特許第6080135号(P6080135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポール・コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000025
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000026
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000027
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000028
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000029
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000030
  • 特許6080135-架橋セルロース系膜 図000031
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080135
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】架橋セルロース系膜
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/28 20060101AFI20170206BHJP
   C08G 65/28 20060101ALI20170206BHJP
   C08G 65/331 20060101ALI20170206BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   C08J9/28 101
   C08J9/28CEP
   C08J9/28CFJ
   C08G65/28
   C08G65/331
   C08G81/00
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-122994(P2015-122994)
(22)【出願日】2015年6月18日
(65)【公開番号】特開2016-27108(P2016-27108A)
(43)【公開日】2016年2月18日
【審査請求日】2015年6月18日
(31)【優先権主張番号】14/320,481
(32)【優先日】2014年6月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】リーシャン シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン アイット‐ハドゥ
(72)【発明者】
【氏名】フランク オケジー オニェマウワ
(72)【発明者】
【氏名】ローレン エー. スピールマン
(72)【発明者】
【氏名】シャント エム. ハンバースーミアン
【審査官】 佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1416944(CN,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00238276(EP,A1)
【文献】 特開昭63−068646(JP,A)
【文献】 特開昭57−050507(JP,A)
【文献】 米国特許第05019261(US,A)
【文献】 特開平03−250025(JP,A)
【文献】 特表2005−531767(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0222279(US,A1)
【文献】 特開平07−256066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00 − 9/42
C08G 65/331
C08G 81/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系材料と、
A−B−A(I)又はA−B(II)のブロックコポリマーであって、
ブロックAが、(i)ポリグリセロール若しくはポリ(アリルグリシジルエーテル)を含む親水性ポリマーセグメント;(ii)1つ若しくは複数のアリル基を有する、グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマー;又は(iii)グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、前記コポリマーのアリル基の1つ若しくは複数が、1,2−ジヒドロキシプロピル基若しくは式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基、塩基性基、カチオン、アニオン、双性イオン、ハロ、ヒドロキシル、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アルデヒド、アミド、カルバモイル、ウレイド、シアノ、ニトロ、エポキシ、式−C(H)(COOH)(NH)の基及び式−C(H)(COOH)(NHAc)の基、又はその塩から選択される)の基で置き換えられている、コポリマーであり、
ブロックBが芳香族疎水性ポリマーセグメントである、ブロックコポリマー
とを含み、前記ブロックコポリマーが前記セルロース系材料と結合して架橋多孔質膜を形成している、架橋多孔質膜。
【請求項2】
前記セルロース系材料が、セルロース系ポリマー、セルロース系オリゴマー、又はセルロース系モノマーである、請求項1に記載の架橋多孔質膜。
【請求項3】
前記セルロース系材料が、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、セルロースアミン、及びセルロースカルバメートから選択されるセルロース系ポリマーである、請求項1又は2に記載の架橋多孔質膜。
【請求項4】
前記セルロース系ポリマーが、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、及びシアノエチルセルロースから選択される、請求項3に記載の架橋多孔質膜。
【請求項5】
前記膜が、セルロース系材料と式(I)又は(II)のブロックコポリマーとを含み、ブロックAが、ポリグリセロールを含む親水性ポリマーセグメントである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜。
【請求項6】
ブロックAが、式
【化1】

の繰り返し単位を有するポリグリセロールを含む親水性ポリマーセグメントである、請求項5に記載の架橋多孔質膜。
【請求項7】
前記膜が式(I)又は(II)のブロックコポリマーを含み、ブロックAがグリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、前記コポリマーが1つ又は複数のアリル基を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜。
【請求項8】
前記芳香族疎水性ポリマーセグメントが、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリアミドイミドから選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜。
【請求項9】
前記芳香族疎水性ポリマーセグメントがポリエーテルスルホンである、請求項8に記載の架橋多孔質膜。
【請求項10】
ブロックAが20%〜50mol%の量で存在し、ブロックBが50%〜80mol%の量で存在する、請求項5〜9のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜。
【請求項11】
前記式(I)のコポリマーが、以下の構造
【化2】

