(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(A)が、多糖類を基本骨格に持ち、ヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、以下の置換基(a)と置換基(b)に置換されたものである請求項1または2記載の水中油型乳化化粧料。
置換基(a):炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基、
置換基(b):ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる成分(A)の水溶性アルキル置換多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体を基本骨格にもち、ヒドロキシル基の水素原子の一部又は全てが、以下の置換基(a)と置換基(b)に置換されたものであることが好ましい。置換基(a)は、炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル基及び炭素数10〜40の直鎖又は分岐のアルケニル基を有するアルケニルグリセリルエーテル基から選ばれる疎水部を有するグリセリルエーテル基であることが好ましい。置換基(b)は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数1〜5のスルホアルキル基又はその塩であることが好ましい。
本発明の成分(A)は、多糖類またはその誘導体の基本骨格の一部又は全てが、疎水部を有するグリセリルエーテル基の置換基(a)と親水部を有する置換基(b)に置換されているので、後述する成分(C)疎水処理粉体と油剤を含有しても、成分(C)の疎水処理した粉体の分散性が良好で、乳化安定性に優れると考えられる。
ここで水溶性とは25℃で水に0.001質量%以上溶解するものをいう。
【0010】
置換基(a)の具体例としては、2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピル基、2−アルコキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基、2−ヒドロキシ−3−アルケニルオキシプロピル基、2−アルケニルオキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基が挙げられ、これらの基は多糖分子に結合しているヒドロキシエチル基やヒドロキシプロピル基のヒドロキシル基の水素原子と置換していてもよい。これらのグリセリルエーテル基に置換している炭素数10〜40のアルキル基又はアルケニル基としては、炭素数12〜36、更に炭素数16〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及びアルケニル基が好ましく、乳化化粧料の保存安定性の点から、アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。なお、置換基(a)がヒドロキシル基を有する場合には、当該ヒドロキシル基は更に他の置換基(a)又は(b)で置換されていてもよい。
【0011】
また、置換基(b)の具体例としては、2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基、2−スルホ−1−(ヒドロキシメチル)エチル基等が挙げられ、その全てあるいは一部がNa、K等のアルカリ金属、Ca、Mg等のアルカリ土類金属、アミン類等の有機カチオン基、アンモニウムイオンなどとの塩となっていてもよい。なお、置換基(b)がヒドロキシル基を有する場合には、当該ヒドロキシル基は更に他の置換基(a)又は(b)で置換されていてもよい。
【0012】
置換基(a)の置換度は、構成単糖残基当たり0.001〜1が好ましく、0.002〜0.5がより好ましく、0.003〜0.1であるのが更に好ましい。置換基(b)の置換度は、構成単糖残基当たり0.01〜2.5が好ましく、0.02〜2がより好ましく、0.1〜1.5であるのが更に好ましい。また、置換基(a)と置換基(b)の数の比率は1:1000〜100:1が好ましく、1:500〜10:1がより好ましく、1:300〜10:1が更に好ましい。なお、水溶性アルキル置換多糖誘導体においては、多糖類又はその誘導体の各繰り返し単位中に必ず置換基(a)及び(b)が存在していなくてもよく、一分子全体として見たときに、置換基(a)及び(b)が導入されていればよい。その置換度が平均して前記範囲内にあるのが好ましい。
【0013】
また、成分(A)の水溶性アルキル置換多糖誘導体の基本骨格となる多糖類又はその誘導体としては、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム、ヒドロキシプロピルメチルスターチ等が挙げられ、なかでもセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。また、これらの多糖類のメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等の置換基は、単一の置換基で置換されたものでもよいし、複数の置換基で置換されたものでもよく、その構成単糖残基当たりの置換度は0.1〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。また、これら多糖類又はその誘導体の重量平均分子量は、1万〜1000万が好ましく、10万〜500万がより好ましく、30万〜200万が更に好ましい。
【0014】
本発明の成分(A)水溶性アルキル置換多糖誘導体は、多糖類又はその誘導体の水酸基の水素原子を部分的に疎水化(置換基(a)の導入)又はスルホン化(スルホン酸基を有する置換基(b)の導入)した後、残りの水酸基の全ての又は一部の水素原子をスルホン化又は疎水化することにより、又は同時に疎水化及びスルホン化を行うことにより製造することができる。
【0015】
