(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ケース部と第2ケース部とを互いに接合して構成した密閉ケース内で、モータにより駆動される弁体が、前記第2ケース部に設けた流体の給排口を開閉するバルブ装置において、
前記モータのロータを前記第1ケース部内に配置すると共に、前記ロータを駆動するステータ部を前記密閉ケース外に配置して、前記ロータに設けられた永久磁石と前記第1ケース部と前記ステータ部のステータコアとが前記ロータの回転軸の径方向に重なるように構成し、
前記ロータの一端側を回転可能に支持しながら径方向の位置を規制する第1支持部材と、前記ロータの他端側を回転可能に支持しながら径方向の位置を規制する第2支持部材を、それぞれ前記第1ケース部で支持させていると共に、
前記第1ケース部および前記第2ケース部は、それぞれ有底筒形状を有しており、
前記第1ケース部の前記第2ケース部側の開口と、前記第2ケース部の前記第1ケース部側の開口には、それぞれ径方向外側に延びる鍔部が全周に亘って設けられており、前記第1ケース部と前記第2ケース部は、互いに重ね合わせた前記鍔部同士を溶接により接合して、前記密閉ケースを構成しており、
前記第2支持部材は、樹脂材料から構成されていることを特徴とするバルブ装置。
前記第2支持部材は、前記密閉ケース内を、前記第1ケース部側の空間と前記第2ケース部側の空間とに区画しており、前記第2支持部材には、前記第1ケース部側の空間と、前記第2ケース部側の空間とを連通させる連通穴が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のバルブ装置。
前記第2支持部材には、前記第1ケース部と前記第2ケース部のうちの少なくとも一方に係合して、前記第2支持部材を回り止めする係合部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載のバルブ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、ガス流量を調整するためのバルブ装置1に適用した場合を例に挙げて説明する。
【0013】
図1に示すように、バルブ装置1では、第1ケース部10と第2ケース部20とから形成される本体ケース2内の空間が、仕切壁30により区画されており、ガス流入管3とガス排出管4とが接続された第2ケース部20側がバルブ室5、第1ケース部10がロータ部90の収容室となっている。
【0014】
バルブ室5内では、ガス流入管3の開口3aを開閉するための弁体6が、仕切壁30を貫通した作動部材7の先端に取り付けられている。
【0015】
このバルブ装置1では、ステッピングモータ8のロータ部90の回転が、後記するネジ送り機構により、作動部材7の軸線X方向の進退移動に変換されるようになっており、作動部材7の軸方向の進退移動に伴って、作動部材7の先端部に取り付けられた弁体6が、進退移動してガス流入管3の開口3aを開閉するようになっている。
【0016】
このバルブ装置1では、熱媒体(冷媒)などの気体もしくは液体状の高圧流体がガス流入管3を介して、バルブ室5内に導かれるようになっている。
【0017】
以下、バルブ装置1の各部の構成を詳細に説明する。
【0018】
第2ケース部20は、円板形状の底部21と、底部21を囲む軸線X方向に延びる筒状の周壁部22と、周壁部22の底部21とは反対側の端部から径方向外側に延びる鍔部23とを、備える。
【0019】
底部21の中央には、ガス流入管3の取付部材27が、底部21を厚み方向に貫通して設けられている。
【0020】
取付部材27は、貫通穴28を有する筒状の部材であり、バルブ室5内に位置する先端部27aは、ガス流入管の開口3aを取り囲む環状で、弁体6が当接する当接部となっている。そのため、弁体6による開口3aの閉鎖が確実に行われるようにするために、先端部27aは、ガス流入管3よりも厚肉で形成されて、弁体6から作用する押圧力で容易に変形しないようになっている。
【0021】
貫通穴28の途中には、ガス流入管3の先端3bが当接する縮径部28aが設けられている。
【0022】
取付部材27では、縮径部28aよりも先端部27a側の内径Daは、軸線X上を直線状に延びるガス流入管3の内径よりも小さい径で形成されている。
【0023】
周壁部22には、軸線Xの直交方向に開口する開口22aが設けられており、この開口22aには、軸線Xに直交する方向に延びるガス排出管4の先端4a側が挿入されている。ガス排出管4は、その先端4a側を開口22aに挿通させた状態で、周壁部22に溶接されて固定されている。
【0024】
鍔部23の外周縁232は、内径側のリング状の基部231よりも第1ケース部10側の上方に位置しており、外周縁232は、全周に亘って第1ケース部10の鍔部13に当接している。
【0025】
この外周縁232の鍔部13との当接部分は、全周に亘って溶接されており、これにより、第1ケース部10と第2ケース部20とが互い接合されて、本体ケース2を構成している。ここで、実施の形態では、外周縁232の鍔部13との当接部分は、不活性ガスを常時吹き付けながら溶接するTIG溶接により接合される。
【0026】
第1ケース部10は、ステンレス板をプレス成型することで形成され、円板形状の底部11と、底部11を囲む周壁部12と、周壁部12の底部11とは反対側の端部から径方向外側に延びる鍔部13と、を備える。
【0027】
鍔部13は、第2ケース部20の鍔部23と同じ外径で形成されている。
【0028】
底部11の中央部には、有底円筒形状の支持部111が、ロータ部90から離れる方向(図中上側)に突出して設けられている。この支持部111は、ロータ部90の外径D1よりも小さい外径D3に形成されており、この支持部111には、ロータ部90の一端側の軸部92を回転可能に支持する軸受部材24が、例えば圧入により位置決めされて保持されている。
【0029】
周壁部12は、ともに軸線X方向に延びる筒状の底部11側の小径部12aと、鍔部13側の大径部12bとを備えている。小径部12aと大径部12bは、軸線Xと垂直方向に延びる環状部によって連結され、段差を構成する。
【0030】
