【実施例】
【0042】
実施例1
18gのクルクミン(95%)、0.75gのアスコルビルパルミタート、0.55 gのEGCGを含有する1.1 gの緑茶抽出物、0.8 Gの天然トコフェロール、10gのHPMC、265 gのポリビニルピロリドン(K 30)、および30gの中鎖トリグリセリドを、600gのイソプロピルアルコール中に懸濁して、均質なマスを得た。結果として生じた均質なマスを次に、摂氏70度に加熱して、乾燥湿潤マスを得、それを次に、イソプロピルアルコールを除去するために減圧した600 mm Hgでの蒸留に供して、乾燥マスを得た。乾燥したマスを次に、ミキサー-グラインダー中で粉砕して、5.8%のクルクミンを含有する細かい黄色の水溶性粉末を形成した。
【0043】
実施例2
72gのクルクミン(95%)、8gの天然トコフェロール、6 gのアスコルビルパルミタート、18gのヒドロキシプロピルメチルセルロース、15gの硬化大豆油、および200gのマンニトールを、500gのエチルアルコール中に懸濁して、混合物を得た。混合物を次に、均質化し、摂氏60度で加熱して、均質化したマスを得た。この均質化したマスを、エチルアルコールを除去するために真空下での蒸発に供して、317gの乾燥したマスを得た。結果として生じた乾燥マスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、20.1%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0044】
実施例3
275gのクルクミン(95%)、50% EGCGを含有する5gの緑茶抽出物、10 gのアスコルビルパルミタート、30gの中鎖トリグリセリド、20gの硬化大豆油、および175gのポリビニルピロリドンを、500gのエチルアルコール中に懸濁した。混合物を均質化し、摂氏60度で加熱した。結果として生じた混合物を次に、エチルアルコールを除去するために真空下での蒸発に供して、520gの乾燥したマスを得た。結果として生じた乾燥したマスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、51.3%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0045】
実施例4
274gのクルクミン(95%)、50% EGCGを含有する5.1gの緑茶抽出物、10.6 gのアスコルビルパルミタート、31gの中鎖トリグリセリド、20gの硬化大豆油、および175gのポリエチレングリコール6000を、500gのアセトン中に懸濁した。混合物を均質化し、摂氏55度で加熱して、均質化したマスを得た。結果として生じた混合物を、真空下でのアセトンの蒸発に供して、523gの乾燥したマスを得た。マスを次に、乳鉢において乳棒で粉砕して、50.6%のクルクミンを有する黄色の粉末を得た。
【0046】
実施例5
クルクミンの抗うつ活性
試験手順
動物:オスのLacaマウス
方法:ポーソルト強制水泳試験(行動的絶望試験とも呼ばれる)
これは、実験動物、典型的にはラットまたはマウスの行動に対する抗うつ薬の効果を測定するために使用される試験である。動物を、水で満たしかつそこから逃げられないアクリル製ガラスシリンダー中で泳ぐように強制する2回の試験に供する。第1の試験は、15分間続く。次に、24時間後、5分間続く第2の試験を行う。第2の試験において動物が動かずに過ごす時間を測定する。この不動時間は、抗うつ薬により減少する。
【0047】
食餌および水への自由なアクセスのある標準的な実験室条件の下で飼育されているオスのlacaマウスを、24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)中に置く。しばらくした後、マウスは、水から逃げる試みをあきらめ、沈静化して不動になる。不動の持続期間を測定する。動物が、わずかに背を丸めているが直立した姿勢で、鼻を水面より上にして水中で受動的に浮いたままである時にはいつでも、動物を不動であるとみなした。多くの抗うつ薬は、マウスに投与された時に不動の持続期間を短縮することが示されている。6分の試験中の不動期間の合計を、ストップウォッチの助けを借りて記録した。
【0048】
試験物質:以下の薬物を使用した:
1.従来のクルクミン粉末(C-C)、
2.実施例1〜5において例証されるプロセスにより調製された本発明の組成物。所定の実施例において使用されたクルクミン乾燥栄養システム(curcumin dry nutrient system)(以下、DNSという)組成物のパーセンテージは、5%、20%、および50%であり、以下の通りに、DNS 5%は2502-DNS-5B(C-5)として;DNS 20%は2502-DNS-20B(C-20)として、およびDNS 50%は2502-DNS-50B(C-50)として実施例5〜6において表示され、本出願者により供給された;
3.フルオキセチン;ベンラファキシン、デシプラミン、およびトラニルシプロミンなどの、他の市販されている抗うつ病試験薬物。
【0049】
A.クルクミンの抗うつ活性についての試験
