特許第6080617号(P6080617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080617
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】装着構造、台車、作業装置及び着脱方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20170206BHJP
   B62B 3/06 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   B23P21/00 307P
   B62B3/06 C
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-43413(P2013-43413)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-172094(P2014-172094A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】村山 昌資
(72)【発明者】
【氏名】内田 毅
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−006469(JP,A)
【文献】 特開2003−179387(JP,A)
【文献】 特開2002−319791(JP,A)
【文献】 実開昭56−063663(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B62B 1/00− 5/08
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と、架台との装着構造であって、
前記台車が、
台車本体と、
前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、
前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、
前記台車本体の一側部から突出して設けられ、前記台車本体と前記架台とを連結する連結部と、
前記台車本体の前記一側部に設けられ、前記連結部よりも下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、
前記架台は、
前記連結部と連結される被連結部と、
前記当接部が当接する被当接部と、を備え、
前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、
前記距離変化機構により前記上下方向の距離を変化させて前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させ、前記上下方向の距離を更に変化させて、前記複数の車輪が走行面から浮いた装着状態とされ
前記当接部は前記装着状態にある場合に前記被当接部に当接した当接状態となり、
前記連結部と前記被連結部とは、前記連結部が前記被連結部に着座した場合に互いの水平方向の位置決めを行う水平位置決め部をそれぞれ備える、
ことを特徴とする装着構造。
【請求項2】
前記距離変化機構は、
前記複数の車輪が前記走行面に接地した状態で前記連結部が前記被連結部よりも高くなる第1の距離と、前記連結部が前記被連結部に着座した状態で前記複数の車輪を前記走行面から浮かせる第2の距離と、で前記離間距離を変化可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の装着構造。
【請求項3】
前記被当接部が被当接面であり、
前記当接部は、前記被当接面に対する前記台車の傾き補正を行う傾き補正部を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の装着構造。
【請求項4】
前記被連結部の前記水平位置決め部は、前記台車を前記架台に対して水平方向の所定の位置に案内する水平ガイド部を含み、
前記連結部の前記水平位置決め部は前記水平ガイド部と係合する水平係合部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装着構造。
【請求項5】
前記被連結部の前記水平位置決め部は水平方向に離間した複数の第1嵌合部を含み、
前記連結部の前記水平位置決め部は前記複数の第1嵌合部と嵌合する複数の第2嵌合部を有し、
前記連結部は、
前記水平方向に延設された板状をなし、前記被連結部に着座する着座部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装着構造。
【請求項6】
前記距離変化機構は、
前記台車本体が載置されるベース部と、
一端側が前記ベース部に、他端側が前記車輪に係合され、交差させた状態で連結された第1及び第2のアーム部材と、
前記第1及び第2のアーム部材の連結交差部における交差角度を調節する調節機構と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の装着構造。
【請求項7】
前記第1及び第2のアーム部材は、前記連結交差部で回動自在に連結され、
前記調節機構は、
前記第1のアーム部材の前記一端側及び前記第2のアーム部材の前記一端側の少なくとも一方を、互いに接近離間する方向に移動させる移動機構である、
ことを特徴とする請求項6に記載の装着構造。
【請求項8】
前記調節機構は、
回転軸と、
