【文献】
GARCIA-RUANO J. L. et al.,SCIENCE of SYNTHESIS,2007年,39,pp.757-809
【文献】
ALLENMARK S.,On the Synthesis and properties of 1-thiacyclobutane-3-carboxylic acid 1-oxide,ACTA CHEMICA SCANDINAVICA,1964年,18(9),pp.2197-2198
【文献】
CISTARO C. et al.,JOURNAL OF MAGNETIC RESONANCE,1974年,15,pp.367-381
【文献】
SOKOLOV V. V. et al.,RUSSIAN JOURNAL of ORGANIC CHEMISTRY,2005年,41(7),pp.1023-1035
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2〜5のいずれか一項に定義される工程a−1、またはa−4を行うことを含む、請求項2〜5のいずれか一項に定義される式III−1、またはIII−4の化合物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態においては本発明は、
a−1.式IIの化合物をN
3-と水の存在下で反応させて式III−1
【化3】
の化合物を与える工程と
b−1.式III−1の化合物を好適な還元剤と反応させて式Iの化合物を与える工程と
を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0008】
N
3-は、N
3-を水性溶液中で式IIの化合物と反応させる任意の好適な形態で提供されてもよい。それは通常、塩、たとえば、アジ化ナトリウム、リチウム、セシウムまたはカリウムなどのアルカリ金属塩の形態で溶液に加えられるであろう。ナトリウムおよびカリウムが好ましく、アジ化ナトリウムが最も好ましい。
【0009】
好適な還元剤は、プロトン源の存在下での金属もしくは金属塩、水素化物試薬、または不均一触媒の存在下での水素、特に水素化物試薬、または不均一触媒の存在下での水素であってもよい。水素化物試薬の例はたとえば、NaBH
4またはZn(BH
4)
2などの、BH
4源、LiMe
2NBH
3、LiAlH
4、BHCl
2、B
2H
6である。NaBH
4は、相間移動触媒とまたはCoCl
2、NiCl
2もしくは1,3−プロパンジチオール、好ましくはCoCl
2、もしくはNiCl
2などの触媒と組み合わせて使用されてもよい。水素と一緒の使用のための不均一触媒の例としては、金属、たとえばPd、Niおよび/またはPtを含むものが挙げられる。Pdベースの触媒の例としては、Pd/C、Pd/Al
2O
3、Lindlar(リンドラー)触媒(炭酸カルシウム上に堆積され、鉛で処理されたパラジウム)が挙げられる。Ptベースの触媒の例としては、アダム(Adam)触媒(二酸化白金)、Pt/Cが挙げられる。
【0010】
好適な金属もしくは金属塩の例は、族I金属(たとえばナトリウムまたはカリウム)、族II金属(たとえばカルシウムまたはマグネシウム)、チタン(たとえばTiCl
3)、クロム(たとえばCrCl
2)、鉄、ニッケル(たとえばRaney Nickel(ラネーニッケル))、亜鉛である。プロトン源は、有機もしくは無機酸またはプロトン性溶媒たとえばアルコール、水であってもよく、そのプロトン源は、金属もしくは金属塩の存在下で水素を生成することができる。
【0011】
マグネシウムは、プロトン性溶媒、たとえば水および/またはアルコールの存在下で好ましくは使用され、ここで、アルコールは好ましくは、R−OH(式中、RはC
1〜C
12アルキルである)などの脂肪族アルコールである。マグネシウムは、メタノールの存在下で好ましくは使用される。
【0012】
カルシウムは、プロトン性溶媒、たとえば水および/またはアルコールの存在下で好ましくは使用され、ここで、アルコールは好ましくは、R−OH(式中、RはC
1〜C
12アルキルである)などの脂肪族アルコールである。カルシウムは、メタノールの存在下で好ましくは使用される。
【0013】
TiCl
3は、プロトン性溶媒、たとえば水および/またはアルコールの存在下で好ましくは使用され、ここで、アルコールは好ましくは、R−OH(式中、RはC
1〜C
12アルキルである)などの脂肪族アルコールである。TiCl
3は、水の存在下で好ましくは使用される。
【0014】
CrCl
2は、プロトン性溶媒、たとえば水および/またはアルコールの存在下で好ましくは使用され、ここで、アルコールは好ましくは、R−OH(式中、RはC
1〜C
12アルキルである)などの脂肪族アルコールである。CrCl
2は、水の存在下で好ましくは使用される。
【0015】
鉄は、プロトン性溶媒、たとえば水および/またはアルコールの存在下で好ましくは使用され、ここで、アルコールは好ましくは、R−OH(式中、RはC
1〜C
12アルキルである)などの脂肪族アルコールである。鉄は、水とエタノールとの混合物の存在下で好ましくは使用される。鉄は、活性化剤、たとえば、プロトン酸(たとえば鉱酸)、および/またはAlCl
3などの、好適な酸と組み合わせて還元剤として好ましくは使用される。好ましくは鉄は、水およびアルコールの存在下で、AlCl
3と組み合わせて使用される。
【0016】
好ましくは、還元剤は、マグネシウム、鉄、Raneyニッケル、Raneyニッケルの存在下でのH
2、Pt/Cの存在下でのH
2、Pd/Cの存在下でのH
2、NiCl
2の存在下でのナトリウムボロハイドレート、CoCl
2の存在下でのナトリウムボロハイドレート、ホスフィン、より好ましくはRaneyニッケルの存在下でのH
2、Pt/Cの存在下でのH
2、Pd/Cの存在下でのH
2、NiCl
2の存在下でのナトリウムボロハイドレート、CoCl
2の存在下でのナトリウムボロハイドレート、水および/またはアルコールの存在下でのマグネシウム、または水および/またはアルコールの存在下でのFe/AlCl
3と組み合わせた鉄であってもよい。
【0017】
還元剤が金属もしくは金属塩であるときには、それは、実質的に化学量論量で使用される。
【0018】
さらなる実施形態においては本発明は、
a−2.式IIの化合物を式N−2
【化4】
(式中、R
1は、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)
の化合物と水の存在下で反応させて式III−2
【化5】
(式中、R
1は、式N−2の化合物について定義された通りである)
の化合物を与える工程と、
b−2.式III−2の化合物を、スルホンアミド基のS−N結合を開裂させるために好適な試薬と反応させて式Iの化合物を与える工程と
を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0019】
R
1がアルキルまたはハロアルキル(たとえばトリフルオロ
メタンスルホンアミド)である場合には、スルホンアミド基のS−N結合を開裂させるために好適な試薬としては、Red−Al(水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム)が挙げられてもよく、R
1が任意選択的に置換されたフェニルである場合には、好適な試薬としては、SmI
2およびピロリジン、PhSHおよびK
2CO
3、PhSHおよびiPr
2NEt(ジイソプロピルエチルアミン)、ジオキサン中のHCl、Li/ナフタレン、HSCH
2CO
2HおよびK
2CO
3、MeOH中のMgが挙げられてもよい。
【0020】
さらなる実施形態においては本発明は、
a−3i.式IIの化合物を式N−3a
【化6】
(式中、
R
3およびR
4は独立して、H、C
1〜C
8アルキルまたはC
1〜C
8ハロアルキル、C
1〜C
8アルコキシ、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)
の化合物と水の存在下で反応させて式III−3a
【化7】
[式中、R
3は、式N−3aの化合物について定義された通りであり、R
12は水素または−C(=O)−R
4(式中、R
4は、式N−3aの化合物について定義された通りである)である]
の化合物を与える工程;または
a−3ii.式IIの化合物を式N−3b
【化8】
(式中、A
6およびA
7は独立して、C(R
9)R
10またはNR
11であり、ただし、A
6およびA
7は両方ともNR
11であることはなく、またはA
6およびA
7は一緒になって−C(R
9)=C(R
9)−であり;
各R
9、R
10およびR
11は独立して、水素、C
1〜C
8アルキルまたはC
1〜C
8ハロアルキルである)
の化合物と水の存在下で反応させて式III−3b
【化9】
(式中、A
6およびA
7は、式N−3bの化合物について定義された通りである)
の化合物を与える工程;または
a−3iii.式IIの化合物を式N−3c
【化10】
(式中、各R
8は独立して、ハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルまたはC
1〜C
4アルコキシであり、nは0〜4である)
の化合物と水の存在下で反応させて式III−3c
【化11】
(式中、R
8およびnは、式N−3cの化合物について定義された通りである)
の化合物を与える工程と;
b−3.式III−3a、III−3bまたはIII−3cの化合物を、それぞれ式III−3a、III−bまたはIII−3cの化合物のアミド基のC−N結合を開裂させるために好適な試薬と反応させて式Iの化合物を与える工程と
を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0021】
R
3がトリフルオロメチルである場合には、アミド基のC−N結合を開裂させるために好適な試薬としては、H
2/Pd、MeOH中のNaBH
4、HCl、EtOH中のMeNH
