特許第6080618号(P6080618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080618
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/04 20060101AFI20170206BHJP
   E06B 3/26 20060101ALN20170206BHJP
【FI】
   E06B1/04 Z
   !E06B3/26
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-44902(P2013-44902)
(22)【出願日】2013年3月7日
(65)【公開番号】特開2014-173277(P2014-173277A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】須藤 良平
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健治
【審査官】 小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−307572(JP,A)
【文献】 特開平09−296657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/04−1/52
E06B 3/16−3/26
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に障子を開閉自在に取り付けた建具であって、
建具構成枠材のホロー内に、補強部と支持部を備え、その補強部の一部に開口部を有した補強部材を、建具構成枠材のホローを形成する部品取付壁の内面に補強部を接して設け、
前記建具構成枠材のホロー内に、部品取付部と連結部を備えた部品取付部材を、その部品取付部が前記補強部の開口部から建具構成枠材の前記部品取付壁の内面に接して設け、
前記支持部と前記連結部を連結手段で連結して部品取付部材を補強部材で支持し、
前記建具構成枠材の部品取付壁の外面に部品を、当該部品及び部品取付壁の透孔を挿通した固着具を前記部品取付部に螺合することで取り付けたことを特徴とする建具。
【請求項2】
前記連結手段は、部品取付部材の連結部を補強部材の支持部に対して建具構成枠材の長手方向に移動可能に連結し、
前記固着具を弛めることで部品が建具構成枠材の長手方向に移動可能とした請求1記載の建具。
【請求項3】
前記建具構成枠材を樹脂製とし、前記補強部材及び部品取付部材を金属製とし、
前記部品と部品取付部を固着する固着具及び前記連結手段を金属製とした請求項1又は2記載の建具。
【請求項4】
前記補強部材の補強部は、前記建具構成枠材の部品取付壁の内面に接する部分と接しない部分を有し、その接しない部分に加熱膨張材を設けた請求項3記載の建具。
【請求項5】
前記補強部材の支持部と部品取付部材の連結部を連結する連結部分は、建具構成枠材の躯体取付片よりも屋内側寄りに位置している請求項3又は4記載の建具。
【請求項6】
前記建具構成枠材に、当該建具構成枠材の躯体取付片を補強する金属製の補強片を、前記補強部材に螺合した固着具で固着して取り付け、
前記補強片を固着具で建物躯体に固着した請求項3又は4又は5記載の建具。
【請求項7】
相対向した2つの第1枠と相対向した2つの第2枠を枠組みした枠体に、相対向した2つの第1框と相対向した2つの第2框を有した障子を設け、
前記各第2枠と各第2框とに亘ってステーをそれぞれ取り付けて障子を枠体に開閉自在に取り付け、
前記第2枠のホロー内に、補強部と支持部を備え、その補強部の一部に開口部を有した補強部材を、第2枠のホローを形成する部品取付壁の内面に補強部を接して設け、
前記第2枠のホロー内に、部品取付部と連結部を備えた部品取付部材を、その部品取付部が前記補強部の開口部から第2枠の前記部品取付壁の内面に接して設け、
前記支持部と前記連結部を連結手段で連結して部品取付部材を補強部材で支持し、