小径部12aは、ロータ部90の外径D1よりも僅かに大きい内径D2に形成されている。この小径部12aの径方向外側には、ステッピングモータ8のステータ部80が、径方向内側にはロータ部90が、それぞれ設けられており、小径部12aを挟んで外側と内側に位置するステータ部80とロータ部90とにより、ステッピングモータ8が構成されている。
【0031】
ステッピングモータ8のステータ部80は、ステータコア81と、ボビン82と、駆動コイル83と、モータケース88とから構成される。
【0032】
ステータコア81の内周部81aは、図示しない極歯が、軸線X周りの周方向に所定間隔で並べられた筒形状を有している。
【0033】
ステータ部80では、一組のステータコア81が、円板部81bを互いに接触させると共に、内周部81aを互いに反対方向に向けた状態で設けられており、この状態で、一方のステータコア81の極歯と、他方のステータコア81の極歯とが、軸線X周りの周方向において交互に並ぶように配置されている。
【0034】
ステータコア81の内周部81aの外周には、駆動コイル83が巻き付けられたボビン82が外嵌して設けられている。
【0035】
駆動コイル83の端部は、それぞれ端子84、84に巻き付けられており、この端子84、84の先端側が、コネクタ端子85が接続された回路基板86に接続している。
【0036】
ステータ部80を収容するモータカバー87は、樹脂材料(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))から構成され、鍔部13からステッピングモータ8側に延びる取付部材26の係止部26aに、係合爪87aを係止させて設けられている。
【0037】
ロータ部90は、一端が封止された筒状の本体部91の外周に、リング状の永久磁石100を備えて構成され、第1ケース部10内で、軸線X周りに回転可能に設けられている。このロータ部90の本体部91と永久磁石100とは、インサート成形により一体に形成されている。
【0038】
本体部91の封止端91aの中央部には、円筒形状の軸部92が、第1ケース部10の底部11側(図中上側)に突出して設けられている。
【0039】
この軸部92に対して軸線Xの軸方向で対向する底部11の中央部には、前記した支持部111が設けられており、この支持部111には、有底円筒形状の軸受部材24が圧入により固定されている。軸受部材24は、ロータ部90(軸部92)の軸線方向の位置を規制するスラスト軸受部241と、ロータ部90(軸部92)の径方向の位置を規制するラジアル軸受部242と、を備えており、この軸受部材24では、ロータ部90の軸部92が回転可能に支持されている。
【0040】
これにより、軸線X周りに回転するロータ部90の一端側の軸心合わせが、この支持部111に固定された軸受部材24により行われるようになっている。
【0041】
本体部91の長手方向における略中央部と、軸部92の近傍には、軸方向から見てリング状の突出部91b、91bが全周に亘って設けられており、この突出部91b、91bの間に永久磁石100が位置している。
【0042】
図2は、バルブ装置1の要部を分解して示す斜視図であり、
図3は、バルブ装置1の要部の断面を拡大して示す図である。
【0043】
図4の(a)は、ロータ部90の斜視図であり、(b)は、ロータ部90を仕切壁30側から見た平面図である。
【0044】
図2から
図4を参照して、ロータ部90を説明する
図3に示すように、ロータ部90の本体部91では、軸部92とは反対側に、突出部91bよりも径が小さい小径軸部93が設けられている。
【0045】
小径軸部93の外周には、軸線Xの軸方向(ロータ部90の長手方向)に沿って延びるゼネバピン93a(
図2、
図4参照)が設けられており、ゼネバピン93aは、突出部91bの近傍から先端部93eまでの範囲に形成されている。
【0046】
図4に示すように、小径軸部93では、突出部91b側の外周に、軸方向から見て略C字形状の膨出部93bが設けられている。膨出部93bは、ゼネバピン93aと同じ径方向高さで形成されており、ゼネバピン93aとの間には、後記するゼネバ歯車110の歯部112b(
図6の(b)参照)が係合するための歯溝部93d(
図4の(b)参照)が設けられている。
【0047】
そして、この膨出部93bにおける歯溝部93dの近傍部分であるストッパ部93c、93cが、後記するゼネバ歯車110の度当たり112d、112eが当接する当接部となっている。
【0048】
図2および
図3に示すように、小径軸部93の径方向外側には、ロータ部90の軸線X周りの回転角度を規定するゼネバ歯車110が設けられている。
【0049】
ゼネバ歯車110の回転軸116は、仕切壁30の軸受部38の軸受穴38aと、ブラケット部材115の軸受穴115aとで、回転可能に支持されており、ゼネバ歯車110は、ロータ部90の軸線Xに平行な軸線X’周りに回転可能に設けられている。また、ゼネバ歯車110は永久磁石100と軸方向で重なる位置に設けられている。このため第1ケース部10の大径部12bの径を小さくすることができる。
【0050】
図5の(a)は、ゼネバ歯車110を仕切壁30側から見た斜視図であり、(b)は仕切壁30側から見た平面図である。
【0051】
図5に示すように、ゼネバ歯車110は、回転軸116が挿通されるリング状の支持部111と、支持部111よりも大径の大径部112とを備える。
【0052】
大径部112では、ゼネバ歯車110の回転中心(軸線X’)を通る直線L(
図5の(b)参照)を境にして一方側の半円部に、歯溝部112aと、歯部112bと、突出部112cと、が設けられている。
【0053】
歯部112bと突出部112cとは、大径部112の周方向で交互に設けられている。歯部112bは、大径部112の厚み方向(軸線X’の軸方向)における全長に亘って形成されており、突出部112cは、ロータ部90の回転を阻害しないようにするために、ロータ部90の膨出部93bとの接触を避ける厚み(高さHz)で形成されている。
【0054】
直線Lを境にして反対側の半円部のうち、歯溝部112aに面した部分である両側部112d、112eは、ロータ部90の回転範囲(回転角度)を規定する度当たりを構成している。
【0055】
