特許第6080923号(P6080923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムニアクティブ ヘルス テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

特許6080923増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法
<>
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000019
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000020
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000021
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000022
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000023
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000024
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000025
  • 特許6080923-増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法 図000026
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080923
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】増強された生物学的利用能を有するクルクミンを含む水溶性組成物およびその製法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/12 20060101AFI20170206BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20170206BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20170206BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20170206BHJP
   A61K 45/08 20060101ALI20170206BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20170206BHJP
【FI】
   A61K31/12
   A61K47/22
   A61K47/46
   A61K47/10
   A61K47/14
   A61K47/36
   A61K47/38
   A61K47/32
   A61K47/34
   A61K47/26
   A61K47/44
   A61K9/14
   A61K45/08
   A61P25/24
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-173498(P2015-173498)
(22)【出願日】2015年9月3日
(62)【分割の表示】特願2013-551011(P2013-551011)の分割
【原出願日】2011年7月22日
(65)【公開番号】特開2016-40251(P2016-40251A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2015年9月16日
(31)【優先権主張番号】1487/MUM/2011
(32)【優先日】2011年5月16日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513145553
【氏名又は名称】オムニアクティブ ヘルス テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤント ベンカテッシュ デシュパンデュ
(72)【発明者】
【氏名】シュリニバス クリシュナラオ クルカーニ
【審査官】 山村 祥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−245054(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/022012(WO,A1)
【文献】 Journal of Pharmaceutical Sciences,2010年,Vol.99, No.4,p.1871-1881
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/12
A61K 9/14
A61K 45/08
A61K 47/10
A61K 47/14
A61K 47/22
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/34
A61K 47/36
A61K 47/38
A61K 47/44
A61K 47/46
A61P 25/24
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クルクミン、抗酸化剤、親水性担体、および脂肪を含む、うつ病の処置に有用な増強された生物学的利用能を有する水溶性組成物であって、抗酸化剤の量が、全組成物の1重量%〜10重量%の範囲であり、親水性担体の量が、全組成物の10重量%〜90重量%の範囲であり、かつ脂肪の量が、全組成物の1重量%〜25重量%の範囲である、前記水溶性組成物。
【請求項2】
組成物において使用されるクルクミンの量が、全組成物の1重量%〜90重量%の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗酸化剤が、天然トコフェロール、アスコルビルパルミタート、ローズマリー抽出物、エピガロカテキンガラート、カテキン、アスコルビン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
親水性担体が、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、糖、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
脂肪が、乳脂肪、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、硬化植物油、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
クルクミンが、50重量%〜99重量%の範囲の純度を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物におけるクルクミンの生物学的利用能が、クルクミンを含む対照組成物におけるものより高い、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
1gの単一用量で対象に投与した場合、少なくとも74.47 ng/mL*hの曲線下面積および少なくとも16.11 ng/mLのCmaxからなる群より選択される少なくとも1つの特性を提供する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の組成物の治療的有効量を含む、うつ病を治療するための薬学的組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の組成物を含む、経口薬学的製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、増強された生物学的利用能を有する水溶性組成物、およびその調製のためのプロセスに関連する。より詳細には、本発明は、少なくとも1種類の抗酸化剤、親水性担体、および脂肪と共にクルクミンを含有し、増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物に関連する。
