(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物が、主鎖とそれに結合した側鎖とを有する構造のものであり、主鎖と側鎖とが1点で結合している請求項2に記載の生理用品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の生理用品は一般に、液保持性の吸収体を備えている。吸収体は、水分の吸収及び保持が可能なヒドロゲル材料である高吸収性ポリマーを含んでいる。高吸収性ポリマーに加え、吸収体は、吸収性の繊維材料を含んでいてもよい。吸収体における着用者の肌対向面には、液透過性の表面シートを配置することができる。また、吸収体における非肌対向面には、液不透過性ないし液難透過性の裏面シートを配置することができる。表面シートと吸収体との間には、セカンドシートと呼ばれる液透過性のシートを配置することもできる。生理用品が例えば生理用ナプキンである場合、該生理用ナプキンは一般に長手方向及びそれに直交する幅方向を有する縦長形状を有している。生理用ナプキンにおける肌対向面には、長手方向に延びる一対の防漏カフを、幅方向の両側部に配置することができる。防漏カフは起立性向を有するものであり、それによって肌対向面に排泄された経血の漏れを阻止するものである。
【0019】
生理用品の吸収体は、例えば上述した高吸収性ポリマーを含む吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する被覆シートとを有する。被覆シートは、例えばティッシュペーパーや不織布などの液透過性を有する繊維シートから構成することができる。生理用品の表面シート及び裏面シートとしては、この種の用品に従来用いられている材料と同種の材料を特に制限なく用いることができる。例えば表面シートとしては、液透過性を有するシート、例えば不織布や穿孔フィルムなどを用いることができる。裏面シートとしては、例えば液不透過性のフィルムや、液難透過性のシートであるスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド積層不織布などを用いることができる。液不透過性のフィルムに、複数の微細孔を設け、該フィルムに水蒸気透過性を付与してもよい。
【0020】
生理用品の構造は、その具体的な用途に応じて選択すればよい。生理用品が、例えば生理用ナプキンである場合には、上述した吸収体、表面シート、裏面シート及びセカンドシートなどが構成部材として用いられる。生理用品がタンポンである場合には、筒形をした吸収体を構成部材として用いることができる。生理用品がいずれの構造のものであっても、該生理用品は高吸収性ポリマーを含み、かつ後述するカチオン性ポリマーを含む処理剤によって処理されている。
【0021】
生理用品に含まれる高吸収性ポリマーとしては、一般に粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の高吸収性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。高吸収性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩としては、ナトリウム塩を好ましく用いることができる。また、アクリル酸又はメタクリル酸にマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はスチレンスルホン酸等のコモノマーを高吸収性ポリマーの性能を低下させない範囲で共重合させた共重合物も用いることができる。
【0022】
生理用品は、処理剤によって処理されている。該処理剤は、高吸収性ポリマーの各種の吸収性能、例えば吸収速度や吸収量を向上させるために用いられる。処理剤には、カチオン性ポリマーが含まれている。カチオン性ポリマーとしては、例えばカチオン化セルロースや、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等のカチオン化デンプンなどが挙げられる。また処理剤は、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含むこともできる。本発明において「第4級アンモニウム塩」とは、窒素原子の位置にプラス一価の電荷を有している化合物、又は中和によって窒素原子の位置にプラス一価の電荷を生じさせる化合物を包含し、その具体例としては、第4級アンモニウムカチオンの塩、第3級アミンの中和塩、及び水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンが挙げられる。以下に述べる「第4級アンモニウム部位」も同様の意味で用いられ、水中で正に帯電する部位である。また、本発明において「共重合物」とは、2種以上の重合性単量体の共重合によって得られた重合物のことであり、二元系共重合物及び三元系以上の共重合物の双方を包含する。本発明において「重縮合物」とは、2種以上の単量体からなる縮合物を重合することで得られた重縮合物である。処理剤が、カチオン性ポリマーとして、第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び/又は第4級アンモニウム塩共重合物及び/又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含む場合、該処理剤は、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物のうちのいずれか1種を含んでいてもよく、あるいは任意の2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。また第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。同様に、第4級アンモニウム塩共重合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。更に同様に、第4級アンモニウム塩重縮合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
上述した各種のカチオン性ポリマーのうち、特に、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を用いることが、赤血球への吸着性の点から好ましい。以下の説明においては、簡便のため、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物及び第4級アンモニウム塩重縮合物を総称して「第4級アンモニウム塩ポリマー」と言う。
【0024】
第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種用い、これを重合することで得られたものである。一方、第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を少なくとも1種用い、必要に応じ第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を少なくとも1種用い、これらを共重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を2種以上用い、これらを共重合させて得られたものであるか、又は第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い、これらを共重合させて得られたものである。第4級アンモニウム塩共重合物は、ランダム共重合物でもよく、交互共重合物でもよく、ブロック共重合物でもよく、あるいはグラフト共重合物でもよい。第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それら縮合物を重合することで得られたものである。すなわち第4級アンモニウム塩重縮合物は、第4級アンモニウム部位を有する単量体2種以上の縮合物を用い、これを重合させて得られたものであるか、又は、第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない単量体1種以上からなる縮合物を用い、これを縮重合させて得られたものである。
【0025】
第4級アンモニウム塩ポリマーは、第4級アンモニウム部位を有するカチオン性のポリマーである。第4級アンモニウム部位は、アルキル化剤を用いた第3級アミンの第4級アンモニウム化によって生成させることができる。あるいは第3級アミンを酸若しくは水に溶解させ、中和で生じさせることができる。あるいは縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化によって生成させることができる。アルキル化剤としては、例えばハロゲン化アルキルや、硫酸ジメチル及び硫酸ジメチルなどの硫酸ジアルキルが挙げられる。これらのアルキル化剤のうち、硫酸ジアルキルを用いると、ハロゲン化アルキルを用いた場合に起こり得る腐食の問題が生じないので好ましい。酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ホウ酸、クロム酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、ギ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸などが挙げられる。特に、アルキル化剤によって第3級アミン部位を第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ポリマーを用いると、赤血球の電気二重層を確実に中和できるので好ましい。縮合反応を含む求核反応による第4級アンモニウム化は、ジメチルアミンとエピクロルヒドリンの開環重縮合反応、ジシアンジアミドとジエチレントリアミンの環化反応のようにして生じさせることができる。
【0026】
高吸収性ポリマーによる水分の吸収速度や吸収量は、水分の種類によって異なり、生理食塩水と血液とを比較すると、生理食塩水よりも血液の方が吸収速度が遅く、また吸収量も少ない。この理由を本発明者が種々検討したところ、以下に述べる事実が判明した。血液は血漿等の液体成分と赤血球等の非液体成分に大別されるところ、高吸収性ポリマーに吸収される成分は血漿等の液体成分である。
図2(a)に示すとおり、経血1が高吸収性ポリマー4に接触すると、経血1中の液体成分2のみが高吸収性ポリマー4に吸収され、非液体成分3である赤血球は高吸収性ポリマー4に吸収されない。高吸収性ポリマー4への液体成分2の吸収が進行すると、
図2(b)に示すとおり、高吸収性ポリマー4に吸収されない非液体成分3が、高吸収性ポリマー4の表面に蓄積して被膜5を形成する。この被膜5の形成に起因して、高吸収性ポリマー4の液吸収阻害が生じ、吸収速度が低下する。また被膜5の形成に起因して、高吸収性ポリマー4の膨潤阻害も生じ、吸収量が低下する。
【0027】
図2(b)に示すとおりの現象が生じることを防止して、吸収性能の低下を阻止するための手段について本発明者が種々検討した結果、経血中の非液体成分の大半を占める成分である赤血球を、
図1に示すとおり凝集させて凝集塊6を生成させることが効果的であることが判明した。赤血球の凝集塊6を生成させることで、該凝集塊の被膜が生成しづらくなり、又は、該凝集塊によって被膜が生成したとしても被膜内に液体成分2が透過できる空間が残存するため、液体成分2の吸収阻害が起こりづらくなる。その結果、高吸収性ポリマー4は、本来の吸収性能を十分に発揮することができる。このように吸収性能をより高めるために、後述する赤血球の凝集塊粒径が大きいほど好ましく、凝集塊硬さが硬いほど好ましい。ここで、吸収性能は、吸収量及び吸収速度を尺度として表される。吸収量は、吸収前の高吸収性ポリマー4の体積と、吸収後の高吸収性ポリマー4の体積との比、つまり後述する体積膨潤倍率として表すことができる。また、吸収速度は、高吸収性ポリマー4の体積膨潤倍率の経時における傾きとして表すことができる。
【0028】
経血中に赤血球の凝集塊を生成させるためには、上述したカチオン性ポリマーを用いることが有効であることが本発明者の検討の結果判明した。この理由は次のとおりである。赤血球はその表面に赤血球膜を有する。赤血球膜は、2層構造を有している。この2層構造は、下層である赤血球膜骨格と上層である脂質皮膜からなる。赤血球の表面に露出している脂質皮膜には、グリコホリンと呼ばれるタンパク質が含まれている。グリコホリンはその末端にシアル酸と呼ばれるアニオン電荷を帯びた糖が結合した糖鎖を有している。その結果、赤血球はアニオン電荷を帯びたコロイド粒子として扱うことができる。コロイド粒子の凝集には一般に凝集剤が用いられる。赤血球がアニオン性のコロイド粒子であることを考慮すると、凝集剤としてはカチオン性の物質を用いることが、赤血球の電気二重層を中和する点から有利である。また凝集剤が高分子鎖を有していると、赤血球の表面に吸着した凝集剤の高分子鎖どうしの絡み合いが生じやすくなり、そのことに起因して赤血球の凝集が促進される。更に、凝集剤が官能基を有している場合には、該官能基間の相互作用によっても赤血球の凝集が促進されるので好ましい。
【0029】