(式中、nは1〜1000)
を有する、請求項5〜10のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の架橋多孔質膜を調製する方法であって、
(i)溶媒、セルロース系材料、及び(a)式(I)若しくは(II)のブロックコポリマーを含む、流延溶液を用意するステップと、
(ii)前記流延溶液を薄膜として流延するステップと、
(iii)前記薄膜を相反転させて、未架橋多孔質膜を得るステップと、
(iv)前記セルロース系材料がセルロース誘導体である場合、前記未架橋多孔質膜に存在する前記セルロース系材料のヒドロキシル基の数を増加させるステップと、
(iv)前記未架橋多孔質膜を架橋させるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記ポリマー溶液が、溶媒、前記セルロース系材料、及び(a)式(I)若しくは(II)のブロックコポリマーを含み、前記セルロース系材料が酢酸セルロースである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
酢酸セルロースのヒドロキシル基の数が、アルカリとの反応によって増加される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記架橋が、エピクロロヒドリン、ポリカルボン酸、及び環状ブロミニウム中間体から選択される架橋剤との反応によって、或いは放射線、電子線、又は多官能価ビニル若しくはアクリル架橋剤への曝露によって行われる、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の背景]
[0001]多孔質セルロース系膜は、多くの用途において、例えば、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透、ガス分離、及び診断において、有用であることが知られている。かかる膜の1つ又は複数の特性、例えば、表面又はバルク特性を向上させる試みがなされてきた。例えば、親水性モノマーが膜表面にグラフトされてきた。膜を、水溶性ポリマー、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンで被覆する試みもなされてきた。しかし、上の試みには、再現性の欠如、改質の安定性の欠如、及び/又は細孔の目詰まりなどの1つ又は複数の欠点がある。かかる膜の1つ又は複数の特性を改質又は向上させる試みもなされ、例えば、反応性官能基及び/又は荷電基を含める試みもなされてきた。耐薬品性、機械的強度、又は放射線安定性などのバルク特性の1つ又は複数を向上させる試みもなされてきた。
【0002】
[0002]これらの試みにもかかわらず、かかる膜の1つ又は複数の特性を改質又は向上させるという要望、例えば、親水性を上げる、反応性官能基又は荷電基を含める、耐薬品性を上げる、機械的強度及び/又は放射線安定性を上げるという要望が満たされていない。
【0003】
[発明の概要]
[0003]本発明は、架橋多孔質膜、特に親水性の架橋セルロース系多孔質膜を提供する。よって、本発明は、セルロース系材料と、
(a)式A−B−A(I)又はA−B(II)のブロックコポリマーであって、
ブロックAが、(i)ポリグリセロール若しくはポリ(アリルグリシジルエーテル)を含む親水性ポリマーセグメント;(ii)1つ若しくは複数のアリル基を有する、グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマー;又は(iii)グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、コポリマーのアリル基の1つ若しくは複数が、1,2−ジヒドロキシプロピル基若しくは式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基、塩基性基、カチオン、アニオン、双性イオン、ハロ、ヒドロキシル、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アルデヒド、アミド、カルバモイル、ウレイド、シアノ、ニトロ、エポキシ、式−C(H)(COOH)(NH)の基、及び式−C(H)(COOH)(NHAc)の基、又はその塩から選択される)の基で置き換えられている、コポリマーであり、
ブロックBが芳香族疎水性ポリマーセグメントである、ブロックコポリマー、或いは
(b)芳香族疎水性部分であるQ
とを含み、Q又はブロックコポリマーがセルロース系材料と結合して架橋多孔質膜を形成している、架橋多孔質膜を提供する。
【0004】
[0004]本発明により、多孔質膜の親水性及びバルク特性を要望に合わせて容易に調整することが可能となり、有利である。架橋多孔質膜は、ある種の有機溶媒、酸、アルカリ、及び放射線に耐性がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】セルロースの再生及び架橋前の、酢酸セルロース及びポリエーテルスルホンのブロックコポリマーから調製された多孔質膜の表面のSEM顕微鏡写真である。
図1B】セルロースの再生及び架橋後の、多孔質膜のSEM顕微鏡写真である。
図2】架橋がブロミニウム(brominium)中間体を通して行われる、本発明の実施形態によって架橋多孔質膜を調製する架橋反応スキームを示す図である。
図3】架橋がエポキシ中間体を通して行われる、本発明の実施形態によって架橋多孔質膜を調製する架橋反応スキームを示す図である。
図4】架橋が放射線によって誘導されるフリーラジカルの形成を通して行われる、本発明の実施形態によって架橋多孔質膜を調製する架橋反応スキームを示す図である。
図5】架橋がポリカルボン酸の使用を通して行われる、本発明の実施形態によって架橋多孔質膜を調製する架橋反応スキームを示す図である。
図6】架橋がエピクロロヒドリンの使用を通して行われる、本発明の実施形態によって架橋多孔質膜を調製する架橋反応スキームを示す図である。
【0006】
[発明の詳細な説明]
[0011]一実施形態によれば、本発明は、セルロース系材料と、
(a)式A−B−A(I)又はA−B(II)のブロックコポリマーであって、
ブロックAが、(i)ポリグリセロール若しくはポリ(アリルグリシジルエーテル)を含む親水性ポリマーセグメント;(ii)1つ若しくは複数のアリル基を有する、グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマー;又は(iii)グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、コポリマーのアリル基の1つ若しくは複数が、1,2−ジヒドロキシプロピル基若しくは式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基、塩基性基、カチオン、アニオン、双性イオン、ハロ、ヒドロキシル、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アルデヒド、アミド、カルバモイル、ウレイド、シアノ、ニトロ、エポキシ、式−C(H)(COOH)(NH)の基、及び式−C(H)(COOH)(NHAc)の基、又はその塩から選択される)の基で置き換えられている、コポリマーであり、
ブロックBが芳香族疎水性ポリマーセグメントである、ブロックコポリマー、或いは、
(b)芳香族疎水性部分であるQ
とを含み、Q又はブロックコポリマーがセルロース系材料と結合して、架橋多孔質膜を形成している、架橋多孔質膜を提供する。
【0007】
[0012]一実施形態によれば、セルロース系材料は、セルロース系ポリマー、セルロース系オリゴマー、又はセルロース系モノマーである。
【0008】
[0013]架橋多孔質膜の一実施形態では、セルロース系ポリマーは、セルロース又はその誘導体であり、例えば、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、セルロースアミン、及びセルロースカルバメートである。セルロース誘導体の例には、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、及びシアノエチルセルロースが含まれ、好ましくは、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、及びシアノエチルセルロースが含まれる。一実施形態では、セルロース誘導体、例えば酢酸エステルは、D−無水グルコピラノース単位当たり2〜3個、好ましくは約2〜2.8個の誘導体化基、例えばアセチル基を有する。
【0009】
[0014]一実施形態によれば、架橋多孔質膜は、セルロース系材料と式(I)又は(II)のブロックコポリマーとを含み、式中、ブロックAは、ポリグリセロールを含む親水性ポリマーセグメントである。
【0010】
[0015]一実施形態によれば、コポリマーのブロックAは、式
【化1】

の繰り返し単位を有するポリグリセロールを含む、親水性ポリマーセグメントである。
【0011】
[0016]一実施形態によれば、ブロックAは以下の構造の1つ又は複数を含み、芳香族疎水性ポリマーセグメントとの結合点が以下の波線で示されている。
【化2】
【0012】
[0017]別の実施形態によれば、ブロックAはグリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、このコポリマーは、1つ又は複数のアリル基を有する。一実施形態によれば、ブロックAは、以下の繰り返し単位
【化3】

の1つ又は複数を有するポリグリセロールセグメントと、式
【化4】

(式中、Rはアリルである)
の繰り返し単位を有するポリアリルグリシジルエーテルセグメントとから構成される。
【0013】
[0018]別の実施形態によれば、ブロックAは、上述の通りのグリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであり、ここで、コポリマーのアリル基の1つ又は複数が1,2−ジヒドロキシプロピル基又は式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基、塩基性基、カチオン、アニオン、双性イオン、ハロ、ヒドロキシル、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アルデヒド、アミド、カルバモイル、ウレイド、シアノ、ニトロ、エポキシ、式−C(H)(COOH)(NH)の基、式−C(H)(COOH)(NHAc)の基、又はその塩から選択される)の基で置き換えられている。
【0014】
[0019]一実施形態によれば、Xは任意の酸性基、例えば、スルホン酸、リン酸、ホスホン酸、又はカルボン酸であることができ、塩基性基は任意の塩基性基、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、又はジアルキルアミノ基であることができ、カチオンは任意のカチオン基、例えば第四級アンモニウム基であることができ、双性イオンは、例えば、式−N(R)(CHSO(式中、R及びRはアルキル基であり、cは1〜3である)の第四級アンモニウムアルキルスルホネート基であることができる。
【0015】
[0020]ブロックコポリマーのアリル基の1つ又は複数を適切な作用剤と反応させて、所望の変化をもたらすことができる。例えば、アリル基を、酸化剤、例えば、四酸化オスミウム、アルカリ性過マンガン酸塩、又は過酸化水素と反応させることによって、1,2−ジヒドロキシプロピル基に変換することができる。
【0016】
[0021]アリル基をチオールを有する酸基、例えば、HS−(CH−X(式中、XはCOOH、POH、POH、又はSOHであり、式中、bは1〜3である)と反応させることによって、アリル基を式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基である)の基に変換することができる。
【0017】
[0022]アリル基をチオールを有する塩基性基、例えば、HS−(CH−X(式中、XはNH、NHR、又はNRRであり、ここで、RはC〜Cアルキル基であり、bは1〜3である)と反応させることによって、アリル基を式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは塩基性基である)の基に変換することができる。
【0018】
[0023]アリル基をチオールを有するカチオン基、例えば、HS−(CH−X(式中、XはNH、NHRR、又はNRRRであり、ここで、RはC〜Cアルキル基であり、bは1〜3である)と反応させることによって、アリル基を式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xはカチオン基である)の基に変換することができる。
【0019】
[0024]アリル基をチオールを有する双性イオン基、例えば、HS−(CH−X(式中、Xは双性イオンを有する基、例えば、−N(R)−(CH−SOであり、ここで、RはC〜Cアルキル基であり、b及びcは独立に1〜3である)と反応させることによって、アリル基を式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは双性イオン基である)の基に変換することができる。
【0020】
[0025]アリル基の1つ又は複数は、ハロアルカンチオールと、例えば、フルオロアルカンチオール、クロロアルカンチオール、ブロモアルカンチオール、又はヨードアルカンチオールと反応させることによって、置き換えることができる。アシルアルカンチオールのアシル基は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、又はブタノイルであり得る。アルコキシアルカンチオールのアルコキシ部分は、C〜Cアルコキシ基であり得る。アルキルチオアルカンチオールのアルキルチオ部分は、C〜Cアルキル基であり得る。
【0021】
[0026]一実施形態では、アリル基の1つ又は複数は、カルボン酸アルカンチオール又はその塩、リン酸アルカンチオール又はその塩、ホスホン酸アルカンチオール又はその塩、スルホン酸アルカンチオール又はその塩、(ジアルキルアミノ)アルカンチオール又はその塩、アミノアルカンチオール又はその塩、アルキルアミノアルカンチオール、ジアルキルアミノアルカンチオール、及びスルホン酸アルキルアンモニウムアルカンチオール又はその塩と反応させることができる。
【0022】
[0027]一実施形態によれば、ブロックコポリマーの芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリアミドイミドから選択され、好ましくはポリエーテルスルホンである。
【0023】
[0028]疎水性ポリマーセグメントの実施形態には、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)(PPESK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及びポリエーテルイミド(PEI)が含まれ、これらは以下の構造
【化5】

