特許第6080914号(P6080914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080914
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】低コストの単回使用注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/24 20060101AFI20170206BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   A61M5/24 540
   A61M5/32 500
   A61M5/32 510K
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-140718(P2015-140718)
(22)【出願日】2015年7月14日
(62)【分割の表示】特願2014-511325(P2014-511325)の分割
【原出願日】2011年5月18日
(65)【公開番号】特開2015-211886(P2015-211886A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クイン
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第00989185(GB,A)
【文献】 特表2007−518507(JP,A)
【文献】 特表平08−505543(JP,A)
【文献】 特表2010−540059(JP,A)
【文献】 実開昭48−020290(JP,U)
【文献】 米国特許第03500830(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02439020(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0212362(US,A1)
【文献】 特表平7−503384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/24
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚に接触するための表面を有する安全シールドと、
前記安全シールドに摺動可能に接続された内部ハウジングであり、第1の部分および第2の部分を含むカムトラックを有する内部ハウジングと、
前記内部ハウジングに摺動可能に接続されて、第1の位置から第2の位置へ前記内部ハウジングに対して移動する針ハブと、
前記針ハブに取り付けられた両頭針と、
前記安全シールドに摺動可能に接続された薬剤を保持するための薬剤容器と、
前記薬剤容器内に摺動可能に配置されたストッパと、
前記安全シールド内に配置されたバイアス部材であり、前記薬剤容器を第1の方向にバイアスするバイアス部材と、
前記針の第1の端部を選択的に覆う針シールドであり、前記カムトラックと摺動可能に係合した少なくとも1つのカムタブを有する針シールドと
を備え、前記カムトラックの前記第1の部分に沿った前記カムタブの変位は前記針ハブを前記第2の位置に変位させて、前記針によって前記ストッパに穴をあける
ことを特徴とする注射装置。
【請求項2】
前記カムトラックの前記第2の部分に沿った前記カムタブの変位は前記針シールドを取り外して、注射のための前記装置の準備を整えることを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項3】
前記カムトラックの前記第1の部分は実質的に螺線形であり、前記カムトラックの前記第2の部分は実質的に直線状であることを特徴とする請求項1に記載の注射装置。
【請求項4】
前記薬剤容器の背圧と前記ストッパと前記薬剤容器の間の摩擦とを結合したものは、前記バイアス部材からの力と前記針が患者の皮膚を刺し貫くのに必要な力とを結合したものよりも大きく、そのため、前記薬剤容器を前記患者の皮膚に向かって変位させると、前記針は、前記薬剤の投与前に、前記患者の皮膚を刺し貫くことを特徴とする請求項2に記載の注射装置。
【請求項5】
展開方向にバイアスされた少なくとも1つのロックタブをさらに備え、前記注射の完了後に前記薬剤容器が解放されると、前記バイアス部材は、前記薬剤容器および前記内部ハウジングを前記第1の方向に変位させて前記ロックタブを通過させ、前記ロックタブは展開して、前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記ロックタブを通過して前記内部ハウジングが遠位方向に変位することを防ぐことを特徴とする請求項4に記載の注射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、薬剤を投与するための注射装置(injection device)に関し、より詳細には低コストの単回使用(使い捨て;single−use)注射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野ではさまざまな注射装置が知られている。しかしながら、このような多くの注射装置は適正使用のための医学的訓練を要求する。さらに、このような多くの注射装置は高価である。したがって、訓練を受けていない人または最低限の訓練を受けた人によって自分自身の注射または他の人の注射のために適正に使用されうる低コストで直観的な注射装置を提供することが必要である。このような必要とされる装置は例えば、医療を受けることが難しい世界の発展途上地域での接種に対して、または親が子に接種をするために使用されうる。さらに、針が患者を怖がらせることもある。したがって、注射装置は、注射の前と後の両方で、使用者から針を隠すことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,955,871号明細書