以上の作用機序によって経血中に赤血球の凝集塊を生成させることが可能になる。そして、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは、その分子量が2000以上であることが好ましく、1万以上であることが更に好ましく、3万以上であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以上であることによって、赤血球間でのカチオン性ポリマーどうしの絡み合いや、赤血球間でのカチオン性ポリマーの架橋が十分に生じる。分子量の上限値は1000万以下であることが好ましく、500万以下であることが更に好ましく、300万以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの分子量がこれらの値以下であることによって、カチオン性ポリマーが経血中へ良好に溶解する。カチオン性ポリマーの分子量は、2000以上1000万以下であることが好ましく、2000以上500万以下であることが更に好ましく、2000以上300万以下であることが一層好ましく、1万以上300万以下であることが更に一層好ましく、3万以上300万以下であることが特に好ましい。本発明に言う分子量とは、重量平均分子量のことである。カチオン性ポリマーの分子量は、その重合条件を適切に選択することで制御することができる。カチオン性ポリマーの分子量は、東ソー株式会社製のHLC−8320GPCを用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。カラムとしては、東ソー株式会社製のガードカラムαと分析カラムα−Mを直列でつないだものを、カラム温度:40℃で用いる。検出器は、RI(屈折率)を用いる。測定サンプルとしては、溶離液1mLに対して1mgの測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)を溶解させる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、水に150mmol/Lの硫酸ナトリウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は、溶離液10mLに対して、分子量5900のプルラン、分子量47300のプルラン、分子量21.2万のプルラン、分子量78.8万のプルラン、各2.5mg溶解させたプルラン混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体は流速:1.0mL/min、注入量:100μLで測定する。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、エタノール:水=3:7(体積比)に50mmol/Lの臭化リチウムと1質量%の酢酸を溶解させた溶離液を用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は、溶離液20mLに対して、分子量106のポリエチレングリコール(PEG)、分子量400のPEG、分子量1470のPEG、分子量6450のPEG、分子量5万のポリエチレンオキシド(PEO)、分子量23.5万のPEO、分子量87.5万のPEO、各10mg溶解させたPEG−PEO混合物を、分子量標準として用いる。ヒドロキシエチルメタクリレートなどの水溶性重合性単量体を含む共重合体以外は流速:0.6mL/min、注入量:100μLで測定する。
【0030】
赤血球の凝集塊を一層効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーとして第4級アンモニウム塩ポリマーを用いる場合、該第4級アンモニウム塩ポリマーは、その流動電位が1500μeq/L以上であることが好ましく、2000μeq/L以上であることが更に好ましく、3000μeq/L以上であることが一層好ましく、4000μeq/L以上であることが更に一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位がこれらの値以上であることによって、赤血球の電気二重層を十分に中和することができる。流動電位の上限値は13000μeq/L以下であることが好ましく、8000μeq/L以下であることが更に好ましく、6000μeq/L以下であることが一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位がこれらの値以下であることによって、赤血球に吸着した第4級アンモニウム塩ポリマーどうしの電気的反発を効果的に防止することができる。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、1500μeq/L以上13000μeq/L以下であることが好ましく、2000μeq/L以上13000μeq/L以下であることが更に好ましく、3000μeq/L以上8000μeq/L以下であることが一層好ましく、4000μeq/L以上6000μeq/L以下であることが更に一層好ましい。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、例えば構成しているカチオン性モノマー自体の分子量、共重合体を構成しているカチオン性モノマーとアニオン性モノマー又はノニオン性モノマーの共重合モル比を調整することで制御することができる。第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位は、スペクトリス株式会社製の流動電位測定器(PCD04)を用いて測定することができる。具体的な測定条件は次のとおりである。まず市販のナプキンに対して、ドライヤーなどを用いて各部材を接着しているホットメルトを無効化し、表面シート、吸収体、裏面シートなどの部材に分解する。分解した各部材に対して、非極性溶媒から極性溶媒までの多段階溶媒抽出法を行い、各部材に用いられている処理剤を分離し、単一の組成物を含んだ溶液を得る。得られた溶液を乾燥・固化させ、
1H−NMR(核磁気共鳴法)、IR(赤外分光法)、LC(液体クロマトグラフィ)、GC(ガスクロマトグラフィ)、MS(質量分析法)、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)、蛍光X線などを複合して、処理剤の構造を同定する。測定対象の処理剤(第4級アンモニウム塩ポリマー)0.001gを生理食塩水10gに溶解させた測定サンプルに対して、0.001Nのポリエチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(測定サンプルが負電荷を有する場合は、0.001Nのポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド水溶液)を滴定し、電極間の電位差がなくなるまでに要した滴定量XmLを測定する。その後、式1により第4級アンモニウム塩ポリマーの流動電位を算出する。
流動電位 = (X+0.190
※)×1000 ・・・ 式1
(※ 溶媒の生理食塩水に要した滴定量)
【0031】
カチオン性ポリマーが、赤血球の表面に首尾よく吸着するためには、該カチオン性ポリマーが、上述したシアル酸と相互作用しやすいことが有利である。この観点から本発明者が検討を推し進めたところ、物質の無機性値と有機性値との比率である無機性値/有機性値の値(以下「IOB(Inorganic Organic Balance)値」という。)を尺度として、シアル酸結合物とカチオン性ポリマーとの相互作用の程度を評価できることが判明した。詳細には、カチオン性ポリマーとして、シアル酸結合物のIOB値と同じか、それに近似した値のIOB値を有するものを用いることが有利であることが判明した。シアル酸結合物とは、生体内でシアル酸が存在し得る形態となっている化合物のことであり、例えばガラクト脂質などの糖脂質の末端にシアル酸が結合している化合物などが挙げられる。
【0032】
一般に、物質の性状は、分子間の各種分子間力に大きく支配され、この分子間力は主に分子質量によるVan Der Waals力と、分子の極性による電気的親和力からなっている。物質の性質の変化に対して大きな影響を与えるVan Der Waals力と、電気的親和力のそれぞれを個別に把握することができれば、その組み合わせから未知の物質、あるいはそれらの混合物についてもその性状を予測することができる。この考え方は、「有機概念図論」として良く知られている理論である。有機概念図論は、例えば藤田穆著の「有機分析」(カニヤ書店、昭和5年)、藤田穆著の「有機定性分析:系統的.純粋物編」(共立出版、1953年)、藤田穆著の「改編 化学実験学−有機化学編」(河出書房、1971年)、藤田穆・赤塚政実著の「系統的有機定性分析(混合物編)」(風間書房、1974年)、及び甲田善生・佐藤四郎・本間善夫著の「新版 有機概念図 基礎と応用」(三共出版、2008年)等に詳述されている。有機概念図論では、物質の物理化学的物性について、主にVan Der Waals力による物性の程度を「有機性」と呼び、また主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と呼び、物質の物性を「有機性」と「無機性」の組み合わせでとらえている。そして、炭素(C)1個を有機性20と定義し、それに対して各種極性基の無機性及び有機性の値を、以下の表1に記載のとおり定め、無機性値の和と有機性値の和を求め、両者の比をIOB値と定義している。本発明においては、これらの有機性値及び無機性値に基づき、上述したシアル酸結合物のIOB値を決定し、その値に基づきカチオン性ポリマーのIOB値を決定する。
【0034】
具体的には、カチオン性ポリマーがホモポリマーである場合、該ホモポリマーの繰り返し単位に基づき無機性値及び有機性値を決定し、IOB値を算出する。例えば後述する実施例1で用いているカチオン性ポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドの場合、−C−×8=160の有機性値と、Ammo and NH
4 salt×1=400の無機性値と、Ring(non-aromatic single ring)×1=10の無機性値と、−Cl×1=40の有機性値及び10の無機性値とを有することから、無機性値の合計は400+10+10=420となり、有機性値の合計は160+40=200となる。したがってIOB値は420/200=2.10となる。
【0035】
一方、カチオン性ポリマーが共重合物である場合には、共重合に用いられるモノマーのモル比に応じて以下の手順でIOB値を算出する。すなわち、共重合物がモノマーAとモノマーBとから得られ、モノマーAの有機性値がOR
Aで、無機性値がIN
Aであり、モノマーBの有機性値がOR
Bで、無機性値がIN
Bであり、モノマーA/モノマーBのモル比がM
A/M
Bである場合、共重合物のIOB値は以下の式から算出される。
【0037】
このようにして決定されたカチオン性ポリマーのIOB値は、0.6以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.1以上であることが更に好ましく、2.2以上であることが一層好ましい。また、カチオン性ポリマーのIOB値は、4.6以下であることが好ましく、3.6以下であることが更に好ましく、3.0以下であることが一層好ましい。具体的には、カチオン性ポリマーのIOB値は、0.6以上4.6以下であることが好ましく、1.8以上3.6以下であることがより好ましく、2.1以上3.6以下であることが更に好ましく、2.2以上3.0以下であることが一層好ましい。なお、シアル酸のIOB値は、シアル酸単体で4.25であり、シアル酸結合体で3.89である。前記シアル酸結合物とは、糖脂質における糖鎖とシアル酸が結合したものであり、シアル酸結合体は、シアル酸単体よりも有機性値の割合が高くなり、IOB値は低くなる。
【0038】
カチオン性ポリマーのIOB値は上述のとおりであるところ、有機性値そのものは40以上であることが好ましく、100以上であることが更に好ましく、130以上であることが一層好ましい。また、310以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましく、240以下であることが更に好ましく、190以下であることが一層好ましい。例えば有機性値は、40以上310以下であることが好ましく、40以上250以下であることがより好ましく、100以上240以下であることが更に好ましく、130以上190以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの有機性値をこの範囲に設定することで、該カチオン性ポリマーが赤血球に一層首尾よく吸着するようになる。
【0039】
一方、カチオン性ポリマーの無機性値に関しては、70以上であることが好ましく、90以上であることが更に好ましく、100以上であることが一層好ましく、120以上であることが更に一層好ましく、250以上であることが特に好ましい。また、790以下であることが好ましく、750以下であることが更に好ましく、700以下であることが一層好ましく、680以下であることが更に一層好ましく、490以下であることが特に好ましい。例えば無機性値は、70以上790以下であることが好ましく、90以上750以下であることが更に好ましく、90以上680以下であることが一層好ましく、120以上680以下であることが更に一層好ましく、250以上490以下であることが特に好ましい。カチオン性ポリマーの無機性値をこの範囲に設定することで、該カチオン性ポリマーが赤血球に一層首尾よく吸着するようになる。
