(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第2の踏み面よりも上記目標場所に近い高さに存在する第3の踏み面に第3のジャッキ装置を設置し、上記第3のジャッキ装置に第3の受け台を載せる追加移動先台準備工程、
上記第2の上下移動工程において上記第2の受け台及び上記第3の受け台のそれぞれの位置の高さを合わせた後、上記第2の受け台から上記第3の受け台へ上記重量物を移動させる追加受け台間移動工程、及び
上記第3の受け台に上記重量物を載せた状態で、上記第3のジャッキ装置を操作して上記目標場所の高さに近づく方向へ上記第3の受け台を移動させる追加上下移動工程
を備えている請求項1に記載の重量物運搬方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による重量物運搬方法を行うための重量物運搬装置が階段に設置されている状態を示す斜視図である。図において、階段1は、互いに異なる高さに存在する複数の踏み面2を有している。各踏み面2の位置は、階段1の下部から上部に向かって水平方向へずれながら順次高くなる位置にそれぞれ設定されている。階段1の上部及び下部の一方を出発場所、他方を目標場所に設定し、出発場所から目標場所に向かって重量物を運搬するときには、重量物運搬装置が階段1に設置される。
【0013】
重量物運搬装置は、階段1の踏み面(下段踏み面)2aに設置されるジャッキ装置(下段ジャッキ装置)11と、ジャッキ装置11に載せられ、ジャッキ装置11の操作により上下動可能な受け台(下段受け台)12と、踏み面2aよりも高い位置に存在する踏み面(上段踏み面)2cに設置されるジャッキ装置(上段ジャッキ装置)21と、ジャッキ装置21の操作により受け台12と独立して上下動可能な受け台(上段受け台)22と、踏み面2aと踏み面2cとの間の高さに存在する踏み面(中間踏み面)2bに設置され、受け台22を支持するとともに受け台12の移動を案内する複数(この例では、2つ)の補助脚30とを有している。なお、
図1では、階段1の下部の高さに踏み面2aが存在している。
【0014】
ジャッキ装置11は、受け台12が載せられる支持部(支持点)を有している。受け台12は、ジャッキ装置11の支持部を上下動させることにより踏み面2aに対して上下動される。
【0015】
ジャッキ装置21は、受け台22が載せられる支持部(支持点)を有している。受け台22は、ジャッキ装置21の支持部を上下動させることにより、受け台12と独立して踏み面2cに対して上下動される。ジャッキ装置11及びジャッキ装置21としては、例えば機械式ジャッキ(ねじジャッキ等)、液体作動式ジャッキ(油圧ジャッキ等)、空気式ジャッキ等が用いられる。手操作で動作するジャッキをジャッキ装置11及びジャッキ装置21として用いると、電源がうまくとれない場所でも、重量物の運搬作業を行うことができる。
【0016】
受け台12及び受け台22は、それぞれの幅方向を階段1の幅方向に一致させて配置されている。受け台12及び受け台22のそれぞれの上段側縁部(即ち、受け台12及び受け台22のそれぞれにおける階段1の上部に近い側の縁部)には、複数(この例では、2つ)の案内穴31が設けられている。受け台12に設けられた各案内穴31は受け台12の幅方向について互いに離して設けられ、受け台22に設けられた各案内穴31は受け台22の幅方向について互いに離して設けられている。この例では、各案内穴31が丸穴(円形の穴)となっている。
【0017】
受け台12及び受け台22のそれぞれの下段側縁部(即ち、受け台12及び受け台22のそれぞれにおける階段1の下部に近い側の縁部)には、複数(この例では、2つ)の補助脚着脱用穴32と、各補助脚着脱用穴32の位置に合わせて配置された複数(この例では、2つ)の補助脚着脱具33とが設けられている。受け台12に設けられた各補助脚着脱用穴32は受け台12の幅方向について互いに離して設けられ、受け台22に設けられた各補助脚着脱用穴32は受け台22の幅方向について互いに離して設けられている。この例では、各補助脚着脱用穴32が、各案内穴31と同じ大きさの丸穴(円形の穴)となっている。
【0018】
受け台12は、重量物を載せることが可能な載せ板121と、載せ板121の端部に固定された縁板122とを有している。縁板122は、載せ板121の端部から一部を突出させた状態で載せ板121の裏面に固定されている。これにより、受け台12には、載せ板121と縁板122とによって段差が形成されている。各案内穴31は、縁板122に設けられている。各補助脚着脱用穴32及び各補助脚着脱具33は、載せ板121に設けられている。
【0019】
受け台22は、重量物を載せることが可能な載せ板221と、載せ板221の端部に固定された縁板222とを有している。縁板222は、載せ板221の端部から一部を突出させた状態で載せ板221の裏面に固定されている。これにより、受け台22には、載せ板221と縁板222とによって段差が形成されている。各案内穴31は、縁板222に設けられている。各補助脚着脱用穴32及び各補助脚着脱具33は、載せ板221に設けられている。この例では、受け台12及び受け台22のそれぞれの形状及び大きさが同一になっている。
【0020】
受け台12及び受け台22は、重量物運搬装置を真上から見たとき、互いに隣接するように配置されている。この例では、重量物運搬装置を真上から見たとき、受け台22の載せ板221と受け台12の載せ板121とが互いに重なることを避け、かつ受け台22の載せ板221と受け台12の縁板122とが互いに重なるように、受け台12及び受け台22が互いに隣接して配置されている。また、受け台12及び受け台22は、重量物運搬装置を真上から見たとき、受け台12に設けられた各案内穴31と、受け台22に設けられた各補助脚着脱用穴32とが互いに重なるように配置されている。
【0021】
各補助脚30は、踏み面2bに下端部を固定せずに単に立てているだけの状態で踏み面2bに設置されている。踏み面2bに設置された各補助脚30は、受け台22に設けられた補助脚着脱用穴32に通された状態で、補助脚着脱具33によって受け台22に着脱可能に取り付けられている。これにより、受け台22の下段側縁部は、各補助脚30によって支持されている。また、各補助脚30は、受け台12に設けられた各案内穴31にスライド可能に通されている。これにより、受け台12は、各補助脚30の長手方向に沿って案内されながら上下動される。
