特許第6080176号(P6080176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許6080176-自動車用途のアクチュエーターユニット 図000002
  • 特許6080176-自動車用途のアクチュエーターユニット 図000003
  • 特許6080176-自動車用途のアクチュエーターユニット 図000004
  • 特許6080176-自動車用途のアクチュエーターユニット 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080176
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】自動車用途のアクチュエーターユニット
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/24 20060101AFI20170206BHJP
   E05B 77/38 20140101ALI20170206BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20170206BHJP
【FI】
   H02K5/24 A
   E05B77/38
   E05B81/06
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-517449(P2014-517449)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-522928(P2014-522928A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】DE2012000644
(87)【国際公開番号】WO2013000454
(87)【国際公開日】20130103
【審査請求日】2015年6月19日
(31)【優先権主張番号】102011107634.8
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメンタル、フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュラブス、ヴィンフリード
(72)【発明者】
【氏名】トプファー、クラウス
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−067695(JP,A)
【文献】 特開2007−129843(JP,A)
【文献】 特開2004−168205(JP,A)
【文献】 実開昭61−000462(JP,U)
【文献】 英国特許出願公開第439817(GB,A)
【文献】 特開2004−262286(JP,A)
【文献】 実開昭52−000605(JP,U)
【文献】 実開昭61−134665(JP,U)
【文献】 実開平02−091465(JP,U)
【文献】 実開昭54−084507(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/24
E05B 77/38
E05B 81/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動車ドアロック(1)のためのアクチュエーターユニットであって、
このアクチュエーターユニットは、ハウジング(8a、8b)と、このハウジング(8a、8b)内に配置され、回転駆動シャフト(5)を有する駆動源(2)と、前記駆動源(2)により作動するアクチュエーター機構(3、4)と、少なくとも1つの前記駆動源(2)用のゴム製保持部(10)とを有し、
前記ハウジング(8a、8b)は、複数の取付用突出部(15)を有し、当該複数の取付用突出部(15)はゴム製保持部用取付台(16)の領域に前記ゴム製保持部(10)の周囲に沿って互いに間隔を置いて配置されており、
前記ゴム製保持部(10)は、該ゴム製保持部(10)の外周面上において前記駆動源(2)の回転軸の周りに延びる取付用凹部(11)を有し、前記複数の取付用突出部(15)のうちの少なくとも1つが、前記取付用凹部(11)に挿入されて該取付用凹部の底に当接していることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項2】
前記請求項1に記載のアクチュエーターユニットにおいて、3若しくはそれ以上の取付用突出部(15)が、前記ハウジング(8a、8b)内の前記ゴム製保持部用取付台(16)に設けられることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記複数の取付用突出部(15)は、少なくとも部分的に前記ゴム製保持部(10)の周囲に沿って均等に配置されるものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項4】