【0040】
カチオン性ポリマーを赤血球に更に一層首尾よく吸着させる観点から、該カチオン性ポリマーの有機性値をxとし、無機性値をyとしたとき、xとyが以下の式Aを満たすことが好ましい。
y=ax (A)
式中、aは0.66以上であることが好ましく、0.93以上であることが更に好ましく、1.96以上であることが一層好ましい。また、aは、4.56以下あることが好ましく、4.19以下であることが更に好ましく、3.5以下であることが一層好ましい。例えばaは、0.66以上4.56以下の数であることが好ましく、0.93以上4.19以下の数であることが更に好ましく、1.96以上3.5以下の数であることが一層好ましい。特に、カチオン性ポリマーの有機性値及び無機性値が上述の範囲内であることを条件として、該カチオン性ポリマーの有機性値及び無機性値が前記の式Aを満たす場合には、該カチオン性ポリマーがシアル酸結合体と相互作用しやすくなり、該カチオン性ポリマーが赤血球に更に一層吸着しやすくなる。
【0041】
赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から、カチオン性ポリマーは水溶性であることが好ましい。本発明において「水溶性」とは、100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に0.05gの1mm以下の粉末状又は厚み0.5mm以下のフィルム状カチオン性ポリマーを25℃の50mLイオン交換水に添加混合したときに、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS−100を用いて600rpm攪拌下、その全量が24時間以内に水に溶解する性質のことである。なお、本発明において、更に好ましい溶解性としては、全量が3時間以内に水に溶解することが好ましく、全量が30分以内に水に溶解することが更に好ましい。
【0042】
カチオン性ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。特に第4級アンモニウム塩ポリマーは、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものであることが好ましい。第4級アンモニウム部位は側鎖に存在していることが好ましい。この場合、主鎖と側鎖とが1点で結合していると、側鎖の可撓性が阻害されにくくなり、側鎖に存在している第4級アンモニウム部位が赤血球の表面に円滑に吸着するようになる。尤も本発明において、カチオン性ポリマーの主鎖と側鎖とが2点又はそれ以上で結合していることは妨げられない。本発明において「1点で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの1個が、側鎖の末端に位置する1個の炭素原子と単結合していることをいう。「2点以上で結合している」とは、主鎖を構成する炭素原子のうちの2個以上が、側鎖の末端に位置する2個以上の炭素原子とそれぞれ単結合していることをいう。
【0043】
カチオン性ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、例えば第4級アンモニウム塩ポリマーが、主鎖とそれに結合した複数の側鎖とを有する構造のものである場合、各側鎖の炭素数は4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましい。炭素数の上限値は、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい。例えば側鎖の炭素数は4以上10以下であることが好ましく、5以上9以下であることが更に好ましく、6以上8以下であることが一層好ましい。側鎖の炭素数とは、該側鎖における第4級アンモニウム部位(カチオン部位)の炭素数のことであり、対イオンであるアニオン中に炭素が含まれているとしても、その炭素は計数に含まない。特に、側鎖の炭素原子のうち、主鎖に結合している炭素原子から、第4級窒素に結合している炭素原子までの炭素数が上述の範囲であることが、第4級アンモニウム塩ポリマーが赤血球の表面の表面に吸着するときの立体障害性が低くなるので好ましい。
【0044】
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマーである場合、該ホモポリマーとしては、例えば第4級アンモニウム部位又は第3級アミン部位を有するビニル系単量体の重合物が挙げられる。第3級アミン部位を有するビニル系単量体を重合する場合には、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位をアルキル化剤によって第4級アンモニウム化した第4級アンモニウム塩ホモポリマーとなるか、重合前に及び/又は重合後に、第3級アミン部位を酸によって中和した第3級アミン中和塩となるか、重合後に水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンとなる。アルキル化剤や酸の例は、先に述べたとおりである。
【0045】
特に第4級アンモニウム塩ホモポリマーは、以下の式1で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0047】
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの具体例としては、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。また、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と1点で結合しているものであるポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルアミン4級塩)、ポリ(2−アクリルオキシエチルトリメチルアミンクロライド)、ポリ(2−アクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)、ポリ(3−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド4級塩)、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル、ポリアリルアミン塩酸塩、カチオン化セルロース、ポリエチレンイミン、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ポリアミジンなどが挙げられる。一方、第4級アンモニウム部位を有する側鎖が、主鎖と2点以上で結合しているホモポリマーの例としては、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルアミン塩酸塩が挙げられる。
【0048】
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩共重合物である場合には、該共重合物として、上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を2種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物として、上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマーの重合に用いられる重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い共重合して得られた共重合物を用いることができる。更に、ビニル系重合性単量体に加えて、又はそれに代えて、他の重合性単量体、例えば−SO
2−などを用いることもできる。第4級アンモニウム塩共重合物は、上述したとおり、二元系の共重合物又は三元系以上の共重合物であり得る。
【0049】
特に、第4級アンモニウム塩共重合物は、前記の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有することが、赤血球の凝集塊を効果的に生成させる観点から好ましい。
【0051】
また、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体としては、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体を用いることができる。これらの重合性単量体中で、特にカチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体を用いることで、第4級アンモニウム塩共重合物内において第4級アンモニウム部位との電荷相殺が起こらないので、赤血球の凝集を効果的に生じさせることができる。カチオン性重合性単量体の例としては、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を有する環状化合物としてビニルピリジンなど、特定の条件下でカチオンを帯びる窒素原子を主鎖に有する直鎖状化合物としてジシアンジアミドとジエチレントリアミンの縮合化合物などが挙げられる。アニオン性重合性単量体の例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸、及び、スチレンスルホン酸、並びに、これらの化合物の塩などが挙げられる。一方、ノニオン性重合性単量体の例としては、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。これらカチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体、又はノニオン性重合性単量体は、それらのうちの一つを用いることができ、あるいは任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。またカチオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、アニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることができ、あるいはノニオン性重合性単量体を2種以上組み合わせて用いることもできる。カチオン性重合性単量体、アニオン性重合性単量体及び/又はノニオン性重合性単量体を重合性単量体として用いて共重合された第4級アンモニウム塩共重合物は、その分子量が、上述のとおり1000万以下であることが好ましく、特に500万以下、とりわけ300万以下であることが好ましい(以下に例示する第4級アンモニウム塩共重合物についても同様である。)。
【0052】
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いること、それから得られる第4級アンモニウム塩共重合物を用いて赤血球を凝集させたときに、硬い凝集塊が生じやすくなり、高吸収性ポリマーの吸収性能が一層阻害されにくくなる。水素結合をすることが可能な官能基としては、例えば−OH、−NH
2、−CHO、−COOH、−HF、−SHなどが挙げられる。水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。特に、水素結合が強く働く、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチルアクリルアミドなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体として、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いることもできる。このような重合性単量体を共重合に用いることで、上述した、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体を用いる場合と同様の有利な効果、すなわち赤血球の硬い凝集塊が生じやすくなるという効果が奏される。疎水性相互作用をすることが可能な官能基としては、例えばメチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基などが挙げられる。疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体の例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレンなどが挙げられる。特に、疎水性相互作用が強く働き、第4級アンモニウム塩ポリマーの溶解性を大きく低下させない、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどは、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着状態が安定化するので好ましい。これらの重合性単量体は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
