特許第6080143号(P6080143)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6080143
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】飛行式店内広告システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20170206BHJP
   G09F 21/06 20060101ALI20170206BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20170206BHJP
   B64D 17/80 20060101ALI20170206BHJP
   G06Q 30/02 20120101ALI20170206BHJP
【FI】
   B64C39/02
   G09F21/06
   B64C27/08
   B64D17/80
   G06Q30/02 380
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-98660(P2016-98660)
(22)【出願日】2016年5月17日
【審査請求日】2016年5月20日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】393010396
【氏名又は名称】エヌカント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085224
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 重隆
(72)【発明者】
【氏名】野澤 紀夫
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−172879(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0277854(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/080388(WO,A2)
【文献】 独国特許出願公開第102007054126(DE,A1)
【文献】 特開2005−338114(JP,A)
【文献】 特開2003−341599(JP,A)
【文献】 特開2005−266724(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/067488(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
G09F 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店内広告が表示された無人航空機を、飛行制御端末から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させる飛行式店内広告システムであって、
前記無人航空機は、無線通信またはインターネット回線による通信を行う航空機側通信手段と、該航空機側通信手段により受信した前記飛行制御端末からの店内通路の飛行ルートデータに従い、前記無人航空機を飛行させる航空機飛行手段と、前記無人航空機の電気系統の全体を制御する航空機側制御手段とを有し、
前記飛行制御端末は、前記店内通路の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段と、該飛行ルート設定手段により得られた飛行ルートデータを記憶する記憶手段と、前記無線通信またはインターネット回線による通信を行う端末側通信手段と、前記飛行制御端末の電気系統の全体を制御する端末側制御手段とを有し、
さらに、前記飛行制御端末はタイマを有し、
前記飛行ルートデータは、前記タイマにより設定された前記無人航空機の飛行時刻が付加されて前記記憶手段に記憶され、
前記飛行制御端末には、前記タイマにより設定された時刻に、前記記憶手段に記憶された飛行ルートデータを、前記端末側通信手段から前記航空機側通信手段に送信する自動データ送信手段を設けた
ことを特徴とする飛行式店内広告システム。
【請求項2】
前記無人飛行機には、前記店内広告が表示された広告紙媒体を掛止する掛止具が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の飛行式店内広告システム。
【請求項3】
前記無人航空機には、障害物への接近を検知する障害物接近検知センサと、該障害物接近検知センサからの障害物接近検知信号に基づき、前記飛行ルートを一時的に変更して前記無人航空機の前記障害物への接触を回避する障害物回避手段とを有したことを特徴とする請求項1〜請求項2のうち、何れか1項に記載の飛行式店内広告システム。
【請求項4】
前記無人航空機には、音声により商品情報を報知するスピーカが設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載の飛行式店内広告システム。
【請求項5】