【0002】
本発明の組成物は、ヒトにおいてうつ病の症候を緩和することにより、うつ病の処置に有用である。増強された生物学的利用能を有する本発明のクルクミンの新規水溶性組成物は、乾燥混合物、錠剤、カプセルなどのような経口送達形態に製剤化するために特に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
クルクミン[1,7-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン]は、香辛料のターメリックに由来する強力な抗酸化剤である、疎水性のポリフェノール誘導体である。市販のクルクミンは、およそ、77%のジフェルロイルメタン、17%のデメトキシクルクミン、および6%のビスデメトキシクルクミンを含有する。クルクミンは、太古から使用されているウコン(Curcuma Longa)の主要な活性成分である。ウコン(ターメリック)は、周知の固有のハーブ薬である。ウコンは、抗炎症特性、抗酸化特性、抗増殖特性、抗菌特性、抗発癌特性、および抗血管新生特性を含む多様な生物学的作用および薬理学的活性が公知である。
【0004】
衰弱性精神障害である大うつ病は、今日、最も蔓延しているヒトの疾病の一つと考えられている。大うつ病は、社会的困難、職業的困難、金銭的困難、対人的困難の持続を含む多数の理由により引き起こされ得る。うつ病を有する人は、通常、悲しい気分の状態を呈し、人の思考、行動、感情、および身体的健康に一般的に影響を及ぼす日常の活動に対する嫌悪を呈する。
【0005】
うつ病の症候を緩和するために、種々の抗うつ薬が処方されている。現在使用されている薬物は主に、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、三環系抗うつ薬(TCA)、四環系抗うつ薬(TeCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、およびノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害剤(NDRI)を含む。市場で入手可能である、うつ病の処置に適応されるブロックバスター薬物のいくつかは、Prozac、Norpramin、Effexor、Serzone、Remeron、Desyrel、Zolsoft、paxil、Pamelor、Aventyl、Surmontilなどの商標で販売されている。セイヨウオトギリソウ(St Johns Wort)などの栄養補助製品もまた、うつ病のために広く使用されている。
【0006】
しかしながら、上述の薬物の治療的有益性は、しばしば、望ましくない副作用を伴い、かつ作用の正確な機構は、十分に理解されていない。多くの関連する副作用は、悪心、不眠症、不安、不穏状態、性衝動減少、めまい、体重の増加または減少、振戦、発汗、眠気、疲労、口渇、下痢、便秘、頭痛などを含む。これらの副作用のため、およびいくらかの患者が既存の薬物に応答できないことのために、大うつ病の処置用のより安全なかつ有効な薬物について必要性が強調される。
【0007】
したがって、安全性および有効性の問題に具体的に対処すると考えられる、伝統的なハーブ由来の、またはハーブ起源の組成物を同定し、それによりうつ病性症候を緩和することが有用であると考えられる。クルクミンは、大うつ病の種々の動物モデルにおいて有望な有効性を示している1つのそのような分子である。クルクミンの抗うつ効果の機構は完全には理解されていないが、モノアミンオキシダーゼ酵素を阻害すること、ならびにセロトニンおよびドーパミンの放出を調節することを通して作用すると仮定される。さらに、クルクミンが、特に脳の前頭皮質および海馬領域において神経発生を増強することが、証拠により示されている。(SK Kulkarni et al. Potentials of Curcumin as an Antidepressant; Scientific World Journal 2009 Nov 1;9:1233-41(非特許文献1))。
【0008】
別の研究は、強制水泳試験におけるクルクミンの抗うつ効果を確認し、抗うつ効果が、中枢のモノアミン作動性神経伝達物質系における作用により媒介され得ることを示唆した。1.25、2.5、5、および10 mg/kg P.O.のクルクミン用量を、ラットでの強制水泳試験において使用し、14日間のクルクミンでの長期的処置は、強制水泳試験において不動時間を減少させることを示した(Ying Xu et al. Antidepressant effects of curcumin in the forced swim test and olfactory bulbectomy models of depression in rats. Pharmacology Biochemistry and behaviour. 82 (1) 2005. pp.200-206(非特許文献2))。
【0009】
14日間の水性ターメリック抽出物の経口投与(140〜560 mg/kg P.O.)は、尾懸垂試験および強制水泳試験において不動の減少を示している。結果は、ターメリック抽出物が、インビボで特異的な抗うつ効果を有したことを示唆する(ZF Yu, LD Kong and Y Chen. Antidepressant activity of aqueous extracts of Curcuma longa in mice. Journal of ethnopharmacology. 83 (1-2) 2002.pp.161-165(非特許文献3))。
【0010】
ストレスによって誘導される海馬ニューロンへの損傷が、うつ病の病態生理に寄与し得ることが、研究により示されている。クルクミン投与(10および20 mg/kg, P.O.)は、慢性的にストレスを受けるラットにおいて海馬の神経発生を増加させ、古典的な抗うつ薬であるイミプラミン処置と同様の活性を示す(Ying Xu et al. Curcumin reverses impaired hippocampal neurogenesis and increases serotonin receptor 1A mRNA and brain-derived neurotrophic factor expression in chronically stressed rats. Brainsearch. 1162 (2007) 9-18(非特許文献4))。
【0011】
別の研究により、クルクミンの抗うつ活性におけるモノアミン作動系の関与、ならびに、クルクミンの生物学的利用能および生物学的効果に対する、生物学的利用能エンハンサーであるピペリンの効果が調査されている。この研究により、クルクミン投与が、マウスにおいて、不動期間を阻害し、セロトニン(5-HT)およびドーパミンレベルを増加させ、かつモノアミンオキシダーゼ酵素を阻害したことが示される。ピペリンとクルクミンとの同時投与は、薬理学的活性、生化学的活性、および神経化学的活性の強化を結果としてもたらした(SK Kulkarni et al. Antidepressant activity of curcumin: involvement of serotonin and dopamine system. Psychopharmacology (2008) 201: 435-442(非特許文献5))。
【0012】
