特許第6080911号(P6080911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080911
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】電池の急速充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20170206BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20170206BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170206BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   H02J7/04 F
   H02J7/10 H
   H02J7/10 B
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
   H01M10/48 301
   H02J7/04 C
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-134216(P2015-134216)
(22)【出願日】2015年7月3日
(65)【公開番号】特開2016-82864(P2016-82864A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】201410553510.1
(32)【優先日】2014年10月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514257398
【氏名又は名称】東莞新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Dongguan Amperex Technology Limited
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駱福平
(72)【発明者】
【氏名】羅宇
(72)【発明者】
【氏名】王昇威
(72)【発明者】
【氏名】高潮
(72)【発明者】
【氏名】鄭強
【審査官】 木村 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−068527(JP,A)
【文献】 特開2011−024395(JP,A)
【文献】 特開2002−125326(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0025773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42−10/48
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(1)〜(4)のステップを有し、
(1)定電流Iで充電し、充電時間がtであり、
(2)定電流Iで充電し、充電時間がtであり、
(3)定電流Iで放電し、放電時間がtであり、ステップ(1)〜(3)を電池の予備充電電圧までに繰り返し、
(4)電池の予備充電電圧に到達した後、静置時間がtであり、定電流Iで充電し、電池のカットオフ電圧に到達した後、カットオフ電流Iまでに定電圧で充電し、
その中に、I<I、t<t、t<t、I<I≦I、I≦Iとなることを特徴とする、電池の急速充電方法。
【請求項2】
前記電池の急速充電方法が常温において行うことを特徴とする、請求項1に記載の電池の急速充電方法。
【請求項3】
電流値Iが2.5C−3C、充電時間tが10s−30sであり、
電流値Iが0.02C−0.2C、充電時間tが1s−10sであり、
/Iの範囲が12.5−125であり、t/tの範囲が2−10であることを特徴とする、請求項1に記載の電池の急速充電方法。
【請求項4】
ステップ(3)において、放電時間tが1s−10sであり、t/tの範囲が3−10であることを特徴とする、請求項3に記載の電池の急速充電方法。
【請求項5】
ステップ(4)において、静置時間tが10s−60sであり、電流値Iが1C−3Cであり、電流値Iが0.01C−0.1Cであることを特徴とする、請求項4に記載の電池の急速充電方法。
【請求項6】
ステップ(3)において、予備充電電圧がV−Vであり、その中に、Vが電池の臨界電圧値であり、Vが陽極でリチウム析出を回避するために臨界電圧より低く設定された電圧値であることを特徴とする、請求項1に記載の電池の急速充電方法。
【請求項7】
4.2≦V<4.5Vであり、
0<V≦0.05Vであることを特徴とする、請求項6に記載の電池の急速充電方法。
【請求項8】
ステップ(4)において、カットオフ電圧がVであることを特徴とする、請求項7に記載の電池の急速充電方法。
【請求項9】
予備充電電圧が4.34Vであり、カットオフ電圧が4.35Vであることを特徴とする、請求項8に記載の電池の急速充電方法。
【請求項10】