第4級アンモニウム塩共重合物中での、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体とのモル比は、該第4級アンモニウム塩共重合物によって赤血球が十分に凝集するように適切に調整されることが好ましい。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物の流動電位が、上述した値となるように調整されることが好ましい。あるいは、第4級アンモニウム塩共重合物のIOBが、上述した値となるように調整されることが好ましい。特に、第4級アンモニウム塩共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上であることが好ましく、22モル%以上であることが更に好ましく、32モル%以上であることが一層好ましく、38モル%以上であることが更に一層好ましい。また、100モル%以下であることが好ましく、80モル%以下であることが更に好ましく、65モル%以下であることが一層好ましく、56モル%以下であることが更に一層好ましい。具体的には、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比は10モル%以上100モル%以下であることが好ましく、22モル%以上80モル%以下であることが更に好ましく、32モル%以上65モル%以下であることが更に好ましく、38モル%以上56モル%以下であることが一層好ましい。
【0055】
第4級アンモニウム塩ポリマーが、第4級アンモニウム塩重縮合物である場合には、該重縮合物として、上述した第4級アンモニウム部位を有する単量体1種以上からなる縮合物を用い、それらの縮合物を重合することで得られた重縮合物を用いることができる。具体例としては、ジシアンジアミド/ジエチレントリアミン重縮合物、ジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物などが挙げられる。
【0056】
上述した第4級アンモニウム塩ホモポリマー及び第4級アンモニウム塩共重合物は、ビニル系重合性単量体の単独重合法又は共重合法によって得ることができる。重合方法としては、例えばラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、開環重合、重縮合などを用いることができる。重合条件に特に制限はなく、目的とする分子量、流動電位、及び/又はIOB値を有する第4級アンモニウム塩ポリマーが得られる条件を適切に選択すればよい。
【0057】
第4級アンモニウム塩ポリマーを初めとするカチオン性ポリマーは、それ単独で、又は他の成分と混合された組成物の状態で、生理用品として用いられる。この処理剤に含まれ得るカチオン性ポリマー以外の成分としては、例えば溶媒、可塑剤、香料、抗菌・消臭剤、スキンケア剤などが挙げられる。また、この処理剤に含まれ得るカチオン性ポリマー以外の成分は、1種又は2種以上混合することができる。溶媒としては水、炭素数1ないし4の飽和脂肪族一価アルコール等の水溶性有機溶媒、又は該水溶性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールなどを用いることができる。香料としては、特許第4776407号公報に記載されているグリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスなどを用いることができる。抗菌・消臭剤としては、特許第4526271号公報に記載されている抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、特許第4587928号公報に記載されているフェニル基を有する重合性モノマーから重合された多孔性ポリマー、特許第4651392号公報に記載されている第4級アンモニウム塩、活性炭、粘土鉱物などを用いることができる。スキンケア剤としては、特許第4084278号公報に記載されている植物エキス、コラーゲン、天然保湿成分、保湿剤、角質柔軟化剤、消炎剤などを用いることができる。
【0058】
前記処理剤に占めるカチオン性ポリマーの割合は1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、5質量%以上であることが一層好ましい。また、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが一層好ましい。例えばカチオン性ポリマーの割合は、1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以上10質量%以下であることが一層好ましい。前記処理剤に占めるカチオン性ポリマーの割合をこの範囲内に設定することで、生理用品に有効量のカチオン性ポリマーを付与することができる。
【0059】
生理用品は、その構成部材が前記処理剤で処理されることで、該構成部材に第4級アンモニウム塩ポリマーを初めとするカチオン性ポリマーが施されている。カチオン性ポリマーは、生理用品に排泄された経血と接触するような態様で、該生理用品に施されていることが有利である。この観点から、カチオン性ポリマーは、裏面シートにおける肌当接面側の面、又はそれよりも肌当接面側の部位に施されていることが好ましく、吸収体、又はそれよりも肌当接面側の部位に施されていることが更に好ましく、吸収体における被覆シート又はそれよりも肌当接面側の部位に施されていることが一層好ましい。例えば、カチオン性ポリマーは、吸収体における被覆シート、表面シート、又は該被覆シートと該表面シートとの間に配置されたセカンドシートのうちのいずれか1つの部材又は任意の2つ以上の部材に施されていることが好ましい。これらの部位にカチオン性ポリマーが施されていると、高吸収性ポリマーが含まれている部位である吸収性コアに経血が達する前に、該経血がカチオン性ポリマーと接触することができ、吸収性コアに経血が達する前に該経血中の赤血球の凝集を生じさせることができるので有利である。吸収性コア中にカチオン性ポリマーを含ませた場合や、吸収性コアに含まれる高吸収性ポリマーの表面にカチオン性ポリマーを存在させた場合にも、赤血球の凝集効果は認められる。尤も、それらの場合よりも、アニオン性を帯びている高吸収性ポリマー近傍に、反対電荷であるカチオン性ポリマーを存在させない方が、カチオン性ポリマーの経血への溶出を抑制せず、赤血球が凝集しやすくなり、高吸収性ポリマーが液を吸収する前に十分な凝集効果を得ることができる。よって、被覆シート、表面シート及び/又はセカンドシートにカチオン性ポリマーを施す方が、赤血球の凝集効果は高くなる。
【0060】
特に、カチオン性ポリマーを含む生理用品が、高吸収性ポリマーと、該高吸収性ポリマーより肌側に存在する構成部材とを有する構造のものである場合、カチオン性ポリマーは前記構成部材よりも肌側に配置されることが好ましい。この構造の生理用品に含まれるカチオン性ポリマーは、血液の凝集速度が0.75mPa・s/s以下であることが好ましい。血液の凝集速度は、カチオン性ポリマーが血液を凝集させて凝集塊を形成する能力の尺度となるものであり、その値が小さいほど一定時間経過後の凝集塊のサイズが小さいことを表す。つまり、カチオン性ポリマーによって血液を凝集させると、それによって生じた一定時間経過後の凝集塊のサイズが大きい場合には、生理用品の構成部材が、該凝集塊によって目詰まりを起こし、液の透過性を妨げることがあるところ、前記の凝集速度を制御することで、凝集塊に起因する液透過性の低下を引き起こすことなく、高吸収性ポリマーの吸収容量を向上させることができる。具体的には、生理用品中において、被覆シートやセカンドシートを液が透過する際には、凝集塊の生成速度が遅く目詰まりを起こしにくくなり、生理用品全体としての吸収速度が速くなる。そして、液がこれらのシートを通過し、吸収性コア内に到達した後に、凝集塊が急速に成長するため、高吸収性ポリマーの吸収容量が多くなる。つまり本発明によれば、液の透過性の向上と高吸収性ポリマーの吸収容量の向上という二律背反の要求が同時に満たされる。この観点から前記の凝集速度は0.32mPa・s/s以下であることが更に好ましく、0.15mPa・s/s以下であることが一層好ましい。凝集速度の下限値は、0.001mPa・s/s以上であることが好ましく、0.01mPa・s/s以上であることが一層好ましい。
【0061】
前記の凝集速度を達成し得るカチオン性ポリマーとしては、例えば上述の第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物を用いることが好ましい。第4級アンモニウム塩共重合物を用いる場合には、該第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体、アニオン性単量体又はノニオン性単量体との共重合物であることが好ましい。特に、第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体との共重合物であることが好ましい。とりわけ第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体との共重合物であり、該共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比が10モル%以上、特に22モル%以上であることが好ましい。このモル比は、100モル%以下、特に96モル%以下であることが好ましい。例えば、このモル比は10モル%以上100モル%以下、特に22モル%以上96モル%以下であることが好ましい。
【0062】
前記の凝集速度は次に述べる方法で測定される。凝集速度の測定に用いられる血液は、8mPa・sに粘度調製した血液(株式会社日本バイオテスト研究所製馬脱繊維血液)に対して500ppmカチオン性ポリマーを添加したサンプルである。レオメーター(Thermo Fisher Scientific, Inc.製HAAKE
RheoStress
6000)を用いて、ステージ上にあらかじめ展開した200μLの血液に、あらかじめカチオン性ポリマーを5%溶解させた生理食塩水2μLを滴下し、35mmΦのコーンプレート(傾斜1度)、温度:30度、せん断速度:10
1(秒
−1)で粘度変化を測定した。粘度変化を50秒測定し、得られたプロットを直線近似し、その直線の傾きから凝集速度を算出した。
【0063】
生理用品には、その構成部材に第4級アンモニウム塩ポリマーを初めとするカチオン性ポリマーが施されている。この構成部材は、後述する方法によって測定される血液の総透過量が、2g以上であることが好ましく、3g以上であることが更に好ましく、4g以上であることが一層好ましく、5g以上であることがより一層好ましく、7g以上であることが最も好ましい。総透過量の上限値に特に制限はない。このような総透過量を示すカチオン性ポリマーを用いることで、上述した凝集速度を一層好ましい範囲に制御することが可能となる。
【0064】
生理用品の構成部材に施されるカチオン性ポリマーの量は、0.2g/m
2以上であることが好ましく、0.5g/m
2以上であることが更に好ましく、1g/m
2以上であることが更に好ましく、3g/m
2以上であることが一層好ましく、5g/m
2以上であることが更に一層好ましい。また20g/m
2以下であることが好ましく、15g/m
2以下であることが更に好ましく、10g/m
2以下であることが一層好ましい。例えばカチオン性ポリマーの量は、0.2g/m
2以上20g/m
2以下であることが好ましく、0.5g/m
2以上20g/m
2以下であることが更に好ましく、1g/m
2以上20g/m
2以下であることが更に好ましく、3g/m
2以上15g/m
2以下であることが一層好ましく、5g/m
2以上10g/m
2以下であることが更に一層好ましい。この範囲の量でカチオン性ポリマーを施すことで、排泄された経血中の赤血球を効果的に凝集させることができる。なお、カチオン性ポリマーが、例えば表面シート及び被覆シートの双方に施されている場合など、2つ以上の部位に施されている場合、前記の量は、各部位に施されているカチオン性ポリマーの総和のことである。カチオン性ポリマーの量が20g/m
2以下であれば、カチオン性ポリマーが赤血球に過剰に吸着して静電的な反発を起こしにくく、凝集が起こりやすい。カチオン性ポリマーの量が0.2g/m
2以上であれば、カチオン性ポリマーが十分に吸着し、凝集が起こりやすい。
【0065】
生理用品の構成部材に施されるカチオン性ポリマーの量は、該カチオン性ポリマーが施される該構成部材の質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることが更に好ましく、0.5質量%以上であることが一層好ましい。また、前記構成部材の質量に対して10質量%以下であることが好ましく、7.5質量%以下であることが更に好ましく、5.0質量%以下であることが一層好ましい。カチオン性ポリマーの量は、該カチオン性ポリマーが施される構成部材の質量に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上7.5質量%以下であることが更に好ましく、0.5質量%以上5.0質量%以下であることが一層好ましい。