【0022】
ここで、
図2は、
図1の受け台12の案内穴31に補助脚30が通されるときの状態を示す斜視図である。各補助脚30は、案内穴31及び補助脚着脱用穴32の形状に合わせた断面形状を持つ柱状部材である。この例では、各補助脚30が円柱状部材となっている。縁板122の厚さは、案内穴31に補助脚30が通された状態で縁板122が補助脚30に対して傾かないような十分な厚さに設定されている。
【0023】
また、
図3は、
図1の受け台22に補助脚30が取り付けられる状態を示す拡大斜視図である。補助脚着脱具33は、補助脚着脱用穴32を囲んだ状態で載せ板221に固定されたリング状のカラー37と、カラー37に設けられた複数のねじ穴34に螺合される複数の止めねじ(締結具)35とを有している。
【0024】
各ねじ穴34は、カラー37の外周面と内周面との間で貫通している。また、各ねじ穴34は、カラー37の周方向について互いに間隔を置いて設けられている。止めねじ35は、カラー37の外側からねじ穴34に螺合されることによりカラー37の内周面から突出するようになっている。
【0025】
補助脚30の外周面には、複数の位置決め穴36が設けられている。位置決め穴36は、補助脚30の周方向について各ねじ穴34の位置に合わせてそれぞれ設けられているとともに、補助脚30の長手方向について互いに間隔を置いてそれぞれ設けられている。
【0026】
補助脚30は、各ねじ穴34に螺合された止めねじ35が各位置決め穴36に挿入されることにより受け台22に取り付けられている。また、補助脚30は、止めねじ35を緩めて各止めねじ35が各位置決め穴36から外れることにより、受け台22に対して補助脚30の長手方向へスライド可能になるとともに、受け台22から取り外し可能になる。補助脚30に対する受け台22の取付位置は、止めねじ35が挿入される位置決め穴36を補助脚30の長手方向について変更することにより、補助脚30の長手方向について調整可能になっている。
【0027】
重量物運搬装置では、
図1に示すように、受け台12及び受け台22の少なくともいずれかの上下動によって、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さを合わせることが可能になっている。受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合っている状態では、受け台12と受け台22との間で重量物が移動可能になっている。この例では、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合った状態になると、受け台12の上段側縁部に形成された段差に受け台12の下段側縁部が嵌ることにより、受け台12の上面と受け台22の上面との間に段差が生じないようになっている。
【0028】
受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合っている状態には、受け台12と受け台22との間に段差が生じていない状態だけでなく、受け台12及び受け台22間での重量物の移動を妨げない小さな段差が受け台12と受け台22との間に生じている状態も含まれる。
【0029】
次に、階段1の下部に設定された出発場所から、階段1の上部(即ち、出発場所よりも高い位置)に設定された目標場所に向かって重量物を運搬するときの重量物運搬方法について説明する。
【0030】
この場合、階段1の下部に出発場所が設定され、階段1の上部に目標場所が設定されているので、重量物が運搬される方向は上方となる。また、この場合、各踏み面2の位置の高さが低くなるほど目標場所の高さから離れ、各踏み面2の位置の高さが高くなるほど目標場所の高さに近づくこととなる。
【0031】
従って、踏み面2a及び踏み面2cのうち、重量物の移動元に対応する踏み面を第1の踏み面、重量物の移動先に対応する踏み面を第2の踏み面とすると、重量物が運搬される方向が上方となるときには、目標場所の高さから離れた位置に存在する下段踏み面である踏み面2aが第1の踏み面となり、目標場所の高さに近い位置に存在する上段踏み面である踏み面2cが第2の踏み面となる。
【0032】
また、重量物が運搬される方向が上方となるときには、第1の踏み面である踏み面2aに設置されるジャッキ装置11を第1のジャッキ装置、第2の踏み面である踏み面2cに設置されるジャッキ装置21を第2のジャッキ装置とし、さらに、第1のジャッキ装置であるジャッキ装置11に載せられる受け台12を第1の受け台、第2のジャッキ装置であるジャッキ装置21に載せられる受け台22を第2の受け台としている。
【0033】
階段1の下部に設定された出発場所から、階段1の上部に設定された目標場所に向かって重量物を運搬するときには、まず、出発場所の高さに存在する踏み面2aにジャッキ装置11を設置する。このとき、ジャッキ装置11の支持部を最も低い位置に下げておく。
【0034】
この後、ジャッキ装置11の支持部の上面と、踏み面2aよりも高い位置に存在する踏み面2bとに受け台12を載せる。このとき、受け台12の中央部をジャッキ装置11の支持部に載せ、受け台12の上段側縁部を踏み面2bに載せる。受け台12の上段側縁部の下面は踏み面2bに接触させておく。
【0035】
踏み面2bとしては、踏み面2aに設置されたジャッキ装置11の支持部の上面に対する高さの差が小さい踏み面2を選択する。ジャッキ装置11及び踏み面2bに受け台12を載せた状態で受け台12が傾斜している場合には、ジャッキ装置11を操作して受け台12をほぼ水平にしておく(移動元台準備工程)。
【0036】
この後、複数(この例では、2つ)の補助脚30を踏み面2bに設置する。このとき、各補助脚30は、踏み面2bに固定することなく単に立てただけの状態にしておく。また、このとき、各補助脚30の下端部は、受け台12の各案内穴31に個別に通しておく(補助脚設置工程)。
【0037】
