(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6080976
(24)【登録日】2017年1月27日
(45)【発行日】2017年2月15日
(54)【発明の名称】内燃機関用のピストン燃料ポンプ
(51)【国際特許分類】
F02M 59/44 20060101AFI20170206BHJP
【FI】
F02M59/44 D
F02M59/44 B
F02M59/44 C
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-548299(P2015-548299)
(86)(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公表番号】特表2016-500418(P2016-500418A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2013071737
(87)【国際公開番号】WO2014095120
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】102012224029.2
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】シアメンド フロー
(72)【発明者】
【氏名】マークス ヒリガート
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ヤーン
(72)【発明者】
【氏名】フランツ エーリッシャー
(72)【発明者】
【氏名】コルネリア ギースラー
(72)【発明者】
【氏名】ベアント コッホ
【審査官】
櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0224417(US,A1)
【文献】
実開平02−054970(JP,U)
【文献】
特開2005−337061(JP,A)
【文献】
特開2012−031850(JP,A)
【文献】
米国特許第04245654(US,A)
【文献】
特開昭60−227062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関用のピストン燃料ポンプ(18)であって、
ポンプシリンダ(40)と、該ポンプシリンダ(40)内に移動可能に収容されたポンプピストン(28)とを備えたピストン燃料ポンプ(18)において、
ピストン燃料ポンプ(18)が、前記ポンプピストン(28)用の第1の支持・シール装置(46)を有しており、
該第1の支持・シール装置(46)が、前記ポンプピストン(28)に押し被せられる押込部分(74)と、前記ポンプシリンダ(40)内に前記ポンプピストン(28)を軸方向で案内するための案内領域(48)と、該案内領域(48)よりも、前記ピストン燃料ポンプ(18)の圧送室(34)寄りに設けられ、前記ポンプシリンダ(40)の内周壁(76)に接触するシールリップを有するシール領域(50)と、を含み、
前記押込部分(74)と前記シール領域(50)との間に、前記圧送室(34)を向いて開放する、切欠きとしてのプレッシャサポート領域(78)が設けられており、
前記シールリップは、プリロードをかけられて前記ポンプシリンダ(40)の内周壁(76)に接触していることを特徴とする、ピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項2】
前記ピストン燃料ポンプ(18)が、第1のプラスチックエレメント(46)を含み、該第1のプラスチックエレメント(46)に前記第1の支持・シール装置が形成されている、請求項1記載のピストン燃料ポンプ。
【請求項3】
前記第1のプラスチックエレメント(46)が、ポリアミド(PA)および/またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造されている、請求項2記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項4】
前記第1の支持・シール装置(46)が、前記ポンプピストン(28)に固く結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項5】
前記ポンプピストン(28)が、円環状の段部(44)を有しており、該円環状の段部(44)に、前記第1の支持・シール装置(46)がクリップ結合されていて、かつ/または接着されている、請求項4記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項6】
前記段部(44)が、前記ポンプピストン(28)の、前記ピストン燃料ポンプ(18)の圧送室(34)寄りの端部分(42)の周辺に配置されている、請求項5記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項7】
前記第1の支持・シール装置(46)が、一体的に単一部分から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項8】
前記第1の支持・シール部材(46)が、複数の部分から形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項9】