2が挙げられてもよい。R
3がアルキル、ハロアルキル、フェニルまたは任意選択的に置換されたフェニルである場合には、そしてすべての他の場合には、好適な試薬としては、KOH、MeOH中のK
2CO
3、H
2/Pd、MeOH中のHClが挙げられてもよい。R
3がC
1〜C
4アルコキシである場合には、反応は、MeOH中のTFA、ジオキサン中のHCl、KOHで行うことができる。
【0022】
さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−3iおよびb−3iを行うことを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−3iiおよびb−3iiを行うことを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−3iiiおよびb−3iiiを行うことを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0023】
さらなる実施形態においては本発明は、
a−4.式IIの化合物をNH
2OHと水の存在下で反応させて式III−4
【化12】
の化合物を与える工程と
b−4.式III−4の化合物を好適な還元剤と反応させる工程と
を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0024】
好適な還元剤としては、MeOH中のTiCl
3、AcOH中のCu/Zn合金、LiAlH
4、AcOH中のZn、H
2/Pd、TiCl
4およびNaBH
4、H
2およびRaneyニッケル、H
2およびPd(OH)
2、H
2およびPtO
2が挙げられてもよい。
【0025】
さらなる実施形態においては、本発明は、
a−5.式IIの化合物をNH
3と水の存在下で反応させて式Iの化合物を与える工程を含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0026】
本方法は、ステップa.の前に、
a−1.式IV
【化13】
の化合物をチオ尿素と水の存在下でまたはSCN
-と水の存在下で反応させて式II
【化14】
の化合物を与える工程を含んでもよい。
【0027】
本方法が式IVの化合物から出発する場合には、本方法は、式IIの化合物の単離なしに式Iの化合物に進んでもよい。
【0028】
さらなる態様においては本発明は、
a.式II
【化15】
の化合物を求核試薬と水の存在下で反応させて、チエタン部分の3位の炭素原子が窒素原子と結合しているチエタン部分を含む化合物を与える工程であって、
求核試薬が、N
3-、2個の水素原子が窒素原子に結合したスルホンアミド、水素原子が窒素原子に結合したジイミドまたはそのアニオン、NH
2OHおよびNH
3からなる群から選択される工程
を含むチエタン部分の3位の炭素原子が窒素原子と結合しているチエタン部分の製造方法を提供する。
【0029】
一実施形態においては本発明は、ステップa−1を行うことを含む、式III−1の化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、a−2を行うことを含む、式III−2の化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、a−3iを行うことを含む、式III−3aの化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−3iiを行うことを含む式III−3bの化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−3iiiを行うことを含む式III−3cの化合物の製造方法を提供する。さらなる実施形態においては本発明は、ステップa−4を行うことを含む式III−4の化合物の製造方法を提供する。
【0030】
さらなる態様においては本発明は、上記の通りステップbを行うことを含む式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0031】
一実施形態においては本発明は、ステップb−1、b−2、b−3i、b−3ii、b−3iiiまたはb−4を行うことを含む、式Iの化合物の製造方法を提供する。一実施形態においては本発明は、式III−1の化合物を好適な還元剤と反応させることを含む式Iの化合物の製造方法を提供する。一実施形態においては本発明は、式III−2の化合物を、スルホンアミド基のS−N結合を開裂させるために好適な試薬と反応させることを含む式Iの化合物の製造方法を提供する。一実施形態においては本発明は、式III−3a、III−3bまたはIII−3cの化合物を、アミド基のC−N結合を開裂させるために好適な試薬と反応させることを含む式Iの化合物の製造方法を提供する。一実施形態においては本発明は、式III−4の化合物を好適な還元剤と反応させることを含む式Iの化合物の製造方法を提供する。
【0032】
さらなる態様においては本発明は、式III−1、III−2、III−3a、III−3b、III−3cおよびIII−4
【化16】
の化合物を提供する。
R
1、R
3、R
8、n、A
6、A
7、R
8、nおよびR
12は、上に定義された通りである。
式III−1およびIII−4の化合物が好ましく、III−1がより好ましい。
【0033】
プロセスステップaおよびbが今より詳細に説明される。
【0034】
プロセスステップa
水は、好ましくは溶媒として、より好ましくは有機溶媒、たとえば、反応がそのとき二相系で行われるように、好ましくは水と混ざらない有機溶媒との共溶媒として使用される。二相系を用いることの利点は、不純物をアジド生成物から容易に分離できることである。有機共溶媒は、非プロトン性であることが好ましく、より好ましくはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、またはメチル−第三ブチルエーテルから選ばれる。
【0035】
反応は、過剰のエピチオクロロヒドリンを使ってまたは過剰のアジ化ナトリウムを使って、好ましくは化学量論比でまたはどちらかの試薬のわずかな過剰で行うことができる。反応は通常、大気圧で実施され、そして通常5℃〜100℃、好ましくは20℃〜60℃の温度で実施される。反応時間は、たとえば1時間〜48時間、一般に2時間〜20時間である。
【0036】
あるいは、式(III−1)の化合物は、式(IV)のエピクロロヒドリンをたとえばアジ化ナトリウムとチオ尿素またはチオシアン酸カリウムもしくはチオシアン酸アンモニウムなどのチオシアン酸塩の存在下に反応させることによって製造することができる。そのような反応は、チエタン−3イル−アジドへのエピチオクロロヒドリンの転化について前に記載されたものと同じ条件下に行われてもよい。この場合には溶媒は好ましくはヘキサンと水との混合物であり、反応はたとえば30〜70℃で、通常約50℃で行われる。
【0037】
求核試薬がスルホンアミド、ジイミドまたはヒドロキシルアミンであるきには、反応はまた、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなどの好適な塩基の存在下で実施することができる。求核試薬がヒドロキシルアミドであるときには、反応は、1〜10当量、好ましくは2〜5当量のヒドロキシルアミンを使って行われてもよい。
【0038】
プロセスステップb
式III−1の化合物の還元
式Iの化合物への式(III−1)の化合物の還元は、次の文献に記載されているように多種多様な方法を用いて行うことができる:Chemical Reviews 1988,88,297−368およびその中の参考文献;Synthesis 2001,81−84;Synthesis 2000,646−650;Tetrahedron Letters,2011,52,2730−2732およびその中の参考文献;Organic Preparations and Procedures International 2002,34,109,111−147およびその中の参考文献;Science of Synthesis 2009,40a,119−156およびその中の参考文献;Angewandte Chemie,International Edition 2005,44,5188−5240およびその中の参考文献。
【0039】
この反応は、LiALH
4(Tetrahedron Lett.1975,2455に記載されているように);NaBH
4(Synthesis 1975,590に記載されているように)、相間移動触媒とともにNaBH
4(J.Org.Chem.1982,47,4327−4329に記載されているように);NaBH
4およびCoCl
2(Synthesis 2000,646−650に記載されているように)、NiCl
2(Synthesis 2001,81−84に記載されているように)またはCuSO
4(Synth.Commun.1994,24,549に記載されているように)などの触媒;化学量論量のメタノールとともにTHF中のNaBH
4(Synthesis 1987,48に記載されているように)で実施することができる。
【0040】
たとえば、反応がNaBH
4で実施されるときには、一般に0.25〜4当量、好ましくは0.25〜1当量のNaBH
4。反応は一般に、触媒として0.01当量〜0.5当量、好ましくは0.01〜0.1当量のCoCl
2またはNiCl
2を使用して行われる。反応は通常、0℃〜100℃、好ましくは0℃〜30℃の温度で、大気圧で行われる。水は、好ましくは溶媒として、より好ましくは有機溶媒、反応を二相系で行うことができるように、たとえば水と混ざらない有機溶媒との共溶媒として、この変換に使用することができる。有機共溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム、一般にヘキサンおよびジクロロメタンから好ましくは選ばれる。溶媒は、溶媒の混合物であってもよい(これは、特に明記しない限り、溶媒のリストが記載されるときはいつでも全体にわたって適用される)。