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様は、低コストの単回使用注射装置を提供することである。本発明の他の態様は、訓練を受けていない人または最低限の訓練を受けた人によって自分自身の注射または他の人の注射のために適正に使用されうる直観的な注射装置を提供することである。本発明の他の態様は、注射の前までは針が隠されており、注射後には針が覆い隠される注射装置を提供することである。
【0005】
本発明の上記の態様および/またはその他の態様は、安全シールドとハウジングとを含む注射装置を提供することによって達成される。安全シールドは、第1の端部、およびその第2の端部に配置された患者の皮膚に接触するための表面、ならびにそれから延びるシールドタブ(tab)を有する。ハウジングは、安全シールドに対して摺動可能に配置されており、シールドタブと係合して安全シールドに対するハウジングの移動を案内する案内溝を含む。案内溝は、第1の軸方向部分および第2の軸方向部分、ならびに第1の軸方向部分と第2の軸方向部分とを接続する実質的に螺線形の部分を有する。この装置はさらに、ハウジングに接続された薬剤容器であり、それに取り付けられ、薬剤容器内に配置された薬剤と連通した針を有する薬剤容器を含む。薬剤容器は、初期位置から注射位置、後退した位置(以後、後退位置)へ安全シールドに対して変位可能である。この装置はさらに、安全シールドから遠ざかる方向に薬剤容器をバイアス(付勢;bias)するバイアス(biasing)部材と、薬剤容器に対して摺動可能に配置された、薬剤容器から薬剤を放出するための注射器部材とを含む。
【0006】
本発明の上記の態様および/またはその他の態様は、第1の端部を有する安全シールドであり、その第2の端部に配置された患者の皮膚に接触するための表面を有する安全シールドと、安全シールドに摺動可能に接続された薬剤容器とを含む注射装置を提供することによっても達成される。薬剤容器は、それに取り付けられ、薬剤容器内に配置された薬剤と連通した針を含む。薬剤容器は、初期位置から注射位置、後退した位置へ安全シールドに対して変位可能である。この装置はさらに、プランジャおよびプランジャの第1の端部に配置されたストッパを有する注射器部材と、安全シールドから遠ざかる方向に薬剤容器をバイアスするバイアス部材と、安全シールドと薬剤容器の両方に対して摺動可能に配置されたハウジングとを含む。ハウジングは、薬剤容器に対するハウジングおよびプランジャの変位を選択的に防ぐ片持ち梁式の上方のロックアーム(locking arm)を含む。上方のロックアームと安全シールドのうちの一方は傾斜部(ramp)を含み、上方のロックアームと安全シールドのうちの残った一方は対応する半径方向の突起を含む。
薬剤容器を、初期位置から、針が安全シールドよりも先に延びる注射位置に変位させると、傾斜部は、半径方向の突起に接触して、上方のロックアームの自由端を半径方向に変位させて、薬剤容器に対するハウジングの移動を可能にする。
【0007】
本発明の上記の態様および/またはその他の態様は、患者の皮膚に接触するための表面を有する安全シールドと、安全シールドに摺動可能に接続された内部ハウジングであり、第1の部分および第2の部分を含むカムトラック(cam track)を有する内部ハウジングと、内部ハウジングに摺動可能に接続されて、第1の位置から第2の位置へそれに対して移動する針ハブ(hub)と、針ハブに取り付けられた両頭針とを含む注射装置を提供することによっても達成される。この装置はさらに、安全シールドに摺動可能に接続された薬剤を保持するための薬剤容器と、薬剤容器内に摺動可能に配置されたストッパと、安全シールド内に配置されたバイアス部材であり、薬剤容器を第1の方向にバイアスするバイアス部材と、針の第1の端部を選択的に覆う針シールドであり、カムトラックと摺動可能に係合した少なくとも1つのカムタブ(cam tab)を有する針シールドとを含む。カムトラックの第1の部分に沿ったカムタブの変位は針ハブを第2の位置に変位させて、針によってストッパに穴をあける。
【0008】
本発明の追加の態様および利点ならびに/またはその他の態様および利点は、一部は以下の説明に記載されており、一部は以下の説明から明らかになり、または本発明を実施することによって知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施形態の上記の態様および利点ならびに/またはその他の態様および利点は、添付図面に関して書かれた以下の詳細な説明からより容易に理解される。
図1】本発明の実施形態に基づく注射装置の斜視図である。
図2】初期状態にある図1の装置の断面図である。
図3図1の装置の安全シールドの斜視図である。
図4図1の装置のハウジングの斜視図である。
図5図4の線5−5に沿って描かれた図4のハウジングの断面図である。
図6図1の装置の動作を示す断面図である。
図7図1の装置の動作を示す断面図である。
図8図1の装置の動作を示す断面図である。
図9】注射後安全状態にある図1の装置の斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態に基づく注射装置の斜視図である。
図11】初期状態にある図10の装置の断面図である。
図12図10の装置のハウジングの斜視図である。
図13図12の線13−13に沿って描かれたハウジングの断面図である。
図14】注射状態にある図10の装置の断面図である。
図15】薬剤の注射後の図10の装置の断面図である。