前記第2枠の部品取付壁の外面に前記ステーの枠体側固定板を、当該枠体側固定板及び部品取付壁の透孔を挿通した固着具を前記部品取付部に螺合することで取り付け、
前記連結手段は、部品取付部材の連結部を補強部材の支持部に対して第2枠の長手方向に移動可能に連結し、
前記固着具を弛めることで前記枠体側固定板が第2枠の長手方向に移動可能としたことを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦すべり出し窓、横すべり出し窓、外たおし窓、内たおし窓、外開き窓、内開き窓、引き違い窓等の枠体に障子を開閉自在に取り付けた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、枠体に障子を開閉自在に取り付けた建具として特許文献1に開示された縦すべり出し窓が提案されている。
この縦すべり出し窓は、枠体の上枠と障子の上框及び枠体の下枠と障子の下框に渡ってフリクションアーム(ステー)と呼ばれる部品をそれぞれ固着し、障子を枠体に開閉可能に支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3288018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の部品は、上枠、上框及び下枠、下框のホロー内に裏板を設け、固着具を部品の孔を通して各枠、框を貫通し裏板に螺合することで固着している。
このために、部品に負荷する荷重は各枠、框で支持することになるので、各枠、框を部品に負荷する荷重で変形等しない強度を有する大きなものとなる。
しかも、固着具を裏板に螺合することで各枠、框の部品取付部分に圧縮応力が集中的に負荷し、亀裂が生じるなどの破損する虞れがある。
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、枠、框などの建具構成枠材に部品を、その建具構成枠材を大きくせずに、建具構成枠材の部品取付部を破損することなしに取り付けできるようにした建具とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠体に障子を開閉自在に取り付けた建具であって、
建具構成枠材のホロー内に、補強部と支持部を備え、その補強部の一部に開口部を有した補強部材を、建具構成枠材のホローを形成する部品取付壁の内面に補強部を接して設け、
前記建具構成枠材のホロー内に、部品取付部と連結部を備えた部品取付部材を、その部品取付部が前記補強部の開口部から建具構成枠材の前記部品取付壁の内面に接して設け、
前記支持部と前記連結部を連結手段で連結して部品取付部材を補強部材で支持し、
前記建具構成枠材の部品取付壁の外面に部品を、当該部品及び部品取付壁の透孔を挿通した固着具を前記部品取付部に螺合することで取り付けたことを特徴とする建具である。
【0007】
本発明の建具においては、前記連結手段は、部品取付部材の連結部を補強部材の支持部に対して建具構成枠材の長手方向に移動可能に連結し、
前記固着具を弛めることで部品が建具構成枠材の長手方向に移動可能とすることができる。
このようにすれば、固着具を弛めることで部品取付部材とともに部品を建具構成枠材の長手方向に移動できるので、部品の取付位置を建具構成枠材の長手方向に調整できる、
【0008】
本発明の建具においては、前記建具構成枠材を樹脂製とし、前記補強部材及び部品取付部材を金属製とし、
前記部品と部品取付部を固着する固着具及び前記連結手段を金属製とすることができる。
このようにすれば、火災時等に建具構成枠材が溶融した際に、部品は部品取付部材を介して補強部材で支持されるので、部品が落下することがない。
【0009】
本発明の建具においては、前記補強部材の補強部は、前記建具構成枠材の部品取付壁の内面に接する部分と接しない部分を有し、その接しない部分に加熱膨張材を設けることができる。
このようにすれば、火災時等に加熱膨張材が膨張し、部品、部品取付部材、補強部材の周囲を膨張した加熱膨張材で取り囲むので、その部分を火炎が通ることがなく、防火性に優れる。
しかも、補強部は加熱膨張材以外の部分で部品取付壁の内面に接するので、加熱膨張材のために部品取付壁の補強効果が低減することがない。
