特許第6080292号(P6080292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080292
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/51 20060101AFI20170206BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20170206BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20170206BHJP
   A61F 13/72 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   A61F13/51
   A61F13/49 410
   A61F13/49 312Z
   A61F13/496 100
   A61F13/72
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-251970(P2012-251970)
(22)【出願日】2012年11月16日
(65)【公開番号】特開2014-100157(P2014-100157A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】牧野 綾子
(72)【発明者】
【氏名】田中 あづさ
(72)【発明者】
【氏名】宮村 猛史
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 祐子
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−080996(JP,A)
【文献】 特開2010−246901(JP,A)
【文献】 特開2008−148834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
A61L 15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部を有し、腹側部における両側縁部と背側部における両側縁部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつであって、
腹側部及び背側部のうちの少なくとも腹側部の胴回り領域に、おむつの外表面を形成する最外層シート、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート及び最外層シートと最内層シートとの間に位置する中間シートが厚み方向に重なった多層領域を有しており、
前記中間シートは、前記多層領域においておむつ幅方向の両端部が一対の前記サイドシール部に固定されており、一対の前記サイドシール部間の全幅に亘って、最外層シート及び最内層シートの何れにも固定されていない非固定領域を有しており非固定領域は、おむつ幅方向に伸縮性を有しており、
前記最外層シート及び前記最内層シートは、それぞれ、非伸縮性のシートであり且つ前記非固定領域と重なる領域に弾性部材が固定されていない、パンツ型の使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記非固定領域は、積層された複数枚のシート及びシート間に伸長状態で配された弾性部材からなる、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記中間シートは、伸縮性を有する1枚のシートのみからなる請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
腹側部及び背側部のそれぞれに前記多層領域及び前記中間シートの前記非固定領域が形成されており、
腹側部及び背側部の前記非固定領域が、腹側部の胴回り領域と背側部の胴回り領域が環状に連結された環状の胴回り領域の、サイドシール部近傍を除く略全周に亘って形成されている、請求項1〜3の何れか1項記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部を有し、腹側部における両側縁部と背側部における両側縁部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型のおむつカバーであって、
腹側部及び背側部のうちの少なくとも腹側部の胴回り領域に、おむつカバーの外表面を形成する最外層シート、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート及び最外層シートと最内層シートとの間に位置する中間シートが厚み方向に重なった多層領域を有しており、
前記中間シートは、前記多層領域においておむつカバーの幅方向の両端部が一対の前記サイドシール部に固定されており、一対の前記サイドシール部間の全幅に亘って、最外層シート及び最内層シートの何れにも固定されていない非固定領域を有しており、該非固定領域は、おむつカバーの幅方向に伸縮性を有しており、
前記最外層シート及び前記最内層シートは、それぞれ、非伸縮性のシートであり且つ前記非固定領域と重なる領域に弾性部材が固定されていない、パンツ型のおむつカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンツ型の使い捨ておむつにおいて、胴回り部に配する胴回り部弾性部材を、おむつの外表面を形成する最外層シート以外の部材に固定し、その胴回り弾性部材を固定した部材と最外層シートとの間に非接着領域を設けることによって、最外層シートの内方にギャザーを形成する一方、胴回り部の外表面にはギャザーが形成されないようにする技術が知られている(特許文献1)。
また、特許文献2には、おむつの外表面を形成する最外層シートと、胴回り部の最も肌側に配された最内層シートとの間を、最内層シートの周縁部を除く大部分において非接着とするとともに、最外層シート及び最内層シートの何れかに伸縮性シートを用いたものが記載されている。
また、特許文献3には、おむつの外表面を形成する最外層シートと、その肌側に配される内層シートとを多数の結合部で互いに結合させるとともに、両シート間に伸長状態で配した糸状弾性部材によって両シートに襞を形成させた使い捨ておむつが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−287930号公報