この後、踏み面2a及び踏み面2bのそれぞれよりも高い位置(即ち、踏み面2a及び中間踏み面2bのそれぞれよりも目標場所に近い高さ)に存在する踏み面2cにジャッキ装置21を設置する。このときにも、ジャッキ装置21の支持部を最も低い位置に下げておく。
【0038】
この後、ジャッキ装置21の支持部の上面と、踏み面2cよりも高い位置に存在する中間踏み面である踏み面2dとに受け台22を載せる。このとき、受け台22の中央部をジャッキ装置21の支持部に載せ、受け台22の上段側縁部を踏み面2dに載せる。受け台22の上段側縁部の下面は踏み面2dに接触させておく。また、このとき、受け台22の下段側縁部に設けられた各補助脚着脱用穴32には、踏み面2bに設置しておいた各補助脚30の上部を通しておく。
【0039】
この段階では、受け台12及び受け台22のそれぞれが水平移動可能になっているので、受け台22の補助脚着脱用穴32に補助脚30を通すときに、受け台12に設けられた各案内穴31の位置と、受け台22に設けられた補助脚着脱用穴32の位置とが上下方向について一致するように、受け台12及び受け台22を適宜動かしてもよい。
【0040】
踏み面2dとしては、踏み面2cに設置されたジャッキ装置21の支持部の上面に対する高さの差が小さい踏み面2を選択する。ジャッキ装置21及び踏み面2dに受け台22を載せた状態で受け台22が傾斜している場合には、ジャッキ装置21を操作して受け台22をほぼ水平にしておく。
【0041】
この後、受け台22に設けられた補助脚着脱具33で受け台22を補助脚30に取り付ける。即ち、
図3に示すように、補助脚着脱具33のカラー37のねじ穴34に螺合された止めねじ35を位置決め穴36に挿入しながら締め付けることにより受け台22を補助脚30に取り付ける。
【0042】
ここで、補助脚30が設置される踏み面2bと、受け台22の上段側縁部が載せられる踏み面2dとの段差は、作業場所に応じて変わることが多い。具体的には、階段1の各踏み面2の高さの差(蹴上げ寸法)は作業場所によって20cm前後から25cm程度まで変わる。補助脚30の外周面には、複数の位置決め穴36が補助脚30の長手方向について互いに間隔を置いて設けられているので、止めねじ35を挿入する位置決め穴36の選択を変えることにより、補助脚30に対する受け台22の取付位置を補助脚30の長手方向について調整することができる。これにより、作業場所によって階段1の蹴上げ寸法が変わっても、補助脚30に対する受け台22の取付位置の調整により、受け台22を水平に保つことができる(移動先台準備工程)。
【0043】
このように、移動元台準備工程、補助脚設置工程及び移動先台準備工程を行うことにより、
図1に示す重量物運搬装置を階段1に設置する。
【0044】
重量物運搬装置を階段1に設置した後、重量物を受け台12に載せる。
図4は、
図1の受け台12に重量物を載せた状態を示す側面図である。この例では、重量物41が、台車42と、台車42に載せられたエレベータの巻上機43とを含む物となっている。受け台12に重量物41を載せた状態では、重量物41の重心を通る鉛直線Gが水平方向についてジャッキ装置11の支持部と受け台12の上段側縁部との間に位置するように、受け台12上での重量物41の位置を調整する。
【0045】
図5は、
図4の重量物運搬装置を示す上面図である。
図5では、重量物運搬装置の構成を分かりやすくするため、重量物の表示を省略している。受け台12の載せ板121の上面には、ジャッキ装置11の支持部に重なる位置を示す支持点マーク13が表示されている。受け台22の載せ板221の上面には、ジャッキ装置21の支持部に重なる位置を示す支持点マーク23が表示されている。なお、支持点マーク13の位置とジャッキ装置11の支持部の位置とを合わせる作業は第1の台準備工程において行い、支持点マーク23の位置とジャッキ装置21の支持部の位置とを合わせる作業は第2の台準備工程において行っておく。
【0046】
受け台12に載せた重量物41は、重量物運搬装置を真上から見たとき、ジャッキ装置11の支持部と各補助脚30のそれぞれとを頂点とする多角形(この例では、三角形)で囲まれた範囲10内に重量物41の重心の位置が入るように配置する。重量物41の重心の位置が範囲10内に入るようにすることで、受け台12が傾くことを各補助脚30によって効果的に防止することができ、重量物41を載せた受け台12をより安定的に上下動させることができる。ジャッキ装置11の支持部の位置は、支持点マーク13を基準にして識別する。
【0047】
なお、受け台12の上段側縁部が踏み面2bに載っている状態では、受け台12の上段側縁部の下面全体が踏み面2bで支えられているので、重量物41の重心の位置が範囲10から外れていても、重量物41を載せた受け台12を安定的に支持することができる(重量物準備工程)。
【0048】
この後、受け台12に重量物41を載せた状態で、ジャッキ装置11を操作して目標場所の高さに近づく方向(即ち、上方)へ受け台12を移動させ、受け台22の位置の高さで受け台12の移動を停止させる。このようにして、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さを合わせる。
【0049】
図6は、
図4の重量物41を載せた受け台12を上方へ移動させて受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さを合わせた状態を示す斜視図である。なお、
図6でも、重量物41の表示を省略している。受け台12が上方へ移動されるときには、受け台12が各補助脚30に案内される。これにより、受け台12に重量物41が載せられている場合であっても、受け台12は安定的に移動される。
【0050】
受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合うと、受け台12及び受け台22が水平方向について互いに隣接した状態となり、受け台12と受け台22との間で重量物41が移動可能になる(第1の上下移動工程)。
【0051】
この後、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合っている状態で、受け台12から受け台22へ重量物41を移動させる。
図7は、