【化6】

を有する。
【0024】
[0029]上の各芳香族疎水性セグメント中の繰り返し単位の数nは、約10〜約1000、好ましくは約30〜約300、より好ましくは約50〜約250であることができる。
【0025】
[0030]上の実施形態のいずれにおいても、ブロックAは約20%〜約50mol%の量で存在し、ブロックBは約50%〜約80mol%の量で存在する。ブロックAが約40%〜約55mol%の量で存在し、ブロックBが約40%〜約60mol%の量で存在することが好ましい。
【0026】
[0031]実施形態によれば、式(I)のコポリマーは、構造
【化7】

(式中、nは約10〜約1000である)
又は
【化8】

(式中、nは約10〜約1000である)
を有する。「Pg/PolyAGE」は、グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーを示す。
【0027】
[0032]一実施形態によれば、式(I)のコポリマーは、構造
【化9】

(式中、Rはアリル及び/又は−(CH−Xであり、nは約10〜約1000である)
を有する。「Pm」は、グリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーを示す。
【0028】
[0033]ブロックコポリマーの一実施形態では、Xはアミノ、ジメチルアミノ、−CHCHSOH、−CHCHCHSOH、−CHCOH、及び−CHCH(CH及びそれらの組合せから選択される。
【0029】
[0034]一実施形態によれば、式(I)のコポリマーは、以下の構造
【化10】

【化11】

【化12】

(式中、nは約10〜約1000である)
の1つを有する。
【0030】
[0035]ブロックAがポリグリセロール、ポリ(アリルグリシジルエーテル)又はグリシドールとアリルグリシジルエーテルとのコポリマーであるブロックコポリマーは、任意の適切な方法によって調製することができ、例えば、一実施形態では、
(i)ヒドロキシ、メルカプト、又はアミノ基から選択される1つ又は複数の末端官能基を有する芳香族疎水性ポリマーセグメントを用意するステップと、
(ii)必要に応じて塩基の存在下で、芳香族疎水性ポリマーセグメントにおいてグリシドール、アリルグリシジルエーテル、又はアリルグリシジルエーテルとグリシドールとの混合物の開環重合を行うステップと
を含む方法によって調製することができる。
【0031】
[0036]一実施形態によれば、ブロックコポリマーの芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド及びポリアミドイミドから選択され、好ましくはポリエーテルスルホンである。芳香族疎水性ポリマーセグメントは、ヒドロキシ、メルカプト、又はアミノ基から選択される、1つ又は複数の、好ましくは1つ又は2つの末端官能基を含む。
【0032】
[0037]官能基は、当業者に既知の方法によって芳香族疎水性セグメントに設けることができる。例えば、ヒドロキシ末端ポリエーテルイミドの合成が、米国特許第4,611,048号及び米国特許第7,230,066号に記載されている。よって、例えば、ヒドロキシ末端ポリエーテルイミドは、ビスエーテル無水物とジアミンとを反応させ、続いてアミノアルコールと反応させることによって調製することができる。例示的には、ヒドロキシ末端ポリエーテルイミドは、ビス(4−(3,4−ジカルボキシ−フェノキシ)フェニル)プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンとを反応させ、続いてp−アミノフェノールと反応させることによって調製することができる。
【0033】
[0038]アミン末端ポリエーテルイミドは、ビスエーテル無水物とジアミンとの反応によって調製することができる。よって、例えば、ビス(4−(3,4−ジカルボキシ−フェノキシ)フェニル)プロパン二無水物とm−フェニレンジアミンを反応させて、アミン末端ポリエーテルイミドを生成することができる。例えば、米国特許第3,847,867号を参照されたい。
【0034】
[0039]ヒドロキシ末端PEEKは、Journal of Polymer Science Part B 2006、44、541及びJournal of Applied Science 2007、106、2936に記載されている。よって、例えば、ペンダントtert−ブチル基を有するヒドロキシ末端PEEKは、炭酸カリウムを触媒として用いる、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとtert−ブチルハイドロキノンとの求核置換反応によって調製することができる。
【0035】
[0040]ヒドロキシ末端ポリカーボネートは、Journal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition 1982、20、2289に記載されている。よって、例えば、ヒドロキシ末端ポリカーボネートは、ホスゲン化の前又は間のいずれかにおいて一部のフェノール基をその場で保護して、ビスフェノールAとホスゲンとを反応させることによって調製することができる。トリメチルクロロシラン、無水トリフルオロ酢酸、又はトリフルオロ酢酸を保護に使用することができる。保護基は、重合の終了時に除去することができる。
【0036】
[0041]ヒドロキシ末端PPOは、米国特許第3,318,959号に記載される通りに調製することができる。よって、例えば、ポリ−2,6−ジメチルフェニレンエーテルを水酸化ナトリウムと反応させて、ヒドロキシル含有率が1分子当たり2.3〜3ヒドロキシル基であるPPOを得ることができる。
【0037】
[0042]上で開示される芳香族疎水性ポリマーはいずれも、ブロックコポリマーにおける芳香族疎水性ポリマーセグメントとして用いることができる。一実施形態では、芳香族疎水性ポリマーセグメントは、式
【化13】

(式中、nは約10〜約1000、好ましくは約50〜175、より好ましくは約60〜約100である)
の、1つ又は複数のヒドロキシ基を有するポリエーテルスルホンである。
【0038】
[0043]ポリエーテルスルホンは、市販されており、例えば、Solvayからヴィランテージ(VIRANTAGE)(商標)VW−10700(式
【化14】

を有し、GPC分子量が21000g/molであり、OH末端基が210μeq/gである)として、SolvayからヴィランテージVW−10200(式
【化15】

を有し、GPC分子量が44,200g/molであり、OH末端基が80μeq/gである)として、及び、Sumitomoからスミカエクセル(SUMIKAEXCEL)(商標)5003PS(式
【化16】