図6は、ゼネバ歯車110と、ロータ部90のゼネバピン93aとの噛合と、ゼネバ歯車110によるロータ部90の回転範囲(回転角度)の規制を説明する図であって、(a)は、ゼネバ歯車110の一方の度当たり112eで、ロータ部90の回転が規制された状態を、(b)は、ゼネバ歯車110の歯溝部112aと、ロータ部90のゼネバピン93aとが係合した状態を示す図であり、(c)は、ゼネバ歯車110の他方の度当たり112dで、ロータ部90の回転が規制された状態を示す図である。
【0056】
実施の形態では、ロータ部90のゼネバピン93aは、ゼネバ歯車110の歯溝部112aに挿入されて歯部112bと係合するようになっており、ロータ部90が軸線X周りに1回転する毎に、ゼネバ歯車110が、ゼネバピン93aにより所定角度ずつ軸線X’周りに回転させられるようになっている。
【0057】
図6の(b)に示す状態で、ロータ部90が反時計回り方向CCWに回転すると、ゼネバ歯車110の度当たり112eが、膨出部93bのストッパ部93cに当接した時点で、ロータ部90の回転が阻止される(
図6の(a)参照)。
【0058】
この
図6の(a)に示す角度位置では、ロータ部90は、反時計回り方向CCWへの回転が規制されて、時計回り方向CWにしか回転できない状態となっている。
【0059】
この状態からロータ部90が時計回り方向CWに回転すると、ロータ部90が2回転した時点で、
図6の(b)に示す状態となり、この状態からさらに時計回り方向CWに1回転して、ゼネバ歯車110の度当たり112dが、膨出部93bのストッパ部93cに当接した時点で、ロータ部90の回転が阻止される(
図6の(c)参照)。
【0060】
この
図6の(c)に示す角度位置では、ロータ部90は、時計回り方向CWへの回転が規制されて、反時計回り方向CCWにしか回転できない状態となる。
【0061】
なお、ゼネバ歯車110の突出部112cは、ロータ部90の膨出部93bとの干渉を避ける高さで形成されているので、ゼネバ歯車110とロータ部90とが干渉することなく相対回転できる。
【0062】
さらに、実施の形態では、ロータ部90が、
図6の(b)に示す位置から反時計回り方向に1回転した時点で、弁体6が、ガス流入管3の取付部材27の先端部27a(
図1参照)に当接し、そこからロータ部90がさらに1回転して、
図6の(a)に示す位置に達するまでの間は、弁体6と作動部材7とが、スプリング76(
図3参照)を圧縮しながら、軸線Xの軸方向で相対移動するようになっている。
【0063】
前記したように、バルブ装置1では、ステッピングモータ8のロータ部90の回転が、ネジ送り機構により、作動部材7の軸方向の進退移動に変換されるようになっている。
【0064】
ネジ送り機構は、
図3に示すように、仕切壁30の係合部35に回転不能に取り付けられて、作動部材7を回転不能かつ軸方向に進退移動可能に支持す支持部材120と、ロータ部90の内周に設けられた雌ネジ95と、作動部材7から延びる軸部材71の外周に設けられた雄ネジ71aとから構成される。なお、雌ネジ95および軸部材71は、ロータ部90の軸線上に配置される。
【0065】
図7の(a)は、支持部材120を仕切壁30側から見た平面図であり、(b)は、弁体6側から見た平面図であり、(c)は、側面図であり、(d)は、(a)におけるA−A断面で支持部材120を切断した斜視図である。
【0066】
図3に示すように、支持部材120は、仕切壁30から弁体6側に突出する係合部35に対して、軸方向(弁体6側)から着脱自在とされている。
【0067】
図7の(d)に示すように、支持部材120は、円筒形状の基部121と、この基部121の弁体6側の一端から径方向外側に延びるフランジ部122と、を備える。
【0068】
基部121を長手方向に貫通する中央開口123は、作動部材7の嵌合部72の外径と整合する内径を有している。中央開口123の内周面には、径方向内側に突出する突出部121aが設けられており、この突出部121aは、軸線X周りの周方向で120°間隔で二つ設けられている。
【0069】
実施の形態では、支持部材120の中央開口123に、後記する作動部材7の嵌合部72が挿通されるようになっており、この際に突出部121aが嵌合部72の凹溝72aに嵌合することで、支持部材120と作動部材7との軸線X周りの相対回転が阻止されるようになっている。
【0070】
基部121の外周面におけるフランジ部122側には、径方向外側に突出して係合突起124が設けられており、この係合突起124は、軸線X周りの周方向で等間隔をあけて複数設けられている。
【0071】
この係合突起124は、支持部材120を仕切壁30の係合部35に取り付けた際に、後記する係合部35の係合突起35aに嵌合して、支持部材120を仕切壁30に対して、回り止めされた状態で取り付けるために設けられている。具体的には、隣接する係合突起124と係合突起124の間に構成される凹部に係合突起35aが嵌合する。このため、仕切壁30に対する支持部材120の取付け位置は、係合突起124(隣接する係合突起124と係合突起124の間に構成される凹部)が構成される間隔で調整可能となる。本実施例では係合突起124が周方向に12個等間隔に設けられるため、仕切壁30に対する支持部材120の取付け位置を30度の倍数で変更できる。
【0072】
図8は、仕切壁30を説明する図であって、(a)は、弁体6側から見た平面図、(b)はロータ部90側から見た平面図である。
【0073】
図9は、
図8の(a)におけるA−A断面図であり、第1ケース部10、第2ケース部20、ロータ部90の小径軸部93を、図中仮想線で示した図である。
【0074】
図10は、支持部材120と、仕切壁30の係合部35との係合状態を説明する図であり、(a)は、仕切壁30を弁体6側から見た斜視図であり、(b)は、(a)における面Aで、支持部材120と係合部35との係合部を切断した断面図である。
【0075】
仕切壁30は、円盤形状の基部31を有しており、この基部31の中央部には、作動部材7の軸部材71を挿通させる挿通穴32が、厚み方向に貫通して設けられている。
【0076】
図9に示すように、仕切壁30のロータ部90側の面31bには、挿通穴32を囲む円筒壁33が設けられており、この円筒壁33は、軸線Xの軸方向に所定長さL1で形成されている。
【0077】