図16】注射後安全状態にある図10の装置の断面図である。
図17】本発明の他の実施形態に基づく注射装置の斜視図である。
図18図17の線18−18に沿って描かれた図17の装置の断面図である。
図19図17の装置の内部ハウジングの部分断面図である。
図20】針によって穴があけられたストッパを有する図17の装置の断面図である。
図21】針シールドが取り外された図17の装置の断面図である。
図22】針が展開された図17の装置の断面図である。
図23】薬剤の注射後の図17の装置の断面図である。
図24】注射後安全状態にある図17の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態が詳細に参照される。それらの例が添付図面に示されており、その中では、全体を通じて同様の参照数字が同様の要素を指す。これらの実施形態の説明は、図面を参照することによって本発明を例示する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に基づく注射装置100の斜視図である。注射装置100は、安全シールド(安全遮蔽体;safety shield)104、ハウジング108および注射器部材または注射器ボタン112を含む。ハウジング108は、安全シールド104に摺動可能に接続されている。注射装置100はさらに、取り外し可能な針シールド116を含む。
【0012】
図2は、初期状態にある注射装置100を示す断面図である。図2に示されているとおり、注射装置100はさらに、針124がそれに固定された薬剤容器120、およびばね128などのバイアス部材128を含む。一実施形態によれば、薬剤容器120は、針124を保持するためのハブ136を有する柔軟なブリスタ(膨れ部材;blister)132を含む。針124は、ハブ136によって柔軟なブリスタ132と流体接続している。このような薬剤容器の例が、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるThomasの特許文献1に開示されている。一実施形態によれば、薬剤容器120は、固定された状態でハウジング108に接続されている。他の実施形態(図示せず)によれば、薬剤容器は、針シールドが後方に押されたときに弁膜に穴をあける両頭針を含む。この構成は、不正開封防止、再使用防止特徴として機能する。
【0013】
図2はさらに、柔軟なブリスタ132と軸方向に整列した内部スロット140を注射器ボタン112が含むことを示している。さらに、図2は、ハウジング108が内壁144および外壁148を含むことを示している。バイアス部材128は、内壁144と外壁148の間に配置されており、注射器ボタン112および薬剤容器120は、内壁144の半径方向内側に配置されている。注射器ボタン112は、薬剤容器120および内壁144に対して摺動可能に配置されている。
【0014】
内壁144は、初期移動止め(initial detent)152とロック移動止め(locking detent)156とを含む一対の移動止めを有する。一実施形態によれば、移動止め152および156は、内壁144の内面の円周状の凹みである。
他の実施形態によれば、移動止め152および156は、内壁144の内面に配置された不連続な円周状の凹みである。注射器ボタン112は、その遠位端に配置されたボタン突起158を含み、ボタン突起158は、移動止め152および156に対応した形状を有する。ボタン突起158と初期移動止め152は互いに作用して、ボタン突起158が初期移動止め152と係合した後に、注射器ボタン112がハウジング108に対して近位方向に移動することを防ぐ。同様に、下でより詳細に論じられるとおり、ボタン突起158とロック移動止め156は互いに作用して、ボタン突起158がロック移動止め156と係合した後に、注射器ボタン112がハウジング108に対して近位方向に移動することを防ぐ。
【0015】
図2および3に示されているとおり、安全シールド104は実質的に円筒形であり、患者の皮膚への針124の貫入を制限する深さ止め(depth stop)160を有する。安全シールド104はさらに、安全シールド104の近位端に配置されたフランジ(flange)168から半径方向に突き出たシールドタブ164を含む。フランジ168は、バイアス部材128の遠位端に対する支持面を提供し、シールドタブ164は、ハウジング108の案内溝172と互いに作用して、安全シールド104に対するハウジング108の移動を案内する。安全シールド104の遠位端は、患者の皮膚と接触する表面170を画定する。
【0016】
図4に示されているとおり、ハウジング108は、片持ち梁式の上方の可撓性アーム176および片持ち梁式の下方の可撓性アーム180を含む。下でより詳細に説明されるとおり、上方の可撓性アーム176および下方の可撓性アーム180は案内溝172のロック部材である。図5は、図4の線5−5に沿って描かれたハウジング108の断面図である。図5に示されているとおり、案内溝172は、実質的に軸方向の第1の部分(以後、第1の軸方向部分)184および実質的に軸方向の第2の部分(以後、第2の軸方向部分)188、ならびに第1の軸方向部分184と第2の軸方向部分188を接続する実質的に螺線形の部分192を含む。一実施形態によれば、成形目的で、実質的に螺線形の部分192がハウジング108を貫通する。下でより詳細に論じられるが、やはり図5に示されているとおり、上方の可撓性アーム176は、その内面の自由端に配置された傾斜部194を含む。さらに、下方の可撓性アーム180は傾斜フック(ramp hook)196を含む。
【0017】