を有し、還元粘度が0.50[DMFに溶解した1%PES]であり、OH末端基が1分子当たり0.6〜1.4個の範囲内である)として市販されている。
【0039】
[0044]グリシドール、すなわち2,3−エポキシ−1−プロパノールは、官能性末端基として1つのエポキシド環及び1つのヒドロキシル基を含有する。両方の官能性末端基は、互いに反応して、グリセロール誘導体である巨大分子を形成することができる。生じた巨大分子は反応を続けて、ポリグリセロールを形成する。アリルグリシジルエーテルは1つのエポキシド環を含有し、これは開環重合することができる。
【0040】
[0045]エポキシド環の開環は、求核剤、すなわち、芳香族疎水性ポリマーセグメントのオキシドアニオン、アミノ基、又はスルフィドアニオンによって開始され、これらは、芳香族疎水性ポリマーセグメントの末端の水酸基又はメルカプト基と、反応に用いられる塩基との反応によって生成される。末端のメルカプト基の反応性に応じて、塩基は必要であってもなくてもよいが、塩基を使用することが好ましい。開環したエポキシドは、塩基の存在下で隣接するグリシドール及び/又はアリルグリシジルエーテルのエポキシドを開き続け、グリシドール及びアリルグリシジルエーテルの重合はこのようにして進行する。
【0041】
[0046]塩基が必要とされる場合、開環重合は、任意の適切な塩基、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムターシャリーブトキシド、カリウムターシャリーブトキシド、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、ナトリウムアミド、リチウムアミド、及びそれらの組合せから選択される塩基を用いて行うことができる。
【0042】
[0047]一実施形態によれば、開環重合は、適切な溶媒、特に極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。適切な溶媒の例には、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドン、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0043】
[0048]芳香族疎水性ポリマー、グリシドール、及び/又はアリルグリシジルエーテルの量は、重合媒体中に任意の適切な濃度で存在することができ、例えば、それぞれが重量で約5%〜約60%以上、好ましくは約10%〜約50%、より好ましくは約20%〜約40%の濃度で存在することができる。一実施形態では、それぞれの濃度は約30重量%である。
【0044】
[0049]開環重合は、反応混合物中の疎水性ポリマーセグメント対グリシドール及びアリルグリシジルエーテルの比率が、好ましくは約1:0.1:0.1〜約1:2:2、より好ましくは約1:0.7:0.7〜約1:1.2:1.2、さらにより好ましくは約1:0.8:0.8であるように実行される。
【0045】
[0050]開環重合は、適切な温度、例えば、25℃〜約130℃、好ましくは約50℃〜約120℃、より好ましくは約90℃〜110℃で実行される。
【0046】
[0051]重合は、任意の適切な長さの時間、例えば、約1時間〜約100時間、好ましくは約2時間〜約40時間、より好ましくは約3〜約20時間で行うことができる。重合時間は、とりわけ、所望の重合度及び反応混合物の温度に応じて変動する可能性がある。
【0047】
[0052]ブロックコポリマーは、非溶媒、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノールでの析出によって反応混合物から単離することができる。生じたブロックコポリマーを乾燥し、残留する溶媒又は非溶媒をすべて除去する。
【0048】
[0053]式A−B−A(I)又はA−B(II)の上記ブロックコポリマーにおいて、ブロックコポリマーを酸化剤、カルボキシルアルカンチオール又はその塩、スルホン酸アルカンチオール又はその塩、(ジアルキルアミノ)アルカンチオール又はその塩、ハロアルカンチオール、ヒドロキシアルカンチオール、アシルアルカンチオール、アルコキシアルカンチオール、アルキルチオアルカンチオール、アルデヒドアルカンチオール、アミドアルカンチオール、カルバモイルアルカンチオール、ウレイドアルカンチオール、シアノアルカンチオール、ニトロアルカンチオール、エポキシアルカンチオール、システイン、アシルシステイン、アミノアルカンチオール又はその塩、アルキルアミノアルカンチオール、ジアルキルアミノアルカンチオール、及びスルホン酸アルキルアンモニウムアルカンチオール又はその塩から選択される作用剤と反応させることによって、コポリマーのアリル基の1つ又は複数を、1,2−ジヒドロキシプロピル基又は式−(CH−S−(CH−X(式中、aは3であり、bは1〜3であり、Xは酸性基、塩基性基、カチオン、アニオン、双性イオン、ハロ、ヒドロキシル、アシル、アシルオキシ、アルキルチオ、アルコキシ、アルデヒド、アミド、カルバモイル、ウレイド、シアノ、ニトロ、エポキシ、式−C(H)(COOH)(NH)の基、及び式−C(H)(COOH)(NHAc)の基、又はその塩から選択される基である)の基で置き換えることができる。
【0049】
[0054]別の実施形態では、本発明は、セルロース系材料と芳香族疎水性部分Qとを含む架橋多孔質膜を提供する。
【0050】
[0055]本発明によれば、Qは、ポリマー、オリゴマー、又はモノマーのものであることができる。
【0051】
[0056]任意の適切なQが存在することができる。例えば、Qは、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、ポリ(フタラジノンエーテルスルホンケトン)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、及びポリアミドイミドから選択されるポリマー又はオリゴマー部分であり、好ましくはポリエーテルスルホンである。
【0052】
[0057]一実施形態によれば、オリゴマー部分の重合度は、2〜約50、好ましくは約3〜約25である。
【0053】
[0058]芳香族疎水性ポリマーセグメントに関して上で開示したように、末端官能基である、ヒドロキシ、メルカプト、又はアミノを有するポリマー又はオリゴマーは当技術分野で既知であり、これらからかかる部分を作ることができる。
【0054】
[0059]Qは、上のポリマー又はオリゴマー部分のいずれかのモノマー部分であることもできる。かかるモノマー化合物は、当業者には既知である。
【0055】
[0060]本発明は、上述の通りの架橋多孔質膜を調製する方法であって、
(i)溶媒、セルロース系材料、及び(a)式(I)若しくは(II)のブロックコポリマー、又は(b)芳香族疎水性部分QとQに結合した1つ若しくは複数の官能基(ここで、官能基はヒドロキシ、メルカプト、及びアミノから選択される)とを含む芳香族疎水性化合物を含む、流延溶液を用意するステップと、
(ii)流延溶液を薄膜として流延するステップと、
(iii)薄膜を相反転させて、未架橋多孔質膜を得るステップと、
(iv)セルロース系材料がセルロース誘導体である場合、未架橋多孔質膜に存在するセルロース系材料のヒドロキシル基の数を増加させるステップと、
(v)未架橋多孔質膜を架橋させるステップと
を含む、方法をさらに提供する。
【0056】
[0061]流延溶液は、セルロース系材料、並びに式(I)若しくは(II)のブロックコポリマー、又は芳香族疎水性部分QとQに結合した1つ若しくは複数の官能基とを含む芳香族疎水性化合物を含有し、この官能基は、ヒドロキシ、メルカプト、及びアミノから選択される。
【0057】
[0062]典型的な流延溶液は、セルロース系材料が可溶な少なくとも1種の溶媒を含み、少なくとも1種の非溶媒をさらに含んでもよい。
【0058】
[0063]溶媒の例には、塩化メチレン、トリフルオロエタノール、DMSOとパラホルムアルデヒドとの混合物、N−メチルモルホリン N−オキシド、DMAc中5〜8%LiCl、水酸化銅アンモニウムの水溶液、アセトン、酢酸メチル、ギ酸メチル、酸化プロピレン、ジオキソラン、ジオキサン、塩化メチレンとメタノールとの混合物、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルスルホキシド、テトラメチル尿素、コハク酸ジエチル、クロロホルム、及びテトラクロロエタン、酢酸、アセトン、イオン性液体並びにそれらの混合物が含まれる。
【0059】
[0064]適切な非溶媒には、例えば、水;様々なポリエチレングリコール(PEG;例えば、PEG−200、PEG−300、PEG−400、PEG−1000);様々なポリプロピレングリコール;様々なアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノール;アルカン、例えば、ヘキサン、プロパン、ニトロプロパン、ヘプタン、及びオクタン;及びケトン、エーテル及びエステル、例えば、アセトン、ブチルエーテル、酢酸エチル、及び酢酸アミル;酸、例えば、酢酸、クエン酸、乳酸、及び水;及び様々な塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び塩化リチウム;並びにそれらの混合物が含まれる。
【0060】
[0065]一実施形態によれば、流延溶液は、約5wt%〜約35wt%の範囲内のセルロース系材料と、約0.1%〜約35wt%の範囲内のブロックコポリマーとを含有する。
【0061】
[0066]一実施形態によれば、流延溶液は、セルロース系材料とブロックコポリマーとを、約20%対約80%〜約80%対約20%の質量比で含有する。
【0062】
[0067]別の実施形態によれば、流延溶液は、約5wt%〜約35wt%の範囲内のセルロース系材料と、Q及び官能基を含む約0.1%〜約35wt%の範囲内の芳香族疎水性化合物とを含有する。
【0063】
[0068]別の実施形態によれば、流延溶液は、セルロース系材料と、Q及び官能基を含む芳香族疎水性化合物とを、約20%対約80%〜約80%対約20%の質量比で含有する。
【0064】
[0069]流延溶液は、ガラス板上又は移動基板上、例えば、移動ベルト上にフラットシートとして流延される。或いは、流延溶液は、中空繊維又はチューブとして流延される。
【0065】
[0070]相反転は、任意の既知の方法で行うことができる。相反転は、溶媒及び非溶媒の蒸発(乾式法);曝露表面上に吸収される、非溶媒蒸気、例えば、水蒸気への曝露(気相により誘発される析出法);非溶媒液体、一般には水中でのクエンチ(湿式法);又はポリマーの溶解性が急激に大幅に減少するような高温膜の熱的クエンチ(熱的方法)を含むことができる。
【0066】
[0071]一実施形態では、相反転は、流延溶液を非溶媒蒸気、例えば、湿度を制御した大気に曝露し、続いてその流延溶液を非溶媒浴、例えば、水浴に浸漬することによって行われる。
【0067】
[0072]一実施形態によれば、セルロース系材料はセルロース誘導体、例えば酢酸セルロースである。
【0068】
[0073]セルロース誘導体中のヒドロキシル基の数は、適切な反応によって増加させることができる。例えば、セルロース系材料がセルロースエステル、例えば、酢酸セルロースであるならば、ヒドロキシル基の数は、エステルをアルカリ、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムで加水分解することによって増加させることができる。よって、例えば、再生セルロースをセルロースエステルから生成することができる。ヒドロキシル基が増加したセルロース系材料を生成すると、ブロックコポリマー、又はQ及び官能基を含む芳香族疎水性化合物と架橋させるためのヒドロキシル部位の数が増えることを含めて、多くの利点がもたらされる。複数の実施形態において、セルロース誘導体のヒドロキシル基の数を増加させると、生じた架橋多孔質膜の耐薬品性も向上する。
【0069】
[0074]未架橋膜は、任意の適切な方法によって架橋させることができる。例えば、架橋は、エピクロロヒドリン、ポリカルボン酸、及び環状ブロミニウム中間体から選択される架橋剤との反応によって、或いは放射線、例えば、ガンマ線若しくは紫外線、電子線、又は多官能価ビニル若しくはアクリル架橋剤への曝露によって、行うことができる。図2〜6は、架橋を本発明の実施形態に従って行うことができる反応を図示している。
【0070】
[0075]一実施形態では、セルロース誘導体からのセルロースの再生及び膜の架橋は、一段階又はワンポットで行われる。
【0071】
[0076]一実施形態によれば、セルロース系材料とブロックコポリマーとを含む、架橋膜の構造は、以下の通りである:
【化17】
【0072】
[0077]本発明の一実施形態による、他の架橋多孔質膜の構造の例を図2〜6に開示する。
【0073】
[0078]本発明の実施形態による架橋多孔質膜は、精密ろ過膜若しくは限外ろ過膜として、或いはナノろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜、浸透気化若しくは蒸気透過膜、透析膜、膜蒸留、クロマトグラフィー膜、並びに/又は順浸透膜及び浸透圧発電用膜の調製において、用途が見出される。
