(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記C型中空繊維は、半延伸糸(POY)、延伸糸(SDY)、仮撚糸(DTY)、エア加工糸(ATY)、エッジ捲縮糸(Edge Crimped yarn)及びインターレス糸(ITY)よりなる群から選ばれたいずれか一つであることを特徴とする請求項5に記載のC型中空繊維。
前記ステップ(3)は、中空繊維と異種の原糸が交織(mixed weaving)または交編(mixed knitting)されたことを特徴とする請求項13に記載のC型中空繊維を含む生地の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明を詳細に説明する。前述のように従来の複合繊維の場合、複合紡糸、後処理、製織及び染加工の製造工程を経た最終生地の引裂強度が保障されなく、生地の裂けがたくさん発生した。また、従来複合繊維の芯部断面積率は30%未満の水準であり、中空繊維が有する保温性、軽量性を発揮できない問題があった。また、従来には、保温性、軽量性を極大化しようとしても芯部断面積率が30%以上の複合繊維を製造することさえ難しい問題があり、芯部断面積率を増大させる場合、複合繊維及び/又はこれにより、製造される中空繊維の強度は、より一層低くなり、原糸の仮撚などの後処理工程及び生地を作るための製織工程を、より一層耐えられない問題があった。また、今後、中空繊維に製造するための溶出工程で、増大された芯部断面積率と別個として、芯部の溶出速度を向上させなければならなく、溶出時間が長くなる問題があった。さらに、芯部断面積率が増大する時、複合繊維の強度、伸度は低くなることが予想されるが、従来の複合繊維は、低くなる強度、伸度の幅が大きくて、製造される複合繊維芯部の変形がないと同時に、優れた保温性、軽量性及び柔軟性を有した複合繊維を製造することは困難である問題があった。
【0045】
そこで、本発明の第1の形態によれば、芯部及び前記芯部を覆う鞘部を含み、前記鞘部の横断面がC字状であり、前記芯部が鞘部の一側から外部に露出され、下記条件(1)〜(4)を全部満たすC型複合繊維を提供することによって、前述した問題の解決を試みた。
【0046】
これにより、従来の複合繊維の芯部断面積率に比べて、大きく向上された芯部断面積率を有することができ、これにより、製造される中空繊維の保温性及び軽量性等効果を極大化することができる。また、複合繊維の芯部断面積率を大きく向上させても、複合紡糸されるC型複合繊維が優れた強度を保持し、製造工程で複合繊維の変形、破壊が生じないと同時に、向上された伸度を有し、優れた柔軟性を有するポリエステル系C型複合繊維を製造することができる。さらに、今後、中空繊維に製造するための溶出工程で、芯部断面積率が増大しても溶出速度を向上させることによって、溶出工程所要時間を均一にし、製造時間短縮及びこれを通じた中空繊維のアルカリ侵害を防止することができ、芯部を全量溶出させることによって、染色不良、中空減少などの不具合発生を防止することができる。
【数5】
【0047】
但し、前記スリット角度(θ)は、芯部の中心と鞘部の不連続した両位置をそれぞれ連結した直線の間の角であり、前記スリット間隔(d)は、鞘部の不連続した両位置間の距離(μm)であり、偏心距離(s)は、C型複合繊維断面全体の中心で芯部中心間の距離(μm)であり、R
1は、C型複合繊維の断面全体の直径(μm)であり、R
2は、C型複合繊維の中芯部断面の直径(μm)を意味する。
【0048】
まず、条件(1)として、30≦芯部断面積率(%)≦65を満たす。
【0049】
前記芯部断面積率(%)は、C型複合繊維の全体断面積に対する前記複合繊維に含まれた芯部の断面積の百分率を示す。芯部断面積率が30%未満のとき、複合繊維を通して、今後製造される中空繊維の保温性、軽量性などが低く、中空繊維としての機能を発揮できない虞があり、芯部断面積率が65%を超えると、鞘部の薄い構造により、複合繊維の溶出後、強度が低下され、これにより、製織される生地の引裂強度が低くなり、最終製品が容易に裂ける問題がある。
【0050】
具体的に、芯部断面積率(%)が70%の場合(表7の比較例6)、強度が3.72g/deと、芯部断面積率(%)が60%の場合(表4の実施例4)の場合に比べて、11.4%程度強度が低下されたことを確認することができる。また、紡糸容易性が良くないことを確認することができる。
【0051】
次に、条件(2)として、20°≦スリット角度(θ)≦30°を満たす。
【0052】
前記スリット角度(θ)は、芯部の中心と鞘部の不連続した両位置をそれぞれ連結した直線の間の角を意味する。具体的に、
図1は、本発明の好ましい一実施例に係るC型複合繊維の芯部が溶出された後のC型中空繊維の中空率に伴う断面図を示している。
図1A〜
図1Dに示されるように、中空繊維の中空率に対応される複合繊維の芯部断面積率(%)に関係なく、一定のスリット角度(
図1Dのθ)を有することを確認することができる。
【0053】
本発明が芯部断面積率(%)に関係なく、一定のスリット角度(θ)を有しえる理由は、本発明に係るC型複合繊維は、芯部断面積率(%)が小さいときは、複合繊維断面で芯部中心がC型複合繊維の開放されたスリット側に偏向されているが、芯部断面積率(%)が大きくなるほど複合繊維断面で芯部中心がC型複合繊維の中心側に移動するからである。
【0054】
スリット角度(θ)が20゜未満のとき、本発明のC型複合繊維を通してC型中空繊維を製造する過程で、芯部の溶出時間が長くなり、製造工程が延びる虞があり、前記長くなった溶出工程は、鞘部のアルカリ侵害を誘発し、製造されるC型中空繊維の品質が低下される虞があり得る。また、芯部の断面積率(%)を大きく増大させた場合、芯部の溶出時間がより一層長くなる虞があり得る。さらに、芯部の溶出過程で溶出されない残余芯部が存在し、中空が減少し、中空繊維の軽量性、保温性などの効果が低下され得る虞がある。しまも、溶出不均一に伴う染色不良が生じ、品質低下の虞があり得るなど発明の目的とする物性を具現することが困難になる。
【0055】
具体的に、スリット角度が17゜の場合(表7の比較例7)、スリット角度が25゜の場合(表4実の施例3)に比べて、溶出時間が長くなっていることを確認することができる。
【0056】
スリット角度(θ)が30゜を超えると、円形構造を失い、芯部に空気層を效果的に付与することができなく、保温性低下の虞があり、強度が低下される得る虞がある。また、芯部断面積率(%)に応じてスリット角度が変わる場合には、溶出加工条件が異なるようになり、後処理工程時、作業性の低下等、発明の目的とする物性を具現することが困難になる。
【0057】
具体的に、スリット角度が37゜のとき(表7の比較例8)、強度が2.21g/deと本発明の好ましい一実施例(表4の実施例3)に比べて強度が50%水準しかならなく、強度が低下されたことを確認することができる。
次に、条件(3)として、
【数6】
を満たす。
【0058】
前記スリット間隔(d)は、開放されたスリットの両端点間の距離(μm)であり、具体的に
図1DのDに該当する間隔を意味する。本発明のC型複合繊維は、芯部断面積率(%)とスリット間隔(d)と間に前記の条件を満たし、芯部断面積率(%)が増加するほどスリット間隔(d)も増加し、前記条件を満たすことができる。
【0059】
前記条件を満たすことによって、本発明に係るポリエステル系C型複合繊維を通してC型中空繊維を製造する時、芯部の溶出時間が芯部の含量に関係なく、均一になり、これにより、芯部断面積率(%)が大きいときにも、芯部断面積率(%)が小さいときのように、速くて、より円滑に芯部が溶出され得る。
【0060】
前記の(3)条件を満たさない場合、溶出過程での製造時間が延びる虞があり、複合繊維を通して製造されたC型中空繊維の中空部分に芯部残留物が残ってしまい、溶出不均一による染色不良が生じ、中空繊維の品質が低下され得る虞があり、溶出されない芯部残留物による中空減少により中空繊維の機能減少を誘発し得る等、発明の目的とする物性を具現することは困難になる。また、前記芯部残留物を全量溶出させるためには溶出時間を延ばさなければならなく、この場合、C型複合繊維の鞘部がアルカリ侵害受けて品質低下が発生しうる致命的な虞がある等、発明の目的とする物性を具現することは困難になる。
次に、条件(4)として、
【数7】
を満たす。
【0061】
前記偏心距離は、C型複合繊維断面全体の中心で芯部中心間の距離(μm)であり、R
1はC型複合繊維の断面全体の直径(μm)であり、R
2はC型複合繊維の中芯部断面の直径(μm)を意味する。
【0062】
もし、前記の(4)条件を満たさない場合、即ち、同じ芯部断面積率(%)を有するC型複合繊維で、芯部の位置が鞘部のスリットでないC型複合繊維断面中心に移動する場合(偏心距離が小さくなる場合)、芯部の溶出速度低下及び/又は溶出時間が延びて、製造工程の時間延長及び鞘部のアルカリ侵害による品質低下の虞がある等、発明の目的とする物性を具現することは困難になる。
【0063】