多糖誘導体における置換基(a)及び(b)は、原料として用いた多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基のみならず、他の置換基(a)や置換基(b)が有するヒドロキシル基に置換する場合もあり、更にかかる置換は重畳的に起こる場合もある。すなわち、多糖類又はその誘導体のヒドロキシル基の水素原子のみが置換基(a)及び(b)で置換された化合物のほか、疎水化後にスルホン化した場合には、置換基(a)に更に置換基(a)又は(b)が置換し、また置換基(b)に更に置換基(b)が置換したものが含まれることがある。また、スルホン化後に疎水化した場合には、置換基(a)に更に置換基(a)が置換し、また置換基(b)に更に置換基(b)又は(a)が置換したものが含まれることがある。さらに、疎水化とスルホン化を同時に行った場合には、置換基(a)に更に置換基(a)又は(b)が置換し、置換基(b)に更に置換基(a)又は(b)が置換したものが含まれることがあり、更にかかる他の置換基への置換が重畳的に起こったものが含まれることもある。本発明においては、このような多糖誘導体のいずれをも使用することができる。
【0016】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、乳化安定性の観点から、含有量は、全組成中に0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましい。そして、塗布時の伸ばしやすさの点から、5質量%であり、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.05〜5質量%であり、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1質量%がより好ましい。
【0017】
本発明で用いる成分(B)のうち、(B1)の炭化水素油又はエステル油は、25℃における粘度が40mPa・s以下であって、好ましくは2.5〜35mPa・sのものである。
本発明において、油剤の粘度は、B型粘度計(B8L型粘度計(東機産業社製)、ローターNo.1、60rpm、25℃、1分)で測定した値である。
【0018】
成分(B1)の炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、水添ポリイソブテン、スクワラン等が挙げられる。エステル油としては、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステルなどが挙げられる。
これらのうち、乳化安定性と、粉体分散性の点から、分岐構造を有するものが好ましく、十分なしっとり感が得られる点から、イソノナン酸イソトリデシル、スクワランがより好ましい。
また、成分(B1)は、成分(A)と組み合わさると、塗布後の肌のしっとり感が長時間持続するため、不揮発性であることが好ましい。その理由としては、疎水性の成分(B1)は、疎水基を持つ成分(A)と相互作用し、また、成分(A)に皮膜形成能があることと関連する。すなわち、水中油型乳化化粧料を肌に塗布し、揮発分が蒸散した後、成分(A)が成分(B1)を保持したまま肌の上で皮膜化するので、成分(B1)が不揮発性であれば肌の上に保持されるため、効果的にうるおい感を長時間持続することができる。
なお、成分(B1)のエステル油には、後述する(E)紫外線吸収剤は含まれない。
【0019】
また、成分(B2)のシリコーン油は、25℃における粘度が15mPa・s以下、好ましくは1〜12mPa・sのものである。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサンが好ましく、25℃における粘度が10mPa・s以下のジメチルポリシロキサン、オクタメチルシクロポリシロキサンがより好ましく、シクロペンタシロキサンが更に好ましい。
【0020】
成分(B)としては、成分(B1)及び(B2)から選ばれる1種又は2種以上が用いられ、成分(B1)及び(B2)を組み合わせて用いるのが好ましい。
成分(B1)は、安定性の観点から、成分(B)中40質量%以上であり、50質量%以上が好ましく、55質量%以上が更に好ましい。そして、成分(B1)は、成分(B)中100質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、べたつきのなさの観点から、90質量%以下が更に好ましく、85質量%以下がより更に好ましい。また、成分(B1)は、成分(B)中40〜95質量%が好ましく、より高い乳化安定性から50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%が更に好ましい。
【0021】
成分(B)の含有量は、しっとり感を得る点から、全組成中に合計で5質量%以上であり、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。そして、べたつきのなさの点から、全組成中に合計で60質量%以下であり、46質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に合計で、5〜60質量%であり、8〜46質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0022】
本発明において、成分(A)と成分(B1)の質量比(A)/(B1)は、白浮きを抑制する観点から、0.01以上が好ましく、0.012以上がより好ましく、0.09以下が好ましく、0.08以下がより好ましい。また、成分(A)と成分(B1)の質量比(A)/(B1)は、0.01〜0.09が好ましく、0.012〜0.08がより好ましい。
【0023】
本発明で用いる成分(C)の紫外線散乱剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛や、酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の複合粉体などが挙げられる。これらのうち、紫外線防御効果の観点から、微粒子の酸化亜鉛と酸化チタンが好ましい。また、成分(C)の紫外線散乱剤は、平均粒径25〜100nmであるのが好ましく、30〜90nmがより好ましく、35〜80nmが更に好ましい。これらの粉体は、テイカ社、住友大阪セメント社などから入手できる。
【0024】