図6の受け台12に載せられた重量物41を受け台22へ移動させたときの状態を示す側面図である。受け台12から受け台22へ重量物41を移動するときには、受け台22が各補助脚30で支持されているので、重量物41はバランスを崩すことなく安定的に移動することができる。
【0052】
受け台22に移動した重量物41は、受け台22を真上から見たとき、ジャッキ装置21の支持部と、受け台22の各案内穴31のそれぞれとを頂点とする多角形(この例では、三角形)で囲まれた範囲内に重量物41の重心の位置が入るように配置する。ジャッキ装置21の支持部の位置は、支持点マーク23を基準にして識別する(受け台間移動工程)。
【0053】
図8は、
図7の受け台22の上段側縁部が載せられた踏み面2dに別の補助脚が設置されている状態を示す側面図である。受け台12から受け台22へ重量物41を移動させた後(即ち、受け台間移動工程後)には、複数(この例では、2つ)の別の補助脚40を踏み面2dに設置する。このとき、各補助脚40は、補助脚30を設置するときと同様に、踏み面2dに固定することなく単に立てただけの状態にしておく。また、このとき、各補助脚40の下端部は、受け台22の各案内穴31に個別に通しておく。別の補助脚40の形状及び大きさは、補助脚30の形状及び大きさと同じである(追加補助脚設置工程)。
【0054】
この後、
図9に示すように、補助脚着脱具33の止めねじ35を緩めて、踏み面2bに設置している各補助脚30を受け台12及び受け台22から取り外す。受け台22に載せられている重量物41は、ジャッキ装置21の支持部と、受け台22の各案内穴31のそれぞれとを頂点とする多角形で囲まれた範囲内に重量物41の重心の位置が入るように配置されているので、各補助脚30を外しても重量物41がバランスを崩すことはない。これにより、ジャッキ装置11及び受け台12は、受け台22から切り離されて自由に持ち運び可能になる。
【0055】
この後、
図10に示すように、踏み面2c及び踏み面2dよりも高い位置(即ち、踏み面2c及び踏み面2dよりも目標場所の高さに近い高さ)に存在する第3の踏み面である踏み面2eに、踏み面2aから持ってきたジャッキ装置11を第3のジャッキ装置(追加のジャッキ装置)として設置する。このとき、移動元台準備工程と同様に、ジャッキ装置11の支持部を最も低い位置に下げておく。
【0056】
この後、
図11に示すように、ジャッキ装置11の支持部の上面と、踏み面2eよりも高い位置に存在する中間踏み面である踏み面2fとに、踏み面2aから持ってきた受け台12を第3の受け台(追加の受け台)として載せる。このとき、受け台12の中央部をジャッキ装置11の支持部に載せ、受け台12の上段側縁部を踏み面2fに載せる。受け台12の上段側縁部の下面は踏み面2fに接触させておく。また、このとき、受け台12の下段側縁部に設けられた各補助脚着脱用穴32には、踏み面2dに設置しておいた各補助脚40の上部を通しておく。
【0057】
踏み面2fとしては、踏み面2eに設置されたジャッキ装置11の支持部の上面に対する高さの差が小さい踏み面2を選択する。ジャッキ装置11及び踏み面2fに受け台12を載せた状態で受け台12が傾斜している場合には、ジャッキ装置11を操作して受け台12をほぼ水平にしておく。この後、受け台12に設けられた補助脚着脱具33で受け台12を補助脚40に取り付ける。これにより、各補助脚40の状態は、受け台11を支持するとともに、受け台12の移動を案内可能な状態となる(追加移動先台準備工程)。
【0058】
この後、受け台22に重量物41を載せた状態で、ジャッキ装置21を操作して目標場所の高さに近づく方向(即ち、上方)へ受け台22を移動させ、受け台12の位置の高さで受け台22の移動を停止させる。このようにして、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さを合わせる。このとき、各補助脚40に案内されながら受け台22が移動される。これにより、受け台22に重量物41が載せられている場合であっても、受け台22は安定的に移動される。受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合うと、受け台12及び受け台22が水平方向について互いに隣接した状態となり、受け台12と受け台22との間で重量物41が移動可能になる(第2の上下移動工程)。
【0059】
この後、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さが合っている状態で、第2の受け台である受け台22から、第3の受け台である受け台12へ重量物41を移動させる。このとき、受け台12の下段側縁部が各補助脚40で支持されているので、重量物41はバランスを崩すことなく安定的に移動することができる。
【0060】
受け台12に移動した重量物41は、受け台12を真上から見たとき、ジャッキ装置11の支持部と、受け台12の各案内穴31のそれぞれとを頂点とする多角形で囲まれた範囲内に重量物41の重心の位置が入るように配置する。ジャッキ装置11の支持部の位置は、支持点マーク13を基準にして識別する(追加受け台間移動工程)。
【0061】
この後、追加補助脚設置工程及び追加移動先台準備工程と同様にして、踏み面2fに補助脚を設置するとともに、踏み面2fよりも高い位置に存在する踏み面2にジャッキ装置及び受け台を設置した後、第3の受け台である受け台12に重量物41を載せた状態で、ジャッキ装置11を操作して目標場所の高さに近づく方向(即ち、上方)へ受け台12を移動させる。このような作業を重量物41が目標場所の高さに達するまで繰り返す。このようにして、階段1の下部の高さに設定された出発場所から、階段1の上部の高さに設定された目標場所に向けて重量物41を運搬する。
【0062】
階段1の上部に設定された出発場所から、階段1の下部(即ち、出発場所よりも低い位置)に設定された目標場所に向かって重量物を運搬するときには、階段1の下部に設定された出発場所から、階段1の上部に設定された目標場所に向かって重量物41を運搬するときと逆の手順で重量物41を運搬する。
【0063】
この場合、階段1の上部に出発場所が設定され、階段1の下部に目標場所が設定されているので、重量物が運搬される方向は下方となる。また、この場合、各踏み面2の位置の高さが高くなるほど目標場所の高さから離れ、各踏み面2の位置の高さが低くなるほど目標場所の高さに近づくこととなる。
