(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包装形態が瓶包装、ピロー包装、PTP包装(プレススルーパック包装)、ブリスターパック包装、アンプル包装からなる群から選択される1又は2種以上である請求項1乃至9いずれかに記載の多層錠。
さらに含有される有効成分がアンジオテンシンII受容体拮抗剤、アンジオテンシン酵素阻害剤、インスリン抵抗性改善剤、利尿剤、高脂血症治療剤からなる群から選択される1又は2種以上である請求項15に記載の多層錠。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、包装形態により安定性を向上させたアゼルニジピンを含有する固形製剤を提供することであり、アゼルニジピンを含有する固形製剤を安定に保存可能な包装形態を提供することであり、アゼルニジピンを含有する固形製剤の安定保存化方法等を提供することである。
【0014】
本発明者等は、アゼルニジピンを含有する固形製剤の保存安定性等の安定性について、長年に亘り鋭意研究を行った結果、アゼルニジピンを含有する固形製剤を低酸素濃度下で保存させることにより、保存安定性等において、優れた安定性を有するアゼルニジピンを含有する固形製剤を見出し、本発明を完成した。
【0015】
アゼルニジピンはアルカリ性以外で不安定であり、アルカリ性で比較的安定な性質を持つため、アゼルニジピンを含有する薬剤組成物中にアルカリ性媒体を配合させることにより、保存安定性等において、安定性を改善させたアゼルニジピン含有する薬剤組成物が提供可能であるが、必ずしも満足されるものではなかった。そのため、保存安定性等の安定性をさらに向上させた薬剤組成物等が求められていた。
【0016】
さらに近年、高血圧症患者は合併症治療の薬剤を含めて複数の薬剤を併用する傾向にあり、このことが血圧コントロール不良の一因となっている可能性が指摘されている。服用する薬剤数が多いと服薬コンプライアンスは低下することから、確実な血圧コントロールを実現するためには、患者の服薬コンプライアンスの向上を図ることが重要であると考えられている。カルシウムチャンネル拮抗剤であるアゼルニジピンとアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、より確実な高血圧治療効果が期待できる組合せとして医療現場で広く併用されていることから、患者の服薬コンプライアンスを向上させるため、両薬剤の配合剤の開発が強く望まれている。
【0017】
一般に2種類の薬剤を含有する固形製剤(配合剤)を開発する場合は、どちらか一方の単剤の処方に、もう一方の有効成分を追加した処方を用いることが多い。しかし、アゼルニジピン及びアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有する固形製剤においては、カルブロック(登録商標)錠、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有する固形製剤のいずれの処方をベースにした場合にも、アゼルニジピン及び/又はアンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有する固形製剤の物理的あるいは化学的な配合安定性が悪くなってしまうことがある。
【0018】
特に、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有する固形製剤がオルメテック(登録商標)錠の場合、カルブロック(登録商標)錠、オルメテック(登録商標)錠いずれの処方をベースにした場合にも、アゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルの物理的あるいは化学的な配合安定性が悪くなってしまうことが分かっている。これは、アゼルニジピンはアルカリで安定な性質をもつが、オルメサルタンメドキソミルはアルカリ性で不安定な性質をもつため、いずれかの処方にもう一方の有効成分を添加した場合は、その添加した有効成分が不安定になったものと考えられる。つまり、カルブロック(登録商標)錠の製剤処方はアルカリ性であるため、これにオルメサルタンメドキソミルを加えるとオルメサルタンメドキソミルが不安定になり、逆にオルメテック(登録商標)錠の製剤処方はアルカリ性ではないため、これにアゼルニジピンを入れるとアゼルニジピンが不安定になったものと考えられる。
【0019】
そのため、アゼルニジピンとオルメサルタンメドキソミルの2種類の薬剤を含有する固形製剤(配合剤)の開発においては、多層錠により保存安定性等の安定性の改善が図られてきたが、これもまた満足されるものではなく、保存安定性等の安定性をさらに向上させる別の施策が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、アゼルニジピンを含有する固形製剤を包装形態により低酸素濃度下で保存させることにより、保存安定性等において、優れた安定性を有するアゼルニジピンを含有する固形製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0021】
本発明は、アゼルニジピンを含有する固形製剤(特に、高血圧症の治療又は予防のための製剤)が安定な包装形態、前記包装形態を製造するための脱酸素剤、不活性ガス、脱酸素機能具備包装材料の使用、前記包装形態で保存されたアゼルニジピンの薬理学的な有効量を含有する前記固形製剤を温血動物(特に、ヒト)に投与する疾病(特に、高血圧症)の治療又は予防方法、アゼルニジピンを含有する固形製剤(特に、高血圧症の治療又は予防のための製剤)の安定化方法等を提供する。
【0022】
すなわち、本発明は、
(1)脱酸素剤が封入された包装形態中に保存されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(2)不活性ガスが置換封入された包装形態中に保存されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(3)包装材自体に脱酸素機能を具備した包装形態中に保存されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(4)脱酸素剤が封入された包装形態中に保存されることにより、低酸素濃度下に維持されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(5)不活性ガスが置換封入された包装形態中に保存されることにより、低酸素濃度下に維持されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(6)包装材自体に脱酸素機能を具備した包装形態中に保存されることにより、低酸素濃度下に維持されたアゼルニジピンを含有する固形製剤、
(7)脱酸素剤が金属の酸化機構を利用することにより脱酸素機能を発揮するものである(1)又は(4)に記載の固形製剤、
(8)脱酸素剤が有機物の酸化機構を利用することにより脱酸素機能を発揮するものである(1)又は(4)に記載の固形製剤、
(9)不活性ガスが窒素である(2)又は(5)に記載の固形製剤、
(10)包装形態が瓶包装、ピロー包装、PTP包装(プレススルーパック包装)、ブリスターパック包装、アンプル包装からなる群から選択される1又は2種以上である(1)乃至(9)いずれかに記載の固形製剤、
(11)包装形態がシール付プラボトル包装である(10)に記載の固形製剤、
(12)包装形態中にさらに乾燥剤が封入された(1)乃至(11)いずれかに記載の固形製剤、