AC-cAMP二次メッセンジャー経路が、うつ病において重要な役割を果たすことが、最近示唆されている。したがって、シグナル経路を制御する化合物は、抗うつ薬としての可能性を有し得る。行動/セロトニン作動性受容体共役型AC-cAMPシグナル経路に対する慢性の予測不可能な軽度のストレス(CUMS)およびクルクミンの効果が、ラットにおいて研究されている。クルクミンは、血小板および種々の脳領域においてAC活性およびc-AMPレベルを増強し、かつ、CUMSラットの海馬、皮質、および視床下部においてACサブタイプであるAC 2、AC 8、およびcAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)のmRNA発現を上方制御した。クルクミンの強力な抗うつ特性は、CUMSラットにおいて中枢の5-HT(1A/1B/7)受容体を抑制することによるAC-cAMP経路およびCREBの改善に起因する可能性がある(YC Li et al. Antidepressant-like effects of curcumin on serotonergic receptor-coupled AC-cAMP pathway in chronic unpredictable mild stress of rats. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2009 Apr 30; 33(3): 435-49(非特許文献6))。
【0013】
上記に加えて、ヒトにおけるクルクミンの有効性を論じる多数の臨床研究が存在する。臨床データが、治療剤として使用されるクルクミンの可能性を示唆する強い固有活性を示すにもかかわらず、その乏しい胃腸吸収のせいで、大うつ病を含む多数の病気に対する処置のための診療所におけるクルクミンの使用は限定されている。
【0014】
身体内での任意の作用物質の減少した生物学的利用能の理由は、低い固有活性、乏しい吸収、高い代謝率、代謝産物の不活性、ならびに/または身体からの急速な除去およびクリアランスに起因する可能性がある。クルクミンの吸収、分布、代謝、および排出に関するクルクミンについての研究により、クルクミンの乏しい吸収および急速な代謝が、その生物学的利用能を著しく縮小していることが明らかである。
【0015】
国際公開公報第2007/103435号(特許文献1)は、アルツハイマー病および他の加齢関連障害を処置するために有用である、増強された生物学的利用能を有し、クルクミノイド、抗酸化剤、グルクロン酸化阻害剤、および水溶性の薬学的に許容される阻害剤を含む、クルクミノイド製剤を開示する。
【0016】
国際公開公報第2008/113177号(特許文献2)は、多価不飽和脂肪酸モノグリセリドおよびそれらの誘導体を含む種々の化合物および組成物を開示する。これらの化合物は、種々の活性剤の溶解性を増強するためおよびそれらの生物学的利用能を増強するために有用であると示されている。
【0017】
インド特許出願第1776/DEL/2008号(特許文献3)は、より高い薬物負荷能力、自己ナノ乳化組成物として妥当な物理的および化学的安定性を有する改善された生物学的利用能を有するクルクミノイドの薬学的組成物を開示する。
【0018】
また別のインド特許出願第1827/DEL/2008号(特許文献4)は、クルクミンナノ粒子、およびキトサンナノ粒子に結合したクルクミン、ならびにそれらを製造する方法を提供する。これらの製剤におけるクルクミンの生物学的利用能は、10倍超改善していることが示された。
【0019】
これらの組成物のいくつかの限界、例えば、小腸におけるシトクロムによるクルクミンへの過剰な損傷、効力がより弱いクルクミングルクロニドおよびクルクミンスルファートの形成を結果としてもたらす肝臓における連続的な代謝による血清中のクルクミンレベルの低下、ならびに、血液脳関門を通過する困難が存在する。これらの理由のために、現在の技術のいずれも、精神的うつ病のための治療薬としてまたは気分高揚薬として、商業的に成功していない。
【0020】
現在使用されている抗うつ薬は、多くの限界を有する。それらは、処置中に連続的な医学的管理を必要とする処方薬であることの他に、重大な副作用を有することである。選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、悪心、下痢、動揺、性衝動喪失などのような副作用を有する。三環系阻害剤は、口渇、視朦、めまい、振戦などのような副作用を有する。モノアミノオキシダーゼ阻害剤は、肝炎、心臓発作、脳卒中、発作などのような副作用を有する。食事源由来であるクルクミンは、そのような重大な副作用を有さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開公報第2007/103435号
【特許文献2】国際公開公報第2008/113177号
【特許文献3】インド特許出願第1776/DEL/2008号
【特許文献4】インド特許出願第1827/DEL/2008号
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】SK Kulkarni et al. Potentials of Curcumin as an Antidepressant; Scientific World Journal 2009 Nov 1;9:1233-41
【非特許文献2】Ying Xu et al. Antidepressant effects of curcumin in the forced swim test and olfactory bulbectomy models of depression in rats. Pharmacology Biochemistry and behaviour. 82 (1) 2005. pp.200-206
【非特許文献3】ZF Yu, LD Kong and Y Chen. Antidepressant activity of aqueous extracts of Curcuma longa in mice. Journal of ethnopharmacology. 83 (1-2) 2002.pp.161-165
【非特許文献4】Ying Xu et al. Curcumin reverses impaired hippocampal neurogenesis and increases serotonin receptor 1A mRNA and brain-derived neurotrophic factor expression in chronically stressed rats. Brainsearch. 1162 (2007) 9-18
【非特許文献5】SK Kulkarni et al. Antidepressant activity of curcumin: involvement of serotonin and dopamine system. Psychopharmacology (2008) 201: 435-442
【非特許文献6】YC Li et al. Antidepressant-like effects of curcumin on serotonergic receptor-coupled AC-cAMP pathway in chronic unpredictable mild stress of rats. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2009 Apr 30; 33(3): 435-49
【発明の概要】
【0023】
発明の目的
したがって、本発明の主な目的は、ヒトにおいて抗うつ薬として有用な、増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、経口投与可能な形態で利用できるクルクミンを含有する、増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を提供することである。
【0025】
