(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080847
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】紡績機械用の集束装置
(51)【国際特許分類】
D01H 5/72 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
D01H5/72
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-521888(P2014-521888)
(86)(22)【出願日】2012年6月29日
(65)【公表番号】特表2014-521844(P2014-521844A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】CH2012000143
(87)【国際公開番号】WO2013013329
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】1242/11
(32)【優先日】2011年7月25日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】590005597
【氏名又は名称】マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ルーデク マリーナ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト ネーゲリ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル シュナイダー
【審査官】
山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−325509(JP,A)
【文献】
特表2005−530055(JP,A)
【文献】
特開2006−316369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機械のドラフト装置ユニット(2)から供給されたスライバを集束する、該ドラフト装置ユニット(2)の出口に設けられた構成ユニットの集束ユニット(VM)であって、該集束ユニット(VM)は保持体(20)を有し、該保持体(20)において、サクションゾーン(Z)を備えた少なくとも1つのサクションドラム(17)が、第1の軸(22)に回転可能に支持されていて、前記サクションドラム(17)に、前記サクションゾーン(Z)の端部においてニップライン(P)を形成するために、前記保持体(20)に取り付けられた各1つのニップローラ(33)が、前記保持体(20)に取り付けられかつ当該ニップローラ(33)を前記サクションドラム(17)に対して押圧するばねエレメント(F2)の作用下で接触している、集束ユニット(VM)において、
前記ニップローラ(33)は第2の軸(32)に回転可能に支持されており、前記ニップローラ(33)は、第3の軸(24)を介して旋回可能に前記保持体(20)に取り付けられかつ前記ばねエレメント(F2)を備えた押圧アーム(72)に、回動可能に支持されていることを特徴とする、紡績機械用の集束ユニット。
【請求項2】
前記ばねエレメント(F2)は、前記押圧アーム(72)の前記第3の軸(24)と前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)との間に取り付けられている、請求項1記載の集束ユニット。
【請求項3】
ストッパ(64)が前記保持体(20)に設けられており、該ストッパ(64)は、前記押圧アーム(72)を上死点位置において保持し、前記上死点位置において、前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)は、前記サクションドラム(17)の前記第1の軸(22)と前記押圧アーム(72)の前記第3の軸(24)とを通って延びる平面(VL)の下に位置している、請求項1又は2記載の集束ユニット。
【請求項4】
前記集束ユニット(VM)は、互いに同軸的に向かい合って位置する2つのサクションドラム(17)を備えていて、各サクションドラム(17)にはそれぞれ1つのニップローラ(33)が対応配設されており、この場合該ニップローラ(33)は、1つの共通の押圧アーム(72)において1つの共通の前記第2の軸(32)に回転可能に支持されている、請求項1又は2記載の集束ユニット。
【請求項5】