本発明で用いる成分(C)の紫外線散乱剤は、疎水処理したものが用いられ、耐水性が向上するので好ましい。疎水処理は通常の表面処理法を用いることができ、例えば、粉体表面に油脂を吸着させたり、水酸基等の官能基を利用し、エステル化やエーテル化を起こさせ粉体を親油的にする油脂処理法、脂肪酸の亜鉛塩やマグネシウム塩やアルミ塩を用いた金属石鹸処理法、ジメチルシロキサンやメチル水素シロキサン等のシリコーン化合物を用いたシリコーン処理法、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物で処理する方法、アルキルアルコキシシランで処理する方法等が挙げられる。これらのうち、乳化安定性の観点から、シリコーン化合物を用いたシリコーン処理が好ましい。
シリコーン処理としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーン樹脂等による処理が挙げられ、通常の方法により、処理することができる。処理するシリコーンの使用量は、処理前の粉体質量に対して、0.5〜70質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
【0025】
成分(C)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、紫外線防御効果の観点から、含有量は、全組成中に5質量%以上であり、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。そして、白浮きのなさの点から、全組成中に35質量%以下であり、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に5〜35質量%であり、8〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
【0026】
本発明において、成分(B1)と成分(C)との質量比(B1)/(C)は、白浮きを抑制し、安定性を向上する観点から、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、5以下が好ましく、4以下が好ましく、3以下がより好ましい。また、成分(B1)と成分(C)との質量比(B1)/(C)は、0.3〜5が好ましく、0.4〜4がより好ましく、0.5〜3が更に好ましい。
【0027】
本発明において、成分(D)の水の含有量は、溶媒として、全組成中に、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましい。また、水の含有量は、全組成中に、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、20〜45質量%が更に好ましい。
【0028】
本発明の水中油型乳化化粧料は、さらに、(E)紫外線吸収剤を含有することができ、より高い紫外線防御効果を得ることができる。
紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤であって、例えば、パラメトキシケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;ヒドロキメトキシベンゾフェノン、ヒドロキメトキシベンゾフェノンスルホン酸、ヒドロキメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンジフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、4−[N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]安息香酸エチル等の安息香酸エステル系紫外線吸収剤;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸p−tert−ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤;2,4,6−トリアニリノ−p−(カルボ−2'−エチルヘキシル−1'−オキシ)−1,3,5−トリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤;オキシベンゾン、アントラニル酸メンチル、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸等が挙げられる。
これらのうち、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルが好ましい。
【0029】
成分(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、紫外線防御効果の観点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。そして、べたつきのなさの点から、全組成中に20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%が好ましく、0.3〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%が更に好ましい。
【0030】
本発明の水中油型乳化化粧料は、更に、前記以外の油性成分を含有することができる。かかる油性成分としては、例えば、イソステアリン酸コレステリル、コレステロール等の25℃で固体又はペースト状の油性成分;25℃における粘度が15mPa・sを超えるジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;オリーブ油、ホホバ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;流動パラフィン等の炭化水素油;ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル油;ラウリルグルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)などが挙げられる。
【0031】
