特許第6080177号(P6080177)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6080177セルラーモバイル通信において多言語メッセージをポイントツーマルチポイント無線ブロードキャストで送受信する方法、方法を実施するモバイル電気通信ネットワーク及びモバイル端末
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080177
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】セルラーモバイル通信において多言語メッセージをポイントツーマルチポイント無線ブロードキャストで送受信する方法、方法を実施するモバイル電気通信ネットワーク及びモバイル端末
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/18 20090101AFI20170206BHJP
   H04W 4/06 20090101ALI20170206BHJP
【FI】
   H04W4/18
   H04W4/06 113
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-532544(P2014-532544)
(86)(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-532347(P2014-532347A)
(43)【公表日】2014年12月4日
(86)【国際出願番号】IB2012055207
(87)【国際公開番号】WO2013046177
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年8月28日
(31)【優先権主張番号】TO2011A000867
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511022203
【氏名又は名称】シズベル テクノロジー エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】プレビティ、ジャンルカ
【審査官】 望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0192258(US,A1)
【文献】 特表2009−517738(JP,A)
【文献】 TSG GERAN,LS on ETWS information in TS 23.041[online],3GPP TSG-RAN WG2#65bis, R2-091992,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_65bis/Docs/R2-091992.zip>,2009年 3月23日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル通信ネットワークから複数のモバイル端末へのブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル通信システムにおいてメッセージをブロードキャストする方法であって、
前記メッセージのブロードキャストを実行しなければならない地理的エリアを選択するステップと、
前記地理的エリア内の前記セルラーモバイル通信システムを参照しているモバイル端末において使用される言語を識別するように構成される情報を取得するステップであって、前記複数のモバイル端末において使用される言語の少なくとも1つの識別子を受信するための少なくとも1つの要求を前記モバイル通信ネットワークから前記複数のモバイル端末に送信するステップ、及び前記モバイル通信ネットワークで前記複数のモバイル端末からユーザの好みの言語の前記少なくとも1つの識別子を受信するステップを含むステップと、
1組の識別された前記言語において前記メッセージを作成し、1つ又は複数の多言語メッセージを取得するステップと、
前記1つ又は複数の多言語メッセージを前記モバイル端末にブロードキャストするステップと、
を含む、メッセージをブロードキャストする方法。
【請求項2】
前記メッセージのブロードキャストを実行しなければならない地理的エリアを選択する前記ステップは、前記メッセージをブロードキャストしなければならない前記セルラーモバイル通信システムのセルの選択を含む、請求項1に記載のメッセージをブロードキャストする方法。
【請求項3】
前記地理的エリア内の前記セルラーモバイル通信システムを参照しているモバイル端末において使用される前記言語を識別するように構成される情報を取得する前記ステップは、
前記モバイル端末が属する国及び前記モバイル端末において使用される言語のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの識別子を取得することができる少なくとも1つのパラメーターを送信することの少なくとも1つの要求を前記モバイル端末に送信することと、
前記モバイル端末から前記少なくとも1つのパラメーターを受信することと、
前記モバイル通信ネットワークの設備に前記少なくとも1つのパラメーターを記憶することと、
を含む、請求項1記載のメッセージをブロードキャストする方法。
【請求項4】
前記1組の前記識別された言語において前記メッセージを作成し、1つ又は複数の多言語メッセージを取得する前記ステップは、
各言語自体の少なくとも1つの識別子を有する1組の様々な言語への前記メッセージの翻訳のリストを提供することと、
前記様々な言語の少なくとも1つの識別子を、前記モバイル端末の前記国及び前記モバイル端末において使用される前記言語のうちの少なくとも一方を識別する前記少なくとも1つのパラメーターと比較することと、
前記少なくとも1つの言語識別子と前記少なくとも1つのパラメーターとの対応性に基づいて、識別された前記言語のそれぞれにおけるメッセージのシーケンスを含む前記1つ又は複数の多言語メッセージを作成することであって、前記シーケンス内の前記メッセージのそれぞれは、前記少なくとも1つの言語識別子に関連する少なくとも1つの情報を含むことと、
を含む、請求項3に記載のメッセージをブロードキャストする方法。
【請求項5】
前記言語のそれぞれにおける前記メッセージのシーケンスは、1つの多言語メッセージに入れられるか、又はいくつかの多言語メッセージに分散される、請求項4に記載のメッセージをブロードキャストする方法。
【請求項6】