前記押圧アーム(72)は、前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)を受容するために、前記サクションドラム(17)に向かって開放したU字形の受容部(AN)を備えている、請求項4記載の集束ユニット。
【請求項6】
前記受容部(AN)の長さ(la)は、前記押圧アーム(72)の長手方向で見て、前記受容部(AN)内において案内される前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)の直径(d)よりも大きく、前記ばねエレメント(F2)によって押圧される突き棒(35)が、前記受容部(AN)の長手方向における前記受容部(AN)内の前記第2の軸(32)の運動領域に進入している、請求項5記載の集束ユニット。
【請求項7】
前記受容部(AN)の開口(74)の狭窄部の内径(w)は、該受容部(AN)内において案内される前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)の直径(d)よりも小さい、請求項6記載の集束ユニット。
【請求項8】
前記受容部(AN)は、弾性材料から成っている、請求項7記載の集束ユニット。
【請求項9】
前記突き棒(35)がばね力の作用下で前記受容部(AN)内に進入することができる最大の突出寸法と、前記受容部(AN)内に位置する前記ニップローラ(33)の前記第2の軸(32)の直径(d)との和が、前記第2の軸(32)の運動領域の最も内側の端部と、前記開口(74)の狭窄部との間における、前記受容部(AN)の長さ(la)よりも大きい、請求項7又は8記載の集束ユニット。
【請求項10】
前記第3の軸(24)は、前記押圧アーム(72)の長手方向に対して横方向に配置されており、該第3の軸(24)は、前記押圧アーム(72)の幅(b1)を越えて突出しており、前記保持体(20)は、互いに向かい合って位置する2つのガイド(81)を有していて、該ガイド(81)を介して前記押圧アーム(72)は、その固定ポジションへの移動時に案内される、請求項1から5までのいずれか1項記載の集束ユニット。
【請求項11】
前記ガイド(81)内に進入可能なように、ピン(87)がばね力により変位可能に取り付けられていて、該ピン(87)は、前記押圧アーム(72)の前記第3の軸(24)をその固定ポジションへの到達時にその位置においてロックする、請求項10記載の集束ユニット。
【請求項12】
前記押圧アーム(72)を取り外すために、ばね力により取り付けられた前記ピン(87)は、該ピン(87)が前記第3の軸(24)のロックを解除しかつ前記ガイド(81)を介した前記第3の軸(24)の取外しを可能にする位置に、移動可能である、請求項11記載の集束ユニット。
【請求項13】
前記押圧アーム(72)は、プラスチックから形成されていて、前記ばねエレメント(F2)は、前記押圧アーム(72)の取り囲まれた室(54)内に収容されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の集束ユニット。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の集束ユニットにおいて使用される押圧アーム(72)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績機械のドラフト装置ユニットから供給されたスライバを集束する集束ユニットであって、該集束ユニットは保持体を有し、該保持体において、サクションゾーン(Z)を備えた少なくとも1つのサクションドラム(17)が、軸に回転可能に支持されていて、前記サクションドラムに、前記サクションゾーン(Z)の端部においてニップライン(P)を形成するために、前記保持体(20)に取り付けられた各1つのニップローラ(33)が、前記保持体に取り付けられた押圧エレメント(F2)の作用下で接触している、集束ユニットに関する。
【0002】
実地において既に多数の構成が公知であり、この場合、ドラフト装置ユニットから送出された繊維材料(繊維ストランド)をコンパクト化(集束)するために、集束装置が後置されている。このような集束装置に続いて、集束された繊維材料は、ニップ箇所を通過した後で、加撚装置に供給される。このような加撚装置は、例えばリング精紡機では、リングに沿って回転するトラベラから成っており、この場合加撚された糸は、回転する巻管に巻き上げられる。集束装置としては、主として、パーフォレーションを有しかつ吸込み作用を有する回転するサクションドラムか、又はパーフォレーションを備えた循環するエプロンが使用される。この場合、既に存在するドラフト装置ユニットに後から取り付けることもできる集束装置が公知である。