【0074】
[0079]本発明の実施形態による架橋多孔質膜は、約0.05μm〜約10μm以上の孔径を有し、精密ろ過膜としての使用が見出される。本発明のある種の実施形態による架橋多孔質膜は、約1nm〜約0.5μmの孔径を有し、ナノろ過膜としての使用が見出される。
【0075】
[0080]本発明の実施形態による架橋多孔質膜は、例えば、診断用途(例えば、試料調製及び/又は診断用ラテラルフロー装置を含む)、インクジェット用途、製薬業界用の流体ろ過、医療用途用の流体ろ過(家庭で使用するためのもの及び/又は患者が使用するためのものを含む、例えば静脈注射用途、例えば、体液、例えば、血液(例えば、白血球を除去するための)のろ過も含む)、エレクトロニクス業界用の流体ろ過(例えば、マイクロエレクトロニクス業界におけるフォトレジスト液のろ過)、食品及び飲料業界用の流体ろ過、浄化、抗体及び/若しくはタンパク質含有液のろ過、核酸含有液のろ過、細胞検出(生体位を含む)、細胞採取、並びに/又は細胞培養液のろ過を含めた、様々な用途で使用することができる。その代わりに、又は加えて、本発明の実施形態による膜は、空気及び/若しくは気体をろ過するのに使用することができ、並びに/又は通気用途(例えば、空気及び/又は気体を通し、液体を通さないようにする)に使用することができる。本発明の実施形態による膜は、手術用装置及び製品、例えば、眼科用手術用品を含めた、様々な装置に使用することができる。
【0076】
[0081]本発明の実施形態によれば、架橋多孔質膜は、平面状、フラットシート、ひだ状、管状、らせん状、及び中空繊維を含めた、様々な形状を有することができる。
【0077】
[0082]本発明の実施形態による架橋多孔質膜は、典型的には、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含み、入口と出口の間に少なくとも1つの流体流路を規定する筐体内に配置され、ここで、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、流体流路を横切って、フィルター装置又はフィルターモジュールをもたらす。一実施形態では、入口及び第1の出口を含み、入口と第1の出口の間に第1の流体流路を規定する筐体と;第1の流体流路を横切って筐体内に配置されている、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターとを含む、フィルター装置が提供される。
【0078】
[0083]クロスフロー用途のために、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を含み、入口と第1の出口の間に少なくとも第1の流体流路及び入口と第2の出口の間に第2の流体流路を規定する筐体内に配置され、ここで、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切ってフィルター装置又はフィルターモジュールをもたらすことが好ましい。例示的実施形態では、フィルター装置はクロスフローフィルターモジュールと筐体とを含み、この筐体は、入口、濃縮液出口を含む第1の出口、及び透過液出口を含む第2の出口を含み、入口と第1の出口の間に第1の流体流路及び入口と第2の出口の間に第2の流体流路を規定し、ここで、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切って配置される。
【0079】
[0084]フィルター装置又はモジュールは滅菌可能であってもよい。適切な形であり、入口及び1つ又は複数の出口を設けた任意の筐体を用いてもよい。
【0080】
[0085]筐体は、処理される流体と適合性のある、任意の不浸透性熱可塑性材料を含めた、任意の適切な硬質不浸透性材料から製作することができる。例えば、筐体は、金属、例えば、ステンレス鋼から、又はポリマー、例えば、透明若しくは半透明のポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン若しくはポリカーボネート樹脂から製作することができる。
【実施例】
【0081】
[0086]以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、当然のことながら、本発明の範囲を何らかの形で限定するものと解釈すべきではない。
【0082】
実施例1
[0087]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0083】
[0088]500mLフラスコ中で、BASF E6020グレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(250mL)に溶解した。激しく撹拌しながら、2時間で完全に溶解した。炭酸カリウム(2g)を混合物に添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(70mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPA:水(90:10v/v)にゆっくり添加することによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。次いで、生じた白色の固体粉末を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に40mol%のPES単位及び60mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を140g得た。
【0084】
実施例2
[0089]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0085】
[0090]500mLフラスコ中で、Sumitomo 5003PSグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(250mL)に溶解した。激しく撹拌しながら2時間で完全に溶解した。炭酸カリウム(2g)を混合物に添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(100mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を5時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPA:水(90:10v/v)にゆっくり添加することによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた白色の固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に40mol%のPES単位及び60mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を130g得た。
【0086】
実施例3
[0091]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0087】
[0092]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(20mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(4mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に90mol%のPES単位及び10mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を105g得た。
【0088】
実施例4
[0093]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0089】
[0094]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(15mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(4mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、IPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に90mol%のPES単位及び10mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を107g得た。
【0090】
実施例5
[0095]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0091】
[0096]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(25mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(5mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、IPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に85mol%のPES単位及び15mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を107g得た。
【0092】
実施例6
[0097]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0093】
[0098]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(35mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を5時間100℃に維持した。酢酸(5mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、IPA(500mL)で洗浄した。次いで、生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に80mol%のPES単位及び20mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を110g得た。
【0094】
実施例7
[0099]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0095】
[0100]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(50mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(8mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、IPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に67mol%のPES単位及び33mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を110g得た。
【0096】
実施例8
[0101]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0097】
[0102]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(60mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(10mL)を添加することによって反応をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水:IPA(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、得られた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、脱イオン水(250mL)及びIPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に53mol%のPES単位及び47mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を110g得た。
【0098】
実施例9
[0103]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0099】