具体的に、前記条件(4)を満たない場合(表7の比較例9)、溶出時間が条件(4)を満たす場合に比べて、溶出時間が顕著に多く必要とされることを確認することができ、この場合、鞘部に含まれる合成樹脂のアルカリ侵害が生じ、溶出後、製造される中空繊維の品質低下が生じ得る。
【0064】
本発明に係るC型複合繊維の場合、前記の(1)〜(4)条件を全て満足しなければならなく、いずれか一つの条件でも満たされないときには、本発明の目的とする溶出性、溶出時間短縮と、これによる鞘部のアルカリ侵害防止及び円滑な溶出を通した染色不良最小化、溶出不良最小化を通した軽量性、保温性機能維持等、本発明が目的とする物性を具現することが困難になる。
【0065】
具体的に、前記(1)〜(4)条件のいずれか一つの条件を満たさない場合、易溶出性が劣り、C型複合繊維を通して中空繊維を製造する過程での製造時間の上昇、鞘部のアルカリ侵害発生、溶出不均一に伴う染色不良、中空減少に伴う保温性、軽量性低下などの虞など等発明の目的とする物性が具現できない。
一方,本発明の複合繊維は、条件(5)として、
【数8】
をさらに満たしていてもよい。
【0066】
前述した(1)〜(4)条件以外に、(5)の条件を満たせば、複合繊維芯部溶出工程で芯部の断面積率(%)に関係なく、均一な溶出時間を有することができ、前述した(1)〜(4)条件を満たす場合より、溶出時間が低減され、中空繊維製造時間減縮及び鞘部のアルカリ侵害最小化を通した品質低下防止側面及び本発明が目的とする物性を具現することにおいて有利である。
【0067】
具体的に、本発明の条件(5)を満たす下記表4の実施例3及び7において、本発明の条件(5)を満たさない下記表5の実施例9及び10より、溶出時間が短くなっていることを確認することができる。これにより、条件(5)を満たす場合、そうでない場合に比べて、溶出時間が短縮され、本発明が達成しようとする物性値が具現されていることが分かる。
【0068】
前記鞘部は、好ましくは、ポリエステル系及びポリアミド系のいずれか一つ以上の繊維形成成分が含まれてもよく、前記芯部は、好ましくは、テレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分が含まれてもよい。
【0069】
前記鞘部のポリエステル系繊維形成成分は、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)よりなる群から選ばれたいずれか一つであってもよく、前記鞘部のポリアミド系繊維形成成分は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6.10及びアラミド(Aramid)よりなる群から選ばれたいずれか一つであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0070】
前記芯部のポリエステル系溶出成分は、1−1)テレフタル酸を含む酸性分及びエチレングリコールを含むジオール成分が、1:1.1〜2.0のモル比で含まれ、前記テレフタル酸を含む酸性分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を0.1〜3.0モル%で含み、エステル化反応物を製造するステップと、1−2)前記エステル化反応物100重量部に対して、ポリアルキレングリコールを7〜14重量部を混合して、縮・重合を通し共重合体を製造するステップと、を含んで製造されることが好ましい。前記製造方法及び各成分の臨界的意義は後記する本発明に係る複合繊維の製造方法で具体的に説明する。
【0071】
前記C型複合繊維は、半延伸糸(POY)、延伸糸(SDY)、仮撚糸(DTY)、エア加工糸(ATY)、エッジ捲縮糸(Edge Crimped yarn)及び複合糸(ITY)よりなる群から選ばれた複合繊維であってもよい。好ましくは、延伸糸(SDY)、仮撚糸(DTY)及び複合糸(ITY)である。前記C型複合繊維が、半延伸糸(POY)、延伸糸(SDY)のとき、使用の便宜性及び工程容易性のために、繊度は50〜200デニールであり、18〜100フィラメントであってもよい。また、前記C型複合繊維が仮撚糸のとき、使用の便宜性及び工程容易性のために、繊度は30〜1000デニールであり、18〜720フィラメントであってもよい。但し、これに限定されなく、製造しようとする糸の種類及び目的に応じて様々な加工糸であってもよく、前記加工糸の繊度及びフィラメント数は目的、用途などに応じて変わる。
【0072】
以上で、前述した本発明の第1の形態に係るC型複合繊維は、下記のような製造方法で製造され得る。しかし、後記される製造方法により制限されるものではない。
【0073】
具体的に、(1)ポリエステル系及びポリアミド系のいずれか一つ以上の繊維形成成分が含まれた鞘部と、テレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分が含まれた芯部と、備えるステップと、(2)前記芯部が前記鞘部の一側から外部に露出されるように複合紡糸するステップと、を含んで製造することができる。
【0074】
まず、ステップ(1)として、鞘部及び芯部を用意する。
【0075】
前記鞘部に含まれる繊維形成成分を説明する。本発明で、前記鞘部にはポリエステル系繊維形成成分、ポリアミド系繊維形成成分のいずれか一つ以上の繊維形成成分を含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0076】
具体的に、前記鞘部のポリエステル系繊維形成成分は、通常的にC型複合繊維に使用されるものであれば、制限することなく使用できるが、好ましくは、ポリエチレンテレフタルレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)よりなる群から選ばれたいずれか一つであり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタルレート(PET)である。但し、前記記載されたポリエステル系繊維形成成分種類に限定されるのではなく、機能性が追加されたポリエステル系繊維形成成分を使用できる。
【0077】
次に、前記鞘部のポリアミド系繊維形成成分は、通常的に、C型複合繊維に用いられるものであれば、制限することなく使用できるが、好ましくは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6.10及びアラミド(Aramid)よりなる群から選ばれたいずれか一つであり、より好ましくは、ナイロン6である。但し、前記記載されたポリアミド系繊維形成成分種類に限定されるのではなく、機能性が追加されたポリアミド系繊維形成成分を使用できる。
【0078】
次に、前記芯部に含まれる溶出成分について説明する。
【0079】
前記芯部には、テレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分が使用され得る。好ましくは、テレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリエチレングリコールを縮重合させた共重合体であってもよい。前記共重合体を含むポリエステル系溶出成分を使用する場合、他の種類の共重合体を使用する場合に比べて、複合紡糸時、紡糸工程で頻繁な糸切れとパック圧上昇による紡糸操業性の減少を防止でき、製造された複合繊維の芯部溶出工程で、芯部不均一減量による染色均一性の低下を防止できる利点がある。
【0080】
前記芯部のテレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分は、下記の製造方法により製造され得る。但し、下記の製造方法は好ましい一実施例に過ぎなく、これに制限されるものではない。
【0081】
まず、ステップ1−1)として、テレフタル酸を含む酸性分及びエチレングリコールを含むジオール成分が1:1.1〜2.0のモル比で含まれ、前記テレフタル酸を含む酸性分ジメチルスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を0.1〜3.0モル%で含んでエステル化反応物を製造するステップを含んでもよい。
【0082】
本発明の芯部に含まれる溶出成分は、テレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を単量体として含んでもよい。
【0083】
前記単量体のうち、まず、テレフタル酸を含む酸性分について説明する。
【0084】
本発明は、酸性分としてテレフタル酸(TPA)を必ず含むことが好ましい。但し、テレフタル酸以外に通常のアルカリ易溶解性ポリエステルを含む複合繊維に使われる酸性分である場合、制限することなくさらに含まれていてもよい。より好ましくは、前記酸性分にはテレフタル酸(TPA)が50モル%以上含まれ得る。
【0085】