【0003】
このような集束装置は、2010年11月26日出願のまだ公開されていないスイス国特許出願CH−01992/10に記載されている。この明細書において提案された後付け可能な集束ユニットは、コンパクトな構成ユニットとして紡績機械に旋回可能にかつ簡単に取付け可能である。記載されたこの旋回可能な取付け形態によって、集束ユニットは、その取り付けられたポジションから、ドラフト装置ユニットの出口における運転位置に簡単に移動させることができる。集束ユニットは、同様に問題なく、迅速にかつ特別な工具なしに、運転位置から休止位置に移動させることができる。前記明細書には図示されていない集束ローラの駆動は、摩擦と特殊な駆動手段とによって、ドラフト装置ユニットの出口ローラ対の駆動される下側のローラによって行われる。この場合集束ローラは、機械フレームに特別に設けられた押圧エレメントを介して、出口ローラ対の下側ローラに押し付けられる。
【0004】
構成ユニットの保持体に固定されたばねエレメントを介して、ニップローラは、それぞれのサクションドラムに押し付けられ、これによって、繊維材料が後続の加撚装置に供給される前に、集束された繊維材料のためのニップ箇所をサクションゾーンの後ろに生ぜしめることができる。
【0005】
前記明細書に記載されたようにニップローラを取り付けるためには、特殊な工具が必要であり、この提案された取付け形態は、融通が利かない。すなわち、サクションドラムとニップローラとの間のニップ箇所を解離するためには、最初にねじ結合部を弛めて外すことが必要である。その後で初めて、ニップローラをそのニップポジションから離すことができる。
【0006】
上に述べた公知の解決策を出発点として、本発明の課題は、簡単かつ迅速にしかも特別な工具なしに取付け及び取外しを行うことができる、ニップローラを取り付けるための装置を提供することである。
【0007】
この課題を解決するために本発明の構成では、ニップローラは軸において、旋回軸を介して旋回可能に保持体に取り付けられかつばねエレメントを備えた押圧アームに、回転運動可能に支持されている。
【0008】
旋回可能な配置形態によって、ニップローラはそのニップ箇所から休止位置に簡単に旋回することができる。同様に、休止位置から運転位置への戻り旋回もまた簡単であり、この場合、予め調節されたばねエレメントの押圧力も一定のままである。本発明の別の態様では、ばねエレメントは、押圧アームの旋回軸とニップローラの回転軸との間に取り付けられている。このように構成されていると、押圧アームのコンパクトな構造形式を得ることができる。
【0009】
ニップローラをそれぞれのサクションドラムにおける作業ポジションにおいて確実に保持するために、本発明の別の態様では、ストッパが保持体に設けられており、該ストッパは、押圧アームを上死点位置において保持するために、該押圧アームの運動領域に進入していて、上死点位置において、ニップローラの軸は、サクションドラムの軸と押圧アームの旋回軸とを通って延びる平面のそばに位置している。
【0010】
一般的に使用されている二連ドラフト装置において集束ユニットを使用するために、本発明の別の態様では、集束ユニットは、互いに同軸的に向かい合って位置する2つのサクションドラムを備えていて、各サクションドラムにはそれぞれ1つのニップローラが対応配設されており、この場合該ニップローラは、1つの共通の押圧アームにおいて1つの共通の軸に回転可能に支持されている。このように構成されていると、二連ドラフト装置において使用するための簡単化されたコンパクトな構成ユニットが得られ、2つのサクションドラムのために1つの保持体しか必要なく、2つのニップローラのために1つの押圧アームしか必要ない。
【0011】
ニップローラを押圧アームに簡単かつ迅速に固定するために、本発明の別の態様では、押圧アームは、ニップローラの軸を受容するために、サクションドラムに向かって開放したU字形の受容部を備えている。このように構成されていると、ニップローラの軸を、受容部の開口を介して迅速にかつ特別な工具なしに、受容部内部の作業ポジションに移動させることができる。
【0012】