実施の形態では、仕切壁30の挿通穴32に挿通された軸部材71が、この円筒壁33(挿通穴32)で、軸線X方向に進退移動可能に支持されるようになっており、進退移動する際の軸部材71の軸心触れが、円筒壁33により抑えられるようになっている。
【0078】
また、円筒壁33の先端33a側は、ロータ部90の本体部91の嵌合穴91cに内挿されており、ロータ部90の他端側(小径軸部93側)が、この円筒壁33で回転可能に支持されている。これにより、軸線X周りに回転するロータ部90の他端側の軸心合わせが、仕切壁30と一体に形成された円筒壁33により行われるようになっている。
【0079】
すなわち、ロータ部90の本体部91の仕切壁30側の端部には、嵌合穴91cが開口しており、仕切壁30には、軸部材71を軸方向に進退移動可能に挿通させる挿通穴32と、この挿通穴32を囲む円筒壁32が設けられている。そして、本体部91は、外周に嵌合穴91cの内周を、円筒壁32の外周に外挿した状態で、摺動回転可能に支持されており、これら嵌合穴91cと円筒壁32とにより、本体部91の先端部93e側のラジアル軸受が構成されている。
【0080】
仕切壁30のロータ部90側の面31bには、円筒壁33を所定間隔で囲む環状壁34が設けられている。環状壁34は、前記したゼネバ歯車110の径方向外側を、軸線Xの軸方向に所定長さL2で形成されている。
【0081】
この環状壁34の外径D4は、第1ケース部10の周壁部12における大径部12bの内径と整合しており、仕切壁30は、環状壁34を大径部12bに、例えば圧入により第1ケース部10に位置決めされるようになっている。
【0082】
図8の(b)に示すように、円筒壁33と環状壁34との間の部分には、軸線Xを通る直線Nに沿って溝31eが形成されており、この溝31eは、軸線X周りの周方向で、120°間隔で三つ設けられている。
【0083】
実施の形態では、
図3に示すように、仕切壁30とロータ部90の先端部93eとの間に、ロータ部90の軸方向におけるガタツキを防止するための板バネ140が配置されており、この板バネ140の脚部141(
図11参照)が、この溝31e内に配置されて、仕切壁30に接触するようになっている。
【0084】
溝31eの内径側の端部には、仕切壁30を厚み方向に貫通する貫通穴31c設けられており、第1ケース部10内の空間と第2ケース部20内の空間とが、この貫通穴31cを介して互いに連通している。
【0085】
さらに、円筒壁33と環状壁34との間の部分には、ロータ部90側に突出して板状の支持部材39、39が設けられている。支持部材39、39は、仕切壁30に設けた軸受穴38aの両側に設けられており、前記したブラケット部材115(
図2参照)を、仕切壁30に取り付けるために設けられている。
【0086】
支持部材39、39は、側面視において略矩形形状を有しており、軸受穴38aとは反対側の側面に突起39aが設けられている。ブラケット部材115は、軸線X’の軸方向に伸びる腕部115bに設けた開口部115cを、この突起39aに係合させて、支持部材39、39に取り付けられるようになっている。
【0087】
また、支持部材39、93の仕切壁30側の基部には、仕切壁30を厚み方向に貫通する貫通穴31dが設けられており、第1ケース部10内の空間と第2ケース部20内の空間とが、この貫通穴31cを介して互いに連通している。
【0088】
図9に示すように、仕切壁30の弁体6側の面31aにおける、支持部材39とは反対側の位置には、ゼネバ歯車110の回転軸116を支持するための軸受部38が、弁体6側(図中左側)に突出して設けられている。
【0089】
この軸受部38の径方向外側には、弁体6側(図中左側)に突出して、円柱形状の係合突起311が設けられており、この係合突起311は、軸線X周りの周方向で180°間隔で2つ設けられている(
図8の(a)参照)。
【0090】
この係合突起311は、第1ケース部10と第2ケース部20との間に仕切壁30を挟み込んで、本体ケース2を構成した際に、第2ケース部20の係合凹部233に嵌入するようになっており、仕切壁30が軸線X周りに回転することを防止するために設けられている。
【0091】
仕切壁30の外周縁31fの径方向外側には、第1ケース部10と第2ケース部20との間に空間(隙間)Sが形成されており、第1ケース部10の鍔部13の外周縁13aと第2ケース部20の外周縁232とは、仕切壁30の外周縁31fから径方向外側に所定距離h3離間した位置で互いに溶接により接合されている。
【0092】
実施の形態では、仕切壁30が樹脂材料例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))で構成されている。そのため、第1ケース部10(外周縁13a)と第2ケース部20(外周縁232)の溶接位置(
図9において符号W参照)を、仕切壁30の外周縁31fから径方向外側に所定距離h3離れた位置に設定することで、溶接熱で仕切壁30が変形することが好適に防止されるようになっている。
【0093】
仕切壁30は、環状壁34を第1ケース部10の周壁部12(大径部12b)に圧入して取り付けられており、この環状壁34により、仕切壁30の第1ケース部10に対する位置決めが行われるようになっている。
【0094】
そのため、溶接熱がこの環状壁34まで伝わって環状壁34が変形すると、仕切壁30の位置決めが損なわれることになるため、溶接位置Wを仕切壁30の径方向外側に位置させることで、かかる変形の問題が生じないようにされている。
【0095】
また、仕切壁30の径方向外側では、第1ケース部10と第2ケース部20との間に空間Sが確保されており、仕切壁30が溶接位置Wに隣接しないようにされている。この場合には、空間Sが断熱層として機能して、溶接熱の仕切壁30側への伝達を抑えることができるので、仕切壁30(環状壁34)の変形を好適に防止できる。
【0096】
仕切壁30の弁体6側の面31aには、挿通穴32を囲む係合部35が設けられている。この係合部35の開口36は、基部31から離れる方向(
図9において左方向)に2段階に拡径しており、基部31側に小径部361、弁体6側(図中左側)に大径部362が位置している。
【0097】
小径部361の内径D5は、前記した支持部材120の基部121(
図7参照)の外径と整合しており、支持部材120を仕切壁30に組み付けた際に、支持部材120の基部121がこの小径部361に内嵌して取り付けられるようになっている。