図6〜8は、注射装置100の動作を示す断面図である。装置を動作させるため、使用者は最初に針シールド116を取り外し、安全シールド104の表面170を患者の皮膚194に当てる。続いて、使用者は注射器ボタン112を押し下げて、薬剤容器を注射位置まで変位させる。バイアス部材128を圧縮するのに必要な力および使用者の皮膚に針124を貫入させるのに必要な力は、ボタン突起158を初期移動止め152から変位させるのに必要な力よりも小さい。したがって、使用者が注射器ボタン112を押し下げると、ハウジング108は安全シールド104に対して遠位方向に摺動し、針124は使用者の皮膚198に貫入し、図6に示されているように、薬剤容器120のハブ136が深さ止め160に接触したときに所定の深さで止まる。
【0018】
安全シールド104に対するハウジング108のこの遠位方向の変位の間に、シールドタブ164は、案内溝172の第1の軸方向部分184と係合し、それに対して近位方向に移動する。言い換えると、シールドタブ164と第1の軸方向部分184との係合が、安全シールド104に対するハウジング108の変位を軸方向に限定し、安全シールド104に対するハウジング108の回転を防ぐ。ハブ136が深さ止め160に近づくと、シールドタブ164は傾斜部194を通過し、上方の可撓性アーム176の自由端を半径方向に変位させる。ハブ136が深さ止め160と係合したときに、シールドタブ164は傾斜部194の通過を完了し、第1の軸方向部分184の近位端に到達する。シールドタブ164が傾斜部194を通過した後、上方の可撓性アーム176の自由端ははね戻って、案内溝172の螺線形の部分192の一部を形成し、第1の軸方向部分184内でのシールドタブ164のその後の軸方向の移動を防ぐ。
【0019】
次に図7を参照する。使用者が注射器ボタン112を押し続けると、ボタン突起158が初期移動止め152から変位し、注射器ボタン112が、内壁144および薬剤容器120に対して遠位方向に変位して、ついにはボタン突起158がロック移動止め156と係合する。注射器ボタンのこの遠位方向の変位の間に、内部スロット140の壁が柔軟なブリスタ132と係合し、柔軟なブリスタ132を圧縮し、柔軟なブリスタ132から患者の体内へ薬剤を放出する。ボタン突起158がロック移動止め156と係合(して注射状態を規定)した後、それらの対応する形状は、ハウジング108に対する注射器ボタン112のその後の近位方向の変位を防ぐ。さらに、薬剤が注射された後、注射器ボタン112の近位端は、使用者が、注射器ボタン112をつまんで、注射器ボタン112を近位方向に変位させようとすることができない、ハウジング108の近位端の十分に近くに配置される。一実施形態によれば、薬剤が注射された後、注射器ボタン112の近位端はハウジング108の近位端と実質的に同じ平面にある。
【0020】
薬剤の注射に続いて、使用者は注射器ボタン112を解放し、バイアス部材128は、ハウジング108(ならびに薬剤容器120および注射器ボタン112)を安全シールド104に対して近位方向に変位させ、それによって薬剤容器120(および針124)を後退位置まで変位させる。シールドタブ164は案内溝172の螺線形の部分192と係合しているため、この近位方向の変位の第1の部分の間、ハウジング108は回転し、ついにはシールドタブ164が第2の軸方向部分188の近位端に到達する。このとき、バイアス部材128はハウジング108を近位方向に変位させ続け、第2の軸方向部分188内でのシールドタブ164の係合が、この近位方向の変位を軸方向に限定する。ハウジング108がその近位方向の変位の完了に近づくと、シールドタブ164は、下方の可撓性アーム180の傾斜フック196を通過し、下方の可撓性アーム180の自由端を半径方向に変位させる。そして、ハウジング108が(図8および9に示されている)その近位方向の変位を完了したときに、シールドタブ164は傾斜フック196の通過を完了させ、第2の軸方向部分188の遠位端に到達する。シールドタブ164が傾斜フック196を通過した後、下方の可撓性アーム180の自由端ははね戻って、第2の軸方向部分188内でのシールドタブ164のその後の軸方向の移動を防ぐ。言い換えると、下方の可撓性アーム180の自由端はシールドタブ164をロックし、安全シールド104に対するハウジング108のその後の変位を防ぎ、それによって注射装置100を注射後安全状態に固定する。
【0021】
図10は、本発明の他の実施形態に基づく注射装置200の斜視図、図11は注射装置200の断面図である。図10に示されているとおり、注射装置200は、安全シールド204およびハウジング208を含む。図示されてはいないが、注射装置200はさらに、取り外し可能な針シールドを含む。ハウジング208は安全シールド204に摺動可能に接続している。図11に示されているとおり、注射装置200はさらに、薬剤容器220に摺動可能に接続した(プランジャ(plunger)214およびストッパ(stopper)216を含む)注射器部材212を含み、薬剤容器220は、その遠位端に取り付けられた針224を有する。さらに、注射装置200は、安全シールド204から遠ざかるように薬剤容器220を近位方向にバイアスするバイアス部材228を含む。針224は、薬剤容器220内に配置された薬剤と連通している。薬剤容器120と同様に、薬剤容器220は、(図11に示された)初期位置から、(図14に示された)注射位置、(図16に示された)後退位置まで、安全シールド204に対して変位可能である。さらに、(深さ止め232、フランジ236およびシールドタブ240を有する)安全シールド204は、前に記載された安全シールド104と実質的に同様である。したがって、簡潔にするため、この安全シールドの追加の詳細な説明は省略される。
【0022】