前記無人航空機には、顧客の注目を集めるLEDライトが設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項4のうち、何れか1項に記載の飛行式店内広告システム。
【請求項6】
前記無人航空機の重量が200g未満であることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち、何れか1項に記載の飛行式店内広告システム。
【請求項7】
前記無人航空機には、パラシュートが設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項6のうち、何れか1項に記載の飛行式店内広告システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飛行式店内広告システム、詳しくは無人航空機(飛行ドローン)を使用し、店内を飛行しながら商品や催し物等の広告を行う飛行式店内広告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、百貨店、スーパーマーケットの衣料品売場や生鮮食品売場等では、顧客の購買意欲を高めるため、時間を制限して特定の商品を安く売るタイムサービスを行っている。
このタイムサービスの店内広告は、顧客の目に付くように特売商品の陳列棚の傍らや、天井から吊るしたりして、商品名、価格等を書き込んだPOPシートを掲示していた(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、このような店内広告の方法では、特売商品を並べた陳列棚の近くにいる一部の顧客だけにしかタイムサービスの開始を知らせることができず、例えば多層階建ての百貨店や売り場面積が広いスーパーマーケット等では、店内の各売場に分散している多くの顧客にタイムサービスをアピールすることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】MATCHA、日本の主婦に聞く!スーパーマーケットの活用術、[平成28年5月3日検索]、インターネット<URL:http://mcha.jp/8572>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、店内広告を表示した無人航空機を、飛行制御端末から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させるようにすれば、上述した課題はすべて解消されることを知見し、この発明を完成させた。
本発明は、このような従来の問題点に艦がみなされたもので、店内通路を飛行しながら、各売場に分散している多数の顧客に商品や催し物等の広告を行うことができる飛行式店内広告システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、店内広告が表示された無人航空機を、飛行制御端末から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させる飛行式店内広告システムであって、無人航空機は、無線通信またはインターネット回線による通信を行う航空機側通信手段と、航空機側通信手段により受信した飛行制御端末からの店内通路の飛行ルートデータに従い、無人航空機を飛行させる航空機飛行手段と、無人航空機の電気系統の全体を制御する航空機側制御手段とを有し、飛行制御端末は、店内通路の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段と、飛行ルート設定手段により得られた飛行ルートデータを記憶する記憶手段と、無線通信またはインターネット回線による通信を行う端末側通信手段と、飛行制御端末の電気系統の全体を制御する端末側制御手段とを有したことを特徴とする飛行式店内広告システムである。
【0006】
また、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人飛行機に、店内広告が表示された広告紙媒体を掛止する掛止具を設けたものでもある。
【0007】
さらに、本発明の飛行式店内広告システムは、この飛行制御端末がタイマを有し、記憶手段には、タイマにより設定された無人航空機の飛行時刻が付加された飛行ルートデータが記憶され、さらに飛行制御端末に、タイマにより設定された時刻に、記憶手段に記憶された飛行ルートデータを、端末側通信手段から航空機側通信手段に送信する自動データ送信手段を設けたものでもある。
【0008】
また、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人航空機が、障害物への接近を検知する障害物接近検知センサと、障害物接近検知センサからの障害物接近検知信号に基づき、飛行ルートを一時的に変更して無人航空機の障害物への接触を回避する障害物回避手段とを有したものでもある。
【0009】
さらにまた、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人航空機に、音声により商品情報を報知するスピーカを設けたものでもある。
【0010】