具体的に、前記酸性分として付加的にテレフタル酸以外の炭素数6〜14の芳香族多価カルボン酸を含んでいてもよく、非制限的な例としてジメチルテレフタル酸またはイソフタル酸などを単独または混合して含んでいてもよい。但し、ジメチルテレフタル酸はエステル化反応性が弱く、追加的な触媒を求め、原料の原価がテレフタル酸に比べて約20%高く、イソフタル酸の場合、製造されるコポリエステルの耐熱性低下を誘発し得るので、付加的に他の芳香族多価カルボン酸を含む場合、本発明が達成しようとする物性を減少させない範囲で適切な量が混合されることが好ましい。
【0086】
また、酸性分として炭素数2〜14の脂肪族多価カルボン酸をより含んでいてもよく、その非制限的例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸及びヘキサドデカン酸よりなる群から選択された1つ以上であってもよい。但し、脂肪族多価カルボン酸を含む場合、製造されるコポリエステルの耐熱性低下を誘発し得るので、付加的に他の脂肪族多価カルボン酸を含む場合、本発明が達成しようとする物性を減少させない範囲で適切な量が混合されることが好ましい。
【0087】
また、酸性分として、ヘテロ環を含むジカルボン酸、脂肪族多価カルボン酸よりなる群から選ばれるいずれか一つ以上の成分を含んでいてもよく、その非制限的例として、2,5−フランジカルボン酸、2,5−チオフェンジカルボン酸及び2,5−ピロールジカルボン酸よりなる群から選ばれるいずれか1つ以上であってもよい。
【0088】
次に、他の単量体であるエチレングリコールを含むジオール成分について説明する。
【0089】
本発明は、ジオール成分として、エチレングリコール(EG)を必ず含んでおり、前記ジオール成分にはエチレングリコール(EG)を含み、エチレングリコール以外に通常のアルカリ易溶解性ポリエステルを含む複合繊維に使用されるジオール成分であれば制限することなく含まれていてもよい。好ましくは、前記ジオール成分にはエチレングリコール(EG)が50モル%以上含まれ得る。
【0090】
具体的に、前記ジオール成分として、付加的にエチレングリコール以外の炭素数2〜14の脂肪族ジオール成分を含んでいてもよい。具体的に、前記炭素数2〜14の脂肪族ジオール成分は、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチルグリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ウンデカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール及びトリデカメチレングリコールよりなる群から選択されるいずれか1つ以上であってもよい。好ましくは、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのいずれか1つ以上であってもよい。但し、前記ジエチレングリコールは、紡糸工程で糸切れとパック圧上昇を誘導し、複合繊維の減量及び染色工程で減量不均一に伴う染色不均一の不具合を生じさせるので、付加的に添加させる場合、本発明が目的とする物性を阻害しない範囲内で適切な量が混合されることが好ましい。
【0091】
次に、さらに別の単量体でありスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩について説明する。
【0092】
本発明は、スルホン酸金属塩リンスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を必ず含み、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を含むことによって水分子の吸着を誘導し、アルカリ易溶出性を向上させること利点がある。
【0093】
スルホン酸金属塩としてスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩以外の他のスルホン酸金属塩を使用するとき、アルカリ易溶出の向上が小さい等本発明が達成しようとする物性を具現することが困難になる虞がある。
【0094】
前記単量体ら、即ち、テレフタル酸、エチレングリコール及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩はエステル化反応を通してエステル化反応物を形成する。
【0095】
本発明の好ましい一実施例によれば、ステップ1−1)において、前記エステル化反応物は、テレフタル酸及びエチレングリコールが1:1.1〜2.0のモル比で含まれ、前記テレフタル酸とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩が0.1〜3.0モル%で含まれ得る。
【0096】
まず、前記反応物において、テレフタル酸及びエチレングリコールが1:1.1〜2.0のモル比で含まれることによって、複合繊維製造のための紡糸時、高い機械的強度と形態安定性を保持できる利点がある。エチレングリコールがテレフタル酸に対して、2.0モル比を超えて含まれるとき、反応時、酸度が高まり、副反応が促進され、副産物でありジエチレングリコールが多量発生できるなど、本発明が達成しようとする物性を具現することが困難になる難しい虞がある。また、1.1モル比未満で含む場合、反応性低下により、重合度が低下され、目標とする高分子量の芯部の溶出成分を収得できない等、本発明が達成しようとする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
【0097】
次に、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩は、前記テレフタル酸とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を含む酸性分の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩が0.1〜3.0モル%で含まれていてもよい。前記テレフタル酸とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を含む酸性分の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩が0.1モル%未満で含まれる場合、アルカリ易溶出特性が低下され、アルカリ減量工程時間の増加及びこれによる繊維形成性ポリマーのアルカリ侵害を誘発でき、均一な溶出にならなく、繊維の染色工程で不均一染色に伴う不良率が増加する等、本発明が達成しようとする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
【0098】
また、テレフタル酸とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩の総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩が3.0モル%を超えて含まれるとき、反応安定性低下により副反応物であるジエチレングリコール(DEG)の多量発生に伴う紡糸工程時、糸切れの頻繁な発生とパック圧が上昇して、紡糸操業性が低下され、アルカリ易溶出特性が高すぎて、均一な易溶出特性を得ることはあり得なく、加工された繊維の染色不均一を誘発及び/又は機械的強度の低下の原因になる等、本発明が達成しようとする物性を具現することが困難になる虞がある。
【0099】
前記エステル化反応物を製造するために、テレフタル酸、エチレングリコール及びナトリウム3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホネートが混合時期は非制限的であり、テレフタル酸及びエチレングリコールのエステル化反応中に添加してもよく、反応開始時から添加してもよい。
【0100】
本発明の好ましい一実施例によれば、前記ステップ1−1)のエステル化反応物は、金属アセテート触媒下で製造され得る。前記金属アセテート触媒は、リチウム、マンガン、コバルト、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛及びカルシウムよりなる群から選択されるいずれか一つの金属を含む金属アセテート単独またはこれらを混合して使用してもよい。
【0101】
前記金属アセテート触媒の投入量は、好ましくは、ナトリウム3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホネート100重量部に対して、金属アセテート触媒を0.5〜20重量部を投入してもよい。もし、金属アセテート触媒が0.5重量部未満で含まれるとき、エステル化反応率が低下され、反応時間が長くなる虞があり、20重量部を超えると、ナトリウム3,5−ジカルボメトキシベンゼンスルホネートの反応制御が難しくなり、副産物であるジエチレングリコールの含量調節が難しくなる虞があり得る。
【0102】