前記電池がリチウムイオン電池、鉛酸電池、ニッケル水素電池、或いはニカド電池であることを特徴とする、請求項1に記載の電池の急速充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池分野に関し、特に電池の急速充電方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は20数年の発展を経っており、エネルギー密度が非常に向上されていたが、リチウムイオン電池の技術は今までに発展されてきて、エネルギー密度の向上についてはすでにボトルネックになっている。限りがあるエネルギー密度の状況下で電池の充電速度を高めるのは、ユーザーの体験を有効的にアップすることができる。そのため、急速充電を実現できる高エネルギー密度のリチウムイオン電池は将来の競争の中で目立つようになるはずである。
【0003】
高エネルギー密度を保証する前提で、リチウムイオン電池の充電速度を高めるために、リチウム電池の業者は電池活物質と集電体の変更、及び電解液成分の最適化等の面では、大量に仕事されており、電池の急速充電という機能を大幅に改善させている。しかし、それと同時に電池のコストの高価も引き起こされて、さらに関連するプロセスがより複雑になっている。リチウム電池の従来の配合と構造を変更しない上で、充電の条件を変更することによっても、ある程度の最適化効果を得ることができる。
【0004】
従来の充電は定電流により一定の電位までに持続的に充電した後に、該電位において定電圧充電する方式である。このような充電方式は陰極の電位を上昇させ続けるが、陽極の電位を減少させ続ける。陽極の電位が0V以下になった際、リチウムイオンが陽極の表面においてリチウム金属に還元されて析出されることを引き起す。特に低温条件下で、リチウム電池自身のイオンと電子の導電性能が低下するため、充電過程において分極の程度の悪化を引き起こさせる。持続的に充電する方式は、このような分極をより一層見えやすくさせると同時に、リチウム析出になる可能性を増加させる。電極の表面にリチウムデンドライトが蓄積され、電池の安全性を大きく脅かすことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術に存在する問題に鑑み、本発明は電池の充電安全性を向上できる電池の急速充電方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の別の目的としては、電池の充電速度を向上できる電池の急速充電方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は下記(1)〜(4)のステップを有し、(1)定電流Iで充電し、充電時間がtであり、(2)定電流Iで充電し、充電時間がtであり、(3)定電流Iで放電し、放電時間がtであり、このように電池の予備充電電圧までに繰り返し、(4)電池の予備充電電圧に到達した後、静置時間がtであり、定電流Iで充電し、電池のカットオフ電圧に到達した後、カットオフ電流Iまでに定電圧で充電し、その中に、I<I、t<t、t<t、I<I≦I、I≦Iである、電池の急速充電方法を提供することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の有益効果は以下の通りである。
本発明は幅が広い大電流のパルスに、幅が狭い小電流のパルスを組み合わせる充電方式を採用することにより、大電流のパルスで充電することにより引き起こされた分極を減少させ、さらに幅が狭い小電流のパルスで放電を行い、分極をより一層除去する。これによって、電池の分極という問題を基本的に解決し、電池の陽極表面におけるリチウムイオン濃度を減少させることによって、陽極のリチウム析出を回避し、さらに陽極においてリチウム析出により引き起こされた電池の安全性問題を回避し、電池の充電安全性を高めた。同時に、本発明の電池の急速充電方法はパルス充電段階において分極を減少させることができるため、全体のパルス充電の時間が増加でき、これにより、電池フル充電の時間を短縮し、且つパルス充電段階(即ち、充電前期)における充電速度を大幅に高めた。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は本発明に係る電池の急速充電方法の過程を示す概略図である。
図2は本発明に係る電池の急速充電方法の実施例1の過程を示す概略図である。
図3は本発明に係る電池の急速充電方法の比較例の過程を示す概略図である。
図4図2の実施例1と図3の比較例における充電電圧と充電SOCの経時変化グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の電池の急速充電方法について詳細に説明する。
【0011】
図1を参照し、本発明に係る電池の急速充電の方法は:ステップ(1)定電流Iで充電し、充電時間はtであり、ステップ(2)定電流Iで充電し、充電時間はtであり、(3)定電流Iで放電し、放電時間はtであり、このように電池の予備充電電圧までにステップ(1)〜ステップ(3)を繰り返し、ステップ(4)電池の予備充電電圧に到達した後、静置時間はtであり、定電流Iで充電し、電池のカットオフ電圧に到達した後、カットオフ電流Iまでに定電圧で充電すること(その中に、I<I、t<t、t<t、I<I≦I、I≦Iである)を含む。
【0012】