【0041】
あるいは、反応は、水素化ホウ素交換樹脂−Ni(OAc)
2などの変性水素化ホウ素ナトリウム還元剤(Synth.Commun.1994,23,3047に記載されているように);Zn(BH
4)
2(J.Org.Chem.1994,59,4114に記載されているように);LiMe
2NBH
3(Tetrahedron Lett.1995,36,2567に記載されているように);BHCl
2・DMS(Tetrahedron 2002,58,10059−10064およびTetrahedron Lett.1995,36,7987−7990に記載されているように)、NaBH
4および触媒としての1.3−プロパンジチオール(Tetrahedron Lett.1993,34,7509−7512に記載されているように)で;ならびにB
2H
6(J.Am.Chem.Soc.1965,87,4203に記載されているように)で行うことができる。
【0042】
あるいは、反応は、H
2およびLindlar触媒(Tetrahedron Lett.1983,24,5211に記載されているように);AcOHまたはMeOH中のH
2およびPd/C(J.Org.Chem.1985,50,3007に記載されているように);H
2およびアダム(Adam)触媒(Tetrahedron Lett.1985,26,101に記載されているように);H
2およびRaney Nickel;H
2およびPt/C;NaH
2PO
2およびPd/C(J.Org.Chem.1985,50,3408およびChem.Lett.1984,1733に記載されているように)などの条件での接触水素化によって行うことができる。接触還元はまた、H
2の代わりに水素供与体源としてのギ酸アンモニウム、シクロヘキセンまたはヒドラジン水和物(それぞれ、Tetrahedron Lett.1983,24,1609、Chem.Rev.1974,74,567、Acta Chim.Acad.Sei.Hung.1982,111,173に記載されているように)で行うことができる。
【0043】
反応が、H
2および不均一触媒を使用して行われるときには、反応は、1〜100バール、一般に1〜20バールの圧力で一般に実施される。温度は通常、0℃〜100℃、一般に20〜50℃である。一般に0.01〜1当量、一般に0.1〜0.75当量の、Pd/C、Pt/C、Pd/Al
2O
3またはRaney Nickelなどの触媒が使用される。反応は、たとえばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム、一般に、ヘプタン、エタノールまたはそれらの混合物から選ばれる溶媒中で行うことができる。反応時間は、たとえば1〜72時間、一般に2時間〜36時間であり得る。
【0044】
あるいは、この還元はまた、R
13P(式中、R
1は、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)、(RO)
3P(式中、RはC1〜C5アルキルである)(Synthesis 1985,202に記載されているように)で行うことができる。反応は、大気圧で、0℃〜100℃、好ましくは0℃〜50℃の温度で行われる。水は、溶媒としてまたはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、一般にヘプタンから選ばれる有機溶媒との共溶媒として、この変換のために必要とされる。
【0045】
あるいは、還元はまた、H
2S(Synthesis,1977,55に記載されているように)、PhSH、亜ジチオン酸ナトリウム(J.Org.Chem.1984,49,5164に記載されているように)、Na
2S/Et
3N(J.Org.Chem.1979,44,4712に記載されているように)、Et
3NありまたはなしのR
1R
2S(式中、R
1およびR
2は独立して、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)(J.Org.Chem.1995,60,2254−2256およびJ.Org.Chem.1999,64,4183−4186に記載されているように)で行うことができる。あるいは、還元はまた、S(SiMe
3)
2(J.Org.Chem.1995,60,2254に記載されているように)でまたはHSCH
2CO
2HおよびEt
3N(Chem.Ind.(London)1982,720に記載されているように)で、Na
3SPO
3(Tetrahedron Lett.2011,52,2730−2732に記載されているように))で行うことができる。
【0046】
あるいは、還元はまた、MeNH
2、Me
2NHまたはEt
3N(J.Heterocycl.Chem.USSR(Engl.Transl.)1982,647に記載されているように)で行うことができる。
【0047】
あるいは、還元はまた、Cr(II)(Tetrahedron 1973,29,1801に記載されているように);V(II)(Synthesis 1976,815に記載されているように)、Ti(III)(Svnthesis 1978,65に記載されているように)、Mo(III)(Synthesis 1980,830に記載されているように)、Bu
3SnH(J.Organomet.Chem.1967,7,518に記載されているように)、KHFe(CO)
4(Tetrahedron Lett.1985,26,3277に記載されているように);Fe
2(CO)
9(Bull.Chem.Soc.Jpn.1984,57,1035に記載されているように);Fe/NiCl
2・6H
2O(Tetrahedron Lett.1996,37,4559に記載されているように);H
2NNMe
2/FeCl
3・6H
2O(Chem.Lett.1998,593に記載されているように)、(n−Bu
4)
3[Mo
2Fe
6S
8−(Sph)
9](Chem.Lett.1985,401に記載されているように)、SnCl
2(Tetrahedron Lett.1986,27,1423に記載されているように)、P
2I
4(Bull.Chem.Soc.Jpn.1985,58,1861に記載されているように)、RHCl
3/CO(Chem.Lett.1986,1149に記載されているように)、SmI
2(Tetrahedron Lett.1995,36,7427に記載されているように)、Sm/I
2(Tetrahedron Lett.1997,38,1065に記載されているように)、AlI
3、(Indian J.Chem.,Sect.B 1999,38,128に記載されているように)、(PhCH
2NEt
2)
2MoS
4(J.Org.Chem.1995,60,7682に記載されているように)、In/NH
4Cl(Tetrahedron Lett.1999,40,3937に記載されているように)、Ca(BH
2S
3)
2(Synth.Commun.2000,30,587−596に記載されているように)で行うことができる。
【0048】
あるいは、還元はまた、Zn/HCl(J.Chem.Soc.Chem.Commun.1970,64に記載されているように)、Zn/NiCl
2、(Synlett 1997,1253に記載されているように)、HBr/AcOH(J.Am.Chem.Soc.1962,84,485に記載されているように);Zn/NH
4Cl(Synth.Commun.,2002,32,3279−3284に記載されているように);Fe/NH
4Cl(Synth.Commun.2002,32,3279−3284に記載されているように);リサイクル可能なポリマー担持ホルメートおよび亜鉛(J.Chem.Res.2007,5,284−286に記載されているように);Fe/AlCl
3・6H
2O(P.−W.Zhengら、Chinese Journal of Chemistry 2006,24,825に記載されているように)メタノール中Mg(S.N.Maiti,P.Spevak,A.V.Narender Reddy,Synthetic Communications 1988,18,1201)で行うことができる。Fe/AlCl
3は通常、水およびエタノールなどのアルコールの存在下で使用される。
【0049】
あるいは、還元はまた、Me
3SiI(Tetrahedron Lett.1997,38,6945に記載されているように)で行うことができる。
【0050】
あるいは、還元はまた、Na/NH
3、MeOH(Tetrahedron Lett.1985,26,3299に記載されているように)で行うことができる。
【0051】
あるいは、還元はまた、パン酵母(Synlett 1996,1193−1194)およびリパーゼ(Chem.Biodiversity 2004,1,925−929に記載されているように)などの酵素で行うことができる。
【0052】
式III−2の化合物の開裂
式Iの化合物への式(III−2)の化合物の転化は、式(III−2)(式中、R
1は、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)の化合物、好ましくはトリフルオロ
メタンスルホンアミドからのスルホニル基の開裂によって行うことができる。
【0053】
R
1がトリフルオロスルホンアミドである場合には、この反応は、Red−Al(Organic Reactions(Hoboken,NJ,United States),36,1988に記載されているように)(水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム)で行うことができる。R
1がフェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである場合には、反応は、SmI
2およびピロリジン(Tetrahedron,2010,66,8982−8991に記載されているように)、PhSHおよびK
2CO
3(Tetrahedron Lett.,2010,51,5223−5225に記載されているように)、PhSHおよびiPr
2Net(J.Am.Chem.Soc.2010,132,6286−6287に記載されているように)、ジオキサン中のHCl(Bioorg.Med.Chem.Lett.,2009,19,6784−6787に記載されているように)、Na/ナフタレン(Angew.Chem.,Int.Ed.,2010,49,7092−7095に記載されているように)、Li/ナフタレン(Tetrahedron Lett.,2010,51,325−327に記載されているように)、HSCH
2CO
2HおよびK
2CO
3(Chem.Commun.,2010,46,5957−5959に記載されているように)、MeOH中のMg(Chem.Eur.J.2010,16,1153−1157に記載されているように)で行うことができる。
【0054】
式III−3の化合物の開裂
式Iの化合物への式(III−3)の化合物の転化は、R
3が、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシ、好ましくはメチル、O−第三ブチルまたはO−メチルから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである、式(III−3)の化合物からのたとえばアシルまたはカルバメート基の開裂によって行うことができる。
【0055】
R
3がトリフルオロ基である場合には、この反応は、H
2/Pd(Organic & Biomolecular Chemistry,9(3),872−880;2011)、MeOH中のNaBH
4(Journal of Proteome Research,2011,10(4),1698−1718)、HCl(Tetrahedron,2011,67(3),641−649)、EtOH中のMeNH
2(Tetrahedron Lett.,2011,52(2),181−183)で行うことができる。R
3が、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキルから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである場合には、反応は、KOH(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2011,21(1),514−516)、MeOH中のK
2CO
3(国際公開第2010/0707号パンフレット)、H
2/Pd(J.Org.Chem.,2011,76(5),1228−1238),MeOH中のHCl(Tetrahedron Lett.,2011,52(4),495−498)で行ことができる。R
3がC
1〜C
4アルコキシである場合には、反応は、MeOH中のTFA(Tetrahedron Lett.,2011,52(12),1253−1255)、ジオキサン中のHCl(Journal of Medicinal Chemistry,2011,54(6),1762−1778)、KOH(Chemical Communications 2010,46,5319−5321)で行うことができる。反応は通常、1〜5当量、一般に1〜3当量のトリフルオロ酢酸で、0℃〜100℃、一般に0℃〜50℃の温度で、大気圧で行われる。反応は通常、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム、一般にジクロロメタンから選ばれる溶媒中で行われる。
【0056】
式III−4の化合物の還元
式Iの化合物への式(III−4)の化合物の還元は、式(III−4)の化合物からのN−O結合の開裂によって行うことできる。
【0057】
この反応は、MeOH中のTiCl
3(Organic Letter,9,3761−3764;2007に記載されているように)、AcOH中のCu/Zn合金(Heterocycles 2009,79,721−738に記載されているように)、LiAlH
4(Org.Biomol.Chem.2007,5,2413−2422に記載されているように)、AcOH中のZn(Bioorg.Med.Chem.2007,15,3783−3800に記載されているように)、H
2/Pd(J.Am.Chem.Soc.1995,117,10443−10448に記載されているように)、TiCl
4およびNaBH
4(J.Med.Chem.2001,44,4677−4687に記載されているように)、H
2およびRaneyニッケル(Chem.Pharm.Bull.1987,35,4672−4675に記載されているように)、H
2およびPd(OH)
2(Helv.Chim.Acta 1987,70,1461−76に記載されているように)、H
2およびPtO
2(Carbohydrate Research 1985,136,195−206に記載されているように)で行うことができる。
【0058】
さらなる態様においては本発明は、式I
【化17】
化合物の製造方法であって、
i.式V
【化18】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は独立して、CH、C−R
13または窒素であり、式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の1つ以下が窒素であり、各R
13は独立して、ハロゲン、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキル、またはC
1〜C
4アルコキシである)
の化合物をアンモニアと反応させて式Iの化合物を与える工程
を含む方法を提供する。
【0059】
アンモニアは、たとえば液体形態で提供される。液体のアンモニアは、水性もしくはメタノールなどのアルコール溶媒中であっても、実質的にニートであってもよい。
【0060】
式Vの化合物は、たとえばステップi−i、ステップi−iiまたはステップi−iiiによって製造されてもよい:
ステップi−i.は、式II
【化19】
の化合物を式VI
【化20】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、式Vの化合物について定義された通りである)
の化合物と水の存在下で反応させて式Vの化合物を与えることを含む。
【0061】
ステップi−ii.は、式IV
【化21】
の化合物を式VI
【化22】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、式Vの化合物について定義された通りである)
の化合物およびチオ尿素と水の存在下でまたはSCNと水の存在下で反応させて式Vの化合物を与えることを含む。
【0062】
ステップi−iii.は、式VIII
【化23】
の化合物を式VI
【化24】
(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、式Vの化合物について定義された通りである)
の化合物と式IXの化合物、式Xの化合物
【化25】
(式中、
R
5はハロゲンであり、各R
6およびR
7は独立して、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキル、フェニルまたはハロゲン、CN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)
またはSOCl
2の存在下に反応させて式Vの化合物を与えることを含む。
【0063】
好ましくは式Vの化合物は、式V−1
【化26】
の化合物である。
【0064】
好ましくは式VIの化合物はピリジンである。
【0065】
さらなる態様においては本発明は、式V
【化27】
の化合物を提供し、
ここで、式Vの化合物は、式V−1
【化28】
の化合物ではない。
(式V−Iの化合物は、University Microfilms,Ann Arbor,Michiganから入手可能な、Christy、The Synthesis and Reactions of Derivatives of Thietanes and Thietene,1961,PhD thesis,University of Pennsylvaniaに開示されている。)
【0066】
式Vの化合物は、対イオンX
-の、塩として提供されてもよい。X
-は、たとえばハロゲン、たとえば塩素もしくは臭素、スルホネート、またはOCN
-、たとえば、Cl
-、Br
-、R
7SO3
-、OCN
-であってもよい。R
7は、式Xの化合物について記載された通りである。
【0067】
ステップi、i−i.、i−ii.およびi−iii.は、下により詳細に説明される。
【0068】
ステップi
式(I)の化合物は、たとえば式(V)の塩をアンモニアと反応させることによって得ることができる。この反応は通常、マイクロ波照射ありまたはなしで、大気圧よりも高い圧力、好ましくは5〜50バールの圧力下で行われる。温度は50℃〜250℃であってもよい。この反応のための好ましい溶媒は、水、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどのアルコール、好ましくはメタノールまたはエタノールである。アンモニアは通常、過剰に、好ましくは10〜100当量で使用される。式Vの化合物は通常、1M〜20Mの濃度で存在する。反応時間は、たとえば1〜72時間、一般に2時間〜36時間であり得る。
【0069】
ステップi−i、i−iiおよびi−iii
【化29】
ステップi−i.によれば、式(V)(式中、X
-はたとえばCl
-、Br
-、R
7SO3
-、OCN