前記回転軸に入力される回転力を前記第2のアーム部材の前記一端側を変位させる変位力に変換する変換機構と、を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の装着構造。
【請求項9】
架台に着脱自在な台車であって、
台車本体と、
前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、
前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、
前記台車本体の側部から突出して設けられ、前記架台に上から座可能な連結部と、
前記台車本体の前記側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、
前記当接部が前記架台に当接することにより、前記連結部によって前記架台に装着された前記台車本体の姿勢が維持される、
ことを特徴とする台車。
【請求項10】
前記距離変化機構は、
前記台車本体が載置されるベース部と、
一端側が前記ベース部に、他端側が前記車輪に係合され、交差させた状態で連結された第1及び第2のアーム部材と、
前記第1及び第2のアーム部材の連結交差部における交差角度を調節する調節機構と、
を備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の台車。
【請求項11】
前記第1及び第2のアーム部材は、前記連結交差部で回動自在に連結され、
前記調節機構は、
前記第1のアーム部材の前記一端側及び前記第2のアーム部材の前記一端側の少なくとも一方を、互いに接近離間する方向に移動させる移動機構である、
ことを特徴とする請求項10に記載の台車。
【請求項12】
前記台車本体は、前記側部と対向する対向側部を有し、
前記調節機構は、
前記対向側部側に設けられた回転軸と、
前記回転軸に入力される回転力を前記第2のアーム部材の前記一端側を変位させる変位力に変換する変換機構と、を備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の台車。
【請求項13】
ワークに対して所定の作業を行う作業装置であって、
架台と、
前記架台に搭載され、前記ワークを搬送する搬送ユニットと、
前記架台に搭載され、前記搬送ユニットによって搬送される前記ワークに対して所定の作業を行う複数の作業ユニットと、
前記架台に、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って着脱自在な複数の台車と、を備え、
前記台車は、
台車本体と、
前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、
前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、
前記台車本体の側部から突出して設けられ、前記台車本体前記架台を連結する連結部と、
前記台車本体の前記側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、
前記台車本体の上部に配置された載置部と、を備え、
前記載置部には、前記作業ユニットによる作業を補助する作業補助ユニットが設けられ、
前記台車本体は、前記作業補助ユニットを制御する制御ユニットを備え、
前記架台は、
前記連結部と連結される被連結部と、
前記当接部が当接する被当接部と、を備え、
前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、
前記距離変化機構により前記上下方向の距離を変化させて前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させ、前記上下方向の距離を更に変化させて、前記複数の車輪が走行面から浮いた装着状態とされ、
前記当接部は前記装着状態にある場合に前記被当接部に当接した当接状態となり、
前記連結部と前記被連結部とは、前記連結部が前記被連結部に着座した場合に互いの水平方向の位置決めを行う水平位置決め部をそれぞれ備える、
ことを特徴とする作業装置。
【請求項14】
架台に対する台車の着脱方法であって、
前記台車が、
台車本体と、
前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、
前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、
前記台車本体の一側部から突出して設けられ、前記台車本体を前記架台に連結する連結部と、
前記台車本体の前記一側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、
前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記架台に設けられた被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、
前記装着方法は、
前記架台の装着位置に前記台車を移動させる移動工程と、
前記被連結部に対する前記連結部の水平方向の位置合せを行う水平位置合わせ工程と、
前記距離変化機構によって、前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させる着座工程と、
前記連結部を前記被連結部に着座後、前記距離変化機構によって、前記複数の車輪を走行面から浮かせると共に前記当接部を前記架台に当接させて当接状態とする連結工程と、を備える、
ことを特徴とする着脱方法。
【請求項15】
前記水平位置合わせ工程の前に、前記距離変化機構によって前記台車本体を上昇させ、前記連結部を、前記被連結部に対する着座位置よりも高い位置に上昇させる準備工程を備える、