また、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人航空機に、顧客の注目を集めるLEDライトを設けたものでもある。
【0011】
さらに、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人航空機として、重量が200g未満のものを採用したものでもある。
【0012】
さらにまた、本発明の飛行式店内広告システムは、この無人航空機にパラシュートを設けたものでもある。
【0013】
無人航空機(飛行ドローン)としては、プロペラ飛行方式のものを採用することができる。
航空機飛行手段としては、自律飛行方式のものを採用することができる。無人飛行機の自律飛行方式は任意である。例えば、カメラ画像に基づき、店内通路を画像認識して自律飛行を行うものでもよい。
無人航空機に表示される店内広告は任意である。また、無人航空機への店内広告の方法も任意である。例えば、無人航空機の胴部に店内広告を直接または間接的に表示(記載)してもよいし、無人航空機に各種の広告媒体を連結してもよい。
【0014】
飛行制御端末としては、パソコンの他、スマートフォン、タブレットなどの各種のモバイルを採用することができる。
飛行式店内広告システムが適用される店舗は限定されない。例えば、百貨店、スーパーマーケット、総合スーパー(ショッピングセンター)などが挙げられる。店舗は平屋建てでも、複層階建てでもよい。
飛行ルートは、店舗の店内通路に従って設定される。店内通路の全域にわたるルートでもよいし、その一部のみのルートでもよい。また、無人航空機は、飛行ルートを1回のみ飛行してもよいし、そのルートを複数回飛行してもよい。
【0015】
ここでいう飛行ルート設定手段とは、例えばオペレータが飛行制御端末に手動入力するキーボード等の手動入力部でもよいし、自動で飛行ルートを設定するものでもよい。
航空機側通信手段および端末側通信手段は、無線通信を行うものでもよいし、インターネット回線による通信を行うものでもよい。
ここでいう無人航空機の端末側制御手段とは、飛行制御端末に搭載されたCPU(中央演算処理装置)等をいう。
記憶手段としては、例えば、飛行制御端末のメインメモリ(RAM,ROM)などを採用することができる。
【0016】
広告紙媒体としては、POPシート、ポスター、チラシ、ビラ、ラベル等を採用することができる。
掛止具としては、各種の掛止具(クリップ、フック等)、吊下部材(紐、糸等)を採用することができる。
タイマとしては、各種の電子時計、電波時計等を採用することができる。
ここでいう自動データ送信手段とは、設定時刻になると、記憶手段に記憶された飛行ルートデータを、飛行制御端末の端末側通信手段から、無線またはインターネット回線を利用して航空機側通信手段に自動的送信するものである。
障害物接近検知センサとしては、非接触で障害物が近づいたことを検出する各種の近接センサを採用することができる。
【0017】
障害物回避手段としては、例えば、障害物回避センサを搭載することで、周囲の障害物を感知して回避が可能なものを採用することができる。具体的には、前方、左右、上空の障害物を検知する4つの超音波センサを備え、障害物が近づくと自動的に無人航空機が回避移動するものなどが挙げられる。
【0018】
スピーカからの音声は、飛行制御端末の記憶手段に記憶された電子音声でも、オペレータ(店員)等の肉声でもよい。肉声の場合、あらかじめ記憶手段に記憶したものでも、飛行制御端末に電気的に接続されたマイクから得られた声でもよい。
LEDライトの種類としては、単色または複色のLEDを採用することができる。LEDライトは点灯しても、点滅してもよい。LEDライトの使用数は任意である。
無人航空機の重量は限定されないものの、改正航空法(平成27年12月10日施行)の規制がない200g未満(模型航空機に該当)が好ましい。
無人航空機には、バッテリ切れ等により機体が落下しての事故を防ぐため、パラシュートを設けた方が好ましい。パラシュートの展開手段としては、飛行中のバッテリ切れ等のアクシデントを検知し、無人航空機の機体に密封されたパラシュートの密閉蓋を自動解放させるものなどを採用することができる。
パラシュートとしては、例えば、一般的なマッシュルームタイプのもの他、パラグライダーで使用されるライムエアータイプのものでもよく、徐々に落下できるものであればいかなるものでもよい。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明の飛行式店内広告システムによれば、店内広告を表示した無人航空機を、無線通信またはインターネット回線による通信を利用して飛行制御端末から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させる。その際、飛行する無人航空機が通路周辺の顧客の注目を集め、無人航空機に表示された店内広告を顧客が見ることで、各売場に分散している多数の顧客に、商品や催し物等の広告を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムの使用状態の斜視図である。
図2】この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムの一部である無人航空機を示す斜視図である。
