(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記整流部材は、上流側筒部材と下流側筒部材とを有し、これら上流側筒部材と下流側筒部材とがヒンジ結合されており、風向を変更できるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
前記整流部材は、少なくとも一面が波型に形成されていてその稜線が前記筒状の軸線方向に平行となるように配置されているとともに、前記筒状の内部が前記稜線に沿って平行な隔壁にて画成されていることを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示実施形態に基づき本発明を例に説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、各図において、同一の構成には同一の符号を付している。
【0010】
実施形態1.
[加熱調理器の構成]
まず、本発明が適用される加熱調理器の構成について
図8及び
図9に基づき説明する。
図8は本発明が適用される加熱調理器の扉開放状態を示す側面視の断面図である。
図9は本発明が適用される加熱調理器の扉開放状態を示す斜視図である。
図8及び
図9において、加熱調理器100は、食材等の被加熱物を収容する調理室20を内部に有し、被加熱物を出し入れするための前面開口部20aが設けられている。この調理室20の前面開口部20aは、扉21によって開閉自在に覆われる。調理室20の上には吸引ダクト30が設けられ、調理室20の背面にはコンベクションユニット40が設けられている。調理室20、吸引ダクト30、及びコンベクションユニット40は互いに連通している。また、コンベクションユニット40には、調理室20内の空気を排気する調理室排気ダクト41が設けられている。調理室20の内部の下方には、被加熱物から滴下する油又は汁を受けるための受皿23が出し入れ自在に収容されている。受皿23は、開扉時に左右レール14の可動レール14bと共に調理室20内から引き出されるようになっている。
【0011】
これを更に詳述する。加熱調理器100は、
図8及び
図9のように基本的に直方体の外形を有する。加熱調理器100の外郭のうち、天面を構成する部分を上壁201、左右両側の壁を側壁202、前面開口部20aと対向する壁を後壁203と称する。これら上壁201、側壁202、後壁203は、調理室20の上壁、側壁、後壁を構成するものであるため、以後、調理室20の上壁、側壁、後壁も同一符号を用いて説明する。調理室20の内部の上方には、調理室20内を上方から加熱する加熱手段である上ヒーター22が設けられている。本発明の実施形態1の上ヒーター22は、抵抗発熱体であるシーズヒーターである。この上ヒーター22は、幅方向及び奥行き方向に複数回折り曲げられた形状を有しており、調理室20内の幅方向及び奥行き方向において広範囲に加熱することができる。上ヒーター22は、電子回路基板(図示せず)に配線接続され、上ヒーター22の加熱の有無又は加熱量は、制御手段によって制御される。
【0012】
なお、ここでは、調理室20内を上方から加熱する加熱手段としてシーズヒーターからなる上ヒーター22を設ける例を示したが、シーズヒーターに代えて、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター、又はカーボンヒーターを用いてもよい。また、調理室20内に上ヒーター22を設けるのではなく、調理室20の上壁201の上側にフラットヒーター又は誘導加熱コイルを設け、これらによって調理室20の上壁201を加熱してもよい。調理室20内の被加熱物を、放射又は空気の熱伝達で上方から加熱できる手段であれば、上ヒーター22として任意の構成を採用することができる。
【0013】
調理室20の内部の側壁202の下部には、
図8及び
図9のように扉21を案内する左右レール14がそれぞれ設けられている。左右レール14は、いずれも側壁202に固定された固定レール14aと、これら固定レール14aにそれぞれ案内されてスライド自在な可動レール14bとを備えている。可動レール14bには、
図9のように受皿23の両側フランジ部23aが支持されるとともに、可動レール14bの先端には、フック14cが設けられ、フック14cに扉21が着脱自在に取り付けられている。したがって、扉21の開放時には、扉21と共に可動レール14bが引き出され、可動レール14bと共に受皿23も引き出されるようになっている。
【0014】