【0010】
本発明の建具においては、前記補強部材の支持部と部品取付部材の連結部を連結する連結部分は、建具構成枠材の躯体取付片よりも屋内側寄りに位置するようにできる。
このようにすれば、火災時等に補強部材と部品取付部材の連結部分の熱影響が少なく、その連結部分の熱による損傷が抑制される。
【0011】
本発明の建具においては、前記建具構成枠材に、当該建具構成枠材の躯体取付片を補強する金属製の補強片を、前記補強部材に螺合した固着具で固着して取り付け、
前記補強片を固着具で建物躯体に固着することができる。
このようにすれば、建具構成枠材を建物躯体に強固に取り付けできる。
また、火災時等に建具構成枠材が溶融した際に、補強部材が補強片を介して建物躯体に支持されるので補強部材が建物躯体から外れることがない。
【0012】
本発明の建具は、相対向した2つの第1枠と相対向した2つの第2枠を枠組みした枠体に、相対向した2つの第1框と相対向した2つの第2框を有した障子を設け、
前記各第2枠と各第2框とに亘ってステーをそれぞれ取り付けて障子を枠体に開閉自在に取り付け、
前記第2枠のホロー内に、補強部と支持部を備え、その補強部の一部に開口部を有した補強部材を、第2枠のホローを形成する部品取付壁の内面に補強部を接して設け、
前記第2枠のホロー内に、部品取付部と連結部を備えた部品取付部材を、その部品取付部が前記補強部の開口部から第2枠の前記部品取付壁の内面に接して設け、
前記支持部と前記連結部を連結手段で連結して部品取付部材を補強部材で支持し、
前記第2枠の部品取付壁の外面に前記ステーの枠体側固定板を、当該枠体側固定板及び部品取付壁の透孔を挿通した固着具を前記部品取付部に螺合することで取り付け、
前記連結手段は、部品取付部材の連結部を補強部材の支持部に対して第2枠の長手方向に移動可能に連結し、
前記固着具を弛めることで前記枠体側固定板が第2枠の長手方向に移動可能としたことを特徴とする建具とすることができる。
このようにすれば、枠体に対して障子が傾いている場合に、部品取付部材を第2枠の長手方向に移動することで、障子を枠体と平行に取付調整できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建具構成材料が補強部材で補強されているから、部品取付壁に取り付けた部品に大きな荷重が負荷しても変形することがなく、建具構成枠材を大きくせずに部品を取り付けできる。
また、補強部材の補強部が部品取付壁の内面に接して補強しているから、部品取付壁の部品取付部分に圧縮応力が集中的に負荷しても破損することがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】建具である横すべり出し窓の内観図である。
図2図1の縦断面図である。
図3図1の横断面図である。
図4】ステーを取り付けた部分の拡大断面図である。
図5】補強部材と部品取付部材の斜視図である。
図6】補強部材に部品取付部材を取り付けた状態の斜視図である。
図7】補強部材を嵌合した縦枠の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、枠体1は、相対向した2つの第1枠である上枠10、下枠11と、相対向した2つの第2枠である左右の縦枠12を枠組みした方形状である。
障子2は、相対向した2つの第1框である上框20、下框21と、相対向した2つの第2框である左右の縦框22を框組みし、その内部にガラス等のパネル23が装着してある。
枠体1の左右の縦枠12と障子2の左右の縦框22とに渡って部品、例えばステー3をそれぞれ取り付け、このステー3で障子2を枠体1に開閉自在に支持し、横すべり出し窓としてある。
上枠10、下枠11、左右の縦枠12及び上框20、下框21、左右の縦框22が本発明の建具構成枠材である。
【0016】
図2図7に基づいて各枠を説明する。
なお、屋内側と屋外側との方向を見込み方向とし、屋内側を一側、屋外側を他側とすると共に、見込み方向と直角な方向を見付け方向として説明する。
【0017】