前記ステップ1−1)のエステル化反応物は、好ましくは、200〜270℃の温度及び1100〜1350トールの圧力下で製造され得る。前記条件を満たさない場合、エステル化反応時間が長くなり、高温の影響で副反応物のジエチレングリコールが多量形成でき、反応性低下で重縮合反応に適したエステル化反応物を形成されない問題が発生する虞があり得る。
【0103】
次に、前述したエステル化反応物とポリアルキレングリコールの縮・重合を通した共重合体製造方法について説明する。
【0104】
本発明の好ましい一実施例によれば、ステップ1−2)において、前述したエステル化反応物100重量部に対して、ポリアルキレングリコールが7〜14重量部含まれていてもよい。
【0105】
まず、ポリアルキレングリコールについて説明する。
【0106】
前記ポリアルキレングリコールは、好ましくは、ポリエチレングリコールであってもよく、前記ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、1,000〜10,000であってもよく、重量平均分子量が1,000未満のとき、アルカリ易溶出性の低下でアルカリ減量工程時間の増加及びこれによる繊維形成性成分のアルカリ侵害を誘発し、均一な溶出にならなく、繊維の染色工程で不均一染色に伴う不良率が増加する虞があり得る。また、重量平均分子量が10,000を超えると、重合反応性が低下され、形成された共重合体のガラス転移温度が顕著に低下され、熱特性が低下され、紡糸が容易でない虞がある。
【0107】
本発明の好ましい一実施例によれば、前述したエステル化反応物100重量部に対して、ポリエチレングリコールが7〜14重量部で縮・重合され得、もし、ポリエチレングリコールが7重量部未満で含まれるとき、アルカリ易溶出性が低下される虞があり、ポリエチレングリコールが14重量部を超えて含まれるとき、重合度が低下され、共重合体のガラス転移温度が顕著に低下され、熱特性が低下され、アルカリ易溶出特性が高くなりすぎ、均一な易溶出特性を得ることはあり得なく、加工された繊維の染色不均一を誘発及び/又は機械的強度の低下原因になり得る等、本発明が達成しようとする物性を具現することが難しくなる虞がある。
【0108】
前記ポリエチレングリコールの投入時期は、非制限的であり、前記エステル化反応物のエステル化反応ステップで投入されていてもよく、エステル化反応が完了された反応物に混合されていてもよい。
【0109】
好ましくは、前記ステップ1−2)の共重合体は、250〜300℃温度及び0.3〜1.0トールの圧力下で製造され得、もし、前記条件を満たさない場合、反応時間の遅延、重合度低下及び熱分解誘発などの問題が発生し得る。
【0110】
前記ステップ1−2)は、中・縮合反応時、触媒をさらに含んでいてもよい。前記触媒は適正な反応性確保と生産単価を下げるために、アンチモン化合物及び高温で色相の変色を抑制するために、リン化合物などを使用することができる。
【0111】
前記アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどのような酸化アンチモン類、三硫化アンチモン、三フッ化アンチモン、三塩化アンチモンなどのようなハロゲン化アンチモン類、アンチモントリアセテート、アンチモンベンゾエート、アンチモントリステアレートなどが挙げられる。
【0112】
前記触媒として、アンチモン化合物の使用量は、重合後に収得される重合物全重量に対して、100〜600ppmを使用することが好ましい。
【0113】
前記リン化合物としては、リン酸、モノメチルリン酸トリメチルリン酸、トリブチルリン酸などリン酸類及びその誘導体を使用することがよく、この中でも、特にトリメチルリン酸またはトリエチルリン酸またはトリフェニル亜燐酸がその効果が優れて好ましく、リン化合物の使用量は、重合後に収得される重合物全重量に対して、100〜500ppmを使用することが好ましい。
【0114】
前述した製造方法により製造された芯部に含まれるポリエステル系溶出成分は、固有粘度が、好ましくは、0.6〜1.0dl/gで、より好ましくは、0.850〜1.000dl/gであってもよく、副反応物であるジエチレングリコールが3.6wt%以下で含まれていてもよい。
【0115】
固有粘度が0.6dl/g未満のとき、紡糸工程で複合繊維の機械的強度の低下で糸切れの頻繁な発生に伴う紡糸容易性が劣る虞があり、易溶出性が過度になり、均一な溶出が困難になるか、繊維形成性ポリマーのアルカリ侵害を誘発し得る虞がある。また、固有粘度が1.00dl/gを超えると、高い機械的強度により紡糸作業性は良いが、アルカリ易溶出が顕著に低下され、減量工程の所要時間上昇及び不均一溶出などの問題が発生し得る。
【0116】
また、前記ポリエステル系溶出成分に含まれるジエチレングリコールは、テレフタル酸とエチレングリコールの反応で付加的に発生する副反応物であり、従来に副反応物であるジエチレングリコールを減少させるために、多くの試みがあった。本発明は、好ましくは、ジエチレングリコールの含量が3.6wt%、より好ましくは、3.3wt%以下と、副反応物に伴うアルカリ溶液で減量速度を調節することが難しい問題、紡糸作業性の低下及び溶出不均一に伴う染色工程により不具合が生じ得る問題を防止できる利点がある。
【0117】
本発明の好ましい一実施例に係る芯部の溶出成分は、重合工程で価格が安価のテレフタル酸(TPA)を主に使用しながら、エステル化されたスルホソフタルレートグリコールエステル(SIGE)の使用無しでも工程が簡単であり、経済的なスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を使用しているにもかかわらず、安定した反応性と優れた反応率を有し、副反応物であるジエチレングリコール(DEG)の発生とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)のイオン性官能基による異物発生が最小化され、複合紡糸時に糸切れ及びパック圧上昇がなく、安定した複合紡糸が可能であり、アルカリ水溶液で溶出工程時に均一な溶出が可能であり、溶出工程後のC型中空繊維及びそれを用いた最終製品は均一と稠密した組織を有し、均一な染色成果とソフトタッチに優れた効果を有することができる。さらに、本発明の好ましい一実施例に係る複合繊維の場合、従来の他の易溶性ポリマーを含む複合繊維に比べて、向上された強度を保持し、複合繊維の仮延伸など、後処理工程及び製織などの工程で中空の変形を最小化できるようにする利点がある。
【0118】
次に、ステップ(2)として、前記芯部が前記鞘部の一側から外部に露出されるように複合紡糸するステップを含む。
【0119】
前記ステップ(2)において、前記鞘部と芯部の重量比は70:30〜35:65であってもよい。鞘部に含まれたポリエステル系繊維形成成分またはポリアミド系繊維形成成分が65重量%を超えると、複合繊維の溶出後強度が低下され、生地の引裂強度が低くなり、容易に裂ける虞があり、30重量%未満のとき、芯部断面積率が小さく、今後の複合繊維を通して製造される中空繊維の軽量性、保温性などの効果が低下され虞があり得る。
前記ステップ(2)のC型複合繊維全体断面積(A)に対して、芯部の断面積(B)割合は(関係式1)として、
【数9】
を満たすことができる。これにより、本発明は、芯部の重量%を調節することにより、芯部の断面積(今後、中空繊維の中空)を調節及び増加させることができ、今後、複合繊維から芯部が溶出された後のC型中空繊維中空直径を前記ステップで目的に応じて調節及び増加させることができる。
【0120】
前記鞘部(sheath部)に、ポリエステル系繊維形成成分が含まれる場合、ポリエステル系繊維形成成分は275〜305℃で、鞘部にポリアミド系繊維形成成分が含まれる場合、ポリアミド系繊維形成成分は235〜275℃で溶融され、複合紡糸することができる。
また、芯部(Core部)に含まれるテレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分は、255〜290℃で溶融され、複合紡糸することができる。
【0121】
前記複合紡糸され、繊維状凝固されたそれ自体の繊維は、繊維内の分子の配向が良くないため、好ましくは、複合紡糸されたC型複合繊維を延伸または部分延伸することができる。
【0122】
具体的に、前記C型複合繊維を延伸糸(SDY)として紡糸する方法は、放射されるC型複合繊維の鞘部が、ポリエステル系繊維形成成分のとき、1100〜1700mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第1巻取と4000〜4600mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第2巻取とで延伸することができる。また、C型複合繊維の鞘部が、ポリアミド系繊維形成成分のとき、1000〜1400mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第1巻取と3800〜4400mpm(m/min)の紡糸速度とで巻き取る第2巻取で延伸することができる。
【0123】