(13)包装材自体に乾燥機能を具備した包装形態中に保存された(1)乃至(11)いずれかに記載の固形製剤、
(14)固形製剤が低水分含有固形製剤である(1)乃至(13)いずれかに記載の固形製剤、
(15)固形製剤が錠剤である(1)乃至(14)いずれかに記載の固形製剤、
(16)固形製剤が、さらに1又は2種以上の有効成分を含有するものである(1)乃至(15)いずれかに記載の固形製剤、
(17)さらに含有される有効成分がアンジオテンシンII受容体拮抗剤、アンジオテンシン酵素阻害剤、インスリン抵抗性改善剤、利尿剤、高脂血症治療剤からなる群から選択される1又は2種以上である(16)に記載の固形製剤、
(18)さらに含有される有効成分がオルメサルタンメドキソミルである(16)に記載の固形製剤、
(19)アゼルニジピンを含有する固形製剤を低酸素濃度に維持可能な包装形態、
(20)脱酸素剤の封入、不活性ガスの置換封入、又は包装材自体への脱酸素機能具備のいずれか、若しくはそれらの組合せにより低酸素濃度に維持可能な(19)に記載の包装形態、
(21)脱酸素剤の封入により低酸素濃度に維持可能な(19)に記載の包装形態、
(22)不活性ガスの置換封入により低酸素濃度に維持可能な(19)に記載の包装形態、
(23)包装材自体への脱酸素機能具備により低酸素濃度に維持可能な(19)に記載の包装形態、
(24)乾燥剤の封入により固形製剤を低湿度下で維持可能な(19)乃至(23)いずれかに記載の包装形態、
(25)包装材自体への乾燥機能具備により固形製剤を低湿度下で維持可能な(19)乃至(23)いずれかに記載の包装形態、
(26)(19)乃至(25)のいずれかに記載の包装形態を用いることを特徴とする、アゼルニジピンを含有する固形製剤の安定化方法、
(27)(19)乃至(25)のいずれかに記載の包装形態を用いることを特徴とする、アゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤の安定化方法、
(28)アゼルニジピン含有固形製剤安定化のための低酸素濃度に維持可能な包装形態の使用、
(29)アゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤安定化のための低酸素濃度に維持可能な包装形態の使用、
(30)アゼルニジピン含有固形製剤安定化のための低酸素濃度かつ低湿度下に維持可能な包装形態の使用、
(31)アゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤安定化のための低酸素濃度かつ低湿度下に維持可能な包装形態の使用、
(32)アゼルニジピン含有固形製剤安定化のための脱酸素剤又は脱酸素機能性包装材料の使用、
(33)アゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤安定化のための脱酸素剤又は脱酸素機能具備包装材料の使用を用いることを特徴とする、アゼルニジピンの安定化方法等を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、安定なアゼルニジピンを含有する固形製剤を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の固形製剤の有効成分は、アゼルニジピンである。
【0025】
本発明の固形製剤における有効成分の一つであるアゼルニジピンは、特許第1666755号公報(米国特許第4,772,596号公報)等に記載の方法に従い容易に製造することができる。アゼルニジピンは酸付加塩を形成することができ、これらの酸付加塩も本発明に包含される。アゼルニジピンの酸付加塩の酸部分は、アゼルニジピンと酸付加塩を形成し得る酸であれば特に限定はなく、そのような酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、沃化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、または、ナフタレンスルホン酸であり得、好適には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又は、ナフタレンスルホン酸であり、より好適には、臭化水素酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸、または、ナフタレンスルホン酸であり、さらに好適には、臭化水素酸、メタンスルホン酸、または、p‐トルエンスルホン酸であり、さらにより好適には、臭化水素酸またはメタンスルホン酸であり、最も好適には、臭化水素酸である。
【0026】
本発明における「安定な固形製剤」とは、固形製剤中の主薬であるアゼルニジピンの化学的安定性が保持された固形製剤をいい、好適には不純物Aの含有量が1.00%(w/w)未満及び/又は不純物Bの含有量が1.00%(w/w)未満及び/又は不純物Cの含有量が0.90%(w/w)未満及び/又は不純物Dの含有量が0.70%(w/w)未満及び/又は総不純物の含有量が3.80%(w/w)未満であり、より好適には不純物Aの含有量が0.50%(w/w)未満及び/又は不純物Bの含有量が0.20%(w/w)未満及び/又は不純物Cの含有量が0.50%(w/w)未満及び/又は不純物Dの含有量が0.35%(w/w)未満及び/又は総不純物の含有量が3.80%(w/w)未満であり、さらに好適には、不純物Aの含有量が0.40%(w/w)未満及び/又は不純物Bの含有量が0.15%(w/w)未満及び/又は不純物Cの含有量が0.40%(w/w)未満及び/又は不純物Dの含有量が0.30%(w/w)未満及び/又は総不純物の含有量が3.40%(w/w)未満である。
【0027】
固形製剤中の主薬としてアゼルニジピンの他に有効成分が含有される場合、本発明における「安定な固形製剤」には、固形製剤中の他の有効成分の化学的安定性が保持された固形製剤も含まれる。
【0028】
安定性は高速液体クロマトグラフィーを用いて測定することができる。クロマトグラムから標準物質であるアゼルニジピン及び/又は他の有効成分の保持時間と種々不純物の保持時間の比である相対保持時間が計算され、相対保持時間より不純物が同定できる。種々不純物のピーク面積および標準物質のピーク面積の比から主薬に対する不純物含有量が計算される。安定性は、好適には、40℃75%相対湿度下に1ヶ月間放置した後に測定した不純物の含有量により、より好適には、40℃75%相対湿度下に6ヶ月放置した後に測定した不純物の含有量により決定される。HPLC測定条件は、以下の試験法1または2の何れかを用いることができる。
【0029】
試験法1
標準物質 :アゼルニジピン
検出器 :紫外吸光光度計 波長220nm
カラム :内径5 mm、長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相 :リン酸二水素カリウム1.05gを水350mLに溶かし、アセトニトリル/メタノール混液(7:3)650mLを加え、薄めたリン酸(1→10)でpH5.5に調整する。
流量 :アゼルニジピンの保持時間が約36分になるように調整する。
測定時間 :アゼルニジピンの保持時間の約2倍の範囲。ただし、添加剤成分であるメタケイ酸アルミン酸マグネシウム由来の保持時間約2.7分(相対保持時間約0.07)のピークを除き、試料溶液に用いたアセトニトリル/水混液(4:1)の溶媒ブランク(約4.7分)を差し引く。
【0030】
試験法2
標準物質 :オルメサルタンメドキソミル
検出器 :紫外吸光光度計 波長220nm