【0098】
図8の(a)に示すように、大径部362の内周面には、径方向内側に突出する係合突起35aが、軸線X周りの周方向で間隔をあけて複数設けられており、この係合突起35aは、軸線Xの軸方向で大径部362の全長に亘って延びている。なお、基部121の係合突起35aの数は係合突起124の数より少ない。このため、仕切壁30の係合部35に、係合突起35aと嵌合部72を径方向に重ならないように配置することができる。
【0099】
図8の(a)に示すように、係合部35には、軸線X周りの周方向において120度間隔で、切欠き35bが設けられている。
【0100】
軸方向から見て、切欠き35bの底部には、貫通穴31cが露出しており、この貫通穴31cの径方向外側には、係合部35と同方向に突出して腕部37が設けられている。
【0101】
図9に示すように、腕部37は、軸線Xの軸方向に沿って延びており、この腕部37の基部31からの高さh1は、係合部35の基部31からの高さh2よりも高くなっており、腕部37の先端には、径方向内側に突出する爪部37aが設けられている。
【0102】
この爪部37aは、支持部材120を仕切壁30(係合部35)に組み付けた際に、支持部材の係合段部122a(
図3参照)に係合して、支持部材120の仕切壁30からの脱落を阻止するようになっている。
【0103】
これにより、支持部材120は、その基部121を係合部35の小径部361に嵌合させ、当接面122bを係合部35の先端35bに当接させた状態で保持されるようになっている。
【0104】
さらに、
図10の(b)に示すように、この状態において支持部材120は、周方向で隣接する2つの係合突起124、124を、係合部35の周方向で隣接する係合部35、35の間に位置させており、支持部材120と係合部35(仕切壁30)とが互いに回り止めされた状態で連結されている。
【0105】
図2および
図3に示すように、作動部材7では、支持部材120に嵌合する嵌合部72と、弁体6への連結部73と、スプリング支持部74とが、同一の樹脂材料(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))で構成され、これらとSUS材からなる軸部材71とが、インサート成形により一体に形成されている。
【0106】
軸部材71の先端側の外周には、ロータ部90の雌ネジ95に係合する雄ネジ71aが、設けられている。
【0107】
図3に示すように、軸部材71の基端側は、嵌合部72を貫通してスプリング支持部74まで及んで設けられており、
図2に示すように、円筒状の嵌合部72の外周には、軸方向に沿って延びる凹溝72aが、長手方向の全長に亘って設けられている。この凹溝72aは、軸線Xを挟んで対称となる位置に設けられており、軸線X周りの周方向に120°間隔で設けられている。
【0108】
図3に示すように、スプリング支持部74は、嵌合部72よりも大径の円柱部74aと、円柱部74aの嵌合部72側の端部に設けられたフランジ部74bと、を備える。
【0109】
円柱部74aの外径は、スプリング76の内径と略同じであり、この円柱部74aには、スプリング76の一端側が外挿されて取り付けられるようになっている。フランジ部74bの外径は、スプリング76の外径よりも僅かに大きい径を有しており、スプリング76の一端が当接するようになっている。
【0110】
スプリング支持部74に隣接する連結部73は、基本形状が円柱形状であり、この連結部73の先端の外周に、径方向外側に突出する突起73aが、軸線Xを挟んで反対方向に突出して設けられている。
【0111】
連結部73の突起73aが設けられた先端側は、弁体6の開口62aに挿入されて、弁体6と連結部73とが連結されるようになっている。
【0112】
図3に示すように、弁体6は、樹脂材料(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))からなる係合部材61と、係合部材61に外嵌して取り付けられた当接部材65と、を備える。
【0113】
図12の(a)は、弁体6を作動部材7側から見た平面図、(b)は、(a)におけるA−A断面図、(c)は、(a)におけるB−B断面図である。
【0114】
図12に示すように、係合部材61は、円板部62と、円板部62の外周から作動部材7とは反対方向(
図12の(c)において左方向)に延びる周壁部63と、フランジ部64と、を備える。
【0115】
周壁部63は、小径部63aと大径部63bとを備えており、円板部62から離れるにつれて内径が広がるように階段状に形成されている。
【0116】
円板部62には、円板部62を厚み方向に貫通する開口62aが設けられており、開口62aでは、軸線Xを挟んで互いに平行な二面幅部62b、62bが形成されている。
【0117】
この開口62aは、連結部73の突起73aが設けられた先端部を挿通可能な形状および大きさで形成されている。
【0118】
また、連結部73の先端部の最大径Laは、周壁部63の小径部63aの内径Daよりも僅かに小さく設定されている。
【0119】
そのため、弁体6の開口62aに連結部73の先端部を挿入したのち、弁体6を90度回転させることで、突起73aが円板部62に係止させた状態となり(
図12の(c)参照)、弁体6の連結部73からの脱落が防止されるようになっている。
【0120】
この状態において、弁体6と、作動部材7の連結部73とは、軸線Xの軸方向で相対移動可能になっている。
【0121】
周壁部63の小径部63aの外径は、スプリング76の内径と略同じであり、スプリング76の他端側が外挿されて取り付けられるようになっている。大径部63bの外径は、スプリング76の外径よりも僅かに大きい径を有しており、スプリング76の他端が当接するようになっている。
【0122】
周壁部63の円板部62とは反対側の端部の外周には、フランジ部64が全周に亘って設けられている。フランジ部64は、径方向外側に延出している。
【0123】
フランジ部64には、NBRなどのゴム材料からなる当接部材65(
図3参照)が外嵌して取り付けられるようになっており、
図1に示すように、弁体6がガス流入管3側に移動すると、ガス流入管3の開口3aが当接部材65により閉鎖されるようになっている。
【0124】