受皿23の上には、被加熱物が載置される調理台としての調理網24が、出し入れ自在に載置されている。調理網24の載置面241は、例えば左右方向に延びる棒状のステンレス鋼を複数並べて構成された、いわゆるストレートタイプの焼網で構成されている。調理網24の素材は、耐熱性のある素材で調理に適した毒性のない素材であればステンレス鋼以外でもよく、また、素材の表面に非粘着性又は防汚性を備えた無機セラミックコーティング剤等を塗布してもよい。また、調理網24は、受皿23上に起立する脚部242を有する。調理網24の載置面241と受皿23との間には、脚部242の高さ分の通風空間50が形成されている。なお、調理網24の載置面241の形状は図示のものに限定されず、格子状の焼網、前後方向に延びる棒状部材を備えた焼網、パンチングメタル等、任意のものを採用することができる。いずれを採用するにせよ、調理網24の載置面241の下側の通風空間50には、後述するようにコンベクションユニット40から供給される加熱空気(コンベクションユニット40から供給される加熱空気を熱気と称する場合がある)が流れるので、この熱気と被加熱物の下面とが接触できるようにするために、調理網24の載置面241は、開口のない平板形状ではなく、空気が流通できる開口が形成されているものとする。
【0015】
図1は本発明の実施形態1に係る加熱調理器を示す側面視の断面図である。
調理室20の後壁203には、
図1のように背面吸込口25と、この背面吸込口25よりも低い位置に設けられた吹出口26とが開口し、吹出口26に整流部材61が設けられている。調理室20は、背面吸込口25及び吹出口26を介して、コンベクションユニット40の内部と連通している。背面吸込口25は、吸引ダクト30を介して吸引される調理室20内の空気を、コンベクションユニット40に流入させるための開口部である。
【0016】
吹出口26は、コンベクションユニット40から送られる熱気を調理室20内に吹き出すための開口部である。吹出口26は、例えば複数のパンチング穴で形成されており、これら複数のパンチング穴から調理室20内に吹き出された熱気によって、被加熱物が加熱される。
【0017】
整流部材61は、吹出口26から吹き出される加熱空気を下方、つまり通風空間50に向かわせるものである。整流部材61は、先端側(下流側)が下方へ傾斜する筒状に形成され、ここでは後壁203の吹出口26の形成部に固定されている。一方、受皿23の周壁における吹出口26と対向する部位には、整流部材61が通過できる切欠き部23bが形成され、受皿23の出し入れ時に、受皿23と整流部材61とが干渉しないようになっている。
【0018】
扉21の下部には、調理室20内と連通する吸気用開口部29が設けられている。吸気用開口部29は、調理室排気ダクト41を経て排気される調理室20内の空気量に相当する量の空気を、調理室20内に補うためのものである。吸気用開口部29は、扉21の下部であって前面から使用者が扉21を見たときに扉21の把手21aによって隠れる位置に、設けられている(
図1及び
図9)。このようにすることで、吸気用開口部29が使用者に視認されにくく、意匠性がよい。
【0019】
[吸引ダクト30の構成]
図1、
図8及び
図9を参照して、吸引ダクト30の構成を説明する。
吸引ダクト30は、調理室20内の空気を、コンベクションユニット40内に導くための通風路であり、大まかには上面ダクト31と背面ダクト32とによって構成されている。上面ダクト31は、調理室20の上壁201の上に設けられており、上壁201の手前側から奥側に向かって延びる略直線状の通風路を内部に形成する。上面ダクト31の下面は、調理室20の上壁201によって構成されている。上壁201の手前側には、上面ダクト31への空気の流入口となる上面吸込口27が開口しており、上壁201の奥側には、上面ダクト31からの空気の流出口となる連通口28が開口している。上面吸込口27は、調理室20の奥行き方向中央に開口している。上面ダクト31の一端側に設けられた上面吸込口27から上面ダクト31内に流入した空気は、上面ダクト31の他端側に設けられた連通口28を通って背面ダクト32に流入する。
【0020】
背面ダクト32は、調理室20の上壁201に設けられた連通口28と、後壁203に設けられた背面吸込口25とを結ぶ通風路である。背面ダクト32は、後壁203と背面ダクト32内部との間に通風路を形成する。背面ダクト32は、下方から上方に向かって調理室20の内部方向(前面方向)に突出するように傾斜した傾斜面を有する背面ダクト前壁321と、この背面ダクト前壁321の側端部から背面側に向かって延び後壁203に接続される背面ダクト側壁322とを備えている。背面ダクト32の上端において後壁203との間に形成される開口部は、上壁201に設けられた連通口28に接続される。上面ダクト31と背面ダクト32とによって、上面吸込口27から連通口28を経て背面吸込口25に至る通風路が形成される。