-である)の化合物は、チエタン−3−オールを、(IX)または(X)(式中、R
5はハロゲンであり、各R
6およびR
7は独立して、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキル、フェニルまたはCN、NO
2、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4ハロアルキルおよびC
1〜C
4アルコキシから独立して選択される1〜5つの基で置換されたフェニルである)などの活性化スルホニル化剤、および式(VI)(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の1つ以下が窒素である)の化合物と反応させることによって得ることができる。ピリンとのそのような反応は、M.E.Christy,「The synthesis and reactions of derivatives of thietane and thietene」,Ph.D.Thesis,University of Pennsylvania,1961、およびS.M.Kotin,Synthesis and reactions of thietane and its derivatives Ph.D.Thesis,University of Pennsylvania,1962に記載されている。この反応は通常大気圧で行われる。温度は好ましくは50℃未満、好ましくは30℃未満、より好ましくは10℃未満、たとえば−30℃〜10℃、好ましくは−30℃〜0℃である。反応は、有機溶媒、たとえばトリクロロメタンなどのハロアルキル中で行われてもよい。塩基、たとえばトリエチルアミンなどの有機塩基が存在してもよい。反応時間は、たとえば1〜72時間、一般に2時間〜36時間であり得る。
【0070】
ステップi−ii.によれば、式(V)(式中、X
-はたとえばクロリドである)の化合物は、エピチオクロロヒドリンを、式(VI)(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の1つ以下が窒素である)の化合物、たとえばピリジンと反応させることによって得ることができる。この反応は水を必要とし、水は通常、有機溶媒と一緒の共溶媒として使用される。有機溶媒は、たとえばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム、一般に、ヘプタン、ヘキサンもしくはトルエンまたはそれらの混合物から選ばれる。反応は通常、20℃〜100℃、好ましくは40℃〜60℃、通常約50℃の温度で実施される。反応時間は、たとえば1〜36時間、一般に2時間〜24時間であり得る。
【0071】
ステップi−iii.によれば、式(V)(式中、X
-はたとえばクロリドである)の化合物は、エピクロロヒドリンをチオ尿素またはチオシアン酸塩、たとえばチオシアン酸アンモニウムおよび式(VI)(式中、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5の1つ以下が窒素である)の化合物、たとえばピリジンと反応させることによって得ることができる。この反応は水を必要とし、水は通常、有機溶媒と一緒の共溶媒として使用される。有機溶媒は、たとえばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、メチル−第三ブチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソ−プロパノール、ジクロロメタン、ジクロロエタンもしくはクロロホルム、一般に、ヘプタン、ヘキサンもしくはトルエンまたはそれらの混合物から選ばれる。反応は通常、20℃〜100℃、好ましくは40℃〜60℃、通常約50℃の温度で実施される。反応時間は、たとえば1〜36時間、一般に2時間〜24時間であり得る。
【0072】
さらなる態様においては本発明は、式I
【化30】
の化合物の製造方法であって、
1)式II
【化31】
の化合物をシアニド源と水の存在下に反応させて式XI
【化32】
の化合物を与える工程と
2)式XIの化合物を加水分解して、または式XIの化合物をアセトアルデヒドヒドロキシムとInCl
3などの金属触媒の存在下で反応させて式XII
【化33】
の化合物を与える工程と
3)式XIIの化合物を、式XIII
【化34】
の化合物などの臭素化剤と、無水条件下にメトキシド、もしくはt−ブトキシドの存在下でまたは水性条件下にテトラ−n−ブチルアンモニウムブロミドの存在下で反応させてそれぞれ式XIV、XVまたはXVI
【化35】
の化合物を与える工程と
4)工程3)の生成物を加水分解して式Iの化合物を与える工程と
を含む方法を提供する。
【0073】
ステップ1)のシアニド源は、アルカリ金属塩M−CN(式中、Mはたとえばカリウムまたはナトリウムである)などのシアニド塩としてたとえば提供される、たとえばCN
-である。
【0074】
さらなる態様においては本発明は、式XI、XII、XIVおよびXVI
【化36】
の化合物を提供する。
【0075】
さらなる態様においては本発明は、式I
【化37】
の化合物の製造方法であって、
1)式II
【化38】
の化合物をシアニド源と水の存在下で反応させて式XI
【化39】
の化合物を与える工程
5)式XIの化合物を加水分解して式XVII
【化40】
の化合物を与える工程
6)式XVIの化合物をヒドロキシルアミンと反応させて式XVIII
【化41】
の化合物を与える工程
7)式XVIIIの化合物を、式XIX
【化42】
の化合物などの脱水剤とメタノールの存在下で反応させて式XIV
【化43】
の化合物を与える工程
8)式XIVの化合物を加水分解して式Iの化合物を与える工程
を含む方法を提供する。
【0076】
さらなる態様においては本発明は、式I
【化44】
の化合物の製造方法であって、
1)式II
【化45】
の化合物をシアニド源と水の存在下で反応させて式XI
【化46】
の化合物を与える工程
5)式XIの化合物を加水分解して式XVII
【化47】
の化合物を与える工程
9)式XVIの化合物をアジ化水素酸と反応させることによって、または式XVIの化合物をジフェニルホスホリルアジドと反応させ、引き続くアルコールとの反応によって相当するエステルを得て、引き続き脱保護して式Iの化合物を提供することによって式XVIの化合物を式Iの化合物に転化する工程
を含む方法を提供する。
【0077】
さらなる態様においては本発明は、式XI
【化48】
の化合物の製造方法であって、
1)式II
【化49】
の化合物をシアニド源と反応させて式XIの化合物を与える工程
を含む方法を提供する。
【0078】
さらなる態様においては本発明は、式XVIIの化合物および式XVIIIの化合物
【化50】
を提供する。
【0079】
ステップ1〜8は下により詳細に記載される。
【0080】
ステップ1、2および5
【化51】
チエタン−3−ニトリル(XI)は、20℃〜100℃、好ましくは40〜60℃、好ましくは約50℃の温度で、ベンゼンまたはテトラヒドロフランなどの有機溶媒との好ましくは共溶媒としての、水の存在下で、シアン化ナトリウムまたはシアン化カリウムなどの、シアニドM−CNとのエピチオクロロヒドリン(II)の反応によって得ることができる。チエタン−3−カルボン酸(XVII)およびチエタン−3−カルボン酸アミド(XII)は両方とも、標準的な加水分解法を用いて、たとえば酸または塩基を使用してチエタン−3−ニトリル(XI)から得ることができる。
【0081】
ステップ3、4、6、7および8
【化52】
式(I)の化合物は、当業者に公知の、たとえば、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−2−アミンへのビシクロ[1.1.1]ペンタン−2−カルボン酸の転化についてJ.Org.Chem.1993,58(6),1372−6に記載されているように、様々な可能な条件下にアジ化水素酸での処理を伴うSchmidt(シュミット)転位によって式(XVII)のチエタン−3−カルボン酸から得ることができる。あるいは、(XVII)は、当業者に公知の異なる可能な条件、たとえば、ジフェニルホスホリルアジドでの(XVII)の処理、引き続く加熱およびベンジルアルコールまたは第三ブタノールなどのアルコールとの反応を用いるCurtius(クルチウス)転位によって(I)に転化されてもよく;相当するエステルが得られ、その後、水素化分解(ベンジルエステル)またはトリフルオロ酢酸での処理(第三ブチルエステル)によって脱保護されてアミンになる。そのような条件はたとえば、6−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−スピロ[3.3]ヘプタン−2−アミンへの6−[[(1,1−ジメチルエトキシ)カルボニル]アミノ]−スピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボン酸の転化についてJ.Org.Chem.,2010,75(17),5941−5952に記載されている。
【0082】
あるいは、カルボン酸(XVII)は、標準的な条件を用いてヒドロキサム酸(XVIII)に転化し、その後、酸または塩基加水分解によって脱保護してアミン(I)にすることができる、チエタン−3−アミンメチルカルバメートを与えるためにイソシアネートへのLossen(ロッセン)転位およびメタノールなどのアルコールでのその後の処理を用いてアミン(I)へ転化することができる。Lossen転位は、1,1−カルボニルジイミダゾールまたはトシルクロリドでの処理、引き続く加熱などの、当業者に公知の広範囲の条件を用いて行うことができる。そのような条件は、たとえばOrganic Lett.,2009,11(24),5622−5625に記載されている。
【0083】