そのため、当接部材65(フランジ部64)の外径は、ガス流入管3の開口径よりも大きくなっている。
【0125】
ここで、
図1に示すように、バルブ装置1では、弁体6と、作動部材7と、ロータ部90と、ガス流入管3とが、同軸上に配置されており、ガス流入管3の開口3aは、開口面に直交する方向(軸線Xの軸方向)に進退移動する弁体6により、開閉されるようになっている。また、実施の形態では、ステッピングモータ8により作動部材7および弁体6が軸方向にステップ移動するので、段階的に変化する弁体6の開口3aとの位置関係に応じて、ガス流入管3からバルブ室5内に流入してガス排出管4から排出されるガスの量が調整される。
【0126】
バルブ装置1の組み付け時における弁体6(作動部材7)の位置決めを説明する。
【0127】
図13は、バルブ装置1の組み付け時における作動部材7(弁体6)の位置決めを説明する図であって、(a)は、支持部材120の係合部35(仕切壁30)への着脱と弁体6の位置調整を説明する図であり、(b)は、位置調整時におけるゼネバ歯車110によるロータ部90の回転規制を説明する図である。
【0128】
実施の形態では、支持部材120の突出部121aと作動部材7の嵌合部72の凹溝72aとを嵌合させて、支持部材120と作動部材7とが組み付けられており(
図10の(b)参照)、支持部材120は作動部材7に対して回り止め嵌合している。
【0129】
この状態において支持部材120は、突出部121aに沿って軸線Xの軸方向に移動可能となっており、仕切壁30の係合部35に対して、軸線Xの軸方向から着脱自在とされている。
【0130】
そのため、バルブ装置1におけるネジ送り機構の部分の組み付け時には、始めに、ロータ部90を回転させて、ゼネバ歯車110の度当たり112eが、ストッパ部93cに当接する角度位置に配置する(
図13の(b)参照)。
【0131】
そして、ロータ部90の回転を阻止した状態で、図中矢印S1で示す軸線X周りに支持部材120を回転させて、作動部材7とロータ部90とを相対回転させることで、作動部材7の雄ネジ71aとロータ部90の雌ネジ95との噛み合い部分(
図3参照)の長さを変える。これにより、支持部材120の回転方向に応じて、作動部材7と弁体6とが矢印S2で示す方向に進退移動するので、弁体6を、所定の初期位置に位置決めできる。
【0132】
そして、初期位置に配置したのち、支持部材120(作動部材7)の軸線X周りの角度位置を保持した状態で、支持部材120を係合部35側にスライドさせて、係合部35から延びる腕部37の爪部37aを、支持部材120の係合段部122aに係止させる。
【0133】
この状態では、支持部材120の係合突起124と、係合部35の係合突起35aとが互いに嵌合しているので(
図10(b)参照)、支持部材120は、固定側部材である仕切壁30の係合部35に回り止め嵌合された状態となる。
【0134】
また、支持部材120と係合部35とを回り止め嵌合したのちに、弁体6(作動部材7)の位置を再度調整する場合には、支持部材120を係合部35から取り外すことで、作動部材7の位置の調整を行うことができる状態(
図12の(a)に示す状態)になる。
【0135】
この際、仕切壁30から延びる可撓性の腕部37の爪部37aと支持部材120の係合段部122aとの係合を解除して、支持部材120を軸方向にスライドさせるだけで、支持部材120を係合部35から簡単に取り外すことができる。
【0136】
以上の通り、実施形態では、
第1ケース部10と第2ケース部20とを互いに接合して構成した本体ケース2(密閉ケース)内で、ステッピングモータ8により駆動される弁体6が、第2ケース部20に設けた流体の給排口(ガス流入管3の開口3a)を開閉するバルブ装置1において、
ステッピングモータ8のロータ部90(ロータ)を、第1ケース部10内に配置すると共に、ロータ部90を駆動するステータ部80を第1ケース部10(本体ケース2)外に配置して、ロータ部90に設けられた永久磁石100と、第1ケース部10と。前記ステータ部80のステータコア81とが径方向に重なるように構成し、
ロータ部90の一端側の軸部92を回転可能に支持しながら径方向の位置を規制する軸受部材24(第1支持部材)と、ロータ部90の他端側の小径軸部93を回転可能に支持しながら径方向の位置を規制する円筒壁33を備える仕切壁30(第2支持部材)を、それぞれ第1ケース部10で支持させた構成とした(請求項1に相当)。
【0137】
このように構成すると、ロータ部90の一端側の軸部92を回転可能に支持する軸受部材24と、ロータ部90の他端側の小径軸部93を回転可能に支持する円筒壁33を備える仕切壁30が、共通の第1ケース部10に固定されているので、ロータ部90の軸心精度が、共通の第1ケース部10を基準として決まることになる。よって、ロータ部90の軸心精度をより向上させることができる。このため、永久磁石100と第1ケース部10の径方向の隙間を小さくしても永久磁石100と第1ケース部10の接触を防止できる。よって、永久磁石100とステータコア81を近づけることができるので、ステッピングモータ8の効率を高めることができる。
【0138】
ロータ部90の回転を弁体6に連結された軸部材71の進退移動に変換するネジ送り機構を備え、
このネジ送り機構は、ロータ部90の内周に設けられた雌ネジ95と、軸部材71の外周に設けられた雄ネジ71aから構成されると共に、これら雌ネジ95と雄ネジ71aとはロータ部90の軸線上に配置されており、
仕切壁30(第2支持部材)は、軸部材71を挿通させる挿通穴32と、この挿通穴32を囲む円筒壁33を有しており、
ロータ部90の他端側には、円筒壁33に外挿支持される嵌合孔91cが設けられており、ロータ部90の他端側は、嵌合穴91cの内周面と、円筒壁33の小径部361(外周面)で支持されている構成とした(請求項2、3に相当)。
【0139】
このように構成すると、ロータ部90の軸線上に、ロータ部90の軸線方向に移動する部材を配置した構成であっても、ロータ部90の両端で径方向の位置を規制することができる。また、歯車輪列を用いることなくロータ部90の回転を弁体6の進退移動に変換することができるので、第1ケース部10を小型化させることができる。
【0140】
軸線X方向から見た軸部92と仕切壁30の外形は、それぞれ円形を成しており、