さらに別の態様では、受容部の長さは、押圧アームの長手方向で見て、受容部内において案内されるニップローラの軸の直径よりも大きく、押圧エレメントによって押圧される少なくとも1つのエレメントが、受容部の長手方向における軸の運動領域において受容部内に進入している。これによって、受容部の長手方向におけるニップローラの軸の移動が可能になり、しかも同時にニップローラの軸は、受容部に進入しているエレメントを介して、ばねエレメントによる押圧力によって押圧される。これによって、ニップローラを極めてフレキシブルに取り付けることが可能になる。
【0013】
さらに別の態様では、受容部の開口の領域における該受容部の内幅は、該受容部内において案内されるニップローラの軸の直径よりも小さい。このように構成されていると、ニップローラが外方旋回させられた状態においてもはやサクションドラムによって反力を得ない状態でも、受容部内に組み込まれたニップローラの軸を、受容部内において保持することができる。
【0014】
すなわち、受容部内に進入しているばね負荷されたエレメントを介して、ニップローラの軸に対して加えられる押圧力は、軸を受容部の狭められた開口から押し出すのに十分な力よりも小さい。これによってニップローラを備えた押圧アームの前組立ても可能になり、しかもこの際に、押圧アームの受容部からニップローラが脱落するおそれもない。
【0015】
本発明の好適な態様では、受容部は、弾性材料、例えばプラスチックから製造されている。弾性材料の使用によって、小さな力を加えるだけで、ニップローラの軸を、狭められた開口を介して押圧アームの受容部内に受容することが可能である。材料(例えばプラスチック)の弾性によって、開口の領域における材料は、再びその本来の位置に戻り、ひいては、受容部内における取り付けられた位置において軸をロックする。
【0016】
ニップローラの軸が開口の前側領域に位置している場合でも、ニップローラの軸が取り付けられた位置において確実に保持されるようにするために、本発明の別の態様では、エレメントがばね力の作用下で受容部内に進入することができる最大の突出寸法と、受容部内に位置するニップローラの軸の直径との和が、内側の端部制限部と、減じられた内幅を有する開口の領域との間における、受容部の長さよりも大きい。この場合しかしながら、前記前側の位置においてなお作用する押圧力は、ニップローラの軸を開口の狭められた箇所を介して受容部から押し出すのに必要な力よりも、小さい。
【0017】
押圧アームを簡単にかつ特別な工具なしに、その旋回ポジションに移動させるために、本発明の別の態様では、押圧アームは、該押圧アームの長手方向に対して横方向に配置された軸を備えていて、該軸は、押圧アームの幅を越えて突出しており、保持体は、互いに向かい合って位置する2つのガイドを有していて、該ガイドを介して押圧アームは、その旋回ポジションへの移動時に案内される。
【0018】
さらに別の態様では、ガイドの領域に、エレメントがばね弾性的に変位可能に取り付けられていて、該エレメントは、押圧アームの軸をその旋回ポジションへの到達時にその位置においてロックする。このように構成されていると、押圧アームはその旋回可能なポジションにおいて確実に保持される。このポジションからの取外しのために、ばね弾性的に形成されたエレメントは、特別な工具なしに、押圧アームの軸の解放を達成するための位置に、移動することができる。次いで、押圧アームの軸はガイドを介して簡単に取り外すことができる。
【0019】
本発明の好適な態様では、押圧アームは、プラスチックから形成されていて、ばねエレメントは、押圧アームの取り囲まれた室内に収容されている。これによって、コンパクトでかつ閉鎖された構成ユニットが得られ、この構成ユニット内において、ばねエレメントも汚れから保護することが可能である。
【0020】
次に図面を参照しながら、本発明の別の利点について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】取り付けられてロック位置にある、集束ユニットの構成ユニットを備えたドラフト装置ユニットを、概略的に示す側面図である。
【
図1a】連結箇所を
図1の視線方向Xで見て示す拡大図である。
【
図1c】
図1に示した押圧アームを上から見て拡大して示す平面図である。
【
図1d】
図1cに示した押圧アームの側面図である。
【
図1e】集束ユニットの保持体を側部において固定するためのサイドガイドを、
図1の視線方向Yで見て示す拡大図である。
【
図1f】ドラフト装置ユニットを、
図1の視線方向Nから見て示す縮小図である。
【
図2】休止位置における集束ユニットを、死点位置の上におけるニップローラと共に概略的に示す部分図である。
【
図3】ローラが死点位置にある状態を示す、
図2に対応する部分図である。
【
図4】ローラが死点位置の下にある状態を示す、
図2に対応する部分図である。