前記C型複合繊維を半延伸糸(POY)として紡糸する方法は、放射されるC型複合繊維の鞘部が、ポリエステル系繊維形成成分のとき、2500〜3300mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第1巻取と2500〜3400mpm(m/min)の紡糸速度とで巻き取る第2巻取とで部分延伸できる。また、C型複合繊維の鞘部が、ポリアミド系繊維形成成分のとき、2300〜2800mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第1巻取と2300〜2900mpm(m/min)の紡糸速度で巻き取る第2巻取とで部分延伸できる。
【0124】
好ましくは、前記延伸糸(SDY)及び半延伸糸(POY)として紡糸時に、巻取はゴデットローラー(G/R)を使用して、C型複合繊維を紡糸することができる。前記延伸糸(SDY)製造ステップに、ゴデットローラーを利用して第1巻取及び第2巻取をする場合、好ましくは、ゴデットローラーの表面温度を第1巻取では70〜90℃、第2巻取では100〜140℃に保持した後、巻き取ることができる。これにより、延伸中に発生する糸切れ現象を防止できる。
【0125】
前記の通りに放射された延伸糸または半延伸糸は、使用の便宜性及び工程容易性のために、好ましくは、繊度50〜200デニール、18〜100フィラメントで製造され得る。
【0126】
図2は、本発明の好ましい一実施例に含まれるC型複合繊維の断面模式図を示し、
図3は、これにより、製造されるC型中空繊維の断面模式図を示す。前記ステップ(2)を通して製造されるC型複合繊維は、
図2に示されるように、ポリエステル系繊維形成成分またはポリアミド系繊維形成成分を含む鞘部100及びテレフタル酸(TPA)を含む酸性分、エチレングリコール(EG)を含むジオール成分及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分含む芯部200を含み、前記鞘部100は芯部200を外部で覆う形態でC型断面に形成され、芯部200は前記鞘部100の一側から外部に露出されている形状で複合紡糸される。
【0127】
このとき、前記芯部200が前記鞘部100の一側に露出されることによって、下記の芯部溶出ステップで芯部の溶出が容易になり、芯部が外部に溶出されれば、
図3のように、C型中空繊維が製造され得る。
【0128】
好ましくは、前記芯部200は、鞘部100のC型断面形状で不連続して一側に偏向され位置し、これにより、芯部の溶出をより円滑にできる。但し、芯部を鞘部の一側に偏向するように複合紡糸する場合、発生し得る鞘部に含まれた繊維形成成分の膨潤現象を防止するために、本発明の発明者による韓国特許出願第2012−0142203号に開示しているC型紡糸口金を使用することができる。
【0129】
次に、本発明が好ましい一実施例によれば、前記ステップ(2)以降に、前記製造されたC型複合繊維を糸加工するステップを更に含んでいてもよい。
【0130】
前記糸加工は、通常的なC型複合繊維または中空繊維の製造工程で使われるものであり、適した糸加工の場合、制限することなく使用できる。
【0131】
好ましくは、前記糸加工は、仮撚(DTY)法、空気噴射法及びナイフエッジ法よりなる群から選択されたいずれか一つの方法であってもよい。前記の通りに糸加工をする目的は、伸縮性を向上させて含気量を大きくし、フィラメント糸の短所を改善するためである。
【0132】
具体的に、前記C型複合繊維を仮撚糸(DTY)で後処理する方法は、C型複合繊維を前記の通りに延伸糸(SDY)または半延伸糸(POY)として紡糸後に、これを400〜600m/minの紡糸速度、3000〜3600TM(twist/m)の撚り数及び150〜180℃の熱固定を通して後処理することができる。このとき、前記延伸糸または半延伸糸の場合、加工織物の用途に応じて1〜10本を合糸した後、仮撚工程を行い、最終仮撚糸の場合、使用の便宜性及び工程容易性のために繊度は30〜1000デニールで製造することができる。
【0133】
前述した具体的な仮撚法は、本発明に係る好ましい一実施例の後処理方法のみであって、前記の後処理方法が前述した記載に制限されなく、様々な糸加工により多種類の糸に製造されるものである。
【0134】
次に、本発明に係る第2の形態によれば、C型中空繊維として前記中空繊維の横断面が開放されたスリットを含むC字状であり、下記条件(1)〜(4)を全部満たすC型中空繊維を含む。
【数10】
【0135】
但し、前記スリット角度(θ)は、中空の中心と鞘部の不連続した両位置をそれぞれ連結した直線の間の角であり、前記スリット間隔(d)は、鞘部の不連続した両位置間の距離(μm)であり、偏心距離(s)は、C型中空繊維断面全体の中心
と中空断面の中心間の距離(μm)であり、R
1は、C型中空繊維の断面全体の直径(μm)であり、R
2は、C型中空繊維の
中空断面の直径(μm)を意味する。
【0136】
まず、条件(1)として、30≦中空率(%)≦65を満たす。
【0137】
中空率が30%未満のとき、中空繊維の保温性、軽量性などが低く、中空繊維としての機能を弱い問題があり、中空率が65%を超えると、鞘部の薄い構造によって、強度が低下され、これにより、製織される生地の引裂強度が低くなり、最終製品が容易に裂ける等、発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
【0138】
具体的に、中空率(%)が70%のとき(表7の比較例6)、強度が3.68g/deと、中空率(%)が60%のとき(表4の実施例4)の場合に比べて、11.4%程度強度が低下されたことを確認することができる。
【0139】
次に、条件(2)として、20゜≦スリット角度(θ)≦30゜を満たす。
【0140】
具体的に、
図1は、本発明の好ましい一実施例に係るC型中空繊維の中空率に伴う断面図を示す。
図1Dに示されるように、中空繊維の中空率(%)に関係なく、一定のスリット角度(
図1Dのθ)を有することを確認することができる。
【0141】
本発明が中空率(%)に関係なく、一定のスリット角度(θ)を有することができる理由は、本発明に係るC型中空繊維は中空率(%)が小さいときは、中空繊維全体断面で中空断面中心がC型中空繊維の開放されたスリット側に偏向されているが中空率(%)が大きくなるほど、中空繊維全体断面で中空断面中心がC型中空繊維の全体断面中心側に移動するからである。
【0142】
スリット角度(θ)が20゜未満のとき、本発明の好ましい一実施例に係るC型中空繊維を製造する過程において、芯部の溶出時間が長くなり、溶出工程が延びる問題があり得、前記長くなった溶出工程は、C型中空繊維鞘部のアルカリ侵害を誘発し、C型中空繊維の品質が低下される致命的な問題など発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞があり得る。また、中空率(%)を大きく増加させた場合、芯部の溶出時間がより一層長くなる虞があり得る。さらに、芯部の溶出過程で溶出されない残余芯部が存在し、中空が減少でき、中空繊維の軽量性、保温性などの効果が低下され得る虞がある。また、溶出不均一に伴う染色不良が生じ、C型中空繊維の品質低下など発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
【0143】
具体的に、スリット角度が17゜の場合(表7の比較例7)が、スリット角度が25゜の場合(表4実施例3)に比べて、溶出時間が長くなっていることを確認することができる。
【0144】
スリット角度(θ)が30゜を超えると、円形構造を失うようになり、中空に空気層を效果的に付与することができなく、保温性低下の虞があり、強度が低下され得る虞がある。また中空率(%)に従ってスリット角度が変わる場合に、溶出条件が異なるようになるので、後処理工程時、作業性低下など発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
次に、条件(3)として、
【数11】
を満たす。
【0145】
具体的に、
図1DのDに該当する間隔を意味する。本発明のC型中空繊維は中空率(%)とスリット間隔(d)と間に前記の条件を満たし、中空率(%)が増加するほどスリット間隔(d)も増加するようになり、前記の条件を満たす。
【0146】
前記のような条件を満たすことによって、C型中空繊維を製造するとき、複合繊維での溶出工程で芯部の溶出時間が中空率に関係なく、均一になり、これにより、中空率(%)が大きい場合にも、中空率(%)が小さい場合と同様に、速くて、より円滑に芯部が溶出されることによって、本発明のC型中空繊維はアルカリによる侵害が最小化された中空繊維であり得る。
【0147】