モバイル通信ネットワークから複数のモバイル端末へのブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル通信システムの手段によってメッセージブロードキャストを受信する方法であって、
前記複数のモバイル端末において使用される言語の少なくとも1つの識別子を受信するための、前記モバイル通信ネットワークから前記複数のモバイル端末への少なくとも1つの要求を受信するステップと、
ユーザにより選択され、モバイル端末のメモリ領域に格納された前記ユーザの好みの言語の少なくとも1つの識別子を取得するステップと、
前記ユーザの好みの言語の前記少なくとも1つの識別子を前記モバイル端末から前記モバイル通信ネットワークに送信するステップと、
1つ又は複数の多言語ブロードキャストメッセージを受信するステップと、
前記1つ又は複数の多言語ブロードキャストメッセージのそれぞれにおける少なくとも1つの言語識別子に関連する情報を解釈するステップと、
各多言語ブロードキャストメッセージの前記少なくとも1つの言語識別子を、前記モバイル端末の国及び前記モバイル端末において使用される言語のうちの少なくとも一方を識別する少なくとも1つのパラメーターと比較するステップと、
前記比較を通して一致が見つかった前記多言語ブロードキャストメッセージを選択するステップと、
前記選択された多言語ブロードキャストメッセージを表示するステップと、
を含む、ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル通信システムによってメッセージブロードキャストを受信する方法。
【請求項7】
前記メモリ領域は、SIM(加入者識別モジュール)、又はUSIM(ユニバーサル加入者識別モジュール)、又は前記複数のモバイル端末の他のメモリユニットに含まれる、請求項6に記載のブロードキャストメッセージを受信する方法。
【請求項8】
ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル電気通信ネットワークであって、
ブロードキャストモードでの複数のモバイル端末に対する多言語メッセージの形成及び発行を管理するように構成されるサービスセンターと
前記サービスセンターとの双方向接続を提供し、該サービスセンターから受信した前記多言語メッセージをブロードキャストモードで配信するように構成される1つ又は複数のネットワークノードであって、前記複数のモバイル端末において使用される言語の少なくとも1つの識別子を受信するための少なくとも1つの要求を前記複数のモバイル端末に送信し、ユーザの好みの言語の少なくとも1つの識別子を前記複数のモバイル端末から受信するように構成される1つ又は複数のネットワークノードと、
モバイル端末の国及び前記モバイル端末において使用される言語のうちの少なくとも一方の前記少なくとも1つの識別子を取得することが可能な少なくとも1つのパラメーターを記憶するように構成されるとともに、前記サービスセンター及び前記1つ又は複数のネットワークノードのうちの少なくとも一方によってアクセスされるように構成されるデータベースと
各言語自体の少なくとも1つの識別子を有する1組の様々な言語への前記多言語メッセージの翻訳を提供する第1の手段と、
前記少なくとも1つの言語識別子を、前記モバイル端末の前記国及び前記モバイル端末において使用される前記言語のうちの少なくとも一方を識別する前記少なくとも1つのパラメーターと比較する第2の手段と、
前記比較を通して見つけられた一致に基づいて識別された前記1組の言語において前記多言語メッセージを作成する第3の手段と、
1つ又は複数の無線基地局であって、前記1つ又は複数のネットワークノードのそれぞれへの双方向接続を確立し、該1つ又は複数の無線基地局を参照している全ての前記モバイル端末にブロードキャストモードで送信される前記多言語メッセージを受信するように構成される1つ又は複数の無線基地局と
を備える、ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル電気通信ネットワーク。
【請求項9】
前記少なくとも1つの言語は、前記複数のモバイル端末のメモリ領域に記憶され、前記1つ又は複数のノードの少なくとも1つの受信後に格納される、請求項8に記載のモバイル電気通信ネットワーク。
【請求項10】
前記第1の手段、前記第2の手段、及び前記第3の手段は、前記サービスセンターのレベル又は前記1つ又は複数のネットワークノードのレベルに配置される、請求項8に記載のモバイル電気通信ネットワーク。
【請求項11】
前記モバイル電気通信ネットワークは、3GPP規格、LTE規格、UMTS規格、GPRS規格、GSM(登録商標)規格のうちの任意の1つに従ってブロードキャスト型モバイル通信を管理するように構成され、前記多言語メッセージは、システム情報ブロック10タイプ、システム情報ブロック11タイプ、及びシステム情報ブロック12タイプのうちの少なくとも1つに従って構造化される、請求項8に記載のモバイル電気通信ネットワーク。
【請求項12】
ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル電気通信システムにおいてモバイル通信ネットワークと情報をやりとりするように構成される、ブロードキャストメッセージ受信機能を備えるモバイル端末であって、
前記モバイル端末において使用される言語の少なくとも1つの識別子を受信するための少なくとも1つの要求を前記モバイル通信ネットワークから受信する手段と、
ユーザによって選択され、前記モバイル端末のメモリ領域に格納された前記ユーザの好みの言語の少なくとも1つの言語識別子を取得する手段と、
前記モバイル端末から前記モバイル通信ネットワークに前記ユーザの好みの言語の前記少なくとも1つの言語識別子を送信する手段と、
1つ又は複数の多言語ブロードキャストメッセージを受信する手段と、
前記1つ又は複数の多言語ブロードキャストメッセージのそれぞれにおける前記少なくとも1つの言語識別子に関連する情報を解釈する手段と、
各多言語ブロードキャストメッセージの前記少なくとも1つの言語識別子を、モバイル端末の国及びモバイル端末において使用される言語のうちの少なくとも一方を識別する少なくとも1つのパラメーターと比較する手段と、
前記比較を通して一致が見つけられた前記多言語ブロードキャストメッセージを選択する手段と、
前記選択された多言語ブロードキャストメッセージを表示する手段と、
を備える、ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル電気通信システムにおいて動作するように構成される、ブロードキャストメッセージ受信機能を備えるモバイル端末。