【0022】
図1には、ドラフト装置ユニット(Streckwerkeinheit)2を備えた紡績機械(リング精紡機)の紡績部1が側面図で略示されており、このドラフト装置ユニット2は、入口ローラ対3,4、中間ローラ対5,6及び出口ローラ対7,8を備えている。中間ローラ対5,6にはそれぞれエプロン12,13が巻き掛けられて案内されており、これらのエプロン12,13はそれぞれ、図示されていないケージを取り囲んで図示の位置に保持される。前記ローラ対のうちの上側ローラ4,6,8は、押圧ローラとして形成されていて、軸4a,6a,8aを介して、旋回可能に支持された押圧レバー10に回転可能に支持されている。押圧レバー10は、軸15を中心にして旋回可能に支持され、図示のように、ばねエレメントFを用いて押圧される。このばねエレメントFは例えば、エアホースであってもよい。略示されたばね押圧装置を用いて、ローラ4,6,8は、繊維材料のためのニップ箇所を形成するために、ローラ対の下側ローラ3,5,7に押圧される。これらの下側ローラ3,5,7は、駆動装置と接続されている(図示せず)。この場合、他の駆動形態(歯車、歯付きベルト等)のような個別駆動装置を使用することも可能である。駆動される下側ローラ3,5,7を介して、押圧ローラ4,6,8は摩擦により駆動され、エプロン13は、エプロン12を介して摩擦により駆動される。駆動されるローラ5の周速度は、駆動されるローラ3の周速度よりも幾分高いので、ドラフト装置ユニット2に供給されるスライバLである繊維材料は、入口ローラ対3,4と中間ローラ対5,6との間において、予備ドラフトされる。繊維材料Vの主ドラフトは、中間ローラ対5,6と出口ローラ対7,8との間において行われ、この場合出口ローラ7は、中間ローラ5よりも大幅に高い周速度を有する。
【0023】
図1f(
図1の視線方向Nから見た図)から分かるように、1つの押圧レバー10が、互いに隣接して位置する2つのドラフト装置ユニット2(二連ドラフト装置(Zwillingsstreckwerk)2z)に対応して配設されている。この場合、互いに隣接して配置されたドラフト装置ユニットもしくは集束装置(Verdichtungsvorrichtung)のエレメントは、等しいもしくは部分的に鏡像的に配置されたエレメントであるので、これらのエレメントに対しては同一符号が使用されている。
【0024】
出口ローラ対7,8から送出されたドラフトされた繊維材料Vは、下方に向かって変向され、後続のサクションドラム17のサクションゾーンZの領域に達する。各サクションドラム17は、全周に延在するパーフォレーションもしくは開口O(
図1f)を備えている。回転可能に支持されたサクションドラム17の内部には、各1つの定置に支持されたサクション挿入体18が配置されており、このサクション挿入体18は、集束ユニットVMの保持体20に固定されている。サクション挿入体18の構成及び配置形態は、まだ開示されていない、2010年11月26日付けのスイス国特許出願CH−01992/10に開示されている。同様に図示されているように駆動エレメントが、各サクションドラム17に接続されていて、運転位置において、出口ローラ対の下側ローラ7と摩擦結合されている。いずれにせよ、各サクションドラム17又は、該サクションドラム17に結合された駆動手段は、駆動されるローラ7の周囲に接触していて、このローラ7によって摩擦により駆動される。
【0025】
下側ローラ7に作用するサクションドラム17の圧着力は、
図1の実施形態では、ねじ69によって押圧レバー10に固定された板ばね68によって生ぜしめられる。点線で示された上方旋回させられたポジションにおける、板ばね68の角度cは、実線で示された閉鎖された運転位置が占められる場合に大きくなる。これによって板ばね68は、端部に取り付けられたウェブ62の領域において、保持体20に取り付けられたアタッチメント60に向かって押圧力を加え、これによって集束ユニットはこのポジションにおいてロックされる。また、アタッチメント60を、軸22のための軸受箇所の領域において直に取り付けることも可能である。
【0026】
図1a(
図1の視線方向Xから見た図)〜
図1bの拡大図から分かるように、板ばね68の自由端部に固定されたウェブ62は、その凹部61を介してアタッチメント60と形状結合式に結合される。これによって押圧レバー10及び、この押圧レバー10に固定された押圧ローラ4,6,8は、集束ユニットVMの保持体20と堅く連結され、その結果押圧ローラは、サクションドラム17及び該サクションドラム17のニップローラ33に対して横方向において位置決めされる。すなわちこれによって、押圧レバー10は、集束ユニットVMを介して間接的に、該集束ユニットVMの旋回平面SE(
