特許第6080156号(P6080156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6080156オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒及びオレフィン類重合体の製造方法
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  • 特許6080156-オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒及びオレフィン類重合体の製造方法 図000013
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080156
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒及びオレフィン類重合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/654 20060101AFI20170206BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   C08F4/654
   C08F10/00 510
【請求項の数】7
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-281226(P2012-281226)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-125498(P2014-125498A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(74)【代理人】
【識別番号】100071663
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 保夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131255
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100125324
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 健
(72)【発明者】
【氏名】丸井 新太
(72)【発明者】
【氏名】河野 浩之
【審査官】 藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−169803(JP,A)
【文献】 特開平11−029611(JP,A)
【文献】 特開昭61−174204(JP,A)
【文献】 特開昭60−152511(JP,A)
【文献】 特開2003−183319(JP,A)
【文献】 特開平09−104714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・IPC
C08F 4/654
C08F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアルコキシマグネシウム、4価のチタンハロゲン化合物および、下記一般式(1);
【化1】


(1)
(式中、RとRは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、Rが結合して環を形成していても良い。Rは、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、Rは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物、下記一般式(2);
【化2】


(2)
(式中、RとRは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、RとRが結合して環を形成していても良い。Rは、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、Rは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物および下記一般式(3);
【化3】


(3)
(式中、RとR10は水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、RとR10が互いに結合して環を形成していても良い。R11は、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、R12は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物より選択される1種又は2種以上を接触させて得られることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分。
【請求項2】
前記一般式(1)の化合物が、フタル酸ジビニル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジビニル又はマレイン酸ジアリルであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
【請求項3】
前記一般式(2)の化合物が、コハク酸ジビニル、コハク酸ジアリル、ジイソプロピルコハク酸ジビニル又はジイソプロピルコハク酸ジアリルであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
【請求項4】
前記一般式(3)の化合物が、マロン酸ジビニル、マロン酸ジアリル、ジイソブチルマロン酸ジビニル又はジイソブチルマロン酸ジアリルであることを特徴とする請求項1記載のオレフィン類重合用固体触媒成分。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分、
下記一般式(4); R13AlQ3−p (4)
(式中、R13は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の整数である。)で表される有機アルミニウム化合物、および外部電子供与性化合物を接触させて得られるオレフィン類重合用触媒。
【請求項6】
前記の外部電子供与性化合物が、
下記一般式(5); R14Si(OR15) 4−q (5)
(式中、R14は炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基あるいはシクロアルケニル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基あるいは置換基を有する芳香族炭化水素基を示し、14が複数の場合、複数存在するR14同士は、同一または異なっていてもよい。R15は炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基あるいは置換基を有する炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を示し、15が複数の場合、複数存在するR15同士は、同一または異なっていてもよく、qは0≦q≦3の整数である。)で表される有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項5に記載のオレフィン類重合用触媒。
【請求項7】
請求項5または6のいずれかに記載のオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行なうことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合初期の反応が抑制され、重合活性が長時間持続し、かつ微粉の少ない重合体を高収量で得ることができるオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合触媒及びこれを使用するオレフィン類の重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オレフィン類の重合においては、マグネシウム、チタン、電子供与性化合物及びハロゲンを必須成分として含有する固体触媒成分が知られている。また該固体触媒成分、有機アルミニウム化合物及び有機ケイ素化合物から成るオレフィン類重合用触媒の存在下に、プロピレンを重合もしくは共重合させるオレフィン類の重合方法が数多く提案されている。例えば、特開昭57−63310号公報および特開昭57−63311号公報、特開平1−6006号公報には、マグネシウム化合物、チタン化合物およびフタル酸ジエステルをはじめとするジエステル化合物の電子供与体を含有する固体触媒成分と有機アルミニウム化合物およびSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物との組み合わせから成る触媒を用いて、炭素数3以上のオレフィンを重合させる方法が開示されている。
【0003】
このようにして合成したオレフィン重合触媒は、一般的に高い重合活性を示すものの、重合初期における反応が激しく、時間の経過と共に重合活性が急激に低下するような、いわゆる初期活性が高い固体触媒であり、このような初期活性が高い固体触媒は、重合反応時の発熱が激しく、これにより固体触媒粒子が崩壊しやすくなり、微粉重合体の大量発生、或いは発生した微粉重合体が溶融、凝集体を形成する等の問題が発生する。この問題は、均一な反応の継続を妨げ、重合体移送時における配管の閉塞をもたらす等のプロセス障害を引き起こし、プロセスの運転を停止せざるを得ない場合がある。
【0004】
また、時間の経過と共に重合活性が急激に低下し、重合活性が長時間持続されないため、多段重合によりインパクトコポリマーなどの共重合体を生産する際は、2段目以降の重合において、重合ゴム成分を少量しか含有させることができないといった問題をも有していた。そのため、オレフィン重合プロセスにおいては、上記のような問題を引き起こさない重合触媒、即ち高活性を発現すると同時に初期活性が抑制された重合触媒が求められていた。
【0005】