図12は、ハウジング208が、ハウジング108と同様に、上方の可撓性アーム244および下方の可撓性アーム248を含むことを示すハウジング208の斜視図である。
図13は、図12の線13−13に沿って描かれたハウジング208の断面図であり、この図は、ハウジング208が、やはりハウジング108と同様に、第1の軸方向部分256および第2の軸方向部分260、ならびに第1の軸方向部分256と第2の軸方向部分260を接続する実質的に螺線形の部分264を含む案内溝252を含むことを示している。さらに、上方の可撓性アーム244は第1の軸方向部分256に配置されており、下方の可撓性アーム248は第2の軸方向部分260に配置されている。さらに、上方の可撓性アーム244は、その自由端に配置された傾斜部268を含み、下方の可撓性アーム248は、その自由端に配置された傾斜フック272を含む。傾斜部268および傾斜フック272は、前に記載された傾斜部194および傾斜部196と実質的に同様に機能する。したがって、簡潔にするため、傾斜部268および傾斜フック272の追加の詳細な説明は省略される。
【0023】
しかしながら、ハウジング108とは違い、上方の可撓性アーム244は、その近位端に、薬剤容器220に対するハウジング208およびプランジャ214の変位を選択的に防ぐロック突起276を含む。上方の可撓性アーム244はさらに、その上に配置されたロック解除傾斜部280を有する。下でより詳細に説明されるとおり、ロック解除傾斜部280はシールドタブ240と互いに作用して、上方の可撓性アーム244の自由端を半径方向に変位させて、薬剤容器220に対するハウジング208の移動を可能にする。一実施形態によれば、図13に示されているとおり、上方の可撓性アーム244が2つの部分を有する。ロック突起276は第1の部分に配置されており、傾斜部268およびロック解除傾斜部280は第2の部分に配置されており、第2の部分はさらに、案内溝252の第1の軸方向部分256を含む。
【0024】
図11を再び参照すると、初期状態において、ロック突起276は、薬剤容器220の近位端に配置された半径方向のフランジ284と係合している。この係合は、薬剤容器220に対するハウジング208およびプランジャ214の変位を防ぐ。したがって、ハウジング208の近位端に使用者が力を加えると、半径方向のフランジ284がバイアス部材228を圧縮し、ハウジング208、注射器部材212および薬剤容器220が安全シールド204に対して単位体として遠位方向に変位し、ついには薬剤容器220が深さ止め232に到達する。これが、図14に示された注射状態である。薬剤容器220のこの変位はさらに、患者の皮膚を刺し貫くように針224を押し出す。
【0025】
図14に示されているとおり、ハウジング208および薬剤容器220が注射状態に到達するときには、シールドタブ240が第1の軸方向部分256内を移動し、ロック解除傾斜部280と係合して、上方の可撓性アーム244の自由端を半径方向に変位させ、それによってロック突起276を半径方向のフランジ284から外す。したがって、ロック突起276はもはや半径方向のフランジ284と係合していないため、ハウジング208(ならびにハウジング208と接触しているストッパ216およびプランジャ214)は、薬剤容器220に対して変位可能である。したがって、ハウジング208の近位端に使用者が力を加え続けると、図15に示されているように、ハウジング208および注射器部材212が薬剤容器220に対して遠位方向に変位し、薬剤容器220から薬剤を放出する。
【0026】
さらに、安全シールド204に対するハウジング208のこの遠位方向の変位の間に、シールドタブ240は、案内溝252の第1の軸方向部分256に対して近位方向に移動し続ける。言い換えると、シールドタブ240と第1の軸方向部分256との係合が、安全シールド204に対するハウジング208の変位を軸方向に限定し、安全シールド204に対するハウジング208の回転を防ぐ。ハウジングがその行程の遠位端に接近し、薬剤容器220が深さ止め232に近づくと、シールドタブ240は傾斜部268を通過し、上方の可撓性アーム244の自由端を半径方向に変位させる。そして、薬剤容器220が深さ止め232と係合したときに、シールドタブ240は傾斜部268の通過を完了し、第1の軸方向部分256の近位端に到達する。シールドタブ240が傾斜部268を通過した後、上方の可撓性アーム244の自由端ははね戻って、案内溝252の螺線形の部分264の一部を形成し、第1の軸方向部分256内でのシールドタブ240のその後の軸方向の移動を防ぐ。
【0027】
前に記載された注射装置100と同様に、薬剤の注射に続いて、使用者はハウジング208を解放し、バイアス部材228は、ハウジング208(ならびに薬剤容器220および注射器部材212)を安全シールド204に対して近位方向に変位させ、それによって薬剤容器220(および針224)を後退位置まで変位させる。シールドタブ240は案内溝252の螺線形の部分264と係合しているため、この近位方向の変位の第1の部分の間、ハウジング208は回転し、ついにはシールドタブ240が第2の軸方向部分260の近位端に到達する。このとき、バイアス部材228はハウジング208を近位方向に変位させ続け、第2の軸方向部分260内でのシールドタブ240の係合が、ハウジング208の近位方向の変位を軸方向に限定する。ハウジング208がその近位方向の変位の完了に近づくと、シールドタブ240は、下方の可撓性アーム248の傾斜フック272を通過し、下方の可撓性アーム248の自由端を半径方向に変位させる。そして、ハウジング208が(図16に示されている)その近位方向の変位を完了したときに、シールドタブ240は傾斜フック272の通過を完了させ、第2の軸方向部分260の遠位端に到達する。シールドタブ240が傾斜フック272を通過した後、下方の可撓性アーム248の自由端ははね戻って、第2の軸方向部分260内でのシールドタブ240のその後の軸方向の移動を防ぐ。言い換えると、下方の可撓性アーム248の自由端はシールドタブ240をロックし、安全シールド204に対するハウジング208のその後の変位を防ぎ、それによって注射装置200を注射後安全状態に固定する。