本発明のまた別の目的は、いかなる副作用も伴わずヒトの摂食に対してより安全である、ヒトにおいて抗うつ薬として有用な、クルクミンを含有し、増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を提供することである。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、従来の抗うつ薬より良好な有効性を有する、ヒトにおいて抗うつ薬として有用な、クルクミンを含有し、増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を提供することである。
【0027】
本発明のさらに別の目的は、ヒトにおいて抗うつ薬として有用な、増強された生物学的利用能を有し、クルクミンを含有する新規水溶性組成物の調製のためのプロセスを提供することである。
【0028】
本発明は、クルクミンを、抗酸化剤、親水性担体、および脂肪と組み合わせると、クルクミンの生物学的利用能が驚くほど増強されるという事実により、本発明者らによって行われた持続的R&Dによる発見に基づいて、開発された。うつ病の症候を緩和するために有用な、増強された生物学的利用能を結果としてもたらすそのような組み合わせは、これまで知られていない。
【0029】
発明の概要
したがって、本発明は、クルクミン、少なくとも1種類の抗酸化剤、親水性担体、および脂肪の相乗的組み合わせを含む、うつ病の処置に有用な増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を提供する。
【0030】
本発明の別の局面に従って、以下の工程を含む、うつ病を処置するのに有用な増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物の調製のためのプロセスが提供される:
(i)クルクミン、少なくとも1種類の抗酸化剤、親水性担体、および脂肪を溶媒中に溶解して、均質なマスを形成する工程;
(ii)結果として生じたマスを、25℃〜60℃の範囲の温度で4〜8時間の間温めて、乾燥湿潤マスを得る工程;
(iii)溶媒を蒸発により除去して、乾燥マスを形成する工程、ならびに
(iv)乾燥マスを粉砕して、細粉を形成する工程。
[本発明1001]
少なくとも1種類の抗酸化剤、親水性担体、および脂肪と共にクルクミンを含む、うつ病の処置に有用な増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物。
[本発明1002]
組成物において使用されるクルクミンの量が、全組成物の1重量%〜約90重量%の範囲である、本発明1001のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1003]
使用される抗酸化剤の濃度が、全組成物の0.1重量%〜10重量%の範囲である、本発明1001および1002のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1004]
使用される抗酸化剤の濃度が、全組成物の0.1重量%〜10重量%の範囲である、本発明1001〜1003のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1005]
使用される親水性担体の濃度が、全組成物の1重量%〜85重量%の範囲である、本発明1001〜1004のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1006]
使用される脂肪の濃度が、全組成物の0.1重量%〜25重量%の範囲である、本発明1001〜1005のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1007]
使用される抗酸化剤が、天然トコフェロール、アスコルビルパルミタート、ローズマリー抽出物、エピガロカテキンガラート、カテキン、アスコルビン酸、および/またはそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1001〜1006のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1008]
使用される親水性担体が、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、糖、および/またはそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1001〜1007のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1009]
使用される脂肪が、乳脂肪、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、硬化植物油、および/またはそれらの混合物より選択される、本発明1001〜1008のクルクミンの新規水溶性組成物。
[本発明1010]
以下の工程を含む、うつ病の処置に有用な増強された生物学的利用能を有する新規水溶性組成物を調製するための方法:
(i)クルクミン、少なくとも1種類の抗酸化剤、親水性担体、および脂肪を溶媒中に溶解して、均質なマスを形成する工程;
(ii)結果として生じたマスを、25℃〜60℃の範囲の温度まで4〜8時間の間温めて、乾燥湿潤マスを得る工程;
(iii)溶媒を蒸発により除去して、乾燥マスを形成する工程、ならびに
(iv)乾燥マスを粉砕して、細粉を形成する工程。
[本発明1011]
使用されるクルクミンが、50〜99%の範囲の純度含量を有する、本発明1010の方法。
[本発明1012]
使用される抗酸化剤が、天然トコフェロール、アスコルビルパルミタート、ローズマリー抽出物、エピガロカテキンガラート、カテキン、アスコルビン酸、および/またはそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1010および1011の方法。
[本発明1013]
使用される親水性担体が、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、糖、および/またはそれらの混合物からなる群より選択される、本発明1010〜1012の方法。
[本発明1014]
使用される脂肪が、乳脂肪、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、硬化植物油、および/またはそれらの混合物より選択される、本発明1010〜1013の方法。
[本発明1015]
使用される溶媒が、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、アルコール、および/またはそれらの混合物より選択される、本発明1010〜1014の方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】50 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびに本発明の組成物である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)を投与した時の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図2】100 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびに本発明の組成物である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)を投与した時の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図3】200 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびに本発明の組成物である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)を投与した時の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図4】フルオキセチン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)を投与したときの、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図5】ベンラファキシン(2 