前記請求項1から3のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記複数の取付用突出部(15)は、前記ハウジング(8a、8b)上に逃げ溝(undercuts)が形成されないように前記ハウジング(8a、8b)上に成形されるものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項5】
前記請求項1から4のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットであって、前記複数の取付用突出部(15)は、前記ハウジング(8a、8b)と共に射出成形されるものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項6】
前記請求項1から5のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記ゴム製保持部(10)は、複数の前記取付用凹部(11)と、前記複数の取付用凹部(11)の間に配置される隆起部(12)とを有し、前記複数の取付用突出部(15)に対応する前記取付用凹部(11)および/または前記隆起部(12)は、前記ゴム製保持部(10)の前記複数の取付用突出部に対応する側に設けられて、前記ハウジング(8a、8b)に対して前記ゴム製保持部(10)に組立式回転防止手段をもたらすものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項7】
前記請求項1から6のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記ゴム製保持部(10)は、前記駆動源側に、少なくとも1つの形状部(17)を含むものであり、この形状部(17)は前記駆動源(2)の凹部(18)と係合するものであって、これにより、前記ゴム製保持部(10)に、前記駆動源(2)を確実に回転防止可能に取り付けることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項8】
前記請求項1から7のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記ゴム製保持部(10)は少なくとも1つの軸方向延出部(13)を含むものであり、この軸方向延出部(13)は前記ハウジング(8a、8b)内の保持面(14)および/または軸方向凹部に当接するものであって、これにより、前記ゴム製保持部(10)の軸方向の位置を確実にするものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項9】
前記請求項8に記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記軸方向延出部(13)は、前記駆動源(2)の駆動シャフト(5)を延長するよう設けられることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項10】
前記請求項1から9のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記ゴム製保持部(10)はポット状ゴム製保持リング(10)として設計されるものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項11】
前記請求項10に記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記駆動源(2)は基部(2a)を含み、前記ポット状ゴム製保持リング(10)に挿入されるものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項12】
前記請求項10または11に記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記ゴム製保持リング(10)はその周囲で前記回転軸の方向(A)に波状断面を有するものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項13】
前記請求項12に記載のアクチュエーターユニットにおいて、複数の溝部または切欠(11)が前記回転軸の方向(A)に連続して配置されるものであり、前記複数の溝部または切欠は、複数の前記取付用凹部(11)として前記ハウジング(8a、8b)上の前記取付用突出部(15)と相互作用するものであることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【請求項14】