従って、本発明の目的は、重合初期における触媒の過剰な活性化が抑制され、重合活性が長時間持続し、かつ微粉の少ない重合体を、高収量で得ることが可能なオレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用触媒及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することにある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、内部電子供与性化合物が、少なくとも1つのエステル残基−C(=O)−ORのRが不飽和結合を有するカルボン酸エステルであるオレフィン重合用触媒が、重合初期における触媒の過剰な活性化が抑制され、重合活性が長時間持続し、かつ微粉の少ない重合体を、高収量で得ることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、ジアルコキシマグネシウム、4価のチタンハロゲン化合物および、下記一般式(1);
【化1】
(1)
(式中、RとRは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、Rと Rが結合して環を形成していても良い。R3は、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、Rは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物、下記一般式(2);
【化2】
(2)
(式中、RとRは水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、RとRが結合して環を形成していても良い。Rは、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、Rは炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物および下記一般式(3);
【化3】
(3)
(式中、RとR10は水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、同一でも異なっていてもよく、RとR10が結合して環を形成していても良い。R11は、ビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基を示し、R12は炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜12の分岐アルキル基、ビニル基、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または分岐アルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す。)で表される化合物より選択される1種又は2種以上を接触させて得られることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、該オレフィン類重合用固体触媒成分、下記一般式(4);
13AlQ3−p (4)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3の整数である。)で表される有機アルミニウム化合物、および外部電子供与性化合物を接触させて得られるオレフィン類重合用触媒を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、該オレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分およびオレフィン類重合用触媒を用いれば、重合初期におけるオレフィン類重合用触媒の過剰な活性化が抑制され、重合活性が長時間持続し、かつ微粉の少ない重合体を、高収量で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の重合触媒を調製する工程を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(オレフィン類重合用固体触媒成分及びその製造方法)
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分(以下、単に「固体触媒成分(A)」とも言う。)は、ジアルコキシマグネシウム、4価のチタンハロゲン化合物、前記一般式(1)、(2)および(3)で表されるジエステル化合物の1種又は2種以上を接触させて得られる。
【0013】
該ジアルコキシマグネシウム(以下、単に「成分(a)」とも言う。)としては、一般式(6);
Mg(OR16)(OR17) (6)
(式中、R16及びR17は炭素数1〜10の直鎖状アルキル基または炭素数3〜20の分岐アルキル基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。)で表されるものが好ましく、R16及びR17が炭素数1〜4の直鎖状アルキル基または炭素数3〜4の分岐アルキル基であるジアルコキシマグネシウムがより好ましい。具体的には、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム、ブトキシエトキシマグネシウム等が挙げられる。特に好ましくは、ジエトキシマグネシウムである。
【0014】
また、これらのジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲンあるいはハロゲン含有金属化合物等の存在下にアルコールと反応させて得たものでもよい。また、上記のジアルコキシマグネシウムは、1種単独又は2種以上併用することもできる。
【0015】
また、ジアルコキシマグネシウムは、顆粒状又は粉末状であり、その形状は不定形あるいは球状のものを使用し得る。例えば球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時の生成重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の問題が解消される。
【0016】
上記の球状ジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的にその粒子の形状は、長軸径1と短軸径wとの比(1/w)が3以下であり、好ましくは1から2であり、より好ましくは1から1.5である。
【0017】
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は1から200μmのものが使用し得る。好ましくは5から150μmである。球状のジアルコキシマグネシウムの場合、その平均粒径は1から100μm、好ましくは5から50μmであり、更に好ましくは10から40μmである。また、その粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものを使用することが望ましい。具体的には、5μm以下の粒子が20%以下であり、好ましくは10%以下である。一方、100μm以上の粒子が10%以下であり、好ましくは5%以下である。更にその粒度分布を1n(D90/D10)(ここで、D90は積算粒度で90%における粒径、D10は積算粒度で10%における粒径である。)で表すと3以下であり、好ましくは2以下である。
【0018】
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムの製造方法は、例えば特開昭58−41832号公報、同62−51633号公報、特開平3−74341号公報、同4−368391号公報、同8−73388号公報などに例示されている。
【0019】
該4価のチタンハロゲン化合物(b)は、一般式(7);
Ti(OR184−n (7)
(式中、R18は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、nは0≦n≦4の整数である。)で表されるチタンハライドもしくはアルコキシチタンハライドから選択される化合物の1種あるいは2種以上である。
【0020】
具体的には、チタンハライドとしてチタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライド、アルコキシチタンハライドとしてメトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n−ブトキシチタントリクロライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ−n−ブトキシチタンジクロライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ−n−ブトキシチタンクロライド等が例示される。このうち、チタンテトラハライドが好ましく、特に好ましくはチタンテトラクロライドである。これらのチタン化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
【0021】
また、4価のチタンハロゲン化合物(b)に加え、4価のシランハロゲン化合物を併用することも、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分における好ましい形態の一つである。4価のシランハロゲン化合物として、具体的には、テトラクロロシラン(四塩化ケイ素)、テトラブロモシラン等のシランテトラハライド、メトキシトリクロロシラン、エトキシトリクロロシラン、プロポキシトリクロロシラン、n−ブトキシトリクロロシラン、ジメトキシジクロロシラン、ジエトキシジクロロシラン、ジプロポキシジクロロシラン、ジ−n−ブトキシジクロロシラン、トリメトキシクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、トリプロポキシクロロシラン、トリ−n−ブトキシクロロシラン等のアルコキシ基含有ハロゲン化シランを挙げることができ、これらの中でもシランテトラハライドが好ましく、特に好ましいものはテトラクロロシラン(四塩化ケイ素)である。
【0022】
次に、該一般式(1)、(2)および(3)で表される化合物から選択される1種又は2種以上(以下、単に「成分(c)」とも言う。)について説明する。前記一般式(1)中のRとRにおいて、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0023】
また、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0024】