前記の(3)条件を満たさない場合、溶出過程での製造時間が延びる虞があり、C型中空繊維の中空部分に芯部残留物が残って、溶出不均一による染色不良が生じ、中空繊維の品質が低下され得る問題があり、溶出されない芯部残留物による中空減少により中空繊維の機能減少を誘発する等、発明が目的とする物性を具現することは困難になる。また、溶出工程時間の延長により、C型中空繊維がアルカリ侵害され、品質が低下されたC型中空繊維になる等、発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞がある。
次に、条件(4)として、
【数12】
を満たす。前記偏心距離(s)は、C型中空繊維断面の中心で中空断面の中心間の距離(μm)であり、R
1はC型中空繊維の断面全体の直径(μm)であり、R
2はC型中空繊維
の中空断面の直径(μm)を意味する。
【0148】
前記の(4)条件を満たさない場合、即ち、同じ中空率(%)を有するC型中空繊維で中空の位置が鞘部の開放されたスリット側でないC型中空繊維断面中心に移動する場合(偏心距離が小さくなる場合)、芯部の溶出速度低下及び/又は溶出時間が延び、製造工程の時間延長、不均一溶出による染色不良の発生及びC型中空繊維がアルカリ侵害によって品質が低下される等、発明が目的とする物性を具現することが困難になる虞があり得る。
【0149】
具体的に、前記条件(4)を満たされない場合(表7の比較例9)、溶出時間が条件(4)を満たす場合に比べて、顕著に多く所要されていることを確認することができた。この場合、C型中空繊維のアルカリ侵害が生じ、溶出後、製造される中空繊維の品質低下が生じ、本発明の目的とする物性が具現できないことを確認することができる。
【0150】
本発明に係るC型中空繊維の場合、前記の(1)〜(4)条件を全部満たさなければならなく、一つの条件でさえ満たさなければ、本発明の目的とする中空の破壊、変形がなく、同時に染色不良最小化、溶出不良最小化及び中空繊維としての軽量性、保温性機能発揮及びこれを極大化させることは困難である。
【0151】
具体的に、前記(1)〜(4)条件のいずれか1つの条件を満たさない場合、C型中空繊維の強度が低下され、中空が正常に保持できなく、芯部の易溶出速度が落ち、中空繊維製造時間上昇、溶出時間増加に伴うC型中空繊維のアルカリ侵害による品質低下、溶出不均一に伴う染色不良及び中空減少に伴う保温性、軽量性低下の問題が発生し得る。
一方、本発明の好ましい一実施例に係る中空繊維は、条件(5)として、
【数13】
をさらに満たしていてもよい。
【0152】
前述した(1)〜(4)条件の他に、(5)の条件を満たせば、中空繊維芯部溶出工程で中空率(%)に関係なく、均一な溶出時間を有することができ、前述した(1)〜(4)条件を満たす場合より、溶出時間が低減され、中空繊維製造時間の減縮を通したC型中空繊維のアルカリ侵害が最小化される等、本発明が目的とする物性が具現される優れた品質のC型中空繊維を提供することができる。
【0153】
具体的に、本発明の条件(5)を満たす下記表4の実施例3及び7において、本発明の条件(5)を満たされない下記表5の実施例9及び10より、溶出時間が少なく所要されていることを確認でき、これにより、条件(5)を満たす場合、そうでない場合に比べて溶出時間を短縮することができ、これにより、アルカリ侵害が最小化された優れた品質のC型中空繊維であることが分かる。
【0154】
前記C型中空繊維は、好ましくは、ポリエステル系及びポリアミド系のいずれか一つ以上の合成樹脂が含まれていてもよく、これに対する詳細な説明はC型複合繊維で前述したものと同様である。
【0155】
前記C型中空繊維は、半延伸糸(POY)、延伸糸(SDY)、仮撚糸(DTY)、エア加工糸(ATY)、エッジ捲縮糸(Edge Crimped yarn)及び複合糸(ITY)よりなる群から選ばれた中空繊維であってもよい。好ましくは、延伸糸(SDY)、仮撚糸(DTY)及び複合糸(ITY)である。
【0156】
前記のような後処理された中空繊維の場合、伸縮性向上、含気量向上などの向上された効果を有するC型中空繊維を提供できる利点がある。
【0157】
前記C型中空繊維が、半延伸糸(POY)、延伸糸(SDY)のとき、使用の便宜性及び工程容易性のために、繊度は50〜200デニールで、18〜100フィラメントであってもよい。
【0158】
また、前記C型中空繊維が仮撚糸のとき、使用の便宜性及び工程容易性のために、繊度は30〜1000デニールで、18〜720フィラメントであってもよい。
【0159】
但し、前記記載に限定されなく、製造しようとする糸の種類及び目的に応じて様々な加工糸になってもよく、前記加工糸の繊度及びフィラメント数は変わる。
【0160】
具体的に、
図4〜
図7は、本発明の好ましい一実施例に係る仮撚処理されたC型中空繊維の断面図である。図面を通して確認することができるように、仮撚後にも断面で中空が全く崩壊されないC型中空繊維であることを確認することができた。
【0161】
前述した本発明の第2の形態に係るC型中空繊維は、下記のような製造方法で製造されるが、これに制限されるものではない。
【0162】
前記C型中空繊維は、前述した本発明に係る第1の形態に係るC型複合繊維で、芯部を溶出するステップを含んで製造され得る。
【0163】
従来の複合繊維の場合、複合繊維製造工程及び/又は製造しようとする糸の種類、目的に伴う後処理工程で複合繊維の低強度により、糸切れ、変形などが頻繁に発生した。また、従来の中空繊維を用いた生地の場合、中空繊維の強度が弱く、複合繊維を溶出した中空繊維自体を製織または編成して、生地を製造できない問題があった。これにより、複合繊維を利用して生地を製織または編成後、複合繊維の芯部を溶出する減量工程を行うことが通常的であった。
【0164】
しかし、前記のような通常的な方法によっても芯部が溶出された生地は、引裂強度が顕著に低下され、生地の引裂き現象を防止することができない問題があった。
【0165】
これに対して、本願発明の場合、従来のC型複合繊維及び/又はC型中空繊維よりも向上された強度を有し、C型複合繊維から芯部を溶出させ、C型中空繊維を利用して生地を製造しても機械的物性が顕著に優れ、生地の引裂きなどの問題が防止された。
【0166】
具体的に、本発明の好ましい一実施例に含まれるC型複合繊維は、従来の複合の繊維に比べて、向上された強度を有しており(表4)、これにより、従来の複合繊維に比べて、後処理などの製造工程で破壊されるか、変形される複合繊維の芯部が最小化することができ、中空繊維状態でこれを製織または編成して生地を製造できるようになった。
【0167】
前記芯部の溶出は、アルカリ溶液で行くことができ、溶出の具体的な方法は当業界公知された方法を使用することができる。但し、好ましくは、1−1)糸染用ボビンに、複合繊維を1〜10本合糸してソフト巻きするステップと、1−2)前記糸染用ボビンに巻かれた複合繊維を80〜100℃で1〜5重量%の水酸化ナトリウム水溶液で溶出するステップと、を含み、芯部が溶出され得る。
【0168】
前記1−1)ステップにおいて、複合繊維を1〜10本で合糸し、ステップ1−2)を通して芯部を溶出させることができる。これにより、生地製作時、消費者が求める様々な繊度及びフィラメント数に調節することによって、以後の工程で別途の合糸工程が不要なるにつれて、製造時間短縮及び製造工程の簡素化及び別途の追加工程がなくても、消費者の要求に対応できる利点がある。
【0169】
前記ステップ1−2)において、芯部溶出溶液は、好ましくは、1〜5%の水酸化ナトリウム溶液である。1%未満の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で溶出させる場合、溶出時間が長時間必要とされ、5%を超える水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で溶出させる場合、鞘部に含まれたポリエステル系繊維形成成分、ポリアミド系繊維形成成分のいずれかつ以上の繊維形成成分がアルカリ侵害を受け、C型中空繊維に欠点が生じ、強度が低下され、製織、編成工程などで作業性が低下される虞がある。
【0170】
前記ステップ1−2)での水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液で溶出時間は、水酸化ナトリウム水溶液の濃度に応じて変わるが、好ましくは、10〜120分であってもよい。好ましくは、前記溶出温度は常圧の場合、80〜100℃、高圧の場合、60〜120℃であってもよい。圧力による溶出温度が前記の範囲を満たされない場合、溶出不均一による中空率減少及び染色不均一による生地の品質低下の虞があり得る。
【0171】
一方、本発明に係る第3の形態は、前述した本発明に係る第2の形態によるC型中空繊維を含む生地を含む。
【0172】
前記生地は、製織(weaving)または編成(knitting)して製造された織物または編物であってもよい。
【0173】
まず、前記織物の組織は、平織、綾織、朱子織及び二重織よりなる群から選択されたいずれか一つの方法で行われ得る。
【0174】