カラム :内径4.6 mm、長さ10 cmのステンレス管に3 μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相 :A液 0.015mol/Lリン酸二水素カリウム溶液/メタノール/アセトニトリル混液(8:1:1)
B液 アセトニトリル
移動相の送液:直線勾配によるグラジエント分析
―――――――――――――――――――――――――――――――――
試料注入からの時間(分) 移動相A(%) 移動相B(%)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
0 〜 30 80 → 25(直線勾配) 20 → 75(直線勾配)
30 〜 55 25 75
―――――――――――――――――――――――――――――――――
流量 :オルメサルタンメドキソミルの保持時間が約10分となるように調整する。
(毎分約1.0 mL)
測定時間 :注入開始から55分間
【0031】
本発明における不純物Aとは、試験法1の場合、アゼルニジピンに対する相対保持時間1.42付近に出現するピークを、試験法2の場合、オルメサルタンメドキソミルに対する相対保持時間2.9付近に出現するピークをいい、不純物Bとは、試験法1の場合、アゼルニジピンに対する相対保持時間0.50付近に出現するピークを、試験法2の場合、オルメサルタンメドキソミルに対する相対保持時間2.2付近に出現するピークをいい、不純物Cとは、試験法1の場合、アゼルニジピンに対する相対保持時間0.10付近に出現するピークを、試験法2の場合、オルメサルタンメドキソミルに対する相対保持時間0.4付近に出現するピークをいい、不純物Dとは、試験法1の場合、アゼルニジピンに対する相対保持時間0.13付近に出現するピークを、試験法2の場合、オルメサルタンメドキソミルに対する相対保持時間0.9付近に出現するピークをいい、「総不純物量」とは、その他の相対保持時間に出現する主薬以外の定量可能ピークから算出する不純物の総和をいう。
【0032】
本発明における「固形製剤」としては、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、トローチ剤等を挙げることができ、好適には錠剤である。
【0033】
本発明に使用される「脱酸素剤」としては、例えば、金属の酸化機構を利用する脱酸素剤(鉄が酸化される際に必要な酸素を周囲の酸素から吸収する機構により脱酸素機能を発揮する鉄系脱酸素剤など)、有機化合物が酸化される際に必要な酸素を周囲の酸素から吸収する機構により脱酸素機能を発揮する有機系脱酸素剤(有機物の酸化機構を利用する脱酸素剤)、酸素欠損の非鉄系金属が酸化される際に必要な酸素を周囲の酸素から吸収する機構により脱酸素機能を発揮する非鉄系脱酸素剤などが挙げられる。但し、これらに限定されることなく、脱酸素機能を発揮する脱酸素剤であればいずれの脱酸素剤も使用可能である。
【0034】
鉄系脱酸素剤としては、例えば、ワンダーキープRP, LP, EP, X, XAシリーズ(パウダーテック)、エージレスFL, FC, FP, FX, FX-L, FJ, FM, SA, SS, S, Z,Z-PT, Z-PK, ZJ-PT, ZJ-PK,E(三菱ガス化学)、オキシムーブK, S, Nタイプ(南通大江化学有限公司)、エバーフレッシュL, Q, C, KWX, KWXMタイプ(鳥繁産業)、モデュラン(日本化薬フードテクノ株式会社)、キーピットLPW, LPY, LKPW, CPY, QPY, QAPW, QTPW,KW, KWX, KH, LH, LSHタイプ(ドレンシー株式会社)、ウェルパック(株式会社タイセイ)、バイタロン(株式会社常盤産業)、セキュール(ニッソー樹脂株式会社)、オキシーター(上野製薬)、ケプロン(ケプロン)、鮮度保持剤C(凸版印刷)、オーバスター(オーバスタージャパン、小嵩無氣化學有限公司)、StabilOx(MULTISORBTechnologies)、サンソレスSA, SP, KM, KX,Kシリーズ(株式会社博洋)、サンソカットFWS, FW, FW-C, FWA, FEW, FWRタイプ(アイリス・ファインプロダクツ株式会社)、脱酸素剤(株式会社テラオカ)、酸素吸収剤(南通欧凱包装工程有限公司)などを挙げることができ、好適にはワンダーキープRP, LP, EP, X, XAシリーズ(パウダーテック)、エージレスFL, FC,FP, FX, FX-L, FJ, FM, SA, SS, S, Z, Z-PT, Z-PK, ZJ-PT, ZJ-PK, E(三菱ガス化学)であり、更に好適には、ワンダーキープRP, LP, EP, X, XAシリーズ(パウダーテック)であるが、これらに限定されることはない。
【0035】
有機系脱酸素剤としては、例えば、ファーマキープ(三菱ガス化学)、エージレスG, GLシリーズ(三菱ガス化学)、オキシムーブOAタイプ(南通大江化学有限公司)、タモツVX, Dタイプ(大江化学工業株式会社)、サンソレスYシリーズ(株式会社博洋)、ワンダーキープKシリーズ(パウダーテック)、エバーフレッシュYF,COタイプ(鳥繁産業)、サンソカットGN, GAタイプ(アイリス・ファインプロダクツ株式会社)、キーピットYC, YFタイプ(ドレンシー株式会社)などを挙げることができ、好適にはファーマキープ(三菱ガス化学)、エージレスG, GLシリーズ(三菱ガス化学)であり、更に好適には、ファーマキープ(三菱ガス化学)であるが、これらに限定されることはない。
【0036】
鉄系脱酸素剤及び有機系脱酸素剤以外の非鉄系脱酸素剤をはじめとしたその他の脱酸素剤としては、例えば、マグネシウム系脱酸素剤(特開第2002-20746号)、二酸化チタンと合成樹脂からなる品質保持剤(特開第2001-226207号)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0037】
本発明に使用される「脱酸素剤」の使用量は、包装容器の形態、材質、密閉(気密、密封)条件及び包装容器内の初期酸素濃度等によって左右されるが、内容固形製剤の有効期限全般に亘って、十分に脱酸素機能を発揮可能な量を使用することが好ましい。
【0038】
本発明における「低酸素濃度」は、大気中の酸素濃度である21%未満の酸素濃度をいい、好適には酸素濃度10%未満であり、より好適には5%未満であり、さらに好適には3%未満であり、最も好適には1%未満である。また、本発明における「低湿度下」は、常湿とされる相対湿度45%から85%の範囲を下回る湿度をいう。すなわち、本発明における「低湿度下」は、相対湿度45%未満をいい、好適には相対湿度30%未満であり、より好適には20%未満であり、さらに好適には10%未満であり、最も好適には5%未満である。
【0039】
本発明における「不活性ガス」としては、酸素以外の医薬上許容できる気体であれば、何れのガスでもよく、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン、ラドン等を挙げることができ、好適には窒素である。
【0040】
本発明における「包装形態」としては、密閉、気密又は密封可能なものであればよく、例えば、瓶包装、ピロー包装、PTP包装(プレススルーパック包装)、ブリスターパック包装、アンプル包装等を挙げることができ、又は、それらの1種又は2種以上を組合せた包装形態でもよい。好適にはPTP包装及びピロー包装の組合せである。包装形態を組合せる場合、固形製剤の直接容器を1次包装といい、間接包装を直接容器に接するものから順に2次包装、3次包装等という。
【0041】
瓶包装の材質は、例えば、プラスチック、ガラス、陶器、ホウロウ、金属等を挙げることができ、又は、それらを組合せた包装形態でもよい。好適には、プラスチック又はガラスである。