あるいは、式(I)の化合物は、Hoffmann(ホフマン)転位を用いてチエタン−3−カルボン酸アミド(XII)から得ることができる。この反応は、一般に、臭素、N−ブロモスクシンイミドもしくは1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル−イミダゾリン−2,4−ジオンなどの臭素化剤で、または、任意選択的に水酸化ナトリウムもしくはナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下で、ヨードベンゼンビス(トリフルオロアセテート)でアミドを処理すること、引き続くたとえば酸または塩基を使用する加水分解によって、当業者に公知の広範囲の条件下に行うことができる。そのような反応条件は、たとえばArchives of Pharmacal Research,1992,15(4),333−5に記載されている。
【0084】
下記は、本発明のすべての態様および実施形態に適用できる好ましい置換基定義を示す。
R
1は、好ましくはC
1〜C
8ハロアルキル、より好ましくはCF
3である。
R
3およびR
4は好ましくは独立して、水素またはC
1〜C
8アルキル、より好ましくは水素またはメチルである。より好ましくはR
3およびR
4は両方とも水素または両方ともメチルである。
R
5は好ましくはClまたはBr、より好ましくはClである。
R
6およびR
7は独立して、好ましくはメチル、フェニルまたはCN、NO
2、メチル、ハロメチルおよびメトキシから独立して選択されるl〜5つの基で置換されたフェニルであり、より好ましくはR
6およびR
7は独立して、メチルまたはp−メチルフェニルである。
各R
8は好ましくは独立して、ハロゲン、メチルまたはハロメチルである。
R
9およびR
10は好ましくは独立して、水素またはC
1〜C
8アルキル、より好ましくは水素またはメチル、より好ましくはメチルである。より好ましくはR
9およびR
10は両方ともメチルである。
R
11は好ましくは水素またはC
1〜C
8アルキル、より好ましくは水素である。
R
12は好ましくは水素である。
A
6は好ましくはC(R
9)R
10である。A
7は好ましくはNR
11である。
nは好ましくは0でる。
【0085】
一般に本明細書においては、単独でかより大きい基(アルコキシ、アルキルカルボニルまたはアルコキシカルボニルなどの)の部分としてかのどちらかでの各アルキル部分は、直鎖または分岐鎖であり、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、プロピ−2−ル、n−ブチル、ブチ−2−ル、2−メチル−プロピ−1−ルまたは2−メチル−プロピ−2−ルである。アルキル基は、好ましくはC
1〜C
6アルキル基、より好ましくはC
1〜C
4、最も好ましくはC
1〜C
3アルキル基である。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。ハロアルキル基(単独でかハロアルコキシなどの、より大きい基の部分としてかのどちらかの)は、同じまたは異なるハロゲン原子の1つ以上で置換されているアルキル基であり、たとえば、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロ−エチルまたは2,2−ジフルオロ−エチルである。
【0086】
「用語水の存在下で」は、たとえば、水性溶液中でを意味する。
【0087】
本明細書に記載される化合物は、適用できる場合には、あらゆる異性体、互変異性体、塩、相当するイオン、N−オキシドなどを含む。
【0088】
温度または時間などの、反応条件が範囲、たとえばX〜Yとして与えられる場合には、その範囲に加えて、これは、「少なくともX」という個別の開示および「Y以下」という個別の開示を表す。言い換えれば、反応時間が1〜10時間として与えられる場合、これは、反応時間が少なくとも1時間、10時間以下、または1時間から10時間までであり得ることを意味する。
【0089】
以下の実施例は、本発明を例示するが、限定するものではない。
【実施例】
【0090】
次の表は、以下の実施例で用いられるLC手順を提供する。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
実施例1.1:チエタン−3イル−アジド
【化53】
ヘキサン(20mL)中のエピクロロヒドリン(1.85g)の溶液にチオ尿素(1.52g)を加えた。生じたスラリーに次にアジ化ナトリウム(1.43g)の水溶液(20mL)を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で4時間攪拌した。有機相を次に分離し、真空で濃縮して表題化合物を無色オイル(909mg)として与えた。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0095】
実施例1.2:チエタン−3イル−アジド
【化54】
ヘキサン(3mL)中のエピクロロヒドリン(460mg)の溶液にチオシアン酸カリウム(485mg)を加えた。生じたスラリーに次にアジ化ナトリウム(358mg)の水溶液(3mL)を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で16時間攪拌した。有機相を次に分離し、真空で濃縮して表題化合物を無色オイル(236mg、70%純度)として与えた。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0096】
実施例1.3:チエタン−3イル−アジド
【化55】
ヘキサン(10mL)中のエピクロロヒドリン(923mg)の溶液にチオ尿素(761mg)を加えた。生じたスラリーに次にアジ化ナトリウム(715mg)の水溶液(10mL)を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で4時間攪拌した。有機相を次に分離した。無色溶液は、安息香酸ベンジル(0.095mL)を内部標準として使用する
1H NMR分析によって示されるように524mgの表題化合物を含有した。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0097】
実施例1.4:チエタン−3イル−アジド
【化56】
ヘキサン(1.2mL)中のエピクロロヒドリン(236mg)の溶液にチオ尿素(195mg)を加えた。生じたスラリーに次にアジ化ナトリウム(183mg)の水溶液(1.2mL)を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で16時間攪拌した。有機相を次に分離した。無色溶液は、安息香酸ベンジル(0.048mL)を内部標準として使用する
1H NMR分析によって示されるように82mgの表題化合物を含有した。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0098】
実施例1.5:チエタン−3イル−アジド
【化57】
ヘキサン(10mL)中のエピクロロヒドリン(923mg)の溶液にチオ尿素(761mg)を加えた。生じたスラリーに次にアジ化ナトリウム(325mg)の水溶液(10mL)を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で24時間攪拌した。有機相を次に分離した。無色溶液は、安息香酸ベンジル(0.095mL)を内部標準として使用する
1H NMR分析によって示されるように678mgの表題化合物を含有した。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0099】
実施例1.6:チエタン−3イル−アジド
【化58】
水(12mL)およびヘキサン(10mL)中のアジ化ナトリウム(2.46g)の溶液に、ヘキサン(20mL)中のエピチオクロロヒドリン(2.0mL)の溶液を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で24時間攪拌した。層を分離し、有機相をヘキサン(2x20mL)で抽出した。合わせた有機相を次に真空で濃縮してチエタン−3イル−アジドを無色オイル(2.13g)として与えた。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0100】
実施例1.7:チエタン−3イル−アジド
【化59】
水(50mL)中のアジ化ナトリウム(12.25g)の溶液に、ヘキサン(90mL)中のエピチオクロロヒドリン(10.0mL)の溶液を加えた。生じた二相混合物を次に50℃で24時間攪拌した。層を分離し、有機相をヘキサン(3x100mL)で抽出した。合わせた有機相を次にブライン(x1)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空で濃縮してチエタン−3イル−アジドを無色オイル(10.94g)として与えた。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.21(dt,2H),3.50(dt,2H),4.61(五重線,1H).GCMS(方法C):rt=4.75分 m/z:[M−N
3]
+=73;[M−N
2+1]=88;[M+1]
+=116
【0101】
実施例2.1:3−ピリジニウム−チエタンp−トルエンスルホネート
【化60】
ジクロロメタン(3ml)中のチエタン−3−オール(450mg)およびEt
3N(1ml)の溶液を、アルゴン雰囲気下に−10℃でジクロロメタン(3ml)中のp−トルエンスルホニルクロリド(1g)の溶液に30分にわたって滴加した。黄色溶液を−10℃で1時間攪拌し、次にピリジン(1ml)を加え、生じた赤色溶液を−10℃で1時間攪拌した。沈澱固体を濾過によって集め、次にジエチルエーテル(3x5ml)で洗浄し、高真空下に乾燥させて表題化合物を白色固体(405mg)として与えた。MS(方法A)正イオン質量:152(3−ピリジニウムチエタン),負イオン質量:171(p−トルエンスルホネート).
