記ハウジング108は、前記排ガス入口110と前記排ガス出口112とに、それぞれ複数の固定孔を備えたフランジを有する。前記排ガス冷却器102は3つの冷却材入口114を有する。前記冷却材入口114は、前記両端面を繋ぐ前記ハウジング108の狭側面に規則的な間隔で直線状に配置されている。前記冷却材入口114は前記ハウジングから突出しており、前記排ガス冷却器102を前記内燃機関の4つの冷却材出口のうちの3つに流体接続できるように構成されている。前記冷却材入口114はクランク状に屈曲した形態を有する。前記冷却材入口114は、前記内燃機関に前記排ガス冷却器102を固定するための固定機構としてそれぞれ2つの固定孔と1つの密封面とを有する。前記排ガス冷却器102は、前記第2の端面の領域に、集水アダプタを流体結合するためのインタフェース116を有する。前記インタフェース116は前記冷却材入口114に流体接続されている。前記インタフェース116は、前記冷却材入口114と同じ挟側面において前記ハウジング108から突出している。前記インタフェース116は円形の断面を有する。
【0029】
前記集水アダプタ104は、前記集水アダプタ104を前記排ガス冷却器102の前記インタフェース116に流体接続するためのインタフェース118を有する。前記インタフェース118は円形の断面を有する。前記集水アダプタ104は更に別の冷却材入口114を有する。前記集水アダプタ104における前記冷却材入口114は、前記集水アダプタ104を前記内燃機関の前記第4の冷却材出口に流体接続できるように構成されている。前記冷却材入口114も、前記内燃機関に前記集水アダプタ104を固定するための固定機構として2つの固定孔と1つの密封面とを有する。更に、前記集水アダプタ104は冷却材出口120を有する。前記冷却材出口120は、前記インタフェース118と前記冷却材入口114とに流体接続されている。前記冷却材出口120は円形の断面を有し、前記集水アダプタ104の主延長方向に対して横向きに整向されている。前記集水アダプタ104は排ガス案内部を有していない。前記集水アダプタ104は、接続部として前記インタフェース118、前記冷却材出口120および幾つかの冷却材入口114のみを有する。この場合、前記集水アダプタ104の冷却材入口114の個数は、前記排ガス冷却システム100によって操作され得るエンジンブロックの冷却材出口の総数から前記排ガス冷却器102における冷却材入口114の個数を差し引いた数に等しい。
【0030】
図2は、本発明の更に別の実施例に係る排ガス冷却システム100を示す立体図である。ここに示された排ガス冷却システム100は、6気筒の内燃機関の燃焼排ガスを冷却するために適している。前記排ガス冷却システム100は、
図1で説明された冷却器と同様の排ガス冷却器102を含む。更に、前記排ガス冷却システム100は、
図1で説明されたアダプタと同様の集水アダプタ104を含む。
図1で説明された諸特徴に加えて、前記集水アダプタ104は2つの追加的な冷却材入口114を有する。前記冷却材入口114は、前記集水アダプタ104の主延長方向に沿って規則的な間隔で配置されている。前記集水アダプタ104における前記冷却材入口114は、前記集水アダプタ104を前記内燃機関における前記第4ならびに第5および第6の冷却材出口に流体接続できるように構成されている。前記冷却材入口114も、前記内燃機関に前記集水アダプタ104を固定するための固定機構としてそれぞれ2つの固定孔と1つの密封面とを有する。
【0031】
換言すれば、
図1および
図2は、モジュール式の集水アダプタ104を備えた排ガス冷却器102を示している。そこには、「排ガス冷却」と「集水」という機能群を備えた複数部材による構成が示されている。前記排ガス冷却器102のこの構造形態は、気筒数に依存しない集水のためのアダプタ104を取り付けることによって形成されている。この設計では、エンジンを貫流する冷却材である水の収集および導出、ならびにこの水を使った排ガスの冷却が、様々な気筒数の場合に実現される。従来、それぞれの気筒数に対して新たなハウジング108を製作しなければならず、このことは、種類に関する保守管理の高コスト化に繋がる。このことにより、材料の使用量は増大し、従ってまた、構成部材全体の重量も増大する。前記排ガス冷却システム100では、排ガス冷却機能と集水機能とが、気筒数の変化に対応できるように組み合わされている。前記集水部104の場合、エンジンモデルに応じて各々の気筒を使用するか使用しないかが考慮される。前記排ガス冷却材冷却器102と前記集水部104とは、密封要素106、例えば平面シール、Oリング継手またはプラグ&シール要素によって流体密に接続することができる。前記排ガス冷却器102において前記最初の気筒群の分流が収集され、前記引き渡し箇所116で前記集水アダプタ104(WSA)へ供給される。前記集水アダプタ104は、残りの気筒数に対応して選定されて前記排ガス冷却器102に接続される。あるいは、前記集水アダプタ104は、前記排ガス冷却器102に溶接することも可能である。構造部材の大きさを低減することによって重量が節減される。前記集水トレー104の大きさは気筒数に応じて選定して変更することが可能である。
【0032】
上述の諸実施例は単に例示のために選定されているに過ぎず、互いに組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0033】
100 排ガス冷却システム
102 排ガス冷却器
104 集水アダプタ、集水部、集水トレー
106 密封要素
108 ハウジング
110 排ガス入口
112 排ガス出口
114 冷却材入口
116 インタフェース、引き渡し箇所
118 インタフェース
120 冷却材出口