特許第6080852号(P6080852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080852
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】自動車用のピラーカバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/02 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
   B60R13/02 C
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-531164(P2014-531164)
(86)(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公表番号】特表2014-527934(P2014-527934A)
(43)【公表日】2014年10月23日
(86)【国際出願番号】EP2012067199
(87)【国際公開番号】WO2013041369
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2014年3月24日
(31)【優先権主張番号】11182543.6
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512212885
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
【氏名又は名称原語表記】Saint−Gobain Glass France
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ リーグラー
(72)【発明者】
【氏名】リュク−アンリ ブランシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュミット
【審査官】 佐々木 芳枝
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102007024149(DE,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0148150(US,A1)
【文献】 特開2003−320904(JP,A)
【文献】 特開2009−248640(JP,A)
【文献】 特開2009−191821(JP,A)
【文献】 特開平04−366635(JP,A)
【文献】 特開2009−143520(JP,A)
【文献】 特開平04−353415(JP,A)
【文献】 特開昭58−161674(JP,A)
【文献】 特開2007−277485(JP,A)
【文献】 特開2007−332262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のピラーカバーであって、少なくとも
a.支持体部分(1)と、
b.該支持体部分(1)に組み込まれた、張り出した窓案内片(2)及び張り出した取付け要素(7)と、
c.前記窓案内片(2)及び/又は前記取付け要素(7)に設けられた円形、楕円形又は多角形の隆起して高められた表面構造(9)と、
d.前記支持体部分(1)に接触面(11)を介して結合されたポリマー製のカバー部分(4)と、
を備え、
e.前記窓案内片(2)及び/又は前記取付け要素(7)は、0.5mm乃至3mmの厚さ(d;d)を有し、前記円形、楕円形又は多角形の高められた表面構造(9)は、0.2mm乃至1.5mmの厚さ(d)を有し、
前記窓案内片(2)の、前記支持体部分(1)との接点に、テーパ部(3)が配置されており、
前記テーパ部(3)の内側に補剛リブ(5)が設けられており、
前記窓案内片(2)及び前記表面構造(9)の総厚さ(G)は、前記表面構造(9)の下側に位置する窓案内片(2)の厚さ(d)より1.2乃至3倍大きい、
ことを特徴とする、車両用のピラーカバー。
【請求項2】
前記テーパ部(3)は、1mm乃至4mmから0.2mm乃至2mmにテーパする、請求項記載のピラーカバー。
【請求項3】
前記高められた表面構造(9)は、ハニカム状の高められた表面構造を含む、請求項1又は2記載のピラーカバー。
【請求項4】
前記高められた表面構造(9)は、六角形の高められた表面構造を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項5】
前記高められた表面構造(9)は、前記窓案内片(2)の、前記表面構造(9)の下側に位置する表面の垂線(13)に対して1°乃至15°の傾斜位置を占めている、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項6】
前記支持体部分(1)は、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、好ましくはアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)、アクリル酸エステル‐スチレン‐アクリロニトリル(ASA)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン‐ポリカーボネート(ABS/PC)及び/又はこれらのコポリマー若しくはこれらの混合物を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項7】