本発明の水中油型乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記成分(C)以外の粉体、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、色素、pH調整剤、香料、前記成分(E)以外の他の紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、エキス類、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0032】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる前記成分(C)以外の粉体としては、塗布時の伸びをよくする観点から球状の粉体を含有することができ、ポリメチルシルセスキオキサンなどが好ましい。また、塗布時のぬるつき感を抑制するために板状粉体を含有することができ、タルクなどが好ましい。
【0033】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる前記成分(C)以外の粉体は、前記成分(C)の紫外線散乱剤と同様に表面処理したものを用いることもできる。
【0034】
前記成分(C)以外の粉体は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、全組成中の5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
【0035】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる非イオン界面活性剤としては、HLB8以下の親油性非イオン界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、安定性の観点から、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。
【0036】
非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、塗布時の伸ばしやすの観点から、含有量は、全組成中に5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。なお、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有されないことが更に好ましい。
【0037】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いるエタノールの含有量は、全組成中の5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3.5質量%以下が更に好ましい。
【0038】
本発明の水中油型乳化化粧料に用いる多価アルコールとしては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールなどが挙げられる。多価アルコールの含有量は、全組成中に0.1〜25質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%以下が更に好ましい。
【0039】
本発明の水中油型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。例えば、水相成分を精製水に混合溶解し、これを撹拌しながら、粉体成分を分散させた油相を加え、撹拌することにより、得ることができる。
【0040】
剤型としては、液状、乳液状、クリーム状、ジェル状が挙げられ、乳液状が好ましい。
また、本発明の水中油型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、日焼け止め化粧料がより好ましい。
【0041】
本発明の水中油型乳化化粧料の乳化粒径は、塗布時のさっぱり感の点から1〜50μmが好ましく、1〜40μmがより好ましく、1〜30μmがさらに好ましい。乳化粒径は、顕微鏡観察を50倍で行ったときの視野中の乳化粒径の平均値とした。
【0042】
本発明の水中油型乳化化粧料は、塗布時の伸ばしやすさと塗布後のしっとり感の点から、25℃における粘度が4000〜50000mPa・sであるのが好ましく、8000〜40000mPa・sがより好ましく、10000〜30000mPa・sであるのが更に好ましい。ここで、粘度は、B型粘度計(B8L型粘度計(東機産業社製)、ローターNo.4、6rpm、1分、25℃)で測定した値である。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0043】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)水溶性アルキル置換多糖誘導体 0.05〜5質量%、
(B)(B1)及び(B2)
(B1)25℃における粘度が40mPa・s以下の炭化水素油又はエステル油、
(B2)25℃における粘度が15mPa・s以下のシリコーン油
から選ばれる1種又は2種以上であって、成分(B1)が、成分(B)中40質量%以上である油剤 5〜60質量%、
(C)疎水処理した紫外線散乱剤 5〜35質量%、
(D)水
を含有する水中油型乳化化粧料。
【0044】
<2>成分(A)の含有量が、全組成中に0.05〜5質量%であって、0.1〜3質量%が好ましく、0.2〜1質量%がより好ましい前記<1>記載の水中油型乳化化粧料。
<3>成分(B1)は、成分(B)中50質量%以上であり、50〜95質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましく、更に50〜80質量%が更に好ましい前記<1>又は<2>記載の水中油型乳化化粧料。
【0045】
<4>成分(B)の含有量が、全組成中に合計で、5〜60質量%であって、8〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい前記<1>〜<3>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<5>成分(C)が、シリコーン処理した酸化亜鉛又は酸化チタンである前記<1>〜<4>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<6>成分(C)の含有量が、全組成中に5〜35質量%であって、8〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
【0046】
<7>さらに、(E)紫外線吸収剤であって、好ましくはパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシルを含有する前記<1>〜<6>のいずれか1記載の水中油型乳化化粧料。