【0066】
カチオン性ポリマーは、生理用品の平面視において、全域に施されていてもよく、一部域にのみ施されていてもよい。一部域にのみカチオン性ポリマーを施す場合には、例えば生理用品の装着状態において装着者の排泄部に対向する部位に、カチオン性ポリマーを施せばよい。
【0067】
カチオン性ポリマーを含む前記処理剤を生理用品の構成部材に施す場合には、各種の塗工方法を採用することができる。例えば、スプレー法、ディッピング法、転写法、ダイ塗工、グラビア塗工、インクジェット法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
【0068】
本発明は、経血の吸収に用いられる物品全般に適用することができる。そのような物品の例としては生理用ナプキン、パンティライナ及びタンポン等が挙げられるが、それらに限られない。
【0069】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず、本発明によって奏される有利な効果を損なわない範囲で種々の変更が可能である。
【0070】
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の生理用品及び生理用品用処理剤を開示する。
<1>
水溶性カチオン性ポリマーが、主鎖とそれに結合した側鎖とを有する構造からなり、かつ分子量が2000以上であり、
前記水溶性カチオン性ポリマーは、
以下の式1で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるか、又は、
以下の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有する第4級アンモニウム塩共重合物であり、
前記水溶性カチオン性ポリマーの前記主鎖と前記側鎖とが1点で結合しており、該側鎖が第4級アンモニウム部位を有する
ものである水溶性カチオン性ポリマーが適用された生理用品。
【0073】
<2>
前記側鎖の炭素数が4以上10以下である前記<1>に記載の生理用品。
<3>
各側鎖の炭素数は、4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましく、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい前記<2>に記載の生理用品。
<4>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体との共重合物である前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の生理用品。
<5>
カチオン性重合性単量体が、ビニルピリジン、又はジシアンジアミドとジエチレントリアミンとの縮合化合物である前記<4>に記載の生理用品。
<6>
アニオン性重合性単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸若しくはスチレンスルホン酸又はこれらの化合物の塩である前記<4>に記載の生理用品。
【0074】
<7>
ノニオン性重合性単量体が、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート又はブチルアクリレートである前記<4>に記載の生理用品。
<8>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体との共重合物である前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の生理用品。
<9>
水素結合をすることが可能な官能基が、−OH、−NH
2、−CHO、−COOH、−HF又は−SHである前記<8>に記載の生理用品。
<10>
水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体が、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートである前記<8>又は<9>のいずれか1に記載の生理用品。
<11>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体との共重合物である前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載の生理用品。
【0075】
<12>
疎水性相互作用をすることが可能な官能基が、メチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基である前記<11>に記載の生理用品。
<13>
疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体が、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート又はスチレンである前記<11>又は<12>に記載の生理用品。
<14>
経血の吸収に用いられる生理用品であって、
前記生理用品は高吸収性ポリマーを含み、
前記生理用品を構成するいずれかの部材に、流動電位が1500μeq/L以上であり、分子量が2000以上である、第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物からなる水溶性カチオン性ポリマーを0.2g/m
2以上20g/m
2有する生理用品。
<15>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物が、主鎖とそれに結合した側鎖とを有する構造のものであり、主鎖と側鎖とが1点で結合している前記<14>に記載の生理用品。
<16>
前記側鎖の炭素数が4以上10以下である前記<15>に記載の生理用品。
【0076】
<17>
各側鎖の炭素数は、4以上であることが好ましく、5以上であることが更に好ましく、6以上であることが一層好ましく、10以下であることが好ましく、9以下であることが更に好ましく、8以下であることが一層好ましい前記<16>に記載の生理用品。
<18>
第4級アンモニウム塩が、第4級アンモニウムカチオンの塩、第3級アミンの中和塩、又は水溶液中でカチオンを帯びる第3級アミンである前記<14>ないし<17>のいずれか1に記載の生理用品。
<19>
第4級アンモニウム塩共重合物は、2種以上の重合性単量体の共重合によって得られた重合物であり、二元系共重合物及び三元系以上の共重合物の双方を包含する前記<14>ないし<18>のいずれか1に記載の生理用品。
<20>
第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を2種以上用い、これらを共重合させて得られたものであるか、又は第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体を1種以上と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体を1種以上用い、これらを共重合させて得られたものである前記<14>ないし<19>のいずれか1に記載の生理用品。
<21>
第4級アンモニウム塩ホモポリマーが、以下の式1で表される繰り返し単位を有し、
第4級アンモニウム塩共重合物が、以下の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有する前記<14>ないし<20>のいずれか1に記載の生理用品。
【0079】
<22>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物の流動電位が13000μeq/L以下である<15>ないし<21>のいずれか1に記載の生理用品。
<23>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物は、その流動電位が1500μeq/L以上13000μeq/L以下であることが好ましく、2000μeq/L以上13000μeq/L以下であることが更に好ましく、3000μeq/L以上8000μeq/L以下であることが一層好ましく、4000μeq/L以上6000μeq/L以下であることが更に一層好ましい前記<14>ないし<22>のいずれか1に記載の生理用品。
<24>
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの分子量が1000万以下であるか、又は
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合体単量体又はノニオン性重合性単量体との共重合物であり、その分子量が1000万以下である<14>ないし<23>のいずれか1に記載の生理用品。
<25>
カチオン性重合性単量体が、ビニルピリジン、又はジシアンジアミドとジエチレントリアミンとの縮合化合物である前記<24>に記載の生理用品。
<26>
アニオン性重合性単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸若しくはスチレンスルホン酸又はこれらの化合物の塩である前記<24>に記載の生理用品。
【0080】
<27>
ノニオン性重合性単量体が、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート又はブチルアクリレートである前記<24>に記載の生理用品。
<28>
高吸収性ポリマーと、該高吸収性ポリマーより肌側に存在する構成部材と、水溶性カチオン性ポリマーを含む吸収性物品であって、
前記水溶性カチオン性ポリマーは前記構成部材より肌側に配置され、且つ凝集速度が0.75mPa・s/s以下である生理用品。
<29>
前記水溶性カチオン性ポリマーの凝集速度が0.32mPa・s/s以下である前記<28>に記載の生理用品。
<30>
前記水溶性カチオン性ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物である前記<28>又は<29>に記載の生理用品。
<31>
第4級アンモニウム塩ホモポリマーの分子量が1000万以下であるか、又は
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体、アニオン性重合体単量体又はノニオン性重合性単量体との共重合物であり、その分子量が1000万以下である前記<28>ないし<30>のいずれか1に記載の生理用品。
【0081】
<32>
カチオン性重合性単量体が、ビニルピリジン、又はジシアンジアミドとジエチレントリアミンとの縮合化合物である前記<31>に記載の生理用品。
<33>
アニオン性重合性単量体が、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アクリル酸若しくはスチレンスルホン酸又はこれらの化合物の塩である前記<31>に記載の生理用品。
<34>
ノニオン性重合性単量体が、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド
、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート又はブチルアクリレートである前記<31>に記載の生理用品。
<35>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体との共重合物である前記<28>ないし<34>のいずれか1に記載の生理用品。
<36>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物が、アルキル化剤により第4級アンモニウム化されたものである前記<28>ないし<35>のいずれか1に記載の生理用品。
【0082】
<37>
アルキル化剤が、ハロゲン化アルキルや、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルなどの硫酸ジアルキルエステルである前記<36>に記載の生理用品。
<38>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物が、硫酸ジアルキルにより第4級アンモニウム化されたものである前記<28>ないし<37>のいずれか1に記載の生理用品。
<39>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物の分子量が2000以上300万以下である前記<28>ないし<38>のいずれか1に記載の生理用品。
<40>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体との共重合物である前記<28>ないし<39>のいずれか1に記載の生理用品。
<41>
水素結合をすることが可能な官能基が、−OH、−NH
2、−CHO、−COOH、−HF又は−SHである前記<40>に記載の生理用品。
【0083】
<42>
水素結合をすることが可能な官能基を有する重合性単量体が、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルアルコール、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミ
ド、エチレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコールモノアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレートである前記<40>又は<41>に記載の生理用品。
<43>
第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体との共重合物である前記<28>ないし<38>のいずれか1に記載の生理用品。
<44>
疎水性相互作用をすることが可能な官能基が、メチル基、エチル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、アルキルナフタレン基、フッ化アルキル基である前記<43>に記載の生理用品。
<45>
疎水性相互作用をすることが可能な官能基を有する重合性単量体が、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタクリレート、プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート又はスチレンである前記<43>又は<44>に記載の生理用品。
<46>
第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体との共重合物であり、該共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比が70モル%以上である前記<28>ないし<45>のいずれか1に記載の生理用品。
【0084】
<47>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物は、ビニル系重合性単量体の単独重合法又は共重合法によって得られたものであり、重合方法として、ラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合、配位重合、開環重合又は重縮合が用いられる前記<28>ないし<46>のいずれか1に記載の生理用品。
<48>
前記水溶性カチオン性ポリマーを0.1質量以上10質量%以下含んでなる前記<1>ないし<47>のいずれか1に記載の生理用品。
<49>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物を含む処理剤によって処理されており、該処理剤に溶媒、可塑剤、香料、抗菌・消臭剤又はスキンケア剤が更に含まれる前記<1>ないし<48>のいずれか1に記載の生理用品。
<50>
溶媒として水、炭素数1ないし4の飽和脂肪族一価アルコール等の水溶性有機溶媒、又は該水溶性有機溶媒と水との混合溶媒が用いられる前記<49>に記載の生理用品。
<51>
可塑剤として、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオールが用いられる前記<49>又は<50>に記載の生理用品。
【0085】
<52>
香料として、グリーンハーバル様香気を有する香料、植物の抽出エキス、柑橘類の抽出エキスが用いられる前記<49>ないし<51>のいずれか1に記載の生理用品。
<53>
抗菌・消臭剤として、抗菌性を有する金属を含むカンクリナイト様鉱物、フェニル基を有する重合性モノマーから重合された多孔性ポリマー、第4級アンモニウム塩、活性炭、粘土鉱物が用いられる前記<49>ないし<52>のいずれか1に記載の生理用品。
<54>
スキンケア剤として、植物エキス、コラーゲン、天然保湿成分、保湿剤、角質柔軟化剤、消炎剤が用いられる前記<49>ないし<53>のいずれか1に記載の生理用品。
<55>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物が、吸収体における被覆シート、表面シート、又は該被覆シートと該表面シートとの間に配置されたセカンドシートのうちのいずれか1つの部材又は任意の2つ以上の部材に施されている前記<1>ないし<54>のいずれか1に記載の生理用品。
<56>
血液を吸収する際に赤血球の凝集塊が生成される前記<1>ないし<55>のいずれか1に記載の生理用品。
【0086】
<57>
生理用ナプキン、パンティライナ又はタンポンである前記<1>ないし<56>のいずれか1に記載の生理用品。
<58>
高吸収性ポリマーを含有し、かつ経血を吸収する生理用品の高吸収性ポリマー以外の構成部材を処理するために用いられる生理用品用処理剤であって、
前記処理剤は、分子量が2000以上である水溶性カチオン性ポリマーを含み、
前記カチオン性ポリマーは、無機性値と有機性値との比率である無機性値/有機性値の値が0.6以上4.6以下であり、
前記カチオン性ポリマーが、第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物である
生理用品用処理剤。
<59>
カチオン性ポリマーのIOB値は、0.6以上4.6以下であることが好ましく、2.1以上3.6以下であることが更に好ましく、2.2以上3.0以下であることが一層好ましい前記<58>に記載の生理用品用処理剤。
<60>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物が、硫酸ジアルキルにより第4級アンモニウム化されたものであるか、酸若しくは水に溶解することによって中和されたものであるか、又は縮合反応を含む求核反応により第4級アンモニウム化されたものである前記<58>又は<59>に記載の生理用品用処理剤。
<61>
第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物が、第3級アミンの酸による中和で生じたものであり、
酸として、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、クエン酸、リン酸、フルオロスルホン酸、ホウ酸、クロム酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、グルコン酸、ギ酸、アスコルビン酸、ヒアルロン酸が用いられる前記<58>ないし<60>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
【0087】
<62>
無機性値/有機性値の値が1.8以上3.6以下である前記<58>ないし<61>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<63>
無機性値/有機性値の値が2.2以上3.0以下である前記<58>ないし<62>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<64>
カチオン性ポリマーが第4級アンモニウム塩共重合物であり、
前記第4級アンモニウム塩共重合物は、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、第4級アンモニウム部位を有さない重合性単量体との共重合物であり、該共重合物における第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体のモル比が10モル%以上である前記<58>ないし<63>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<65>
前記カチオン性ポリマーが第4級アンモニウム塩共重合物であり、前記第4級アンモニウム塩共重合物が、第4級アンモニウム部位を有する重合性単量体と、カチオン性重合性単量体又はノニオン性重合性単量体との共重合物である前記<58>ないし<64>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<66>
前記カチオン性ポリマーは、その有機性値が100以上240以下である前記<58>ないし<65>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
【0088】
<67>
前記カチオン性ポリマーは、その有機性値が130以上190以下である前記<58>ないし<66>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<68>
前記カチオン性ポリマーは、その無機性値が90以上680以下である前記<58>ないし<67>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<69>
前記カチオン性ポリマーは、その無機性値が250以上490以下である前記<58>ないし<68>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<70>
前記カチオン性ポリマーの有機性値をxとし、無機性値をyとしたとき、xとyが、y=ax(aは0.66以上であることが好ましく、0.93以上であることが更に好ましく、1.96以上であることが一層好ましい。また、aは、4.56以下あることが好ましく、4.19以下であることが更に好ましく、3.5以下であることが一層好ましい。)の関係を満たす前記<58>ないし<69>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<71>
前記生理用品が表面シートを備え、該表面シートを処理するために用いられる前記<58>ないし<70>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
【0089】
<72>
前記生理用品が、吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する被覆シートとを備え、該被覆シートを処理するために用いられる前記<58>ないし<71>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<73>
前記生理用品が表面シートと吸収体との間にセカンドシートを備え、該セカンドシートを処理するために用いられる前記<58>ないし<72>のいずれか1に記載の生理用品用処理剤。
<74>
前記<58>ないし<73>のいずれか一項に記載の生理用品用処理剤を適用した生理用品。
<75>
血液を吸収する際に赤血球の凝集塊が生成される前記<74>に記載の生理用品。
<76>
生理用ナプキン、パンティライナ又はタンポンである前記<74>又は<75>に記載の生理用品。
【0090】
<77>
主鎖とそれに結合した側鎖とを有する構造からなり、かつ分子量が2000以上であり、
以下の式1で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるか、又は、
以下の式1で表される繰り返し単位と、以下の式2で表される繰り返し単位とを有する第4級アンモニウム塩共重合物であり、
前記主鎖と前記側鎖とが1点で結合しており、該側鎖が第4級アンモニウム部位を有する水溶性カチオン性ポリマーの血液凝集剤としての使用。
【0093】
<78>
流動電位が1500μeq/L以上であり、分子量が2000以上である、第4級アンモニウム塩ホモポリマー又は第4級アンモニウム塩共重合物からなる水溶性カチオン性ポリマーの血液凝集剤としての使用。
<79>
凝集速度が0.75mPa・s/s以下である水溶性カチオン性ポリマーの血液凝集剤としての使用。
<80>
分子量が2000以上であり、
無機性値と有機性値との比率である無機性値/有機性値の値が0.6以上4.6以下であり、
第4級アンモニウム塩ホモポリマー、第4級アンモニウム塩共重合物又は第4級アンモニウム塩重縮合物からなる水溶性カチオン性ポリマーの血液凝集剤としての使用。
【実施例】
【0094】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」及び「部」はそれぞれ「質量%」及び「質量部」を表す。
【0095】
〔実施例1〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ルブリゾール社(The Lubrizol Corporation)製のマーコート106(Merquat 106 Polymer))を用いた。これはジアリルメチルアミンの塩化メチル塩をモノマーAとして用いて重合させたものであり、他のモノマー(モノマーB)は用いていないものである。このポリマーの詳細は、以下の表2に示すとおりである。このポリマーを水に溶解して、濃度5%の処理剤水溶液を調製した。このポリマーの凝集速度は以下の表2に示すとおりである。
吸収体の被覆シートのモデルシートとして、25g/m
2のティッシュペーパー2cm×2cm[Weyerhauser社製のHigh Bulk Additive70部、Skeena Cellulose Co.製のSKEENA PRIME30部、をそれぞれ混合して湿式抄紙して作製した。質量:0.068g、厚み:0.326mm(0.5g/cm
2荷重時)、0.5g/cm
2荷重時の嵩密度:0.08g/cm
3]に第4級アンモニウム塩ポリマーを付着させたものを製造した。詳細には、ティッシュペーパーの質量に対して、前述の5%の処理剤水溶液を300%の割合で噴霧した後、水分を乾燥させることで、ティッシュペーパーに第4級アンモニウム塩ポリマーを付着させた。付着量は、3.8g/m