また、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜12のアルケニル基である。炭素数3〜20の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基である。
【0025】
また、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。
【0026】
また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0027】
また、一般式(1)中、RとRが互いに結合して環を形成していてもよく、例えば、R、RおよびR、Rと結合する炭素原子により形成される環としては、例えば、炭素数4〜24のシクロアルケニル環、炭素数6〜24の芳香族環などが挙げられる。好ましくは炭素数5〜12のシクロアルケニル環あるいは炭素数6〜12の芳香族環である。
【0028】
一般式(1)で表される化合物のうち、好ましいものは、RとRが、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、またはRとRが互いに結合して形成された炭素数6〜12のシクロアルケニル環あるいは炭素数6〜12の芳香族環より選ばれる基であり、特に好ましくは、RとRが水素原子、メチル基、エチル基であるか、またはRとRが互いに結合して形成された炭素数6〜12の芳香族環である。
【0029】
前記一般式(1)のRにおいて、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の直鎖状アルケニル基である。また、炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基である。
【0030】
また、Rにおいて、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0031】
また、Rにおいて、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0032】
また、Rにおいて、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられる。炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0033】
また、Rにおいて、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。また、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0034】
上記一般式(1)の化合物の中、RとRの好ましいものは、RとRがそれぞれビニル基、末端にC=C結合を有する炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基または炭素数3〜12の分岐アルケニル基であり、特に好ましくは、ビニル基または末端にC=C結合を有する炭素数3〜8の直鎖状アルケニル基である。なお、末端にC=C結合を有するアルケニル基とは、RまたはRの炭素鎖において、エステル部位の酸素と結合していない側の端部にC=C結合を有する基である。
【0035】
上記一般式(1)の化合物の中、特に好ましい化合物は、フタル酸ジビニル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジビニルおよびマレイン酸ジアリルである。
【0036】
前記一般式(2)中のRとRにおいて、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0037】
また、RとRにおいて、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0038】
また、RとRにおいて、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜12のアルケニル基である。炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基である。
【0039】
また、RとRにおいて、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。
【0040】
また、RとRにおいて、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0041】
また、一般式(2)中、RとRが互いに結合して環を形成していてもよく、例えば、R、RおよびR、Rと結合する炭素原子により形成される環としては、例えば、炭素数4〜24のシクロアルキル環などが挙げられ、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルキル環である。
【0042】
上記一般式(2)で表される化合物のうち、好ましいものは、RとRが共に水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基または炭素数3〜12の分岐アルキル基から選ばれる基であり、特に好ましくは、RとRがともに水素原子、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基または炭素数3〜8の分岐アルキル基であるものである。
【0043】
上記一般式(2)のRにおいて、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の直鎖状アルケニル基である。また、炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基である。
【0044】
また、Rにおいて、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0045】
また、Rにおいて、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0046】
また、Rにおいて、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられる。炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、末端にC=C結合を有する炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基である。なお、R〜Rにおいて、末端とは、RとRの炭素鎖のエステル部位の酸素原子と結合していない側を言う。
【0047】
また、Rにおいて、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。
【0048】
また、Rにおいて、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0049】
また、一般式(2)で表される化合物において、RとRの好ましいものは、RとRのうち、少なくとも1つがビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基であり、より好ましくは少なくとも1つがビニル基またはアリル基であり、更に好ましくはRとRが共にビニル基またはアリル基であり、特に好ましくは、コハク酸ジビニル、コハク酸ジアリル、ジイソプロピルコハク酸ジビニルまたはジイソプロピルコハク酸ジアリルである。
【0050】
前記一般式(3)中のRとR10において、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0051】
また、RとR10において、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0052】
また、RとR10において、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜12のアルケニル基である。炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基である。
【0053】
また、RとR10において、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。
【0054】
また、RとR10において、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0055】
また、一般式(3)中、RとR10が互いに結合して環を形成していてもよく、例えば、RとR10およびRとR10と結合する炭素原子により形成される環としては、例えば、炭素数4〜24のシクロアルケニル環などが挙げられ、好ましくは炭素数5〜7のシクロアルケニル環である。
【0056】
一般式(3)で表される化合物のうち、RとR10の好ましいものは、RとR10が共に水素原子、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基であるか、または炭素数3〜12の分岐アルキル基から選ばれる基であり、特に好ましくは、RとR10がともに水素原子であるか、または、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基、炭素数3〜8の分岐アルキル基であるものである。
【0057】
前記一般式(3)のR11とR12において、炭素数1〜12の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基である。
【0058】
また、R11とR12において、炭素数3〜12の分岐アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの2級炭素または3級炭素を有するアルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルキル基である。
【0059】