[0104]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(80mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(10mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水:IPA(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、脱イオン水(500mL)及びIPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に35mol%のPES単位及び65mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を120g得た。
【0100】
実施例10
[0105]本実施例は、水に部分的に可溶なブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0101】
[0106]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(100mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPAにゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。次いで、得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、脱イオン水(500mL)及びIPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に25mol%のPES単位及び75mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を110g得た。
【0102】
実施例11
[0107]本実施例は、水に可溶なブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0103】
[0108]500mLフラスコ中で、分子量22KのSolvayヴィランテージVW−10700RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(150mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPAにゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、脱イオン水(500mL)及びIPA(500mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に10mol%のPES単位及び90mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を130g得た。
【0104】
実施例12
[0109]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0105】
[0110]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(40mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(4mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に85mol%のPES単位及び15mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を105g得た。
【0106】
実施例13
[0111]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0107】
[0112]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(50mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(6mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に80mol%のPES単位及び20mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を105g得た。
【0108】
実施例14
[0113]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0109】
[0114]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(60mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。次いで、酢酸(8mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に70mol%のPES単位及び30mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を110g得た。
【0110】
実施例15
[0115]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0111】
[0116]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(70mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。次いで、酢酸(10mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水:IPA(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。生じた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に55mol%のPES単位及び45mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を115g得た。
【0112】
実施例16
[0117]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0113】
[0118]500mLフラスコ中で、分子量45KのSolvayヴィランテージVW−10200RPグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(120mL)を添加した。絶え間なく撹拌しながら反応混合物を8時間100℃に維持した。酢酸(10mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5Lの脱イオン水:IPA(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた固体を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に30mol%のPES単位及び70mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を140g得た。
【0114】
実施例17
[0119]本実施例は、水に部分的に可溶なブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0115】
[0120]500mLフラスコ中で、BASF E6020グレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。激しく撹拌しながら2時間で完全に溶解した。炭酸カリウム(2g)を混合物に添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(110mL)を添加した。反応混合物を、絶え間なく撹拌しながら8時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPA:水(90:10v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた白色の固体粉末を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に20mol%のPES単位及び80mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を150g得た。
【0116】
実施例18
[0121]本実施例は、水に部分的に可溶なブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0117】
[0122]500mLフラスコ中で、BASF E7020グレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(300mL)に溶解した。炭酸カリウム(2g)を混合物に添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(100mL)を添加した。反応混合物を、絶え間なく撹拌しながら12時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPA:水(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた白色の固体粉末を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に30mol%のPES単位及び70mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を150g得た。
【0118】
実施例19
[0123]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックAがポリグリセロールである、式(I)の別のブロックコポリマーを調製する方法を例示する。
【0119】
[0124]500mLフラスコ中で、Sumitomo 5400Pグレードのポリエーテルスルホン100gを100℃でDMAc(230mL)に溶解した。炭酸カリウム(1.5g)を混合物に添加し、反応混合物を30分間混合し、続いてグリシドール(100mL)を添加した。反応混合物を、絶え間なく撹拌しながら12時間100℃に維持した。酢酸(20mL)を添加することによって反応混合物をクエンチし、放置して室温まで冷却した。反応混合物を1.5LのIPA:水(80:20v/v)にゆっくり添加することによって、生じた生成物を析出させた。得られた析出物をブフナーガラスフィルターに通してろ過し、水(500mL)及びIPA(250mL)で洗浄した。生じた白色の固体粉末を乾燥して、プロトンNMRで測定された場合に35mol%のPES単位及び65mol%のグリシドール単位を有する所望の生成物を140g得た。
【0120】
実施例20
[0125]本実施例は、ブロックコポリマーの特性の幾つかについて説明する。表1は、水溶性を示す。
【表1】
【0121】
実施例21
[0126]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックがポリ(アリルグリシジルエーテル)である、すなわちPES−PolyAGEである、式(I)のブロックコポリマーの調製を例示する。
【0122】
[0127]オーバーヘッドスターラーを備えた1Lの反応器中で、BASFウルトラゾーン(ULTRASON)(商標)E6020ポリエーテルスルホン(100g)を110℃でDMAc(250g)にゆっくり添加した。ポリマーが完全に溶解した後、KCO(2.5g)を添加した。110℃でさらに2.5時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテル(100mL)を添加し、反応混合物を110℃で19時間撹拌した。激しく撹拌されているIPA(3L)に高温の反応混合物を添加し、撹拌をさらに3時間継続した。反応混合物をろ過し、生じた生成物をIPA(1.5L)に再懸濁させた。さらに3時間撹拌した後、生成物をろ過し、水中30%IPA中及びIPA中(200mL)で洗浄した。生じた生成物を50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、105gのPESとアリルグリシジルエーテルとのA−B−Aタイプのコポリマー、すなわちPES−PolyAGEを得た。コポリマーをプロトンNMRで特性評価すると、アリルグリシジルエーテル単位が10mol%及びPES単位が90mol%存在することが示された。
【0123】
実施例22
[0128]本実施例は、ブロックBがポリエーテルスルホンであり、ブロックがポリ(アリルグリシジルエーテル)である、すなわちPES−PolyAGEである、式(I)の別のブロックコポリマーの調製を例示する。
【0124】