本発明の電池の急速充電方法において、大電流(I)のパルス充電(即ち、ステップ(1))は充電時間を短縮することに有利し、小電流(I)のパルス充電(即ち、ステップ(2))は、一方、リチウムイオンが陽極表面に到達する速度を減少することで、分極の生成を遅らせ、もう一方、陽極表面のリチウムイオンが陽極の内部への拡散に一定のバッファ時間を与える。本発明は幅が広い(t)大電流(I)のパルス(即ち、ステップ(1))に、幅が狭い(t)小電流(I)のパルス(即ち、ステップ(2))を組み合わせる充電方式を採用し、大電流のパルスで充電することによって引き起こされた分極を減少させ、さらに幅が狭い(t)小電流(I)のパルスで放電(即ち、ステップ(3))を行い、分極をより一層除去する。これによって、電池の分極という問題を基本的に解決し、電池の陽極表面にリチウムイオン濃度を減少させることによって、陽極のリチウム析出を回避し、さらに陽極のリチウム析出によって引き起こされた電池の安全性問題を回避し、電池の充電安全性を高めた。同時に、本発明の電池の急速充電方法におけるパルス充電段階では分極が減少できるため、全体のパルス充電の時間を増加することができ、さらにパルス充電段階(即ち、充電前期)の充電速度を大幅に高めことにより、電池フル充電の時間を短縮することができる。
【0013】
本発明に係る電池の急速充電方法において、前述の電池の急速充電方法は常温下で行う。
【0014】
本発明に係る電池の急速充電方法において、電流値Iが2.5C−3Cであり、充電時間tが10s−30sであり、電流値Iが0.02C−0.2Cであり、充電時間tが1s−10sであり、I/Iの範囲が12.5−125であり、t/tの範囲が2−10であってもよい。電流値Iが電流値Iより小さく、電流Iでの充電により生じた分極の進行を遅らせ、充電時間tは充電時間tより小さく、小電流のパルスの時間が長すぎることによって充電速度に影響を与えることを回避する。
【0015】
本発明に係る電池の急速充電方法では、ステップ(3)において、放電時間tが1s−10sであってもよく、t/tの範囲が3−10であってもよい。放電時間tが1s−10sであることにより、陽極表面のリチウムイオン濃度をより低下させ、放電時間が長すぎると全体の充電速度に影響を与え、時間が短すぎると分極の除去が不十分である。
【0016】
本発明に係る電池の急速充電方法では、ステップ(4)において、静置時間tが10s−60sであってもよく、電流値Iが1C−3Cであってもよく、電流値Iが0.01C−0.1Cであってもよい。静置時間tが10s−60sであることにより、パルス充電による分極の程度を減少させ、後続の定電流充電に有利であり、定電流Iが1C−3Cであることにより、各種電池のニーズを満足し、異なる値の範囲に適応できる。
【0017】
本発明に係る電池の急速充電方法では、ステップ(3)において、予備充電電圧がV−Vであってもよく、その中に、Vが電池の臨界電圧値であり、Vが陽極でリチウム析出を回避するために臨界電圧より低く設定された電圧値である。Vは主にパルス充電段階で大きな分極が引き起こされ、陽極の電位が低すぎることでリチウム析出を回避するために設定されるものである。
【0018】
本発明に係る電池の急速充電方法において、4.2≦V<4.5V、0<V≦0.05Vである。なお、Vは高すぎに設定することができない。Vが高すぎると、パルス充電段階における予備充電電圧を低下させ、本発明の技術効果が弱くなる。
【0019】
本発明に係る電池の急速充電方法では、ステップ(4)において、カットオフ電圧がVであってもよい。
【0020】
本発明に係る電池の急速充電方法では、ある実施例において、予備充電電圧が4.34Vであり、カットオフ電圧が4.35Vである。
【0021】
本発明に係る電池の急速充電方法において、前述の電池はリチウムイオン電池、鉛酸電池、ニッケル水素電池、又はニカド電池であってもよい。
【実施例】
【0022】
以下、本発明に係る電池の急速充電方法の電池の実施例、比較例、試験過程及び試験結果を用いて説明する。
【0023】
実施例1
陰極、陽極、セパレータ、電解液及びパッケージシェルからなり、さらに組立、熟成及びエージング等のプロセスにより造られた電池である。その中に、陰極は96.7%LiCoO+1.7%PVDF(バインダーとして)+1.6%SP(導電剤として)を混合して構成され、陽極は98%人造黒鉛+1.0%SBR(バインダーとして)+1.0%CMC(増粘剤として)を混合して構成され、セパレータはPP/PE/PP複合フィルムであり、電解液は有機溶媒(30%EC+30%PC+40%DEC)と1mol/L LiPF、さらに添加剤(0.5%VC、5%FEC、4%VEC)から構成される。その中に、百分率はすべて質量百分率である。25°Cでは、該電池の満充電容量(SOC)が1700mAh(0.2C)であり、カットオフ電圧Vは4.35Vである。25°Cの温度において、本発明の電池の急速充電方法により該電池に対して充電を行い、具体的なステップ(図2参照)は以下の通りである。
1)定電流2.5Cで充電し、充電時間は20sであり、
2)定電流0.1Cで充電し、充電時間は2sであり、
3)定電流0.1Cで放電し、放電時間は3sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が30sであり、定電流1.3Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0024】
実施例2
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流3Cで充電し、充電時間は20sであり、
2)定電流0.05Cで充電し、充電時間は2sであり、