前記平織、綾織及び朱子織を三原組織とするとき、三原組織それぞれの具体的な製織方法は通常的な製織方法によって、三原組織を基本として、その組織を変形させるか、いくつかの組織を配合して変化ある織物であってもよく、例えば、変化平織として、畝織、バスケット織などがあり、変化綾織として伸綾織、破綾織、飛綾織、山形綾織などがあり、変化朱子織として変則朱子織、重朱子織、広げ朱子織、花崗朱子織などがある。
【0175】
前記二重織は、経糸または緯糸のいずれか片方が2重であるか、両方が2重の織物の製織方法であり、具体的な方法は通常的な二重織の製織方法であってもよい。
【0176】
但し、前記織物組織の記載に限定されなく、製織での経糸及び緯糸密度の場合、特別に限定しない。
【0177】
好ましくは、前記編成は緯編成または経編成の方法によってもよく、前記緯編成と経編成の具体的な方法は、通常的な緯編成または経編成の編成方法によってもよい。
【0178】
前記緯編成を通して具体的に平編み、ゴム編み、パール編などの緯編成物が製造される。前記経編成を通して、具体的にトリコット、ミラニーズ、ラッセルなどの経編成物が製造され得る。
【0179】
また、前記生地は本発明に係るC型中空繊維と異種の原糸が交織(mixed weaving)または交編(mixed knitting)され製造されたものであってもよい。本発明の好ましい一実施例に係る生地は製造しようとする生地の目的、新しい機能の付与のために異種の原糸と交織または交編することができる。
【0180】
具体的に、
図4〜
図7は本発明の好ましい一実施例に係る仮撚処理されたC型中空繊維の断面図である。図面を通して確認することができるように、仮撚後にも断面で中空が全く崩壊されないC型中空繊維であることを確認することができた。これにより、製織された生地もまた中空が全く崩壊されず、生地の保温性、軽量性に優れていることが分かる。
【0181】
前述した本発明の第3の形態である本発明に係るC型中空繊維を含む生地は、下記のような方法により製造してもよいが、後記する製造方法に制限されるものではない。
【0182】
まず、(1)本発明の第1の形態に係るC型複合繊維を製造するステップを行った後、次いで、ステップ(2)として、前記複合繊維から芯部を溶出するステップを行う。
【0183】
前記ステップ(1)は、本発明の第1の形態及びその製造方法で具体的な説明と同一であるので省略する。また、前記ステップ(2)は、本発明の第2の形態及びその製造方法で具体的な説明と同一であるので省略する。
【0184】
前記ステップ(2)を通して製造された中空繊維に対して、ステップ(3)として、(3)前記芯部が溶出された中空繊維を含み、製織(weaving)または編成(knitting)して、生地を製造するステップを行う。
【0185】
前記製織及び編成に対する具体的な説明は前述と同様であるので省略する。
【0186】
前述のC型中空繊維を含む生地の製造方法は、従来の中空繊維を含む生地とアルカリ減量工程の遂行ステップが異なる。即ち、従来には、複合繊維を生地として製造した後、生地状態で減量工程を遂行した。このような従来の製造方法は、原糸状態で減量工程を行って中空糸を製造後、生地として製造する時、中空糸の強度、伸度など機械的強度が顕著に低く、製織または編成工程を耐え難く、生地の生産性が非常に低下される虞があるからである。しかし、本願発明の場合、C型複合繊維が溶出された後、C型中空繊維として製造されても原糸の強度、伸度など機械的強度が顕著に優れ、製織、編成工程を十分に耐えられ、これにより、生地製造工程で原糸が糸切れされないことによって、生地の生産性が低下されない。
【0187】
また、このような特性を有する本発明に係るC型中空繊維は、異種の原糸と交織または交編された生地を製造するときに特に有用である。具体的に、アルカリ水溶液に顕著に弱い繊維を異種の原糸として含む場合、従来には生地状態で減量工程を遂行するために異種の原糸は、減量工程で損傷を受ける致命的問題があった。しかし、本願発明に係る中空繊維は減量状態で異種の繊維と交織または交編させて生地を製造していることから、異種の繊維がアルカリにより損傷されることが防止され、これにより、製造された生地の品質は非常に優れている。
【0188】
一方、本発明に係る第4の形態は、前述した本発明に係る第1の形態によるC型複合繊維を含む生地を含み、このような生地は、(1)請求項1に記載のC型複合繊維を製造するステップと、(2)前記複合繊維を含み、製織(weaving)または編成(knitting)して、生地を製造するステップと、を含むC型複合繊維を含む生地の製造方法を通して具現することができる。
【0189】
前記生地は、本発明に係るC型複合繊維のみを含んでいてもよく、または異種の繊維と交編または交織していてもよい。前記第4の形態に関する具体的な説明は前述と同様であるので、以下、省略する。
【実施例】
【0190】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限するのではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解析すべきである。
【0191】
<実施例1>
まず、鞘部を用意するために、鞘部に含まれるポリエステル系繊維形成成分としてポリエチレンテレフタルレートを290℃で溶融した。また、芯部を用意するために、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)化合物を1:1.2モル比に調節し、テレフタル酸(TPA)とスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を総モル数に対して、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を1.5モル%に調節した。触媒として、リチウムアセテートを、スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)100重量部に対して、10.0重量部混合し、250℃で1140トールの圧力下で、エステル化反応させて、エステル反応物を得た。その反応率は97.5%であった。形成されたエステル反応物を縮重合反応器に移送し、そこに、エステル反応物100重量部に対して、分子量6000のポリエチレングリコール(PEG)10.0重量部を添加した後、縮重合触媒として、三酸化アンチモン400ppmを投入し、最終圧力0.5Torrになるように、ゆっくり減圧しながら、285℃まで昇温し、縮重合反応を通して共重合体を製造した。
【0192】
前記テレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリエチレングリコールを縮重合させた共重合体である溶出成分を270℃で溶融後、前記溶融されたポリエチレンテレフタルレートと前記共重合体をそれぞれ70:30重量比で複合紡糸して、下記表1の条件で表4によるフィラメント数が36であり、繊度が75デニールの延伸された複合繊維(SDY)を製造した。下記表1のG/Rはゴデットローラーを意味する。
【0193】
以降、前記製造された延伸糸を糸染用ボビンにソフト巻取り後、常圧95℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液で、原糸状態で溶出させ、C型中空繊維を製造した。
【0194】
以後、製造されたC型中空繊維をPicanol GTM社製のRapier製織機を利用して、経糸及び緯糸として経糸密度156本/インチ、緯糸密度102本/インチの平織物を製織した。製織した平織物を常法で精錬(CPB精錬)後、水洗(B/O)し、200℃温度で40m/minの条件でフリーセッティングし、以後、染色(RAPID、125℃×60min)及び加工(190℃×40m/min)工程を経て生地を製造した。
【0195】
【表1】
【0196】
<実施例2〜4>
実施例1と同様に実施して製造しており、鞘部と芯部の重量比を、それぞれ60:40、50:50、40:60として複合紡糸後、下記表4のような延伸された複合繊維(SDY)、中空繊維(SDY)及び生地を製造した。
【0197】
<実施例5〜8>
実施例1〜4とそれぞれ同様に実施して製造しており、フィラメント数が36であり、繊度が100デニールである下記表4のような延伸された複合繊維(SDY)、中空繊維(SDY)及び生地を製造した。
【0198】
<実施例9>
実施例3と同様に実施して製造しており、表4の条件の中偏心距離を2.14μmの代りにそれぞれ1.5μmとし、表5によるC型複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0199】
<実施例10>
実施例7と同様に実施して製造しており、表4の条件の中偏心距離を2.47μmの代りに1.5μmとし、表5によるC型複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0200】
<実施例11〜15>
実施例4と同様に実施して製造しており、複合紡糸された複合繊維を延伸糸(SDY)でない下記表2の条件で、表5による繊度123デニール、36フィラメントの部分延伸された複合繊維(POY)で製造した。