ことを特徴とする請求項14に記載の着脱方法。
【請求項16】
前記連結工程の後に、前記距離変化機構によって、前記複数の車輪を前記走行面に着地させ、その後、前記台車本体を上昇させて前記連結部を前記被連結部から分離する連結解除工程を備える、
ことを特徴とする請求項14に記載の着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、台車と架台との装着構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動組み立て設備を構成する作業装置においては、ワークに対して複数種類の異なる部品が組みつけられる場合がある。また、部品の種類の変更に柔軟に対応できることが望ましい。そこで、部品を台車に搭載して搬送し、台車を作業装置の架台に対して一体的に装着可能とすることで、部品供給を行うシステムが提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2には、床面等の走行面上を走行可能な台車と架台とを連結するシステムが開示されている。また、特許文献3にはエアシリンダにより台車を持ち上げて架台と連結するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−176021号公報
【特許文献2】特許2973980号公報
【特許文献3】特開平07−336094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2のシステムでは、台車が走行面に接地した状態で架台に装着されるため、台車の位置決め精度が走行面の傾斜等に影響され得る。特許文献3の構造はアクチュエータ(エアシリンダ)により台車を持ち上げるため、台車の位置決め精度が走行面の傾斜等に影響されない。しかし、アクチュエータを常時駆動しておく必要があり、長時間に渡って台車を架台に連結した状態を維持する場合には不向きである。
【0005】
本発明の目的は、台車と架台とを連結する際に、台車の位置決め精度が走行面に影響されず、かつ、連結状態の維持にアクチュエータを不要とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、台車と、架台との装着構造であって、前記台車が、台車本体と、前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、前記台車本体の一側部から突出して設けられ、前記台車本体と前記架台とを連結する連結部と、前記台車本体の前記一側部に設けられ、前記連結部よりも下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、前記架台は、前記連結部と連結される被連結部と、前記当接部が当接する被当接部と、を備え、前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、前記距離変化機構により前記上下方向の距離を変化させて前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させ、前記上下方向の距離を更に変化させて、前記複数の車輪が走行面から浮いた装着状態とされ、前記当接部は前記装着状態にある場合に前記被当接部に当接した当接状態となり、前記連結部と前記被連結部とは、前記連結部が前記被連結部に着座した場合に互いの水平方向の位置決めを行う水平位置決め部をそれぞれ備える、ことを特徴とする装着構造が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、架台に着脱自在な台車であって、台車本体と、前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、前記台車本体の側部から突出して設けられ、前記架台に上から着座可能な連結部と、前記台車本体の前記側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、前記当接部が前記架台に当接することにより、前記連結部によって前記架台に装着された前記台車本体の姿勢が維持される、ことを特徴とする台車が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、ワークに対して所定の作業を行う作業装置であって、架台と、前記架台に搭載され、前記ワークを搬送する搬送ユニットと、前記架台に搭載され、前記搬送ユニットによって搬送される前記ワークに対して所定の作業を行う複数の作業ユニットと、前記架台に、前記搬送ユニットの搬送方向に沿って着脱自在な複数の台車と、を備え、前記台車は、台車本体と、前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、前記台車本体の側部から突出して設けられ、前記台車本体前記架台とを連結する連結部と、前記台車本体の前記側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、前記台車本体の上部に配置された載置部と、を備え、前記載置部には、前記作業ユニットによる作業を補助する作業補助ユニットが設けられ、前記台車本体は、前記作業補助ユニットを制御する制御ユニットを備え、前記架台は、前記連結部と連結される被連結部と、前記当接部が当接する被当接部と、を備え、前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、前記距離変化機構により前記上下方向の距離を変化させて