上枠10、下枠11、左右の縦枠12は図2図3に示すように、ホロー10a,11a,12a及び見付け方向に向かう躯体取付片10b,11b,12bを有した同一断面形状である。
各ホロー10a,11a,12aに補強部材4が長手方向の全長に渡ってそれぞれ挿入して設けてある。
上枠10の躯体取付片10bと縦枠12の躯体取付片12bに補強片10c,12cがそれぞれ添設してあり、この補強片10c,12cは補強部材4に固着具10d,12dでそれぞれ固着してある。
【0018】
上框20、下框21、左右の縦框22は図2図3に示すように、見込み方向に離隔して2つのホロー20a,21a,22aを有した同一断面形状である。
各ホロー20a,21a,22aに補強部材5が長手方向の全長に渡ってそれぞれ挿入して設けてある。
各補強部材5の長手方向端部同士が連結され、例えばコーナー金具で連結されて方形枠状としてあると共に、見込み方向に離れた補強部材5は連結プレート5aに固着具5bでそれぞれ固着されている。
【0019】
この実施の形態の上枠10、下枠11、縦枠12及び上框20、下框21、縦框22は樹脂製、例えば樹脂押出形材より成り、樹脂製の建具としてある。
補強部材4,5及び補強片10c,20cは金属製、例えばスチール製で、各枠、框を補強している。
【0020】
次に、ステー3の取り付けを説明する。
図4に示すように、ステー3の障子側固定板30を縦框22の部品取付壁、例えば、見込み方向に向かう見付け方向外側の外側壁22bに固着具31で固着して縦框22に取り付け、ステー3の枠体側固定板32を縦枠12の部品取付壁、例えばホロー12aを形成する見込み方向に向かう見付け方向内側の内側壁12eの外面に接し、金属製の固着具33、例えばねじで固着して縦枠12に取り付けてある。
【0021】
縦枠12のホロー12a内に設けた補強部材4は、図4図5図6に示すように、縦枠12のホロー12aを形成する内側壁12eの内面に接する見込み方向に向かう補強部40及び見付け方向に向かう支持部41を備えている。
【0022】
縦枠12のホロー12a内には金属製、例えばスチール製で、補強部材4の長さに比べて短い部品取付部材6が設けてある。
この部品取付部材6は補強部材4の補強部40の開口部42から縦枠12の内側壁12eの内面に接する部品取付部60と、連結部61を備え、連結部61を支持部41に金属製の連結手段7で連結することで、部品取付部材6を補強部材4で支持する。部品取付部材6はステー3の枠体側固定板32と相対向している。
【0023】
そして、固着具33を、ステー3の枠体側固定板32の孔を通し、内側壁12eの透孔を貫通して部品取付部材6の部品取付部60に螺合することで、枠体側固定板32を縦枠12の内側壁12eに取り付ける。
【0024】
このようであるから、ステー3の枠体側固定板32に負荷する荷重、この実施の形態では障子2の重量は、枠体12の内側壁12eで支持するが、その内側壁12e(つまり、縦枠12)は補強部材4で補強されているので、前述の荷重で変形等することがなく、縦枠12を必要以上に大きくする必要がない。
しかも、内側壁12eの枠体側固定板32を取り付けた取付部分に圧縮応力が集中的に負荷するが、その内側壁12eの内面に補強部材4の補強部40が接触して補強しているので、亀裂が生じるなどの破損することがない。
【0025】
また、縦枠12が樹脂製であるから、火災時などに縦枠12が溶融することがあるが、部品取付部材6は補強部材4に連結されているので、縦枠12が溶融した場合に枠体側固定板32(ステー3)は部品取付部材6を介して補強部材4で支持され、障子2が落下し、枠体1から外れることがない。
【0026】
図6に示すように、補強部材4の開口部42の上下寸法(長手方向の寸法)L1は、部品取付部材6の部品取付部60の上下寸法(長手方向の寸法)L2よりも長く、部品取付部材6は補強部材4に上下方向(長手方向)に上下方向の寸法差(L1−L2)だけ移動できるようにしてある。
【0027】