図1f)に対して横方向に、機械フレームMRに対しても固定される。さらに、ドラフト装置ユニット2と集束ユニットVMとを、このようにただ1つの押圧レバー10を介して同時にロックすることによって、押圧レバー10の係止された運転位置において、集束ユニットVMのサクションドラム17が運転位置に位置することが保証される。このことは、互いに無関係なロック装置を備えた以前の解決策によっては、必ずしも保証されなかった。
【0027】
サクションドラム17もしくは二連ドラフト装置2zに対応配設された2つのサクションドラム17(
図1f)は、集束ユニットVMの保持体20において、この保持体20に固定された軸22に回転可能に支持されている。保持体20の内部には、サクション通路SKが設けられており、このサクション通路SKは、各サクション挿入体18に接続されている(
図1参照)。保持体20は、紡績機械の機械フレームMRに向いた端部に、U字形の端部材46を備えており、この端部材46においてサクション通路SKは開口S2で開口している。この開口S2は、図示の位置で、サクション管50の開口SRに対向して位置しており、このサクション管50は、紡績機械の機械フレームMRに固定されている。保持体20は、この保持体20の端部に取り付けられたU字形の端部材46で、サクション管50の中心軸線MAを中心にして旋回可能に取り付けられていて、連結箇所KSを形成している。サクション管50の寸法に関連して寸法的に相応に形成された端部材46によって、サクション管50と端部材46との間におけるクランプ作用が得られ、これによって保持体20はサクション管50に保持される。
【0028】
図1に略示されるように、端部材46の両側においてサクション管50には、ガイド30が固定されており、このガイド30を介して端部材46、ひいては集束ユニットVMは中心軸線MAの方向で横方向において固定される。このことは、
図1e(
図1の視線方向Yから見た図)の拡大図からもよく分かる。このように集束ユニットVMがサクション管50において横方向で固定されていることによって、連結箇所68,60,62を介して、押圧ローラ4,6,8を備えた押圧レバー10もまた、機械フレームMRに対して固定されたポジションにおいて保持される。
【0029】
サクションゾーンZにおいて、負圧源SPから供給される負圧の作用下で、外側に突出している繊維が包み込まれ、繊維材料は圧縮される。そのために各サクションドラム17は、その周囲に複数の開口Oを有しており、これらの開口Oは、サクション挿入体18のサクションスリット(図示せず)と共働する。
【0030】
サクションゾーンZに接続して、各サクションドラム17に対して、ニップローラ33が設けられており、このニップローラ33は、押圧力によって各サクションドラム17に接触し、このサクションドラム17と共にニップラインPを形成している。この場合各ニップローラ33は、軸32に回転可能に支持されており、この軸32は、押圧アーム72のU字形の受容部ANの、開口74を備えたガイドスリット73内に、保持される。軸32は、ガイドスリット73の内部に、該軸32の長手方向軸線に対して横方向に移動可能に支持されている。ガイドスリット73の内部には、開口38を貫いて突き棒35が突出しており、この突き棒35は、軸32の外周部に接触していて、圧縮ばねF2によって押圧される。開口38は、ガイドスリット73の端部においてほぼ真ん中に設けられていて、実質的に閉鎖された中空室54内に開口しており、この中空室54内には圧縮ばねF2が配置されている。この圧縮ばねF2は一端で、中空室54の閉鎖された端部に支持されていて、反対側の端部で、突き棒35のヘッド36に接触している。この場合ヘッド36は、開口38の内径よりも大きな直径を有している。これによって、突き棒35のヘッド36が開口38を貫いて滑り出ることが阻止される。軸32がガイドスリット73の内部に位置していない場合、圧縮ばねF2の相応に選択された幾何学的な特性と所与のばね力とによって、ヘッド36の肩部37は、中空室54の当接面58に接触する。
【0031】
図1cから分かるように、軸32には、押圧アーム72の受容部ANの両側に、各1つのニップローラ33が、略示された軸受LAを介して回転可能に支持されている。既に述べたように、ニップローラ33は、