【0028】
図17は、初期状態にある注射装置300の斜視図、図18は装置300の断面図である。図17および18に示されているように、注射装置300は、患者の皮膚に接触するための表面306がその遠位端に配置された安全シールド304、安全シールド304に摺動可能に接続された薬剤容器308、安全シールド304に摺動可能に接続された内部ハウジング312、および針324の遠位端を選択的に覆う針シールド316を含む。薬剤容器308は例えばガラス製またはプラスチック製とすることができる。一実施形態によれば、安全シールド304は、半径方向内側にバイアスされた一対のロックタブ318を含む。注射装置300はさらに、内部ハウジング312に摺動可能に接続された針ハブ320を含む。針ハブ320には両頭針324が取り付けられている。注射装置300はさらに、薬剤カートリッジ308を近位方向にバイアスする、安全シールド304内に配置されたバイアス部材328、および薬剤カートリッジ308内に摺動可能に配置されたストッパ332を含む。一実施形態によれば、内部ハウジング312は、その近位端に、ストッパ332の遠位端の対応する凹み338と係合してストッパ332を内部ハウジング312に固定するかえし334を有する。
【0029】
針ハブ320は、その近位端に配置された半径方向の突起336を有し、内部ハウジング312は、半径方向の突起336に対応する一対の移動止めまたは受取り溝340(図19に示されている)を含む。一実施形態によれば、半径方向の突起336および受取り溝340は円周状である。下でより詳細に論じられるとおり、針ハブ320は、遠位方向の受取り溝340の中に半径方向の突起336が配置された第1の位置から、近位方向の受取り溝340の中に半径方向の突起336が配置された第2の位置へ移動可能である。
【0030】
一実施形態によれば、内部ハウジング312はさらに、針シールド316の一対のカムタブ348を摺動可能に受け取る一対のカムトラック344を含む。図19に示されているとおり、各カムトラック344は、実質的に螺線形の第1の部分352および実質的に直線状の第2の部分356を含む。使用者が針シールド316を回転させると、カムタブ348は螺線形の部分352に沿って移動し、ついには螺線形の部分352の終わり(および直線状の部分356の始まり)に到達する。針シールド316のこの回転は、針ハブ320を第1の位置から第2の位置へ近位方向に変位させ、図20に示されているように、針324の近位端によってストッパ332に穴をあける。
【0031】
続いて、直線状の部分356にカムタブ348が配置された状態で、使用者は、針シールド316を遠位方向に変位させて、注射装置300からそれを取り外す。この時点で、注射装置300は、図21に示されているように、注射のための準備が整っている。
【0032】
次に、使用者は、安全シールド304の表面306が使用者の皮膚に接触するように注射装置300を配置し、薬剤容器308を押し下げてバイアス部材328を圧縮する。一実施形態によれば、薬剤容器308内の薬剤の背圧の力とストッパ332と薬剤容器308の間の摩擦の力とを結合したものは、バイアス部材328からの力と針324が患者の皮膚を刺し貫くのに必要な力とを結合したものよりも大きく、そのため、薬剤容器308を遠位方向に変位させると、針324は、薬剤の投与の前に、患者の皮膚を刺し貫く。薬剤容器308に対するこの下向きの圧力は、患者の皮膚に針324を押し込み、ついには、図22に示されているように、内部ハウジング312が患者の皮膚に接触する。
【0033】
内部ハウジング312が患者の皮膚に接触した後、薬剤容器308に対する継続する下向きの圧力は、薬剤容器308から針324を通して薬剤を放出し、ついには、図23に示されているように、薬剤容器308がその行程の終わりに到達する。一実施形態によれば、薬剤容器の行程の終わりにおいて、薬剤容器308の近位端は安全シールド304の近位端と実質的に同じ平面にある。
【0034】
薬剤の注射に続いて、使用者は薬剤容器308を解放し、バイアス部材328の力は、薬剤容器308(ならびに内部ハウジング312および針324)を近位方向に変位させる。内部ハウジング312の遠位端がロックタブ318を通過すると、ロックタブ318は、それらの半径方向内側のバイアスにより半径方向内側にはね戻る。この位置において、ロックタブ318は、図24に示されているように、内部ハウジング312がその後にそれらを通過して遠位方向に変位することを防ぎ、したがって注射装置300の再使用を防ぐ。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の実施形態はユーザフレンドリーであり、注射の前まで針を隠すことができ、それによって注射に慣れていないことがある使用者が針を怖がる程度をより低くすることができる。さらに、本発明の実施形態では、針挿入と注射行程とを1回の単一の移動で達成することができる。さらに、本発明の実施形態では、装置が皮膚から取り外された後に針を自動的に覆い隠すことができる。さらに、本発明の実施形態のこのコンパクトなサイズおよび少ない部品数は、製造コストならびに輸送および保管コストを低減することができる。
【0036】