【0021】
背面吸込口25の周囲の後壁203であって、背面ダクト32と対向する部分は、後方に向かって凹んでいる。この凹んだ部分を凹部204と称する。背面ダクト32内の後壁203に凹部204が形成され、背面ダクト32と後壁203(凹部204)との間の空間の容積が拡大されている。
【0022】
上面ダクト31の入口である上面吸込口27には、
図8のように触媒体33が設けられている(
図1には図示せず)。触媒体33は、通風できる小孔を有しており、調理室20から上面ダクト31内に流入する空気に含まれる汚染物質の少なくとも一部を吸着して酸化分解し、空気の清浄度を高める機能を発揮する。なお、触媒体33は、
図8に示すように上壁201の下面に取り付けられていてもよいし、上面ダクト31の内部に一部又は全部が挿入されていてもよい。
【0023】
触媒体33には、酸化触媒が添着されており、上ヒーター22によって加熱され触媒活性を得て、空気が通過するときに油煙又は臭気成分等の物質を吸着して酸化分解を行い、空気を浄化する。触媒体33に添着される酸化触媒としては、白金、パラジウム、マンガン等のいずれかまたはすべてを含んだものが用いられる。低温活性の白金又はマンガンを含む触媒を用いることで、高い浄化性能を得ることができる。
【0024】
触媒体33は、上壁201に設けられた上面吸込口27内に設置されており、上ヒーター22によって加熱される。上ヒーター22によって触媒体33の温度を高めることで、触媒体33での汚染物の分解に係る化学反応速度が速まり、多くの汚染物質が除去され、排気の清浄度を高めることができる。上ヒーター22によって触媒体33を加熱することができるので、触媒体33を加熱するための専用の加熱手段を設ける必要もない。ここでは、上から見たときに触媒体33と上ヒーター22の少なくとも一部が重なるようにし、触媒体33と上ヒーター22とを近接配置しているので、触媒体33が上ヒーター22からの放射熱を受けることができる。なお、触媒体33の触媒活性を得ることができるように触媒体33及び上ヒーター22の配置を決定すればよい。
【0025】
[コンベクションユニット40の構成]
図1、
図8及び
図9を参照して、コンベクションユニット40の構成を説明する。
コンベクションユニット40は、調理室20内の空気を吸い込んで加熱し、加熱した空気を再び調理室20に供給するためのものである。コンベクションユニット40は、内部に収容空間を有する加熱室42と、加熱室42内に収容されるコンベクションファン43及びコンベクションヒーター44と、コンベクションファン43を回転させるモーター45と、加熱室42の後方に設けられモーター45を収容するモーター収容ケース46とを備える。加熱室42を構成する加熱室後壁421の上部には、調理室排気ダクト41が接続されている。加熱室42の内部と調理室排気ダクト41は連通している。
【0026】
加熱室42は、調理室20の後壁203に設けられた吹出口26を、後壁203の背面側から覆っている。すなわち、加熱室42の内部に、吹出口26を構成する複数のパンチング穴のすべてが配置されている。
【0027】
コンベクションファン43は、遠心ファンであり、モーター45の回転軸と固定され、モーター45の動作によって回転する。コンベクションファン43は、空気を吸引する中央部分が、調理室20の後壁203に設けられた背面吸込口25に対面するようにして、加熱室42内に配置されている。コンベクションファン43が回転すると、その中央部から空気が吸引され、吸引された空気は羽根の外周部から送出される。モーター45とコンベクションファン43は、吸引ダクト30を介して吸い込んだ調理室20内の空気を、吹出口26を介して調理室20へ送る送風手段として機能する。
【0028】
モーター45は、DCモーター又は誘導モーターである。モーター45は、回転軸が後から前に向かって略水平の向きになるように設置されており、モーター45の回転軸には、加熱室42内に設けられたコンベクションファン43が取り付けられている。すなわち、コンベクションファン43は、調理室20の背面側に配置されて、調理室20の後壁203と対向する垂直面内で回転する。調理室20内における加熱調理動作中は、モーター45の回転の有無又は回転数等が制御手段によって制御される。
【0029】