2であった。このモデルシートを「モデルシート1」という。また、ティッシュペーパーの質量に対して、前述の5%の処理剤水溶液を600%の割合で噴霧した後、水分を乾燥させ、第4級アンモニウム塩ポリマーの付着量が、7.5g/m
2であるモデルシートも製造した。このモデルシートを「モデルシート2」という。更に、ティッシュペーパーの質量に対して、前述の5%の処理剤水溶液を1200%の割合で噴霧した後、水分を乾燥させ、第4級アンモニウム塩ポリマーの付着量が、15g/m
2であるモデルシートも製造した。このモデルシートを「モデルシート3」という。更に、ティッシュペーパーの質量に対して、前述の5%の処理剤水溶液を120%の割合で噴霧した後、水分を乾燥させ、第4級アンモニウム塩ポリマーの付着量が、1.5g/m
2であるモデルシートも製造した。このモデルシートを「モデルシート4」という。更に、ティッシュペーパーの質量に対して、前述の5%の処理剤水溶液を60%の割合で噴霧した後、水分を乾燥させ、第4級アンモニウム塩ポリマーの付着量が、0.8g/m
2であるモデルシートも製造した。このモデルシートを「モデルシート5」という。これらのモデルシートを用いて、第4級アンモニウム塩ポリマーの溶出量、赤血球の凝集塊粒径、赤血球の凝集塊硬さ、第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着率、高吸収性ポリマーの体積膨潤倍率、をそれぞれ測定した。
このようにして得られたモデルシート1ないし5を8mPa・sに粘度調製した血液(株式会社日本バイオテスト研究所製馬脱繊維血液)3gに30分浸した。モデルシート1を浸した血液には、第4級アンモニウム塩ポリマーが約500ppm含まれていた。また、モデルシート2を浸した血液には、第4級アンモニウム塩ポリマーが約1000ppm含まれていた。更に、モデルシート3を浸した血液には、第4級アンモニウム塩ポリマーが約2000ppm含まれていた。更に、モデルシート4を浸した血液には、第4級アンモニウム塩ポリマーが約200ppm含まれていた。更に、モデルシート5を浸した血液には、第4級アンモニウム塩ポリマーが約100ppm含まれていた。回収された各血液について、赤血球の凝集塊粒径及び凝集塊硬さ、並びに第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着率を以下の方法で測定した。
更に、回収された血液を高吸収性ポリマーに吸収させ膨潤させて、吸収前後での体積膨潤倍率を、以下の方法で測定した。
また、総透過量及び透過液を用いた高吸収性ポリマー1粒の体積膨潤倍率を、以下の方法で測定した。これらの結果を以下の表2に示す。
【0096】
〔赤血球の凝集塊粒径〕
レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所のLA−950V2)を用いて測定した。血液を生理食塩水で約4000倍に希釈し、希釈液を0.67L/minで循環させながら測定した。
【0097】
〔赤血球の凝集塊硬さ〕
レオメーター(Anton Paar GmbHのMCR502)を用いて測定した。プレートとして、コーンプレート(CP50−1)を用いた。このコーンプレートの直径は50mm、角度は0.995°、切頭は101mmであった。せん断速度は10
−4(1/s)から10
3(1/s)まで変化させた。測定温度は人肌を想定した30℃とした。赤血球の凝集塊硬さは、せん断速度10
−2(1/s)時のせん断応力の値と定義した。
【0098】
〔第4級アンモニウム塩ポリマーの赤血球への吸着率〕
粘度調整していない血液(株式会社日本バイオテスト研究所製馬脱繊維血液)を1000×g、10min、4℃で遠心分離後、上澄みの血漿を生理食塩水と交換する処理を3回繰り返して生理食塩水で洗浄した血球を調製する。洗浄した血球と生理食塩水を等容量で混合し、血球分散生理食塩水とした。第4級アンモニウム塩ポリマーを5mg精秤し、血球分散生理食塩水を10gになるように添加し、良く撹拌した。試料を調製後、30分以上放置した後、1000×g、10min、4℃で遠心分離した。上澄みを1mL採取し、5μmのフィルターを通してLC−CAD(Charged Aerosol Detector:荷電化粒子検出器)の試料とした。本実験では第4級アンモニウム塩ポリマーの未吸着量を定量し、仕込み量から差し引くことで、赤血球への第4級アンモニウム塩ポリマー吸着量を計算した。LC−CAD測定の装置は株式会社日立製作所製L−7000を使用した。カラムは、GLサイエンス製MonoClad C18−HS 3.0mm×50mmを用い、カラム温度:40℃とした。溶離液は A:0.1%トリフルオロ酢酸含有水溶液、B:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル、C:2−プロパノールを、A:100%(0.0min−10.0min)→B:100%(10.1min−15.0min)→C:100%(15.1min−20.0min)のグラジェント条件、及び流速:1.0mL/min、注入量:50μLで測定した。
【0099】
〔高吸収性ポリマーの体積膨潤倍率〕
直径約400μmの高吸収性ポリマー1粒をスライドガラス上に載置し、この高吸収性ポリマーに、回収された各血液を、パスツールピペットによって3滴滴下して、該高吸収性ポリマーに血液を吸収させて膨潤させた。高吸収性ポリマーとしては、架橋ポリアクリル酸ナトリウムを用いた。血液を滴下した後、水分の蒸散を防ぐために、小さなスクリュー蓋を用いて高吸収性ポリマーを密閉した。10分経過後に蓋を取り去り、更に吸収紙を用いて過剰量存在する血液を吸収除去した。引き続き、高吸収性ポリマーの直径を光学顕微鏡観察で測定した。膨潤前の高吸収性ポリマーの直径をR
1(μm)、膨潤後の直径をR
2(μm)としたとき、体積膨潤倍率は(R
2/R
1)
3で定義される。
なお、体積膨潤倍率は高吸収性ポリマーの吸収量を表す指標である。また、この測定において、体積膨潤倍率の経時における傾きが、高吸収性ポリマーの吸収速度となる。本実施例及び比較例においては、いずれも血液を滴下した後、10分経過後の体積膨潤倍率を測定しているため、この体積膨潤倍率が大きいほど、吸収速度も速いことになる。
【0100】
〔総透過量〕
吸収体の被覆シートのモデルシートとして、坪量が25g/m
2で、寸法が2cm×2cmの正方形のティッシュペーパー[Weyerhauser社製のHigh Bulk Additive70部、Skeena Cellulose Co.製のSKEENA PRIME30部、をそれぞれ混合して湿式抄紙して作製した。質量:0.068g、厚み:0.326mm(0.5g/cm
2荷重時)、0.5g/cm
2荷重時の嵩密度:0.08g/cm
3]に、第4級アンモニウム塩ポリマーを付着させたものを製造した。詳細には、ティッシュペーパーの質量に対して、400%の割合で前記処理剤を噴霧した。処理剤を乾燥させることで、ティッシュペーパーに第4級アンモニウム塩ポリマーを付着させた。付着量は、5.0g/m
2であった。このモデルシートを「モデルシート6」という。このようにして得られたモデルシート6を35mmΦのアクリル筒の間にはさみ、8mPa・sに粘度調製した血液(株式会社日本バイオテスト研究所製馬脱繊維血液)3gを3分間隔で繰り返し3回透過させた。各回20秒後の透過量を測定し、3回合計の値を総透過量とした。この総透過量は前述の凝集速度が遅いほど大きくなり、総透過量が大きいほど、第4級アンモニウム塩ポリマーを付着させた構成部材を用いた生理用品の吸収速度は顕著に速くなる。なお、生理用品の吸収速度は、10mmΦの筒を備えたアクリル注入プレート(20cm×10cm、質量211g)を生理用品の上に垂直に配置し、筒に血液3gを3分間隔で繰り返し3回注入させたときに、筒から血液が消えるまでの時間である。3分間隔とは筒に血液を注入した瞬間を0としたときの時間間隔である。
【0101】
〔透過液を用いた高吸収性ポリマー1粒の体積膨潤倍率〕
前記モデルシート6を用いた総透過量の実験において、3回透過させた血液全体を回収した。直径約400μmの高吸収性ポリマー1粒をスライドガラス上に載置し、この高吸収性ポリマーに、回収された血液を、パスツールピペットによって3滴滴下して、該高吸収性ポリマーに血液を吸収させて膨潤させた。血液を滴下した後、水分の蒸散を防ぐために、小さなスクリュー蓋を用いて高吸収性ポリマーを密閉した。10分経過後に蓋を取り去り、更に吸収紙を用いて過剰量存在する血液を吸収除去した。引き続き、高吸収性ポリマーの直径を光学顕微鏡観察で測定した。膨潤前の高吸収性ポリマーの直径をR
1(μm)、膨潤後の直径をR
2(μm)としたとき、体積膨潤倍率は(R
2/R
1)
3で定義される。
【0102】
〔実施例2〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(センカ株式会社製のユニセンスFPA1000L)を用いた。このポリマーの詳細は、表2に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表2に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0103】
〔実施例3〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ルブリゾール社製のマーコート100(Merquat 100 Polymer))を用いた。このポリマーの詳細は、表2に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表2に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0104】
〔実施例4〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(センカ株式会社製のユニセンスFPA1002L)を用いた。このポリマーの詳細は、表2に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表2に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0105】
〔実施例5〕
表2に示すモノマーAを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤である2,2’−Azobis(2−methylpropionamidine)dihydrochloride(和光純薬株式会社製のV−65B)を加えて加熱し重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーを得た。このポリマーの詳細は、表2に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表2に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0106】
〔実施例6ないし9〕
実施例5において、使用するモノマーAの仕込み量を変えた以外は実施例5と同様にして水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーを得た。このポリマーの詳細は、表2に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表2に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0107】
〔実施例10〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリ(2−アクリルオキシエチルトリメチルアミン4級塩)(センカ株式会社製のHP−209A)を用いた。このポリマーの詳細は、表3に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表3に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0108】
〔実施例11〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル(三菱レイヨン株式会社製のDIAFLOC KP201G)を用いた。このポリマーの詳細は、表4に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表4に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0109】
〔実施例12〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリアリルアミン塩酸塩(ニットーボーメディカル株式会社製のPAA−HCl−3L)を用いた。このポリマーの詳細は、表4に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表4に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0110】
〔実施例13〕