【請求項13】
前記モバイル端末は、3GPP規格、LTE規格、UMTS規格、GPRS規格、GSM(登録商標)規格のうちの任意の1つに従ってブロードキャスト型モバイル通信を管理するように構成され、前記多言語ブロードキャストメッセージは、システム情報ブロック10タイプ、システム情報ブロック11タイプ、及びシステム情報ブロック12タイプのうちの少なくとも1つに従って構造化される、請求項12に記載のモバイル端末。
【請求項14】
前記メモリ領域は、SIM(加入者識別モジュール)、又はUSIM(ユニバーサル加入者識別モジュール)、又は前記モバイル端末の他のメモリユニットに含まれる、請求項12に記載のモバイル端末。
【請求項15】
コンピューターで実行される場合、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実施するように構成されるプログラム符号化手段を備えるコンピュータープログラム。
【請求項16】
記録されたプログラムを備えるコンピューター可読手段であって、前記プログラムがコンピューターで実行される場合、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法の各ステップを実施するように構成されるプログラム符号化手段を備える、記録されたプログラムを備えるコンピューター可読手段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラーモバイル通信における多言語メッセージのポイントツーマルチポイント無線ブロードキャスト送受信の方法と、方法を実施するように構成されるモバイル電気通信ネットワーク及びモバイル端末とに関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー無線モバイル通信の分野で行われている急速な技術進化は、ネットワーク及びモバイルユーザー装置に新しい機能をもたらした。
【0003】
例えば、そのような新しい機能としては、例えば、送信を実行しなければならない無線モバイルシステムのセルを選択する基準に従って選択された地理的エリアに属する全ての端末へのメッセージのポイントツーマルチポイント無線ブロードキャスト送信が挙げられ、これを以下、ブロードキャストと呼ぶ。
【0004】
このタイプのメッセージングは現在、例えば、事故回避及び災害警告(例えば、地震、津波、ハリケーン等)の分野において広く用いられている。したがって、送信ネットワークが、可能な限り素早く、メッセージ送信のために選択された地理的エリア内のネットワークに接続されている全てのユーザー又は少なくとも大半のユーザーにこのタイプのメッセージが届くことを保証するように構造化されなければならないことは明らかであり、また、メッセージは素早く正確に、ユーザーによって消化され理解されなければならない。モバイル端末が、上記メッセージを適宜受信し使用することを可能にするような技術的特徴を有さなければならないことも明らかである。
【0005】
例として、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト:http://www.3gpp.org)として一般に知られている国際規格によってもたらされたセルラー無線モバイル通信の技術的進化について言及することができる。
【0006】
3GPP規格は、LTE(ロングタームエボリューション)、UMTS(ユニバーサルモバイル電気通信システム)、GPRS(汎用パケット無線サービス)、又はGSM(登録商標)(モバイル通信用グローバルシステム)規格と互換性を有するモバイル端末に警告メッセージを配信するメッセージングサービスを導入した。
【0007】
これらの警告メッセージは、それらが地震、津波、及び竜巻等の差し迫った災害についての情報を含むことを可能にする特徴を有するが、例えば、商用メッセージ又は一般的な公益情報等の様々な種類の一般メッセージを含むこともできる。
【0008】
周知のように、上記送信システムは、BCH(ブロードキャストチャネル)と呼ばれるチャネルを利用して、メッセージをブロードキャストすることができ、これらのメッセージは、適切な技術的特徴を有し、上記メッセージを送信している無線基地局を参照する全てのモバイル端末によって同時に受信することができる。これらの端末は既に市場で入手可能である。
【0009】
この種のメッセージは、ETWS(地震津波警報システム)及びCMAS(商用モバイル警告システム)と呼ばれる周知のシステムを通して実施されるサービスによって処理され、これらのシステムは、BCHチャネルを利用して、警告メッセージ又は商用メッセージを送信するが、同時に、或る特定のエリアにおいて、対応する地理的エリアのカバレッジを提供する無線基地局によってのみメッセージがブロードキャストされることを可能にする。
【0010】
上記メッセージは一言語のみ(規格によって定義されない)で送信され、その言語は、例えば、メッセージを送信し、ETWS/CMASシステムを実施している電話会社の国の公用語とすることができる。
【0011】
しかし、一言語のみ、例えば、現地語でのメッセージの送信は、送信中の無線基地局に接続されたユーザーによっては、国籍が異なるか、又は使用中の言語に精通していないため、メッセージの内容を理解することができない危険性を暗に示す。したがって、ユーザーがメッセージを素早く正確に消化し理解することができない危険性があり、これらの人々の安全性及び保護を保証することができない。
【0012】
このため、上記メッセージを送信している無線基地局を参照する全てのユーザーが、上記メッセージを素早く正確に理解することができるようにするために、ネットワークレベル及びモバイル端末レベルで新しい機能を導入する必要があることが明らかになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、セルラーモバイル通信での多言語メッセージのポイントツーマルチポイント無線ブロードキャスト送受信の方法並びに上記問題を解決するように構成されたモバイル電気通信ネットワーク及びモバイル端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
モバイル電話システムでは、電話会社が、任意の時点に、その電話会社のネットワークに加入しているユーザーについての情報(IMEI、ユーザーが到達可能な地理的エリア、IMSI等)を有することが周知である。ローミングサービスを提供するそれらの会社はまた、一時的にそれら会社ネットワークに接続(ローミング)している他の会社の加入者についてのこの情報も有することができる。