図3】(a)この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムにおける広告紙媒体が1枚の円形シートのときの無人航空機の使用状態の斜視図である。(b)この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムにおける広告紙媒体が1枚の略矩形シートのときの無人航空機の使用状態の斜視図である。(c)この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムにおける広告紙媒体が4枚の略矩形シートのときの無人航空機の使用状態の斜視図である。
図4】この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムの電気系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
図1において、10はこの発明の実施例1に係る飛行式店内広告システムで、この飛行式店内広告システム10は、2階建て大型スーパーマーケットの2階部分において、タイムサービスの店内広告が表示された4台の無人航空機11を、パソコン(飛行制御端末)12から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させるものである。以下、これらを具体的に説明する。
【0022】
図2に示すように、各無人航空機11は、総重量190gの小型で垂直に離陸および着陸するクアッドリコプター方式の飛行ドローンである。各無人航空機11は、中央に配置された航空機本体13を有し、航空機本体13から90°間隔で4本の支持アーム14が放射状に延出している。各支持アーム14の先端部には、プロペラ15と、これを回転させるモータ16とを有した合計4つの推進ユニット17が配設されている。各推進ユニット17の下部には着地用の支脚18が配設されている。
【0023】
また、航空機本体13の左右の側方には、航空機本体13を中心にして線対称に配置された左右一対の側方バンパ19が配置されている。各側方バンパ19は、細長い枠体であって、なだらかな2つ山の湾曲形状を有し、水平面内で、プロペラ15の回転の領域を越えて延在している。また、各側方バンパ19は、対応する支持アーム14の先端から放射状に延びた2本の細長い支持枠20を介して、航空機本体13に連結されている。飛行中の無人航空機11が誤って障害物に衝突しても、プロペラ15との間に側方バンパ19があるため、プロペラ15を保護することができる。また、側方バンパ19が障害物と接触することで、無人航空機11を側方に跳ね返す効果があり、無人航空機11を障害物から離間させることができる。
【0024】
図1に示すように、各無人航空機11には、店内広告が表示されたA4用紙サイズの広告紙シート(広告紙媒体)21を吊り下げ状態で掛止する所定数の吊下掛止具(掛止具)22が設けられている。吊下掛止具22は、無人航空機11の所定箇所の下面に着脱自在に上端部が連結された短尺な連結ピン23と、連結ピン23の下端部に取り付けられたクリップ24とを有している。
図3(a)に示すように、広告紙シート21が1枚の円形シートの場合には、吊下掛止具22は航空機本体13の下面中央部に1つ取り付けられ、吊下掛止具22はそのクリップ24により円形の広告紙シート21の上端部が掛止(把持)される。また、図3(b)に示すように、広告紙シート21が1枚の略矩形シートの場合には、吊下掛止具22は左右の側方バンパ19の長さ方向の中間部の下面にそれぞれ1つずつ配設され、各クリップ24により略矩形状の広告紙シート21の一対の上隅部がそれぞれ掛止される。さらに、図3(c)に示すように、広告紙シート21が4枚の略矩形シートの場合には、吊下掛止具22は各側方バンパ19の長さ方向の両端部と、各側方バンパ19の長さ方向の中央部の両側部とにそれぞれ配設され(合計8つ)、各クリップ24により略矩形状の広告紙シート21のうちの両上隅部が掛止される。ここでは、広告紙シート21を4枚吊下する場合を例にとる。
【0025】
このように、広告がプリントされた4枚の大判の広告紙シート21を、吊下掛止具22を介して、航空機本体13の前後左右の側方から着脱自在に吊下したため、無人航空機11の近くで買い物をする顧客だけでなく、無人航空機11から離れた各売場にいる顧客にも、商品や催し物等の広告を報知することができる。また、吊下掛止具22を利用することで、各広告紙シート21を航空機本体13に着脱自在に取り付けることができる。
【0026】
次に、図4のブロック図を参照して、無人航空機11の電気系統について説明する。無人航空機11は、インターネット回線25による通信を行う航空機側通信手段26と、航空機側通信手段26により受信したパソコン12からの店内通路の飛行ルートデータに従い、無人航空機11を飛行させる航空機飛行手段27と、前方、左右、上空の障害物を検知する4つの超音波センサ(障害物接近検知センサ)28と、これらの超音波センサ28により周囲の障害物を感知し、飛行中の無人航空機11が障害物と衝突しないように回避する障害物回避手段29と、LEDライト30と、スピーカ31と、無人航空機11の電気系統の全体を制御する航空機側制御手段32と、バッテリ33とを有している。