【0042】
瓶包装の蓋部については、密閉可能な形態であればいずれの形態でもよい。好適には、シール付プラボトル包装である。
【0043】
本発明における「ピロー包装」とは、固形製剤又は1次包装された固形製剤をフィルムで袋状に覆った後、気体を入れたまま密閉した包装形態である。
【0044】
ピロー包装の材質としては、例えば、アルミラミネートフィルム又は熱可塑性樹脂等を挙げることができ、又は、それらを組合せた包装形態でもよい。好適にはアルミラミネートフィルムである。
【0045】
密閉とは、日常の取扱いをし、又は通常の保存状態において、固形の異物が混入することを防ぎ、内容固形製剤が損失しないよう保管することができる状態をいう。
【0046】
気密とは、日常の取扱いをし、又は通常の保存状態において、液状又は固形の異物又は水分が侵入せず、内容固形製剤が損失し、風解し、潮解し又は蒸発しないよう保管することができる状態をいう。なお、気密は、密閉の条件を満たしているものとする。
【0047】
密封とは、日常の取扱いをし、又は通常の保存状態において、気体又は微生物の侵入のおそれのない状態をいう。なお、密封は、密閉及び気密の条件を満たしているものとする。
【0048】
本発明におけるPTP包装、又はブリスターパック包装の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂等の樹脂類、紙類、繊維類、金属類、各種塗料、各種接着剤等が使用できる。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用できるが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、環状オレフィン共重合体(COC)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド(PA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタアクリレート共重合体、ポリスチレン(PS)、ポリエステル(PET)、ポリアクリル酸(PAA)等を挙げることができ、好ましくは、ポリ塩化ビニル、無延伸ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン又は環状オレフィン共重合体である。本発明においては、これらを単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。PTP包装の蓋材としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム箔とプラスチックフィルムのラミネートフィルム等を挙げることができる。本発明におけるPTP包装又はブリスターパック包装の作製方法としては、「医薬品・食品包装における設計・表示・材料規格・包装工程の品質確保(技術情報協会、2005年9月1日発刊)」のような刊行物に記載されている一般的な方法を用いて製造すればよく、特別な制限は設けない。
【0049】
本発明におけるピロー包装、PTP包装、又はブリスターパック包装の包装材は、単層のものに限定されるものではなく、多層を貼りあわせた多層フィルムとしてもよい。多層フィルムの種類、量、厚み及び層の数は、本発明の目的を達する限り限定されず広範に使用することができ、用途に応じ適宜選択される。
【0050】
本発明における多層フィルムは、外層又は中間層に酸素の透過を抑制するバリア層を有し、内層又は中間層として脱酸素機能を持つ吸収層を有することができる。脱酸素機能を持つ吸収層としては、例えば脱酸素機能を発揮する脱酸素剤を練り込んだ樹脂などがある。
【0051】
本発明の固形製剤における1種又は2種以上の追加有効成分としては、アンジオテンシンII受容体拮抗剤、アンジオテンシン酵素阻害剤、インスリン抵抗性改善剤を挙げることができる。好適には、アンジオテンシンII受容体拮抗剤である。
【0052】
本発明における「アンジオテンシンII受容体拮抗剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は本発明の効果を奏する適宜の薬剤を選択することが可能である。そのようなアンジオテンシンII受容体拮抗剤としては、例えば、ロサルタン(好適にはロサルタンカリウム)、カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、プラトサルタン、オルメサルタンメドキソミル又はイルベサルタンであり、好適には、オルメサルタンメドキソミルである。なお、特にオルメサルタンメドキソミルは特許第2082519号公報(米国特許第5,616,599号公報)等に記載の方法に従い、容易に製造することができる。
本発明における「アンジオテンシン酵素阻害剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は適宜薬剤を選択することが可能である。そのようなアンジオテンシン酵素阻害剤としては、例えば、カプトプリル、ベナゼプリル塩酸塩、アラセプリル、シラザプリル水和物、デラプリル塩酸塩、エナラプリルマレイン酸塩、ホシノプリルナトリウム、イミダプリル塩酸塩、リシノプリル水和物、ペリンドプリルエルブミン、キナプリル塩酸塩、ラミプリル、スピラプリル塩酸、テモカプリル塩酸塩、トランドラプリル、ゾフェノプリルカルシウムであり、好適には、カプトプリル又はテモカプリル塩酸塩である。
【0053】
本発明における「インスリン抵抗性改善剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は適宜薬剤を選択することが可能である。そのようなインスリン抵抗性改善剤としては、例えば、ピオグリタゾン、好適には、ピオグリタゾン塩酸塩、ロシグリタゾン、好適には、ロシグリタゾンマレイン酸塩、バラグリタゾン、ナベグリタザール、AMG-131(好適には、AMG-131のパラトルエンスルホン酸塩)、メタグリダセン、5-{4-[(6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)メトキシ]ベンジル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン及びその薬理上許容される塩(好適には、5-{4-[(6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)メトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩、メタグリダセンアナログを挙げることができる。好適には、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、5-{4-[(6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イル)メトキシ]ベンジル}-1,3-チアゾリジン-2,4-ジオン及びその薬理上許容される塩のようなチアゾリジンジオン系インスリン抵抗性改善剤である。
【0054】