前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させ、前記上下方向の距離を更に変化させて、前記複数の車輪が走行面から浮いた装着状態とされ、前記当接部は前記装着状態にある場合に前記被当接部に当接した当接状態となり、前記連結部と前記被連結部とは、前記連結部が前記被連結部に着座した場合に互いの水平方向の位置決めを行う水平位置決め部をそれぞれ備える、ことを特徴とする作業装置が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、架台に対する台車の着脱方法であって、前記台車が、台車本体と、前記台車本体の底部に配置された複数の車輪と、前記台車本体と前記複数の車輪との間に設けられ、前記台車本体と前記複数の車輪との上下方向の距離を変化させる距離変化機構と、前記台車本体の一側部から突出して設けられ、前記台車本体を前記架台に連結する連結部と、前記台車本体の前記一側部に設けられ、前記連結部の下方に位置し、前記架台に当接する当接部と、を備え、前記距離変化機構は、前記台車本体を上昇させることで前記連結部を前記架台に設けられた被連結部の高さよりも高い位置まで上昇可能であり、前記装着方法は、前記架台の装着位置に前記台車を移動させる移動工程と、前記被連結部に対する前記連結部の水平方向の位置合せを行う水平位置合わせ工程と、前記距離変化機構によって、前記台車本体を降下させることで前記被連結部の高さよりも高い位置から前記連結部を前記被連結部に着座させる着座工程と、前記連結部を前記被連結部に着座後、前記距離変化機構によって、前記複数の車輪を走行面から浮かせると共に前記当接部を前記架台に当接させて当接状態とする連結工程と、を備える、ことを特徴とする着脱方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、台車と架台とを連結する際に、台車の位置決め精度が走行面に影響されず、かつ、連結状態の維持にアクチュエータを不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】作業システムの概略図。
図2図1の作業装置の分解斜視図。
図3】台車の斜視図。
図4】作業補助ユニット付きの台車の斜視図。
図5】台車の側面視図。
図6】距離変化機構の斜視図。
図7】距離変化機構の斜視図。
図8】距離の変化態様の説明図。
図9】装着構造の説明図。
図10】装着構造の説明図。
図11】装着構造の説明図。
図12】装着構造の説明図。
図13】装着状態の説明図。
図14】装着状態と分離状態とを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は作業システムAの概略図、図2は作業システムAの分解斜視図である。なお、各図においてX、Yは互いに直交する水平方向を示し、Zは上下方向を示す。
【0013】
作業システムAは、パレット1上のワークWに対して所定の作業を行うシステムである。所定の作業は、例えば、組み立て、加工、検査等が含まれる。作業システムAは、作業装置2と、移載装置3A、3Bとを備える。作業装置2は、搬送ユニット21、22を備え、移載装置3A、3Bは搬送ユニット21、と搬送ユニット22との間でパレット1を移載する。搬送ユニット21、22と、移載装置3A、3Bとによって、パレット1は図2の矢印で示すように反時計方向に循環的に搬送される。搬送ユニット21、22は、X方向で互いに逆方向にパレット1を搬送する。移載装置3A、3BはY方向で互いに逆方向にパレットを移載する。
【0014】
搬送ユニット21及び22は、レール状のガイド部材21a、22aと、ガイド部材21a、22a上のパレット1を移動する移動機構(不図示)とを備え、パレット1はガイド部材21a、22aに案内されながら移動される。これによりワークWを搬送する。
【0015】
移載装置3A、3Bは、2つの固定ユニット31、31と、可動ユニット32とを備える。固定ユニット31、31は、それぞれ、ガイド部材21a、22aと連続するように配置され、搬送ユニット21及び22との間でパレット1の受け渡しを行う。可動ユニット32は、2つの固定ユニット31間を移動可能に設けられており、2つの固定ユニット31間でパレット1の受け渡しを行う。そして、移載装置3A、3Bは、一方の固定ユニット31で作業装置2からパレット1を受け取る。可動ユニット32で、一方の固定ユニット31から他方の固定ユニット31へパレット1を移動する。他方の固定ユニット31で作業装置2へパレット1を渡す。こうして、パレット1の受け渡し、移載を行う。
【0016】
作業装置2は、架台23を備える。架台23には、搬送ユニット21及び22の他、複数の作業ユニット24が搭載される。作業ユニット24は搬送ユニット21により搬送されるパレット1上のワークWに対して上述した所定の作業を行う。作業ユニット24はY方向に進退自在であると共にZ軸周りに旋回(回動)可能となっている。作業ユニット24は作業ツールTを有しており、作業ツールTを駆動してワークWに対する組立作業等を行う。
【0017】
作業済みのワークWを搭載したパレット1は搬送ユニット21から移載装置3Aへ搬送され、更に搬送ユニット22へ移載される。搬送ユニット22による搬送途中において、パレット1上の作業済みのワークWが不図示の搬出装置によって、作業システムA外へ搬出される。また、搬送ユニット22の搬送途中において、新たなワークWが空きのパレット1上に不図示の搬入装置によって搬入される。新たなワークWが搭載されたパレット1は、搬送ユニット22から移載装置3Bへ搬送され、更に搬送ユニット21へ移載される。そして、新たなワークWは作業ユニット24によって所定の作業が行われることになる。