1H−NMR(DMSO,400MHz):2.30(s,3H),3.57(t,2H),4.09(t,2H),6.16(q,1H),7.12(d,2H),7.50(d,2H),8.20(t,2H),8.66(t,1H),9.21(d,1H)
【0102】
実施例2.2:3−ピリジニウム−チエタンp−トルエンスルホネート
【化61】
クロロホルム(5ml)中のチエタン−3−オール(450mg)およびEt
3N(1.3ml)の溶液を、アルゴン雰囲気下に−20℃でジクロロメタン(10ml)中のp−トルエンスルホン酸無水物(1.63g)の溶液に30分にわたって滴加した。2時間後に、ピリジン(0.8ml)を加え、生じた混合物を室温で2日間攪拌した。沈澱固体を濾過によって集めた(300mg)。
1H−NMR(DMSO,400MHz):2.30(s,3H),3.57(t,2H),4.09(t,2H),6.16(q,1H),7.12(d,2H),7.50(d,2H),8.20(t,2H),8.66(t,1H),9.21(d,1H)
【0103】
実施例2.3:3−ピリジニウム−チエタンクロリド
【化62】
トルエン(60mL)中のエピチオクロロヒドリン(6.48g)の溶液に、水(60mL)およびピリジン(23.7g)を加えた。生じた混合物を50℃で16時間攪拌した。2相を分離し、水相を次に凍結乾燥させて黄色オイル(13.2g)を与えた。粗オイルをシリカゲルのプラグ上で濾過し、EtOH:H
2O(100:0〜95:5)で溶出した。所望の塩を、琥珀色固体(6.1g)として得て得た。
1H−NMR(D
2O,500MHz):3.59(t,2H),3.91(t,2H),5.99(dt,2H),8.00(m,2H),8.47(m,1H),8.86(m,2H).
13C−NMR(D
2O,125MHz):32.6(2C),63.8,128.1(2C),141.7,146.5(2C)
【0104】
実施例2.4:3−ピリジニウム−チエタンクロリド
【化63】
トルエン(60mL)中のエピクロロヒドリン(5.34g)の溶液に、チオシアン酸アンモニウム(9.1g)、ピリジン(23.7g)および水(60mL)を加えた。生じた混合物を50℃で16時間攪拌した。2相を分離し、水相を次に凍結乾燥させて黄色オイル(11.4g)を与えた。粗オイルをシリカゲルのプラグ上で濾過し、EtOH:H
2O(100:0〜95:5)で溶出した。所望の塩を琥珀色固体(5.3g)として得て得た。
1H−NMR(D
2O,500MHz):3.59(t,2H),3.91(t,2H),5.99(dt,2H),8.00(m,2H),8.47(m,1H),8.86(m,2H).
13C−NMR(D
2O,125MHz):32.6(2C),63.8,128.1(2C),141.7,146.5(2C)
【0105】
実施例3.1:チエタン−3−イル−カルバミン酸メチルエステル
【化64】
【0106】
ステップA.1:チエタン−3−カルボニトリル
【化65】
ベンゼン(10ml)中のエピチオクロロヒドリン(2.7g)の溶液に、水(10ml)中のシアン化カリウム(4g)の溶液を室温で加えた。生じた混合物を50℃に12時間加熱した。混合物をベンゼンで抽出し、次に有機相を水性飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次に水およびブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に溶媒を蒸発乾固させて粗残留物を黄色オイル(1.76g)として与えた。1gの粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して表題生成物を茶色固体(0.5g)として得た。
1H−NMR(CDCl
3,400MHz):3.25−3.35(m,2H),3.65−3.75(m,2H),4.10−4.25(m,1H).
1H−NMR(CDCl
3,100MHz)27.3(1C),28.7(2C),119.7(1C).GCMS(方法C):rt=5.07分(87%) m/z:[M−CN]
+=73;[M+1]
+=100
【0107】
ステップA.2:チエタン−3−カルボニトリル
【化66】
テトラヒドロフラン(20ml)中のエピチオクロロヒドリン(5.4g)の溶液に、水(20ml)中のシアン化カリウム(4.9g)の溶液を室温で加えた。生じた混合物を50℃に12時間加熱した。混合物をテトラヒドロフランで抽出し、次に有機相を水性飽和炭酸水素ナトリウム溶液、次に水およびブラインで洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次に溶媒を蒸発乾固させて粗表題生成物を黄色オイル(3.75g)として与え、それは、NMRおよびGCMSによって分析され(実施例A.1を参照されたい)、約10%の2−アミノチオフェンを含有した。
【0108】
ステップB:チエタン−3−カルボン酸アミド
【化67】
トルエン(10ml)中のチエタン−3−カルボニトリル(0.506g、4.837ミリモル)およびアセトアルデヒドオキシム(0.898ml、14.51ミリモル)の溶液に、塩化インジウム(III)(0.054g、0.242ミリモル)を加えた。生じた溶液を還流下に2時間加熱した。溶媒を減圧下に蒸発させ、得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中の0〜20%メタノール)によって精製してチエタン−3−カルボン酸アミド(0.389g)をベージュ色固体として与えた。
1H NMR(400MHz,CD
3OD)δ 4.89(s,2H),4.12(m,1H),3.59(t,2H),3.14(t,2H)
【0109】
ステップC:チエタン−3−イル−カルバミン酸エステル
【化68】
メタノール中の4.9Mナトリウムメトキシド(0.80ml、1.67ミリモル)を、メタノール(1.2ml)中のチエタン−3−カルボン酸アミン(0.100g、0.853ミリモル)の溶液に加えた。生じた溶液を室温で20分間攪拌し、−5℃に冷却した。1,3−ジブロモ−5,5−ジメチル−イミダゾリン−2,4−ジオン(0.150g、0.525ミリモル)を加え、生じた溶液を室温にゆっくり暖め、さらなる16時間攪拌した。反応を、水に注ぎ込むことによってクエンチし、生じた混合物をジエチルエーテル(3x)で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。粗成生物をフラッシュクロマトグラフィー(ジクロロメタン中0〜3%メタノール)によって精製してチエタン−3−イルカルバミン酸メチルエステル(0.0549g)を白色結晶として与えた。
1H NMR(400MHz,CD
3OD)δ 5.50−5−23(br,1H),5.08−4−94(m,1H),3.67(s,3H),3.34(d,4H).
【0110】
実施例3.2:チエタン−3−イル−カルバミン酸メチルエステル
【化69】
【0111】
ステップA.1:チエタン−3−カルボン酸
【化70】
チエタン−3−カルボニトリル(1.1g)の溶液をエタノール(20ml)に溶解させ、エタノール(20ml)および水(20ml)中の水酸化ナトリウム(4.4g)の溶液に加え、生じた溶液を還流で2時間加熱し、0℃に冷却し、次に濃塩酸で酸性化した。エタノールを減圧下に蒸発させ、残留物をジクロロメタン(5x)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の蒸発は、粗チエタン−3−カルボン酸(1g)を茶色固体として与えた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ 3.30(m,2H),3.62(m,2H),4.15(m,1H),12.72−12−32(br,1H),4.09−3.99(m,1H),3.41(t,2H),3.21(t,2H).MS(ネガティブエレクトロスプレーイオン化)m/z:[M−1]
+=117
【0112】
ステップA.2:チエタン−3−カルボン酸
【化71】
エタノール(5.0ml)でのチエタン−3−カルボニトリル(0.100g、1.01ミリモル)の溶液を、エタノール水混合物(1:1、10ml)中の水酸化ナトリウム(0.400g、10.09ミリモル)の溶液に加え、生じた溶液を還流で2時間加熱し、0℃に冷却し、内温が5℃を超えないようなやり方で濃塩酸で酸性化した。エタノールを減圧下に蒸発させ、残留物を水/ジクロロメタンに取り上げた。水層をジクロロメタン(3x)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒の蒸発は、粗チエタン−3−カルボン酸(0.090g)を、さらなる操作のために十分に純粋な淡茶色オイルとして与えた。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 12.72−12−32(br,1H),4.09−3.99(m,1H),3.41(t,2H),3.21(t,2H)
【0113】
ステップB:チエタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド
【化72】
アセトニトリル(15ml)中のチエタン−3−カルボン酸(1.00g、8.61ミリモル)およびカルボニルジイミダゾール(1.675g、10.33ミリモル)の溶液に、50%水性ヒドロキシルアミン(1.05ml、17.2ミリモル)を加え、生じた混合物を室温で16時間激しく攪拌した。混合物を水で希釈し、ジクロロメタン(3x)で抽出した。水層を減圧下に蒸発させてチエタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド(0.468g)を、さらなる操作のために十分に純粋な黄色オイルとして与えた。
1H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 4.45−4.35(m,0.2H),4.22−4.05(m,0.8H),3.64(s,1H),3.63−3.16(m,4H)
【0114】
ステップC:チエタン−3−イル−カルバミン酸メチルエステルの製造
【化73】
カルボニルジイミダゾール(0.194g,1.20ミリモル)を、アセトニトリル(2.0ml)中のチエタン−3−カルボン酸ヒドロキシアミド(0.133g、1.00ミリモル)の溶液に加えた。生じた混合物を60℃で16時間加熱した後、メタノール(0.1ml)を加え、反応混合物を室温でさらなる8時間攪拌した。反応を、水性塩化アンモニウムを加えることによってクエンチし、水で希釈し、酢酸エチルで(3x)抽出した。有機相を減圧下に蒸発させ、生じた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中の10%メタノール)によって精製してチエタン−3−イル−カルバミン酸メチルエステル(0.010g)を白色固体として与えた。
1H NMR(400MHz,CD
3OD)δ 5.50−5−23(br,1H),5.08−4−94(m,1H),3.67(s,3H),3.34(d,4H)
【0115】
実施例4.1:チエタン−3イル−アミン
【化74】
チエタン−3イル−アジド(502mg)と塩化コバルト(58mg)との混合物に0℃で、H
2O(8ml)中の水素化ホウ素ナトリウム(329mg)の溶液を撹拌下に滴加した。黒色沈澱物がすぐに生じた。混合物を、泡立ちが止まるまで室温とした。約2時間後に、反応混合物をCH
2Cl
2(5x25ml)で抽出し、合わせた有機抽出液をNa
2SO
4上で乾燥させ、Celite(セライト)を通して濾過し、真空で濃縮して無色オイル(667mg)を与え、その
1H NMR分析は、39:61モル比の所望の生成物およびCH
2Cl
2であることを示した。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):3.17(dt,2H),3.28(dt,2H),4.22(五重線,1H)
【0116】
実施例4.2:チエタン−3イル−アミン
【化75】
ヘプタン(1.0mL)中のチエタン−3イル−アジド(55mg)の混合物に、EtOH中のRaney−Nickel(Doducco Type 3799.4、E−016)Raney Ni(50%w/w)を加えた。生じた混合物をH
2(20バール)で加圧し、45℃に20時間加熱した。混合物を次に1,3,5 トリメトキシベンゼンを内部標準として使用するGCによって分析した。転化率:100%;選択率95.8%.