前記第1の支持・シール装置(46)の一部が、互いにクリップ結合されていて、かつ/または互いに接着されている、請求項8記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項10】
前記ポンプシリンダ(40)と前記案内領域(48)との間に、1/100mm〜10/100mmの範囲のギャップが存在する、請求項1から9までのいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項11】
前記ポンプシリンダ(40)と前記案内領域(48)との間に、約3/100mmのギャップが存在する、請求項1から10までのいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項12】
前記ポンプピストン(28)の、前記ピストン燃料ポンプ(18)の圧送室(34)とは反対の側の端部分(52)の周辺に、前記ポンプピストン(28)を案内する第2の支持装置が、前記ポンプシリンダ(40)に対して相対的に位置固定に配置されている、請求項1から10のいずれか1項記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【請求項13】
前記第2の支持装置は、第2のプラスチックエレメント(72)である、請求項12記載のピストン燃料ポンプ(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は、請求項1の前提部に記載されたピストン燃料ポンプに関する。
【0002】
燃料が燃料タンクから、機械的に駆動されるピストン燃料ポンプを用いて高い圧力下に燃料レール内に圧送されるような内燃機関の燃料システムは市場により知られている。このためには、ピストン燃料ポンプに、移動可能に支持されたポンプピストンが設けられており、このポンプピストンはピストン燃料ポンプの圧送室内で燃料を圧縮する。ポンプピストンは、ピストンブシュ内に、密な嵌合によってスライド式に、かつ僅かなシールギャップを持って案内されている。ピストンブシュは、支持と、ギャップシールによるシールとのために、ある程度の長さを有しなければならず、かつ場合によっては大きな横方向力を受け止めなければならない。したがって、ピストンブシュはしばしば鋼から製造される。さらに、高い公差要求に基づいて、いわゆる「ピストンペアリング」が使用される。すなわち、各ポンプケーシングには、それぞれ特定のピストンが対応する。さらに、シリンダはポンプケーシングに手間をかけてホーニング加工されなければならない。
【0003】
発明の開示
本発明の根底を成す問題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を備えた燃料ピストンポンプによって解決される。本発明の有利な別の態様は従属項の形の各請求項に記載されている。さらに、本発明にとって重要な別の特徴は、以下の説明および図面に記載されている。
【0004】
本発明によるピストン燃料ポンプは、ピストンブシュと、ピストンブシュ内のピストンの相応する高精度の嵌合とが、もはや必ずしも必要とならず、したがって莫大なコストを節約することができるという利点を有している。その代わりに、支持とシールとが、支持領域とシール領域とに機能的に分離される。シール領域に設けられたシールリップは、摩擦の少ない、ギャップなしの、ひいては高精度のシールを可能とする。シールリップが弾性的に形成されていて、少なくとも部分的にプリロード(予荷重)をかけられてポンプシリンダ壁に接触することにより、プリロードが生ぜしめられる。プリロードによって、ピストン燃料ポンプの吸込行程においても、すなわちポンプピストンが下死点に向かって運動する際にも、シール領域におけるシール機能が保証され得る。圧縮行程、すなわちポンプピストンが上死点に向かって運動する際には、シールリップは、シールリップが圧送室に向けられている場合、圧送室内に生ぜしめられた燃料圧により圧力支援されて、ポンプシリンダ壁に密に押圧され得る。
【0005】
ピストン燃料ポンプの1実施態様では、ピストン燃料ポンプがプラスチックエレメントを含み、このプラスチックエレメントに、支持・シール装置が形成されている。プラスチックエレメントを設けることによって、高い公差要求が不要となり、ピストン燃料ポンプの組立てラインにおける付加的なホーニング加工プロセスを不要にすることができる。さらに、プラスチックエレメントは単純な射出成形品として製造されていてよく、これによってプラスチックエレメントは特に安価に製造可能となる。材料溶融による「ピストンシージング」の危険も、プラスチックエレメントの選択によって回避され得る。
【0006】
プラスチックエレメントをポリアミド(PA)および/またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造することも提案される。プラスチックエレメントがポリアミド(PA)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から製造されると、案内領域における案内もしくは支持に関して、またシール領域におけるシールに関して、極めて良好な結果が得られることが判った。
【0007】
ピストン燃料ポンプの別の実施態様では、支持・シール装置が、ポンプピストンに固く結合されており、好ましくはポンプピストンは円環状の段部を有しており、この円環状の段部に、支持・シール装置がクリップ結合されていて、かつ/または接着されている。プラスチックエレメントとポンプピストンとの結合によって、プラスチックエレメントは、ポンプピストンの昇降運動に従動することができ、この場合、クリップ結合の場合には、結合が、好ましくは解離可能でかつ再形成可能に形成されている。したがって、プラスチックエレメントは摩耗時に交換され得る。