【0018】
作業装置2は、また、架台23に着脱自在な台車4A〜4Dを備える。台車4A〜4Dを総称するときは台車4という。台車4A〜4Dは基本的構成を共通にするが、用途に応じて細部が若干異なっている。台車4Aには入出力ユニット25と、入出力ユニット25が取付けられ台車4Aに支持する支持アーム25aが搭載されている。入出力ユニット25はタッチパネル式の表示部を備え、作業装置2の動作状況等の出力情報の表示や、各種の指示入力情報等の入力が可能となっている。支持アーム25aは、後述する台車本体41に一方の端部が取付けられ、他方端部は、入出力ユニット25が取付けられる。そして、入出力ユニット25を所望の位置に任意に移動させ維持させることが可能となっている。台車4A内部には、入出力ユニット25と接続され、作業装置2全体を制御する制御ユニット(制御回路)を収容することが可能である。台車4B及び4Cは、例えば、予備のパレット1や、交換用の作業ツールT、あるいは、複数種類のメンテナンス器具等を収容するために用いることができる。
【0019】
台車4Dには作業補助ユニット26が搭載されている。作業補助ユニット26は作業ユニット24による作業を補助するユニットである。作業補助ユニット26は、本実施形態の場合、部品を供給する部品供給ユニットであり、部品が多数搭載されたトレイTrを備える。作業ユニット24はトレイTrから部品を取得してワークWに組み付けることが可能である。本実施形態の場合、トレイTrが空になると作業者が、部品が搭載された新たなトレイTrと交換する作業形態を想定している。
【0020】
しかし、作業補助ユニット26が複数のトレイTrを収容し、これらを循環的に移動させる機構を備える構成でもよい。この構成の場合、作業ユニット24は、最上段のトレイTrから部品を取得してワークWに組み付けることが可能である。作業補助ユニット26は、例えば、最上段のトレイTrが空になると、別のトレイTrが最上段に位置するようにトレイTr群を移動させる。このように作業補助ユニット26が、駆動機構を備える構成の場合、作業補助ユニット26と接続され、その制御を行う制御ユニット(例えばプログラマブルコントローラ)が必要となる。制御ユニットは、台車4Dの内部に収容することが可能である。これにより、1台の台車4で作業補助ユニットとその制御ユニットとの双方を搬送でき、一括した取扱いができる。
【0021】
なお、作業補助ユニット26としては、部品供給以外の機能を有するユニットを採用できる。例えば、交換用作業ツールTを作業ユニット24に供給するユニットを採用可能である。
【0022】
次に、台車4の構成について説明する。図3は台車4の斜視図であり、その基本的構成を示している。図4は作業補助ユニット26を搭載した台車4Dの斜視図であり、作業補助ユニット26の搭載態様を示している。また、図5は台車4の側面視図である。
【0023】
台車4は、台車本体41と、複数の車輪42と、距離変化機構43と、連結部材44と、当接部材45と、を備える。
【0024】
台車本体41は底部が開放した、有蓋無底の箱状をなし、その内部に空間を有した中空体である。台車本体41の上部は載置部411をなしている。本実施形態の場合、載置部411は台車本体41の天井部分を構成する板状の部材である。この載置部411には、上述した入出力ユニット25や作業補助ユニット26などの専用ユニットを設けることができ、上述した制御ユニットは台車本体41の内部の空間に収容することができる。載置部411は交換可能となっており、台車4B、4Cに示したように開口部4aが形成されたものを利用することもできる。この開口部4aを通して、台車本体41内部に収容される制御ユニットと載置部411の上面に取り付け固定される作業補助ユニット26の制御ユニットとを電気ケーブルにより接続をすることができる。台車本体41の四面の側部のうち、第1の面となる側部412は、装着状態において作業装置2の架台23に面する側部である。側部413は側部412に対向する第2の面(作業者が位置する側の面)となる側部である。
【0025】
複数の車輪42は台車本体41の底部に配置されたキャスタである。本実施形態では底部の四隅下方に1つずつ、合計で4つ設けられている。複数の車輪42を設けたことにより、作業者が手押しで台車4を移動させることができる。なお、台車4の側部413に、作業者が手押ししやすいように、把手などの把持部を設けても良い。
【0026】
距離変化機構43は、台車本体41と複数の車輪42との間に設けられ、台車本体41と複数の車輪42との上下方向の距離を変化させる。言い換えると、距離変化機構43は、載置部411及び後述する連結部材44における台車走行面からの高さを変化させる。図6及び図7は距離変化機構43の斜視図である。
【0027】
距離変化機構43は、ベース部431と、アーム部材432、433と、調節機構434と、を備える。ベース部431は板状をなしており、本実施形態の場合、台車本体41の底部における開口を塞ぐ部材としても機能する。
【0028】
アーム部材432は、一対の交差部4321と、支持部4322と、を備える。一対の交差部4321は互いに平行に延設され、それらの一端側は調節機構434を介してベース部431に係合している。ベース部431には、その上側に配置される調節機構434と、その下側に配置される交差部4321とを連結するための開口部431bが形成されている。支持部4322は、一対の交差部4321の他端側を架け渡すように設けられており、車輪42の取付部42aと係合して車輪42を支持する。