伝統的な自動注射器と比較すると、本発明の実施形態のこのコンパクトなサイズおよび少ない部品数は、このような自動注射器のより高次の特徴のうちのいくつかの特徴を排除することによって達成することができる。例えば、本発明の実施形態は、自動注射器を「自動」注射器にしているばね式の自動押し込み機構を必要としない。その代わりに、必要な力を使用者が加えることができる。使用者が必要な最小限の力を加えることを保証するため、さらに素早い針挿入を保証するために、本発明の実施形態は、注射が始まる前に使用者が乗り越える必要がある力ベースの移動止めを有することができる。この移動止めが乗り越えられると、針アセンブリは皮膚に突き刺さり、次いで注射が始まる。ばね式の自動押し込み機構の必要性を排除することによって、起動ボタン、それが物体に押し当てられた後にのみ注射器がトリガされうるばね式の安全装置などの他の特徴を排除することもできる。
【0037】
上には、本発明のごく少数の例示的な実施形態が詳細に記載されているが、それらの例示的な実施形態では、本発明の新規の教示および利点から大きくは逸脱しない多くの変更が可能であることを当業者は容易に理解するであろう。したがって、全てのこのような変更は、添付された請求項およびそれらの等価物の範囲に含まれることが意図されている。
【0038】
付記
(付記1)
第1の端部を有する安全シールドであり、前記安全シールドの第2の端部に配置された患者の皮膚に接触するための表面、および前記安全シールドから延びるシールドタブを有する安全シールドと、
前記安全シールドに対して摺動可能に配置されたハウジングであり、前記シールドタブと係合して前記安全シールドに対する前記ハウジングの移動を案内する案内溝を含み、前記案内溝は、第1の軸方向部分および第2の軸方向部分、ならびに前記第1の軸方向部分と前記第2の軸方向部分とを接続する実質的に螺線形の部分を有するハウジングと、
前記ハウジングに接続された薬剤容器であり、前記薬剤容器に取り付けられ、前記薬剤容器内に配置された薬剤と連通した針を有し、初期位置から注射位置、後退位置へ前記安全シールドに対して変位可能な薬剤容器と、
前記安全シールドから遠ざかる方向に前記薬剤容器をバイアスするバイアス部材と、
前記薬剤容器に対して摺動可能に配置された前記薬剤容器から前記薬剤を放出するための注射器部材と
を備えることを特徴とする注射装置。
(付記2)
前記安全シールドは、患者の皮膚への前記針の貫入を制限する深さ止めを含むことを特徴とする付記1に記載の注射装置。
(付記3)
前記ハウジングは、前記案内溝の前記第1の軸方向部分に配置された片持ち梁式の上方の可撓性アーム、および前記案内溝の前記第2の軸方向部分に配置された片持ち梁式の下方の可撓性アームを備え、
前記シールドタブが前記可撓性アームの対応するそれぞれの自由端を通過した後に、前記可撓性アームは、前記案内溝の対応する前記軸方向部分に沿った前記シールドタブの逆方向の変位を防ぐ
ことを特徴とする付記1に記載の注射装置。
(付記4)
前記上方の可撓性アームは、前記上方の可撓性アームの前記自由端に傾斜部を備え、
前記シールドタブが前記傾斜部を通過するときに、前記シールドタブは、前記上ロックアームの前記自由端を半径方向に変位させ、
前記シールドタブが前記傾斜部を通過した後に、前記自由端ははね戻って、前記案内する溝の前記螺線形の部分の一部を形成する
ことを特徴とする付記3に記載の注射装置。
(付記5)
前記下方の可撓性アームは、前記下方の可撓性アームの自由端に傾斜部を備え、
前記バイアス部材が、前記後退位置への前記薬剤容器の前記変位を完了させるときに、前記シールドタブは、前記案内する溝の前記第2の軸方向部分内を移動し、前記傾斜部を通過して、前記下ロックアームの前記自由端を半径方向に変位させ、
前記シールドタブが前記傾斜フックを通過した後に、前記下ロックアームの前記自由端ははね戻って、前記安全シールドに対する前記ハウジングの変位を防ぐ
ことを特徴とする付記3に記載の注射装置。
(付記6)
前記針が所定の注射深さに到達すると、前記シールドタブは、前記案内溝の前記実質的に螺線形の部分と係合し、
続いて前記注射器部材が解放されると、前記バイアス部材が、前記ハウジングおよび前記薬剤容器を前記安全シールドから遠ざかる方向に変位させるときに、前記ハウジングは、前記案内溝の前記実質的に螺線形の部分内での前記シールドタブの前記係合によって回転する
ことを特徴とする付記1に記載の注射装置。
(付記7)
前記薬剤容器は、固定された状態で前記ハウジングに接続されており、
前記ハウジングは内壁および外壁を含み、
前記バイアス部材は前記内壁と前記外壁の間に配置されており、
前記薬剤容器は、前記内壁の半径方向内側に配置されている
ことを特徴とする付記1に記載の注射装置。
(付記8)
前記薬剤容器は柔軟なブリスタを備え、
前記注射器部材は、前記柔軟なブリスタと軸方向に整列した内部スロットを有する注射器ボタンを備え、
前記注射器ボタンが押し下げられたときに、前記内部スロットの壁は前記柔軟なブリスタを圧縮して、前記薬剤容器から前記薬剤を放出する
ことを特徴とする付記7に記載の注射装置。
(付記9)
前記注射器部材と前記内壁のうちの一方は半径方向の突起を有し、前記注射器部材と前記内壁のうちの残った一方は、前記半径方向の突起を選択的に保持する一対の溝を有し、前記一対の溝は、前記一対の溝を通過して前記注射器部材が近位方向に平行移動することを防ぎ、
前記一対の溝のうちの第1の溝は初期状態に対応し、前記一対の溝のうちの残った方の溝は注射後の状態に対応する
ことを特徴とする付記7に記載の注射装置。
(付記10)
前記薬剤容器は、前記ハウジングおよび前記安全シールドに摺動可能に接続されており、