また、R11とR12において、炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基としては、例えばアリル基、3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、7−オクテニル基、10−ドデセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜12のアルケニル基である。炭素数3〜12の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニル基、2−エチル−3−ヘキセニル基等が挙げられ、好ましくは、炭素数3〜8の分岐アルケニル基であり、特に好ましくは、末端にC=C結合を有する、炭素数3〜8のアルケニル基である。なお、末端とは、R11とR12の炭素鎖のエステル部位の酸素と結合していない側を言う。
【0060】
また、R11とR12において、炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられる。好ましくは、炭素数3〜8のシクロアルキル基である。
【0061】
また、R11とR12において、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、4−フェニルブチル基、2−フェニルヘプチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、1,8−ジメチルナフチル基等が挙げられ、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素基である。
【0062】
また、一般式(3)で表される化合物のうち、R11とR12の好ましいものは、R11とR12のうち少なくとも1つがビニル基または炭素数3〜12の直鎖状アルケニル基であり、より好ましくはR11とR12の少なくとも1つがビニル基またはアリル基であり、更に好ましくは、R11とR12が共にビニル基またはアリル基であり、特に好ましくは、マロン酸ジビニル、マロン酸ジアリル、ジイソブチルマロン酸ジビニルまたはジイソブチルマロン酸ジアリルである。
【0063】
本発明においては、電子供与性化合物を、上記範囲とすることで、二重結合基が重合初期の有機アルミによる活性点の過剰な活性化反応を抑制させ、初期活性を低下させることが出来る。なお、これらの電子供与性化合物は単独あるいは2種以上併用することもできる。
【0064】
上記固体触媒成分(A)の調製において、電子供与性化合物として、上記成分(c)以外の内部電子供与性化合物(以下、単に「成分(x)」とも言う。)を接触させることも、重合初期における過剰な重合反応を抑制しつつ、かつ、重合時に得られるオレフィン類重合体の立体規則性を向上し、また、分子量分布や水素応答性を、所望の程度に制御することができる点から、本発明の好ましい態様の一つである。
【0065】
このような成分(x)としては、酸ハライド類、酸アミド類、ニトリル類、酸無水物、カーボネート類、エーテル化合物類および上記成分(c)以外のカルボン酸エステル類などが挙げられる。上記の中でも、成分(c)と、コハク酸ジエステル、シクロアルカンジカルボン酸ジエステル、シクロアルケンジカルボン酸ジエステル、芳香族カルボン酸ジエステル、マロン酸ジエステル、アルキル置換マロン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル等のカルボン酸ジエステルおよびジエーテル化合物から選ばれる1種以上の成分(x)とを併用することが好ましく、より好ましくは、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチルなどのフタル酸ジエステルとの併用であり、特に好ましくは、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−プロピル、フタル酸ジ−n−ブチル及びフタル酸ジイソブチルとの併用である。なお、これらの成分(x)は、1種単独あるいは2種以上併用することもできる。
【0066】
以下に、本発明の固体触媒成分(A)の接触(調製)方法について説明する。成分(A)は、上記成分(a)、(b)及び(c)を、好ましくは芳香族炭化水素化合物の存在下で接触させることによって得ることができる。芳香族炭化水素化合物としては、具体的にはトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの沸点が50〜150℃の芳香族炭化水素化合物が好ましく、これらは1種単独または2種以上混合して使用してもよい。更に、成分(A)は、成分(a)を、アルコール、ハロゲン化炭化水素溶媒、成分(b)または芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、成分(c)及び/または成分(b)を接触しても得ることもできる。該方法において、成分(a)として球状のマグネシウム化合物を用いることにより、球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることができ、また球状のマグネシウム化合物を用いなくとも、例えば噴霧装置を用いて溶液あるいは懸濁液を噴霧・乾燥させる、いわゆるスプレードライ法により粒子を形成させることにより、同様に球状でかつ粒度分布のシャープな固体触媒成分を得ることができる。
【0067】
各成分の接触は、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら行われる。接触温度は、各成分の接触時の温度であり、反応させる温度と同じ温度でも異なる温度でもよい。接触温度は、単に接触させて撹拌混合する場合や、分散あるいは懸濁させて変性処理する場合には、室温付近の比較的低温域であっても差し支えないが、接触後に反応させて生成物を得る場合には、40〜130℃の温度域が好ましい。反応時の温度が40℃未満の場合は充分に反応が進行せず、結果として調製された固体触媒成分の性能が不充分となり、130℃を超えると使用した溶媒の蒸発が顕著になるなどして、反応の制御が困難になる。なお、反応時間は1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。
【0068】
本発明の好ましい固体触媒成分(A)の調製方法としては、成分(a)を成分芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで成分(b)を接触させた後に成分(c)を接触させ、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法、あるいは、成分(a)を芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで成分(c)を接触させた後に成分(b)を接触させ、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法を挙げることができる。
【0069】
また、本発明において上記成分(a)〜(c)の他、更に成分(x)を併用する際の、好ましい固体触媒成分(A)の調製方法としては、成分(a)を芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで成分(b)を接触させた後に成分(x)を接触させ、中間洗浄後成分(c)を接触、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法、あるいは、成分(a)を芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いで成分(x)を接触させた後に成分(b)を接触させ、中間洗浄後成分(c)を接触、反応させることにより固体触媒成分(A)を調製する方法を挙げることができる。
【0070】
以下に、本発明の固体成分(b)を調製する際の好ましい接触順序をより具体的に例示する。
(1)(a)→(b)→(c)→《中間洗浄→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(2)(a)→(c)→(b)→《中間洗浄→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(3)(a)→(b)→(c)→《中間洗浄→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(4)(a)→(b)→(c)→《中間洗浄→(c)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(5)(a)→(c)→(b)→《中間洗浄→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(6)(a)→(c)→(b)→《中間洗浄→(c)→(b)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(7)(a)→(b)→(x)→《中間洗浄→(c)→中間洗浄→(b)》→
最終洗浄→固体触媒成分(A)
(8)(a)→(x)→(b)→《中間洗浄→(c)→中間洗浄→(b)》→
最終洗浄→固体触媒成分(A)
(9)(a)→(b)→(x)→《中間洗浄→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(10)(a)→(x)→(b)→《中間洗浄→(b)→(c)》→最終洗浄→固体触媒成分(A)
(11)(a)→(b)→(x)→《中間洗浄→(b)》→中間洗浄→(c)→
最終洗浄→固体触媒成分(A)
(12)(a)→(x)→(b)→《中間洗浄→(b)》→中間洗浄→(c)→
最終洗浄→固体触媒成分(A)
【0071】
なお、上記の各接触方法において、二重かっこ(《 》)内の工程については、必要に応じ、複数回繰り返し行なうことで一層活性が向上する。かつ《 》内の工程で用いる成分(b)は、新たに加えたものでも、前工程の残留分のものでもよい。また、上記(1)〜(12)で示した洗浄工程以外でも、各接触段階で得られる生成物を、常温で液体の炭化水素化合物で洗浄することもできる。
【0072】
以上を踏まえ、本願における固体触媒成分(A)の特に好ましい調製方法としては、ジアルコキシマグネシウム(a)を沸点50〜150℃の芳香族炭化水素化合物に懸濁させ、次いでこの懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させた後、反応処理を行う。この際、該懸濁液に4価のチタンハロゲン化合物(b)を接触させる前又は接触した後に、成分(c)を、−20〜130℃で接触させ、さらに成分(c)を接触させ、反応処理を行い、固体反応生成物を得る。この際、成分(c)を接触させる前または後に、低温で熟成反応を行なうことが望ましい。この固体反応生成物を常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(中間洗浄)した後、再度4価のチタンハロゲン化合物(b)を、芳香族炭化水素化合物の存在下に、−20〜100℃で接触させ、反応処理を行い、固体反応生成物を得る。なお必要に応じ、中間洗浄及び反応処理を更に複数回繰り返してもよい。次いで固体反応生成物を、常温で液体の炭化水素化合物で洗浄(最終洗浄)し、固体触媒成分(A)を得る。