【0015】
そのような情報は、例えば、ネットワークサービスセンターレベルでデータベース(例えば、周知のホームロケーションレジスタ(HLR)又はホーム加入者サーバー(HSS等)に記憶することができるか、又は音声呼、メッセージ(SMS、MMS)等を管理して、ユーザー自身に転送するために主に用いられる。
【0016】
本発明によれば、メッセージ、例えば、上記のETWS/CMASメッセージの1つを、特定の地理的エリア内のユーザーにブロードキャストする場合、電話会社は、その時点にその特定の地理的エリアにいる各ユーザーの国籍又は好ましい言語についての情報をデータベースから抽出することができる。
【0017】
本発明の変形によれば、電話会社はモバイル端末に問い合わせて、好ましい言語についての情報を取得し、好ましい言語は、モバイル端末自体でユーザーによって設定された言語とすることができる。
【0018】
この情報を知ることにより、会社は、警告しなければならないユーザーが実際に理解する言語でメッセージを送信することができる。
【0019】
このようにして、メッセージを届けなければならないユーザーのモバイル端末は、様々な言語で、好ましくは国籍又は好ましい言語基準に従って以前に選択された言語でのみ、同じメッセージを数回受信することができる。
【0020】
可能な変形では、各モバイル電話は、好ましい言語を選び、メッセージをその言語でのみ表示する。
【0021】
したがって、本発明の一目的は、ブロードキャスト機能を有するセルラーモバイル通信システムでメッセージをブロードキャストする方法を提供することであり、この方法は、上記メッセージブロードキャストを実行しなければならない地理的エリアを選択するステップと、上記地理的エリア内のセルラーモバイル通信システムを参照しているモバイル端末において使用される言語を識別するように構成される情報を取得するステップと、1組の上記識別された言語において上記メッセージを作成するステップであって、1つ又は複数の多言語メッセージを取得するステップと、上記1つ又は複数の多言語メッセージを上記モバイル端末にブロードキャストするステップとを含む。
【0022】
本発明の特定の目的は、本説明の一体部分である添付の特許請求の範囲に記載されるように、セルラーモバイル通信において多言語メッセージをポイントツーマルチポイント無線ブロードキャスト送受信する方法、並びにこの方法を実施するように構成されたモバイル電気通信ネットワーク及びモバイル端末を提供することである。
【0023】
更なる特徴及び利点が、本発明の少数の好ましいが、非排他的な実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになり、以下の詳細な説明は、添付図面を参照して、説明のための非限定的な例として提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術によるセルラーモバイル通信でのブロードキャストメッセージ送受信システムの基本図である。
図2】本発明によるセルラーモバイル通信での多言語ブロードキャストメッセージ送受信システムの基本図の3つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図2-2】本発明によるセルラーモバイル通信での多言語ブロードキャストメッセージ送受信システムの基本図の3つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図2-3】本発明によるセルラーモバイル通信での多言語ブロードキャストメッセージ送受信システムの基本図の3つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図3】本発明によるモバイル端末によって実行されるステップのうちの幾つかのフローチャートの2つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図3-2】本発明によるモバイル端末によって実行されるステップのうちの幾つかのフローチャートの2つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図4】本発明によりサービスセンターからモバイルユーザーに送信されるメッセージの組立ての2つの変形形態のうちの1つを示す図である。
図4-2】本発明によりサービスセンターからモバイルユーザーに送信されるメッセージの組立ての2つの変形形態のうちの1つを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面中、同じ参照符号及び文字は同じアイテム又は構成要素を識別する。
【0026】
以下に、3GPP/LTE規格を使用してのセルラーモバイル電気通信ネットワークでの警告メッセージのブロードキャスト送信に関連する本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。利用される特定の電話サービス規格、例えば、上述したような規格(UMTS、GPRS、GSM(登録商標))に応じて、本発明の基本原理の多くの変形実施形態がなお可能なことが明らかである。
【0027】
3GPP規格は、中央サービスセンター(CBC)が、或る特定の地理的エリアのセルラーカバレッジ下の全てのユーザーに警告メッセージ(上記で定義されたETWS/CMASメッセージ)を送信することを可能にすることが周知である。警報メッセージの送信は、ブロードキャストモードで行われる。
【0028】
3GPP規格の規定に基づいて、ETWSメッセージは2つのタイプに分割される。
1)「一次」通知メッセージ:これらのメッセージは、災害のタイプについての一次情報を含み、以下の情報を含むことができる:「地震」、「津波」、「津波+地震」、「テスト」、「他」、「予備」。このタイプのメッセージを受信するモバイル電話は、備考を画面上に表示するか、又は音若しくは振動等を発することによってユーザーに即座に警報しなければならない。
2)「二次」通知メッセージ:これらのメッセージは、存在する場合、一次メッセージに続き、更なる情報を有するテキストを含み、例えば、震源地、地震の強度、及び/又は緊急避難所についての情報又は3GPP規格に指定されていない他の情報を含むことができる。
【0029】
他方、CMASメッセージは常に、上記の二次タイプである。ETWS/CMASメッセージは、例えば、CBCに接続された情報配信センターから来る表示から導出することができる。