[0129]1Lの反応フラスコ中で、BASFウルトラゾーン(商標)E7020(200g)ポリエーテルスルホンを110℃でDMAc(600mL)にゆっくり添加した。ポリマーが完全に溶解した後、KCO(10g)を添加した。110℃でさらに1時間撹拌した後、反応混合物を窒素で10分間パージし、アリルグリシジルエーテル(200g)を添加した。反応混合物を110℃で72時間撹拌し、メタノール(2L)中で析出させ、ろ過し、得られた固体をメタノール(750mL)中に再懸濁させた。さらに5時間撹拌した後で、得られた生成物をろ過し、水中30%メタノール及びメタノール(100mL)中で洗浄した。得られた生成物を50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、PESとアリルグリシジルエーテルとのA−B−Aタイプのコポリマーである所望の生成物を260g得た。プロトンNMRで特性評価すると、ブロックコポリマーはPES単位を62mol%、及びアリルグリシジルエーテル単位を38mol%有することが示された。
【0125】
実施例23
[0130]本実施例は、ブロックコポリマーPES−Pg/PolyAGEの調製を例示する。
【0126】
[0131]オーバーヘッドスターラーを装着した3Lの反応器中で、BASFウルトラゾーン(商標)E6020(500g)ポリエーテルスルホンを110℃でDMAc(1.5L)にゆっくりと添加した。ポリマーが完全に溶解した後、KCO(12.5g)を添加した。110℃でさらに2.5時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテル(400mL)とグリシドール(100mL)との混合物を添加し、反応混合物を110℃で12時間撹拌した。激しく撹拌されている蒸留水(15L)に高温の反応混合物をゆっくり添加した。得られた生成物をろ過し、エタノール(5L)中で一晩さらに撹拌した。析出物をろ過し、エタノール(2L)で洗浄し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位を含有するブロック及び39mol%の重合されたグリシドールとアリルグリシジルエーテルとを含有するブロックAを有するブロックコポリマー生成物(PES−Pg/PolyAGE)を760g得た。
【0127】
実施例24
[0132]本実施例は、別のブロックコポリマーPES−Pg/PolyAGEの調製を例示する。
【0128】
[0133]Sumitomo 5003PS(200g)ポリエーテルスルホンを110℃でDMAc(0.5L)にゆっくりと添加した。ポリマーが完全に溶解した後、KCO(12.5g)を添加した。110℃でさらに2.5時間撹拌した後、アリルグリシジルエーテル(160mL)とグリシドール(40mL)との混合物を添加し、反応混合物を110℃で12時間撹拌した。激しく撹拌されている蒸留水(7L)に高温の反応混合物をゆっくり添加した。得られた生成物をろ過し、エタノール(1.5L)中で一晩さらに撹拌した。析出物をろ過し、エタノール(0.75L)で洗浄し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に57mol%のPES単位を含有するブロックB及び43mol%の重合されたグリシドールとアリルグリシジルエーテルとを含有するブロックAを有するブロックコポリマー生成物(PES−Pg/PolyAGE)を260g得た。
【0129】
実施例25
[0134]本実施例は、別のブロックコポリマー、PES−Pm−MEAの調製を例示する。
【0130】
[0135]実施例23からのPES−Pg/PolyAGE30gを80℃でDMAc(100mL)に溶解した。ポリマーが完全に溶解した後、溶液を窒素で5分間パージした。アミノエタンチオール塩酸塩(3g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(50mg)を添加し、反応混合物を80℃で21時間撹拌した。高温の反応混合物を、エタノール(750mL)に滴加することによって析出させた。生じた析出物をエタノール(250mL)に再構成し、さらに2時間撹拌した。生じた析出物をろ過し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位、28mol%のアミノエタンチオール基及び11mol%のアリル基を有する所望の生成物PES−Pm−MEAを32g得た。
【0131】
実施例26
[0136]本実施例は、別のブロックコポリマー、PES−Pm−MDMAEの調製を例示する。
【0132】
[0137]実施例23からのPES−Pg/PolyAGE20gを80℃でDMAc(160mL)に溶解した。ポリマーが完全に溶解した後、溶液を窒素で5分間パージした。2−(ジメチルアミノ)エタンチオール塩酸塩(15g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(80mg)を添加し、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。高温の反応混合物を、IPA(550mL)に滴加することによって析出させた。生じた析出物をIPA(100mL)中で2時間さらに撹拌した。析出物をろ過し、脱イオン水(1000mL)で洗浄し、続いてIPA(500mL)で洗浄した。生じた生成物を50℃の真空オーブンで一晩乾燥して、プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位、34mol%のジメチルアミノエタンチオール基及び5mol%の残留アリル基を有する所望の生成物、PES−Pm−MDMAEを23g得た。
【0133】
実施例27
[0138]本実施例は、別のブロックコポリマー、PES−Pm−MESの調製を例示する。
【0134】
[0139]実施例23からのPES−Pg/PolyAGE30gを80℃でDMAc(150mL)に溶解した。ポリマーが完全に溶解した後、溶液を5分間パージした。2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム(Sodium−2−mercaptoethansulfonate)(25g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(500mg)を添加し、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。高温の反応混合物を、IPA(250mL)に滴加することによって析出させた。析出物をIPA中で2時間さらに撹拌し、ろ過し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥した。プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位、35mol%のメルカプトエタンスルホン酸及び4mol%のアリル基を有する所望の生成物、PES−Pm−MESを34g得た。
【0135】
実施例28
[0140]本実施例は、別のブロックコポリマー、PES−Pm−MPSの調製を例示する。
【0136】
[0141]実施例23からのPES−Pg/PolyAGE40gを80℃でDMAc(250mL)に溶解した。ポリマーが完全に溶解した後、溶液を5分間パージした。メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム塩(25g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(500mg)を添加し、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。高温の反応混合物を、IPA(750mL)に滴加することによって析出させた。析出物をIPA中で2時間さらに撹拌し、ろ過し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥した。プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位、36mol%のメルカプトプロパンスルホン酸及び3mol%のアリル基を有する所望の生成物、すなわちPES−Pm−MPSを48g得た。
【0137】
実施例29
[0142]本実施例は、別のブロックコポリマー、PES−Pm−MAAの調製を例示する。
【0138】
[0143]実施例23からのPES−Pg/PolyAGE20gを80℃でDMAc(100mL)に溶解した。ポリマーが完全に溶解した後、溶液を5分間パージした。メルカプト酢酸ナトリウム(15g)及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(200mg)を添加し、反応混合物を80℃で一晩撹拌した。高温の反応混合物を、エタノール(550mL)に滴加することによって析出させた。析出物をエタノール中で2時間さらに撹拌し、ろ過し、50℃の真空オーブンで一晩乾燥した。プロトンNMRスペクトロスコピーで測定された場合に61mol%のPES単位及び38mol%のメルカプト酢酸を有する所望の生成物、すなわちPES−Pm−MAAを22g得た。遊離アリル基は観察されなかった。
【0139】
実施例30
[0144]本実施例は、本発明の一実施形態による架橋多孔質膜の調製を例示する。
【0140】
[0145]限外ろ過膜を以下のように調製した。112.5gの酢酸セルロース[Eastman CA−398−30、アセチル含有率39.8%、ヒドロキシル含有率3.5%、ガラス転移温度189℃、融点230〜250℃、粘度114ポアズ(ASTM法1343)(分子量を測定した場合)]、実施例1からのコポリマー112.5g、及びクエン酸(99.9%、無水)172.1gを30℃でNMP(ACS試薬グレード)1083.8gに溶解した。1200rpmで1時間撹拌した後、完全に溶解した。溶液を800rpmで一晩撹拌し、続いて17インチHg真空で4時間脱気した。
【0141】
[0146]23.1℃の流延溶液をポリエステル製移動ベルト上で6ミル厚の膜として流延し、膜を、1分当たり7フィートのライン速度で、温度を22℃に制御した水浴に浸漬することによって相反転させ、未架橋多孔質膜を得た。
【0142】
[0147]最初にHO915gを48℃に加熱し、続いて無水酢酸ナトリウム10gを添加し、続いてそれに合計75グラムのエピクロロヒドリンを添加することによって、反応混合物を作成した。続いてこれにNaOH8gを、溶解する時間を置きながら一度に少量の一定量で添加した。エピクロロヒドリンは架橋剤である。NaOHは、酢酸セルロース中のヒドロキシル基の数を増加させる役割を果たす。
【0143】
[0148]未架橋多孔質膜を、温度を48℃に維持した上の反応混合物中に、300rpmで撹拌しながら16時間の間浸漬した。生じた生成物を水で洗浄して、架橋多孔質膜を得た。
【0144】
実施例31
[0149]本実施例は、本発明の一実施形態による、別の架橋多孔質膜の調製を例示する。
【0145】
[0150]限外ろ過膜を以下のように調製した。実施例30で使用した酢酸セルロース112.5g及び実施例23からのコポリマー112.5g、及びクエン酸(99.9%、無水)172.1gを、30℃でNMP(ACS試薬グレード)1083.8グラムに溶解した。1200rpmで1時間撹拌した後、完全に溶解した。溶液を800rpmで一晩撹拌し、続いて17インチHg真空で4時間脱気した。
【0146】
[0151]23.1℃の流延溶液をポリエステル製移動ベルト上で6ミル厚の膜として流延し、膜を、1分当たり7フィートのライン速度で、温度を22℃に制御した水浴に浸漬することによって相反転させ、未架橋多孔質膜を得た。
【0147】
[0152]最初にHO915gを48℃に加熱し、続いて無水酢酸ナトリウム10gを添加し、続いてそれに合計75グラムのエピクロロヒドリンを添加することによって、反応混合物を作成した。続いてこれにNaOH8gを、溶解する時間を置きながら一度に少量の一定量で添加した。試薬を添加する順序は重要である。エピクロロヒドリンは架橋剤である。NaOHは、酢酸セルロース中のヒドロキシル基の数を増加させる役割を果たす。
【0148】
[0153]未架橋多孔質膜を、温度を48℃に維持した上の反応混合物中に、300rpmで撹拌しながら16時間の間浸漬した。生じた生成物を水で洗浄して、架橋多孔質膜を得た。
【0149】
実施例32
[0154]本実施例は、本発明の一実施形態による架橋多孔質膜の特性の幾つかについて説明する。
【0150】
[0155]実施例30の通りに調製した架橋多孔質膜の試料を、N,N−ジメチルホルムアミドの10%溶液及び1N水酸化ナトリウムに曝露した。上述の曝露後の膜の物質収支、水分流動、及びBSA通過特性を試験した。重量変化の割合(%)の結果を表2に示す。
【表2】
【0151】
[0156]表2に示すデータからわかるように、ポリエーテルスルホン膜は、DMF及びNaOHに曝されると重量が増加した。再生セルロース膜はDMFへの曝露に対して安定であるが、NaOHの場合、重量が減少した。ポリエーテルスルホンがホモポリマーのとき、架橋膜はDMFでは重量が増加し、NaOHでは重量が減少した。しかし、Bがポリエーテルスルホンであるブロックコポリマーを利用する、本発明の一実施形態による架橋膜は、重量変化が有意に少ないことによって証明されるように、DMF及びNaOHに対して安定であった。
【0152】
[0157]膜を上述の通りに曝露した後で、BSA通過及び水分流動について試験した。得られた結果をそれぞれ表3及び表4に示す。
【表3】