【0029】
アーム部材433は、アーム部材432と同様の構成をなしているが、その配置態様が互いに逆向きになっている。アーム部材433は、一対の交差部4331と、支持部4332と、を備える。一対の交差部4331は互いに平行に延設され、それらの一端側は軸支部材435を介して回動自在にベース部431に係合している。ベース部431には、交差部4321との干渉を回避する開口部431aが形成されている。支持部4332は、一対の交差部4331の他端側を架け渡すように設けられており、車輪42の取付部42aと係合して車輪42を支持する。
【0030】
アーム部材432とアーム部材433とは、交差部4321及び4331を交差させた状態で、それらの連結交差部において軸436を介して回動自在に連結されている。調節機構434は、軸436が配置された連結交差部におけるアーム部材432とアーム部材433との交差角度を調整する。アーム部材432とアーム部材433との交差角度によって、車輪42が床面に接触している場合、台車本体41が昇降する。これにより、台車本体41と複数の車輪42との上下方向の距離を変化させることができる。
【0031】
調節機構434は、アーム部材432の一端側をY方向に移動させる移動機構である。アーム部材433の一端側は軸支部材435を介してベース部431に係合しており、その位置は不変である。アーム部材432の一端側をY方向に移動させると、アーム部材433の一端側との距離が変化する。これによりアーム部材432とアーム部材433との交差角度を調節することができる。本実施形態では、アーム部材432の一端側を移動させる構成としたが、アーム部材432の一端側及びアーム部材433の一端側の少なくとも一方を、互いに接近離間する方向に移動させることができればよい。
【0032】
調節機構434は、回転軸4341と、変換機構4342と、可動部材4343と、を備える。回転軸4341は、一対の軸受部4344、4344により回転自在に支持されている。回転軸4341の一端にはハンドル4341aが設けられており、作業者はハンドル4341aを回転させることで回転軸4341を回転させることができる。回転軸4341及びハンドル4341aは側部413側に設けられているため、台車4を架台23に装着した状態であってもその操作空間が確保される。
【0033】
変換機構4342は、本実施形態の場合、回転軸4341の周面途中部位に設けられた雄ねじ(不図示)と、この雄ねじに螺合するナット4342aとを備えたねじ機構である。ナット4342aは、可動部材4343上で固定部材4343aにより回転不動に固定部材4343に固定されている。回転軸4341は定位置で軸支された状態で回転するので、その回転方向に応じてナット4342aがY方向に移動する。これにより可動部材4343がY方向に移動する。
【0034】
可動部材4343の両端部には、それぞれ、軸部材4343bを介してアーム部材432の交差部4321の一方端が回動自在に係合している。よって、可動部材4343がY方向に移動すると、交差部4321の一方端がY方向に移動する。こうして変換機構4342は、回転軸4341に入力される回転力をアーム部材432の一端側を変位させる変位力に変換し、その結果、アーム部材432とアーム部材433との交差角度を調整することができる。
【0035】
軸部材4343bにはローラ4343cが回転自在に装着されている。ローラ4343cはベース部431の一方面上(底面上)を転動して可動部材4343の移動を円滑なものとする。可動部材4343には、また、ローラ4343dが回転自在に装着されたローラ支持部材4343eが固定されている。ローラ4343dはベース部431の他方面上(表面上)を転動して可動部材4343の移動を円滑なものとする。
【0036】
図8は距離変化機構43によって、台車本体41と複数の車輪42との上下方向の距離を変化させた態様を示している。図8の左側は台車本体41が走行面FLから離間した上昇態様を示し、右側は台車本体41が走行面FLに接近した下降態様を示す。車輪42が接地している走行面FLは、例えば、工場の床面である。同図に示すように、アーム部材432とアーム部材433との交差角度を調整することで台車本体41を走行面FLに対して昇降することができる。距離変化機構43として、このようなシザース機構を用いることで比較的簡易な構成で、台車本体41と複数の車輪42との上下方向の距離を変化させることができる。なお、距離変化機構43の構成は、これに限られず、車輪42に対して台車本体41を昇降できる様々な機構を採用可能である。また、本実施形態では距離変化機構43を手動で動作させる構成としたが、モータ等のアクチュエータを用いて動作させる構成としてもよい。
【0037】
次に、図3及び図5を参照して連結部材44、当接部材45について説明する。これらは台車4と架台23との装着構造を構成している。
【0038】
連結部材44は台車本体41に設けられており、本実施例の場合、台車本体41の側部412に設けられたL字型の部材である。連結部材44は、台車本体41と架台23とを連結する連結部441を備える。連結部441は、水平方向に延設された板状をなしており、本実施形態の場合、台車本体41の載置部411よりも上方に位置し、かつ、台車本体41の側部412の外方(架台23側)へ突出している。
【0039】