本発明における「利尿剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は適宜薬剤を選択することが可能である。そのような利尿剤としては、例えば、アセタゾラミド、メタゾラミド、エトクスゾラミド、クロフェナミド、ジクロルフェナミド、ジスルファミド、メフルシド、クロルタリドン、キネタゾン、フロセミド、クロパミド、トリパミド、インダパミド、クロレキソロン、メトラゾン、キシパミド、ブメタニド、ピレタニド、X-54のようなスルホンアミド系化合物;ヒドロクロロチアジド、メチクロチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、ポリチアジド、エチアジド、シクロチアジド、ベンドロフルメチアジド、ヒドロフルメチアジドのようなチアジド系化合物;エタクリン酸、チエニル酸、インダクリノン、キンカルバートのようなフェノキシ酢酸系化合物;トリアムテレン;アミロリド;スピロノラクトン;カンレノ酸カリウム;トラセミド;MK−447;又はトラキサノクスナトリウムであり得、好適には、チアジド系化合物又はインダパミドであり、更に好適には、ヒドロクロロチアジド又はインダパミドである。
【0055】
本発明における「高脂血症治療剤」としては、種々の薬剤が提案されており、実際に臨床で使用されているので、当業者は適宜薬剤を選択することが可能である。そのようなと高脂血症治療剤しては、例えば、アトルバスタチン、シンバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、メバスタチン、ロスバスタチン、ロバスタチンとこれらの医薬上許容される塩を含むスタチン系化合物;ベザフィブラート、フェノフィブラート、クロフィルバートアルミニウム、シンフィブラート、クリノフィブラートのようなフィブラート系化合物;ニコモール、ニセリトロールのようなナイアシン;プロブコール;エゼチミブ;コレスチラミン、コレスチミドのような陰イオン交換樹脂;ソイステロール;デキストラン硫酸ナトリウム硫黄;エラスターゼ;エイコサペンタエン酸のような魚油;γ-オリザノールのような植物性ステロール;ビタミンE;スクワレン合成酵素剤;CETP阻害薬;PPARα/γアゴニストであり得、好適には、スタチン系化合物であり、更に好適には、アトルバスタチン、プラバスタチンナトリウム塩である。
【0056】
本発明における「多層錠」とは、数種類の処方成分が段階的に層状に積み重ねて圧縮成形され、同一の剤形内に収められた錠剤(積層錠)をいい、好適には、両主薬に不活性な添加剤を含有する中間層で分離されたオルメサルタンメドキソミル層及びアゼルニジピン層を有する三層からなる錠剤である。さらにオルメサルタンメドキソミル層及び/又はアゼルニジピン層の外側に追加の層を有していてもよい。これらの追加的な層は美的な目的であってもよく、薬剤の味の遮蔽、他の有効成分を含有する目的であってもよい。
【0057】
本発明における「三層錠」とは、第1層、第2層(中間層)及び第3層からなる積層錠をいい、それぞれの層に一種以上の有効成分を含有してもよいし、有効成分を含有しなくてもよい。好適には、一種以上の有効成分を含有する第1層、有効成分を含有せず不活性な添加剤を含有する第2層(中間層)及び第1層と異なる一種以上の有効成分を含有する第3層からなる積層錠をいう。
中間層により薬物間の直接接触を回避でき、より安定化された固形製剤が提供される。
【0058】
中間層に不活性な添加剤を用いる場合、その添加剤は、有効成分と反応しない添加剤であれば特に限定はなく、通常賦形剤として用いられる添加剤等を挙げることができる。そのような添加剤としては、例えば、乳糖、乳糖(造粒粉末)、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロース、結晶セルロースと軽質無水珪酸のスプレードライ品のようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができ、好適には、乳糖(造粒粉末)、結晶セルロースと軽質無水珪酸のスプレードライ品、D−マンニトール、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水珪酸であり、より好適には、結晶セルロースと軽質無水珪酸のスプレードライ品である。また、中間層には滑沢剤を使用しても良い。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリン酸ナトリウムのようなステアリン酸誘導体;タルクのような鉱物資源;蔗糖脂肪酸エステルのような脂肪酸誘導体を挙げることができ、好適にはステアリン酸マグネシウムである。
【0059】
本発明の固形製剤は、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を含むことができる。
【0060】
使用される「賦形剤」としては、例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール若しくはソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−澱粉若しくはデキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;又はプルランのような有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸;又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。
【0061】
使用される「滑沢剤」としては、例えば、ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーズワックス若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;D,L−ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体を挙げることができる。
【0062】
使用される「結合剤」としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、又は、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。
【0063】
使用される「崩壊剤」としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドン;又は、カルボキシメチルスターチ若しくはカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデンプン・セルロース類を挙げることができる。
【0064】
使用される「乳化剤」としては、例えば、ベントナイト若しくはビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム若しくは水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル若しくはショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0065】
使用される「安定剤」としては、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸を挙げることができる。
【0066】
使用される「矯味矯臭剤」としては、例えば、サッカリンナトリウム若しくはアスパルテームのような甘味料;クエン酸、リンゴ酸若しくは酒石酸のような酸味料;又は、メントール、レモン若しくはオレンジのような香料を挙げることができる。
【0067】
使用される「希釈剤」としては、例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、スクロース、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0068】