【0064】
従って、互いに異なる高さに存在する2つの踏み面のうち、重量物の移動元に対応する踏み面を第1の踏み面、重量物の移動先に対応する踏み面を第2の踏み面とすると、重量物が運搬される方向が下方となるときには、目標場所の高さから離れた位置に存在する上段踏み面が第1の踏み面となり、目標場所の高さに近い位置に存在する下段踏み面が第2の踏み面となる。
【0065】
また、重量物が運搬される方向が下方となるときには、上段踏み面(第1の踏み面)に設置される上段ジャッキ装置が第1のジャッキ装置、下段踏み面(第2の踏み面)に設置される下段ジャッキ装置が第2のジャッキ装置となる。さらに、上段ジャッキ装置(第1のジャッキ装置)に載せられる上段受け台が第1の受け台、下段ジャッキ装置(第2のジャッキ装置)に載せられる下段受け台が第2の受け台となる。
【0066】
階段1の上部に設定された出発場所から、階段1の下部に設定された目標場所に向かって重量物を運搬するときにも、移動元台準備工程、補助脚設置工程及び移動先台準備工程を行って重量物運搬装置を階段1に設置した状態で重量物を運搬する。
【0067】
重量物運搬装置を階段1に設置した後、上段受け台である第1の受け台に重量物を載せた状態で、上段ジャッキ装置である第1のジャッキ装置を操作して第1の受け台を下方(即ち、目標場所の高さに近い方向)へ移動させる。このとき、下段ジャッキ装置である第2のジャッキ装置を操作して、下段受け台である第2の受け台の高さを、上段受け台である第1の受け台の高さに合わせる(第1の上下移動工程)。
【0068】
この後、第1の受け台及び第2の受け台のそれぞれの位置の高さを合わせた状態で、第1の受け台から第2の受け台へ重量物41を移動させる(受け台間移動工程)。
【0069】
この後、第2の受け台に重量物41を載せた状態で、第2のジャッキ装置を操作して第2の受け台を下方(即ち、目標場所の高さに近い方向)へ移動させる(第2の上下移動工程)。
【0070】
この後、下段踏み面である第2の踏み面よりも低い位置に存在する踏み面2である中間踏み面に別の補助脚を設置するとともに(補助脚設置工程)、別の補助脚を設置する中間踏み面よりも低い位置に存在する第3の踏み面に、第1のジャッキ装置を第3のジャッキ装置として設置し、第1の受け台を第3の受け台として第3のジャッキ装置に載せる。このとき、別の補助脚は、第2の受け台を支持するとともに、第3の受け台の移動を案内する状態になるように中間踏み面に設置する。また、このとき、第3の受け台の高さは、第3のジャッキ装置を操作して第2の受け台の高さに合わせておく(追加移動先台準備工程)。
【0071】
この後、第2の受け台から第3の受け台へ重量物41を移動させた後(追加受け台間移動工程)、第3の受け台に重量物41を載せた状態で、第3のジャッキ装置を操作して第3の受け台を下方(即ち、目標場所の高さに近い方向)へ移動させる(追加上下移動工程)。このようにして、階段1の上部の高さに設定された出発場所から、階段1の下部の高さに設定された目標場所に向けて重量物41を運搬する。
【0072】
このような重量物運搬装置では、互いに異なる踏み面2a,2cのそれぞれにジャッキ装置11,21が設置されているとともに、ジャッキ装置11,21に受け台12,22が載せられ、各受け台12,22のそれぞれの位置の高さを合わせることが可能になっているので、重量物41を簡単な構成で運搬することができる。また、各受け台12,22が各ジャッキ装置11,21に個別に載せられ、各受け台12,22が独立して上下動可能になっているので、各ジャッキ装置11,21及び各受け台12,22をそれぞれ切り離して取り扱うことができ、重量物運搬装置の取り扱いを容易にすることができる。これにより、重量物41の運搬作業の準備にかかる手間を軽減することができ、重量物41を容易に運搬することができる。また、運搬作業で用いる道具も少なくすることができ、重量物運搬装置の設置及び撤去も少数の作業者で容易に行うことができる。
【0073】
また、受け台22を支持するとともに受け台12の移動を案内する補助脚30が踏み面2bに設置されているので、受け台12に重量物41が載せられた状態でも、受け台12をより安定的に上下動させることができる。また、受け台12と受け台22との間で重量物41が移動するときにも、補助脚30による受け台22の支持により、重量物41をより安定的に移動させることができる。
【0074】
また、複数の補助脚30が互いに離して配置されているので、受け台12に重量物41を載せた状態での受け台12の上下動、及び受け台12と受け台22との間での重量物41の移動をさらに安定させることができる。
【0075】
また、補助脚30は、受け台22に着脱可能に取り付けられているので、受け台22及び補助脚30の取り扱いを容易にすることができる。
【0076】
また、このような重量物運搬方法では、互いに異なる踏み面2a,2cのそれぞれに設置したジャッキ装置11,21に受け台12,22を載せ、受け台12及び受け台22のいずれかに重量物41を載せた状態で、目標場所に近い方向へ受け台12,22を移動させるとともに、受け台12及び受け台22のそれぞれの位置の高さを合わせた状態で、受け台12及び受け台22のうちの目標場所に近い受け台へ重量物41を移動させるので、重量物41を簡単な構成で運搬することができる。また、各ジャッキ装置11,21及び各受け台12,22をそれぞれ切り離して取り扱うことができるので、重量物運搬装置の取り扱いを容易にすることができる。これにより、重量物41を容易に運搬することができる。また、重量物運搬装置の設置及び撤去も少数の作業者で容易に行うことができる。
【0077】