コンベクションヒーター44は、加熱室42内を加熱することで、コンベクションファン43によって吸引された調理室20からの空気を再加熱するための再加熱手段である。上面吸込口27から吹出口26に至る風路が短ければ、加熱空気の温度低下が抑えられるので不要とすることができる。ここでは、風路が長いためコンベクションヒーター44を用いている。コンベクションヒーター44は、
図1及び
図8に示すように、シーズヒーターで構成されており、加熱室42内のコンベクションファン43の周りに設けられている。
【0030】
コンベクションヒーター44は、電子回路基板(図示せず)に配線接続され、コンベクションヒーター44の加熱の有無又は加熱量は、制御手段によって制御される。なお、ここでは、コンベクションヒーター44としてシーズヒーターを用いる例を示すが、セラミックヒーター、ニクロム線ヒーター、ハロゲンランプヒーター、カーボンヒーター等のガラス管ヒーターを用いてもよい。
【0031】
[加熱調理器の動作]
次に、本発明の実施形態1に係る加熱調理器100の動作を
図1に基づき
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、
図1では、空気の流れを矢印で概念的に示している。
使用者が調理室20内の調理網24の上に被加熱物を載置して扉21を閉じ、操作部(図示せず)を操作して加熱条件の設定を行うと、制御手段は、設定内容に応じた制御シーケンスで、調理室20内における加熱制御を開始する。具体的には、制御手段は、調理室20及び加熱室42内にそれぞれ設けられた図示しない温度検知センサの検知温度、及び操作部によって設定された設定条件に基づき、上ヒーター22、コンベクションヒーター44、及びモーター45を動作させる。
【0032】
上ヒーター22が加熱を開始すると、上ヒーター22の放射熱によって、調理網24に載置された被加熱物の上面が主に加熱される。
【0033】
また、コンベクションヒーター44が加熱を開始すると、コンベクションヒーター44の放射熱によって、加熱室42内の空気が加熱される。
そして、モーター45の動作によってコンベクションファン43が回転すると、コンベクションファン43に対向して開口している背面吸込口25に吸引力が生じる。そうすると、背面吸込口25と背面ダクト32及び上面ダクト31を介して連通する上面吸込口27に吸引力が生じ、調理室20内の空気が上面吸込口27から上面ダクト31内へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれる調理室20内の空気は、上ヒーター22の周りを通過する際に、上ヒーター22の放射熱によって加熱される。また、上面吸込口27に吸い込まれる空気は、触媒体33を通過する際に煙及び油煙が浄化され、また酸化分解の反応熱でさらに加熱される。また、上面ダクト31内を流れる空気は、上面ダクト31の下面を構成する調理室20の上壁201からの伝熱によってさらに加熱される。
【0034】
上面ダクト31内を流れる空気は、連通口28を通って背面ダクト32に流入する。背面ダクト32の背面ダクト前壁321は、その上部が調理室20の内部に向かって傾斜しており、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分は鈍角であるので、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が低減され、スムースに空気が流れる。
なお、背面ダクト前壁321の傾斜角度を大きくすると、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における流路の曲がりが小さくなって圧力損失を低減することができる一方で、調理室20内の容積が縮小されて調理室20内に収容できる被加熱物の大きさが制限される。また、背面ダクト前壁321の傾斜角度を小さくすると、調理室20内の容積を拡大することができる一方で、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失が相対的に大きくなる。このため、上面ダクト31と背面ダクト32との接続部分における圧力損失と、調理室20内の容積とを考慮して、背面ダクト前壁321の傾斜角度を設定するのがよい。
【0035】
背面ダクト32に流入した空気は背面吸込口25を通って加熱室42内に流入する。背面吸込口25の周囲の後壁203に凹部204を形成して、背面ダクト32内の容積を拡大しているので、背面吸込口25に空気を吸い込みやすい。
背面吸込口25から加熱室42内に流入した空気は、コンベクションファン43の回転中心に吸い込まれ、コンベクションファン43の羽根の外周へと送出される。
【0036】