前記請求項1から13のいずれか1つに記載のアクチュエーターユニットにおいて、前記駆動源(2)及び前記ゴム製保持部(10)は、対称性の共通回転軸に対して回転対称であることを特徴とするアクチュエーターユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用途のアクチュエーターユニット、より具体的には自動車ドアロックのためのアクチュエーターユニットに関し、このアクチュエーターユニットは、ハウジングと、このハウジング内に配置される駆動源と、当該駆動源により作動するアクチュエーター機構と、少なくとも1つの当該駆動源用のゴム製保持部とを含む。
【背景技術】
【0002】
上述した設計のアクチュエーターユニットは、同出願人の独国特許出願公開第10 2009 036 835 A1号に開示されている。当該出願では、前記アクチュエーター機構は、実際には、施錠手段に作用するリニアアクチュエーター機構である。前記施錠手段は、例えば、独国特許出願公開第101 12 120 B4号に開示される設計である。
【0003】
前記独国特許出願公開第10 2009 036 835 A1号では、前記ゴム製保持部は、主に、電気モーターとして設計される駆動源の底部を収容し、且つ、取り囲む役目をする。前記駆動源は、また、前記ゴム製保持部の他にプレス製保持シートを含む。これにより、確実に、前記駆動源によってその駆動シャフトで提供される回転運動がほとんど振動を伴うことなく的確かつ正確に前記アクチュエーター機構へ伝達される。当該独国特許出願公開第10 2009 036 835 A1号に開示されるように、前記アクチュエーター機構はスピンドル・ナット駆動装置であるが、これは一例であって本発明はこれに限られるものではない。
【0004】
独国特許出願公開第101 31 590 A1号には、電気モーターの取り付け手段であって、当該モーターがファンモーターである場合の手段が開示されている。この実施形態において、前記収容用ハウジングは、軸を固定するために少なくとも弾性保持機構を含んでいる。
【0005】
米国特許出願公開第6 262 504 B1号には、モーターと個別のカバー用ハウジングが開示されており、ここでもゴム製保持部が同様に使用されている。
【0006】
上記独国特許出願公開第10 2009 036 835 A1号の一般的な技術、並びに、当該技術とは違う技術分野の上記他の2つの特許出願の技術は、前記駆動源を収容するハウジングが正確に製造されないことによりその機能が制限される。その結果、前記駆動源の回転動作を、当該駆動源により作動するギアまたはアクチュエーター機構に伝達する時に、それらの伝達交換性が悪くなる場合がある。この場合、正確に製造されないことにより前記ギアまたは駆動源は過度のノイズを発生させ、および/または、より磨耗される。本発明はこれを改善するためのものである。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 独国特許出願公開第102009036835号明細書
(特許文献2) 独国特許出願公開第10131590号明細書
(特許文献3) 米国特許第6,262,504号明細書
(特許文献4) 米国特許第1,688,891号明細書
(特許文献5) 独国特許出願公開第10019572号明細書
(特許文献6) 欧州特許出願公開第1453181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような自動車用途のアクチュエーターユニットの更なる開発における技術的課題に基づくものであり、発生するノイズ及びギアに対するモーターの位置調整が最適化されて、前記システムが誤動作しない、またはほとんど誤動作しないようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この技術的課題を解決するために、本発明の一般的なアクチュエーターユニットは、前記ハウジングが複数の取付用突出部を含むものであって、当該取付用突出部はゴム製保持部用取付台の領域に前記ゴム製保持部の周囲に沿って互いに間隔を置いて配置されることを特徴とする。一方、前記ゴム製保持部用取付台は、前記ゴム製保持部の保持機構として働く。そして、前記ゴム製保持部は、前記駆動源の保持部を形成する。
【0009】
前記ハウジングのゴム製保持部用取付台は、原理的に2つの取付用突出部を含んでいれば十分であるが、一般には3若しくはそれ以上の取付用突出部を含む。多くの場合、前記取付用突出部は、前記ゴム製保持部用取付台の領域に、前記ハウジングに配置されるゴム製保持部の周囲に沿って少なくても部分的に均等に配置される。また、前記取付用突出部は、好ましくは、手動で再加工できるように設計されることが有意であることが実証されている。
【0010】
前記取付用突出部を手動で再加工可能にするために、少なくとも前記取付用突出部は、容易に(手動で)加工可能な材料から作られる必要がある。プラスチックが特に有意であることが実証されており、これにより、ナイフやヤスリ、他の研削工具を使用して簡単に迅速な方法で手動による再加工が可能となる。