【0030】
中央サービスセンターからのETWS/CMASメッセージの配信は、関わる地理的エリアの広さに応じて異なる粒度で行うことができる。
1)セルレベルで:この場合、CBCは別のネットワーク要素に、ETWS/CMASメッセージを送信しなければならないセルのリストを送信する。
2)追跡エリア(TA:Tracking Area)レベルで:この場合、CBCはTAI(追跡エリア識別情報)のリストを送信する。各TAIは複数のセルのうちの1群を識別する。
3)緊急エリア(EA:Emergency Area)で:この場合、CBCはEAI(緊急エリア識別情報)のリストを送信する。どのセルが各EAIに含まれるかを指定するのは電話会社次第である。
【0031】
セル、追跡エリア(TA)、及び緊急エリアの意味は当業者に周知である。
【0032】
図1を参照して、以下に、LTE規格に準拠するシステムが存在する場合にETWS/CMASメッセージを配信する周知の手順について説明する。
【0033】
中央サービスセンターCBCは、「Write−Replace(書込み置換)警報要求」と呼ばれる1つ又は複数のメッセージを、メッセージブロードキャストに識別された1つ又は複数のネットワークノードMME(モビリティ管理エンティティ)に送信する(図1、ステップ11)。このメッセージは、周知のタイプのものであり、ETWS/CMASメッセージの内容、関わる地理的エリアの識別子、及びメッセージ自体に関する他のシグナリング情報に関連する上記情報を含む。
【0034】
図4及び図4−2を参照して更に説明するように、「Write−Replace警報要求」メッセージは多くのフィールドを含む。特に、「警報メッセージ内容」フィールドは、最大サイズ9600バイトを有し、SIB11メッセージ又はSIB12メッセージ(以下に定義される)で送信されるテキストを主に含み、一方、「データ符号化方式」と呼ばれるフィールドは、サイズが1バイトであり、テキスト言語についての情報を含む。SRBに送信されるメッセージのテキストを9600バイト内に含めることができない場合には、複数の「Write−Replace警報要求」メッセージを順次送信することができる。
【0035】
以下に更に説明するように、同一又は同様のメッセージがRNC(無線ネットワークコントローラー)と呼ばれるエンティティに送信されるUMTS規格による手順との類似性があることを指摘しなければならない。
【0036】
このタイプのメッセージを受信するこれらのネットワークノード(MME又はRNC)は、CBCに、「Write−Replace警報確認」と呼ばれる受信確認メッセージを返信する(図1、ステップ12)。次に、ネットワークノードは、メッセージを送信すべきセル識別情報リスト(又はTAIリスト若しくはEAIリスト)及び警報メッセージの内容を復号化し(図1、ステップ13)、このようにして、ETWS/CMASメッセージを送信しなければならないセルのリストと、一次通知及び二次通知(CMASの場合には二次通知のみ)の内容との両方を取得する。
【0037】
続けて、MME(又はRNC)要素は、関わるセルの無線基地局RBSに、ETWS/CMASメッセージの一次内容及び二次内容と共に、1つ又は複数の「Write−Replace警報要求」メッセージを送信する(図1、ステップ14)。無線基地局SRBは、通知を受信すると、ユーザー端末UE(ユーザー機器)が参照している無線基地局によって管理される全てのUEにページングメッセージを即座に送信する(図1、ステップ15)。上記ページングメッセージは周知のタイプのものであり、ETWSメッセージ又はCMASメッセージのそれぞれの存在を示すETWS表示又はCMAS表示と呼ばれる表示をブロードキャストチャネルに含む。
【0038】
モバイル電話UEは、ページングメッセージを受信すると、ブロードキャストチャネルがETWSメッセージ又はCMASメッセージを含む可能性があることを理解し(ETWS表示又はCMAS表示を復号化することにより)、したがって、ブロードキャストチャネルを容易に復号化して、ETWSメッセージ又はCMASメッセージの一次表示を受信するとともに、場合によっては二次表示も受信する。ETWS情報は、それぞれシステム情報ブロック10すなわちSIB10(ETWS一次通知の場合)及びシステム情報ブロック11又はSIB11(ETWS二次通知の場合)と呼ばれるブロードキャストチャネルの2つのブロックに含まれる。CMAS情報は、システム情報ブロック12すなわちSIB12(CMAS二次通知のみ)に含まれる(図1、ステップ16、17、18)。
【0039】
次に、無線基地局SRBは、MMEに対して、「Write−Replace警報応答」と呼ばれる送信確認メッセージを返信する(図1、ステップ19)。
【0040】
「ETWS」、「CMAS」、「Write−Replace警報要求」、「Write−Replace警報確認」、「Write−Replace警報応答」、「ページング」、「システム情報ブロック」の各メッセージの構造は、それ自体当業者に周知であり、例えば、3GPP規格に関連する文書に説明されている。上記の周知の手順は、ETWS/CMASメッセージのテキストに、電話会社によって予め設定される一言語のみを使用する。これは、メッセージテキスト、特に二次通知に含まれるメッセージテキストが全てのユーザーには理解されないことがあるという危険性を含む。
【0041】
本発明によれば、この問題に対する解決策の一例は、以下の手順によって提供される。
【0042】
図2を参照すると、MME要素(又はUMTS規格ではRNC要素)は、上述した周知の手順に従ってCBCから「Write−Replace警報要求1」メッセージを受信すると、通知する無線基地局SRBのリストを記憶し、これらの無線基地局SRBに対応する「Write−Replace警報要求1(言語は予め定義される)」メッセージを送信する。MME要素は、このメッセージを通して、ETWS一次メッセージと、場合によってはETWS又はCMAS二次メッセージも、予め定義された言語で、参照しているセルの無線基地局SRBによって管理される全てのユーザー端末UEに通知されなければならないことを示す(図2、ステップ21)。
【0043】
上述した周知の手順と同様に、無線基地局SRBは、通知を受信した後、ユーザー端末UEが参照している無線基地局によって管理される全てのユーザー端末UEに「ページング(ETWS又はCMAS)」メッセージを即座に送信する。上記ページングメッセージは、ETWSメッセージ又はCMASメッセージの存在を示す表示をブロードキャストチャネルに含む。