【0201】
【表2】
【0202】
以後、製造された部分延伸された複合繊維(POY)を1合糸、2合糸、4合糸、6合糸、8合糸して、500m/minの紡糸速度、3300〜3500TM(twist/m)Z撚の撚り数及び160〜165℃の熱固定条件として、表5による仮撚複合繊維(DTY)を製造した。以後、前記製造された仮撚複合繊維を糸染用ボビンにソフト巻取後、常圧95℃、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液で、原糸状態で溶出させ、表5による仮撚中空繊維(DTY)を製造した。これを利用して生地を製造した。
【0203】
<実施例16>
実施例3と同様に実施して製造しており、鞘部にポリエチレンテレフタルレートの代りにナイロン6を250℃で溶融して、下記表3の条件で、表6による繊度75デニール36フィラメントリンナイロン延伸複合繊維、中空繊維(SDY)及び生地を製造した。
【0204】
【表3】
【0205】
<比較例1〜4>
実施例1〜4と同様に実施して製造しており、芯部をテレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩(DMSIP)を含むエステル化反応物とポリアルキレングリコールを縮重合させた共重合体を含むポリエステル系溶出成分の代りにKB SEIREN社製のBellpureを275℃で溶融して、複合紡糸を通してC型複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0206】
<比較例5、6>
実施例1と同様に実施して製造しており、鞘部と芯部の重量比が70:30の代りにそれぞれ73:27、30:70とし、表7の条件による複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0207】
<比較例7及び8>
実施例3と同様に実施して製造しており、スリット角度をそれぞれ17゜、37゜とし、表7の条件による複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0208】
<比較例9>
実施例3と同様に実施して製造しており、偏心距離(s)を1.3μmとし、表7の条件による複合繊維、中空繊維及び生地を製造した。
【0209】
<実験例1>
下記条件(1)〜(5)を満たすように製造された実施例1〜8、実施例11〜15及び比較例1〜4と下記条件(1)〜(4)を満たすように製造された実施例9、10と下記条件(1)〜(4)のいずれか一つを満たさないように製造された比較例5〜9のC型複合繊維、C型中空繊維及び生地に対して下記の物性を測定し、表4〜7に示した。
【0210】
1.条件満足の可否
【数14】
【0211】
2.強度及び伸度
本発明で複合繊維及び中空繊維の強度及び伸度の測定は、自動引張試験機(Textechno社製)を使用して、50cm/minの速度、50cmのパージ距離を適用して測定した。強度と伸度は、繊維に一定の力を集中して切断されるまで、延伸させたときにかかった荷重をデニール(Denier;de)で分けた値(g/de)を強度、増えた長さに対する最初の長さを百分率で示した値(%)を伸度と定義した。
【0212】
具体的に、下記表4〜7に示されるように、本発明の好ましい一実施例に係るテレフタル酸(TPA)、エチレングリコール(EG)及びスルホイソフタル酸ジメチルナトリウム塩を含み、反応したエステル化反応物とポリエチレングリコールを縮重合させた共重合体を芯部として含む実施例1〜4の場合、KB SEIREN社製のBellpureを芯部として含む比較例1〜4に比べて、C型複合繊維及び芯部が溶出された後のC型中空繊維においても強度と伸度が非常に優れていることを確認することができた。これにより、比較例1〜4は、実施例1〜4に比べて機械的強度の低下によって製織工程中の糸切れによる製織機の中断回数も増加していたことが分かる。
【0213】
3.芯部溶出時間
本発明で芯部の溶出時間の場合、C型複合繊維を常圧100℃で2重量%の水酸化ナトリウム水溶液に溶出させ、C型複合繊維に含まれた芯部重量に対比して芯部全量が溶出される時間を測定した。
【0214】
具体的に、下記の表4〜7に示されるように、実施例1〜8を通して同じ繊度で、芯部断面積率(%)に関係なく溶出時間が均一していることを確認することができた。
【0215】
また、本発明の条件(5)を満たす実施例3及び7で、本発明の条件(5)を満たさない実施例9及び10より、溶出時間が少なく必要とされていることを確認することができた。これにより、条件(5)を満たす場合、そうでない場合に比べて溶出時間を短縮することができることが分かる。
【0216】
4.芯部溶出性(%)
本発明で芯部溶出性の場合、C型複合繊維を常圧100℃で2重量%の水酸化ナトリウム水溶液に18分間溶出させた後、溶出前の複合繊維重さと溶出後の重さを測定し、溶出性(%)=で計算した。同じ中空率を有するC型中空繊維で溶出性が高いほど軽量性及び保温性が高く、染色不良などの品質低下が少ない。
【0217】
具体的に、下記表4〜7に示されるように、実施例1〜4の場合、18分間前記の条件で溶出させた場合、溶出性が100%と全量溶出されたことを分かり、これを前記の溶出時間測定実験と連関させたとき、本発明の場合、芯部断面積率(%)が増加しても全量溶出に必要とされる時間が、芯部断面積率(%)が小さい場合と、ほとんど同じであることで、本発明に係る複合繊維の鞘部に含まれる成分のアルカリ侵害を最小化することができる。また、全量溶出によって溶出後製造されるC型中空繊維は、軽量性及び保温性に優れ、染色不良が生じなく、品質低下が発生しなかった。
【0218】
5.紡糸容易性
本発明で紡糸容易性は、C型複合繊維(延伸糸または半延伸糸)9kgドラムを満巻とし、紡糸したときの糸切れのないC型複合繊維の収率として計算され、収率が100〜95%であれば◎と、95〜90%であれば○と、90%未満のとき、×とそれぞれ区分した。
【0219】
具体的に、下記表4〜7を示されるように、実施例に比べて比較例の場合、紡糸途中、糸切れが生じる場合が多く発生した。特に、中空率(%)が本発明の条件(1)を満たしていない比較例6、スリット角度が本発明の条件(2)を満たしていない比較例7及び本発明の条件(4)を満たしていない比較例9の場合、紡糸容易性が良くないことが分かる。
【0220】
6.保温性
本発明で保温性の場合、試験生地50×50cmの試料を用意し、KS K 0560方法とKS K 0466方法に基づいて保温率を測定した。
【0221】
具体的に、下記表4〜7に示されるように、中空率が増加するほど保温性が増加することが分かり(実施例1〜4参照)、同じ中空率を有しても合糸が多く行われた原糸として製織される場合、保温性が増加することを確認することができた(実施例11〜15参照)。
【0222】
また、比較例6、7、9の場合、紡糸容易性が良くなく、生地を製造できるほどのフィラメント糸として製造できなく、生地として製織できていなく、これにより、保温性を測定することができなかった。
【0223】
7.製織性(回数)
生地の横1.76m、縦91.44mを製織する過程で発生される糸切れによる製織機の停止回数で評価した。
【0224】
製織性は、下記表4〜7に示されるように、中空繊維の強度に影響をたくさん受けていることを確認された。同じ中空率で比較した時、強度などに優れた実施例(実施例1〜4参照)が比較例(比較例1〜4参照)より製織性に優れていることを確認することができた。
【0225】
また、比較例6、7、9の場合、紡糸容易性が良くなく、生地を製造できるほどのフィラメント糸として製造できなく、生地として製織できていなく、これにより、製織性を測定することができなかった。
【0226】
8.染色不均一の可否
製造された生地の横1.76m、縦91.44mで染色不均一性を肉眼で官能評価し、染色不均一が発生しない場合を0、発生した場合その程度に応じて1〜5と評価した。
【0227】
染色不均一性は、下記表4〜7に示されるように、溶出性に優れるほど少なく発生していることを確認することができた。但し、溶出性が100%でも染色不均一が生じるものは、溶出性の計算式では全量溶出に見えるが、実際は芯部の一部が溶出されず、溶出されない芯部の重量ほど中空繊維の繊維形成成分にアルカリ侵害が発生し、結果的に溶出性が100%として計算されたものと予想される。これは、芯部に含まれたアルカリ易溶性コポリエステルのアルカリ易溶解性において性能差がその原因の一つであることが予想される。これは実施例1〜4に比べて、比較例1〜4の場合、染色不均一性が示されるという結果から裏付けられる。
【0228】
また、比較例6、7、9の場合紡糸容易性が良くなく、生地を製造できるほどフィラメント糸として製造できなく、生地として製織できなく、これにより染色不均一性を測定することができなかった。
【0229】
【表4】
【0230】
【表5】
【0231】
【表6】
【0232】
【表7】