図5に示すように、連結手段7は段付きビス70と、補強部材4の支持部41に形成した上下方向に長孔となったビス挿通孔71と、部品取付部材6の連結部61に形成したねじ孔72を有し、図4に示すように、段付きビス70をビス挿通孔71を挿通してねじ孔72に螺合して段差部70aを連結部61に接し、かつビス頭部70bを支持部41に接して部品取付部材6を補強部材4に連結している。
【0028】
このようであるから、段付きビス70は部品取付部材6とともに補強部材4の支持部41の長孔であるビス挿通孔71に沿って上下に移動するから、部品取付部材6を補強部材4に対して上下方向に移動できる。
つまり、連結手段7は部品取付部材6を補強部材4に対して上下方向(長手方向)に移動可能に連結する構成ある。
【0029】
したがって、縦枠12の内側壁12eに形成した透孔を上下方向の長孔とすることで、固着具33を弛めた状態で部品取付部材6とともにステー3を上下に移動することができるから、建具の施工時に枠体1が建物躯体に垂直に対して斜めに取り付けられる等の影響で障子2が枠体1と平行に対して傾いた状態となる場合に、前述のようにして左右の縦枠12に対してステー3とともに障子2を上下に移動することで、障子2を枠体1と平行な状態に建付け調整できる。
【0030】
連結手段7は前述のものに限ることはなく、任意な構成とすることができる。
例えば、ビス挿通孔71を上下方向と左右方向に向かう十文字形状、段付きビス70の軸部よりも大径の孔とすることで、裏板6を上下方向のみならず、左右方向にも移動できる構成とする。
【0031】
次に、各部の詳細を説明する。
補強部材4は図5に示すように、見込み方向に向かい補強部40となる補強板43と、この補強板43の見込み方向一端部に設けた見付け方向に延びる支持部41となる支持板44と、補強板43の見込み方向他端寄りに設けた見付け方向に延びる補助板45と、支持板44の見付け方向端部に設けた見込み方向他端に延びる取付片46と、補助板45の見付け方向端部に設けた見込み方向他端に延びる支持片47とで、縦枠12のホロー12a内に嵌合する断面形状の長尺材である。
【0032】
すなわち、図4図7に示すように、補強部材4の補強板43が縦枠12の内側壁12eの内面に接し、支持板44が縦枠12のホロー12aを形成する見込み方向一側の一側壁12fの内面(突片12g)に接し、取付片46、支持片47が縦枠12のホロー12aを形成する見付け方向外側の外側壁12hの内面に接し、支持片47、補強板43の見込み方向他端の他端面が縦枠12のホロー12aを形成する見込み方向他側の他側壁12iの内面に接する。
【0033】
これにより、補強部材4は縦枠12のホロー12a内に、見込み方向、見付け方向に動くことがないように嵌合して支持される。
なお、図4では各部が離れて図示されているが、実際には図7に示すように接触している。
【0034】
補強部材4の見込み寸法(支持板44から支持片47の見込み方向他端面までの寸法)は縦枠12のホロー12aの見付け寸法(内側壁12eの内面と外側壁12hの内面との間寸法)よりも大きく、図4に示す状態から補強部材4を90°回転してホロー12a内に挿入できないようにしてある。
補強部材4の見付け方向内側の見込み寸法(補強板43の見込み寸法)は見付け方向外側の見込み寸法(取付板44から支持片47の見込み方向他端面までの寸法)よりも小さく、縦枠12のホロー12aの見付け方向内側の見込み寸法は見付け方向外側の見込み寸法より小さく、図4に示す状態から補強部材4を180°回転してホロー12a内に挿入できないようにしてある。
【0035】
このように、縦枠12のホロー12aの断面形状と補強部材4の断面形状は、補強部材4を図4に示すように補強板43が縦枠12の内側壁12eに接し、支持板44が縦枠12の一側壁12fに接する姿勢としてのみ嵌合するようにしてある。
したがって、縦枠12のホロー12aに補強部材4を誤った姿勢として嵌合することがない。
【0036】
補強板43の見込み方向一端寄り部分の長手方向一部分を切欠きし、その切欠き部43aで開口部42としてある。
補助板45の補強板43寄り部分に、補強板43の切欠き部43aと連続した切欠き部45aが形成してある。