第1ケース部10は、ロータ部90の外径D1よりも小さい外径D3の円筒状の支持部111(小径部)と、ロータ部90の外径D1よりも大きい外径D4(
図9参照)の円筒状の大径部12bと、を有しており、軸受部材24と仕切壁30は、支持部111と大径部12bに、それぞれ圧入により位置決めされている構成とした(請求項4に相当)。
【0141】
このように構成すると、ロータ部90の一端側と他端側の位置決めが、それぞれ円と円との当接により行われることになるので、回転方向の位置決めが不要になると共に、軸心精度が向上する。
【0142】
軸受部材24(第1支持部材)は、ロータ部90の軸線方向の位置を規制するスラスト軸受部241を備え、スラスト軸受部241と軸部材71と弁体90とガス流入管3の開口3a(給排口)が、ロータ部90の軸線上に配置されている構成とした(請求項5に相当)。
【0143】
このように構成すると、弁体90が開口3aを押し付ける反力によってロータ部90が径方向に傾く力を低減できる。また、弁体90が開口3aを押し付ける反力を、軸受部材24のスラスト軸受部241で支持することができるため、弁体の反力を支持する部材をロータのスラスト軸受と共用できる。
【0144】
第1ケース部10および第2ケース部20は、それぞれ有底筒形状を有しており、
第1ケース部10において大径部12bは、第2ケース部20側に位置しており、
大径部12b(第1ケース部10)の第2ケース部20側の開口と、第2ケース部20の第1ケース部10側の開口には、それぞれ径方向外側に延びる鍔部13、23が全周に亘って設けられており、第1ケース部10と第2ケース部20は、互いに重ね合わせた鍔部13、23同士の外径側を溶接により接合して、本体ケース2を構成しており、仕切壁30は、樹脂材料(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))から構成されている構成とした(請求項6に相当)。
【0145】
このように構成すると、第1ケース部10の鍔部13と第2ケース部20の鍔部23との溶接位置Wは、仕切壁30が第1ケース部10の大径部12bに圧入により固定される位置よりも径方向外側になるので、溶接時に作用する熱により、樹脂材料からなる仕切壁30の外径側が変形することが好適に防止される。
【0146】
ここで、仕切壁30のみならず、バルブ装置1において用いられている総ての樹脂材料を、PPS(ポリフェニレンサルファイド)にすることが好ましい。
【0147】
PPS(ポリフェニレンサルファイド)は、耐熱性に優れているので、バルブ装置1における樹脂製の部品(部位)をPPSで構成すると、例えばバルブ室5に流入する流体が、高温の熱媒体である場合でも、高温に起因する樹脂製の部品(部位)への影響を抑えることができる。具体的には、熱の変化に起因する部品(部位)の寸法変化が小さくなるので、熱により設計性能が狂うことのないバルブ装置とすることができる。
【0148】
第1ケース部10の鍔部13と第2ケース部20の鍔部23は、仕切壁30の外周縁31fから径方向外側に所定距離h3離間した位置で互いに接合されており、
仕切壁30の外周縁31fの径方向外側に、第1ケース部10の鍔部13と第2ケース部20の鍔部23との間に形成された空間S(隙間)が設けられている構成とした(請求項7に相当)。
【0149】
このように構成すると、溶接時に作用する熱が、仕切壁30に作用することをいっそう防止できるので、樹脂材料からなる仕切壁30の外径側が変形することが好適に防止される。
【0150】
特に、仕切壁30では、外周縁31fの径方向内側に、第1ケース部10側に突出して環状壁34が設けられており、仕切壁30は、第1ケース部10の大径部12bに、環状壁34を圧入して取り付けられており、この環状壁34により、仕切壁30の第1ケース部10に対する位置決めが行われるようになっている構成とした。
【0151】
そのため、溶接熱がこの環状壁34まで伝わって環状壁34が変形すると、仕切壁30の位置決めが損なわれることになる。
【0152】
そうすると、この仕切壁30と一体に形成されている円筒壁33で回転可能に支持されているロータ部90の他端側の位置決めも損なわれることになる。
【0153】
上記のように構成して、溶接時の熱が環状壁34まで伝わり難くすることで、環状壁34の変形を防止して、仕切壁30と、ロータ部90の他端側(小径軸部93側)の位置決めが損なわれることを防止できるので、ロータ部90の軸心精度が悪化することを好適に防止できる。
【0154】
仕切壁30は、本体ケース2内を第1ケース部10側の空間(ロータ収容室)と、第2ケース部20側の空間(バルブ室5)とに区画しており、仕切壁30には、第1ケース部10側の空間と、第2ケース部20側の空間とを連通させる貫通穴31c、31d(連通穴)が設けられている構成とした(請求項8に相当)。
【0155】
第2ケース部20内の空間(バルブ室5)内には、熱媒体などの流体が流入するようになっており、このバルブ室5内に流入する流体により、第1ケース部10側の空間と第2ケース部20側の空間(バルブ室5)との間に圧力差が発生すると、仕切壁30が変形する虞がある。
【0156】
仕切壁30が変形すると、この仕切壁30で支持されているロータ部90の他端側(小径軸部93)の位置がズレることがあり、かかる場合には、ロータ部90の軸心精度が悪化してしまう。
【0157】
貫通穴31c、31dを設けることで、第1ケース部10側の空間内の圧力と第2ケース部20側の空間内(バルブ室5内)の圧力とを均等にできるので、圧力差に起因する仕切壁30の変形を好適に防止して、ロータ部90の軸心精度の悪化を防止できる。
【0158】
仕切壁30には、第2ケース部20の鍔部23に係合して、仕切壁30を回り止めする係合突起311(係合部)が設けられている構成とした(請求項9に相当)。
【0159】
このように構成すると、第1ケース部10側の空間内と第2ケース部20側の空間内との圧力差などにより、仕切壁30の第1ケース部10の大径部12bに圧入されている環状壁34圧入強度が弱くなったとしても、仕切壁30がロータ部90と一体に回転することを好適に防止できる。
【0160】