クルクミンの抗うつ活性についての試験を、従来のクルクミン(C-C)ならびに本発明のより新しい組成物、すなわち、2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20);および2502-DNS-50B(C-50)の3用量、50 mg/kg、100 mg/kg、および200 mg/kg、ならびに10 mg/kgのフルオキセチン(Flx)を用いて行った。下記の表1、表2、および表3は、それぞれ50 mg/kg、100 mg/kg、および200 mg/kgの用量で投与した時の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについてのデータを提供する。本明細書に添付する図面に示すように、表1、2、および3から得られた不動期間データを、それぞれグラフ1、グラフ2、およびグラフ3において、投与した用量に対してプロットする。
【0050】
試験物質:50 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびに本発明の組成物である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0051】
(表1)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0052】
試験物質:100 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびにより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0053】
(表2)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0054】
試験物質:200 mg/kgのクルクミン(従来)、ならびにより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0055】
(表3)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0056】
クルクミン化合物であるC-5、C-20、およびC-50が、従来のクルクミン(C-C)と同様に、45および60分で強制水泳試験(FST)において最大の応答(不動時間の減少)を示すことが、上記の研究により示される。したがって、これらの薬物の、様々な作用の機構を通して働くいくつかの種類の抗うつ薬との相互作用を調査するためのさらなる研究において、45分を時間間隔として採用する。50 mg/kgのこれらの製剤のすべては、C-Cと同様の均一の不動期間を示した。C-20およびC-50は、C-5およびC-Cと比較して、100および200 mg/kgでより有効であった。この投与量で、不動期間は、フルオキセチン(10 mg/kg)により生じたものと同様であった。
【0057】
様々な抗うつ薬との併用研究
クルクミンの併用研究を、市販されている様々な抗うつ薬と共に行った。これらの研究から得られた比較データを、表4〜7にまとめる。表4、表5、表6、および表7は、それぞれフルオキセチン(5 mg/kg、ip)、ベンラファキシン(2 mg/kg、ip)、デシプラミン(5 mg/kg、ip)、およびトラニルシプロミン(5 mg/kg、ip)と共に投与した時のクルクミン(用量50 mg/kgで投与)の、動物の不動期間および不動の減少のパーセンテージについての比較データを提供する。本明細書に添付する図面に示すように、表4、5、6、および7から得られた不動期間データを、それぞれグラフ4、グラフ5、グラフ6、およびグラフ7において、投与した用量に対してプロットする。
【0058】
有効量未満のフルオキセチンとの併用(表4)
試験物質:フルオキセチン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0059】
(表4)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0060】
有効量未満のベンラファキシンとの併用研究(表5)
試験物質:ベンラファキシン(2 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤であるC-5(2502-DNS-5B)、C-20(2502-DNS-20B);およびC-50(2502-DNS-50B)、ならびに従来のクルクミン。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0061】
(表5)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0062】
有効量未満のデシプラミンとの併用研究(表6)
試験物質:デシプラミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0063】
(表6)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0064】
有効量未満のトラニルシプロミンとの併用研究(表7)