【0073】
上記の処理あるいは洗浄の好ましい条件は以下の通りである。
・低温熟成反応:−20〜70℃、好ましくは−10〜60℃、より好ましくは0〜30℃で、1分〜6時間、好ましくは5分〜4時間、特に好ましくは10分〜3時間。
・反応処理:40〜130℃、好ましくは70〜120℃、特に好ましくは80〜115℃で、0.5〜6時間、好ましくは0.5〜5時間、特に好ましくは1〜4時間。
・洗浄:0〜110℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは30〜90℃で、1〜20回、好ましくは1〜15回、特に好ましくは1〜10回。
【0074】
なお、洗浄の際に用いる炭化水素化合物は、常温で液体の芳香族あるいは飽和炭化水素化合物が好ましく、具体的には、芳香族炭化水素化合物としてトルエン、キシレン、エチルベンゼンなど、飽和炭化水素化合物としてヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。好ましくは、中間洗浄では芳香族炭化水素化合物を、最終洗浄では飽和炭化水素化合物を用いることが望ましい。
【0075】
固体触媒成分(A)を調製する際の各成分の使用量比は、調製法により異なるため一概には規定できないが、例えばジアルコキシマグネシウム(a)1モル当たり、4価のチタンハロゲン化合物(b)が0.5〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜10モルであり、成分(c)または成分(c)と成分(x)の合計量が0.005〜10モル、好ましくは0.005〜1モル、より好ましくは0.01〜0.5モルであり、芳香族炭化水素化合物が0.001〜500モル、好ましくは0.001〜100モル、より好ましくは0.005〜10モルである。
【0076】
また本発明における固体触媒成分(A)中のチタン、マグネシウム、ハロゲン原子、電子供与性化合物の含有量は特に規定されないが、好ましくは、チタンが1.0〜8.0重量%、好ましくは1.5〜7.0重量%、より好ましくは2.0〜6.0重量%、マグネシウムが10〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは15〜25重量%、ハロゲン原子が20〜85重量%、より好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは45〜75重量%、成分(c)が0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜25重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%である。なお、固体触媒成分(A)が成分(x)を含む場合、成分(c)含有量に対する成分(x)含有量の比は、成分(c)1モルに対し0.01〜10モル、好ましくは1〜10モル、より好ましくは3〜8モルである。
【0077】
上記固体触媒成分(A)の調製においては、上記成分の他、更に、ポリシロキサンを使用することが好ましく、ポリシロキサンを用いることにより生成ポリマーの立体規則性あるいは結晶性を向上させることができ、さらには生成ポリマーの微粉を低減することが可能となる。ポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合(−Si−O−結合)を有する重合体であるが、シリコーンオイルとも総称され、25℃における粘度が0.02〜100cm/s(2〜10000センチストークス)、より好ましくは0.03〜5cm/s(3〜500センチストークス)を有する、常温で液状あるいは粘稠状の鎖状、部分水素化、環状あるいは変性ポリシロキサンである。
【0078】
鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが、部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10〜80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが、環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、2,4,6−トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサンが、また変性ポリシロキサンとしては、高級脂肪酸基置換ジメチルシロキサン、エポキシ基置換ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン基置換ジメチルシロキサンが例示される。これらの中で、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びジメチルポリシロキサンが好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。これらのポリシロキサンは、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンのような有機溶媒に溶解して使用することもできる。
【0079】
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物(B)としては、一般式(4);R13 AlY3−q (4)
(式中、R13 は炭素数1から4のアルキル基、Yは水素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかの原子であり、qは0<q≦3の実数である)で表される有機アルミニウム化合物が用いられる。このような有機アルミニウム化合物(B)としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムハイドライド等が挙げられ、その1種あるいは2種以上が使用でき、好ましくは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムである。
【0080】
本発明のオレフィン類重合用触媒を形成する際に用いられる有機ケイ素化合物(C)としては、一般式(5);R14Si(OR154−q (5)
(式中、R14は炭素数1〜12のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基あるいはシクロアルケニル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基あるいは置換基を有する芳香族炭化水素基を示し、同一または異なっていてもよい。R15は炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、炭素数3〜12のアルケニル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、または炭素数6〜12の芳香族炭化水素基あるいは置換基を有する炭素数7〜12の芳香族炭化水素基を示し、同一または異なっていてもよく、qは0≦q≦3の整数である。で表される化合物が用いられる。
【0081】
上記のような有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニル(アルキル)アルコキシシラン、ビニルシラン、アリルシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキル(アルキル)アルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(ジアルキルアミノ)アルコキシシラン、シクロアルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、(多環状アミノ)アルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルキルシラン、(ジアルキルアミノ)アルキルシラン、シクロアルキル(アルキルアミノ)アルキルシラン、(多環状アミノ)アルキルシラン等を挙げることができ、中でも、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジエトキシシラン、シクロペンチルエチルジエトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジエトキシシラン、3−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、4−メチルシクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、3,5−ジメチルシクロヘキシル(シクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(エチルアミノ)メチルエチルシラン、t−ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(メチルアミノ)(メチルシクロペンチルアミノ)メチルシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ビス(シクロヘキシルアミノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、エチル(イソキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(メチルアミノ)ジt−ブチルシラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロペンチルシランおよびビス(エチルアミノ)ジイソプロピルシランが好ましく用いられる。なお、該有機ケイ素化合物(C)は1種あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0082】