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤であるC-5(2502-DNS-5B)、C-20(2502-DNS-20B);およびC-50(2502-DNS-50B)、ならびに従来のクルクミンを投与したときの、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図6】デシプラミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)を投与したときの、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図7】トラニルシプロミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)を投与したときの、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータである。
図8】クルクミンUltrasol栄養システム50%(Curcumin Ultrasol Nutrient System 50%)及びクルクミン抽出粉末95%に対する平均AUCについてのデータである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
工程(i)において使用されるクルクミンは、85〜96%の範囲の分析結果を有する、市販されているものであり得る。クルクミンはまた、クルクミンに富むターメリックの抽出物であり得る。添加されるクルクミンの量は、1〜55%クルクミンの分析結果を有する水溶性クルクミンを生成するのに十分であり得る。
【0033】
工程(i)において使用される抗酸化剤は、天然トコフェロール、アスコルビルパルミタート、ローズマリー抽出物、エピガロカテキンガラート、カテキン、アスコルビン酸、およびそれらの混合物より選択され得る。使用される抗酸化剤の量は、1〜10%の範囲であり得る。
【0034】
工程(i)において使用される親水性担体は、可溶性デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール200〜20000、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、グルコース、糖、およびそれらの混合物より選択され得る。添加される親水性担体の量は、10〜90%の範囲であり得る。
【0035】
工程(i)において使用される脂肪は、乳脂肪、中鎖トリグリセリド、長鎖トリグリセリド、硬化植物油、およびそれらの混合物より選択され得る。使用される脂肪の量は、1〜25%の範囲であり得る。
【0036】
工程(i)における溶解のために使用される溶媒は、イソプロピルアルコール、アセトン、メタノール、アルコール、およびそれらの混合物より選択され得る。均質なマスを得るために維持される温度は、周囲温度〜摂氏70度;好ましくは25℃〜60℃の範囲であり得る。
【0037】
工程(ii)における溶媒の除去は、真空蒸留または蒸発技術において、または噴霧乾燥技術により行われ得る。結果として生じた乾燥マスを、乳鉢および乳棒、ミキサー-グラインダー、マルチミル、ボールミル、ジェットミルなどを用いることにより粉砕する。
【0038】
クルクミンの有益な効果は、周知である。しかしながら、経口形態において送達される時、クルクミンの生物学的利用能に関連する多くの問題が存在する。摂取されたクルクミンの大部分は、未代謝で大便を通じて排出され、吸収されたわずかな一部は、他の代謝物に変換されて排出される。クルクミンは、胃腸管を容易に貫通せず、肝臓および他の腸内酵素の影響下にある。これらの酵素により、身体内のクルクミンは急速に代謝され、したがって身体におけるその生物学的利用能が低下する。血流に入る少量のクルクミンは、肝臓および腎臓により急速に代謝される。そのため、クルクミンは高度に親油性である(したがって容易に血液脳関門を通過する)が、経口投与されたクルクミンの非常に少量のみが、血清中および脳組織中で記録される。
【0039】
シトクロムP450は、発癌性をもたらすDNA付加体形成を誘導する複素環式アミンなどの毒性化学物質の代謝に必要とされる、第I相代謝アイソザイムである。クルクミンは、身体中に摂取されると、胃腸管に入り、シトクロムP450を阻害することが見出されている。上文で述べたように、ピペリンと共に使用してクルクミンの生物学的利用能を増大するように行われた研究がある。ピペリンは、シトクロムP450を阻害し、それにより身体におけるクルクミンの代謝を阻止するバイオエンハンサーである。本発明の組成物は、いかなる追加的なバイオエンハンサーの存在も無しに、生物学的利用能を増強することがわかっている。
【0040】
本発明のクルクミンの水溶性組成物は、抗酸化剤、親水性担体、および脂肪を含む。クルクミンに伴う抗酸化剤は、シトクロムP450を阻害する。他方で、肝臓ミクロソーム酵素または他の腸内酵素は、水性化合物のみを攻撃するため、組成物上の脂肪コーティングの存在は、組成物をこれらの酵素による攻撃から防ぐ。したがって、抗酸化剤および脂肪は、クルクミンの生物学的利用能を増強するのに極めて重要な役割を果たす。
【0041】
本発明の詳細は、下記の実施例において記載され、これらの実施例は、本発明を例証するために提供され、かつしたがって、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【実施例】
【0042】
実施例1
18gのクルクミン(95%)、0.75gのアスコルビルパルミタート、0.55 gのEGCGを含有する1.1 gの緑茶抽出物、0.8 Gの天然トコフェロール、10gのHPMC、265 gのポリビニルピロリドン(K 30)、および30gの中鎖トリグリセリドを、600gのイソプロピルアルコール中に懸濁して、均質なマスを得た。結果として生じた均質なマスを次に、摂氏70度に加熱して、乾燥湿潤マスを得、それを次に、イソプロピルアルコールを除去するために減圧した600 mm Hgでの蒸留に供して、乾燥マスを得た。乾燥したマスを次に、ミキサー-グラインダー中で粉砕して、5.8%のクルクミンを含有する細かい黄色の水溶性粉末を形成した。
【0043】
実施例2
72gのクルクミン(95%)、8gの天然トコフェロール、6 gのアスコルビルパルミタート、18gのヒドロキシプロピルメチルセルロース、15gの硬化大豆油、および200gのマンニトールを、500gのエチルアルコール中に懸濁して、混合物を得た。混合物を次に、均質化し、摂氏60度で加熱して、均質化したマスを得た。この均質化したマスを、エチルアルコールを除去するために真空下での蒸発に供して、317gの乾燥したマスを得た。結果として生じた乾燥マスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、20.1%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0044】
実施例3
275gのクルクミン(95%)、50% EGCGを含有する5gの緑茶抽出物、10 gのアスコルビルパルミタート、30gの中鎖トリグリセリド、20gの硬化大豆油、および175gのポリビニルピロリドンを、500gのエチルアルコール中に懸濁した。混合物を均質化し、摂氏60度で加熱した。結果として生じた混合物を次に、エチルアルコールを除去するために真空下での蒸発に供して、520gの乾燥したマスを得た。結果として生じた乾燥したマスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、51.3%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0045】