【0011】
また、前記取付用突出部が前記ハウジング上に設けられる場合に、逃げ溝(undercuts)を生じないようにすることは有意であることが実証されている。実際、前記取付用突出部を前記ハウジングと一体的に射出成形(injection−molded)する設計が通常提供される。即ち、前記ハウジングと、前記ゴム製保持部用取付台に設けられた前記取付用突出部とは、同一の工具を用いて1つの射出成形工程で製作される。この場合、プラスチック射出成形が特に有意であることが実証されている。実際、取付用突出部は、それぞれ放射状の突出部として設計することができる。従って、これらの突出部は、前記ハウジングの中心、または、たいていは前記円形のゴム製保持部用取付台の中心に対して、前記ハウジングの半径方向に形成され前記ゴム製保持部用取付台に設けられる。このような放射状の突出部として設計される前記取付用突出部は、各(1)射出成形作業において、ハウジング内にプラスチック部品として射出成形され容易で安価に製作される。
【0012】
前記ゴム製保持部用取付台の複数の取付用突出部は、本出願の発明に開示されるように前記ゴム製保持部と相互作用して、第1に、当該ゴム製保持部の補助により、前記ゴム製保持部用取付台の取付点の領域において前記駆動源を保持する。これらの取付点は、前記取付用突出部によって形成される。前記複数の取付用突出部、及び、従って前記複数の取付点が前記ゴム製保持部の周囲に沿って互いに間隔を置いて配置されているために、前記ゴム製保持部は所定の位置に、典型的には軸方向および半径方向の位置が確実に保持される。軸方向の固定は、また、前記ゴム製保持部によって提供することが可能である。しかしながら、前記ゴム製保持部は、主に半径方向の位置を安定させるよう働き、それにより前記ギアに対する公差補償を可能にするものである。
【0013】
また、前記ハウジングのゴム製保持部用取付台の内側に設けられた前記ゴム製保持部の複数の取付点を、前記駆動源と、例えば下流のギアまたは当該ギアに追従するアクチュエーター機構との間における位置公差を容易に補償するために使用してもよい。一例として、上述したような1若しくはそれ以上の取付用突出部は容易に再加工でき、それにより、前記アクチュエーター機構または下流のギアに対する駆動源の位置調整において、任意の不正確な状態が除去される。任意の場合で、前記複数の保持部用突出部は、前記ゴム製保持部の半径方向の、従って前記駆動源の半径方向の固定と公差補償を定常的に実現する。また、前記複数の保持部用突出部を用いて、前記ゴム製保持部、及び従って前記駆動源の軸方向の位置調整、並びに、固定を実現する付加機能もある。
【0014】
これを達成するために、前記ゴム製保持部は、ポット状ゴム製保持リングとして設計することができる。有意には、前記ゴム製保持リングは、その外周で軸方向における断面が波状となる形状を有することもできる。この波形状のために、前記ゴム製保持リングは、軸方向に複数の溝部または切欠(notches)を含み、当該溝部または切欠の各々は互いに連続して配置される。前記ゴム製保持リングの軸方向に設けられたこれらの溝部または切欠の各々は、取付用凹部として、前記ハウジング上の前記取付用突出部と相互作用する。前記ハウジングと前記駆動源間に挿入される前記ゴム製保持リングを用いると、前記溝部によって前記ハウジングに対する前記駆動源軸方向の位置調整を容易に行うことができる。これは、また、前記駆動源と前記ゴム製保持リングとが一般的に対称であることにより補強される。多くの場合、前記駆動源および前記ゴム製保持リングは、共通の回転対称軸を有し、電気モーターとして設計される前記駆動源の前記駆動シャフトと定常的に一致する。
【0015】
前記ゴム製保持部またはゴム製保持リングは、少なくとも前記駆動源側またはモーター側、即ち、前記モーターまたは駆動源に面する表面上に、前記モーターの凹部と係合する形状部を有する。前記ゴム製保持部またはゴム製保持リング上の前記形状部が前記モーターの凹部と係合するとで、前記ゴム製保持部に対して、または前記ポット状ゴム製保持リング内の前記電気モーターに対して前記駆動源全体の回転を防止可能な保持部が実現される。
【0016】
さらに、前記複数の取付用突出部に対応する複数の取付用凹部は前記ゴム製保持部上の前記突出部側に提供される。これらの取付用凹部は、上述した軸方向に連続して配置される溝部とするこができ、これらの溝部は前記ポット状ゴム製保持リングの周囲全体を完全に覆う。前記取付用突出部は、前記ゴム製保持部上の当該突出部側に設けられた前記取付用凹部の各々と係合することで、回転防止可能な固定を実現する。この回転防止可能な固定により、前記ゴム製保持部またはポット状ゴム製保持リングは、前記ハウジングに対して確実に固定される。前記軸方向と同様に半径方向にも固定される。
【0017】