図1cには示されていないサクションドラム17によって摩擦により駆動される。ニップローラ33のポジションを軸方向において保つために、軸32の直径d1は押圧アーム72への接続部において、直径dよりも大きく選択されており、この直径dは、軸32が受容部ANのガイドスリット73の内部において移動する部分の直径である。この場合増大された直径d1の間における間隔b1は、押圧アーム72の受容部ANの幅bよりも幾分大きい。
【0032】
ニップローラ33をその軸32を介して、ガイドスリット73の内部において取り付けられた位置に保つために、ガイドスリット73の開口74の領域に、狭窄部が設けられており、この狭窄部の内幅wは、軸32の直径d及びガイドスリット73の内幅kよりも小さい。この場合ガイドスリット73の寸法kは、ガイドスリット73の内部における軸32の移動を可能にするために、直径dよりも僅かだけ大きい。
【0033】
押圧アーム72におけるニップローラ33の取付け時に、軸32は軽い押圧によって開口74の端部箇所を通してガイドスリット73内に移動させられる。弾性材料(例えばプラスチック)の使用によって、開口74の端部の領域における材料は、側方に逃げ、軸32の通過後に再びその本来の位置に戻る。軸32が開口74の領域における狭窄箇所を通過するや否や、突き棒35は直ぐに軸32の周面に接触し、圧縮ばねF2の作用下で、受容部ANの開口74の方向で軸32に対して押圧力を加える。ヘッド36の肩部37と面58との間には、今や間隔aが存在しており、これによってばねF2のばね力が作用し、突き棒35を介して押圧力を軸32の周面に加えることができる。しかしながらこの力は、軸32を、幅wを有する狭窄箇所を越えて受容部ANから押し出すのに必要な力よりも小さい。これにより、ニップローラ33と共に運転時にニップ箇所Pを形成するサクションドラム17によって、反力が生ぜしめられない場合でも、ニップローラ33の軸32は、組み立てられた状態において安定した位置に保たれる。
【0034】
押圧アーム72には、受容部ANとは反対側に位置する端部に、軸24が固定されており、この軸24は、両側において寸法sだけ、押圧アーム72の幅bを越えて突出している。押圧アーム72から突出しているこの軸24を介して、押圧アーム72は軸受エレメント80に旋回可能に保持される。軸受エレメント80は、互いの間に間隔b2をおいて互いに平行に延びる2つのウェブTを有しており、両ウェブTの間には、押圧アーム72が配置されていて、旋回運動を実施することができる。軸受エレメント80は、保持体20に堅く結合されている。押圧アーム72を特殊な工具なしに手によって、
図1c及び
図1dに示した組み立てられた位置に移動させることができるようにするために、ウェブTには各1つのガイド81が設けられており、このガイド81は、長手方向溝の形状を有し、互いに向かい合って位置している。
【0035】
組立て時に、押圧アーム72は、軸24の突出した端部を介して、ガイド81のそれぞれ開放した端部83に導入され、ばね負荷されたロック部材85を克服しながら、
図1c及び
図1dに示した運転位置に移動させられる。ロック部材85は、ピン87であり、このピン87はそれぞれ1つの開口88を介してそれぞれのガイド81内に進入する。ピン87はそれぞれ、ばねウェブ86の一端に取り付けられていて、ピン87の他端はそれぞれ、固定手段89を介してウェブTの外側に固定されている。ロック部材85のピン87を、旋回位置(運転位置)への軸24の移動時にガイド81の外側におけるポジション(
図1cの破線参照)に移動させるために、ピン87は傾斜面90を備えており、この傾斜面90を介してピン87は、ばねウェブ86のばね力に抗して、それぞれのガイド81内において移動する軸24によって、各開口88を介して軸24の運動領域から、つまりガイド81から押し出される。
【0036】
軸24が、運転位置への移動中にロック部材85の箇所(ロック部材85のピン87がそれぞれの開口88内に進入する箇所)を通過した後で、ピン87は、ばねウェブ86のばね力によって再びガイド81の領域内に戻される。これによって軸24のための戻り路がロックされ、軸24はその旋回位置において固定される。ピン87は、傾斜面90とは反対の側に真っ直ぐな面(軸24の周面に対してほぼ平行に延びる面)を有しているので、押圧アーム72の取外しは、追加的な手動操作又は補助手段を用いてしか行うことができない。従って、旋回位置からの押圧アーム72の意図しない解除は、阻止されるようになっている。
【0037】