連結部441は水平位置決め部4411を備える。水平位置決め部4411は架台23に対する台車4の水平方向の位置決めを行う。本実施形態の場合、水平位置決め部4411は、連結部441の中央部に形成された水平係合部4411aと、X方向に離間した複数の嵌合部4411bとを備える。水平係合部4411aは、連結部441の長辺縁から溝状に形成された切欠きである。嵌合部4411bは連結部441をZ方向に貫通した孔である。連結部441は、また、連結部441をZ方向に貫通した固定器具用の孔4412を複数備えている。連結部441の底面4413は架台23に着座する着座部を構成している。
【0040】
連結部441は、また、孔4412を2つ備える。この孔4412には、台車4と架台23とを固定するボルトが通過する。
【0041】
当接部材45は、側部412において連結部441よりも下方に位置しており、その表面が架台23に当接する当接部451を形成する。本実施形態の場合、当接部材45は板状をなしており、当接部451は後述する架台23の被当接部232に平行な平面(当接面)を構成している。本実施形態の場合、当接部材45はベース部431の端部に固定されており、その背面が側部412に密着する構成となっている。なお、本実施形態の場合、当接部451を台車本体41とは別部材の当接部材45により形成したが、台車本体41の側部412の一部を突出させて設け、その突出部を当接部451としてもよい。
【0042】
台車4の一部に当接部材45を固定する構造はどのような構造であってもよく、例えば、ボルト締結構造であってもよい。架台23に対する当接部451の当接状態によって、装着時における台車4の姿勢が左右される。そこで、当接部451には、架台23に対する装着時の台車4の傾き補正を行う傾き補正部を設けることが好ましい。傾き補正部は、当接部451の向きや、側部412からの突出量を調節可能なものであればどのようなものでもよく、簡易なものが好ましい。例えば、当接部材45と側部412との間に介在させるスペーサ(シム)等が挙げられる。本実施形態の場合は、予め当接部材45を台車4に一体的に溶接し構成した状態で機械加工によって一体的に面加工がなされ位置精度が設定されている。
【0043】
次に、連結部441、当接部451に対応する架台23側の装着構造について、図9を参照して説明する。同図は、一つの台車4が架台23から分離された状態を示している。架台23は、連結部441と連結される被連結部231と、当接部451が当接する被当接部232と、を備える。本実施形態の場合、被当接部232は全台車4に共通の一部材の構成としているが、台車4毎に設けてもよい。
【0044】
被連結部231は、水平な着座面231aと、水平位置決め部2311と、ねじ孔2312と、を備える。着座面231aには連結部441の底面4413が着座する。着座面231aは連結部441のZ方向の位置を規定する。これにより、台車4の架台23に対するZ方向の位置決めができる。水平位置決め部2311は、台車4の水平位置決め部4411とともに、連結部441が被連結部231の着座面231aに着座した場合に、互いの水平方向の位置決めを行う。
【0045】
水平位置決め部2311と水平位置決め部4411とは、互いに対応した構成となっている。具体的には、水平位置決め部2311は、水平係合部4411aに対応する水平ガイド部2311aと、嵌合部4411bに対応した嵌合部2311bを備える。
【0046】
水平ガイド部2311aはZ方向に突出した円柱状の部材であり、その外径は、水平係合部4411aの切欠きの幅に対応して設定されている。例えば、水平係合部4411aに形成される切欠きの幅(サイズ)は、水平ガイド部2311aの外周に係合しつつ移動可能な略同一の幅(サイズ)とされる。台車4を架台23に装着する際、水平ガイド部2311aに水平係合部4411aを位置合せし押し当てる(接近させる)ようにして係合させる。これにより、台車4を架台23に対して水平方向の所定の位置(装着位置)に案内することができ、台車4の架台23に対するY方向の位置決めができる。
【0047】
嵌合部2311bはZ方向に突出した円柱状の部材である。ただし、嵌合部2311bの突出量は水平ガイド部2311aよりも短くされている。嵌合部2311bは、X方向に離間して2つ設けられている。その離間距離は嵌合部4411bの離間距離と同じである。台車4を架台23に装着する際、嵌合部4411bには嵌合部2311bが挿入されることで、両者が嵌合される。これにより、台車4の架台23に対するX方向及びY方向の位置決めができる。
【0048】
ねじ孔2312は、連結部441の孔4412に対応して2つ設けられている。被当接部232は、被連結部231の下方に配置され、本実施形態の場合、垂直の被当接面(Z−X平面)をなしており、当接部451がY方向に当接する。
【0049】
次に、図9図14を参照して架台23に対する台車4の着脱方法について説明する。台車4の着脱は作業者が手動で行うことができる。ここでは図9に示す分離状態から台車4を架台23に装着する場合について説明する。まず、予め台車4を距離変化機構43によって、台車本体41が上昇した上昇態様(図8左側)にする(準備工程)。これにより、連結部441の底面4413が、嵌合部2311bよりも上方の位置となる。
【0050】
次に、架台23から台車4が離間した状態(図9の状態)から台車4を押して架台2の方向(Y方向)に移動する(移動工程)。このとき、水平ガイド部2311aに水平係合部4411aを合わせてガイドさせることで、台車4が装着位置に案内される。図10は台車4が装着位置に到達した状態を示す。このとき、連結部441は、被連結部231の着座面231aよりも高い位置に位置している。つまり、着座位置よりも高い位置に連結部441が位置している。
【0051】