試験物質:トラニルシプロミン(5 mg/kg、ip)とともに、50 mg/kgのより新しい製剤である2502-DNS-5B(C-5);2502-DNS-20B(C-20)および2502-DNS-50B(C-50)、ならびに従来のクルクミン(C-C)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:ポーソルト強制水泳試験。24±1℃に維持された水を15 cm入れた長方形のガラス瓶(25×12×25 cm
3)。
【0065】
(表7)
*p<0.05、媒質で処置した対照と比較した際
【0066】
結論
様々な抗うつ薬との併用研究について、50 mg/kgを有効量未満として採用した。有効量未満のフルオキセチン(5 mg/kg、選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を伴うと、50 mg/kgの本発明のクルクミン製剤のすべてが、FSTにおいて不動時間の減少を促進した。有効量未満のベンラファキシン(2 mg/kg、セロトニンおよびノルエピネフリンの二重再取り込み阻害剤)を伴うと、C-20およびC-50はより有効であり、C-Cで観察されたものと同様の強化された抗うつ効果を示し、不動時間の阻害のパーセンテージは、C-Cと比較して、C-20の場合10%多く、C-50の場合20%多かった。本試験において、C-5は、ベンラファキシンと共にはいかなる強化も示さなかった。有効量未満のデシプラミン(5 mg/kg、三環系抗うつ薬)を伴うと、3つのより新しい製剤のクルクミンのすべて、すなわちC-5、C-20、およびC-50は、強化された抗うつ活性を示した。有効量未満のC-Cは、デシプラミンと共にはいかなる強化も示すことはできなかった。より新しいクルクミン製剤(C-5、C-20、C-50)またはC-Cのいずれも、有効量未満のトラニルシプロミン(5mg/kg、非特異的MAO阻害剤)と共には強化された効果を示さなかった。
【0067】
B.化合物のHPLCデータ
HPLCを用いて生物学的アミンレベルにおける変化を研究するために、100 mg/kg用量の、より新しいクルクミン製剤のすべて、すなわちC-5、C-20、C-50、および従来のクルクミンC-Cを、動物に注射し、45分後に屠殺した。
【0068】
試験物質:フルオキセチン、標準的な従来のクルクミン(100 mg/kg)、より新しいクルクミン製剤(各々100 mg/kg)。
動物:オスのLacaマウス。
試験手順:行動観察の時間と同様に薬物投与の45分後に、動物を屠殺した。
HPLC-ECD検出器:移動相‐リン酸緩衝液:アセトニトリル(87:13)、pH 4.5
カラム‐ODS-3 C-18カラム(250×4.6 mm I.D.;5μm粒子サイズ)
【0069】
(表8)
【0070】
(表9)
【0071】
(表10)
【0072】
(表11)
【0073】
結論
C-5は、対照と比較してドーパミンレベルにおける有意な増加(20.99%)を示した。C-Cと比較したドーパミンレベルにおける増加は、それぞれC-5、C-20、およびC-50の場合、71.13、51.73、および33.02である。C-5およびC-20は、対照と比較して5-HTレベルにおける有意な増加(51.63および59.19)を示した。C-Cと比較した5-HTレベルにおける増加は、それぞれC-5、C-20、およびC-50の場合、41.98、49.05、および31.13である。C-5およびC-20は、対照と比較してノルエピネフリンレベルにおける有意な増加(63.17および41.84)を示した。ノルエピネフリンレベルにおける増加は、C-C処置群において観察されたものと同様であった。
【0074】
実施例6
生物学的利用能の比較研究
生物学的利用能の研究を、本出願者からの要請により、Amala Cancer Institute, Thrissur, Keralaで行った。12人の健康な被験者を、研究の目的で募集した。すべてのボランティアに、研究の過程中、クルクミンに富む食物を控えるように求めた。選択された研究設計は、平衡型、非盲検、二処置、二期間、単一用量の生物学的利用能の研究であった。
【0075】
12人の被験者を研究のために募集し、各期間に先立つ24時間、豊富なターメリック粉末または抽出物を含有する食物の摂食を避けるように求めた。単一用量のクルクミンカプセル(1グラムのクルクミノイドに相当する)を、研究のために使用した。以下の補給剤を、研究の目的で使用した:
補給剤1‐OmniActive Health Technologies Ltd., Indiaのクルクミン抽出粉末95%(Curcumin extract powder 95 %)、すなわちC-Cを含むもの(1グラムのクルクミノイドに相当する500 mgカプセル)を、クルクミン抽出粉末95% 500 mgの2カプセルで単一用量として投与した。
補給剤2‐OmniActive Health Technologies Ltd., IndiaのクルクミンUltrasol乾燥栄養システム50%(Curcumin Ultrasol Dry Nutrient System 50%)、すなわちC-50を含むもの(1グラムのクルクミノイドに相当する250 mgカプセル)を、クルクミンUltrasol乾燥栄養システム50% 250 mgの4カプセルで単一用量として投与した。