【特許文献2】特開2010−227153号公報
【特許文献3】特開2008−161514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のおむつは、胴回り部の外表面にギャザーが形成されていないため、すっきりとした外観を呈する。しかし、最外層シートの内方に形成されたギャザーによって、肌が擦られる恐れがある。
特許文献2のおむつは、最内層シートを伸縮性シートとした場合には、該伸縮性シートによって肌が擦られる恐れがあり、また、最外層シートを伸縮性シートとした場合においても、衣類の動きやそれに伴う最外層シートの伸縮が、最内層シートに伝わりやすく、肌が擦られる恐れがある。
特許文献3のおむつは、最外層シートと内層シートの両シートに形成された襞によりおむつの外表面及び内面が共に柔軟であるが、両シートは、それらの間を結合する多数の結合部を介して連動するものであるため、本発明とは思想及び構成が異なる。
【0005】
本発明の課題は、上記の従来技術が有する解決課題を解決し得る使い捨ておむつに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する使い捨ておむつであって、腹側部及び背側部のうちの少なくとも腹側部の胴回り領域に、おむつの外表面を形成する最外層シート、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート及び最外層シートと最内層シートとの間に位置する中間シートが厚み方向に重なった多層領域を有しており、前記中間シートは、前記多層領域に、最外層シート及び最内層シートの何れにも固定されていない非固定領域を有し、該非固定領域は、おむつ幅方向に伸縮性を有している、使い捨ておむつを提供するものである。
【0007】
本発明は、着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部を有するおむつカバーであって、腹側部及び背側部のうちの少なくとも腹側部の胴回り領域に、おむつカバーの外表面を形成する最外層シート、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート及び最外層シートと最内層シートとの間に位置する中間シートが厚み方向に重なった多層領域を有しており、前記中間シートは、前記多層領域に、最外層シート及び最内層シートの何れにも固定されていない非固定領域を有し、該非固定領域は、おむつカバーの幅方向に伸縮性を有している、おむつカバーを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の使い捨ておむつによれば、着用者の肌に対するフィット性に優れている上に、おむつの外表面の動きや伸縮性の中間シートの動きが、肌に当接するシートに伝わりにくく、肌が擦られずに良好な履き心地が得られる。
本発明のおむつカバーによれば、着用者の肌に対するフィット性に優れている上に、外表面の動きや伸縮性の中間シートの動きが、肌に当接するシートに伝わりにくく、肌が擦られずに良好な履き心地が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における内面側を示す展開平面図である。展開且つ伸長状態とは、パンツ型吸収性物品を展開状態とし、その展開状態の吸収性物品を、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
図3図3は、図2のI−I線断面図である。
図4図4は、図2のII−II線断面図である。
図5図5は、図1のおむつの腹側部及び背側部の胴回り領域の横断面を模式的に示す断面図である。
図6図6は、弾性部材のシートへの固定態様の一例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す断面図(図3相当図)である。
図8図8(a)は、本発明の第3実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す断面図(図3相当図)、図8(b)は、図8(a)に示すおむつの中間シートの伸縮部の拡大断面図である。
図9図9は、本発明の第4実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す断面図(図3相当図)である。
図10図10は、本発明の第5実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す断面図(図3相当図)である。
図11図11は、本発明の第5実施形態のパンツ型使い捨ておむつを示す断面図(図4相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態である使い捨ておむつ1(以下、おむつ1ともいう)は、図1に示すように、予め、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されているパンツ型の使い捨ておむつである。
おむつ1は、着用時に着用者の腹側に配される腹側部A、着用時に着用者の背側に配される背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に位置して、着用時に着用者の股間部に配される股下部Cを有している。
【0011】
おむつ1は、パンツ型の外装体11と、該外装体11に固定された吸収性本体10とを備えている。
外装体11は、腹側部Aにおける両側縁部と背側部Bにおける両側縁部とが互いに接合されており、その接合によって、おむつ1に、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。外装体11は、展開且つ伸長状態のおむつ1においては、図2に示すように、長方形の長手方向中央部が括れた形状を有している。
【0012】
本明細書において、おむつ長手方向とは、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向であり、図2中のY方向である。また、おむつ幅方向は、前記長手方向と交差する方向であり、図2中のX方向である。展開且つ伸長状態のおむつ1において、おむつ幅方向Xは、おむつ長手方向Yと直交している。吸収性本体の長手方向及び幅方向は、それぞれ、おむつの長手方向及び幅方向と対応する方向である。また、腹側部A及び背側部Bのそれぞれにおいて、パンツ型吸収性物品の長手方向は、着用時の上下方向であるため、腹側部A及び背側部Bのおむつ長手方向Yにおいて、ウエスト開口縁W側を上側又は上方、股下部C側を下側又は下方ともいう。ウエスト開口縁Wは、ウエスト開口部5の周縁である。