コンベクションファン43から遠心方向に送出された空気は、コンベクションヒーター44の周りを通り、コンベクションヒーター44によって加熱される。コンベクションヒーター44によって加熱された空気は、吹出口26から、調理室20内へと吹き出される。
【0037】
吹出口26から吹き出された熱気は、吹出口26に設けられた整流部材61に案内されて下方、つまり調理網24の載置面241と受皿23との間の通風空間50に向かい、通風空間50内を扉21側に向かって流れる気流となる。調理網24の載置面241の下側を流れる気流は、調理網24の載置面241に載置された被加熱物の下面を主に加熱する。
【0038】
調理網24の載置面241の下側を扉21側に向かって流れる気流は、扉21に到達すると、扉21によって上方に向きを曲げられ、上面吸込口27に生じる吸引力によって上面吸込口27へと吸い込まれる。上面吸込口27に吸い込まれた空気は、上面ダクト31及び背面ダクト32を通って加熱室42に流入し、加熱室42内のコンベクションファン43によって吹出口26から調理室20内に吹き出される。このように、調理室20内の空気は、上ヒーター22からの放射熱、触媒体33の反応熱、上ヒーター22によって加熱された調理室20の上壁201からの伝熱、及びコンベクションヒーター44によって加熱され、調理室20内の被加熱物を加熱する。
【0039】
また、加熱室42内でコンベクションファン43によって送出された空気の一部は、調理室排気ダクト41を経て、加熱調理器100の外部に排気される。調理室排気ダクト41から排気された調理室20内の空気に相当する量の空気は、扉21と調理室20との隙間g(
図1)又は吸気用開口部29から調理室20内に供給される。なお、ここでは、吸気用開口部29を扉21の下部に設けているが、吸気用開口部29を扉21の上部に設けてもよい。このようにすることで、調理網24の載置面241の下側を流れる気流は、吸気用開口部29から調理室20内に供給される空気によって流れを乱されにくいので、扉21側に向かってまっすぐに流れやすい。したがって、調理網24の載置面241に載置される被加熱物の下面の加熱ムラを抑制することができる。
【0040】
使用者が操作部を操作して調理室20における加熱停止を指示すると、あるいは予め定められた加熱時間が経過すると、制御手段は、調理室20における加熱動作を停止させる。
【0041】
[実施形態1の効果]
以上のように本発明の実施形態1では、コンベクション調理ができる加熱調理器において、コンベクションヒーター44によって再加熱された空気の吹出口26に、風の流れを少なくとも下方に向かわせる筒状の整流部材61を設けた。このため、吹出口26から吹き出された加熱空気を筒状の整流部材61によって下方に向かわせることができ、吹出口26から吹き出された直後の加熱空気が上方に位置する上面吸込口27に還流して吸い込まれるショートサーキットを防ぐことができる。そのため、吹出口26から吹き出された加熱空気を安定した風路で巡回させることができて、効率の良いコンベクション調理を行うことができる。
【0042】
実施形態2.
図2は本発明の実施形態2に係る加熱調理器の整流部材を示すもので、(a)はその整流部材の斜視図、(b)はその整流部材と受皿との関係を示す側面視の断面図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。なお、説明にあたっては、
図1、
図8及び
図9を参照するものとする。
本発明の実施形態2に係る加熱調理器100は、
図2のように整流部材62が筒状に形成されて受皿23に取り付けられており、調理室20内へ受皿23が設置された状態で吹出口26に対向しセットされる。
【0043】
これを更に詳述すると、整流部材62は、側面視で山形に形成された上流側筒部62aと下流側筒部62bとを有している。整流部材62は、上流側筒部62aが水平向き、下流側筒部62bが下方向へ傾斜する向きとなるような姿勢で、受皿23の周壁における吹出口26と対向する部位に形成した切欠き部23bのエッジに固定されている。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0044】
[実施形態2の効果]
本発明の実施形態2に係る加熱調理器100においては、調理室20内に出し入れされる受皿23に整流部材62を一体に取り付けたので、受皿23の出し入れ時に整流部材62が邪魔にならない。また、吹出口26から吹き出された加熱空気を山形筒状の整流部材62によって下方に向かわせることができ、安定した風路で巡回させることができて、効率の良いコンベクション調理を行うことができる。
【0045】
実施形態3.