【0076】
補給剤の各々は、各期間に240 mlの水と共に投与した。
【0077】
方法論:
本研究の第1の目的は、健康なヒト被験者において、2個のクルクミン抽出粉末95%(1グラムのクルクミノイドに相当する500 mgカプセル)の単一用量の投与後のクルクミンの生物学的利用能を、4個のクルクミンUltrasol乾燥栄養システム50%、すなわちC-50(1グラムのクルクミノイドに相当する250 mgカプセル)と比較することであった。研究の第2の目的は、12人の健康なヒト被験者において、投与した時の、1gクルクミノイドの単一用量の安全性および耐容性をモニタリングすることであった。
【0078】
研究設計は、非盲検、二処置、二期間、単一用量の生物学的利用能の研究である。本研究において、12人の被験者を募集し、全員が研究を終えた。被験者に、各期間に先立つ24時間、豊富なターメリック粉末または抽出物を含有する食物の摂食を避けるように求めた。1グラムのクルクミノイドに相当するクルクミンカプセルの単一用量:補給剤1または補給剤2を、各期間に240 mlの水と共に投与した。各用量の間には少なくとも2週間の洗い出し期間があった。
【0079】
血液を、各被験者から、投与の直前に、ならびに投与後1、2、4、6、8、および24時間で採取した。各被験者にとって失血の合計はおよそ70 mlであり、研究を通して各時点で5mlの全部で14個の血液試料が存在した。様々な時間間隔で採取した血液試料を、遠心分離し、血漿中のクルクミンをHPLC技術により測定する。
【0080】
本研究において測定された主要な有効性変数は、Cmax、AUC0-t、およびAUC0-∞であり、副次的な有効性変数は、以下の通りのTmax、T1/2、およびKelであった。統計的評価を、Winnonlin Software 5.0.1 versionにより行った。結果変数:血漿試料解析から、時間対濃度をプロットし、そこからCmax(血中のクルクミンの最大濃度)を算出した。得られたピークから、24時間のAUCを算出した。TmaxおよびT1/2もまた記録し、2種類の製品について比較した。
【0081】
解析の方法:
標準原液(157489.2 ng/ml)の調製
標準名称:ターメリック標準化抽出物であり、標準純度は96.03%である(Kancor, Angamaly, Kerala由来)。
16.4 mgのターメリック標準化抽出物を、100 mlのメスフラスコ中に秤量した。メタノールで溶解し、該容積にメスアップする。
【0082】
標準溶液A(15748.92 ng/ml)の調製:
10.0 mLの標準原液を採り、メタノールで100mLに希釈した。
【0083】
標準溶液B(787.446 ng/ml)の調製:
1.0 mLの標準溶液Aを採り、メタノールで20mLに希釈した。
【0084】
最終的な標準溶液C(393.723 ng/ml)の調製:
5.0 mLの標準溶液Bを採り、メタノールで10mLに希釈した。
【0085】
標準溶液D(3149.784 ng/ml)の調製:
5.0 mLの溶液Aを採り、メタノールで25mLに希釈した。
【0086】
スパイク用標準溶液E(1574.892 ng/ml)の調製:
5.0 mLの溶液Dを採り、メタノールで10 mLに希釈した。
【0087】
ブランク(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
各ブランク血漿試料を、室温に到達させた。1.0 mlのブランク血漿試料および100μlのスパイク用標準溶液Eを、清浄したガラス試験管中で混合した。次に、このスパイクしたブランク溶液を、試料と同一の手順を用いて抽出した。
【0088】
標準(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
900μlのブランク血漿および100μlの標準溶液Dをピペットで取り出して、清浄したガラス試験管中に移す。これに、100μlのスパイク用標準溶液Eを添加して混合した。次に、このスパイクした標準を、試料と同一の手順を用いて抽出した。
【0089】
試料(標準溶液Eでスパイクしたもの)の調製:
凍結した血漿試料を、室温に到達させた。1000μlの血漿試料をピペットで取り出して、100μlのスパイク用標準溶液Eでスパイクした。この溶液を、1分間ボルテックスし、3.0 mlの酢酸エチル(HPLCグレード)を上記の溶液に添加した。溶液を再び1分間、シクロミキサー(cyclomixer)の助けを借りてボルテックスし、室温で沈降させた。
【0090】
上部の酢酸エチル層の1.5 mlをピペットで取り出し、真空を用いて蒸発させ、乾燥状態にした。乾燥した試料を、ボルテックスミキサーを用いて600μlのメタノール(HPLCグレード)中に溶解した。この溶液を、0.2ミクロンのメンブレンフィルター紙により濾過した。これらの濾過した溶液の100μlを、HPLC(無勾配モードで2996 PDA検出器を伴うWaters Alliance System)に注入した。使用したカラムは、LiChrospher 100 RP-18(250×4.6mm 5μM粒子サイズ)であり、移動相としてメタノールを用い、検出波長は420nmであった。血漿中のクルクミノイドを同定しかつ量子化(quantize)するために、クロマトグラフのピークを標準溶液と比較した。