【0013】
外装体11は、図2図4に示すように、おむつの外表面を形成する最外層シート12と、最外層シート12に隣接させて該最外層シート12の肌面側に配されている中間シート13と、中間シート13の肌面側に位置し、吸収性本体10の長手方向の端部の上下に亘って延在している内面形成シート14と、シート間に配された各部の弾性部材71,91等を有している。
最外層シート12及び中間シート13は、それぞれ、腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って連続しており、内面形成シート14は、背側部B及び腹側部Aにそれぞれ一枚配されている。また、最外層シート12は、腹側部A、股下部C及び背側部Bの全域において、おむつ1の外表面を形成しており、更に、最外層シート12を構成するシート材が、ウエスト開口縁Wにおいて肌面側に折り返されて、最外層シート12の折り返し部12a,12bが形成されている。内面形成シート14は、最外層シート12の折り返し部12a,12bに覆われていない部分が、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート15となっている。肌面は、各シートの両面のうち、着用時に着用者の肌側に向けられる面である。
【0014】
以下、おむつ1の外装体11におけるシートの積層状態について更に説明する。なお、本実施形態のおむつ1は、腹側部Aと背側部Bとで外装体11が同様の積層構造を有している。そのため、図3及び図4を参照しつつ、主として腹側部Aの積層構造について説明するが、背側部Bにも同様の説明が適用される。
【0015】
第1実施形態のおむつ1の外装体11は、腹側部Aの胴回り領域A2に、おむつの外表面を形成する最外層シート12、着用者の肌に接するおむつの内表面を形成する最内層シート15及び最外層シート12と最内層シート15との間に位置する中間シート13が厚み方向に重なった多層領域Rを有している。
多層領域Rの上端は、中間シート13の上端13uの位置に一致し、多層領域Rの下端は、最内層シート15の下端15dの位置と一致している。
内面形成シート14は、多層領域Rの上端の位置を超えて、ウエスト開口部の周縁部W近傍まで延在している。そして、ウエスト開口部の周縁部W近傍における、最外層シート12と内面形成シート14との間に、複数本(図示例は5本)のウエスト弾性部材51が、腹側部Aの幅方向の全幅に亘って伸長状態で配されてウエスト弾性領域A1が形成されている。ウエスト弾性領域A1は、その収縮により、ウエスト開口部5の周縁部に、ウエストギャザーを形成し、ウエスト開口部におけるフィット性が向上する。
胴回り領域A2は、ウエスト弾性領域A1よりも股下部C側に位置する部分である。ウエスト弾性領域A1は、ウエスト開口部5の周縁部に形成された伸縮領域である。ウエスト弾性領域A1と胴回り領域A2との境界が不明な場合は、ウエスト開口縁Wから股下部C方向への距離が3cmの位置よりも股下部C側の領域を胴回り領域A1とする。
【0016】
また、中間シート13は、図3に示すように、多層領域R中に、最外層シート12及び最内層シート15の何れにも固定されていない非固定領域R1を有している。第1実施形態における中間シート13は、図3に示すように、積層された2枚のシート13g,13i及びその間に固定された糸状又は紐状の弾性部材71からなる伸縮部R2を有している。中間シート13の非固定領域R1は、この伸縮部R2を有することによって、おむつ幅方向Xに伸縮性を有している。
【0017】
中間シート13の非固定領域R1に配する弾性部材71の本数は、好ましくは2本以上、より好ましくは3本以上であり、また、好ましくは30本以下、より好ましくは20本以下であり、また、好ましくは2〜30本、より好ましくは2〜20である。
【0018】
中間シート13の非固定領域R1には、複数本の弾性部材71を、おむつ長手方向Yに分散させて配置し、伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2を広くすることが、胴回り領域A2が、着用者の胴回りに面で優しくフィットするようにする観点から好ましい。伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2は、非固定領域R1中の、長手方向最上端に存在する弾性部材71と最下端に存在する弾性部材71との間の距離である。
伸縮部R2のおむつ長手方向Yの長さL2は、腹側部Aの同方向Yの長さLaに対する割合が、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上である。上限は100%である。なお、本実施形態のパンツ型の使い捨ておむつの場合、腹側部Aの長手方向の長さLaは、サイドシール部Sのおむつ長手方向の長さと同じである。
【0019】
また、成人用のおむつの場合、伸縮部R2の前記長さL2は、好ましくは2cm以上、より好ましくは10cm以上であり、また、好ましくは25cm以下、より好ましくは20cm以下であり、また、好ましくは2〜25cm、より好ましくは10〜20cmである。
また、伸縮部R2のおむつ幅方向の長さは、腹側部Aのサイドシール部間の長さW1に対する割合が、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。上限は100%である。
【0020】
また、中間シート13の非固定領域R1は、おむつ長手方向Yの長さL1が、少なくとも、前述した伸縮部R2の前記長さL2以上であることが好ましい。
非固定領域R1のおむつ長手方向Yの長さL1は、腹側部Aの同方向Yの長さLaに対する割合が、好ましくは10%以上、より好ましくは50%以上である。上限は100%である。
また、成人用のおむつの場合、非固定領域R1の前記長さL1は、好ましくは2cm以上、より好ましくは10cm以上であり、また、好ましくは25cm以下、より好ましくは20cm以下であり、また、好ましくは2〜25cm、より好ましくは10〜20cmである。