<8>成分(E)の含有量が、全組成中に0.1〜20質量%であって、0.3〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい前記<7>記載の水中油型乳化化粧料。
【実施例】
【0047】
製造例1(水溶性アルキル置換多糖誘導体の製造)
(1)撹拌機、温度計及び冷却管を備えた1000mLのガラス製セパラブル反応容器に、重量平均分子量約80万、ヒドロキシエチル基の置換度1.8のヒドロキシエチルセルロース(HEC−QP4400,ユニオンカーバイド社製)50g、88%イソプロピルアルコール400g及び48%水酸化ナトリウム水溶液3.5gを加えてスラリー液を調製し、窒素雰囲気下室温で30分間撹拌した。これにステアリルグリシジルエーテル5.4gを加え、80℃で8時間反応させて疎水化を行った。疎水化反応終了後、反応液を酢酸で中和し、反応生成物をろ別した。反応生成物を80%アセトン(水20%)500gで2回、次いでアセトン500gで2回洗浄し、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、疎水化されたヒドロキシエチルセルロース誘導体49.4gを得た。
【0048】
(2)撹拌機、温度計及び冷却管を備えた500mLのガラス製セパラブル反応容器に、(1)で得られた疎水化ヒドロキシエチルセルロース誘導体10.0g、イソプロピルアルコール80.0g及び48%水酸化ナトリウム水溶液0.33gを仕込んでスラリー液を調製し、窒素気流下室温で30分間撹拌した。反応液に3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム6.4g、48%水酸化ナトリウム水溶液2.7g及び水20.0gからなる混合液を加え、50℃で9時間スルホン化を行った。反応終了後、反応液を酢酸で中和し生成物をろ別した。生成物を80%アセトン(水20%)500gで3回、次いでアセトン500gで2回洗浄後、減圧下70℃で1昼夜乾燥し、ステアリルグリセリルエーテル基とスルホ−2−ヒドロキシプロピル基で置換された水溶性アルキル置換多糖誘導体7.2gを得た。
【0049】
得られた水溶性アルキル置換多糖誘導体の(a)3−ステアリルグリセリルエーテル基の置換度は0.030、(b)3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル基の置換度は0.15であり、疎水部置換基(a)と親水部置換基(b)の数の比率は1:5であった。
【0050】
実施例1〜11及び比較例1〜2
表1に示す組成の水中油型乳化化粧料を製造し、乳化安定性(直後)、乳化安定性(40℃1ヶ月)、塗布直後のべたつきのなさ、塗布後の肌の白浮き及びうるおい持続効果を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0051】
(製造方法)
(1)ディスパー(3000rpm/30分)を用い、室温にて水相成分を精製水に溶解し、混合した。
(2)粉体成分を油相成分に加え、ディスパーを用いて強分散させた(3000rpm/20分)。
(3)水相(1)をアジホモミキサーで高速攪拌(7000rpm)しながら、油相をゆっくり添加し、7000rpmで30分攪拌を行い、室温に冷却した後、攪拌し、水中油型乳化化粧料を得た。
【0052】
(評価方法)
(1)乳化安定性(直後):
各化粧料の乳化粒径を顕微鏡で観察し、50倍で見たときの視野中の乳化粒径の平均値から評価した。
◎:平均粒径が30μm以下。
○:平均粒径が30μmより大きい。
×:明らかに合一している。
【0053】
(2)乳化安定性(40℃1ヶ月):
各化粧料を50mLのガラス瓶に充填し、40℃で1ヶ月保存した後、外観の乳化状態を、目視又は顕微鏡にて観察した。(製造直後の粒径を基準にして判断)
◎:外観、平均粒径とも製造直後と同等(良好)。
○:外観は製造直後と同等、平均粒径が製造直後の1倍より大きく1.5倍以内(わずかに合一がみられる)。
△:外観は製造直後と同等、平均粒径が製造直後の1.5倍より大きい(ほとんどが合一している)。
×:外観は液が分離している。
【0054】
(3)塗布直後のべたつきのなさ:
10名の専門パネラーが各化粧料0.4gを全顔に塗布したとき、「塗布直後のべたつきのなさ」について、官能評価した。
◎:8名以上がべたつなかいと評価した。
○:6〜7名がべたつなかいと評価した。
△:3〜5名がべたつなかいと評価した。
×:2名以下がべたつなかいと評価した。
【0055】
(4)塗布後の肌の白浮き
10名の専門パネラーが各化粧料0.4gを全顔に塗布したとき、「塗布後の肌の白浮き」について、官能評価した。
◎:8名以上が白浮きしないと評価した。
○:6〜7名が白浮きしないと評価した。
△:3〜5名が白浮きしないと評価した。
×:2名以下が白浮きしないと評価した。
【0056】
(5)うるおい持続効果:
10名の専門パネラーが各化粧料0.4gを全顔に塗布したとき、「8時間後のうるおい持続効果」について、官能評価した。
◎:8名以上が良好と評価した。
○:6〜7名が良好と評価した。
△:3〜5名が良好と評価した。
×:2名以下が良好と評価した。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例12〜14及び比較例3〜5
実施例1〜11と同様にして、表2に示す組成の水中油型乳化化粧料を製造し、乳化安定性(直後)及び塗布直後のべたつきのなさを評価した。また、乳化安定性(加速試験)を評価した。結果を表2に併せて示す。
【0059】
(6)乳化安定性(加速試験):
各化粧料を50mLのガラス瓶に充填し、振動をかけながら40℃で3日間保存した。その後、各化粧料の外観の乳化状態を、目視又は顕微鏡にて観察した。(製造直後の粒径を基準にして判断)
◎:外観、平均粒径とも製造直後と同等(良好)。
○:外観は製造直後と同等、平均粒径が製造直後の1倍より大きく1.5倍以内(わずかに合一がみられる)。
△:外観は製造直後と同等、平均粒径が製造直後の1.5倍より大きい(ほとんどが合一している)。
×:外観は液が分離している。
【0060】
【表2】
【0061】
また、実施例12及び比較例4の化粧料について、乳化安定性(加速試験)評価において、顕微鏡観察したときの乳化状態の写真を、
図1に示す。