本発明のオレフィン類重合用触媒は、成分(A)、成分(B)、および成分(C)を接触させて得られ、該触媒の存在下にオレフィン類の重合を行う。重合に用いられるオレフィン類は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等であり、これらのオレフィン類を1種あるいは2種以上併用することができる。好ましくは、エチレン、プロピレン及び1−ブテンが用いられ、特に好ましくはエチレンおよびプロピレンである。
【0083】
本発明のオレフィン類重合用触媒を用いてプロピレンを重合する際、他のオレフィン類との共重合を行うこともできる。共重合に用いられるオレフィン類としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン等が例示され、これらのオレフィン類は1種あるいは2種以上併用することができる。とりわけ、エチレン及び1−ブテンが好適に用いられる。
【0084】
各成分の使用量比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり、特に限定されるものではないが、通常成分(B)は成分(A)中のチタン原子1モル当たり、1〜2000モル、好ましくは50〜1000モルの範囲で用いられる。成分(C)は、(B)成分1モル当たり、0.002〜10モル、好ましくは0.01〜2モル、特に好ましくは0.01〜0.5モルの範囲で用いられる。
【0085】
各成分の接触順序は任意であるが、重合系内にまず有機アルミニウム化合物(B)を装入し、次い
で有機ケイ素化合物(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させることが望ましい。
【0086】
本発明におけるオレフィンの重合は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができ、またプ
ロピレン等のオレフィン単量体は、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。
【0087】
本発明におけるオレフィンの重合には、炭素数2〜10の1−オレフィンの重合に用いられるような、慣用の方法を用いることができ、重合方式としては、有機溶媒の存在下、気体または液体のモノマーを供給し重合を行なうスラリー重合、液化プロピレンなど液体のモノマー存在下に重合を行なうバルク重合、気体状のモノマー存在下に重合を行う気相重合等が挙げられ、これら方式のいずれであっても重合反応を行うことができ、特に好ましくは気相重合が用いられる。また、例えば特許2578408号公報に記載されている方法や特許第4392064号公報、特開2009−292964号公報などに記載されている連続的気相重合法、或いは特許第2766523号公報に記載されている重合法にも適用することが可能である。なお、上記の重合反応は、バッチ式、または連続的に行うことができる。更に、重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上で行ってもよい。
【0088】
本発明におけるオレフィンの重合方式において好適に用いられる反応器としては、例えば、攪拌機付オートクレーブ、流動槽などの反応器が挙げられ、この反応器中に粒状又は粉末状の固体触媒成分を収容し、攪拌装置あるいは流動床を用いて動きを与える。
【0089】
プロピレン重合体の分子量は、重合技術において慣用の調整剤、例えば水素を添加することにより広範囲に調整し、設定することが可能である。また、プロピレンと、その他のコモノマーとの共重合を行なう際、コモノマーの重合体鎖への組み込みは、炭素数1〜8のアルカノール、特にイソプロパノールを適宜添加することにより調整可能である。なお、重合熱を除去するために液状の易揮発性炭化水素、たとえばプロパンやブタンを供給し、重合帯域中で気化させてもよい。重合温度は、200℃以下、好ましくは100℃以下であり、特に好ましくは50〜90℃である。重合圧力は、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaであり、特に好ましくは1〜4MPaである。
【0090】
プロピレンと、その他のコモノマーとの共重合を行なう際、プロピレンとコモノマーの分圧が1:99〜99:1となるように調節する。好ましくはプロピレンとコモノマーの分圧が50:50〜99:1である。
【0091】
更に、本発明においてオレフィン類重合用固体触媒成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する触媒を用いてオレフィンを重合するにあたり(本重合ともいう。)、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが望ましい。予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類あるいはスチレン等のモノマーを用いることができる。
【0092】
予備重合を行うに際して、各成分及びモノマーの接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いでオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいは2種以上の他のオレフィン類を接触させる。成分(C)を組み合わせて予備重合を行う場合は、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内にまず成分(B)を装入し、次いで成分(C)を接触させ、更にオレフィン類重合用固体触媒成分(A)を接触させた後、プロピレン等のオレフィン及び/または1種あるいはその他の2種以上のオレフィン類を接触させる方法が望ましい。
【0093】
上記一般式(1)〜(3)で表される不飽和結合を有するカルボン酸エステルは、不飽和結合を有するエステル残基が、チタン活性点の周りに担持されることで、チタン活性点と不飽和結合が相互作用し、チタン活性点と他の化合物との反応性が、適度に制御されると推定される。その結果、不飽和結合を有するエステル残基が周りに担持されたチタン活性点への、有機アルミニウム化合物による急激な活性化反応、すなわち重合初期の急激な発熱反応が抑制され、結果として固体触媒成分の重合初期の活性が低下し、かつ、長時間重合活性を維持できるものと考えられる。そのため、上記一般式(1)、(2)または(3)で表される不飽和結合を有するカルボン酸エステルを含有するオレフィン類重合用触媒の存在下でオレフィン類の重合を行うことにより、従来の触媒を使用した場合に比べて重合初期の活性が抑制され、微粉の少ない重合体を高収量で得ることができる。
【0094】
(実施例)
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
【実施例1】
【0095】
<固体触媒成分(A−1)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g、トルエン100ml、フタル酸ジアリル5.0ml(22.6ミリモル)を装入して懸濁液を形成した。次いで該懸濁液を、窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量300mlの丸底フラスコに予め装入され、液温5℃に保持されたチタンテトラクロライド60mlとトルエン40mlの混合溶液中に添加し、液温5℃で1時間保持した。次いで、該懸濁液と混合溶液の混合物を液温105℃まで昇温し、105℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を90℃のトルエン200mlで4回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン100ml、チタンテトラクロライド20mlを添加し100℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した(ここまでを「I工程」と言う。)。前記のチタンテトラクロライドの再添加操作を更に5回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン150mlで6回洗浄し、固体触媒成分を得た。なお、この固体触媒成分中のチタン含有量は7.5重量%であった。
【0096】
<重合用触媒の形成及び重合>
窒素ガスで完全に置換された内容積2.0リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.13ミリモルおよび前記固体触媒成分(A−1)をチタン原子として0.0026ミリモル装入し、重合触媒を形成した。その後、水素ガス1.5リットル、液化プロピレン1.4リットルを装入し、20℃で5分間予備重合を行った後に昇温し、70℃で1時間重合反応を行った。触媒活性、最大プロピレン反応速度、G/Eおよび得られた重合体の75μm以下の微粉量(Vol%)を測定した。その結果を表1に示した。
【0097】
<固体触媒成分中のチタン含有量>
固体触媒成分中のチタン原子含有量は、JIS 8311−1997「チタン鉱石中のチタン定量方法」に記載の方法(酸化還元滴定)に準じて測定した。
【0098】
<触媒活性>
固体触媒成分1g当たり、重合時間の1時間当たりの生成重合体量(D)gを示す触媒活性(E)は下式により算出した。 触媒活性(E)=生成重合体(D)g/固体触媒成分g
【0099】
<プロピレン反応速度の測定>
プロピレンガスで完全に置換された内容積1.5リットルの攪拌機付オートクレーブに、ヘプタン700mL、トリエチルアルミニウム2.11ミリモルおよびシクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.21ミリモルを投入した。20℃下で5分間後、水素ガス100mlを投入し、80℃まで昇温した。プロピレンの圧力を0.6MPaに調整し、ミネラルオイルに分散させた前記固体触媒成分をチタン原子として0.0084ミリモル投入し、30分のスラリー重合を行った。重合中のプロピレン反応速度は、マスフローメーターを用い、プロピレン吸収速度(リットル/分)を逐次測定した。プロピレン反応速度は、プロピレン吸収速度に等しいと見積もり、次式により求めた。また、下記反応速度の測定において記録された最大値G(kg−C/g−触媒・時間)を、固体触媒成分の触媒活性E(kg−PP/g−触媒)で割った値(G/E)を求め、重合初期における急激な重合反応の起こりやすさを判断する指標とした。