実施例4
274gのクルクミン(95%)、50% EGCGを含有する5.1gの緑茶抽出物、10.6 gのアスコルビルパルミタート、31gの中鎖トリグリセリド、20gの硬化大豆油、および175gのポリエチレングリコール6000を、500gのアセトン中に懸濁した。混合物を均質化し、摂氏55度で加熱して、均質化したマスを得た。結果として生じた混合物を、真空下でのアセトンの蒸発に供して、523gの乾燥したマスを得た。マスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、50.6%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0046】
実施例5
クルクミンの抗うつ活性
試験手順
動物:オスのLacaマウス
方法:ポーソルト強制水泳試験(行動的絶望試験とも呼ばれる)
これは、実験動物、典型的にはラットまたはマウスの行動に対する抗うつ薬の効果を測定するために使用される試験である。動物を、水で満たしかつそこから逃げられないアクリル製ガラスシリンダー中で泳ぐように強制する2回の試験に供する。第1の試験は、15分間続く。次に、24時間後、5分間続く第2の試験を行う。第2の試験において動物が動かずに過ごす時間を測定する。この不動時間は、抗うつ薬により減少する。
【0047】
食餌および水への自由なアクセスのある標準的な実験室条件の下で飼育されているオスのlacaマウスを、24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)中に置く。しばらくした後、マウスは、水から逃げる試みをあきらめ、沈静化して不動になる。不動の持続期間を測定する。動物が、わずかに背を丸めているが直立した姿勢で、鼻を水面より上にして水中で受動的に浮いたままである時にはいつでも、動物を不動であるとみなした。多くの抗うつ薬は、マウスに投与された時に不動の持続期間を短縮することが示されている。6分の試験中の不動期間の合計を、ストップウォッチの助けを借りて記録した。
【0048】
試験物質:以下の薬物を使用した:
1.従来のクルクミン粉末(C-C)、
2.実施例1〜5において例証されるプロセスにより調製された本発明の組成物。所定の実施例において使用されたクルクミン乾燥栄養システム(curcumin dry nutrient system)(以下、DNSという)組成物のパーセンテージは、5%、20%、および50%であり、以下の通りに、DNS 5%は2502-DNS-5B(C-5)として;DNS 20%は2502-DNS-20B(C-20)として、およびDNS 50%は2502-DNS-50B(C-50)として実施例5〜6において表示され、本出願者により供給された;
3.フルオキセチン;ベンラファキシン、デシプラミン、およびトラニルシプロミンなどの、他の市販されている抗うつ病試験薬物。
【0049】
A.クルクミンの抗うつ活性についての試験
クルクミンの抗うつ活性についての試験を、従来のクルクミン(C-C)ならびに本発明のより新しい組成物、すなわち、2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20);および2502-DNS-50B(C-50)の3用量、50 mg/kg、100 mg/kg、および200 mg/kg、ならびに10 mg/kgのフルオキセチン(Flx)を用いて行った。下記の表1、表2、および表3は、それぞれ50 mg/kg、100 mg/kg、および200 mg/kgの用量で投与した時の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータを提供する。本明細書に添付する図面に示すように、表1、2、および3から得られた不動期間データを、それぞれグラフ1、グラフ2、およびグラフ3において、投与した用量に対してプロットする。
【0050】
試験物質:50 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびに本発明の組成物である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0051】
(表1)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0052】
試験物質:100 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびにより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0053】
(表2)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0054】
試験物質:200 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびにより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0055】
(表3)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0056】
クルクミン化合物であるC-5、C-20、およびC-50が、従来のクルクミン(C-C)と同様に、45および60分で強制水泳試験(FST)において最大の応答(不動時間の減少)を示すことが、上記の研究により示される。したがって、これらの薬物の、様々な作用の機構を通して働くいくつかの種類の抗うつ薬との相互作用を調査するためのさらなる研究において、45分を時間間隔として採用する。50 mg/kgのこれらの製剤のすべては、C-Cと同様の均一の不動期間を示した。C-20およびC-50は、C-5およびC-Cと比較して、100および200 mg/kgでより有効であった。この投与量で、不動期間は、フルオキセチン(10 mg/kg)により生じたものと同様であった。
【0057】
様々な抗うつ薬との併用研究
クルクミンの併用研究を、市販されている様々な抗うつ薬と共に行った。これらの研究から得られた比較データを、表4〜7にまとめる。表4、表5、表6、および表7は、それぞれフルオキセチン(5 mg/kg、ip)、ベンラファキシン(2 mg/kg、ip)、デシプラミン(5 mg/kg、ip)、およびトラニルシプロミン(5 mg/kg、ip)と共に投与した時のクルクミン(用量50 mg/kgで投与)の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについての比較データを提供する。本明細書に添付する図面に示すように、表4、5、6、および7から得られた不動期間データを、それぞれグラフ4、グラフ5、グラフ6、およびグラフ7において、投与した用量に対してプロットする。
【0058】
有効量未満のフルオキセチンとの併用(表4)
試験物質:フルオキセチン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0059】
(表4)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0060】
有効量未満のベンラファキシンとの併用研究(表5)
試験物質:ベンラファキシン(2 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤であるC-5(2502-DNS-5B)、C-20(2502-DNS-20B);およびC-50(2502-DNS-50B)、ならびに従来のクルクミン。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0061】
(表5)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0062】
有効量未満のデシプラミンとの併用研究(表6)