図3は本発明の実施形態3に係る加熱調理器の整流部材を示すもので、(a)はその整流部材の斜視図、(b)はその整流部材と可動レールとの関係を示す側面視の断面図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。なお、ここでも説明にあたっては、
図1、
図8及び
図9を参照するものとする。
本発明の実施形態3に係る加熱調理器100は、
図3のように整流部材63が筒状に形成されて調理室20の両側の可動レール14bの後端間にブラケット71を介して着脱自在に取り付けられ、扉21を閉じた状態で整流部材63が吹出口26に対向しセットされる。
【0046】
これを更に詳述すると、整流部材63は、側面視で山形に形成された上流側筒部63aと下流側筒部63bとを有している。整流部材63は、上流側筒部63aが水平向き、下流側筒部63bが下方向へ傾斜する向きとなるような姿勢で、ブラケット71に固定されている。ブラケット71には、その両端にそれぞれフック71aが形成され、これらフック71aが調理室20両側の可動レール14bと係合できるようになっている。なお、ここでも受皿23の周壁における吹出口26と対向する部位には、整流部材63が通過できる切欠き部23bが形成され、受皿23の出し入れ時に、受皿23と整流部材63とが干渉しないようになっている。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0047】
[実施形態3の効果]
本発明の実施形態3に係る加熱調理器100においては、整流部材63を可動レール14bから取り外して洗うことができるので、手入れが簡単である。また、吹出口26から吹き出された加熱空気を山形筒状の整流部材62によって下方に向かわせることができるため、吹出口26から吹き出された加熱空気を安定した風路で巡回させることができて、効率の良いコンベクション調理を行うことができる。
【0048】
実施形態4.
図4は本発明の実施形態4に係る加熱調理器を示す側面視の断面図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。
本発明の実施形態4に係る加熱調理器100は、
図4のように整流部材64をよろい戸状に形成したものである。なお、このよろい戸状の整流部材64は、調理室20の後壁203に一体成型してもよいし、別部材で構成して後壁203の吹出口26の形成部に固定してもよいものである。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0049】
[実施形態4の効果]
本発明の実施形態4に係る加熱調理器100においては、整流部材64を調理室20の後壁203に一体化しているので、セットする手間を省くことができる。また、吹出口26から吹き出された加熱空気をよろい戸状の整流部材64によって下方に向かわせることができるため、吹出口26から吹き出された加熱空気を安定した風路で巡回させることができて、効率の良いコンベクション調理を行うことができる。
【0050】
実施形態5.
図5は本発明の実施形態5に係る加熱調理器の整流部材を示すもので、(a)はその整流部材の斜視図、(b)はその整流部材の風向変更時の3態様を示す模式図、(c)はその整流部材と受皿との関係を示す側面視の断面図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。
本発明の実施形態5に係る加熱調理器100は、
図5(a)のように整流部材65が上流側筒部材65aと下流側筒部材65bとに分割構成され、これら上流側筒部材65aと下流側筒部材65bとがヒンジ65cによって結合され、風向を変更できるようになっている。
【0051】
これを更に詳述すると、整流部材65は、
図5(b)のように上流側筒部材65aと下流側筒部材65bとの連結部が金属製の蛇腹(ブーツ)65dで覆われており、連結部からの空気漏れを防止している。整流部材65は、上下方向に風向を変えられるように上流側筒部材65aと下流側筒部材65bとがヒンジ結合されており、上吹き、水平吹き、下吹きのように風向を自在に変更できる。整流部材65は、上流側筒部材65aが
図5(c)のように受皿23の周壁における吹出口26と対向する部位に形成した切欠き部23bのエッジに固定されている。整流部材65は、調理室20内へ受皿23が設置された状態で吹出口26に対向しセットされる。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0052】
本発明の実施形態5に係る加熱調理器100において、通常熱気循環させたい場合には、整流部材65の下流側筒部材65bの向きを下吹きあるいは水平吹きとする。また、調理物(例えば魚)の裏側に強く焼き目を付けたい場合には、整流部材65の下流側筒部材65bの向きを上吹きとして、加熱空気を直接調理物に当てる。
【0053】
[実施形態5の効果]
このように、本発明の実施形態5に係る加熱調理器100においては、整流部材65によって上下方向に風向を変えることができるので、調理内容に合わせてユーザーが好みの焼き加減にすることができる。
【0054】
なお、ここでは整流部材65を受皿23に取り付けたものを例に挙げて説明したが、この整流部材65は前述の実施形態1,3にも適用できる。つまり、整流部材65は、
図1のように調理室20の後壁203の吹出口26の形成部に固定してもよいし、
図3のように調理室20両側の可動レール14bの後端間にブラケット71を介して取り付けてもよいものである。
【0055】
実施形態6.