本発明における製剤の製造方法としては、Powder Technology andPharmaceuticalProcesses (D. Chulia他, Elsevier SciencePub Co (December1, 1993))のような刊行物に載されている一般的な方法を用いて製造すればよく、特別な制限は設けない。
【0069】
本発明の多層錠は、例えば、それ自体公知の方法で、有効成分を含む各層を直接圧縮成形するか、あるいは、有効成分を各層をそれぞれ通常の湿式顆粒化又は乾式顆粒化(圧縮)技法によって製造し、次いで、各層を圧縮成形することにより、製造することができる。
【0070】
本発明の三層錠は、例えば、それ自体公知の方法で第1層、第2層(中間層)、第3層をそれぞれ通常の直接打錠用の顆粒を使用する又は湿式顆粒化又は乾式顆粒化(圧縮)技法によって製造し、次いで、第1層、第2層、第3層を圧縮し、通常の三層錠成形装置を用いて各層を結合させることにより、製造することができる。また、本発明の三層錠には少なくとも1層のフィルムコーティングを設けてもよい。
【0071】
本発明における製剤は、製剤中の水分活性値又は製剤中の水分含有量を抑制して製造するほど、製剤中の不純物量増加が抑制され、化学的安定性の観点から好ましい。特に、アゼルニジピンを有効成分として含有する製剤並びにアゼルニジピン及びオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する製剤において、製剤中水分活性値又は製剤中の水分含有量を抑制して製造するほど、製剤中の不純物量増加が抑制され、化学的安定性の観点から好ましい。さらに、有効成分としてアゼルニジピンを含有せず、オルメサルタンメドキソミルを含有する製剤においても、同様に製剤中水分活性値又は製剤中の水分含有量を抑制して製造するほど、製剤中の不純物量増加が抑制され、化学的安定性の観点から好ましい。
【0072】
本発明における「低水分含有固形製剤」とは、製造時(保存開始時)の製剤中水分活性値又は製剤中の水分含有量が低値な固形製剤をいい、好適には固形製剤の水分活性値が0.30未満又は乾燥減量(%)が4.0%(w/w)未満であり、より好適には固形製剤の水分活性値が0.25未満又は乾燥減量(%)が3.1%(w/w)未満でであり、さらに好適には固形製剤の水分活性値が0.23未満又は乾燥減量(%)が2.5%(w/w)未満であり、もっとも好適には固形製剤の水分活性値が0.15未満又は乾燥減量(%)が1.9%(w/w)未満である。なお、本発明における「水分活性値」とは、25℃における固形製剤の平衡水分のことをいい、「乾燥減量(%)」とは、80℃において50分間乾燥後の重量減量割合をいう。
【0073】
コーティングは、例えば、フィルムコーティング装置を用いて行われ、フィルムコーティング基剤としては、例えば、糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
【0074】
糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、プルラン、などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0075】
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0076】
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース誘導体;メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD、メタアクリル酸コポリマーSなどのアクリル酸誘導体;セラックなどの天然物などが挙げられる。
【0077】
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えば、エチルセルロースなどのセルロース誘導体;アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル・共重合体乳濁液などのアクリル酸誘導体などが挙げられる。
【0078】
上記コーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、さらに必要に応じて、適宜の薬理学的に許容される可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤、防腐剤等の添加剤を含むことができる。
【0079】
本発明の固形製剤の有効成分であるアゼルニジピンの投与量は、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得るが、経口投与の場合には、成人一日あたりアゼルニジピン8mg−32mg(好適には8mg−16mg)を一日1乃至6回(好適には一日1回)症状に応じて投与することができる。
【0080】
本発明の固形製剤の有効成分であるアゼルニジピンと追加有効成分であるオルメサルタンメドキソミルの投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により変化し得る。その投与量は症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、成人一日あたりアゼルニジピン8mg−32mg(好適には8mg−16mg)、オルメサルタンメドキソミル5mg−80mg(好適には10mg−40mg)を一日1乃至6回(好適には一日1回)症状に応じて投与することができる。
【0081】
また、本発明の固形製剤の有効成分であるアゼルニジピンと追加有効成分であるオルメサルタンメドキソミルの投与量の比率も、また、大幅に変わりうるが、例えばアゼルニジピンとオルメサルタンメドキソミルの投与量比率は、重量比で、1:50乃至50:1の範囲内であり得、好適には、1:5乃至5:1である。最も好適な形態としては、アゼルニジピン/オルメサルタンメドキソミルを16mg/20mg又は8mg/10mg含有する錠剤である。
【0082】
本発明の固形製剤は、例えば、高血圧症又は高血圧症に由来する疾患(より具体的には、高血圧症、心臓疾患[狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全若しくは心肥大]、腎臓疾患[糖尿病性腎症、糸球体腎炎若しくは腎硬化症]又は脳血管性疾患[脳梗塞若しくは脳出血])等の予防又は治療に有効である。
【実施例】
【0083】
以下、実施例等により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0084】
(製剤例1)