【0100】
プロピレン反応速度(kg−C/g−触媒・時間)
=プロピレン吸収速度(リットル/分)×60(分/時間)/22.4(リットル/mol)×42(g/mol)/固体触媒成分(g)/1000(kg/g)
【0101】
<75μm以下の微粉の測定方法>
得られた重合体の75μm以下の微粉量は、デジタル画像解析式粒子径分布測定装置(「カムサイザー」、堀場製作所社製)を用い、下記の測定条件において重合体の体積基準積算粒度分布の自動測定を行ない、粒径75μm以下の微粉量の測定値(重量%)を得た。
(測定条件)
ファネル位置 :6mm
カメラのカバーエリア :ベーシックカメラ3%未満、ズームカメラ10%未満
目標カバーエリア :0.5%
フィーダ幅 :40mm
フィーダコントロールレベル:57、40秒
測定開始レベル :47
最大コントロールレベル :80
コントロールの基準 :20
画像レート :50%(1:2)
粒子径定義 :粒子1粒ごとにn回測定したマーチン径の最小値
SPHT(球形性)フィッティング:1
クラス上限値 :対数目盛とし32μm〜4000μmの範囲で50点を選択
【実施例2】
【0102】
<固体触媒成分(A−2)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム16g と脱水処理したデカン80mlを投入し、懸濁液を形成した。次に、該懸濁液を40℃に加熱してシランテトラクロライド2.6ml(23ミリモル)を加え、20分間攪拌後、フタル酸ジアリル2.9ml(13ミリモル)を加えた。溶液を80℃まで昇温し、滴下ロートを用いてチタンテトラクロライドを77ml(700ミリモル)滴下した。内温を125℃とし1時間攪拌した後、脱水処理したデカンを用いて十分洗浄を行った。さらにチタンテトラクロライドを122ml(1.11モル)加え、内温を125℃とし2時間攪拌した。その後脱水処理したデカンを用いて十分洗浄を行い固体触媒成分(A−2)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ6.3重量%であった。
【0103】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−2)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【実施例3】
【0104】
<固体触媒成分(A−3)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム25gを投入し、10℃に維持した。これにチタンテトラクロライド25mlをトルエン50mlに希釈させたものを1時間に亘って投入した後、反応器の温度を60℃まで分当り0.5℃の速度で昇温させた。前記反応混合物を60℃で1時間維持した後、攪拌を停止して静置を行い、固体生成物を沈殿させ、上澄液を除去した。その後、新たにトルエン200mlを添加して15分間攪拌させ、攪拌を停止して静置後に上澄液を除去する操作を2回繰り返し、固体生成物を洗浄した。前記洗浄後の固体生成物にトルエン150mlを添加し、温度を30℃に維持しつつ250rpmで攪拌させながらチタンテトラクロライド50mlを1時間に亘って一定速度で投入した後、チタンテトラクロライドの投入が完了すると反応器の温度を110℃まで80分間に亘って一定速度で昇温させた(分当り1℃の速度で昇温)。昇温過程で反応器の温度が40℃、60℃、80℃に到達した時、それぞれフタル酸ジアリルを2.1mlずつ追加に投入した。110℃で1時間維持した後、90℃に温度を下げ攪拌を停止して静置を行い、固体生成物を沈殿させ、上澄液を除去した。その後、新たにトルエン200mlを添加して15分間攪拌させ、攪拌を停止して静置後に上澄液を除去する操作を2回繰り返し、固体生成物を洗浄した。得られた固体生成物に、新たにトルエン150mlとチタンテトラクロライド50mlを添加した後、温度を110℃まで上げ、攪拌下にて1時間熟成させた。熟成過程が終った前記のスラリー混合物を毎回当りトルエン200mlで2回洗浄し、40℃のヘキサンで毎回当り200mlずつ5回洗浄して固体触媒成分(A−3)を得た。この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ5.6重量%であった。
【0105】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−3)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【0106】
比較例1
<固体触媒成分(A−4)の調製>
フタル酸ジアリルに代えて、同モルのフタル酸ジ−n−プロピルとしたこと、I工程後のチタンテトラクロライドの5回の再添加操作とn−ヘプタンの6回洗浄に代えて、40℃のn−ヘプタン150mlの6回洗浄としたこと以外は、実施例1と同様の方法により固体触媒成分(A−4)を調製した。すなわち、比較例1は、電子供与性化合物を変更すると共に、実施例1のI工程後のチタンテトラクロライドの5回の再添加操作を省略したものである。これはトータルの重合活性を同レベルにした際の(G)/(E)比を比較するためである。仮に比較例1において、実施例1と同様のチタンテトラクロライドの5回の再添加操作を行うと、重合初期の活性が実施例より高くなり、トータルの重合活性は上昇するが、(G)/(E)比は高くなってしまう。なお、この固体触媒成分(A−4)中のチタン含有量は3.6重量%であった。
【0107】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−4)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【0108】
比較例2
<固体触媒成分(A−5)の調製>
フタル酸ジ−n−プロピルに代えて、同モルのフタル酸ジ−n−ブチルとした以外は、比較例1と同様にして、固体触媒成分(A−5)の調製を行った。固体触媒成分(A−5)中のチタン含有量を測定したところ3.6重量%であった。
【0109】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−5)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【0110】
比較例3
<固体触媒成分(A−6)の調製>
フタル酸ジ−n−プロピルに代えて、同モルのフタル酸ジイソブチルとした以外は、比較例1と同様にして、固体触媒成分(A−6)の調製を行った。この固体触媒成分(A−6)中のチタン含有量を測定したところ4.1重量%であった。
【0111】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−6)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【0112】
比較例4
<固体触媒成分(A−7)の調製>
フタル酸ジアリルに代えて、同モルのフタル酸ジ−n−ブチルとした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分の調製、重合用触媒の形成と重合、プロピレン反応速度の測定を行った。得られた結果は表1に示した。なお、この固体触媒成分中のチタン含有量を測定したところ3.0重量%であった。
【0113】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−7)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表1に示した。
【表1】
【実施例4】
【0114】
<固体触媒成分(A−8)の調製>
フタル酸ジアリル5.0ml(22.6ミリモル)に代えて、マレイン酸ジアリル4.1ml(22.6ミリモル)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分(A−8)の調製を行った。この固体触媒成分(A−8)中のチタン含有量を測定したところ6.0重量%であった。
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−8)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表2に示した。
【0115】
比較例5
<固体触媒成分(A−9)の調製>
フタル酸ジ−n−プロピルに代えて、同モルのマレイン酸ジエチルとした以外は、比較例1と同様にして、固体触媒成分(A−9)の調製を行った。なお、この固体触媒成分(A−9)中のチタン含有量を測定したところ2.9重量%であった。
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−9)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表2に示した。
【0116】
【表2】
【実施例5】
【0117】
<固体触媒成分(A−10)の調製>
フタル酸ジアリル5.0ml(22.6ミリモル)に代えて、ジイソプロピルコハク酸ジアリル5.6ml(22.6ミリモル)とした以外は、実施例1と同様にして、固体触媒成分(A−10)の調製を行った。固体触媒成分(A−10)中のチタン含有量を測定したところ8.9重量%であった。
【0118】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−10)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表3に示した。
【0119】
比較例6
<固体触媒成分(A−11)の調製>
フタル酸ジ−n−プロピルに代えて、同モルのジイソプロピルコハク酸ジエチルを用いる以外は、比較例1と同様にして、固体触媒成分(A−11)の調製を行った。固体触媒成分(A−11)中のチタン含有量を測定したところ4.3重量%であった。
【0120】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−11)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表3に示した。
【0121】

【表3】
【実施例6】