上述したように、前記取付用凹部は、前記ゴム製保持部の前記突出部側、即ち前記ゴム製保持部の外側に位置し、前記複数の溝部が軸方向に広がる形で配置される。これにより、前記駆動源の軸方向と同様に前記ゴム製保持部の軸方向が確実に固定される。前記取付用凹部または溝部は、また、前記周囲方向に限定的に広がって設けられていてもよい。これにより、前記ハウジングまたはそのゴム製保持部用取付台に対して、前記ゴム製保持部またはポット状ゴム製保持リングの半径方向、従って前記駆動源の半径方向もまた確実に固定される。
【0018】
前記ゴム製保持部は、また、少なくとも1つの軸方向延出部を含んでもよい。この軸方向延出部は、一般に、前記ハウジングの軸方向凹部に係合し、前記ゴム製保持部の軸方向の安定した位置調整を、従って前記モーターの軸方向の安定した位置調整を実現する。この軸方向延出部は、1若しくは複数の開口部を含むことができ、これを通じて、例えば、前記駆動源への接続ケーブルを挿通させることができる。多くの場合、前記軸方向延出部は、モーターシャフトの延出部、または前記駆動源の駆動シャフトの延出部であり、前記ゴム製保持部に接続される。即ち、前記軸方向延出部は、前記ゴム製保持部またはポット状ゴム製保持リングの中心に、あるいは中心からずれた位置にも配置することができる。
【0019】
前記駆動源の底部または底側、または、主に円柱状である電気モーターの底部または底側は、一般に、前記ポット状ゴム製保持リングに挿入される。前記底部と逆に、前記電気モーターの駆動シャフトは、その円柱状ハウジングに対して、上端部で突出している。前記駆動シャフトは、前記アクチュエーター機構と、または、上流のギアと相互作用する。本発明の前記ゴム製保持部が、前記ゴム製保持部用取付台の領域内に取付点として働く取付用突出部と共に提供されることで、前記電気モーターの半径方向および軸方向が固定され、または確実に位置調整され、その結果、前記駆動源の1取り付け工程で十分となる。さらに、取り付け設備を前記電気モーターの頭部上の前記駆動シャフトの回りの領域に設けてもよい。
【0020】
前記ポット状ゴム製保持リングの外側、または、このポット状ゴム製保持リングの前記突出部側には連続して複数の溝部が配置されて波状の断面が形成されているものの、このゴム製保持リングは全体として円柱状の基本形状を有している。実際には、例えば、前記溝部または切欠、及び、これら各々の間に位置する隆起部(elevation)は、個々の、または共通の台形断面を有する。当然、これは一例にすぎず、本発明はこれに限られるものではない。
【0021】
結果として、本発明は、自動車用途のアクチュエーターユニット、より具体的には自動車ドアロック用のアクチュエーターユニットを提供するものであり、それは、より具体的には、本明細書で言及した一般的な独国特許出願公開第10 2009 036 835 A1号または独国特許出願公開第101 12 120 B4号に詳細に記載されているような2つの施錠手段と組み合わせるのに適している。この場合、前記駆動源の保持部を、前記駆動源またはモーターのために特別に設計された独創的なポット状ゴム製保持リングと組み合わせることで、確実に、容易に前記ゴム製保持部によって前記駆動源のモーター振動を吸収させ減衰させることが可能となる。前記ゴム製保持部は、また、確実にモーターノイズを除去する。この場合、前記駆動源と、下流のギアまたはそれに追従するアクチュエーター機構との間の任意の位置公差が容易に補償されることは特に有意であることが実証されている。これは、特に、前記ゴム製保持部用取付台内部に、前記ゴム製保持リング用の保持点を提供する必要がある場合に、前記取付用突出部を再加工可能にすることで補われる。このようにして、製造中、公差を補償することができる。これらは本発明の主な利点である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下に、一実施形態のみを示す図を用いて、本発明を詳細に説明する。
図1図1は、本発明のアクチュエーターユニットの図式的な分解組立図を示す。
図2図2は、ゴム製保持部の領域における図1の物体の断面を示す。
図3図3は、ゴム製保持部を含む駆動源の側面図を示す。
図4図4は、X方向からの図3の物体の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
これらの図は、自動車用途のアクチュエーターユニットを示す。自動車用途において、図に示す例は、1若しくは複数の自動車ドアロック1に関すて作動機能を提供するものであるが、本発明はこれに限られるものではない。前記図に示すアクチュエーターユニットは、実際に、独国特許出願公開第101 12 120 B4号に開示される方法で、このような自動車ドアロック1の施錠手段に作用するために使用される。当然、これは一例にすぎず、本発明はこれに限られるものではない。
【0024】