図6は本発明の実施形態6に係る加熱調理器の整流部材の斜視図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。なお、ここでも説明にあたっては、
図1、
図8及び
図9を参照するものとする。
本発明の実施形態6に係る加熱調理器100は、
図6のように整流部材66が、側面視で山形に形成された上流側筒部66aと下流側筒部66bとを有し、これら上流側筒部66aと下流側筒部66bのそれぞれの上面が波型66cに形成されている。整流部材66は、波型66cの稜線が筒部の軸線方向に平行となるように配置される。また、整流部材66は、上流側筒部66aと下流側筒部66bの内部が前記稜線に沿って平行な隔壁66dにて画成されている。なお、ここでは波型66cを上流側筒部66aと下流側筒部66bのそれぞれの上面に形成しているが、この波型66cは、上流側筒部66aと下流側筒部66bのそれぞれの下面に形成してもよく、あるいは上下両面に形成してもよいものである。この整流部材66は、前述の実施形態1〜3に適用できる。つまり、整流部材66は、
図1のように調理室20の後壁203の吹出口26の形成部に固定してもよいし、
図2のように受皿23に取り付けてもよいし、
図3のように調理室20の両側の可動レール14bの後端間にブラケット71を介して取り付けてもよいものである。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0056】
一般に加熱調理器において、吹出口26が例えば複数のパンチング穴で形成されている場合、パンチング穴から出た風は、そのまま放出されると乱流となり、遠くまで送り込めなくなる。ストレートに放出されるように案内することで、整流された風が遠くまで流れ、効率よく風を流すことができる。
【0057】
[実施形態6の効果]
本発明の実施形態6に係る加熱調理器100においては、整流部材66が、上流側筒部66aと下流側筒部66bとで構成されている。そして上流側筒部66aと下流側筒部66bのそれぞれの上面が波型66cに形成されていてその稜線が筒部の軸線方向に平行となるように配置されているとともに、整流部材66の筒状の内部が、前記稜線に沿って平行な隔壁66dにて画成されている。したがって、吹出口26が複数のパンチング穴で形成されていても、パンチング穴から吹き出された加熱空気を、波型66cの上面と隔壁66dにて囲まれた複数の風路によってストレートに放出されるように案内することができる。そのため、吹出口26から吹き出された加熱空気を遠くまで流すことができ、安定した風路で巡回させることができて、効率の良いコンベクション調理を行うことができる。
【0058】
実施形態7.
図7は本発明の実施形態7に係る加熱調理器の整流部材の斜視図である。図中、前述の実施形態1と同一部分には同一符号を付してある。なお、ここでも説明にあたっては、
図1、
図8及び
図9を参照するものとする。
本発明の実施形態7に係る加熱調理器100は、
図7のように整流部材67が、風向の異なる複数の筒部で構成されているものである。
【0059】
これを更に詳述すると、整流部材67は、水平吹き風路を形成する水平筒部67aと、水平筒部67aの基端側(上流側)から分岐し先端側(下流側)が下方へ傾斜して下吹き風路を形成する下向き筒部67bとを有している。下向き筒部67bは、水平筒部67aよりも短尺に設定されている。なお、この整流部材67は、前述の実施形態1〜3に適用できる。つまり、整流部材67は、
図1のように調理室20の後壁203の吹出口26の形成部に固定してもよいし、
図2のように受皿23に取り付けてもよいし、
図3のように調理室20両側の可動レール14bの後端間にブラケット71を介して取り付けてもよいものである。それ以外の構成は実施形態1のものと同様である。
【0060】
[実施形態7の効果]
本発明の実施形態7に係る加熱調理器100においては、整流部材67が、水平吹き風路を形成する水平筒部67aと、下吹き風路を形成する下向き筒部67bとで構成されている。したがって、吹出口26から吹き出された加熱空気を調理室20内の手前側と奥側に分流させて送り出すことができる。そのため、調理室20内の温度をムラ無く、安定して上げることができる。