また、ジャッキ装置21が設置された踏み面2cよりも目標場所にさらに近い高さに存在する第3の踏み面2eにジャッキ装置11を第3のジャッキ装置(追加のジャッキ装置)として設置するとともに、追加のジャッキ装置11に受け台12を第3の受け台(追加の受け台)として載せるので、重量物41を載せた受け台22の上下動によって重量物41が目標場所の高さに到達しない場合でも、受け台22から追加の受け台12への重量物41の移動と、重量物41を載せた追加の受け台12の上下動とにより、目標場所に近づくように上下方向及び水平方向について重量物41をさらに移動させることができ、目標場所に重量物41をより確実に運ぶことができる。また、ジャッキ装置11を第3のジャッキ装置とするので、ジャッキ装置11を繰り返して用いることができ、重量物41の運搬に必要なジャッキ装置の数を少なくすることができる。さらに、受け台12を第3の受け台とするので、受け台12を繰り返して用いることができ、重量物41の運搬に必要な受け台の数を少なくすることができる。
【0078】
また、受け台12に重量物41を載せた状態では、下段ジャッキ装置であるジャッキ装置11の支持部と、複数の補助脚30とを頂点とする多角形で囲まれる範囲10内に重量物41の重心の位置が入るように重量物41を配置するので、受け台12に重量物41を載せた状態でも、受け台12をより安定的に上下動させることができる。
【0079】
なお、上記の例では、受け台22を支持するとともに受け台12の移動を案内する補助脚30を踏み面2bに設置しているが、ジャッキ装置11,21による受け台12,22の支持が安定しているのであれば、補助脚30はなくてもよい。
【0080】
また、上記の例では、カラー37のねじ穴34に螺合された止めねじ35を補助脚30の位置決め穴36に挿入することにより、受け台22が補助脚30に着脱可能に取り付けられているが、補助脚着脱具33に含まれるカラー37の内周面、及び補助脚30の上部の外周面のそれぞれにねじ部を設け、補助脚30のねじ部をカラー37のねじ部に螺合させることにより、受け台22を補助脚30に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0081】
また、上記の例では、移動元台準備工程、補助脚設置工程及び移動先台準備工程の順に行うことにより重量物運搬装置が階段1に設置されるようになっているが、移動元台準備工程、補助脚設置工程及び移動先台準備工程は、どのような順番で行ってもよい。例えば、移動元台準備工程及び移動先台準備工程の順に行った後に、補助脚設置工程を行ってもよい。
【0082】
また、上記の例では、追加補助脚設置工程において補助脚30と異なる別の補助脚40を踏み面2dに設置するようにしているが、踏み面2bから取り外した補助脚30を追加補助脚設置工程で踏み面2dに設置するようにしてもよい。このようにすれば、重量物41の運搬時に補助脚30を繰り返し用いることができ、補助脚の数を減らすことができる。
【0083】
また、上記の例では、追加移動先台準備工程において、第1の踏み面である踏み面2aから外したジャッキ装置11を第3のジャッキ装置として踏み面(第3の踏み面)2dに設置するようになっているが、第3のジャッキ装置として設置するジャッキ装置は、ジャッキ装置11と異なる別のジャッキ装置であってもよい。
【0084】
また、上記の例では、追加移動先台準備工程において、第1の踏み面である踏み面2aから外した受け台12を第3の受け台としてジャッキ装置(第3のジャッキ装置)22に載せるようになっているが、ジャッキ装置に第3の受け台として載せる受け台は、受け台11と異なる別の受け台であってもよい。
【0085】
実施の形態2.
実施の形態1では、ジャッキ装置11及びジャッキ装置21のそれぞれの数が1つずつとされ、補助脚30の数が複数とされているが、ジャッキ装置11及びジャッキ装置21のそれぞれの数を複数ずつとし、補助脚30の数を1つとしてもよい。
【0086】
即ち、
図12は、この発明の実施の形態2による重量物運搬装置を示す上面図である。受け台12及び受け台22のそれぞれの上段側縁部の中央部には、案内穴31が1つずつ設けられている。受け台12及び受け台22のそれぞれの下段側縁部の中央部には、補助脚着脱用穴32及び補助脚着脱具33の組が1組ずつ設けられている。
【0087】
補助脚30は、受け台12の案内穴31にスライド可能に通されている。また、補助脚30は、受け台22の補助脚着脱用穴32に通された状態で受け台22に補助脚着脱具33で着脱可能に取り付けられている。これにより、受け台22は1つの補助脚30によって支持され、受け台12の移動は1つの補助脚30によって案内される。
【0088】
踏み面2aには複数(この例では、2つ)のジャッキ装置11が設置され、踏み面2cには複数(この例では、2つ)のジャッキ装置21が設置されている。各ジャッキ装置11は、階段1の幅方向について互いに離して配置されている。各ジャッキ装置21は、階段1の幅方向について互いに離して配置されている。
【0089】
各ジャッキ装置11のそれぞれの支持部には、共通の受け台12が載せられている。共通の受け台12の上面には、各ジャッキ装置11のそれぞれの支持部に重なる位置を表示する複数(この例では、2つ)の支持点マーク13が表示されている。
【0090】
各ジャッキ装置21のそれぞれの支持部には、共通の受け台22が載せられている。共通の受け台22の上面には、各ジャッキ装置21のそれぞれの支持部に重なる位置を表示する複数(この例では、2つ)の支持点マーク23が表示されている。各支持点マーク13の位置と、各ジャッキ装置11のそれぞれの支持部の位置とを合わせる作業、及び各支持点マーク23の位置と、各ジャッキ装置21のそれぞれの支持部の位置とを合わせる作業は、第1の台準備工程及び第2の台準備工程で行う。
【0091】
受け台12に重量物を載せている状態では、重量物運搬装置を真上から見たとき、各ジャッキ装置11のそれぞれの支持部と1つの補助脚30とを頂点とする多角形(この例では、三角形)で囲まれる範囲10内に重量物の重心の位置が入るように、重量物を配置する。他の構成及び重量物運搬方法の手順は実施の形態1と同様である。
【0092】
このように、受け台22を支持するとともに受け台12の移動を案内する補助脚30を踏み面2bに1つのみ設置し、複数のジャッキ装置11に共通の受け台12を載せるので、補助脚30の数が1つであっても、各ジャッキ装置11のそれぞれの支持部と1つの補助脚30とを頂点とする多角形で囲まれる範囲10内に重量物の重心の位置が入るように受け台12上で重量物を配置することにより、受け台12に重量物を載せた状態で受け台12を安定的に上下動させることができる。
【0093】
実施の形態3.