【0044】
上述したように、各ユーザーのモバイル電話UEは、ページングメッセージを受信すると、ブロードキャストチャネルを復号化して、ETWSメッセージ又はCMASメッセージを受信する。ETWS情報及びCMAS情報は、ブロードキャストチャネルブロックであるシステム情報ブロック10、システム情報ブロック11、及びシステム情報ブロック12に含まれる。
【0045】
次に、無線基地局SRBは、MMEに対して、「Write−Replace警報応答」と呼ばれる送信確認メッセージを返信する。
【0046】
その間、MME(又はRNC)要素は、HLR/HSSデータベース等に問い合わせ(図2、ステップ22)、HLR/HSSデータベースは、利用可能であり、以前識別されたセルを参照するユーザーの識別子を含む。HLR/HSSデータベースは、MME要素自体に配置してもよく、又は中央サービスセンターCBCに配置してもよく、ユーザー識別子と好ましい言語とを一致させるために必要な全ての情報を含む。
【0047】
第1の可能な変形では、周知の「言語(リストSRB)取得」メッセージを通して、MME(又はRNC)要素は、HLR/HSSデータベースに、警告を通知すべきSRBセルのリストを供給し、データベースから、「言語応答(Lang1,Lang2)」メッセージを通して、用いられる言語のリストを取得する(図2、ステップ22−2)。例えば、用いられる言語のリストは、最初のIMSI桁から直接取得され、異なるフォーマット(例えば、ユーザーに好まれる言語を示す、それ自体周知のタイプのSIMに記憶されるEFPLパラメーターに用いられるフォーマットと同様のフォーマット)を使用することにより、又は「Write−Replace警報要求」メッセージで用いられるように、それ自体周知のタイプの「データ符号化方式」フィールドのフォーマットを使用することによって通信される。
【0048】
代替的には、MME(又はRNC)要素は、「IMSI(リストSRB)取得」メッセージを通してHLR/HSSデータベースに問い合わせ、上記の場合と同様に、警告を通知すべきセルのリストをデータベースに供給する(図2−2、ステップ22')が、「IMSIリスト応答」メッセージを通して、データベースから、通知するユーザーのIMSI識別子のリストを取得する(図2−2、ステップ22−2')。IMSI識別子が見つけられて、HLR/HSSデータベース等に記憶される。この2番目の場合、MME(又はRNC)自体が各IMSIに含まれるフィールドから好ましい言語を取得し、次に、使用される言語の一義語リストをCBCに供給する。HLR/HSSデータベースは、上述したように周知のタイプのものとすることができ、ネットワークオペレーターによって管理することができる。
【0049】
ユーザーごとに、言語及び国籍は、例えば、IMSI識別子の最初の6桁から取得することができ、この6桁は、モバイル国コード(MCC:Mobile Country Code)及びモバイルネットワークコード(MNC:Mobile Network Code)(これらのフィールドの意味及び構造は周知である)を表す。
【0050】
更なる変形(図2−3)は、1人又は複数のユーザーが通常言語として、各自のモバイル電話で、ユーザーが加入した会社の公用語以外の言語を選ぶことができ、特定の言語が、上述したように、既に選択された言語のリストに現れない場合を含むと考えることができる。実際に、かなり一般的に、一時的に海外にいるユーザーは、低料金を利用するために現地の会社のSIMを使用するが、かなり多くの場合、そのようなユーザーは選ばれた会社の公用語を話さず、したがって、SIMを電話に挿入した後、会社の公用語とは異なる言語オプションを選ぶ。そのような場合、各ユーザーの言語をIMSIから取得されるコードに関連付けることは適切ではない。その理由は、これが、ユーザーが不正確に解釈するメッセージをユーザーに送信する危険性を生じさせるためである。さらに、個人によっては、出生国又は居住地の言語的少数派に属することがあり、そのため、その個人の好ましい言語は、その個人が属する国に一般に関連付けられた言語とは異なることがある(例えば、イタリアに在住し、イタリアの会社を使用するアディジェ川上流からのドイツ語話者)。このシステムを使用する場合、メッセージは、ユーザーがETWS/CMASメッセージを受信したい言語を明示的に指定する必要なく、ユーザーの電話で選択された言語に基づいて好ましい言語で自動的に表示されることを指摘しなければならない。
【0051】
この場合、MMEは、例えば、「Write−Replace警報応答1」メッセージを受信した後、選択された無線基地局SRBに、ユーザーごとに、それ自体実質的に周知のタイプの「識別情報要求」メッセージを送信し(図2−3、ステップ30)、このメッセージは次に、そのようなSRBを参照する全てのモバイル電話UEに送信する(図2−3、ステップ31)ことが考えられ、「識別情報要求」メッセージは新しいデータも含み、そのメッセージを通して、UEは実際に選ばれた言語についての情報を送信することを要求される。SIMを備えたモバイル端末は一般に、ユーザーの好ましい言語についての情報を含むメモリエリアにアクセスを有する。このメモリエリアは、3GPP規格ではEFLP又はEFPLと呼ばれる。一般に、選ばれた言語はユーザーによって設定され、EFPLフィールドに記憶される。このフィールドがSIMに存在しないか、又は端末と互換性がない言語コードを含む場合、端末は、EFLPフィールドに含まれる好ましい言語のリストへのアクセスを取得する。好ましい言語のリストは一般に電話会社によって定義される。上記フィールドは、優先度順に従って言語を識別する1バイトコード又は2バイトコードを含む。
【0052】
ユーザーが好ましい言語を設定できるように、端末は、EFLP又はEFPLフィールドに含まれる言語にアクセスすることに加えて、電話の任意のメモリエリアに記憶された工場で予め設定される言語のリストにアクセスすることもできる。ユーザーが自身の好ましい言語を選択すると、これはSIMのEFPLフィールドに記憶されるとともに、電話のメモリエリアにも記憶される。ユーザーの好ましい言語は、時間の経過に伴って数回変更することができ、そのような変更は電話のそのメモリエリア及びEFPLフィールドの両方に記憶される。
【0053】