【0091】
結果:
上文に記載したように行った研究から得られた結果を、表にまとめた。下記の表12〜17は、得られたデータを示す。
【0092】
(表12)クルクミン抽出粉末95%に対する個々の濃度の表(ng/mL)
ND‐血漿中で検出不能
【0093】
(表13)クルクミン抽出粉末(最小値95%のクルクミノイド)に対する平均濃度の表
【0094】
(表14)クルクミン抽出粉末(最小値95%のクルクミノイド)に対するPKパラメータ
ND‐検出不能
【0095】
(表15)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対する個々の濃度の表(ng/mL)
ND‐検出不能
【0096】
(表16)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対する平均濃度の表
【0097】
(表17)UltraSol栄養システム(50%のクルクミノイド)に対するPKパラメータ
ND‐検出不能
【0098】
結論
先行技術により、クルクミンが経口投与時にあまり吸収されないことが示されている。3.6 gのクルクミンの経口投与で、約11 ng/mlが血漿中で測定可能である。より低い用量で血漿中のクルクミンを検出するためには、特別の努力/技術が必要とされる。しかしながら、本研究においては、1 gのクルクミンを、両方の補給について二期間ですべての被験者に経口投与した。上述のように、この1グラムの用量は、血漿試料においてクルクミンを検出するには非常に低く、HPLCにおけるその測定を促進するために、血漿試料を25 ngのクルクミンで外部からスパイクした。血漿中のクルクミンの定量化後に、クルクミン濃度に達するように、クロマトグラムの全面積から、25 ngの外部からスパイクしたクルクミンの面積を差し引いた。
【0099】
生物分析の結果により、クルクミン補給群において血液試料採取時点の大部分でクルクミンが存在しなかったことが示された。UltraSol DNSクルクミン補給の場合は、ほぼすべての試料採取時点のクルクミンが測定可能であり、21 ng/mlまでの平均血清濃度が測定された。クルクミン抽出粉末95%(実際のクルクミノイド含量は95.2%)は、UltraSol DNSクルクミン50%粉末(UltraSol DNS Curcumin 50% Powder)(実際のクルクミノイド含量は48.17%)と比較して1.98倍高いクルクミノイド含量を有する。両方のクルクミン補給剤において、クルクミノイド含量は同等、すなわち1グラムであった。
【0100】
グラフ8に示すように、クルクミンUltrasol栄養システム50%(Curcumin Ultrasol Nutrient System 50%)に対する平均AUCは、541.93 ng/ml*hであり、クルクミン抽出粉末95%に対しては、80.43 ng/ml*hである。クルクミンUltrasol栄養システム50%のAUCは、クルクミン抽出粉末95%より6.74倍の増大を示し、Ultrasol栄養システムが、クルクミン抽出粉末95%と比較してより高い生物学的利用能(6.74倍)を有することを示す。
【0101】
Biocurcumaxと比較すると、クルクミン粉末と比較して6.93倍高い生物学的利用能が示されたが、この増大は、2グラム/dの用量でのものである。2しかし、本研究において、UltraSol DNSクルクミンは、Biocurcumaxの用量の半分である1グラム/dの用量でさえ、単純なクルクミン粉末と比較して6.74倍高い生物学的利用能を示した。したがって、Ultrasol栄養システムのクルクミン乾燥粉末50%製剤は、同一用量レベルで、クルクミン粉末95%と比較してより高い吸収を実証する。
【0102】
Ultrasol DNS 50%により達成されるピーク中央濃度、すなわちTmaxは2時間であり、クルクミン抽出粉末95%に対しては3時間であり、Ultrasol DNSクルクミンがクルクミン粉末抽出物よりも速く作用を発現することを示し得る。
【0103】
安全性:95%粉末およびUltrasol DNS 50%形態の両方におけるクルクミン1グラムの所定用量は、すべての被験者において十分に耐容性を示し、かつ、研究の全過程において有害事象は報告されなかった。
【0104】
上記の詳細から、本発明の組成物は、使用される構成要素の特性の集合を有する組成物をもたらす単なる混合物ではなく、使用される構成要素の相乗活性により形成される組成物であることが観察され得る。
【0105】
発明の利点
本発明の新規水溶性組成物は、
1.うつ病を緩和するために典型的に有用な増強された生物学的利用能を呈する。
2.毒性を有さない。
3.錠剤、カプセル、混合粉末などのような、経口投与可能な形態で容易に製剤化され得る。
4.抗うつ薬などの適用のために、高用量でのクルクミンの経口送達に有用である。