前記支持体部分(1)は、無機又は有機の充填剤を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項8】
前記支持体部分(1)は、SiO、Al、TiO、粘土鉱物、ケイ酸塩、ゼオライト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス球、有機の繊維及び/又はこれらの混合物を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項9】
前記カバー部分(4)は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン‐アクリロニトリル(SAN)及び/又はこれらのコポリマー若しくはこれらの混合物を含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項10】
前記カバー部分(4)は、ハードコートを含む、請求項1からまでのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項11】
前記カバー部分(4)は、熱硬化性又はUV硬化性の塗料を含む、請求項1から10までのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項12】
前記カバー部分(4)は、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び/又はこれらの混合物若しくはこれらのコポリマーを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項13】
前記取付け要素(7)は、F字形に形成されている、請求項1から12までのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項14】
前記取付け要素(7)は、シールリップ(8)を有する、請求項1から13までのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項15】
前記窓案内片(2)は、補強リブ(10)を有する、請求項1から14までのいずれか1項記載のピラーカバー。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項記載のピラーカバーの、車両の加飾ストリップとしての使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のピラーカバー及びその使用に関する。
【0002】
自動車の二酸化炭素排出に関する規定がますます厳しくなる中で、車両の重量、ひいては車両の燃料消費量を下げようとする尽力がなされている。プラスチックの分野における絶え間ない発展は、金属製のボデーの大部分を、ポリマー材料からなる相応に軽量の要素により代替することを可能にする。特に窓領域の一部又は全部は、ポリマー材料からなる要素により代替可能である。このポリマー材料からなる要素は、多くの場合、明らかに軽量でありながら、鋼からなるボデーの窓に匹敵する硬さ、安定性及び許容荷重を示す。付加的に、軽量化に基づいて、車両の重心は、より下方に移動する。このことは、走行挙動に肯定的な影響を有している。加えて、ポリマー材料は、金属と比較して、明らかに低い温度で製造、加工及び変形可能である。このことは、材料製造時の所要エネルギ及びコストを下げる。
【0003】
その際、ポリマー材料からなる成形部品は、実質的にあらゆる所望の形態及び幾何学形状で製造可能である。アラミド、例えばケブラー等の特別な高性能プラスチックは、極めて高い強度及び安定性を有している。
【0004】
プラスチックからなる多数の材料部品は、種々異なる要求及び機能に適合しなければならない。この場合、重要なパラメータは、安定性、破壊特性、引掻き強さ、衝撃強さ又はノッチ付き衝撃強さである。個々の構成部品の重量及び強度等の技術的な観点の他、形態、幾何学形状及び外観も、ますます重要な役割を果たしている。とりわけ自動車産業においては、機械的な特性の他、デザインや美的外観の分野における特徴も大きな意味を有している。
【0005】
種々異なる特徴をポリマー材料内で統合するために、ポリマー材料は、様々な形態に形成され、様々な性質が付与されるベース材料から構成される。これらの材料を製造する確立された方法は、2以上の成分の射出成形法を含む。こうして、特徴、例えば耐候性、表面光沢及び破壊強さ又はねじれ安定性を互いに統合することができる。加えて、極めて高価な材料の割合を低減することができる。
【0006】
独国特許出願公開第19633959号明細書は、支持体と外側の加飾フィルムとからなる成形体を開示している。外側のフィルムは、加飾層と保護層とを有している。保護層は、光重合性樹脂組成物からなっている。
【0007】