【表4】
【0153】
[0158]表3及び4に示すデータからわかるように、本発明の架橋多孔質膜は、DMFに対して安定である。NaOHへの曝露は、有利なことに水分流動を増大させ、同時にBSA通過を減少させる、すなわちBSA阻止率(BSA rejection)を増大させる。
【0154】
[0159]図1Aは、セルロースの再生及び架橋の前の、酢酸セルロース及びポリエーテルスルホンのブロックコポリマーから調製された多孔質膜の表面のSEM顕微鏡写真を図示しており、図1Bは、セルロースの再生及び架橋後の多孔質膜のSEM顕微鏡写真を図示している。SEM顕微鏡写真は、再生及び架橋後の多孔質膜が、過度の架橋からの閉塞を有することなく、典型的なUFの断面構造を有することを示している。
【0155】
[0160]本明細書に引用された、刊行物、特許出願、及び特許を含めたすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれると個々に及び明確に示される場合並びにその全体が本明細書に明記される場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
[0161]本発明の記載に関連して(特に添付の特許請求の範囲に関連して)、用語「ある(a)」及び「ある(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つの」並びに同様の指示語の使用は、本明細書で特に指摘しない限り又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈される。その後に1つ又は複数の項目の列挙が続く用語「〜の少なくとも1つ」(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で特に指摘しない限り又は明らかに文脈と矛盾しない限り、列挙された項目から選択された1つの項目(A又はB)、或いは列挙された項目の2つ以上の任意の組み合せ(A及びB)を意味すると解釈される。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、特に断りのない限り、オープンエンドターム(すなわち、「含むが、限定されない」という意味)として解釈される。本明細書での数値の範囲の列挙は、本明細書で特に指摘しない限り、その範囲内の別個の値を個々に言及する略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、別個の値は、本明細書で個々に列挙されたかのように本明細書に組み込まれる。本明細書で記載されるすべての方法は、本明細書で特に指摘しない限り又は明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順序で行うことができる。本明細書で提供される任意の及びすべての例又は例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、特に主張しない限り、本発明をより明確にすることだけを意図しており、本発明の範囲に対して制限をもたらすものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、請求項に記載されていない任意の要素が本発明の実践に不可欠であるとして示すものとは解釈されるべきではない。
【0157】
[0162]本明細書では、本発明を行うために本発明者らが知っている最良の形態を含めて、本発明の好ましい実施形態が記載される。当業者であれば、前述の記載を読めば、これらの好ましい実施形態の変形形態が明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がかかる変形形態を適宜用いることを予想しており、また本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載された通りではないように実践されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって許可されるように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題を改変したもの及び等価なものをすべて含む。さらに、本明細書で特に指摘しない限り又は明らかに文脈と矛盾しない限り、そのすべての可能な変形形態における上述の要素のいかなる組合せも本発明に包含される。
図2
図3
図4
図5
図6
図1A
図1B