図13は、この発明の実施の形態3による重量物運搬装置を示す側面図である。階段1の上方には、天井面3が形成されている。天井面3は、ほぼ水平な面となっている。重量物運搬装置は、踏み面2bの上方に位置する天井面3と補助脚30との間で突っ張る補助脚突っ張り棒(補助脚突っ張り装置)51を含む保持装置をさらに有している。保持装置は、天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせることにより補助脚30を保持する。
【0094】
図14は、
図13のXIV−XIV線に沿った断面図である。補助脚突っ張り棒51は、第1の突っ張り部52と、第2の突っ張り部53と、第1の突っ張り部52と第2の突っ張り部53とを連結する伸縮可能な連結部54とを有している。
【0095】
連結部54は、第1の突っ張り部52に螺合された第1のスライド部55と、第1のスライド部55に対してスライド可能で第2の突っ張り部53に螺合された第2のスライド部56と、第1のスライド部55に対する第2のスライド部56の位置を固定する固定具57とを有している。第2の突っ張り部53は、天井面3に接触する天井接触部材58に軸59を中心に回動可能に取り付けられている。
【0096】
第1の突っ張り部52は、筒状部521と、筒状部521の一端部に溶接等により固定され、補助脚30の上端部に取り付けられる取付部522とを有している。
【0097】
筒状部521の他端部(連結部54側の端部)の内周面には、第1のスライド部55と螺合されるねじ部521aが設けられている。取付部522には、補助脚30の上端部が嵌る凹部523が設けられている。この例では、凹部523の断面形状が補助脚30の断面形状に合わせて円形となっている。取付部522は、凹部523を補助脚30の上端部に嵌めた状態で補助脚30に取り付けられる。
【0098】
第2の突っ張り部53は、筒状部531と、筒状部531の一端部に溶接等により固定され、天井接触部材58の軸59が取り付けられた取付部532とを有している。筒状部531の他端部(連結部54側の端部)の内周面には、第2のスライド部56と螺合されるねじ部531aが設けられている。ねじ部521aとねじ部531aとは、逆ねじになっている。
【0099】
第1のスライド部55は、連結部54が伸縮可能な方向に沿った軸線を持つ筒状部551と、筒状部551の端部に溶接等により固定され、第1の突っ張り部52の筒状部521に接続された筒状の接続部552とを有している。
【0100】
筒状部551には、固定用穴554が設けられている。また、筒状部551の外周面には、持ち手553が固定されている。
【0101】
接続部552は、筒状部551内に挿入された状態で筒状部551に固定されている。また、接続部552の外周面には、第1の突っ張り部52の筒状部521のねじ部521aに螺合されるねじ部552aが設けられている。接続部552は、筒状部521内でねじ部552aをねじ部521aに螺合させた状態で第1の突っ張り部52の筒状部521に接続されている。
【0102】
第2のスライド部56は、第1のスライド部55の筒状部551内をスライド可能な筒状の部材である。第2のスライド部56には、第2のスライド部56の長手方向について互いに間隔を置いて配置された複数の貫通穴561が設けられている。
【0103】
第2のスライド部56の端部の外周面には、第2の突っ張り部53の筒状部531のねじ部531aに螺合されるねじ部56aが設けられている。第2のスライド部56は、筒状部531内でねじ部56aをねじ部531aに螺合させた状態で第2の突っ張り部53の筒状部531に接続されている。
【0104】
固定具57は、各貫通穴561のいずれかと固定用穴554とに通される共通のピン571と、貫通穴561及び固定用穴554からピン571が外れることを防止する外れ止め具572とを有している。第1のスライド部55に対する第2のスライド部56の位置は、ピン571が貫通穴561及び固定用穴554に通されることにより固定される。ねじ部521aとねじ部531aとが逆ねじになっているので、持ち手553を用いて連結部54を時計周りに回すと補助脚突っ張り棒51が縮み、持ち手553を用いて連結部54を反時計周りに回すと補助脚突っ張り棒51が伸びるようになっている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0105】
補助脚突っ張り棒51の長さの調整は、補助脚突っ張り棒51の長さを大まかに調整する概略調整工程と、概略調整工程後、補助脚突っ張り棒51の長さを微調整する微調整工程とによって行われる。
【0106】
概略調整工程では、固定具57を外した状態で、第2のスライド部56を第1のスライド部55に対してスライドさせながら連結部54の長さを大まかに調整し、各貫通穴561のいずれかの位置を固定用穴554の位置に合わせた状態で、固定用穴554及び貫通穴561にピン571を通して、第1のスライド部55に対して第2のスライド部56の位置を固定する。ピン571には、外れ止め具572を取り付ける。
【0107】
微調整工程では、持ち手553を用いて連結部54を回すことにより補助脚突っ張り棒51の長さを微調整する。
【0108】
重量物運搬方法では、移動元台準備工程、補助脚設置工程及び移動先台準備工程後、第1の上下移動工程、受け台間移動工程及び第2の上下移動工程の前に、踏み面2bの上方に位置する天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせて、中間踏み面2bに設置されている補助脚30を保持する(保持工程)。
【0109】
保持工程では、まず、固定具57を外した状態で連結部54を伸縮させながら、第1の突っ張り部52の凹部523を補助脚30の上端部に嵌めるとともに、天井接触部材58を天井面3に対向させ、固定具57によって連結部54の長さを固定する(概略調整工程)。
【0110】
この後、第1の突っ張り部52及び第2の突っ張り部53を回さずに持ち手553を用いて連結部54を回すことにより、補助脚突っ張り棒51を少しずつ伸ばして、補助脚30と天井面3との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせる(微調整工程)。重量物を運搬するときの他の手順は、実施の形態1と同様である。
【0111】
このように、補助脚30を踏み面2bに設置した後、踏み面2bの上方に位置する天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせるので、補助脚30の設置状態をさらに安定して維持することができる。これにより、受け台12に重量物41を載せた状態での受け台12の上下動、及び受け台12と受け台22との間での重量物41の移動を、さらに安定させることができる。
【0112】
実施の形態4.