国際公開第2006/094484号パンフレットは、2成分を含む平面状のプラスチック製ボデー部品を製造する方法を開示している。好ましい実施の形態において、第1の成分は、透明のポリカーボネートからなっており、第2の成分は、不透明のポリカーボネートからなっている。
【0008】
独国特許出願公開第19722551号明細書は、2成分射出成形法でプラスチック部品を製造する方法を開示している。
【0009】
欧州特許出願公開第1695808号明細書は、自動車用の加飾部品、例えば加飾ストリップを開示している。この加飾部品は、熱可塑性のプラスチックからなる支持体部分と、カバー部分とを有している。加飾部品は、好ましくは多成分射出成形プロセスを介して製造される。
【0010】
ピラーカバーをさらに軽量化するために、例えば窓案内片等の張り出した構成部分は、薄肉化可能である。同時に安定性を高めるとともに、薄肉化され、張り出した構成部分の破壊の危険を最小化するために、外側から、薄肉化された領域に、補強リブが一体的に射出成形される。これらの補強リブは、薄肉化され、張り出した構成部分の破壊安定性を僅かに向上させるにすぎない。加えて、外側に一体的に射出成形された補強リブは、比較的高い所要スペースに基づいて、ピラーカバーの組付けを困難にするとともに、場合によっては型に設けられたスライダの走行路を塞いでしまう。
【0011】
本発明の課題は、張り出したかつ/又は薄肉化されたコンポーネントの領域に、高められた強度及び破壊安定性を有するワークピースを提供することである。
【0012】
本発明の課題は、請求項1に係る車両用のピラーカバーにより解決される。有利な態様は、従属請求項に係る発明である。
【0013】
車両用のピラーカバーの本発明に係る使用は、別の独立請求項に係る発明である。有利な態様は、従属請求項に係る発明である。
【0014】
本発明に係る車両用のピラーカバーは、組み込まれた窓案内片と取付け要素とを有する少なくとも1つのポリマー製の支持体部分を有している。ポリマー製の支持体部分は、ピラーカバーの安定性を実現し、可及的高い強度、引掻き強さ、衝撃強さ又はノッチ付き衝撃強さ及びより低い破壊傾向を有するポリマー材料、好ましくは熱可塑性のポリマーを含んでいる。窓案内片は、本来の支持体部分から張り出しており、正確な寸法設定は、車両ボデーにおける対応するワークピースの幾何学形状次第である。窓案内片は、好ましくは略L字形に形成されており、好ましくは張り出した領域において、ポリマー製の支持体部分の基面に対して45°乃至135°の角度を有している。窓案内片は、好ましくは「L」の両辺にそれぞれ10mm乃至20mmの長さを有している。さらにポリマー製の支持体部分は、取付け要素を有している。取付け要素は、窓案内片と同様、ポリマー製の支持体部分の張り出した要素であり、好ましくはF字形に形成されている。その際、取付け要素の正確な形状付与は、ボデーの対応する相手側部材次第である。窓案内片及び取付け要素は、好ましくはポリマー製の支持体部分と同じ材料から製造されており、好ましくは相応の凹部を有する型工具により射出成形法で製造される。
【0015】
窓案内片及び/又は取付け要素は、0.5mm乃至3mmの(構成部分全体にわたる平均)厚さと、0.2mm乃至1.5mmの(平均)厚さを有する円形、楕円形又は多角形の高められた表面構造とを有している。0.5mm乃至3mmの窓案内片及び/又は取付け要素の本発明における厚さは、公知の構成部分(窓案内片及び/又は取付け要素)と比較して実際に壁厚さの薄肉化を生じる。窓案内片及び/又は取付け要素の、このように薄肉化されたベースとなる壁は、円形又は多角形のハニカム状の高められた表面構造、特に好ましくは六角形のハニカム状の高められた表面構造により補強される。高められた表面構造は、壁厚さを薄肉化したときでも、窓案内片及び/又は取付け要素の安定性及び破壊信頼性を保証する。加えて、壁厚さの薄肉化は、ピラーカバーを軽量化する。
【0016】
ポリマー製の支持体部分には、ポリマー製のカバー部分が接触面を介して結合されている。「接触面」なる表現は、ポリマー製の支持体部分とポリマー製のカバー部分との間の境界面を指している。ポリマー製のカバー部分は、装飾の機能を担うとともに、耐工具性の機能も担うことができる。カバー部分の例は、ピラーカバーの耐候性、耐UV性又は耐化学薬品性を高める表面又はコーティングである。ポリマー製の支持体部分及びポリマー製のカバー部分は、1つの共通の丸み付けられた末端部を形成する。「末端部」なる表現は、本発明の意味において、好ましくはポリマー製の支持体部分及びポリマー製のカバー部分の総厚さ又は両者の個々の厚さが漸次又は線形に減少する領域に関する。ポリマー製の支持体部分は、取付け要素を、好ましくは末端部とは反対側に有している。
【0017】
ピラーカバーの幾何学形状次第で、さらに別の共通の、好ましくは丸み付けられた末端部があってもよい。このエッジ幾何学形状は、周囲を取り巻くようにピラーカバー内のポリマー製の支持体部分及びポリマー製のカバー部分のすべての共通のエッジにか、又は構成部分の個々のエッジにのみ形成されていてもよい。ピラーカバー全体は、好ましくは1回の方法ステップで、二成分又は多成分射出成形法又は多成分射出圧縮成形法で製造される。択一的な方法では、ポリマー製の支持体部分を、テーパ部及び窓案内片とともに1回の射出成形法で製造し、次に、やはり1回の射出成形法で製造されるポリマー製のカバー部分と結合してもよい。