上述の作動運動を提供するために、または詳しくは自動車ドアロック1内の施錠装置に作用するために、前記アクチュエーターユニットは、一般的に、駆動源2とアクチュエーター機構3、4とを含むよう設計され、ここでは、当該アクチュエーター機構3、4はリニアアクチュエーター機構3、4として設計される。
【0025】
アクチュエーター機構またはリニアアクチュエーター機構3、4は、駆動源2により作動し、自動車ドアロック1上の施錠手段を動作させる。
【0026】
さらに、ハウジング8a、8bが提供される。駆動源2はハウジング8a、8b内に収容され、または配置される。リニアアクチュエーター機構3、4は、それ自体に、ねじ山付きスピンドル3とスピンドルナット4とを伴うスピンドル駆動源を有し、ハウジング8a、8b内の保持部または滑り保持部上に配置される。駆動源または電気モーター2は駆動シャフト5を有する。
【0027】
ウォームギア6を用いて、駆動シャフト5はその回転運動をリニアアクチュエーター機構3、4またはスピンドルナット4に伝える。その結果、堅固に搭載されているスピンドルナット4は回転式に移動し、その回転方向に応じてスピンドルナット4上に搭載されているねじ山付きスピンドル3を図1に2方向矢印で示すように前後に移動させる。そして、スピンドル3に接続されるボーデンケーブル(Bowden Cable)または同等の接続要素は、この実施例では、リニアアクチュエーター3、4の前後に移動するの運動を自動車ドアロック1または自動車ドアロック1に含まれる施錠手段に伝える。
【0028】
駆動源または電気モーター2は、保持点7を介してハウジング8a、8bに接続されてもよい。実際、ハウジング8a、8bは2つの部分を含む。それは、主にカバー部8aと頂部8bから成る。接続要素9は、2つのハウジング部分8a、8bを接続するために使用される。
【0029】
また、本発明は、保持点7の他に、一般に必ずしも必要ではないが、駆動源2にゴム製保持部10を提供する。この実施例では、ゴム製保持部10はポット状ゴム製保持リング10である。駆動源2の基部2aはポット状ゴム製保持リング10に挿入される。一方、このゴム製保持リング10は、駆動源の中間部またはその頭部2bとは係合しない。駆動シャフト5は駆動源2の頭部2bから突出して上述したようにウォームギア6に作用する。
【0030】
この実施例において、駆動源2は電気モーター2であり、より具体的には、DCモーターである。主に円柱形状であるゴム製保持リング10が、これを軸方向Aに平行な方向から観察した場合に、波形状の周囲および断面を有することは図3より明らかである。この実施例では、実際に、ゴム製保持リング10と駆動源2は共に、対称性Aの共通回転軸に対して全体的に回転対称な設計を有し、また軸方向Aを特定するものである。駆動シャフト5は、対称性Aの回転軸上に配置される。
【0031】
ゴム製保持リング10がその外周で軸方向Aに波形状の断面を有しているために、複数の溝部または切欠11と複数の隆起部12とが互い違いに配置される。実際には、複数の溝部または切欠11は連続的に軸方向Aに配置される。同様に、隆起部12にも同様に当てはまる。これらの溝部または切欠11、および/または隆起部12は台形断面を有していてもよい。結果として、ゴム製保持リング10は全体的には円柱形状を有する。
【0032】
最後に、軸方向延出部13はゴム製保持リング10で提供される。この軸方向延出部13は、円柱状、並びにポット状のゴム製保持リング10に対する対称性Aの回転軸中心に位置する。ゴム製保持リング10の組み立て状況において、軸方向延出部13は前記ハウジングの軸方向凹部14に係合する。その結果、ゴム製保持リングの軸方向、及び、従ってゴム製保持リング10内に配置される駆動源2の軸方向が固定される。軸方向延出部13は駆動源2の駆動シャフト5の延長線上に位置する。
【0033】
本発明において、ハウジング8a、8bが、ゴム製保持部またはゴム製保持リング10の周囲に沿って互いに間隔を置いて配置される複数の取付用突出部15を含み、当該複数の取付用突出部15がゴム製保持部用取付台16の領域内に提供されることは特に有意である。ゴム製保持部用取付台16は、ハウジング8a、8b内に、そして、ハウジング8a、8bにおいてゴム製保持部またはゴム製保持リング10が搭載されている状態で位置している領域に配置される。ゴム製保持部用取付台16はそれ自体が円形リングの形状を有している。図に示す例では、円形リングの中心は、当然、これに限られるものではないが、対称性Aの回転軸に一致する。
【0034】
ゴム製保持部用取付台16の領域においてハウジング8a、8bを通る図2の断面図は、少なくとも2つの取付用突出部15が、一般的には3つ若しくはそれ以上の取付用突出部15が、この実施例によれば6つの取付用突出部15が、ハウジング8a、8bのゴム製保持部用取付台16の領域内に提供されることを示す。個々の取付用突出部15は、少なくとも部分的に、ゴム製保持部10の周囲に沿って均等に配置される。