その結果、各モバイル端末UEは、接続されているSRBに、上記情報、すなわち、ユーザーの好ましい言語を含む「識別情報応答(言語)」メッセージを送信し(図2−3、ステップ32)、また、「識別情報応答(言語)」メッセージは、実質的に周知のタイプのものであるが、上記ユーザーの言語に関連する新しいデータを含み、この新しいデータは、EFPLフィールド又はEFLPフィールドを含むSIMのメモリエリアへのアクセスを通して端末によって取得され、上記フィールドは、ユーザーによって実際に用いられ選ばれた言語を含む。そして、各SRBは、対応する「識別情報応答(言語)」メッセージをMMEに送信し(図2−3、ステップ33)、このメッセージは、上記言語のリストを含み、したがって、前のステップで既に決定された言語と異なる場合には、前のステップで既に決定された言語に追加される。
【0054】
「識別情報要求」メッセージの構造は、IMSIフィールド等の情報を要求するために周知である。「識別情報応答」メッセージの構造は、IMSIフィールド等の情報を含むために周知であり、この情報は、実際に使用されている言語のコードを含むフィールドで置換するか、又は補足することができる。
【0055】
上記全ての場合で、MME(又はRNC)は、例えば、「Write−Replace警報確認1」メッセージを通して取得された全ての言語のリストをCBCに送信する(図2図2−2、図2−3、ステップ23)。
【0056】
上記全ての場合で、CBCはMMEに、以前に識別され、「Write−Replace警報要求2」メッセージを通してMME(又はRNC)によって受信された様々な言語でブロードキャストメッセージのテキストを返す(図2図2−2、図2−3、ステップ24)。
【0057】
上述したように、MMEはCBCに、「Write−Replace警報確認2」と呼ばれる受信確認メッセージを送信することで返信する。
【0058】
図4及び図4−2を参照すると、「Write−Replace警報要求2」メッセージは、可能な変形に従って、様々な言語のメッセージを「警報メッセージ内容1」フィールド(43、図4)に含むことができる。この場合、所与の言語での各メッセージの冒頭に、メッセージが所与の言語で開始することを識別するフィールド(図4の「警報メッセージ開始」41)があり、その後、メッセージ(43、図4)で使用される特定の言語を識別する「データ符号化方式」タイプのフィールド(42、図4)が続くことを保証しなければならず、逆もまた同様であり、すなわち、「データ符号化方式」フィールドを、所与の言語でのメッセージ開始を識別するフィールドの前に配置することもできる。
【0059】
代替的には、フィールドは、所与の言語でのメッセージの冒頭に含めて、メッセージ開始情報及び言語情報の両方を提供し(41'、図4−2)、その後、「警報メッセージ内容1」フィールド(43、図4−2)が続く。更なる変形では、メッセージを様々な言語で送信するために、CBC、MME、又はRNCは、一義的に識別された言語の数と同数の「Write−Replace警報要求2」メッセージを送信することができる。この場合、単一の「Write−Replace警報要求2」メッセージの構造は、3GPP規格によって定義される構造と同一である。
【0060】
CBCには、潜在的にユーザーによって使用することができる様々な言語でメッセージを記憶する手段が備えられる。
【0061】
したがって、MME(又はRNC)要素は、選ばれた様々な言語でのETWS又はCMAS二次通知を含む「Write−Replace警報要求2」メッセージ(複数の場合もある)を関わるSRBセルに送信する(図2図2−2、図2−3、ステップ25)。
【0062】
無線基地局は、MME(又はRNC)から以前に受信した様々な言語でのテキストを有する二次通知のテキストを含むか、又は更新することによって「ページング(ETWS又はCMAS)」メッセージを端末UEに送信する上記手順を繰り返す(図2図2−2、図2−3、ステップ26、27、28、29)。
【0063】
ブロードキャストチャネルブロックの内容がいかにモバイル電話UEによって復号化されるかの一例を図3に示す。
【0064】
本発明の一変形によれば、モバイル電話UEは、実際に選ばれたユーザー言語についての情報を送信する要求を含む「識別情報要求」メッセージ(図3及び図3−2、「識別情報要求を受信」)をネットワークから受信する。モバイル電話UEは、上記情報を含むSIM内のEFLP又はEFPLフィールドを読み、選ばれた言語のコードを含む「識別情報応答(言語)」メッセージ(図3及び図3−2、「識別情報応答を送信」)でネットワークに返信する。モバイル電話UEはまた、SIMと通信する装置(モバイル電話、タブレット等)から好ましい言語情報を受信することもできる。
【0065】
各モバイル電話UEは、ETWSメッセージ又はCMASメッセージの存在を示す通知と共に、ページングメッセージを受信し、当業者にはそれ自体周知の様式でブロードキャストチャネルブロックであるシステム情報ブロック10、システム情報ブロック11、及びシステム情報ブロック12の内容を復号化するように準備する(図3、「SIB10、SIB11、又はSIB12を受信」)。モバイル電話は、メッセージの最後のセグメントを受信した後(図3、「最後のブロック?」)、ブロック(SIB11又はSIB12)の復号化を終了する。
【0066】
本発明の一態様によれば、この時点で、モバイル電話は、好ましい言語でのメッセージセグメントを識別する。好ましい言語のメッセージ部を識別するプロセスは以下のように行うことができる。
1)SIB11又はSIB12メッセージに含まれる「データ符号化方式」フィールドを抽出し復号化する。上記フィールド(例えば、8ビットのフィールド)は、上述したように、SIB11又はSIB12に含まれるメッセージで使用される言語を記述する。
2)「データ符号化方式」に含まれるコードを、SIM又はSIMと通信する装置(モバイル電話、タブレット等)から取得された好ましい言語のコード(例えば、EFLP又はEFPLフィールドに含まれるコード)と比較する(図3及び図3−2、「好ましい言語が見つかったか?」)。
【0067】
本発明の別の変形(図3−2)では、メッセージは、電話がメッセージの最後のセグメントを受信する前に、好ましい言語でユーザーに表示又は通知することもできる。この場合、電話が、「データ符号化方式」に含まれるコードを好ましい言語のコードと比較するのに成功した後(図3−2、「データ符号化方式が変更されたか?」)、「データ符号化方式」の後続の変更を復号化するまで、メッセージテキストの表示を開始することで十分であり、その復号化の時点で、電話はユーザーに通知されるメッセージが完了したとみなす。
【0068】