【0021】
また、非固定領域R1のおむつ幅方向の長さは、腹側部Aのサイドシール部間の長さW1に対する割合が、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上である。上限は100%である。
【0022】
伸縮部R2を備えた非固定領域R1は、おむつ幅方向において、少なくとも、吸収体4の側縁より外方の部位G,Gに形成されていることが好ましい。本実施形態のおむつ1においては、腹側部Aの非固定領域R1は、腹側部における一対のサイドシール部間の全幅に亘っており、背側部Bの非固定領域R1も、同様に背側部における一対のサイドシール部間の全幅に亘っている。即ち、図5に示すように、腹側部Aの非固定領域R1と背側部Bの非固定領域R1とが、腹側部の胴回り領域A2及び背側部の胴回り領域B2が環状に連結された環状の胴回り領域のサイドシール部のS,S近傍を除く略全周に亘って形成されている。また、非固定領域R1の伸縮部R2も、同様に、環状の胴回り領域のサイドシール部近傍を除く略全周に亘って形成されている。非固定領域R1及びその伸縮部R2が、サイドシール部近傍を除く略全周に亘って形成されていると、一層、フィット性に優れ、肌に優しいものとなる。なお、図中、符号Hは着用者を示す。
【0023】
第1実施形態のおむつ1における中間シート13は、その上端が、接着剤17を介して最外層シート12に接合されている。中間シート13の上端側は、他の部材に固定されていなくてもよいが、最外層シート12、内面形成シート等の他の部材に固定されている方が、中間シート13が内部で折れ曲がることを防ぐ点から好ましい。
他方、中間シート13の、非固定領域R1より下方に位置する部分は、吸収性本体10と重なる部分においては、最外層シート12及び吸収性本体10に接着剤を介して固定されており、吸収性本体10の両側縁より外方に位置する部分においては、最外層シート12及び内面形成シート14に接着剤を介して固定されている。
【0024】
なお、前記弾性部材71は、図6に示すように、弾性部材71に塗布された接着剤16のみを介して、中間シート13を構成する2枚のシート13g,13iと接合されており、隣接する弾性部材71どうし間には、2枚のシート13g,13i間が接合されていない非接合領域Mが形成されている。これにより、やわらかさや通気性が向上する。
【0025】
また、ウエスト弾性部材51も、前述した弾性部材71と同様に、弾性部材51に塗工した接着剤のみを介して、最外層シート12と内面形成シート14との間に接合されており、隣接するウエスト弾性部材51どうし間には、最外層シート12と内面形成シート14との間が接合されていない非接合領域が形成されている。また、ウエスト弾性部材51は、おむつ長手方向Yに間隔を開けて複数本配されていることが好ましい。腹側部A及び背側部Bに配するウエスト弾性部材51の本数は、それぞれ、好ましくは3本以上、より好ましくは4本以上であり、また、好ましくは15本以下、より好ましくは12本以下であり、また、好ましくは3〜15本、より好ましくは4〜12本である。
【0026】
本実施形態のおむつ1の腹側部Aの股下寄り領域A3には、おむつ幅方向Xに延びる下部弾性部材91が、おむつ長手方向Yに間隔を開けて複数本配されている。下部弾性部材91は、図4に示すように、最外層シート12と中間シート13との間に接着剤を介して接合されている。下部弾性部材91は、吸収性本体10の両側縁の外方においては伸縮力を発現する一方、吸収性本体10と重なるX方向中央部に、下部弾性部材91が伸縮力を発現しない非伸縮領域を有していることが好ましい。非伸縮性領域は、下部弾性部材91が配されていなくても良いし、下部弾性部材91が伸縮性を発現しない状態とされて配されていても良い。
外装体11には、更に、レッグ部弾性部材61が配されている。レッグ部弾性部材61は、最外層シート12と中間シート13との間に、伸長状態で配されており、おむつ1のレッグ開口部6,6に、脚回りに沿って収縮するレッグギャザーを形成する。下部弾性部材91及びレッグ部弾性部材61は、それぞれ隣接する2枚のシート間に、一方又は双方のシートに塗工した接着剤を介して接合されており、弾性部材と弾性部材との間の中央位置においてもシートどうしが接合されている。
【0027】
図2及び図3に示すように、吸収性本体10は、おむつ長手方向Yと同方向に長い長方形状であり、液透過性の表面シート2、液不透過性又は液難透過性(撥水性等)の裏面シート3及び両シート2,3間に介在配置された液保持性の吸収体4を有する。吸収体4は、パルプ繊維等の繊維の集合体からなる吸収性コア又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コア40と、該吸収性コア40を被覆するコアラップシート46からなる。吸収性コア40は、フラッフパルプの積繊物又はフラッフパルプと吸水性ポリマーの混合積繊物であることが好ましい。また、コアラップシート46としては、各種公知のものを用いることができ、例えばティッシュペーパのような薄紙や透水性の不織布等が好ましく用いられる。また、吸収性本体10は、図2に示すように、吸収性本体10の長手方向の左右両側に、液抵抗性ないし撥水性で且つ通気性の素材から構成された側方カフス8,8を有していてもよい。各側方カフス8の自由端部の近傍には、複数の側方カフス弾性部材81が伸張状態で配されている。側方カフス8は、おむつ着用時に起立して液の側方への流出を阻止する。
【0028】
第1実施形態のおむつ1は、従来のパンツ型使い捨ておむつと同様にして使用することができる。
第1実施形態のおむつ1によれば、中間シート13の伸縮性を有する非固定領域R1が、最外層シート12及び最内層シート15の何れにも固定されていないため、中間シートは、最外層シート及び最内層シートの影響を受けずに中間シート単体と同じような伸縮性を発現し、それらのシートと接合されている場合に生じるような伸縮性の低下が生じない。そのため、着用者の肌に対して良好なフィット性が得られる。
また、着用中の着用者の動きにより、衣類と擦れておむつ外面が動いたり、中間シートが伸縮しても、それらの動きが、最内層シート15には伝わりにくい。そのため、伸縮性に優れ、最内層シート15によって肌が擦られることが起こりにくく、優れた履き心地も得られる。