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):3.17(dt,2H),3.28(dt,2H),4.22(五重線,1H).
【0117】
実施例4.3:チエタン−3イル−アミン
【化76】
ヘプタン(1.0mL)中のチエタン−3イル−アジド(55mg)の混合物に、20%Pd/C(乾燥、Fluka、76063、A−193)(20%w/w)を加えた。生じた混合物をH
2(20バール)で加圧し、45℃に20時間加熱した。混合物を次に、1,3,5 トリメトキシベンゼンを内部標準として使用するGCによって分析した。転化率:23.3%;選択率60.5%。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):3.17(dt,2H),3.28(dt,2H),4.22(五重線,1H).
【0118】
実施例4.4:チエタン−3イル−アミン
【化77】
メタノール中のチエタン−3イル−アジドの10.3gの28%溶液を、3mlメタノール中の1.23gマグネシア粉末のあらかじめ冷却された懸濁液にゆっくり加えた。生じた混合物を0℃で4時間攪拌し、その時混合物はゆっくり粘度を増した。GCは98%超の転化率を示した。25gの水を加えた。GCによる生じた混合物の定量分析は、87%の収率に相当する5%チエタン−3イル−アミンの含有率を与えた。
【0119】
実施例4.5:チエタン−3イル−アミン
【化78】
ヘキサン中のチエタン−3イル−アジドの12.4gの23%溶液を、1gの水/エタノール(2:1)中の1.4g鉄粉と3.37g塩化アルミニウム六水和物との混合物に加えた。生じた懸濁液を60℃に加熱し、この温度で一晩攪拌した。GC分析は、相当するチエタン−3イル−アミンのみへのアジドの85%(面積)転化を示した。
【0120】
実施例4.6:チエタン−3イル−アミン
【化79】
3−ピリジニウム−チエタンp−トルエンスルホネート(100mg)およびメタノール中のアンモニア(7M、3ml)を封管に装入し、それを、20分間マイクロウェーブ照射下に120℃で加熱した(20バール)。室温に冷却した後、溶媒を真空で除去して、p−トルエンスルホン酸アンモニウムと一緒に、表題生成物(50mg)を与えた(NMR比1:2).
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):3.18(dt,2H),3.41(dt,2H),4.50(五重線,1H)
【0121】
実施例4.7:チエタン−3イル−アミン
【化80】
オートクレーブに、3−ピリジニウム−チエタンp−トルエンスルホネート(1g)およびメタノール中のアンモニア(7M、20ml)を装入した。装置を閉め、180℃で30分間あらかじめ加熱された油浴中に入れた(圧力15バール)。反応混合物を次に氷浴で室温に冷却した。黄色溶液を減圧下に濃縮して、アンモニウムトシレートと一緒に、表題生成物(800mg,NMR比1:2のチエタンアミン:アンモニウムトシレート)を与えた。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):3.18(dt,2H),3.36(brs,2H),3.41(dt,2H),4.50(五重線,1H)
【0122】
実施例4.8:チエタン−3イル−アミン
【化81】
チエタン−3−イル−カルバミン酸メチルエステル(51.7mg、0.351ミリモル)を、テトラヒドロフランと水との1:1混合物(2ml)に溶解させた。水酸化カリウム(197mg、3.51ミリモル)を加え、反応媒体を激しく攪拌しながら80℃で60時間加熱した。反応媒体を周囲温度に冷却し、ジエチルエーテルで(2x)抽出した。有機層を注意深くほとんど蒸発乾固させ、1,3,5−トリメトキシベンゼンを内部標準として使用する定量的NMRによって分析した。チエタン−3−イル−アミンが主成分として生成した(2.0mg)。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):3.17(dt,2H),3.28(dt,2H),4.22(五重線,1H)
【0123】
実施例5:N−トリフルオロスルホニル−チエタンアミン
【化82】
V底のスクリューキャップバイアルに、トリフルオロメタンスルホンアミド(0.285g)および重炭酸ナトリウムの飽和溶液(2mL)を加えた。溶液を50℃に加熱し、5分間攪拌し、その時間中に幾らかの泡立ちが観察された。トルエン(2mL)中のエピチオクロロヒドリン(0.20mL)の溶液を滴加し、反応混合物を同じ温度で16時間攪拌した。16時間後に、層を分離し、水相をさらなる量のトルエン(3x2ml)で洗浄した。合わせた有機相を合わせ、相分離カートリッジを通過させ、真空で濃縮して無色オイル(280mg)を与え、それをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して無色針状晶(91mg)を与えた。
1H-NMR(400 MHz,CDCl
3)6.09(br.s,1 H),4.88(五重線,J=8.4 Hz,1 H),3.48(m,2H),3.37(m,2H);
19F-NMR(376MHz,CDCl
3)δ
F ppm −78.25(s,3F);
13C NMR(101MHz,CDCl
3)119.3,51.1,36.7(2C)
【0124】
実施例6:N−ヒドロキシチエタンアミン
【化83】
ヘキサン(2.9mL)中のエピチオクロロヒドリン(0.32g)の溶液に、H
2O(0.39mL)中のヒドロキシルアミン(0.39mL、50%水溶液(w/w))を加えた。無色透明な均質二相混合物を次に50℃で15時間攪拌した。混合物を次に室温に冷却した。CH
2Cl
2を加え、層を分離した。有機層を次にNa
2SO
4上で乾燥させた。溶液は、表題化合物およびチエタンオールを53:47比で含有した。溶液は、3,5 トリメトキシベンゼン(244mg)を内部標準として使用する
1H NMR分析による分析によって示されるように52mgの表題化合物を含有した。
1H−NMR(400MHz,CDCl
3):3.19(t,2HN−ヒドロキシチエタンアミン),3.26(t,2Hチエタンオール),3.35(t,2Hチエタンオール),3.40(dt,2HN−ヒドロキシチエタンアミン),4.37(五重線,1HN−ヒドロキシチエタンアミン),4.87(五重線,1Hチエタンオール)