以下の表1に示す成分とそれらの量を用いて、混合顆粒1を作製した。アゼルニジピンとD-マンニトールを各々1:1(重量比)秤量し、高速撹拌造粒機(ヘンシェルミキサーFM-20、三井三池製作所)を用いて5分間混合後、混合物をハンマーミル(サンプルミルK II WG-1、不二パウダル)にて粉砕した。また、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸を高速撹拌造粒機(ヘンシェルミキサーFM20、三井三池製作所)を用いて混合した後、この混合物にポリソルベート80を注加し、ポリソルベート80吸着末を得た。得られたアゼルニジピン粉砕物、ポリソルベート80吸着末、D-マンニトール、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、軽質無水ケイ酸を高速撹拌造粒機(VG-10、パウレック、約2kgスケール)にて混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液(固形分濃度5.5%)を加え高速撹拌造粒機(VG-10、パウレック)にて7.5分間造粒を行った。得られた練合物をスクリーニングミル(トーネードミル、F.J.Stokes Corp.、10mm角の目開き篩装着)を用いて製顆し、入風温度90℃の流動層乾燥機(Glatt WST-5、パウレック)にて乾燥させた後、スクリーニングミル(トーネードミル、F.J. Stokes Corp.、φ1mmのメッシュ装着)にて顆粒を整粒し、顆粒1を得た。顆粒1、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウムを表1に示す割合にて秤量し、V型混合機(徳寿工作所)を用いて混合することにより混合顆粒1を得た。混合顆粒1はコーティング工程で必要な量(約3kg)を製造した。次に、混合顆粒1を直径8mmの臼、曲率半径9.5mmの杵を用いて、1錠あたり160mgとなるよう成形打錠し、裸錠例1を得た。得られた裸錠例1にポリビニルアルコール(部分けん化)、酸化チタン、タルク、ポリエチレングリコール、精製水からなるコーティング液をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約5%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠例1を得た。また、同様に裸錠例1にヒプロメロース2910、酸化チタン、乳糖水和物、トリアセチン、精製水からなるコーティング液(固形分濃度:15%)をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約5%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠例2を得た。
【0085】
(実施例1)
製造スケールを除き裸錠例1と同様の手順で作製した裸錠1を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)及び脱酸素剤(PharmakeepKC-20、1個、三菱ガス化学)を同封し、サンプルAを作製した。製造スケールを除きフィルムコート錠例1及びフィルムコート錠例2と同様の手順で作製したフィルムコート錠1及びフィルムコート錠2もサンプルAと同じ包装形態で包装し、それぞれサンプルB及びサンプルCを作製した。
【0086】
(比較例1)
実施例1で作製した裸錠1、フィルムコート錠1及びフィルムコート錠2を各100錠、それぞれ褐色ガラス瓶に入れ、各々乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)のみを同封し、サンプルD、サンプルE及びサンプルFを作製した。
(試験例1)
実施例1及び比較例1で作製したサンプルA,B,C,D,E,Fを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物量を以下に示す試験法にて測定し、アゼルニジピンに対する相対保持時間1.42付近の不純物A、0.50付近の不純物B、0.10付近の不純物C、0.13付近の不純物D及びその他不純物を求め、すべての不純物の総和である総不純物量を算出した。その結果を表2に示す。
【0087】
試験法
標準物質 :アゼルニジピン
検出器 :紫外吸光光度計 波長220nm
カラム :内径5 mm、長さ25 cmのステンレス管に5 μmの液体クロマトグラフ用オクタデルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相 :リン酸二水素カリウム1.05gを水350mLに溶かし、アセトニトリル/メタノール混液(7:3)650mLを加え、薄めたリン酸(1→10)でpH5.5に調整する。
流量 :アゼルニジピンの保持時間が約36分になるように調整する。
測定時間 :アゼルニジピンの保持時間の約2倍の範囲。ただし、添加剤成分であるメタケイ酸アルミン酸マグネシウム由来の保持時間約2.7分(相対保持時間約0.07)のピークを除き、試料溶液に用いたアセトニトリル/水混液(4:1)の溶媒ブランク(約4.7分)を差し引く。
【0088】
(実施例2)
以下の表3に示す成分とそれらの量を用いて、混合顆粒2を作製した。混合顆粒2の製造方法は製造スケールを除き製剤例1の製造方法と同一とした。混合顆粒2を直径9mmの臼、曲率半径7.5mmの杵を用いて、1錠あたり260mgとなるよう成形打錠し、裸錠2を得た。得らた裸錠2にポリビニルアルコール(部分けん化)、酸化チタン、タルク、ポリエチレングリコール、精製水からなるコーティング液をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約5%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠3を得た。また、同様に裸錠2にヒプロメロース2910、酸化チタン、乳糖水和物、トリアセチン、精製水からなるコーティング液(固形分濃度:15%)をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約5%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠4を得た。作製した裸錠2を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)及び脱酸素剤(Pharmakeep KC-20、1個、三菱ガス化学)を同封し、サンプルGを作製した。同様にフィルムコート錠3及びフィルムコート錠4もサンプルGと同じ包装形態で包装し、それぞれサンプルH及びサンプルIを作製した。
【0089】
(比較例2)
実施例2で作製した裸錠2、フィルムコート錠3及びフィルムコート錠4を各100錠、それぞれ褐色ガラス瓶に入れ、各々乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)のみを同封し、サンプルJ、サンプルK及びサンプルLを作製した。
【0090】
(試験例2)
実施例2及び比較例2で作製したサンプルG,H,I,J,K,Lを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物A、B、C及びDの生成量及び総不純物量を表4に示す。なお、不純物の試験法は試験例1に示す方法にて実施した。
【0091】
(製剤例2)
以下の表5に示す成分とそれらの量を用いて、混合顆粒3を作製した。オルメサルタンメドキソミル、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、乳糖を高速撹拌造粒機(VG-10、パウレック、約2kgスケール)にて5分間混合した後、精製水を注加、3分間撹拌し、造粒した。得られた造粒物をスクリーニングミル(フィオーレミニ、徳寿工作所、φ10mm角の目開き篩装着)を用いて製顆し、入風温度90℃の流動層乾燥機(Glatt WST-5、パウレック)にて乾燥させた後、スクリーニングミル(コーミル197S、パウレック、φ1.143mmのメッシュ装着)にて整粒し、顆粒3を得た。顆粒3、ステアリン酸マグネシウムを表5に示す割合にて秤量し、V型混合機を用いて混合して混合顆粒3を得た。
次に、表6に示す処方で、乳糖(造粒粉末)、結晶セルロース・軽質無水珪酸 スプレードライ品、ステアリン酸マグネシウムをV型混合機により10分間混合し、混合顆粒4を得た。製剤例1で示した混合顆粒1を1層目に160mgとなるよう充填し、混合顆粒4を100mgとなるよう充填調整し、2層目に積層させ、さらに混合顆粒3を120mgとなるよう充填調整したのち、直径9.5mmの臼、曲率半径12.5mmの杵を用いて、三層の裸錠例3を成形打錠した。