押圧アーム72の取外しのために、ロック部材85は、手によって又は追加的な補助手段を用いて、それぞれの開口88から押し出され、これによって軸24はロック箇所を通過することができる。このロック箇所の通過後に、押圧アーム72はガイド81を介して問題なく除去することができる。ニップローラ33の押圧アーム72を本発明のように構成することによって、コンパクトで閉鎖された構成を得ることができ、この構成は、一方では汚染に対して保護されており、かつ他方では、特殊な工具を必要とすることなしに、容易に組立て及び分解を行うことができる。
【0038】
サクションドラム17と、該サクションドラム17に圧力下で接触しているニップローラ33との間におけるニップラインPは、同時に、いわゆる「撚り止め間隙(Drehsperrungsspalt)」を形成し、この撚り止め間隙から繊維材料は、搬送方向FSにおいて、圧縮された糸FKとして撚りを加えられて、略示されたリング精紡機に供給される。このリング精紡機はリング39とトラベラ40とを備え、この場合糸は巻管41に巻き上げられて、ボビン42(コップ)を形成する。ニップラインPとトラベラ40との間には、糸ガイド43が配置されている。リング39は、紡績プロセス中に昇降運動を実施するリングフレーム44に固定されている。
【0039】
ニップラインPとボビン42との間における糸切れ時に、ニップポイントPを介して引き続き供給される糸FKを、吸い出すことができるようにするために、保持体20の両側にはそれぞれ、図示されていない開口を備えたサクション管75が固定されている。このサクション管75は、保持体20のサクション通路SKに開口している。
【0040】
図2〜
図4の実施形態では、休止位置から運転位置へのサクションドラム17の移動の様子が示されている。この場合保持体20は、単に一点鎖線で略示されている。
【0041】
図2から分かるように、ガイド52(これは同時に、集束ユニットVMの下側の旋回位置のためのストッパをも形成している)を介して、保持体20は、点線で示された位置から取り付けられた第1の休止位置に移動させられる。この場合サクション管50に向かっての保持体20の移動時に、端部材46は連結箇所KSの領域においてサクション管50に手によって押し嵌められ、この動作は、端部材46がサクション管50に接触して、そこでクランプされるまで行われる。端部材46の押し嵌めは、サイドガイド30の間において行われる。これにより今や端部材46を介して、保持体20もしくは集束ユニットVM全体を、サクション管50の中心軸線MAを中心にして、ドラフト装置ユニット2の出口ローラ対7,8に向かって旋回させることができる。
【0042】
図2から分かるように、旋回時に(矢印方向参照)ニップローラ33は、ドラフト装置ユニット2の出口ローラ対7,8の下側ローラ7に接触する。さらなる旋回時にニップローラ33は、
図3に示した死点位置に達し、この死点位置において回転軸32は正確に平面VLに位置し、この平面VLは、サクションドラム17の軸22と押圧アーム72の旋回軸24とを通って延びている。押圧アーム72に配置されたばねF2によって、ニップローラ33は常に、サクションドラム17の外周部との接触状態に保たれる。集束ユニットVMを矢印方法に手によってさらに旋回させると、
図4に略示した位置が得られる。この際にサクションドラム17又は該サクションドラム17に結合された駆動手段は、下側のローラ7に接触し、これによって摩擦結合(摩擦)によって、駆動されるローラ7とサクションドラム17との間における駆動結合部が形成される。同時にニップローラ33は、下側のローラ7及びばねF2の作用を受けて、
図4に示した上死点位置に旋回させられる。すなわちニップローラ33の軸32は今や、サクションドラム17の軸22及び押圧アーム72の旋回軸24が位置している平面VLの下に位置している。押圧アーム72の下方旋回運動、ひいてはニップローラ33の下方旋回運動を制限するために、保持体20にはストッパ64が取り付けられていて、このストッパ64に、押圧アーム72が接触するようになっている(
図4)。
図4に示した運転ポジションにおいて、ニップローラ33はばねF2の作用下でサクションドラム17とのニップ箇所Pを形成し、摩擦によってサクションドラム17によって駆動される。
図4に示した運転位置が得られた後で、既に述べたように、押圧レバー10は閉鎖され、この際に、板ばね68に取り付けられたウェブ62と、保持体20に設けられたアタッチメント60とを介して、集束ユニットVMはドラフト装置ユニット2にロック固定される。
【0043】
集束ユニットVMの取外しは、逆方向に行われる。取外し後におけるニップローラ33の、
図2に示した位置への戻しは、手によって行うことができる。