表4に示すモノマーAを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーを得た。このポリマーの詳細は、表4に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表4に示す。
【0111】
〔実施例14〕
第4級アンモニウム塩ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリ(2−メタクリルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩)(花王株式会社製のカオーセラMD−P)を用いた。このポリマーの詳細は、表5に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表5に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0112】
〔実施例15ないし18〕
実施例13において、使用するモノマーAの仕込み量を変えた以外は実施例13と同様にして水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーを得た。このポリマーの詳細は、表5に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表5に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表5に示す。
【0113】
〔実施例19及び20〕
表6に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このとき、各実施例においてモノマーA及びモノマーBの仕込み量も変えた。これらのポリマーの詳細は、表6に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0114】
〔実施例21ないし23〕
表6に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このとき、各実施例においてモノマーA及びモノマーBの仕込み量も変えた。これらのポリマーの詳細は、表6に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表6に示す。
【0115】
〔実施例24ないし26〕
表7に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このとき、各実施例においてモノマーA及びモノマーBの仕込み量も変えた。これらのポリマーの詳細は、表7に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0116】
〔実施例27〕
表7に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒である水及びエタノールの混合溶媒に溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このポリマーの詳細は、表7に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表7に示す。
【0117】
〔実施例28〕
表8に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒である水及びエタノールの混合溶媒に溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このポリマーの詳細は、表8に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表8に示す。
【0118】
〔実施例29〕
表8に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒である水に溶解させ、水溶性のアゾ開始剤である2,2’−Azobis(2.4−dimethylvaleronitrile)(和光純薬株式会社製のV−50)を加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表8に示す。
【0119】
〔実施例30〕
水溶性の第4級アンモニウム共重合体であるジアリルジメチルアンモニウムクロライド/アクリルアミド共重合体(ルブリゾール社製のマーコート740(Merquat 740 Polymer))を用いた。このポリマーの詳細は、表8に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表8に示す。
【0120】
〔実施例31〕
表9に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このポリマーの詳細は、以下の表9に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表9に示す。
【0121】
〔実施例32及び33〕
表9に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このポリマーの詳細は、以下の表9に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表9に示す。
【0122】
〔実施例34〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリアミジン(三菱レイヨン株式会社製のDIAFLOC KP7000)を用いた。これはアミジンをモノマーAとして用いて重合させたものであり、他のモノマー(モノマーB)は用いていないものである。このポリマーの詳細は、以下の表10に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0123】
〔実施例35〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製のエポミンP−1000)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表10に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表10に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0124】
〔実施例36〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製のPAS−21)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表10に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表10に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0125】
〔実施例37〕
水溶性の第4級アンモニウム塩重縮合物であるジメチルアミン/エピクロルヒドリン重縮合物(センカ株式会社製のユニセンスKHE1000L)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表10に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0126】
〔実施例38〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリ(ジアリルアミン塩酸塩)(ニットーボーメディカル株式会社製のPAS−21CL)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表10に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表10に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表10に示す。
【0127】
〔実施例39〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルアミン(ニットーボーメディカル株式会社製のPAA−HCI−05)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表11に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表11に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0128】
〔実施例40〕
水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物であるジアリルアミン塩酸塩とアクリルアミドとの共重合物(センカ株式会社製のユニセンスKCA−100L)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表11に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーA及びモノマーBは表11に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0129】
〔実施例41〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製のエポミンSP−200)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表11に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表11に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0130】
〔実施例42〕
水溶性の第4級アンモニウム塩重縮合物であるジシンアミミド/ジエチレントリアミン重縮合物(センカ株式会社製のユニセンスKHP10L)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表11に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0131】
〔実施例43〕
表11に示すモノマーAとモノマーBとを、同表に示すモル比で用いて共重合を行い、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。このポリマーの詳細は、以下の表11に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0132】
〔実施例44〕
水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリジアリルジメチルアンモニウムジエチル硫酸塩(ニットーボーメディカル株式会社製のPAS−24)を用いた。このポリマーの詳細は、表11に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0133】
〔実施例45〕
表11に示すモノマーA及びモノマーBを同表に示すモル比で用い、これらを、溶媒であるエタノールに溶解させ、油溶性のアゾ開始剤であるV−65Bを加えて加熱し共重合を行って、水溶性の第4級アンモニウム塩共重合物を得た。これらのポリマーの詳細は、表11に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表11に示す。
【0134】
〔比較例1〕
メタクリル酸ジメチルアミノエチル(和光純薬工業株式会社製)を、ジエチル硫酸(東京化成工業株式会社製)で4級化した。得られた化合物の詳細は、表12に示すとおりである。これを用いた以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0135】
〔比較例2〕
カチオン性ポリマーとして、水溶性の第4級アンモニウム塩ホモポリマーであるポリエチレンイミン(株式会社日本触媒製のエポミンSP−018)を用いた。このポリマーの詳細は、以下の表12に示すとおりである。また、このポリマーに用いられているモノマーAは表12に示すとおりである。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0136】
〔比較例3〕
本比較例では、表12に示す水溶性であるカチオン化セルロース(花王株式会社製のMX−2075)を使用した。これ以外は実施例1と同様にして、同実施例と同様の評価を行った。その結果を表12に示す。
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
【表12】
【0148】
表2ないし12に示す結果から明らかなとおり、各実施例では、第4級アンモニウム塩ポリマーを使用することで赤血球が凝集し、そのことに起因して、高吸収性ポリマーの膨潤が阻害されず、経血の吸収速度が速く、かつ、吸収量が多くなっていることが判る。これに対して、比較例では、赤血球が十分に凝集せず、そのことに起因して高吸収性ポリマーの膨潤阻害が起き、経血の吸収速度が遅く、かつ、吸収量が少なくなっていることが判る。