【0029】
上述したおむつ1の各部の形成材料について説明する。
表面シート2、裏面シート3、吸収体4、及び側方カフス8形成用シート等としては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布や、開孔フィルム等を用いることができる。裏面シート3としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。裏面シート3は、透湿性を有するものでも有しないものでも良い。
【0030】
また、最外層シート12,中間シート13を構成する2枚のシート13g,13i、最内層シート15としても、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のシート材を特に制限なく用いることができるが、不織布を用いることが好ましく、不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等の単層の不織布又は同種若しくは異種の不織布が2層以上に積層された積層不織布等が好ましい。また、最外層シート12,中間シート13,最内層シート15として、不織布とフィルムとを一体化したシート等を用いることもできる。
【0031】
最外層シート12,中間シート13を構成する2枚のシート13g,13i及び最内層シート15は、それぞれ、スパンボンド不織布、特に目付が20g/m2以下のスパンボンド不織布であることが好ましい。引っ張り強度に優れるスパンボンド不織布を使用することにより、各シートの目付の低減が可能であり、シートの剛性低下により、フィット性や装着感が向上する。
【0032】
また、最外層シート12及び最内層シート15は、それぞれ、非伸縮性のシートを用いることが好ましい。また、中間シート13を構成する2枚のシート13g,13iも、それぞれ、弾性部材を固定しない単独状態では、非伸縮性のシートであることが好ましい。
「非伸縮性のシート」は、下記方法により測定した時、次のいずれかに当てはまるシートを言う。(1)該シートをおむつ幅方向Xに伸長した時に、伸度100%以下で破断する。(2)該シートをおむつ幅方向Xに伸度100%まで伸長させた後、収縮させたときにおける伸長回復率(100%伸長時の伸長回復率)が30%以下である。
<非伸縮性の測定方法>
長さ50mm、幅25mmのシートのサンプル片を用意し、テンシロン引っ張り試験機〔(株)オリエンテック社製、「RTC-1210A」〕を用いて、チャック間隔L0にサンプル片を固定し、該サンプル片をその長さ方向に、300mm/minの速度で100%伸長時の長さLb(伸度100%の長さ,Lb=L0×2)まで伸長させる。破断しなかった場合は、引張速度と同様の速度で戻し始めて応力が0になった時におけるサンプル片の長さを伸長回復後の長さLaとする。次式から100%伸長時の伸長回復率を算出する。
100%伸長時の伸長回復率(%)=〔(Lb-La)/(Lb-L0)〕×100
サンプル片は、おむつ又はおむつカバーの幅方向Xに対応する方向を長さ方向(50mm)とする。
【0033】
弾性部材51,61,71,81,91の形成素材としては、例えば、スチレン−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等を挙げることができる。弾性部材の形態としては、断面が矩形、正方形、円形、楕円形又は多角形状等の糸状(糸ゴム等)、若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0034】
次に、本発明の第2〜第5実施形態の使い捨ておむつについて説明する。第2〜第5実施形態のおむつについては、第1実施形態のおむつ1と相違する点について主として説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、好ましい構成を含めて、第1実施形態における説明が適宜適用される。また、第1実施形態と同様の要素には、同一の符号を付してある。
【0035】
第2実施形態の使い捨ておむつは、図7に示すように、中間シート13における、伸縮部R2を有する非固定領域R1が一枚のシートを折り返して形成した2枚のシート13g,13i及び該シート間に伸長状態で配された糸状又は紐状の弾性部材71からなる点及び該中間シート13の上端が、他の部材に固定されていない点が、第1実施形態と異なる。第2実施形態の中間シート13も、第1実施形態と同様に、おむつ幅方向の両端部が一対のサイドシール部S,Sに固定されている。
第2実施形態の使い捨ておむつによれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0036】
第3実施形態の使い捨ておむつは、図8(a)及び図8(b)に示すように、中間シート13における、伸縮部R2を有する非固定領域R1が、1枚の不織布60と、該不織布60上におむつ長手方向Yに間欠的に固定された複数本の弾性部材71とを有している。弾性部材71は、おむつ幅方向Xに伸長状態で配され、接着剤63で不織布60に固定されている。不織布60は、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の疎水性繊維等から構成された、単層又は多層構造のスパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布等であり、その目付は、10〜20g/m2の範囲の不織布であることが好ましい。スパンボンド不織布としては、ポリプロピレン繊維から構成されたスパンボンド/メルブローン/スパンボンド(SMS)不織布であることが好ましい。
【0037】
接着剤63としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるもの等を、特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト型の接着剤を用いることができる。