次に、架台23の被連結部231に対する連結部441の水平方向の位置合せを行う(水平位置合わせ工程)。ここでは、嵌合部4411bと嵌合部2311bとが重なる位置に台車4の位置を調整する。既に水平ガイド部2311aに水平係合部4411aを押し当てていることから、台車4の水平方向の位置は概ね適切となっており、ここでの位置合わせは台車4の位置の微調整で足りる。
【0052】
次に、距離変化機構43を操作することによって、台車本体41を降下(台車本体41と車輪42とを接近)させ、連結部441を架台23の着座面231aに着座させる(着座工程)。このとき、嵌合部4411bに嵌合部2311bが挿入されることで、台車4の水平方向の位置決めが完了する。距離変化機構43を更に操作すると、連結部441が架台23の着座面231aに着座していることから、台車本体41が降下する代わりに、車輪42が走行面FLから浮いて台車4は非連結部231にぶら下がった状態(台車本体41と車輪42とが更に接近した状態)となり、当接部451が架台23の被当接部232に当接した当接状態となる(連結工程)。図11は着座工程及び連結工程における台車4の動作を示しており、破線は着座工程の開始時、実線は連結工程完了時を示している。
【0053】
台車本体41と複数の車輪42との上下方向の離間距離は、距離変化機構43によって図11の破線位置の場合の距離と、実線位置の場合の距離とに変化可能にそのストロークが設定されている。図11の破線位置の場合の離間距離は、複数の車輪42が走行面FLに接地した状態で連結部441が被連結部231よりも高くなる距離である。実線位置の場合の離間距離は、連結部441が被連結部231に着座した状態で複数の車輪42を走行面FLから浮かせる距離である。
【0054】
図12及び図13は台車4の装着が完了した状態を示す。本実施形態の場合、ボルト付きの固定ハンドル46を用い、そのボルト部分を連結部441の孔4412を通過させて被連結部231のねじ孔2312に締結している。
【0055】
これらの図に示すように、台車4が架台23に装着された装着状態(連結状態)においては、台車4は、その複数の車輪42が走行面FLから浮いた状態となっており、台車4は被連結部231にぶら下がった状態となる。しかし、当接部451が被当接部232に当接した当接状態にあるので、力学的に安定した状態となる。また、台車4の水平方向(X−Y方向)の位置決めは嵌合部4411bと嵌合部2311bとにより達成され、垂直方向(Z方向)の位置決めは着座面231aに対する連結部441の(底面4413の)着座により達成される。
【0056】
このように本実施形態では、装着状態において、複数の車輪42が走行面FLから浮いた状態にあるので、台車4と架台23とを連結する際に、台車4の位置決め精度が走行面FLに影響されない。また、台車4は、車輪42が走行面FLから浮いた状態にあるものの、当接部451が被当接部232に当接することで、台車4が力学的に安定した状態となり、架台2へ台車4が一体的に構成され作業装置2を構成することが可能となる。また、台車4と架台2との一体的な連結状態を維持するためのアクチュエータも不要である。
【0057】
台車4を架台23から分離する場合は、装着と逆の手順となる。つまり、固定ハンドル46を取り外した後、距離変化機構43を操作することによって、複数の車輪42を走行面FLに着地させ、その後更に距離変化機構43を操作することによって、台車本体41を上昇させて連結部441を架台23から分離する(連結解除工程)。図14は、装着状態の台車4と分離状態の台車4とを併記したものである。実質的に台車4の移動と距離変化機構43の操作のみで、簡便に台車4の着脱を行える。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限られず、様々な変形が可能である。特に、連結部441と被連結部231の構成や、当接部451と被当接部232の構成は様々な変形が可能である。
【0059】
例えば、連結部441は必ずしも台車本体41よりも高い位置にある必要はなく、被連結部231よりも高い位置に位置可能であれば、台車本体41の中程の高さに配置されていても構わない。また、連結部441は台車本体41の外方に突出している必要はなく、被連結部231が台車本体41の内部側に入り込めるように構成することで、連結部441が台車本体41の内部側に存在していてもよい。被連結部231に対する連結部441の着座態様も、面同士の当接である必要はなく、台車4を被連結部231に安定してぶら下げることができればどのような構成でもよい。また、当接部451と被当接部232との当接態様も面同士の当接に限定する必要はなく、点と面や凸型と凹型等であってもよい。
【0060】
また、作業システムAの配置場所の変更を行う場合でも、架台23と台車4とを分離させ、配置変更後、架台23と台車4とを再度連結させて作業装置2を形成することができる。このとき、架台23と台車4の位置関係は繰り返し同じ位置関係で構成することができるため、作業ユニット24と、台車4に設置される作業補助ユニット26との位置関係の再設定が不要である。この結果、容易に作業システムAの配置変更を行うことが可能になる。
【0061】
また、同じタイプの作業補助ユニット26が予め設置された台車4を予備として準備しておいてもよい。作業装置2に連結されている台車4の作業補助ユニット26が故障しても、その台車4を、予備の作業補助ユニット26が設置された別の台車4と交換することで、作業システムAの作業効率の低下を最小限に防止することが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14