3)定電流0.05Cで放電し、放電時間は3sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が30sであり、定電流1.3Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0025】
実施例3
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流2.5Cで充電し、充電時間は30sであり、
2)定電流0.1Cで充電し、充電時間は5sであり、
3)定電流0.1Cで放電し、放電時間は10sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が10sであり、定電流1.3Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0026】
実施例4
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流2.5Cで充電し、充電時間は20sであり、
2)定電流0.02Cで充電し、充電時間は2sであり、
3)定電流0.02Cで放電し、放電時間は3sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が20sであり、定電流1.3Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.1Cまでに充電した。
【0027】
実施例5
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流2.5Cで充電し、充電時間は10sであり、
2)定電流0.2Cで充電し、充電時間は2sであり、
3)定電流0.2Cで放電し、放電時間は1sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が30sであり、定電流1.8Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0028】
実施例6
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流3Cで充電し、充電時間は10sであり、
2)定電流0.1Cで充電し、充電時間は1sであり、
3)定電流0.1Cで放電し、放電時間は2sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が60sであり、定電流1Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0029】
実施例7
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、本発明の電池の急速充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップは以下のようである。
1)定電流3Cで充電し、充電時間は20sであり、
2)定電流0.05Cで充電し、充電時間は10sであり、
3)定電流0.05Cで放電し、放電時間は5sであり、このように電池の予備充電電圧4.34Vまでに繰り返した。
4)電池の予備充電電圧4.34Vに到達した後、静置時間が60sであり、定電流3Cで充電し、電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.01Cまでに充電した。
【0030】
比較例
採用された電池は実施例1と同様であった。
25℃の温度において、従来型の定電流定電圧充電方法を用いて該電池に対して充電を行い、具体的なステップ(図3参照)は:ステップ1)1.3Cで定電流充電を行い、ステップ2)電圧が電池のカットオフ電圧4.35Vに到達した後、定電圧でカットオフ電流0.05Cまでに充電した。
【0031】
試験方法と過程
全ての充電過程はNeware電池試験システム(型番:BTS−4008−W)にて行うとともに、電池の充電電圧と電流をリアルタイムで1s毎に監視した。充電が完成した後にSOCの計算を行い、充電SOCの計算方法は、充電容量/定格容量で計算した(充電容量は電流と時間の乗積である。)。
【0032】
実施例1及び比較例の試験結果は図4に示され、実施例1−7及び比較例の試験結果は表1に示される。
【0033】
実施例1及び比較例における電池の充電電圧と充電SOCの経時変化曲線が図4に示されている。その中に、濃色の曲線は実施例1(その中に、ブラック部分はパルス充電段階で電圧のジャンプ式の変化によるものである)を表し、浅色の曲線は比較例を表す。実線は充電電圧を表し、破線は充電SOCを表す。図4に示される充電SOCの曲線から、パルス充電段階(即ち、充電前期であり、図に示すよう、約60%SOC)では、実施例1の充電SOC曲線の傾きが比較例の充電SOC曲線の傾きにより明らかに大きいことが分かった。そのため、比較例に比較して、実施例1における電池がパルス充電段階(即ち、充電前期であり、図に示すよう、約60%SOC)において充電速度が明らかに高まった。
【0034】
【表1】
【0035】
表1で実施例1−7及び比較例における電池が異なるSOCまでに充電することに必要とする時間を比較した。表1から分かるように、本発明の電池の急速充電方法はパルス充電段階(即ち、充電前期であり、表1に示すよう、約80%SOCである)における充電速度を明らかに高めることができるため、電池フル充電の時間を短縮することができる。
図1
図2
図3
図4