【0018】
窓案内片及び/又は取付け要素は、任意選択的な態様では、高められた表面構造を、壁厚さの薄肉化なしの窓案内片及び/又は取付け要素の領域、すなわち、3mmを超える厚さを有する窓案内片の任意選択的な領域に有している。
【0019】
窓案内片の、支持体部分との接点に、好ましくはテーパ部が配置されている。「テーパ」なる表現は、本発明の意味において、ポリマー製の支持体部分の基面に隣接して又は境界を接して、窓案内片の厚さが線形に減少又は逓減することを意味している。組み込まれた窓案内片の厚さの減少は、ピラーカバーの可視面における改善された反射光学系を保証し、ピラーカバーの軽量化及びポリマー原材料の節約を可能にする。テーパ部は、好ましくは4mm乃至1mmから2mm乃至0.2mmにテーパする。この寸法は、付設部内の高い安定性を可能にすると同時に、最小の重量を可能にする。付設部は、好ましくは3mm乃至20mm、好ましくは5mm乃至10mmの長さにわたって、上述の範囲にテーパする。テーパは、材料を削減し、かつ完成品の重量を低減することができる。
【0020】
本発明に係るピラーカバーは、特に好ましくはテーパした付設部の内側に補剛リブを有し、かつテーパした付設部の外側の隣接する領域に補強リブを有している。補剛リブは、好ましくは互いに1cm乃至15cm、好ましくは2cm乃至10cmの間隔を有している。このように配置された補剛リブは、窓案内片の安定性及び破壊信頼性を大幅に向上させる。さらに補剛リブの正確な間隔は、ポリマー製のカバー部分の使用される材料及びピラーカバーの要求される安定性次第である。
【0021】
窓案内片は、好ましくはテーパ部とは反対側に補強リブを有している。この補強リブは、窓案内片の安定性をさらに向上させる。
【0022】
高められた表面構造は、好ましくは表面構造の下側の、窓案内片及び/又は取付け要素の表面の垂線に対して1°乃至15°の傾斜位置を占めている。この離型用の斜面は、射出成形型からの、破壊され易い窓案内片及び/又は取付け要素の解離を改善する。
【0023】
窓案内片及び高められた表面構造の総厚さは、好ましくは表面構造の下側に位置する窓案内片の厚さより1.2乃至3倍大きい。上述の係数は、窓案内片の最適な重量と安定性との関係を保証する。
【0024】
ポリマー製の支持体部分は、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、好ましくはアクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン(ABS)、アクリル酸エステル‐スチレン‐アクリロニトリル(ASA)、アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン‐ポリカーボネート(ABS/PC)及び/又はこれらのコポリマー若しくはこれらの混合物を含む。
【0025】
ポリマー製の支持体部分は、好ましくは無機又は有機の充填剤、特に好ましくはSiO、Al、TiO、粘土鉱物、ケイ酸塩、ゼオライト、ガラス繊維、炭素繊維、ガラス球、有機の繊維及び/又はこれらの混合物を含む。充填剤は、支持体部分の安定性をさらに向上させることができる。加えて、充填剤は、ポリマー材料の割合を減らし、これにより構成部分の製造コストを下げることができる。
【0026】
ポリマー製のカバー部分は、好ましくはポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン‐アクリロニトリル(SAN)及び/又はこれらのコポリマー若しくはこれらの混合物を含む。これらのポリマーは、高光沢の、使用目的に応じて部分的にガラスに類似した表面へ加工することを可能にする。
【0027】
ポリマー製のカバー部分は、好ましくはハードコート、特に好ましくは熱硬化性又はUV硬化性の塗料、殊に好ましくはポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート及び/又はこれらの混合物若しくはこれらのコポリマーを含む。ハードコートは、機械的な引掻き損傷、気候の影響、温度変動、紫外線及び/又は空気若しくは飛沫水からの攻撃性の化学物質に対する耐性を改善する。付加的にハードコートは、装飾の機能も担うことができる。
【0028】
ポリマー製のカバー部分は、好ましくは400nm乃至800nmの範囲で60%より高い、特に好ましくは80%より高い平均光学透明性を有している。この高い光学透明性は、ポリマー製のカバー部分に、自重が軽く、しかも変形性も高いまま、ガラスに類似した外観を与える。
【0029】
取付け要素は、好ましくはF字形に形成されている。この場合、取付け要素の正確な形状付与は、ボデーの対応する相手側部材次第である。
【0030】
取付け要素は、好ましくはシールリップを有している。シールリップは、車両にピラーカバーを可撓性かつ密封性に組み付けることを可能にする。
【0031】
本発明に係るピラーカバーは、好ましくは多成分射出成形法又は多成分射出圧縮成形法を介して製造される。
【0032】