【0027】
航空機飛行手段27は、航空機側制御手段32からの指令に基づき、無人航空機11を店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させ、かつリニアアクチュエータによる重心移動によって空中での姿勢制御を行う姿勢制御部34を有している。すなわち、航空機飛行手段27は、航空機側制御手段32からの指令に基づき、4つの推進ユニット17のモータ16、障害物回避手段29および姿勢制御部34のリニアアクチュエータをコントロールする。
障害物回避手段29は、前方、左右、上空の障害物を検知する4つの超音波センサ28を有し、各超音波センサ28により周囲の障害物を感知し、飛行中の無人航空機11が障害物に近づくと、自動的に無人航空機11が回避移動して衝突(接触)を回避するものである。
【0028】
LEDライト30は、航空機側制御手段32による制御の下で点灯または所定間隔で点滅するように、航空機本体13の外周部に多数配設されたフルカラー(RGB)LEDである。
スピーカ31は航空機本体13の外部に設けられ、航空機側制御手段32による制御の下で音声出力を行う。その元になる情報は、航空機側通信手段26によって受信したパソコン12から供給される。
航空機側制御手段32はCPUを内蔵している。航空機側制御手段32には、パソコン12から送信された店内通路の飛行ルートデータの記憶手段を電気的に接続してもよい。
【0029】
次に、図4のブロック図を参照して、パソコン12について説明する。
また、パソコン12は、店内通路の飛行ルートを設定する飛行ルート設定手段35と、飛行ルート設定手段35により得られた飛行ルートデータを記憶する記憶手段36と、インターネット回線25による通信を行う端末側通信手段37と、タイマ38と、自動データ送信手段39と、ライト点灯・点滅指示手段40と、モニタ41と、記憶手段36に記憶された飛行ルートデータを、端末側通信手段37から航空機側通信手段26に送信するとともに、パソコン12の電気系統の全体を制御する端末側制御手段42とを有している。
【0030】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1に示すように、飛行ルート設定手段35は、無人航空機11の店内通路に従った飛行ルートを設定するアプリケーションである。飛行ルート設定手段35の起動後、モニタ41に表示された店内レイアウトの作成画面に、マウス等を使用して、店内通路を含む店内のレイアウトと、無人航空機11の離着陸ステーションとを書き込み、さらに無人航空機11を飛行させたい店内通路上の飛行ルートを書き込む。飛行ルートは複数作成してもよい。ここでは、大型スーパーマーケットの日用品、衣料品等を販売する2階のレイアウトを作成するものとする。
【0031】
記憶手段36は、パソコン12に内蔵されたメモリ(RAM)である。記憶手段36に記憶された飛行ルートデータには、タイムセールが開催される時刻データ(午後2時開始、午後4時終了)が付加されている。また、記憶手段36には、あらかじめ店員がマイクにより録音した1階の食料品売り場で開催されるタイムセールで販売される商品の店内広告情報も記憶されている。
タイマ38は、パソコン12に内蔵されたデジタル時計である。
自動データ送信手段39は、タイマ38が設定時刻になると、記憶手段36に記憶された特定の飛行ルートデータを、パソコン12の端末側通信手段37からインターネット回線25を利用して航空機側通信手段26に自動的に送信するものである。
端末側制御手段42はCPUを内蔵している。
【0032】
次に、図1図4を参照して、この発明の実施例1に係る飛行式店内広告システム10による店内広告方法を説明する。なお、無人航空機11はバッテリ33を電源として、常時、飛行待機の状態であるものとする。
図1図4に示すように、パソコン12において、タイムセール開始時間の午後2時をタイマ38が検知した時、自動データ送信手段39が作動し、端末側制御手段42からの指令により記憶手段36に記憶された店内通路の飛行ルートデータと店内広告情報(音声データ)とが、インターネット回線25を介して、端末側通信手段37から無人航空機11へ自動的に送信される。
【0033】
次いで、これらのデータ信号を無人航空機11の航空機側通信手段26が受信すると、各データは航空機側制御手段32に送られる。その後、航空機側制御手段32からの指令に基づき、4つの推進ユニット17のモータ16がそれぞれ回転し、無人航空機11が浮上して店内通路の飛行ルートデータに従って店内の通路を飛行する(図2)。このとき、無人航空機11は、航空機本体13の前後左右の側面に配置された4枚の広告紙シート21を吊下した状態で、かつ床面から3mの高さを維持して飛行する。飛行中の姿勢は、姿勢制御部34からの指令基づく、リニアアクチュエータによる重心移動によって制御される。