図15は、この発明の実施の形態4による重量物運搬装置を示す側面図である。階段1の上方には、天井面3が形成されている。天井面3は、水平面に対して階段1に沿って傾斜している。補助脚30を保持する保持装置は、実施の形態3と同様の構成とされた補助脚突っ張り棒51と、補助脚突っ張り棒51の上端部と、受け台22よりも高い位置に存在する踏み面2gとの間で突っ張る追加突っ張り棒(追加突っ張り装置)61とを有している。
【0113】
追加突っ張り棒61は、天井面3の傾斜方向と反対方向へ傾斜するように配置されている。この例では、補助脚突っ張り棒51及び追加突っ張り棒61のそれぞれから天井面3が受ける力の合力の方向が天井面3に対して垂直になるように、補助脚突っ張り棒51及び追加突っ張り棒61が配置されている。
【0114】
追加突っ張り棒61の構成は、補助脚突っ張り棒51の構成と同様である。補助脚突っ張り棒51及び追加突っ張り棒61のそれぞれの第2の突っ張り部53は、互いに異なる軸59を介して共通の天井接触部材58にそれぞれ回動可能に取り付けられている。
【0115】
追加突っ張り棒61の第1の突っ張り部52は、踏み面2gに接触する踏み面接触部材62に軸63を中心に回動可能に取り付けられている。他の構成は実施の形態3と同様である。
【0116】
重量物運搬方法では、踏み面2bに設置されている補助脚30を保持する保持工程において、天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせるとともに、補助脚突っ張り棒51の上端部と踏み面2gとの間で追加突っ張り棒61を突っ張らせる。天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせるときの手順は、実施の形態3と同様である。また、補助脚突っ張り棒51の上端部と踏み面2gとの間で追加突っ張り棒61を突っ張らせるときの手順は、補助脚突っ張り棒51を突っ張らせるときの手順と同様である。重量物を運搬するときの他の手順は、実施の形態1と同様である。
【0117】
このように、補助脚30を中間踏み面2bに設置した後、中間踏み面2bの上方に位置する天井面3と補助脚30との間で補助脚突っ張り棒51を突っ張らせるとともに、補助脚突っ張り棒51の上端部と、受け台22の位置よりも高い位置に存在する踏み面2gとの間で追加突っ張り棒61を突っ張らせるので、天井面3が階段1に沿って傾斜している場合であっても、追加突っ張り棒61によって補助脚30と天井面3との間から補助脚突っ張り棒51を外れにくくすることができる。これにより、補助脚30の設置状態をさらに安定して維持することができる。
【0118】
実施の形態5.
図16は、この発明の実施の形態5による重量物運搬装置を示す側面図である。また、
図17は、
図16の受け台22を示す拡大図である。さらに、
図18は、
図17のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。受け台22の載せ板221は、載せ板本体71と、載せ板本体71に保持されながら載せ板本体71に対して水平方向へスライド可能な可動板72と、載せ板本体71に対する可動板72の位置を固定する固定ピン73とを有している。載せ板221は、載せ板本体71に対する可動板72のスライドによって載せ板本体71からの可動板72の出代が調整されることにより伸縮される。受け台22は、載せ板221の伸縮によって水平方向について伸縮される。縁板222は、可動板72に固定されている。
【0119】
載せ板本体71の下面には、嵌合溝74が設けられている。可動板72は、嵌合溝74に嵌ることにより、載せ板本体71に保持されながら載せ板本体71に対して水平方向へスライド可能になっている。載せ板本体71の側面には、嵌合溝74内に貫通する固定用穴75が設けられている。
【0120】
可動板72の側面には、可動板72のスライド方向について互いに間隔を置いて配置された複数の位置調整用穴76が設けられている。載せ板本体71に対する可動板72の位置は、固定用穴75を通された固定ピン73が各位置調整用穴76のいずれかに挿入されることにより固定される。載せ板本体71からの可動板72の出代は、固定用穴75を通された固定ピン73を挿入する位置調整用穴76を変更することにより調整される。載せ板本体71の縁板222側の端部には、載せ板本体71の上面と可動板72の上面との段差を緩やかにする傾斜部77が固定されている。
【0121】
ジャッキ装置21の支持部には、一対の案内レール81が可動板72のスライド方向に一致させて設けられている。可動板72の下面には、各案内レール81がスライド可能に嵌るレール溝82が設けられている。これにより、可動板72に対するジャッキ装置21の位置は、案内レール81に沿って調整可能になっている。他の構成は実施の形態4と同様である。
【0122】
重量物運搬方法では、踏み面2cに設置したジャッキ装置21の支持部に受け台22を載せるときに、踏み面2dの位置に合わせて載せ板本体71からの可動板72の出代を調整し、受け台22の長さを調整する。また、このとき、可動板72に対するジャッキ装置21の位置を案内レール81に沿って調整することにより、受け台22に対するジャッキ装置21の位置を踏み面2cの奥行き方向について調整する。重量物を運搬するときの他の手順は、実施の形態4と同様である。
【0123】
このような重量物運搬装置では、受け台22が水平方向について伸縮可能になっているので、踏み面2cと踏み面2dとの位置関係が水平方向について変化しても、踏み面2dの位置に合わせて受け台22の長さを調整することができる。
【0124】
また、案内レール81がジャッキ装置21に水平に設けられ、案内レール81がスライド可能に嵌るレール溝82が受け台22に設けられているので、受け台22に対するジャッキ装置21の位置がずれている場合であっても、受け台22に対するジャッキ装置21の位置を水平方向について容易に調整することができる。
【0125】
なお、上記の例では、受け台12及び受け台22のうち、受け台22のみが水平方向について伸縮可能になっているが、受け台12のみを水平方向について伸縮可能としてもよいし、受け台12及び受け台22のそれぞれを水平方向について伸縮可能としてもよい。受け台12を伸縮可能とした場合は、案内レール81がジャッキ装置11に水平に設けられ、案内レール81がスライド可能に嵌るレール溝82が受け台12に設けられる。
【0126】
また、上記の例では、受け台12,22が伸縮可能な構成、及び案内レール81とレール溝82との組み合わせの構成が、実施の形態4に適用されているが、これらの構成を実施の形態1〜3に適用してもよい。