補強板43の外面には突条43bが見込み方向に間隔を有して設けられ、突条43bが縦枠12の内側壁12eの内面に接する当接部で、補強板43の突条43b以外の部分と縦枠12の内側壁12eの内面との間に隙間を形成する。
そして、補強板43の突条43b以外の部分に加熱膨張材8が設けてある。加熱膨張材8は樹脂製、例えば硬質PVC樹脂製の縦枠12が溶融後に膨張するものである。
【0037】
このようであるから、火災時等に縦枠12が溶融すると共に、加熱膨張材8が膨張し、補強部材4、部品取付部材6、ステー3の部分を閉塞するので、その部分を火炎が通ることなく、防火性に優れる。
また、突条43bが縦枠12の内側壁12eの内面に接しているから、加熱膨張材8のために内側壁12eの補強効果が低減することがない。
【0038】
部品取付部材6は図5に示すように部品取付部60となる見込み方向に向かう部品取付板62と、連結部61となる見付け方向に向かう連結板63と、見込み方向に向かう板64とで断面コ字形状で、部品取付板62に固着具33が螺合するねじ孔65が形成されている。
【0039】
図6に示すように、部品取付部材6は補強部材4に、その補強板43の切欠き部43a、補助板45の切欠き部45aに部品取付板62が位置するように設けられ、連結手段7で補強部材4に連結されることで、部品取付板62の外面と補強板43の外面(突部43b)が面一となるように支持される。
【0040】
枠体1は図2図3に示すように躯体取付片10b,11b,12bを建物躯体9の屋外側面9aに固着具9bで固着して取り付けられる。
躯体取付片10b,12bは補強片10c,12cで補強されているから、上枠10、縦枠21を建物躯体9に強固に取り付けできる。
また、補強片10c,12cは躯体取付片10b,12bとともに固着具9bで建物躯体9に固着してあるので、火災時等に縦枠12が溶融した際に、補強部材4が補強片12cを介して建物躯体9に支持されるので補強部材4が建物躯体9から外れることがない。
なお、補強片10c,12cは躯体取付片10b,12bとは別の固着具で建物躯体9に固着しても良い。
【0041】
そして、図4に示すように補強部材4と部品取付部材6を連結する連結部分(連結手段7)は躯体取付片12bよりも屋内側に位置し、建物躯体9の屋外側面9aよりも屋内寄りである。
つまり、連結部分は縦枠12のホロー12a内における屋内側寄りである。
これにより、連結部分が屋外からの熱の影響を受け難く、火災時に補強部材4と部品取付部材6の連結部分の熱による損傷を抑制することができる。
【0042】
前述の実施の形態は横すべり出し窓であるが、ステー3を上枠10と上框20、下枠11と下框21とに渡って取り付けて縦すべり出し窓とすることができる。
この場合には部品取付部材6を上枠10のホロー10a、下枠11のホロー11bに設け、補強部材4と連結する。
つまり、左右の縦枠12が相対向した2つの第1枠で、上枠10と下枠11が相対向した2つの第2枠となると共に、左右の縦框22が相対向した2つの第1框で、上框20と下框21が相対向した2つの第2框となる。
【0043】
前述の各実施の形態ではステー3を部品としたが、蝶番、クレセントを部品として前述のように取り付けることができる。
例えば、外たおし窓、内たおし窓の場合には、蝶番の一側羽根を下枠に前述の実施の形態と同様に取り付けると共に、他側羽根を下框に取り付ける。
外開き窓、内開き窓の場合には、蝶番の一側羽根を縦枠に前述の実施の形態と同様に取り付けると共に、他側羽根を縦框に取り付ける。
引き違い窓の場合には、障子の縦框にクレセントを前述の実施の形態のように取り付ける。
【0044】
前述の各実施の形態では、各枠、框を樹脂製としたが、アルミ製としても良い。
【符号の説明】
【0045】
1…枠体、2…障子、3…ステー、4…補強部材、6…部品取付部材、7…連結手段、8…加熱膨張材、9…建物躯体、9a…屋外側面、12a…ホロー、12e…内側壁(部品取付壁)、32…枠体側固定板、33…固着具、40…補強部、41…支持部、42…開口部、60…部品取付部、61…連結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7