試験物質:デシプラミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0063】
(表6)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0064】
有効量未満のトラニルシプロミンとの併用研究(表7)
試験物質:トラニルシプロミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm3)。
【0065】
(表7)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0066】
結論
様々な抗うつ薬との併用研究について、50 mg/kgを有効量未満として採用した。有効量未満のフルオキセチン(5 mg/kg、選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を伴うと、50 mg/kgの本発明のクルクミン製剤のすべてが、FSTにおいて不動時間の減少を促進した。有効量未満のベンラファキシン(2 mg/kg、セロトニンおよびノルエピネフリンの二重再取り込み阻害剤)を伴うと、C-20およびC-50はより有効であり、C-Cで観察されたものと同様の強化された抗うつ効果を示し、不動時間の阻害のパーセンテージは、C-Cと比較して、C-20の場合10%多く、C-50の場合20%多かった。本試験において、C-5は、ベンラファキシンと共にはいかなる強化も示さなかった。有効量未満のデシプラミン(5 mg/kg、三環系抗うつ薬)を伴うと、3つのより新しい製剤のクルクミンのすべて、すなわちC-5、C-20、およびC-50は、強化された抗うつ活性を示した。有効量未満のC-Cは、デシプラミンと共にはいかなる強化も示すことはできなかった。より新しいクルクミン製剤(C-5、C-20、C-50)またはC-Cのいずれも、有効量未満のトラニルシプロミン(5mg/kg、非特異的MAO阻害剤)と共には強化された効果を示さなかった。
【0067】
B.化合物のHPLCデータ
HPLCを用いて生物学的アミンレベルにおける変化を研究するために、100 mg/kg用量の、より新しいクルクミン製剤のすべて、すなわちC-5、C-20、C-50、および従来のクルクミンC-Cを、動物に注射し、45分後に屠殺した。
【0068】
試験物質:フルオキセチン、標準的な従来のクルクミン(100 mg/kg)、より新しいクルクミン製剤(各々100 mg/kg)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:行動観察の時間と同様に薬物投与の45分後に、動物を屠殺した。
HPLC-ECD検出器:移動相‐リン酸緩衝液:アセトニトリル(87:13)、pH 4.5
カラム‐ODS-3 C-18カラム(250×4.6 mm I.D.;5μm粒子サイズ)
【0069】
(表8)
【0070】
(表9)
【0071】
(表10)
【0072】
(表11)
【0073】
結論
C-5は、対照と比較してドーパミンレベルにおける有意な増加(20.99%)を示した。C-Cと比較したドーパミンレベルにおける増加は、それぞれC-5、C-20、およびC-50の場合、71.13、51.73、および33.02である。C-5およびC-20は、対照と比較して5-HTレベルにおける有意な増加(51.63および59.19)を示した。C-Cと比較した5-HTレベルにおける増加は、それぞれC-5、C-20、およびC-50の場合、41.98、49.05、および31.13である。C-5およびC-20は、対照と比較してノルエピネフリンレベルにおける有意な増加(63.17および41.84)を示した。ノルエピネフリンレベルにおける増加は、C-C処置群において観察されたものと同様であった。
【0074】
実施例6
生物学的利用能の比較研究
生物学的利用能の研究を、本出願者からの要請により、Amala Cancer Institute, Thrissur, Keralaで行った。12人の健康な被験者を、研究の目的で募集した。すべてのボランティアに、研究の過程中、クルクミンに富む食物を控えるように求めた。選択された研究設計は、平衡型、非盲検、二処置、二期間、単一用量の生物学的利用能の研究であった。
【0075】
12人の被験者を研究のために募集し、各期間に先立つ24時間、豊富なターメリック粉末または抽出物を含有する食物の摂食を避けるように求めた。単一用量のクルクミンカプセル(1グラムのクルクミノイドに相当する)を、研究のために使用した。以下の補給剤を、研究の目的で使用した:
補給剤1‐OmniActive Health Technologies Ltd., Indiaのクルクミン抽出粉末95%(Curcumin extract powder 95 %)、すなわちC-Cを含むもの(1グラムのクルクミノイドに相当する500 mgカプセル)を、クルクミン抽出粉末95% 500 mgの2カプセルで単一用量として投与した。
補給剤2‐OmniActive Health Technologies Ltd., IndiaのクルクミンUltrasol乾燥栄養システム50%(Curcumin Ultrasol Dry Nutrient System 50%)、すなわちC-50を含むもの(1グラムのクルクミノイドに相当する250 mgカプセル)を、クルクミンUltrasol乾燥栄養システム50% 250 mgの4カプセルで単一用量として投与した。
【0076】
補給剤の各々は、各期間に240 mlの水と共に投与した。
【0077】
方法論:
本研究の第1の目的は、健康なヒト被験者において、2個のクルクミン抽出粉末95%(1グラムのクルクミノイドに相当する500 mgカプセル)の単一用量の投与後のクルクミンの生物学的利用能を、4個のクルクミンUltrasol乾燥栄養システム50%、すなわちC-50(1グラムのクルクミノイドに相当する250 mgカプセル)と比較することであった。研究の第2の目的は、12人の健康なヒト被験者において、投与した時の、1gクルクミノイドの単一用量の安全性および耐容性をモニタリングすることであった。
【0078】
研究設計は、非盲検、二処置、二期間、単一用量の生物学的利用能の研究である。本研究において、12人の被験者を募集し、全員が研究を終えた。被験者に、各期間に先立つ24時間、豊富なターメリック粉末または抽出物を含有する食物の摂食を避けるように求めた。1グラムのクルクミノイドに相当するクルクミンカプセルの単一用量:補給剤1または補給剤2を、各期間に240 mlの水と共に投与した。各用量の間には少なくとも2週間の洗い出し期間があった。
【0079】
血液を、各被験者から、投与の直前に、ならびに投与後1、2、4、6、8、および24時間で採取した。各被験者にとって失血の合計はおよそ70 mlであり、研究を通して各時点で5mlの全部で14個の血液試料が存在した。様々な時間間隔で採取した血液試料を、遠心分離し、血漿中のクルクミンをHPLC技術により測定する。
【0080】
本研究において測定された主要な有効性変数は、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-∞であり、副次的な有効性変数は、以下の通りのTmax、T1/2、およびKelであった。統計的評価を、Winnonlin Software 5.0.1 versionにより行った。結果変数:血漿試料解析から、時間対濃度をプロットし、そこからCmax(血中のクルクミンの最大濃度)を算出した。得られたピークから、24時間のAUCを算出した。TmaxおよびT1/2もまた記録し、2種類の製品について比較した。
【0081】
解析の方法:
標準原液(157489.2 ng/ml)の調製
標準名称:ターメリック標準化抽出物であり、標準純度は96.03%である(Kancor, Angamaly, Kerala由来)。
16.4 mgのターメリック標準化抽出物を、100 mlのメスフラスコ中に秤量した。メタノールで溶解し、該容積にメスアップする。