接着剤63は、接着剤塗工機としてビードガン等を用いて、各弾性部材71に直接塗工することが好ましい。更に、基底部65から突出した襞64の形成のし易さの観点から、各弾性部材71の不織布60との対向位置にのみ直接塗工を施すことが好ましい。例えば、図8(b)に示すように、弾性部材71を断面視して、弾性部材71の全周における襞64内において不織布60と対向する略半周上にのみ接着剤63が直接塗工されていることが好ましい。また、各襞64は、各弾性部材71の収縮により形成されており、図8(b)に示すように、断面視して、各弾性部材71が各襞64の高さ方向の先端寄りに配されている。弾性部材71と、おむつ長手方向Yに隣り合う弾性部材どうし71,71間の基底部65に位置する不織布60とは離間しており、その離間する間隔L6は、厚み方向Zのクッション性を向上させる観点や通気性が向上する観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは5.0mm以下であり、また、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜5.0mmである。
【0038】
第3実施形態の使い捨ておむつによれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第3実施形態の使い捨ておむつによれば、中間シート13の非固定領域R1における伸縮部R2は、厚み方向Zにクッション性を示すので、はき心地が一層向上する。
【0039】
第4実施形態の使い捨ておむつにおいては、図9に示すように、最外層シート12の折り返し部12a,12bが、吸収性本体10の端部に重なる位置まで延在しており、その折り返し部12a,12bが、多層領域Rにおける最内層シート15を構成している。最外層シート12の折り返し部12a,12bは、最外層シート12を構成するシート材がウエスト開口縁Wにおいて肌面側に折り返されて形成されている。
第4実施形態の使い捨ておむつによれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0040】
第5実施形態の使い捨ておむつにおいては、図10及び図11に示すように、中間シート13が、伸縮性を有する1枚のシートのみからなる。
第5実施形態のおむつにおいても、腹側部Aの胴回り領域A2及び背側部の胴回り領域B2のそれぞれに、おむつの外表面を形成する最外層シート12、着用者の肌に接するおむつの内表面を形成する最内層シート15及び最外層シート12と最内層シート15との間に位置する中間シート13が厚み方向に重なった多層領域Rが形成されている。そして、その中間シート13が、伸縮性を有する1枚のシートからなる。その中間シート13は、図10及び図11に示すように、多層領域R中に、最外層シート12及び最内層シート15の何れにも固定されていない非固定領域R1を有しており、該非固定領域R1の全体が伸縮部R2となっている。
【0041】
第5実施形態の中間シート13として用いる1枚のシートからなる伸縮性シートとしては、特開2008−228760号公報の段落〔0022〕〜〔0028〕に記載の、(1)弾性繊維の集合体からなる弾性繊維シートの両面に、伸長可能な繊維集合体が一体化されてなるシート、(2)ネット状の弾性シートの少なくとも片面に、伸長可能な繊維集合体が自然状態で一体化されてなるシート、(3)弾性繊維の集合体のみからなる弾性不織布シート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート等が好ましく用いられる。
第5実施形態の中間シート13として用いる伸縮性シートは、糸又は細帯状の複数の弾性部材が伸長状態で固定されていなくても伸縮性を有する伸縮性シートが好ましく、自然状態で実質的に皺が寄っていないシートが好ましい。
伸長可能とは、少なくとも1方向の最大伸度が100%以上である(長さが2倍以上に伸びること)ことを言う。
【0042】
第5実施形態の使い捨ておむつによれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第5実施形態の使い捨ておむつによれば、薄くて、一層、柔らかくはき心地に優れる。
【0043】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。
【0044】
例えば、上記の各実施形態のおむつにおいては、背側部B及び腹側部Aの両方に、最外層シート、中間シート及び最内層シートが重なっている積層領域Rを有し、背側部B及び腹側部Aの積層領域Rのそれぞれに、中間シート13の非固定領域R1及び伸縮部R2が形成されていたが、そのような、積層領域R、非固定領域R1及び伸縮部R2は、腹側部A及び背側部Bの何れか一方にのみ形成されていても良い。
また、積層領域R、非固定領域R1及び伸縮部R2の構成は、腹側部Aと背側部Bとで同じであっても異なっていても良い。例えば、第1実施形態における腹側部Aの構成と、他の実施形態における背側部Bの構成とを組み合わせても良いし、第2実施形態における腹側部Aの構成と、他の実施形態における背側部Bの構成とを組み合わせても良いし、第3実施形態における腹側部Aの構成と、他の実施形態における背側部Bの構成とを組み合わせても良いし、第4実施形態における腹側部Aの構成と、他の実施形態における背側部Bの構成とを組み合わせても良いし、第5実施形態における腹側部Aの構成と、他の実施形態における背側部Bの構成とを組み合わせても良い。
【0045】
また、中間シートのウエスト開口縁W側の端部は、最外層シートに代えて、最内層シートや内面形成シート等の他のシートに固定されていてもよいし、最外層シートと、最内層シートや内面形成シートとの両者に固定されていてもよい。また、ウエスト弾性部材や、中間シートの伸縮部を形成する弾性部材は、それらを挟む2枚のシートの一方又は双方に所謂ベタ塗りされた接着剤を介して、該2枚のシート間に固定されていてもよい。
また、外装体は、最外層シート12及び中間シート13が、それぞれ、腹側部A、股下部C及び背側部Bに亘って連続しているものに代えて、腹側部A及び背側部Bに、互いに別体の最外層シート12及び/又は中間シート13が配されているものであっても良い。
また、使い捨ておむつは、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、背側部の左右両側にファスニングテープを備えた展開型の使い捨ておむつであっても良い。
【0046】