【0092】
(実施例3)
製造スケールを除き裸錠例3と同様の手順で作製した裸錠3にポリビニルアルコール(部分けん化)、酸化チタン、タルク、ポリエチレングリコール、精製水からなるコーティング溶液(固形分濃度:20%)をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約3%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠5を得た。作製したフィルムコート錠5を1シートあたり10錠のPress Through Package(以下PTPと略す)とし、これを10シート、延伸ポリプロピレン・アルミニウムラミネートフィルムで作製した袋(以下AL袋)に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)及び脱酸素剤(PharmakeepKC-20、2個、三菱ガス化学)を同封し、サンプルMを作製した。
【0093】
(比較例3)
実施例3で作製したフィルムコート錠5のPTP品を10シート、AL袋に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)のみを同封し、サンプルNを作製した。
【0094】
(試験例3)
実施例3及び比較例3で作製したサンプルM及びNを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物量を以下に示す試験法にて測定し、オルメサルタンメドキソミルに対する相対保持時間2.9付近の不純物A、2.2付近の不純物B、0.4の不純物C、0.9付近の不純物D及びその他不純物を求め、すべての不純物の総和である総不純物量を算出した。その結果を表8に示す。
【0095】
試験法
標準物質 :オルメサルタンメドキソミル
検出器 :紫外吸光光度計 波長220nm
カラム :内径4.6 mm、長さ10 cmのステンレス管に3 μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相 :A液 0.015mol/Lリン酸二水素カリウム溶液/メタノール/アセトニトリル混液(8:1:1)
B液 アセトニトリル
移動相の送液:直線勾配によるグラジエント分析
―――――――――――――――――――――――――――――――――
試料注入からの時間(分) 移動相A(%) 移動相B(%)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
0 〜 30 80 → 25(直線勾配) 20 → 75(直線勾配)
30 〜 55 25 75
―――――――――――――――――――――――――――――――――
流量 :オルメサルタンメドキソミルの保持時間が約10分となるように調整する。
(毎分約1.0 mL)
測定時間:注入開始から55分間
【0096】
(実施例4)
以下の表7に示す成分とそれらの量を用いて、混合顆粒5を作製した。混合顆粒5の製造方法は製造スケールを除き製剤例2に示した混合顆粒3の製造方法と同一である。
実施例2で示した混合顆粒2を1層目に260mgとなるよう充填し、混合顆粒4を100mgとなるよう充填調整し、2層目に積層させ、さらに混合顆粒5を120mgとなるよう充填調整したのち、長径14mm、短径6.5mmの杵を用いて、三層の裸錠4を成形打錠した。得られた裸錠4にポリビニルアルコール(部分けん化)、酸化チタン、タルク、ポリエチレングリコール、精製水からなるコーティング溶液(固形分濃度:20%)をパンコーティング機(1kgスケール)にて裸錠重量に対して約3%(w/w)コーティングし、フィルムコート錠6を得た。作製したフィルムコート錠6を1シートあたり10錠のPTPとし、これを10シート、AL袋に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)及び脱酸素剤(Pharmakeep KC-20、2個、三菱ガス化学)を同封し、サンプルOを作製した。
【0097】
(比較例4)
実施例4で作製したフィルムコート錠6のPTP品を10シート、AL袋に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)のみを同封し、サンプルPを作製した。
【0098】
(試験例4)
実施例4及び比較例4で作製したサンプルO及びPを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物A、B、C及びDの生成量及び総不純物量を表8に示す。なお、不純物の試験法は試験例3に示す方法にて実施した。
【0099】
(実施例5)
酸素濃度0%の環境内で、実施例3で作製したフィルムコート錠5を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)を同封・密栓し、これをサンプルQとした。
【0100】
(比較例5)
酸素濃度21%(大気下)の環境で、実施例5と同様にフィルムコート錠5を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)を同封・密栓し、これをサンプルRとした。
【0101】
(試験例5)
実施例5及び比較例5で作製したサンプルQ及びRを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物A、B、C及びDの生成量及び総不純物量を表9に示す。なお、不純物の試験法は試験例3に示す方法にて実施した。
【0102】
(実施例6)
酸素濃度0%の環境内で、実施例4で作製したフィルムコート錠6を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)を同封・密栓し、これをサンプルSとした。
【0103】
(比較例6)
酸素濃度21%(大気下)の環境で、実施例6と同様にフィルムコート錠6を100錠、褐色ガラス瓶に入れ、乾燥剤(合成ゼオライト1g、新越化成工業)を同封・密栓し、これをサンプルTとした。
【0104】
(試験例6)
実施例6及び比較例6で作製したサンプルS及びTを40℃75%相対湿度下に6ヵ月間保存し、安定性試験を実施した。安定性試験3ヶ月及び6ヶ月経時品の不純物A、B、C及びDの生成量及び総不純物量を表9に示す。なお、不純物の試験法は試験例3に示す方法にて実施した。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
*:80℃において50分間乾燥後の重量減量割合
【0107】
【表3】
【0108】
【表4】
*:80℃において50分間乾燥後の重量減量割合
【0109】
【表5】
【0110】
【表6】
【0111】
【表7】
【0112】
【表8】
*:80℃において50分間乾燥後の重量減量割合
【0113】
【表9】
*:80℃において50分間乾燥後の重量減量割合
【0114】
表2、4、及び8に示したように、本発明の包装形態で保管した製剤の総不純物量は、乾燥剤のみの包装形態の場合に比して低値であり、化学的安定性に優れている。また、表9に示したように、包装形態中の酸素濃度を減じた本発明の包装形態も、総不純物量が大気下(酸素濃度21%)で包装した包装形態の場合に比して低値であり、化学的安定性に優れている。
【0115】
加えて、表2、4、8及び9は、保存開始時(製造時)における錠剤中の水分含有量が低値であるほど、製剤中の不純物量増加が抑制され、化学的安定性に優れていることを示している。