さらに本発明は、ピラーカバーの、車両、好ましくは自動車、貨物自動車、バスにおける、特に好ましくは自動車の加飾ストリップとしての使用を含む。
【0033】
以下に、本発明について図面を参照しながら詳細に説明する。図面は、純然たる概略図にすぎず、正確な縮尺で示したものでなく、本発明を何らかの形態に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術におけるピラーカバーの横断面図である。
図2】本発明に係るピラーカバーの好ましい実施の形態の横断面図である。
図3】窓案内片の部分拡大図である。
図4】表面構造の部分拡大図である。
図5】表面構造の横断面図である。
図6】ピラーカバーの好ましい実施の形態の3次元図である。
【0035】
図1は、従来技術におけるピラーカバーの横断面図である。一体的に射出成形される窓案内片(2)と、シールリップ(8)を有するF字形の取付け要素(7)とを有するポリマー製の支持体部分(1)は、ポリマー製のカバー部分(4)により取り囲まれている。窓案内片(2)は、テーパ部(3)を介してポリマー製の支持体部分(1)に結合されている。丸み付けられた末端部(6)の領域(破線の左側)は、滑らかに接触面(11)に沿ってポリマー製の支持体部分(1)及びポリマー製のカバー部分(4)に移行している。ポリマー製のカバー部分(4)は、丸み付けられた末端部(6)でポリマー製の支持体部分(1)を囲繞している。ポリマー製のカバー部分(4)及びポリマー製の支持体部分(1)のそれぞれ異なる材料に基づいて、2成分射出成形プロセス後の冷却の際に、光学的なゆがみ及び接触面(11)における不規則な界面が発生してしまう場合がある。
【0036】
図2は、本発明に係るピラーカバーの好ましい実施の形態の概略横断面図である。ポリマー製の支持体部分(1)であって、窓案内片(2)と、シールリップ(8)を有するF字形の取付け要素(7)とを有するポリマー製の支持体部分(1)と、ポリマー製のカバー部分(4)とからなる基本構造は、図1に示した基本構造に相当する。さらに窓案内片(2)は、テーパ部(3)の内側に設けられた補剛リブ(5)と、テーパ部(3)の外側に設けられた補強リブ(10)とを有している。窓案内片(2)は、テーパ部(3)内で、より大きな出発直径若しくは出発幅(b)からより小さな直径若しくは幅(a)に減少している。窓案内片(2)の表面には、本発明における表面構造(9)が配置されている。補強リブ(10)及びとりわけ表面構造(9)は、窓案内片(2)の安定性及び破壊強さを向上させる。
【0037】
図3は、窓案内片(2)の部分拡大図である。窓案内片(2)の表面には、六角形のハニカム状の表面構造(9)が配置されている。表面構造(9)及び補強リブ(10)は、窓案内片(2)の安定性及び許容荷重を大幅に向上させる。付加的に、種々異なる開口(12)は、窓案内片(2)の自重及び材料コストを低下させる。
【0038】
図4は、窓案内片(2)をさらに拡大した部分拡大図である。表面構造(9)及び補強リブ(10)は、図3と同様に配置されている。
【0039】
図5は、窓案内片(2)上の表面構造(9)の横断面図である。表面構造(9)は、窓案内片(2)の表面の垂線(13)に対して1°乃至15°の角度(α)で傾いている(14)。垂線(13)に対する表面構造(9)の傾き(14)は、傾いていない表面突起(9)と比較して、安定性を大幅に向上させる。さらに、角度(α)の傾き(14)は、射出成形工具内での硬化後の窓案内片(2)のより良好な解離を可能にする。値(d)は、隆起して高められた表面構造(9)の厚さを示し、値(d)は、表面構造(9)の下側に位置する窓案内片(2)の厚さを示している。加えて、総厚さ(d+d)の、厚さdに対する比((d+d)/d)は、好ましくは1.2乃至3である。
【0040】
図6は、ピラーカバーの好ましい実施の形態の3次元図である。構造は、図2に示した構造に相当する。テーパ部(3)は、斜視図のため、看取できない。ハニカム状の高められた補強構造(9)は、正六角形の形状で窓案内片(2)の表面を覆うように配置されている。補強構造(9)は、窓案内片(2)を補強して、窓案内片(2)の壁厚さを減じることを可能にする。付加的に表面構造(9)は、製造プロセス中、本発明に係るピラーカバーを射出成形工具から離型又は解離することを容易にする。補強リブ(10)は、窓案内片(2)のさらなる安定化を達成し、規則的な間隔及び不規則的な間隔を置いて窓案内片(2)の外面に配置されてもよい。末端部(6)の領域は、破線の左側に概略的に示してある。
【符号の説明】
【0041】
(1) 支持体部分
(2) 窓案内片
(3) テーパ部
(4) カバー部分
(5) 補剛リブ
(6) 末端部
(7) 取付け要素
(8) シールリップ
(9) 表面構造
(10) 補強リブ
(11) 支持体部分とカバー部分との間の接触面
(12) 窓案内片に設けられた開口
(13) 窓案内片の表面の垂線
(14) 垂線に対する表面構造の傾き
(α) 表面構造の傾きと窓案内片の表面の垂線との間の角度
(G) 窓案内片及び表面構造の総厚さ
(d) 窓案内片の厚さ
(d) 取付け要素の厚さ
(d) 表面構造の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6