飛行中、無人航空機11が障害物に近づくと、前方、左右、上空を検知エリアとする4つの超音波センサ28がこれを検知し、その検知信号が航空機側制御手段32から障害物回避手段29へ送られる。その後、障害物回避手段29からの指令に基づき、4つの推進ユニット17のモータ16の出力が適宜変更され、自動的に無人航空機11が回避行動を起こす。これにより、障害物との衝突を回避することができる。
【0034】
一方、店内広告情報は、航空機側制御手段32からスピーカ31へ送信され、例えば「只今、1階食料品売り場にてタイムサービスを実施しております。」というサービスタイムを報知する音声が流れる。
また、航空機本体13の外周面に配設された多数のLEDライト30を点灯または点滅させる際には、パソコン12の入力操作によってライト点灯・点滅指示手段40を起動し、LEDライト30の点灯または点滅信号を、インターネット回線25を利用して、端末側通信手段37から航空機側通信手段26に送信する。これにより、航空機側制御手段32から各LEDライト30へ指令が送られ、これらのLEDライト30が点灯または点滅する。これにより、無人航空機11の周辺で買い物中の顧客だけでなく、その周辺にいる顧客の注目も集めることができ、広告紙シート21やスピーカ31からの音声による宣伝効果をさらに高めることができる。
無人航空機11による店内通路の飛行は、1周(1回)のみでもよいし、サービスタイムが開催されている間中、巡回飛行させてもよい。さらには、設定された店内通路を1周したのち、離着陸ステージョンに戻ってバッテリ33の充電を行い、所定時間後に再び飛行させてもよい。
【0035】
このように、店内広告を表示した無人航空機11を、パソコン12から送信された飛行ルートデータに従って飛行させるようにしたため、店内通路上を飛行する無人航空機11が通路周辺の顧客の注目を集め、その顧客が店内広告を見ることで、各売場に分散している多数の顧客にサービスタイムの開催や商品の宣伝を行うことができる。
また、無人航空機11の重量を190gとしたことで、平成27年12月10日施行の改正航空法により規制されない模型航空機とすることができる。
【0036】
なお、この無人航空機11には、バッテリ切れ等により無人航空機11が落下する事故を防ぐため、図示しないパラシュートを航空機本体13に設けてもよい。具体的には、航空機本体13の上部にパラシュートが収められた収納部を設け、かつその開口部を蓋体により開閉自在に閉じるとともに、パラシュート収納部に緊急時に、蓋体を外方へ突き飛ばすソレノイドを設ける。
姿勢制御部34による無人航空機11の姿勢制御が不能状態を航空機側制御手段32が検知すると、航空機側制御手段32からソレノイドへ指令が送られ、ソレノイドピンにより蓋体を外方へ突き飛ばす。これにより、パラシュートが自動的に開き、無人航空機11が落下してプロペラ15等が破損することを防止することができ、かつ落下する無人航空機11が顧客と接触しても怪我を負わせるおそれが少ない。
【0037】
なお、あらかじめ商品陳列棚や商品サンプル等に、商品(新商品)の特徴や特売のデータが記憶部に記憶されたRFID[英: radio frequency identifier) ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波などを用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの]を取り付けておき、その後、無人航空機11がRFIDに近づいたとき、RFIDから無線発信された商品データが、無人航空機11に設けた無線通信手段が受信し、その後、航空機側制御手段32に送られることで、無人航空機11が商品棚の付近を旋回したり、商品の特徴や特売情報をスピーカ31からアナウンスするように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明の飛行式店内広告システムは、店内を飛行しながら商品や催し物等の広告を行う飛行式店内広告システムとして有用な技術である。
【符号の説明】
【0039】
10 飛行式店内広告システム
11 無人航空機
12 パソコン(飛行制御端末)
13 航空機本体
21 広告紙シート(広告紙媒体)
25 インターネット回線
26 航空機側通信手段
27 航空機飛行手段
29 障害物回避手段
30 LEDライト
31 スピーカ
32 航空機側制御手段
35 飛行ルート設定手段
36 記憶手段
37 端末側通信手段
38 タイマ
39 自動データ送信手段
42 端末側制御手段

【要約】
【課題】店内通路を飛行しながら、各売場に分散している多数の顧客に商品や催し物等の広告を行う飛行式店内広告システムを提供する
【解決手段】店内広告が表示された無人航空機11を、飛行制御端末12から送信された店内通路の飛行ルートデータに従って飛行させる飛行式店内広告システムであって、無人航空機11は、航空機側通信手段26と、飛行ルートデータに従い無人航空機11を飛行させる航空機飛行手段27とを有し、飛行制御端末12は、飛行ルート設定手段35と、飛行ルートデータの記憶手段36と、端末側通信手段37と、端末側制御手段42とを有している。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4