【0008】
前記段部は、ポンプピストンの、ポンプの圧送室寄りの端部分の周辺に配置されていてよい。この端部分の近傍に段部を設けることは有利である。なぜならば、案内部分が、可能となる支持点もしくは力作用点の近傍に配置され得るようになり、かつポンプピストンの端部分における横方向力発生が、プラスチックエレメントにより吸収され得るからである。
【0009】
さらに、支持・シール装置が、一体的に単一部分から形成されていることが提案される。プラスチックエレメントの一体的な製造によって、このプラスチックエレメントは、唯一回の製造ステップにおいて、たとえば射出成形プロセスによって製造され得る。
【0010】
ピストン燃料ポンプのさらに別の実施態様では、支持・シール装置が複数の部分から形成されている。このことは有利である。なぜならば、各要求に適合させられて、すなわち案内および/または支持およびシール機能に合わせて、案内領域とシール領域とのために種々異なるプラスチックが選択され得るからである。
【0011】
本発明によるピストン燃料ポンプのさらに別の改良形では、支持・シール装置の一部が互いにクリップ結合されていて、かつ/または互いに接着されている。このことは、材料選択とは無関係に、すなわち案内領域とシール領域との材料とは無関係に、これらの部分を互いに結合させることができるという理由で有利である。
【0012】
さらに、案内領域の範囲におけるプラスチックエレメントとポンプシリンダとの間に、約1/100mm〜約10/100mmの範囲、有利には約3/100mmのギャップが存在することが考えられる。このことは、このギャップによって、ポンプシリンダ内でのポンプピストンの引っかかりを回避することができるという理由で有利である。
【0013】
ピストン燃料ポンプのさらに別の実施態様では、ポンプピストンの、ポンプの圧送室と反対の側の端部分の周辺に、第2の支持装置、特にポンプピストンの支持のための第2のプラスチックエレメントが、好ましくはポンプシリンダに対して相対的に位置固定に配置されている。したがってポンプピストンは、2つの支持個所で案内されていて、かつ/または支持されている。第1に、案内もしくは支持が、第1のプラスチックエレメントの案内部分によって行われ、第2に、案内もしくは支持が、第2のプラスチックエレメントによって行われる。この場合、各案内点もしくは各支持点は、ポンプピストンの各端部分において、横方向力が発生し得る力作用点の近傍、たとえばポンプピストンのカム駆動装置の周辺に位置する。したがって、案内点もしくは支持点にかかる負荷は低減され得る。
【0014】
以下に、本発明の実施形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】支持・シール装置を有する本発明によるピストン燃料ポンプの一部を含む、内燃機関の燃料システムの概略図である。
【
図2】支持・シール装置の説明のために、
図1に示したピストン燃料ポンプの一部を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図2に示した断面図の一部を拡大した図である。
【0016】
図1に、内燃機関の燃料システム全体が符号10で示されている。この燃料システム10は燃料タンク12を有し、この燃料タンク12からは、電気式のプレフィードポンプ14によって燃料が低圧管路16へ圧送される。この低圧管路16は、ピストン燃料ポンプ18として形成された高圧ポンプに通じている。この高圧ポンプからは、高圧管路20が燃料レール22に通じている。この燃料レール22には複数のインジェクタ24が接続されており、これらのインジェクタ24によって、それぞれ対応する燃焼室(図示しない)内に燃料が直接に噴射される。
【0017】
ピストン燃料ポンプ18は、ポンプケーシング26(一部のみ示す)を有しており、このポンプケーシング26内にはポンプピストン28が移動可能に案内されているか、もしくは支持されている。このポンプピストン28は、カム駆動装置(図示しない)によって往復運動させられる。このことは、側方に示した二重矢印30によって示されている。ポンプピストン28はコイルばね32によって、
図1で見て下側の下死点に向かって付勢される。ポンプピストン28とポンプケーシング26とは圧送室34を画定している。この圧送室34は、流入弁36を介して低圧管路16に接続可能である。さらに、圧送室34は、流出弁38を介して高圧管路20に接続可能である。
【0018】
流入弁36も流出弁38も、逆止弁として構成されている。この場合、流入弁36を流量制御弁として構成することも可能である(図示しない)。このような流量制御弁の場合、ポンプピストン28の吐出ストロークの間、流入弁36を強制的に開くことができるので、燃料は、燃料レール22に圧送されるのではなく低圧管路16に戻される。これによって、ピストン燃料ポンプ18から燃料レール22に圧送される燃料量を調節することができる。
【0019】
ポンプピストン28は、ポンプシリンダ40内に案内されている。このポンプシリンダ40は、この場合にはポンプケーシング26の一部である。ポンプピストン28の、圧送室34寄りの端部は、