【0035】
実際に、3つの取付用突出部15は約90°のアーチ距離で配置され、一方、他の3つの取付用突出部15はそれぞれ弧の角度が45°の間隔で配置される。当然、これは一例に過ぎない。
【0036】
個々の取付用突出部15は、ゴム製保持部またはゴム製保持リング10の保持点または取付点として作用する。ゴム製保持部10またはゴム製保持リング10は、選択的に取付用突出部15により保持され、ハウジング8a、8b内のゴム製保持部用取付台16に取付用突出部15で取り付けされる。このようにして、ゴム製保持リング10に取り付けられた駆動源または電気モーター2はそれぞれ公差補償される。実際、ゴム製保持部10がモーターの振動およびモーターのノイズを吸収し除去するだけでなく、取付用突出部15も、駆動源2とアクチュエーター機構3、4または上流のギアまたはウォームギア6との間の位置的な公差を補償することができる。この目的のため、個々の、またはすべての取付用突出部15は、手動で再加工することができる。これは、ハウジング8a、8b全体が、射出成形されたハウジングとして、好ましくはプラスチック製の射出成形されたハウジングとして設計されているために特に容易で正確に迅速に行うことができる。
【0037】
実際、取付用突出部15は、ハウジング8a、8bと共に1つの工程で形成することができる。取付用突出部15も、また、ハウジング8a、8bと共に射出成形される。
【0038】
ゴム製保持部10の前記突出部側に設けられた取付用凹部11は、ハウジング8a、8b上またはゴム製保持部用取付台16の領域内の取付用突出部15に対応する。この実施形態において、前記突出部側の取付用凹部11、即ち、ゴム製保持部10の表面に設けられ取付用突出部15に面する取付用凹部11は、上述した溝部または切欠11である。これらの溝部または切欠11は、ゴム製保持部10の周囲に配置することができ、または軸方向Aに対して半径方向の限定的なアーチ角度のみを覆ってもよい。この軸方向Aに対して半径方向の限定的なアーチ角度のみを覆う場合では、取付用突出部15がそれぞれの溝部または切欠11に係合することで、ハウジング8a、8bに対してゴム製保持部10の半径方向が固定される。
【0039】
また、複数の溝部または切欠11は、当該溝部または切欠11が周囲全体を取り巻いているか、または限定的なアーチ角度に沿ってのみに提供されているのかということに関わりなく、全体として、さらにゴム製保持部10の軸方向の固定を確実にする。即ち、取付用突出部15は軸方向Aにおいて隆起部12間の溝部または切欠11内のみに係合可能であり、その結果、上述したようにゴム製保持部10の軸方向が固定される。ゴム製保持部10上の前記突出部側に設けられた取付用凹部11は、取付用突出部15に対応し、これにより、ハウジング8a、8bに対してゴム製保持部10の組立式回転防止設計がもたらされる。これは、溝部または切欠11が単にそれぞれ限定的なアーチ角度を覆う場合において、任意の場合で適用される。任意の場合で、ゴム製保持部10の軸方向の固定は、その半径方向の固定と同様に、溝部または切欠または取付用凹部11により達成される。
【0040】
ゴム製保持部10に加えて駆動源または電気モーター2も確実に固定可能にするために、ゴム製保持部10は、また、前記モーターまたは駆動源側に、すなわち駆動源2と面する表面上に少なくとも1つの形状部17を含む。この形状部17は、駆動源またはモーター2の凹部18に係合する。このようにして、駆動源または電気モーター2は、回転に対抗するようゴム製保持部10に対して確実に固定される。
【0041】
最終的に、ハウジング8a、8b内にゴム製保持部10が挿入されると、上述した軸方向延出部13は軸方向凹部14に係合する。このようにして、ゴム製保持部10によって周囲を取り巻かれ、即ちこのゴム製保持部10内に受容される駆動源または電気モーター2は、半径方向の回転を防止可能に取り付けられ、また、この駆動源または電気モーター2に対して軸方向の調整がなされる。これは、軸方向延出部が、多刃状の断面を有し、この多刃状の断面に対応するよう設計された軸方向凹部14に係合するためである。これは、電気モーター2の駆動シャフト5がウォームギアと確実に正確に噛合するために特に重要である。また、前記ゴム製保持部10は、その軸方向、及び半径方向がハウジング8a、8bに固定される。
【0042】
同時に、ゴム製保持部10上の軸方向延出部13には不図示の開口部が与えられており、この開口部を介して駆動源または電気モーター2のための1若しくは複数の電源ケーブルを通すことができる。この実施例では、軸方向延出部13自体は、駆動源2の内部に対する、または駆動源2の方向の開口中空管として設計されている。当然、前記延出部は、円柱形状を有していてもよく、それは本発明に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4