【0082】
標準溶液A(15748.92 ng/ml)の調製:
10.0 mLの標準原液を採り、メタノールで100mLに希釈した。
【0083】
標準溶液B(787.446 ng/ml)の調製:
1.0 mLの標準溶液Aを採り、メタノールで20mLに希釈した。
【0084】
最終的な標準溶液C(393.723 ng/ml)の調製:
5.0 mLの標準溶液Bを採り、メタノールで10mLに希釈した。
【0085】
標準溶液D(3149.784 ng/ml)の調製:
5.0 mLの溶液Aを採り、メタノールで25mLに希釈した。
【0086】
スパイク用標準溶液E(1574.892 ng/ml)の調製:
5.0 mLの溶液Dを採り、メタノールで10 mLに希釈した。
【0087】
ブランク(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
各ブランク血漿試料を、室温に到達させた。1.0 mlのブランク血漿試料および100μlのスパイク用標準溶液Eを、清浄したガラス試験管中で混合した。次に、このスパイクしたブランク溶液を、試料と同一の手順を用いて抽出した。
【0088】
標準(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
900μlのブランク血漿および100μlの標準溶液Dをピペットで取り出して、清浄したガラス試験管中に移す。これに、100μlのスパイク用標準溶液Eを添加して混合した。次に、このスパイクした標準を、試料と同一の手順を用いて抽出した。
【0089】
試料(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
凍結した血漿試料を、室温に到達させた。1000μlの血漿試料をピペットで取り出して、100μlのスパイク用標準溶液Eでスパイクした。この溶液を、1分間ボルテックスし、3.0 mlの酢酸エチル(HPLCグレード)を上記の溶液に添加した。溶液を再び1分間、シクロミキサー(cyclomixer)の助けを借りてボルテックスし、室温で沈降させた。
【0090】
上部の酢酸エチル層の1.5 mlをピペットで取り出し、真空を用いて蒸発させ、乾燥状態にした。乾燥した試料を、ボルテックスミキサーを用いて600μlのメタノール(HPLCグレード)中に溶解した。この溶液を、0.2ミクロンのメンブレンフィルター紙により濾過した。これらの濾過した溶液の100μlを、HPLC(無勾配モードで2996 PDA検出器を伴うWaters Alliance System)に注入した。使用したカラムは、LiChrospher 100 RP-18(250×4.6mm 5μM粒子サイズ)であり、移動相としてメタノールを用い、検出波長は420nmであった。血漿中のクルクミノイドを同定しかつ量子化(quantize)するために、クロマトグラフのピークを標準溶液と比較した。
【0091】
結果:
上文に記載したように行った研究から得られた結果を、表にまとめた。下記の表12〜17は、得られたデータを示す。
【0092】
(表12)クルクミン抽出粉末95%に対する個々の濃度の表(ng/mL)
ND‐血漿中で検出不能
【0093】
(表13)クルクミン抽出粉末(最小値95%のクルクミノイド)に対する平均濃度の表
【0094】
(表14)クルクミン抽出粉末(最小値95%のクルクミノイド)に対するPKパラメータ
ND‐検出不能
【0095】
(表15)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対する個々の濃度の表(ng/mL)
ND‐検出不能
【0096】
(表16)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対する平均濃度の表
【0097】
(表17)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対するPKパラメータ
ND‐検出不能
【0098】
結論
先行技術により、クルクミンが経口投与時にあまり吸収されないことが示されている。3.6 gのクルクミンの経口投与で、約11 ng/mlが血漿中で測定可能である。より低い用量で血漿中のクルクミンを検出するためには、特別の努力/技術が必要とされる。しかしながら、本研究においては、1 gのクルクミンを、両方の補給について二期間ですべての被験者に経口投与した。上述のように、この1グラムの用量は、血漿試料においてクルクミンを検出するには非常に低く、HPLCにおけるその測定を促進するために、血漿試料を25 ngのクルクミンで外部からスパイクした。血漿中のクルクミンの定量化後に、クルクミン濃度に達するように、クロマトグラムの全面積から、25 ngの外部からスパイクしたクルクミンの面積を差し引いた。
【0099】
生物分析の結果により、クルクミン補給群において血液試料採取時点の大部分でクルクミンが存在しなかったことが示された。UltraSol DNSクルクミン補給の場合は、ほぼすべての試料採取時点のクルクミンが測定可能であり、21 ng/mlまでの平均血清濃度が測定された。クルクミン抽出粉末95%(実際のクルクミノイド含量は95.2%)は、UltraSol DNSクルクミン50%粉末(UltraSol DNS Curcumin 50% Powder)(実際のクルクミノイド含量は48.17%)と比較して1.98倍高いクルクミノイド含量を有する。両方のクルクミン補給剤において、クルクミノイド含量は同等、すなわち1グラムであった。
【0100】
グラフ8に示すように、クルクミンUltrasol栄養システム50%(Curcumin Ultrasol Nutrient System 50%)に対する平均AUCは、541.93 ng/ml*hであり、クルクミン抽出粉末95%に対しては、80.43 ng/ml*hである。クルクミンUltrasol栄養システム50%のAUCは、クルクミン抽出粉末95%より6.74倍の増大を示し、Ultrasol栄養システムが、クルクミン抽出粉末95%と比較してより高い生物学的利用能(6.74倍)を有することを示す。
【0101】
Biocurcumaxと比較すると、クルクミン粉末と比較して6.93倍高い生物学的利用能が示されたが、この増大は、2グラム/dの用量でのものである。2しかし、本研究において、UltraSol DNSクルクミンは、Biocurcumaxの用量の半分である1グラム/dの用量でさえ、単純なクルクミン粉末と比較して6.74倍高い生物学的利用能を示した。したがって、Ultrasol栄養システムのクルクミン乾燥粉末50%製剤は、同一用量レベルで、クルクミン粉末95%と比較してより高い吸収を実証する。
【0102】
Ultrasol DNS 50%により達成されるピーク中央濃度、すなわちTmaxは2時間であり、クルクミン抽出粉末95%に対しては3時間であり、Ultrasol DNSクルクミンがクルクミン粉末抽出物よりも速く作用を発現することを示し得る。
【0103】
安全性:95%粉末およびUltrasol DNS 50%形態の両方におけるクルクミン1グラムの所定用量は、すべての被験者において十分に耐容性を示し、かつ、研究の全過程において有害事象は報告されなかった。
【0104】
上記の詳細から、本発明の組成物は、使用される構成要素の特性の集合を有する組成物をもたらす単なる混合物ではなく、使用される構成要素の相乗活性により形成される組成物であることが観察され得る。
【0105】
発明の利点
本発明の新規水溶性組成物は、
1.うつ病を緩和するために典型的に有用な増強された生物学的利用能を呈する。
2.毒性を有さない。
3.錠剤、カプセル、混合粉末などのような、経口投与可能な形態で容易に製剤化され得る。
4.抗うつ薬などの適用のために、高用量でのクルクミンの経口送達に有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8