【0122】
<固体触媒成分(A−12)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g 、トルエン100ml、ジイソブチルマロン酸ジアリル10.3ml(34.9ミリモル)を装入して混濁液を形成した。次いで該混濁液を、窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量300mlの丸底フラスコに予め装入されたチタンテトラクロライド60ml、トルエン40mlを液温5℃に保持した混合溶液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、100℃まで昇温し、100℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン200mlで6回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン100ml、チタンテトラクロライド20mlを添加し100℃まで昇温し、30分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に3回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン150mlで6回洗浄し、固体触媒成分(A−12)を得た。なお、この固体触媒成分(A−12)中のチタン含有量は7.5重量%であった。
【0123】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−12)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表4に示した。
【0124】
比較例7
<固体触媒成分(A−13)の調製>
フタル酸ジ−n−プロピルに代えて、同モルのジイソブチルマロン酸ジエチルとした以外は、比較例1と同様にして、固体触媒成分(A−13)の調製を行った。なお、この固体触媒成分(A−13)中のチタン含有量を測定したところ3.6重量%であった。
【0125】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−13)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表4に示した。
【0126】

【表4】
【実施例7】
【0127】
<固体触媒(A−14)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g 、トルエン80ml、フタル酸ジ−n−ブチル6.0ml(22.6ミリモル)を装入して混濁液を形成した。次いでチタンテトラクロライド60ml、トルエン10mlの混合溶液を、5℃の液温に保持した前記混濁液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、100℃まで昇温し、100℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン200mlで3回洗浄後、フタル酸ジアリル0.3ml (1.3ミリモル)、トルエン200mlを接触、反応させた。その後、新たに常温のトルエン65ml、チタンテトラクロライド45mlを添加し115℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。さらに、新たに常温のトルエン95ml、チタンテトラクロライド15mlを添加し100℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に1回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン112.5mlで6回洗浄し、固体触媒成分(A−14)を得た。なお、この固体触媒成分(A−14)中のチタン含有量は2.9重量%であった。
【0128】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−14)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表5に示した。
【実施例8】
【0129】
<固体触媒成分(A−15)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g 、トルエン80ml、フタル酸ジ−n−ブチル6.0ml(22.6ミリモル)を装入して混濁液を形成した。次いでチタンテトラクロライド60ml、トルエン10mlの混合溶液を、5℃の液温に保持した前記混濁液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、100℃まで昇温し、100℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン200mlで4回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン65ml、チタンテトラクロライド45ml、フタル酸ジアリル 0.6ml(2.7ミリモル)を添加し115℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。さらに、新たに常温のトルエン95ml、チタンテトラクロライド15mlを添加し100℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に1回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン112.5mlで6回洗浄し、固体触媒成分(A−15)を得た。なお、この固体触媒成分(A−15)中のチタン含有量は2.8重量%であった。
【0130】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−15)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表5に示した。
【実施例9】
【0131】
<固体触媒成分(A−16)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g 、トルエン80ml、フタル酸ジ−n−ブチル6.0ml(22.6ミリモル)を装入して混濁液を形成した。次いでチタンテトラクロライド60ml、トルエン10mlの混合溶液を、5℃の液温に保持した前記混濁液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、100℃まで昇温し、100℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン200mlで4回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン65ml、チタンテトラクロライド45mlを添加し115℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。さらに、新たに常温のトルエン95ml、チタンテトラクロライド15mlを添加し100℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に1回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン112.5mlで3回洗浄後、40℃のn−ヘプタン112.5ml、フタル酸ジアリル0.3ml(1.3ミリモル)を添加し反応させた。その後、40℃のn−ヘプタン112.5mlで3回洗浄し、固体触媒成分(A−16)を得た。なお、この固体触媒成分(A−16)中のチタン含有量は2.8重量%であった。
【0132】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−16)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表5に示した。
【0133】
比較例8
<固体触媒成分(A−17)の調製>
窒素ガスで十分に置換され、攪拌機を具備した容量500mlの丸底フラスコにジエトキシマグネシウム20g 、トルエン80ml、フタル酸ジ−n−ブチル6.0ml(22.6ミリモル)を装入して混濁液を形成した。次いでチタンテトラクロライド60ml、トルエン10mlの混合溶液を、5℃の液温に保持した前記混濁液中に添加した。その後、この温度を1時間保持した後、100℃まで昇温し、100℃において2時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、得られた固体生成物を100℃のトルエン200mlで4回洗浄した。その後、新たに常温のトルエン65ml、チタンテトラクロライド45mlを添加し115℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。さらに、新たに常温のトルエン95ml、チタンテトラクロライド15mlを添加し100℃まで昇温し、5分攪拌しながら反応させ、反応終了後、上澄みを除去した。前記の操作を更に1回繰り返した後、40℃のn−ヘプタン112.5mlで6回洗浄し、固体触媒成分(A−17)を得た。すなわち、フタル酸ジアリル0.6ml(2.7ミリモル)を添加しないこと以外は実施例8と同様にして固体触媒成分を調製した。なお、この固体触媒成分(A−17)中のチタン含有量は2.7重量%であった。
【0134】
<重合用触媒の形成及び重合>
固体触媒成分(A−1)に代えて、固体触媒成分(A−17)とした以外は、実施例1と同様の方法により、重合用触媒の形成及び重合並びに触媒評価を行った。得られた結果は表5に示した。
【0135】

【表5】
【0136】
表1〜5の結果から、本発明の固体触媒成分を含む触媒は、高い重合活性を有し、かつ、重合初期の反応の激しさを示す(G)/(E)比の値が小さく、重合活性に対する重合初期の反応が抑制された触媒であり、さらに、重合により得られる生成重合体中の微粉割合が少ないことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のオレフィン類重合用触媒は、プロピレン重合において触媒活性が高く、且つ、重合活性に対する重合初期の反応速度が抑制された触媒であり、微粉が少ないポリプロピレンを得ることができる。
図1