特に、ステッピングモータ8のロータ部90の回転を、作動部材7の軸方向の進退移動に変換するネジ送り機構と、ロータ部90の回転角度を規制する規制手段と、を備え、ネジ送り機構が、仕切壁30の円筒壁33に固定されて作動部材7を回転不能かつ軸方向に移動可能に支持する支持部材120と、作動部材7とロータ部90に設けられて互いに噛み合う雄ネジ71aおよび雌ネジ95と、から構成される場合には、ロータ部90の回転を作動部材7の進退移動に確実に変換できることになる。
【0161】
さらに、実施の形態では、支持部材120を、仕切壁30と一体に形成された係合部35に着脱可能に構成した。
【0162】
このように構成すると、支持部材120が係合部35に取り付けられていない状態では、作動部材7をロータ部90に対して相対回転させることができる。
【0163】
よって、この状態で、ロータ部90の回転を阻止しつつ作動部材7を回転させることで、作動部材7を軸方向に移動させて、作動部材7の雄ネジ71aと、ロータ部90の雌ネジ95との咬み合い部分の長さを変更できるので、作動部材7の軸方向における位置を、所望の位置に調整でき、作動部材7の軸方向の位置決めを正確に行うことができる。
【0164】
また、支持部材120は、係合部35に対して弁体6側から着脱可能であるので、バルブ装置1を組み立てたあとでも、第1ケース部10と第2ケース部20とが互い溶接で接合される前であれば、支持部材120を適宜取り外して、第1ケース部10に仕切壁30が取り付けられた状態で作動部材7の軸方向における位置調整を簡単に行うことができる。
【0165】
作動部材7の嵌合部72では、支持部材120に支持される凹溝72aが軸方向に沿って設けられており、支持部材120は、凹溝72aの軸方向における一部を支持すると共に、作動部材7を支持した状態で軸方向にスライドさせて、係合部35に対して着脱される構成とした。
【0166】
このように構成すると、支持部材120を軸方向にスライドさせるだけで、係合部35に取り付けることができるので、支持部材120の係合部35への取り付けを、簡単に行うことができる。
【0167】
特に、支持部材120は、係合部35の腕部37の先端に設けられた爪部37aを支持部材120の係合段部122aに係止させて、係合部35に取り付けられるので、支持部材120の係合部35への取り付けを、特別な工具などを用いることなく、簡単に行うことができる。
【0168】
また、支持部材120と係合部35とは、互いに噛み合う係合突起124、35aにより相対回転が規制されている構成とした。
【0169】
作動部材7は、支持部材120に回転不能に支持されているので、支持部材120が回転すると作動部材7もまた回転し、雄ネジ71aと雌ネジ95との咬み合い部分の長さが変化して、作動部材7の軸方向の位置が変化する。
【0170】
作動部材7の位置を調整したのちに支持部材120を係合部35に取り付ける場合、係合突起124、35a同士の位置合わせのために、支持部材120を係合部35に対して僅かに回転させる必要があり、この僅かな回転により作動部材7の位置が調整された位置から外れてしまう。
【0171】
上記のように構成すると、係合突起124の1つ分の分解能が、係合部35に支持部材120を取り付けるときの支持部材120の角度の分解能となり、係合突起124の数を増やすことで分解能をより向上させて、作動部材7が調整後の位置から大きく外れることを防ぐことができる。
【0172】
また、係合突起124の1つ分の分解能が、作動部材7の軸方向の位置調整を行う際の最小の移動量を規定する分解能となる。よって、係合突起124、35aにより相対回転を規制することで、支持部材120の軸線X周りの分解能と共に、作動部材7の軸方向の位置調整の分解能(精度)が向上する。
【0173】
また、ガス流入管3とガス排出管4とが接続されたバルブ室5と、バルブ室5内で、ガス流入管3の開口3aを開閉する弁体6と、を備え、バルブ装置1の作動部材7で、弁体6を開口3aの開閉方向に進退移動させるバルブ駆動装置であって、ロータ部90には、ゼネバ歯車110の度当たり112d、112eで回転が規制される回転角度が、ロータ部90が時計回り方向に回転する場合と、反時計回り方向に回転する場合とに一つずつ、合計2つ設定されており、作動部材7は、ロータ部90が2つの回転角度のうちの一方の回転角度に達したときに、弁体6を開口3aを閉じる位置に配置させるように設定されている構成とした。
【0174】
このように構成すると、バルブ室5内に弁体6の位置を検出するためのセンサなどを設けずに、開口3aを閉状態にするときの弁体6の位置を正確に合わせることができる。
【0175】
また、弁体6は、スプリング76により、開口3aを閉じる方向に付勢されている構成としたので、弁体6が、ガスの流入口となる開口3aに付勢された状態で、開口3aを閉鎖している状態での付勢力(開口3aを閉じる力)を一定にすることができる。
【0176】
特に、ロータ部90が、
図6の(b)に示す位置から反時計回り方向に1回転した時点で、弁体6が、ガス流入管3の取付部材27(
図1参照)に当接し、そこからロータ部90がさらに1回転して、
図6の(a)に示す位置に達するまでの間は、弁体6と作動部材7とが、スプリング76(
図3参照)を圧縮しながら、軸線Xの軸方向で相対移動するように構成したので、弁体6はスプリング76の付勢力を受けつつ開口3aを閉鎖する位置に配置される。
【0177】
よって、ガス流入管3内の流体(ガス)の圧力に抗しつつ、弁体6による開口3aの閉鎖を確実に行うことができる。
【0178】
前記した実施の形態では、仕切壁30に設けた係合突起311を、第2ケース部20の鍔部23に設けた係合凹部233に係合させて、仕切壁30を回り止めする構成としたが、係合突起311をロータ部90側に突出させて、第1ケース部10の鍔部13に設けた係合凹部に係合させて仕切壁30を回り止めするようにしても良い。
【0179】
また、係合突起を、仕切壁30の基部31における第1ケース部10側と第2ケース部20側の両方に設け、これらを、第1ケース部10と第2ケース部20にそれぞれ設けた係合凹部に係合させて、仕切壁30を回り止めするようにしても良い。
【0180】
さらに、第1ケース部10および/または第2ケース部20に仕切壁30側に突出する係合突起を設け、仕切壁30にこの係合突起が係合する係合凹部を設けた構成としても良い。