電話UEは、好ましい言語がある場合、SIB11又はSIB12のメッセージのテキストを好ましい言語で表示し、好ましい言語がない場合には、予め定義された言語、例えば、受信された第1の言語又は最も一般的に話される言語(英語、フランス語、スペイン語等)の中から選ばれた言語でテキストを表示することが好ましい。
【0069】
本発明の実施形態の上記例は、当業者により考えられる全ての均等な実施形態を含め、本発明の保護範囲から逸脱せずに他の変形がなお可能であるため、限定として意図されるべきではない。
【0070】
例えば、メッセージの意味は、警告状況に関してのみならず、特定の地理的エリア内のモバイルネットワークに接続されたモバイル端末にブロードキャストする他のタイプの情報に関しても、上述したような1つ又は複数のETWS/CMASレベル、任意のタイプのメッセージ内容及びメッセージ編成に拡張することができる。
【0071】
MME(又はRNC)要素は、そのような情報をCBCから待つ必要なく、様々な言語でのメッセージテキストを直接含むことができる。したがって、MMEは、使用される言語のリストを既に知っている場合、図2を参照して説明した手順の最初の部分(ステップ21〜23)を回避し、選択された全ての言語でのメッセージを既に含むステップ25の「Write−Replace警報要求2」メッセージ(複数の場合もある)をすぐに発行するように、下流要素SRB及びUEと通信するプロセスを処理することができる。
【0072】
幾つかの場合では、提供されるブロードキャストサービスのタイプに応じて、サービスセンターCBCの機能をネットワーク要素自体に統合することが可能なことがある。
【0073】
代替的には、CBCは、HLR/HSSデータベースに直接問い合わせて、ETWS/CMASメッセージで使用される様々な言語を取得し、次に、選択された全ての言語でのメッセージを既に含む「Write−Replace警報要求1」メッセージ(複数の場合もある)を発行することができる。この場合も同様に、MME(又はRNC)は、選択された全ての言語でのメッセージを既に含むステップ5の「Write−Replace警報要求2」メッセージ(複数の場合もある)を直接発行する。
【0074】
本発明を実施するように構成されるモバイル電気通信ネットワークは、
−ネットワークノードで中央に集中させるか、又は実質的に周知のタイプの複数のノードに分散させることができる構造のサービスセンター(CBC)であって、この構造がブロードキャストモードでのメッセージの形成及び発行を管理する、サービスセンター(CBC)と、
−ネットワークのタイプに応じて異なる機能を実行する1つ又は複数のネットワークノード(MME又はRNC)であって、例えば、ネットワークノードは、3GPPアーキテクチャではネットワークコントローラー(RNC=無線ネットワークコントローラー)とすることができるか、LTEアーキテクチャではモビリティ管理エンティティ(MME)とすることができるか、又は他のタイプのノードとすることができ、これらのノードは、それ自体周知の様式でサービスセンターとの双方向接続を提供し、サービスセンターから受信されるブロードキャストメッセージの収集及び/又は分散を行う機能を実行する、1つ又は複数のネットワークノード(MME又はRNC)と、
−メッセージに使用することができる言語のリストを含むデータベースであって、サービスセンター(CBC)及び/又はネットワークノード(MME又はRNC)によってアクセスされるように構成され、このデータベースは、ネットワークに接続された端末から導出される情報で構築され、この情報は、端末自体によって用いられる言語のメッセージを識別するように構成される、データベースと、
−上記言語リストに基づいて、単一言語メッセージを多言語メッセージに変換する手段であって、サービスセンター(CBC)レベル又はネットワークノード(MME又はRNC)レベルのいずれかに配置されるように構成される、変換する手段と、
−それぞれのノード(MME又はRNC)への双方向接続を確立するように構成される1つ又は複数の無線基地局(SRB)であって、このそれぞれのノードから、それらの無線基地局を参照している全てのモバイル端末に送信される多言語メッセージをブロードキャストモードで受信する、1つ又は複数の無線基地局(SRB)と、
を備える。
【0075】
本発明を実施するように構成されるモバイル端末は、本質的に、場合によっては、端末購入後にインストールすることもできるソフトウェアを通して提供される、
−ユーザーによって選ばれた言語又は電話会社の基準言語の識別に必要な情報をネットワークに供給する手段と、
−受信したメッセージの言語コードを解釈して、正確な言語でのメッセージを選ぶ手段と、
−選択されたメッセージを表示する手段と、
を備える。
【0076】
本発明の上記手順は、有利には、ソフトウェアプログラムを通して実行することができ、ソフトウェアプログラムは、そのようなプログラムが適するハードウェアで実行される場合、電気通信ネットワークレベル及びモバイル端末レベルの両方で、プログラム自体の1つ又は複数のステップを実施する符号化手段を備える。したがって、保護範囲が上記プログラム及び記録されたメッセージを含むハードウェア可読手段に拡張することが理解され、上記可読手段は、上記プログラムが適するハードウェアで実行される場合、本発明による方法の1つ又は複数のステップを実施するプログラム符号化手段を備える。
【0077】
本発明の用途から導出される利点は明白である。
【0078】
メッセージ、特にETWS/CMAS警報メッセージであるが、他の重要なメッセージも、明確に間違いなく素早く理解可能なようなものでなければならない。このために、接続された各ユーザーが好む言語でのメッセージの送信を提供する本発明の方法は明らかに、メッセージが、全てのユーザーには理解されないおそれがある先験的に定義される言語でブロードキャストされる解決策よりも好ましい。
【0079】
本明細書に記載の解決策は、UMTSネットワーク及びLTE等の最新世代のネットワークで既に利用可能なネットワーク要素、情報、及びプロトコルを使用する。この解決策は、MME(又はRNC)がデータベースにもう1回問い合わせて、関わるセル内のユーザーが好む言語についての情報を検索し、追加の通知メッセージをCBCに送信することしか必要としない。それにもかかわらず、これらの要素(MME又はRNC及びデータベース)は通常、規格によって定義されるプロトコルに従って互いに接続し、通信する。
【0080】
上記説明から、当業者は、更なる構造的な詳細を一切導入せずに、本発明の目的を生み出すことが可能である。
図1
図2
図2-2】
図2-3】
図3
図3-2】
図4
図4-2】