また、本発明のおむつカバーの実施形態としては、本発明の使い捨ておむつの第1〜第5実施形態のそれぞれから吸収性本体を取り除いたものを例示することができる。上述した第1〜第5実施形態のおむつの説明は、おむつ長手方向を、おむつカバーの長手方向、おむつ幅方向を、おむつカバーの幅方向に読み替えれば、おむつカバーの実施形態の説明となる。おむつカバーは、着用者の肌に向けられる内表面側に、尿とりパッド等と呼ばれる吸収体を備えた補助吸収具を載置して、使い捨ておむつと同様に着用される。補助吸収具としては、例えば、前述した使い捨ておむつの吸収性本体と同様の構成を有するものを用いることができる。
【0047】
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0048】
上述した実施形態に関し、本発明は、さらに以下の使い捨ておむつ又はおむつカバーを開示する。
<1> 着用者の腹側に配される腹側部、着用者の背側に配される背側部、及び腹側部と背側部との間に位置する股下部を有する使い捨ておむつ又はおむつカバーであって、
腹側部及び背側部のうちの少なくとも腹側部の胴回り領域に、おむつ又はおむつカバーの外表面を形成する最外層シート、着用者の肌に接する内表面を形成する最内層シート及び最外層シートと最内層シートとの間に位置する中間シートが厚み方向に重なった多層領域を有しており、
前記中間シートは、前記多層領域に、最外層シート及び最内層シートの何れにも固定されていない非固定領域を有し、該非固定領域は、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有している、使い捨ておむつ又はおむつカバー。
【0049】
<2> 前記最外層シートが非伸縮性である、<1>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<3> 前記最内層シートが非伸縮性である、<1>又は<2>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<4> 前記非固定領域は、積層された複数枚のシート及びシート間に伸長状態で配された弾性部材からなる、<1>〜<3>の何れか1項記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<5> 前記複数枚のシートが、一枚のシートを折り返して形成した2枚のシートである<4>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<6> 前記1枚のシートが、1枚の不織布と、該1枚の不織布上におむつ又はおむつカバーの長手方向に間欠的に固定された複数本の弾性部材とを有する<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<7> 前記弾性部材71と、おむつ又はおむつカバーの長手方向Yに隣り合う弾性部材どうし71,71間の基底部65に位置する不織布60とは離間しており、その離間する間隔L6が、0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上である<6>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<8> 前記弾性部材71と、おむつ又はおむつカバーの長手方向Yに隣り合う弾性部材どうし71,71間の基底部65に位置する不織布60とは離間しており、その離間する間隔L6が、10mm以下、好ましくは5.0mm以下である<6>又は<7>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<9> 前記非固定領域R1に配された弾性部材71の本数は、2本以上、好ましくは3本以上である、<4>〜<8>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
【0050】
<10> 前記非固定領域R1に配された弾性部材71の本数は、30以下、好ましくは20本以下である、<4>〜<9>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<11> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2は、前記腹側部の長手方向の長さLaに対する割合が、10%以上、好ましくは50%以上である、<1>〜<10>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<12> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2は、前記腹側部の長手方向の長さLaに対する割合が、100%以下である、<1>〜<11>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<13> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2は、2cm以上、好ましくは10cm以上である、<1>〜<12>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<14> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2のおむつ長手方向の長さL2は、25cm以下、好ましくは20cm以下である、<1>〜<13>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<15> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2の幅方向の長さは、腹側部のサイドシール部間の長さに対する割合が、30%以上、好ましくは40以上、より好ましくは50%以上である、<4>〜<14>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<16> 前記非固定領域における、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2の幅方向の長さは、腹側部のサイドシール部間の長さに対する割合が、100%以下である、<1>〜<15>の何れか1項記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<17> 前記弾性部材は、弾性部材に塗布された接着剤のみを介して、中間シート13を構成する2枚のシート13g,13iと接合されている<4>〜<16>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<18> 前記非固定領域の長手方向長さは、おむつ又はおむつカバーの幅方向に伸縮性を有する伸縮部R2の長手方向の長さよりも長い、<4>〜<17>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<19>前記中間シートは、伸縮性を有する1枚のシートのみからなる<1>〜<3>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