前記注射器部材は、プランジャおよび前記プランジャの第1の端部に配置されたストッパを備え、前記ハウジングは、前記第1の端部の反対側の前記プランジャの第2の端部に接触し、
前記薬剤容器および前記安全シールドに対する前記ハウジングの変位は、前記薬剤容器から前記薬剤を放出する
ことを特徴とする付記3に記載の注射装置。
(付記11)
前記薬剤容器から薬剤を放出するための前記ハウジングの行程の終わりに、
前記シールド上に配置されたシールドタブは、前記案内溝の前記実質的に螺線形の部分と係合し、
前記ハウジングが解放されると、前記バイアス部材は、前記薬剤容器および前記ハウジングを前記安全シールドから遠ざかる方向に変位させ、前記実質的に螺線形の部分内での前記シールドタブの前記係合によって、前記ハウジングを回転させる
ことを特徴とする付記10に記載の注射装置。
(付記12)
前記上方の可撓性アームは、前記薬剤容器に対する前記ハウジングおよび前記プランジャの変位を選択的に防ぐロック突起を備え、
前記上方の可撓性アームと前記安全シールドのうちの一方はロック解除傾斜部を備え、前記上方の可撓性アームと前記安全シールドのうちの残った一方は半径方向の突起を備え、
前記薬剤容器を、前記初期位置から、前記針が前記安全シールドよりも先に延びる前記注射位置に変位させると、前記ロック解除傾斜部は、前記半径方向の突起に接触して、前記上方の可撓性アームの自由端を半径方向に変位させて、前記薬剤容器に対する前記ハウジングの移動を可能にする
ことを特徴とする付記10に記載の注射装置。
(付記13)
第1の端部を有する安全シールドであり、前記安全シールドの第2の端部に配置された患者の皮膚に接触するための表面を有する安全シールドと、
前記安全シールドに摺動可能に接続された薬剤容器であり、前記薬剤容器に取り付けられ、前記薬剤容器内に配置された薬剤と連通した針を含み、初期位置から注射位置、後退位置へ前記安全シールドに対して変位可能な薬剤容器と、
プランジャおよび前記プランジャの第1の端部に配置されたストッパを備える注射器部材と、
前記安全シールドから遠ざかる方向に前記薬剤容器をバイアスするバイアス部材と、
前記安全シールドと前記薬剤容器の両方に対して摺動可能に配置されたハウジングであり、前記薬剤容器に対する前記ハウジングおよび前記プランジャの変位を選択的に防ぐ片持ち梁式の上方のロックアームを含むハウジングと
を備え、前記上方のロックアームと前記安全シールドのうちの一方は傾斜部を備え、前記上方のロックアームと前記安全シールドのうちの残った一方は対応する半径方向の突起を備え、
前記薬剤容器を、前記初期位置から、前記針が前記安全シールドよりも先に延びる前記注射位置に変位させると、前記傾斜部は、前記半径方向の突起に接触して、前記上方のロックアームの自由端を半径方向に変位させて、前記薬剤容器に対する前記ハウジングの移動を可能にする
ことを特徴とする注射装置。
(付記14)
前記安全シールドは、患者の皮膚への前記針の貫入を制限する深さ止めを含むことを特徴とする付記13に記載の注射装置。
(付記15)
前記ハウジングは、前記第1の端部の反対側の前記プランジャの第2の端部に接触し、 前記薬剤容器および前記安全シールドに対する前記ハウジングの変位は、前記薬剤容器から前記薬剤を放出する
ことを特徴とする付記13に記載の注射装置。
(付記16)
患者の皮膚に接触するための表面を有する安全シールドと、
前記安全シールドに摺動可能に接続された内部ハウジングであり、第1の部分および第2の部分を含むカムトラックを有する内部ハウジングと、
前記内部ハウジングに摺動可能に接続されて、第1の位置から第2の位置へ前記内部ハウジングに対して移動する針ハブと、
前記針ハブに取り付けられた両頭針と、
前記安全シールドに摺動可能に接続された薬剤を保持するための薬剤容器と、
前記薬剤容器内に摺動可能に配置されたストッパと、
前記安全シールド内に配置されたバイアス部材であり、前記薬剤容器を第1の方向にバイアスするバイアス部材と、
前記針の第1の端部を選択的に覆う針シールドであり、前記カムトラックと摺動可能に係合した少なくとも1つのカムタブを有する針シールドと
を備え、前記カムトラックの前記第1の部分に沿った前記カムタブの変位は前記針ハブを前記第2の位置に変位させて、前記針によって前記ストッパに穴をあける
ことを特徴とする注射装置。
(付記17)
前記カムトラックの前記第2の部分に沿った前記カムタブの変位は前記針シールドを取り外して、注射のための前記装置の準備を整えることを特徴とする付記16に記載の注射装置。
(付記18)
前記カムトラックの前記第1の部分は実質的に螺線形であり、前記カムトラックの前記第2の部分は実質的に直線状であることを特徴とする付記16に記載の注射装置。
(付記19)
前記薬剤容器の背圧と前記ストッパと前記薬剤容器の間の摩擦とを結合したものは、前記バイアス部材からの力と前記針が患者の皮膚を刺し貫くのに必要な力とを結合したものよりも大きく、そのため、前記薬剤容器を前記患者の皮膚に向かって変位させると、前記針は、前記薬剤の投与前に、前記患者の皮膚を刺し貫くことを特徴とする付記17に記載の注射装置。
(付記20)
展開方向にバイアスされた少なくとも1つのロックタブをさらに備え、前記注射の完了後に前記薬剤容器が解放されると、前記バイアス部材は、前記薬剤容器および前記内部ハウジングを前記第1の方向に変位させて前記ロックタブを通過させ、前記ロックタブは展開して、前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記ロックタブを通過して前記内部ハウジングが遠位方向に変位することを防ぐことを特徴とする付記19に記載の注射装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24