図1で見て上側の端部分42を有する。さらに、この上側の端部分42の周辺において、ポンプピストン28は円環状の段部を有する。この段部は半径方向に突出した環状のつば44として形成されている。ポンプピストン28もしくは段部44は、プラスチックエレメント46によって形成された支持・シール装置とクリップ結合されている。この場合、プラスチックエレメント46は、ポンプシリンダ40内におけるポンプピストン28の軸方向の案内および/または半径方向の支持のための案内領域48と、シールリップとして形成されたシール領域50とを有する。段部44および案内領域48とシール領域50とを備えたプラスチックエレメント46は、
図2および
図3に判り易く図示されている。
【0020】
ポンプピストン28はさらに、圧送室34と反対の側の端部に、
図1で見て下側の端部分52を有する。この下側の端部分52の周囲では、ガイドスリーブ54が、ポンプケーシング26に不動に配置されている。ガイドスリーブ54とポンプケーシング26との間では、Oリングパッキン56が溝58内に設けられている。ガイドスリーブ54は円筒状部分60を有し、この円筒状部分60は、ポンプピストン28に対して同軸に延びている。この円筒状部分60によってコイルばね32が案内されている。コイルばね32は、ピストン長手方向軸線62に沿って少なくとも部分的に、ガイドスリーブ54に設けられたばね収容溝64内に嵌入しており、このばね収容溝64内で、コイルばね32はガイドスリーブ54に対して軸方向に支持されている。
【0021】
ガイドスリーブ54はさらに、内部に円筒状の収容部分66を有し、この収容部分66は、主として円筒状部分60の内周壁によって形成される。この収容部分66内には、環状のシールエレメント68が、ポンプケーシング26に対して相対的に位置固定に配置されており、その際、このシールエレメント68はH字形の横断面を有する。さらに、円筒状部分60の突出した端部において半径方向内側に延びているつば部分70には、第2のプラスチックエレメント72が、同じくポンプケーシング26に対して相対的に位置固定に配置されている。したがって、ポンプピストン28の軸方向で見て第1のプラスチックエレメント46から大きな間隔を置いて配置された第2のプラスチックエレメント72は、第1のプラスチックエレメント46の案内領域48と共に、ポンプピストン28の案内もしくは二点支持を提供する。
【0022】
第2のプラスチックエレメント72の支持点は、
図1で見てポンプピストン28の下側の端部分52におけるコイルばね32による力導入部もしくはカム駆動装置(図示しない)による力導入部の近傍に位置している。したがって、支持部に加えられるトルク負荷が低減され得る。支持部を第1のプラスチックエレメント46の案内領域48と第2のプラスチックエレメント72とに分離することによって、支持部を、ポンプピストン28の上側の端部分42の近傍と下側の端部分52の近傍とに設けることができる。これにより、横方向力の影響が低減され得る。その結果、支持部に加えられる負荷が小さくなることに基づき、プラスチックエレメント46,72の使用を可能にすることができる。
【0023】
第1のプラスチックエレメント46の構成はこの場合、特に重要である。したがって以下に
図2および
図3につき第1のプラスチックエレメント46について詳しく説明する。
【0024】
図2はピストン燃料ポンプ18の一部分の断面図を示す。第1のプラスチックエレメント46が明確に見て取れる。
図2で見て上側の領域に、第1のプラスチックエレメント46は、真っ直ぐな管部分として形成された押込部分74を有する。この押込部分74はポンプピストン28に対して同軸であり、ポンプピストン28によって貫通させられるか、もしくはポンプピストン28に押し被せられている。
図2で見て下側の領域では、プラスチックエレメント46が段部44を介してポンプピストン28とクリップ結合されている。特に、第1のプラスチックエレメント46の、段部44の外周面の半径方向外側に存在する材料領域は、既に上で述べた支持・案内領域48を形成し、この支持・案内領域48によってポンプピストン28はポンプシリンダ40内にスライド式に案内され、かつ半径方向で支持されている。
【0025】
案内領域48は、ポンプシリンダ40の内周壁76から、図面上認識できない約3/100mmの間隙を有する。軸方向において、すなわちピストン長手軸線62に沿って、案内領域48に続いて圧送室34に向かって、シールリップとして形成されたシール領域50が延びている。このシールリップ50は、案内領域48に一体成形されかつ半径方向外側に向かって弾性的にプリロードをかけられた管部分として、ポンプピストン28に対してほぼ同軸に延びている。案内領域48とシール領域50とは、
図2および
図3に示した実施形態では一体的に構成されている。
【0026】
シールリップ50は、
図3に再度拡大して図示されているように、プリロードをかけられて、ポンプシリンダ40の内周壁76に接触している。シールリップとシール領域50との間では、プラスチックエレメント46に切欠きが存在し、この切欠きは、プレッシャサポート領域78を形成する。このプレッシャサポート領域78は、上死点へのポンプピストン28の運動時に、すなわち燃料ピストンポンプ18の圧送ストローク時に、圧送室34内に生ぜしめられる圧力が、プレッシャサポート領域78内に作用し、ひいてはシールリップの自由な外側にも作用し、これによってシールリップ50が、プリロードに加えて、内周壁76に対して密に押圧されるように構成されている。