【0051】
<20> 前記伸縮性を有する1枚のシートが、(1)弾性繊維の集合体からなる弾性繊維シートの両面に、伸長可能な繊維集合体が一体化されてなるシート、(2)ネット状の弾性シートの少なくとも片面に、伸長可能な繊維集合体が自然状態で一体化されてなるシート、(3)弾性繊維の集合体のみからなる弾性不織布シート、(4)互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布に接合されてなる伸縮シート、から選ばれる<19>記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<21> 前記非固定領域のおむつ長手方向の長さの、前記腹側部の長手方向の長さに対する割合が、10%以上、好ましくは50%以上である、<1>〜<20>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<22> 前記非固定領域のおむつ長手方向の長さの、前記腹側部の長手方向の長さに対する割合が、100%以下である、<1>〜<21>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<23> 前記非固定領域のおむつ長手方向の長さは、2cm以上、好ましくは10cm以上である、<1>〜<22>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<24> 前記非固定領域のおむつ長手方向の長さは、25cm以下、好ましくは20cm以下である、<1>〜<23>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<25> 前記非固定領域の幅方向の長さは、腹側部のサイドシール部間の長さに対する割合が、30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上である、<1>〜<24>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<26> 前記非固定領域の幅方向の長さは、腹側部のサイドシール部間の長さに対する割合が、100%以下である、<1>〜<25>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<27> 前記中間シート13の上端側が他の部材に固定されている<1>〜<26>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<28> 前記中間シート13の上端側が他の部材に固定されていない<1>〜<26>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<29> ウエスト弾性部材が配されたウエスト弾性領域を有し、該ウエスト弾性部材は、弾性部材に塗布された接着剤のみを介して、最外層シート12及びその内面側に位置する内面形成シート14と接合されている<1>〜<28>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
【0052】
<30> ウエスト弾性部材が配されたウエスト弾性領域を有し、おむつ又はおむつカバーの縦方向に間欠的に配されたウエスト弾性部材の本数は、3本以上、好ましくは4本以上である、<1>〜<29>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<31> ウエスト弾性部材が配されたウエスト弾性領域を有し、おむつ又はおむつカバーの縦方向に間欠的に配されたウエスト弾性部材の本数は、15本以下、好ましくは12本以下である、<1>〜<30>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<32> 最外層シート12が、吸収性本体10の端部に重なる位置まで延在する折り返し部12a,12bを有し、その折り返し部12a,12bが、多層領域Rにおける最内層シート15を構成している<1>〜<31>の何れか1に記載の使い捨ておむつ又はおむつカバー。
<33> 吸収体を有する、<1>〜<32>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
<34> 前記非固定領域は、おむつ幅方向において、少なくとも吸収体の側縁より外方の部位に形成されている、<33>記載の使い捨ておむつ。
【0053】
<35> 前記中間シート13がおむつ幅方向の両端部が一対のサイドシール部S,Sに固定されている<33>又は<34>記載の使い捨ておむつ。
<36> 腹側部における両側縁部と背側部における両側縁部とが互いに接合されて、一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型の使い捨ておむつであり、腹側部及び背側部の前記非固定領域が、腹側部の胴回り領域と背側部の胴回り領域が環状に連結された環状の胴回り領域の、サイドシール部近傍を除く略全周に亘って形成されている、<33>〜<35>の何れか1に記載の使い捨ておむつ。
【符号の説明】
【0054】
A 腹側部
A1 ウエスト弾性領域
A2 胴回り領域
10 吸収性本体
40 吸収性コア
4 吸収体
11 外装体
12 最外層シート
13 中間シート
R 積層領域
14 内面形成シート
15 最内層シート
R1 中間シートの非固定領域
R2 伸縮部
16 接着剤
17 接着剤
51 ウエスト弾性部材
71 非固定領域に伸縮性を付与する弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11